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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2008/03/21 [Fri] 23:08:57 » E d i t
日本臓器移植ネットワークは3月18日、関東甲信越地方の病院に入院中の女性が、臓器移植法に基づく脳死と判定されたと発表し、全国4病院で移植する手術が20日終了しました。脳死判定は67例目で、脳死での臓器移植は66例目となります。

日本臓器移植ネットワークによると、心臓は東京大病院で20代男性に、肝臓は北海道大病院で30代女性に、膵臓と片方の腎臓は大阪大病院で30代男性に、もう片方の腎臓は国立病院機構千葉東病院で50代男性に移植し、小腸移植は医学的理由で断念したとのことです(毎日新聞 2008年3月21日付)。

少しでも移植を受ける機会が得られたことは幸いなことではあるのですが、臓器移植法を制定して約10年半も経過しているのに、未だに66例にとどまっているというのが現実です。


1.3月19日、臓器移植を待っていて受けられずに死亡した患者の遺族が、国会議員有志と面会し、厚生労働省内で臓器移植法改正を訴える記者会見を行いました。

移植法改正案の早期審議を 患者の遺族が訴え
2008年3月19日 21時13分

 臓器移植を受けようと待っていたが、受けられずに死亡した患者の遺族らが19日、都内で記者会見し「このまま国会が臓器移植法改正案を審議せず、放置するのは許せない」などと、早く審議入りするよう訴えた。

 同法は1997年に施行。脳死での臓器提供には本人の事前の意思表示と家族の同意が必要などの条件があり、15歳未満の人は提供できない。これまで脳死での臓器提供は66件。提供範囲を広げる改正案が国会に提出されているが、審議は進んでいない。

 福岡県の石川祥行さん(35)は、海外での心臓移植を計画していた9歳の息子が2月に死亡。「国会では審議してもらえず土俵にも上がっていない状態。とにかく審議を」と怒りを込めて話した。

 11歳の息子が移植を受けるため渡航したドイツで死亡した大阪府の森本隆さん(45)は「今も大勢の患者がいるが、今のままでは何も変わらない」。夫が心臓移植を待ちながら死亡した千葉県の田和秀子さん(55)は「犠牲者を増やさないよう、国会議員は明日はわが身と考えてほしい」と、それぞれ訴えた。

(共同)」(東京新聞2008年3月19日 21時13分

*東京新聞のHPでは掲載していますが、この共同通信配信記事は重複するためか紙面未掲載でした。



脳死判定がなされた事実・臓器移植が実施されたこと自体はたびたび報道されていますが、臓器移植法改正を希望する患者の記者会見は、ほとんど報道していないのです。東京新聞「こちら特報部」では、この記者会見について詳しく報道していましたので、紹介したいと思います。



2.東京新聞平成20年3月20日付朝刊28面「こちら特報部」

SOS臓器移植:施行10年半、審議たなざらし 法改正急いで  

 心臓移植を待ちながら亡くなった患者の遺族らが19日、議員に臓器移植法の改正を訴えた。脳死での臓器提供に厳しい制限がある臓器移植法が施行されてから約10年半。2年前に改正案が提出されたもののたなざらし状態で審議は一向に進まない。患者や家族らは「現行法下では移植は進まない。もう待てない。一日も早い審議入りを」と訴えている。(片山夏子)

◆海外か死か… 患者「命がかかってる」

 福岡県の石川祥行さん(36)と優子(36)の長男、丈一郎くん=当時(9つ)=は拡張型心筋症で心不全となり、今年2月24日に亡くなった。一昨年12月、小学校2年の時に、顔がひどくむくみ、病院に。それまで柔道教室に元気に通っていたが歩くのも苦しい状態になった。

 話をしたり、座っているだけでも疲れるようになった。心臓に負担を掛けないよう一日の水分は500ccまで。「大量の薬を飲むにも、わずかな水でのどを潤すしかなかった」

 「移植しか道がないが、日本では15歳未満は法律で(提供ができないので手術も)できない」と医師に告げられた。海外に行くにもルートがある医師は日本でわずか。海外で移植を受けるには外国人枠があった。昨年12月、ドイツでの移植について医師と相談した。だが、丈一郎くんの体調が悪く渡航は難しかった。今年2月に容体が急変。同24日に亡くなった。

 祥行さんは「日本では莫大(ばくだい)な募金を集めて海外に行かないと15歳未満の子は命が助かる道はない。法律を3年で見直すと明記されているのに、10年間も審議の土俵にすら上がっていない。とにかく審議を」と訴える。優子さんも「国内で手術できたら助かったかもしれない。移植をしないと生きられない子は、海外に行けなければ死ぬしかない。日本に医療技術はあるのに、法律で死ぬしかないなんて、こんなばかなことはない」。

 大阪の森本隆さん(45)の長男・康輝くん=当時(11)=は4年前、心臓手術を受けるためにドイツに渡った翌日に脳死状態に。森本さんは、頭が真っ白になる中で「もし、ぼくが逆の立場になったら使えるものは使って」という康輝くんの言葉を思い出して、臓器提供を申し出た。腎臓や膵臓(すいぞう)、角膜が現地で移植された。

 「日本だったら、息子の遺志も生かせなかった。個人差はあるが、15歳未満でも自分で理解して意思を示すことができる子どもはいる。子どもも日本で移植できるようにしてほしい」

 現行法では15歳以上でないと、脳死での臓器提供ができない。現在、「A」「B」「C」と3つの改正法案が提出されており、「A案」は年齢枠を外し、「B案」は12歳以上と枠を広げる内容となっている。

 千葉県の田和秀子さん(55)の夫、章さん=当時(52)=は3年前に心臓移植を待ちながら亡くなった。

 「心臓は提供者が少ないため登録の条件が厳しいので、かなり症状が重くならないと登録もできない。脳死判定も日本では格段に厳しく、なかなか提供につながらない」と田和さん。

 臓器提供が少ない一因は、脳死判定と臓器提供に本人の意思と家族の同意が必要とする現行法にある。脳死判定も含め、提供には厳しい条件があり、10年余りで脳死下の提供は約65例となかなか進まない。

 この点、改正A案では「本人が拒否していない限り家族の同意でできる」と枠が広がる。また、ドナーカードの不所持で意思が生かされないケースを避けるため、運転免許証などに意思を明記する。

 臓器移植患者団体連絡会の大久保通方代表幹事は「現行法ができた時に、これでは移植が進まないと訴えたが、3年たったら見直すからと言われたが、もう11年目。こうしている間に多くの人が亡くなっているし、年齢を問わず危険を冒して海外に行く人も多い。いつまで海外につけを回すのか。これは命がかかっている法律」と力をこめた。」



(1) こうした移植を望みながら果たせずに終わった患者の遺族の声を、本当にどれほどの人が親身になって聞いているのでしょうか? 森本隆さんの長男・康輝くんの例を聞くと、日本の移植事情はあまりにもおかしい状態だと思わざるを得ません。
 

「大阪の森本隆さん(45)の長男・康輝くん=当時(11)=は4年前、心臓手術を受けるためにドイツに渡った翌日に脳死状態に。森本さんは、頭が真っ白になる中で「もし、ぼくが逆の立場になったら使えるものは使って」という康輝くんの言葉を思い出して、臓器提供を申し出た。腎臓や膵臓(すいぞう)、角膜が現地で移植された。

 「日本だったら、息子の遺志も生かせなかった。個人差はあるが、15歳未満でも自分で理解して意思を示すことができる子どもはいる。子どもも日本で移植できるようにしてほしい」

 現行法では15歳以上でないと、脳死での臓器提供ができない。現在、「A」「B」「C」と3つの改正法案が提出されており、「A案」は年齢枠を外し、「B案」は12歳以上と枠を広げる内容となっている。」


日本で臓器移植ができないために命を救ってもらうためにドイツに渡ったのに、臓器移植を受けることなく死亡してしまったという悲劇という点とともに、日本人の子供の臓器が提供されたことによって、ドイツ市民の命を救ったという事実。悲劇の結果とはいえ、ドイツ市民にとっては幸運な出来事でした。

日本の子供でも、こうして15歳未満の子供でも臓器提供が可能なのに、ドイツの地では臓器提供できて、なぜ、日本ではできないというのでしょうか。なぜ日本でも15歳未満の子供を救う立法ができないのでしょうか? 



(2) 臓器移植法が施行されてから、平成19年10月16日で10年が経過しました。臓器移植法の施行3年をめどに見直す、と規定されているのですから、本来なら改正のための審議がなされ、何らかの改正もなされていたはずですが、いまだに一度も改正されていません。

「臓器移植患者団体連絡会の大久保通方代表幹事は「現行法ができた時に、これでは移植が進まないと訴えたが、3年たったら見直すからと言われたが、もう11年目。こうしている間に多くの人が亡くなっているし、年齢を問わず危険を冒して海外に行く人も多い。いつまで海外につけを回すのか。これは命がかかっている法律」と力をこめた。」


臓器移植法改正に関して、朝日新聞が世論調査を行っています(朝日新聞平成19年10月17日付朝刊9・30面)。その記事によると、「15歳未満の子からの提供を「認めるべきだ」としたのは46%で、「認めるべきではない」の35%を上回った。「認めるべきだ」とした人のうち、下限年齢を「12歳まで」としたのは22%。「年齢制限をなくし乳幼児にも認める」としたのは66%だった。」としています(「臓器移植法施行から10年~法改正の審議も必要だが、提供意思を生かせる態勢は?」(2007/10/20 [Sat] 16:54:52)参照)。

このように、「15歳未満の子からの臓器提供を認めるべきだと答えた人(46%)のうち、「A」案と同じく年齢制限をなくすべきだとした人が6割超」という状態なのですから、世論の意識としては、「A」案通りに改正しても多数の賛成を得られることになりそうです。世論の同意が得られる見込みがあるのですから、直ちに国会で年齢枠を外す「A」案の成立を念頭において審議を行うべきだと思うのです。



(3) もはや海外での臓器移植も、金銭面だけでなく実施が難しい状況になりつつあります。

「「日本の移植の現状批判 国際学会の次期理事長
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 国際移植学会次期理事長であるシドニー大のジェレミー・チャプマン教授が22日、日本移植学会参加のため訪れた仙台市で記者会見し、脳死での臓器提供が少なく、移植のために海外に渡る患者が後を絶たない日本の現状を厳しく批判した。

 同教授は「国民の選択肢が、他国の提供者をあてにするか、死を待つかの2つしかないという状況は許されない」とした。

 また、15歳未満の子どもは脳死での臓器提供ができない日本の臓器移植法について「子どもには小さい心臓が必要で、これは脳死の子どもからの提供でなければ不可能だ」と指摘。「日本が現状を変える決意をすることを強く要望する」と述べた。(共同)」(U.S.FrontLine(更新2007年11月23日 16:37米国東部時間))」



このように、国際移植学会次期理事長であるシドニー大のジェレミー・チャプマン教授の発言は、今後、一層、外国人に対する移植制限がなされることを示唆したものといえますから、海外での臓器移植さえも困難になっていくと予想されます(「病気腎移植は学会と現場にギャップ~田辺功 (著)『ドキュメント医療危機』より」(2008/01/04 [Fri] 05:45:31)も参照)。「海外につけを回す」ことさえできなくなるのです。あまりにも待たせすぎていますが、早く臓器移植法の審議・改正を行うべきです。

ただし、現状において、臓器提供者の提供意思を生かせる態勢は十分ではなく、法改正したとしても臓器提供者が増加するとは思えません(「臓器移植法施行から10年~法改正の審議も必要だが、提供意思を生かせる態勢は?」(2007/10/20 [Sat] 16:54:52)参照)。臓器提供者の提供意思を生かせる態勢を整えることは、法改正がなくても今までできたことです。ですが、行政・国会側は、このような全体的な移植医療体制を整えることをほとんどしてきませんでした。

臓器移植問題について、行政や国会側は、あまりにも多くの怠慢に満ちています。臓器移植法改正の審議を行うまでもなく、直ちに全体的な移植医療体制を整えることを行うべきなのです。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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