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2008/02/21 [Thu] 23:25:36 » E d i t
全国21の不妊治療施設でつくる日本生殖補助医療標準化機関(JISART)は20日までに、第三者からの提供卵子による体外受精を実施する方針を固めました。卵子提供に関する明確な規制はないため、独自の指針をつくり、それに基づいて進め、3月1日の理事会で正式決定します。



1.まず、報道記事を幾つか。

(1) 読売新聞平成20年2月20日付朝刊1面

提供卵子による体外受精、不妊治療の団体 実施へ…独自に指針

 全国21の不妊治療施設で作る「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」は19日、友人や姉妹から提供された卵子を使う体外受精を独自のルールに基づいて進める方針を固めた。すでに同機関の倫理委員会で承認されている2例をまず実施し、その後も独自の指針を策定して実施していく。3月1日の理事会で正式決定する。

 卵子提供による不妊治療は、卵巣を失ったり機能が低下した女性でも妊娠が可能になるため、海外でも米国を中心に広く行われており、多数の日本人が海外で卵子の提供を受けている。国内では、長野県の根津八紘医師が110例以上の実施を公表しているが、法整備の遅れなどもあって、一般的にはなっていない。

 同機関は昨年6月、日本産科婦人科学会や厚生労働省に対し、卵子提供による不妊治療の実施を承認するよう申し入れた。これに対し同学会は、生殖補助医療のルール作りを昨年から検討している日本学術会議の結論が出るまでは実施を見送るよう要請し、同機関もそれを了承した。

 ところが、学術会議の検討は代理出産の是非が中心で、それより希望患者数が多い卵子提供についてはほとんど審議されなかった。19日に提示された報告書案にも盛り込まれなかったため、「『ノー』というサインはない」(高橋克彦理事長)と独自に実施する方針を固めた。2例は、いずれも卵子提供以外に妊娠の可能性がない夫婦。それぞれ子を持つ友人と姉妹から卵子提供を受ける。

 JISARTの方針について、同学会の星合昊(ひろし)倫理委員長は「第三者の卵子提供を明確に禁止しているわけではない」とし、「体外受精は夫婦間に限る」とする会告の違反には当たらないとの見解を示している。


[解説]ルール作り早急に必要

 JISARTが、独自の基準で妻以外の卵子を使った体外受精を進める方針を固めたのは、不妊患者の要望があるなかで、国や学会によるルール作りをこれ以上待てないという意思表示だ。

 卵子提供については、厚生労働省生殖補助医療部会が2003年、匿名の第三者に限り卵子提供を認める報告書をまとめた。それから4年以上たつが、法制化に至っていない。日本学術会議の検討委でも、委員の吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長らから卵子提供の是非を審議するよう再三の要望があったが、結局ほとんど審議されなかった。

 議論を呼びそうなのは、JISARTが実施を検討しているケースは姉妹や友人からの卵子提供で、厚労省報告書が認めた匿名の第三者ではない点だ。だが、JISARTは「無報酬で匿名の提供者を探すのは非現実的」(高橋克彦理事長)と判断し、独自の基準で進める方針だ。

 生殖補助医療技術は日進月歩だ。国や学会の動きが鈍ければ、患者の求めに応じて医療側が見切り発車し、社会が混乱する可能性も高まる。規制のあり方を早急に検討し、迅速に実行していくことが必要だ。(科学部 木村達矢)

(2008年2月20日 読売新聞)」




(2) 東京新聞平成20年2月20日付夕刊10面

提供卵子の体外受精実施へ 不妊治療で独自指針 民間団体

 全国21の不妊治療施設でつくる日本生殖補助医療標準化機関(JISART)は20日までに、第三者からの提供卵子による体外受精を実施する方針を固めた。卵子提供に関する明確な規制はないため、独自の指針をつくり、それに基づいて進める。3月1日の理事会で正式決定する。

 卵子提供については厚生労働省の部会が2003年、心理的圧迫や家族関係の複雑化を避けるため、匿名の第三者に限って容認する見解を出しているが、法律や指針などのルール化には至っていない。

 JISARTは昨年、友人姉妹の卵子を使う2件の体外受精を倫理委員会で承認し、日本産科婦人科学会などに実施を申請。同学会から、生殖補助医療について審議中の日本学術会議の結論を待つよう求められていた。

 しかし、同会議の検討は代理出産が中心で、卵子提供についてはほとんど審議されず、ほぼまとまった報告書にも盛り込まれなかった。このため、まず倫理委が承認した2件について実施し、その後は同委の審議内容を踏まえて作成する指針に沿って行うとしている。」




2.「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)が第三者からの提供卵子を認めてほしいと要請していることについては、「友人・姉妹間の卵子提供肯定へ~不妊治療団体倫理委が容認」(2007/04/30 [Mon] 23:29:54)で、一度触れています。


(1) 「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)は、待っていたのです。不妊治療は、一般的に時間が経過すればするほど成功率が下がることから焦りを感じてたはずなのに。

「同機関は昨年6月、日本産科婦人科学会や厚生労働省に対し、卵子提供による不妊治療の実施を承認するよう申し入れた。これに対し同学会は、生殖補助医療のルール作りを昨年から検討している日本学術会議の結論が出るまでは実施を見送るよう要請し、同機関もそれを了承した。

 ところが、学術会議の検討は代理出産の是非が中心で、それより希望患者数が多い卵子提供についてはほとんど審議されなかった。19日に提示された報告書案にも盛り込まれなかったため、「『ノー』というサインはない」(高橋克彦理事長)と独自に実施する方針を固めた。2例は、いずれも卵子提供以外に妊娠の可能性がない夫婦。それぞれ子を持つ友人と姉妹から卵子提供を受ける。(中略)

 日本学術会議の検討委でも、委員の吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長らから卵子提供の是非を審議するよう再三の要望があったが、結局ほとんど審議されなかった。」


法務省及び厚生労働省は、代理懐胎を中心に生殖補助医療をめぐる諸問題について審議を依頼しており、日本学術会議は、「代理懐胎が生殖補助医療として容認されるべきか否かなど、代理懐胎を中心に生殖補助医療をめぐる諸問題について、従来の議論を整理し、今後のあり方等について調査審議を行う。」はずでした「「生殖補助医療の在り方検討委員会」(日本学術会議)の今後の行方を予想」(2006/12/28 [Thu] 18:16:16)参照)。

しかし、審議要請に沿った審議は代理出産だけだったのですから、結局、日本学術会議は審議要請を果たさなかったのです。代理出産よりも「希望患者数が多い卵子提供」についてほとんど審議しなかったのも不思議でなりません。必要性のある事柄はまず優先的に審議するというのが物事の決まり事だからです。委員の吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長らも、「卵子提供の是非を審議するよう再三の要望」したというように、優先順位が分かっている委員もいたのに、代理出産ばかりだったのです。

日本産科婦人科学会や厚生労働省も、まさか日本学術会議ほどの組織が審議要請を怠るとは思わなかったはずです。だからこそ、「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)に対して日本学術会議の結論をまつよう要請したのです。しかし、結果として、日本産科婦人科学会や厚生労働省は、「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)に対して嘘をついたことになったのです。日本学術会議は(卵子提供に関して)審議もせず、結論も出さなかったのですから。

日本学術会議は審議要請を怠ったのですし、結果として、日本産科婦人科学会や厚生労働省は嘘をついたのですから、「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)が「19日に提示された報告書案にも盛り込まれなかったため、「『ノー』というサインはない」(高橋克彦理事長)と独自に実施する方針を固めた」としても、日本産科婦人科学会や厚生労働省は何も文句を言うことはできないのです。



(2) 読売新聞は、この問題に関する解説を次のような文章で結びとしています。

「生殖補助医療技術は日進月歩だ。国や学会の動きが鈍ければ、患者の求めに応じて医療側が見切り発車し、社会が混乱する可能性も高まる。規制のあり方を早急に検討し、迅速に実行していくことが必要だ。」


審議要請を怠った日本学術会議への皮肉でもあるのでしょう。1年間審議時間があり、その審議を待っている不妊治療団体がいたのに、審議を怠ったのですから、あまりにも「学会の動きが鈍」ったのです。

もちろん、国会も今のところ立法化する見込みはほとんどないのです。

「(日本学術会議の検討委員会の)報告書は審議会の答申ではなく、学術会議のあくまで提言。政府への拘束力はない。代理出産の議員立法を目指す与野党の超党派勉強会も活動は事実上の休止状態で、法制化には時間がかかることが予想される。

 代理出産の実施を公表している諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は法律で禁止されない限り、今後も代理出産を継続する意向を表明している。代理出産が認められている米国などへ渡航する夫婦もいる。実態は大きく変わらない可能性が高い。」(日経新聞平成20年2月19日付夕刊3面(4版)「代理出産、原則禁止で合意・学術会議が最終報告案 見直し余地残す」)


日本学術会議の検討委員会の委員でさえ、審議要請を怠るくらい切実感がないのです。これでは、立法化しない国会ばかりに責任を負わせるわけにはいかないのです。




3.第三者の卵子提供問題についても、今後も規制よりも現実先行で進んでいくものと思われます。

「同会議の検討は代理出産が中心で、卵子提供についてはほとんど審議されず、ほぼまとまった報告書にも盛り込まれなかった。このため、まず倫理委が承認した2件について実施し、その後は同委の審議内容を踏まえて作成する指針に沿って行うとしている。」(東京新聞)



ほとんどのヨーロッパ諸国では配偶子(精子及び卵子)の提供は認めており(ただし、ノルウェーでは卵子提供は禁止)、日常診療として確立しています(「海外における配偶子提供の現状~学術会議報告書素案が子の出自を知る権利や配偶子提供の是非につき沈黙したのはなぜか?」参照)。ですので、「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)は、ヨーロッパ諸国で実施している条件などを参照して独自の指針を作成するものと思われます。

「患者の求めに応じて医療側が見切り発車し、社会が混乱する可能性」(読売新聞)などと指摘されたとしても、学会も国も何もしない以上、「日本生殖補助医療標準化機関」(JISART)などが、独自の方針に基づいて、患者の利益のために生殖医療を実施していくしかないのです。医療は患者の利益のためにあるのですから。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
興味深く拝見しました。
日本学術会議の審議遅滞(あるいは拒否)は既成事実となりますから、今後の展開が楽しみです。

Y染色体云々が好きな保守陣営は、代理母より卵子提供の方が抵抗があるのではないかと思ったりするのですが、代理母の議論の方が優先したことがなかなか面白いです。抵抗があるからこそ無視を決め込んだつもりだったのかもしれませんが・・・。

少子化云々を言うなら、卵子はもちろんのこと精子の提供も代理母も全てOKにした方がいいと思うのですけれどもね。
2008/02/22 Fri 08:07:44
URL | 水葉 #SFo5/nok[ 編集 ]
>水葉さん:2008/02/22 Fri 08:07:44
お久しぶりです。コメントありがとうございます。
水葉さんの現在のブログ、このコメントで知りました(汗)。かなり遅すぎですね。今度からはそちらのブログにコメントすることもあると思います。


>日本学術会議の審議遅滞(あるいは拒否)は既成事実となりますから、今後の展開が楽しみ

まず、審議しなかった言い訳をぜひ聞いてみたいものです。未完成の報告書では、審議を依頼した国だけでなく、国会議員や審議結果を待っていた多くの団体も困ると分かっていたはずですから。

国からの要請に対して未完成で終わらせたくせに、2月19日の日本学術会議の検討委員会では、「生殖補助医療規制法(仮称)」の制定を求める最終報告書案を示したんですから、呆れました。「法律の名称だけ付けるなら子供でもできる。名前だけ立派で中身はスカスカでいいのか?」と。


>Y染色体云々が好きな保守陣営は、代理母より卵子提供の方が抵抗があるのではないかと思ったりするのですが

なるほどー、そうかもしれません。保守陣営の議論は、「Y染色体云々」などとトンデモな議論を言い出すことがあるので、その発想力には敬服しますが。


>代理母の議論の方が優先したことがなかなか面白い

代理母を認めたとしても、実際上、日本の地では代理出産を実施することは難しいのです。だから、なぜ代理母の議論ばかり優先したのか、しかも躍起になって否定しようとするのか、いまいちよく分かりません。


>卵子はもちろんのこと精子の提供も代理母も全てOKにした方がいいと思うのですけれどもね

同感です。そういえば、Y染色体云々が好きな保守陣営にとっては、世襲制を採用している天皇制を維持するためには、卵子提供と代理母はOKにした方がいいのですけどね(^^ゞ
2008/02/23 Sat 23:42:56
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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