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2008/02/17 [Sun] 17:46:38 » E d i t
病気腎(レストア腎)移植で診療報酬を不正請求したとして、厚生労働省が愛媛県の市立宇和島病院の保険医療機関指定を取り消す方針であるようです。しかし、それは、市立宇和島病院が、「四国西南地域の住民の命を守る病院であり、保険診療を受けられない影響は計り知れない」(産経新聞2008.2.14 22:22)という地域医療の現実を無視した判断であると分かっているはずであるのに(もし死者が出たら、厚労省は必ず責任をとって頂きたい)。


1.万波医師たちが病気腎(レストア腎)移植を行ったのは、日本では一次移植(生涯1回限りの移植)にとどまる患者が移植全体の96.1%を占め、二次移植はわずか3.78%であり、死体腎移植の平均待機期間は16.6年という絶望的な移植事情において、患者の命を救うために、単に捨てられてしまっていた腎臓を活用できないかということで行ったものです。

腎臓移植を待つ患者の平均待機期間は、例えばオーストラリアでは3~4年、イタリアでは2~3年ですから、世界各国は、日本ほど絶望的な移植事情ではありませんが、日本の(万波医師らを除く)移植医のように傍観して何もしないという愚かな態度はとっていません。世界的な臓器不足のなかで、各国は「健康な臓器」だけにこだわることなく移植臓器を増やすために多くの模索を行っているのです。

具体的にどのような模索を行っているかなどについて、日米伊の医師が集まって「第2回国際腎不全シンポジウム」において講演を行い、そのシンポジウムのために来日した医師らに対して、東京新聞はインタビューを行いました。そこで、そのインタビュー記事を紹介したいと思います。「第2回国際腎不全シンポジウム」に関する報道記事は、東京新聞が初めてのはずです。

シンポジウムに出席した医師の名前と講演内容については、「「第2回国際腎不全シンポジウム」、2月10日開催」(2008/02/12 [Tue] 23:56:10)をご覧ください。そちらを一読してから東京新聞の記事を読むと、より分かりやすいのではないかと思います。


東京新聞の紙面では、イタリア国立移植センターのアレサンドロ・ナンニ・コスタ所長の写真が掲載されていますので、ぜひ購入するなどしてご覧下さい。



 
2.東京新聞平成20年2月17日付朝刊24面「こちら特報部」

SOS臓器移植:病気腎移植 安全確保探る欧米  伊、リスク5段階評価指針

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師らの病気腎移植をめぐり、厚労省や愛媛社会保険事務局が同病院や万波医師らの処分を検討する中、先週、イタリアの移植医療の中枢を担う国立移植センター所長や米国でがんの病気腎移植をする医師らが講演のために来日した。世界的な臓器不足の中、各国はどのような手段を模索しているのか。(片山夏子)

 イタリア国立移植センター所長のナンニ・コスタ教授は「健康な臓器提供だけでは限界がある。高齢者のドナー(臓器提供者)の活用が進むほど、移植を受ける患者の病気のリスクも増える。イタリアでは、使える臓器の種類を増やしながら移植の安全性も確保しようと、どこまでが受け入れ可能な臓器かを評価するガイドラインが作られた」と説明する。

 ガイドラインは、感染症や免疫、腫瘍(しゅよう)の学者、外科医、コーディネーターなどの専門委員会が検討し、2003年に施行された。ドナーの病気や感染症によって移植患者が受けるリスクを5段階に分けて評価、病気腎など病気の臓器についても書かれている。「受け入れ不可能なリスク」にはエイズウイルス陽性のドナーなどが入る。がんなど腫瘍は種類や大きさ、状態で判断する。

 「高くても受け入れ可能なリスク」は、患者の状態から移植が緊急を要するときに適用される。コスタ氏は「患者が生きるための唯一の機会が移植で緊急のときは、感染症や腫瘍を罹患(りかん)する可能性が高い臓器でも許される。患者の受ける“リスクと便益”を、常に比べて判断すべきだ」と言う。

 03年9月―06年末に行われた約4300例の死体腎移植のうち、腫瘍性疾患のドナーが186例、感染症のドナーが728例だった。

 イタリアではすべてのドナーと患者を登録。ドナーの病歴のほか、移植前や手術中、移植後のさまざまな検査や診断データなど、あらゆる観点からチェックする。

 移植後にリスクが分かった場合は、患者に及ぶ危険がどの程度か検証。乳がんなど一部を除き、小さながんは再発や転移の可能性が極めて低いと分かったという。

 イタリアでは、がんや感染症のドナーの臓器について、セカンドオピニオンの専門調査会に意見を求めることができ、調査会は24時間体制で助言する。

 移植臓器を増やすため、救急病院などの集中治療室に臓器を調達する専門医も配置。提供の可能性があると、手続きに速やかに入ることで提供数を伸ばしてきた。

 来年以降は欧州連合(EU)の指針が出て、イタリア方式が欧州各国に広がりそうという。

 「感染症や腫瘍の罹患の可能性は常にあり、リスクがないということはあり得ない」とコスタ氏。「しかし、リスクをいかに小さくするかが課題だ。リスクを減らしながら臓器を増やしていく。それが私たちの進むべき方向です」

◆米国カリフォルニア大 待機者の登録制度検討へ

 カリフォルニア大のジェアード・ウィットソン医師らは昨年、小さながんの腎臓を修復し移植したことを論文で発表。病気腎移植を始める準備をしている。

 米国には、臓器提供を待っている通常の待機者リスト以外に、高血圧ドナーなどの臓器でも希望する待機者リストがあるが、カリフォルニア大は病気腎でも希望する待機者の欄をつくることを検討している。

 「システムには透明性が大切。臓器を摘出した人に対して、その臓器を提供してくれませんかと打診する、別のカウンセリングが必要だ。一方、移植を受ける患者には、リスクは極めて低いものの、がんが再発・転移する可能性もあると理解してもらう必要がある」と同大のマックスウエル・メング准教授。「臓器不足は深刻で、完全な臓器だけでは間に合わないのは、どの国も同じ。あの手この手で広げる可能性を模索している。がん以外の病気腎にも可能性を広げていきたい」」





3.この東京新聞の記事は、イタリアの臓器移植の事情が中心でした。幾つか点に触れていきます。

(1) まず、1点目。

「「感染症や腫瘍の罹患の可能性は常にあり、リスクがないということはあり得ない」とコスタ氏。「しかし、リスクをいかに小さくするかが課題だ。リスクを減らしながら臓器を増やしていく。それが私たちの進むべき方向です」 」


臓器移植は、死体からであろうと生体からの臓器移植であろうと、「感染症や腫瘍の罹患の可能性は常にあり、リスクがないということはあり得ない」のです。この基本的な考えが重要なのだと思います。

世界の移植医療では、このような基本的な考えが分かっているからこそ、リスクのある病気腎移植も認めて移植臓器として使用しているのであり、米国移植外科学会は、病気腎の使用可能性を広げた万波医師たちの論文を「革新的で素晴らしい」との高く評価して、表彰を行ったのです(「万波医師らによる病気腎移植(レストア腎移植)を、米移植外科学会が表彰~万波医師らの論文を上位10本の1つとして」参照)。


「感染症や腫瘍の罹患の可能性は常にあり、リスクがないということはあり得ない」という基本的な考えを踏まえつつ、「リスクをいかに小さくするかが課題」であり、「リスクを減らしながら臓器を増やしていく。それが私たちの進むべき方向です」と理解しているわけです。これが世界の移植医療の基本的な考えであり、臓器不足のなか移植臓器を増やす最も妥当で有効な手段であるのです。


なお、日本では死体腎移植の場合、臓器提供後の死体に対して病理診断を行っていないとのことですから(あるシンポジウムでの病理医の発言)、諸外国以上に「感染症や腫瘍の罹患の可能性」を抱えているといえそうです。

それなのに、病気腎移植は医学的妥当性はないとして否定しているのですから、不可思議でなりません。しかも、患者団体が何度も要望しても臓器移植法を改正することなく、臓器移植を増やす手立てをとろうとしません。日本移植学会もほとんど何もせず、患者を見殺しなのです。



(2) 2点目。

「ガイドラインは、感染症や免疫、腫瘍(しゅよう)の学者、外科医、コーディネーターなどの専門委員会が検討し、2003年に施行された。ドナーの病気や感染症によって移植患者が受けるリスクを5段階に分けて評価、病気腎など病気の臓器についても書かれている。「受け入れ不可能なリスク」にはエイズウイルス陽性のドナーなどが入る。がんなど腫瘍は種類や大きさ、状態で判断する。

 「高くても受け入れ可能なリスク」は、患者の状態から移植が緊急を要するときに適用される。コスタ氏は「患者が生きるための唯一の機会が移植で緊急のときは、感染症や腫瘍を罹患(りかん)する可能性が高い臓器でも許される。患者の受ける“リスクと便益”を、常に比べて判断すべきだ」と言う。(中略)

 移植後にリスクが分かった場合は、患者に及ぶ危険がどの程度か検証。乳がんなど一部を除き、小さながんは再発や転移の可能性が極めて低いと分かったという。

 イタリアでは、がんや感染症のドナーの臓器について、セカンドオピニオンの専門調査会に意見を求めることができ、調査会は24時間体制で助言する。

 移植臓器を増やすため、救急病院などの集中治療室に臓器を調達する専門医も配置。提供の可能性があると、手続きに速やかに入ることで提供数を伸ばしてきた。

 来年以降は欧州連合(EU)の指針が出て、イタリア方式が欧州各国に広がりそうという。」


イタリアでは、「小さながんは再発や転移の可能性が極めて低い」ことから、「高くても受け入れ可能なリスク」のある病気臓器移植を認めていることが分かります。このような基本的な意識を前提として、どうやってリスクを減らそうとするのか、イタリアではその方法が確立しており、そのため、「来年以降は欧州連合(EU)の指針が出て、イタリア方式が欧州各国に広が」る予定なのです。

注目すべき点は、見出しで、「伊、リスク5段階評価指針」と出ているように、どうやって「リスクを減らしつつ、臓器の使用範囲を広げるか」です。

「イタリアでは、がんや感染症のドナーの臓器について、セカンドオピニオンの専門調査会に意見を求めることができ、調査会は24時間体制で助言」するといったように、常に専門調査会にも責任を負わせることで、リスクを減らす努力を徹底しているわけです。

そのうえで、「イタリアでは、使える臓器の種類を増やしながら移植の安全性も確保しようと、どこまでが受け入れ可能な臓器かを評価するガイドラインが作られ」、「ドナーの病気や感染症によって移植患者が受けるリスクを5段階に分けて評価」し、「『高くても受け入れ可能なリスク』は、患者の状態から移植が緊急を要するときに適用され」るとしているのです。これは、どんな臓器でもすべてのレシピエントに対して画一的に移植するのではなく、「リスクを5段階評価」することでもわかるように、臓器の状態とレシピエントの状態に応じて、移植するわけです。

米国でも、「臓器提供を待っている通常の待機者リスト以外に、高血圧ドナーなどの臓器でも希望する待機者リストがある」こと、腎臓がんのレストア腎移植を行っているオーストラリアでも、「移植するのは60歳以上に限定し、糖尿病で合併症があるなど病状が悪い透析患者に限っている」(「がんの病気腎移植、世界で試み~ニコル教授に聞く(東京新聞1月27日「こちら特報部」) 」)ことから分かるように、イタリア方式は世界の移植医療では共通理解となっているといえます。

万波医師たちは、病気腎移植につき、世界共通の方法論を採用していたのですが、なぜか愛媛新聞など日本の一部の報道機関は、移植の公平性に欠けるとして非難しました。

愛媛新聞は、病気腎移植について難癖のような非難を延々と繰り広げましたが、そんなことをすれば、市立宇和島病院と宇和島徳洲会病院が保険医療機関指定を取り消されてしまい、結果として、地域一体の多数の住民に多大な財産的損害を与え、精神的苦痛を与え、多数の命が失われることは分かっていたはずです。地元紙(愛媛新聞)が地元の多数の住民の首を絞めるという極めて愚かしい行動をしたのです。日本の移植事情や日本の報道機関は、不思議なことばかりです。



<追記>

エントリーの内容とするのも空しいので、追記として日本移植学会の動向も記しておきます。日本移植学会は、ほとんど何もせずに患者を見殺しなのですが、以下で引用するように、最近、弁解程度の行動をしています。

「今国会で臓器移植法改正を」 関連学会が再度確認

 日本移植学会、日本救急医学会など25学会・団体でつくる臓器移植関連学会協議会(小柳仁代表世話人)は16日、都内で会合を開き、今国会での臓器移植法改正を目指す意向をあらためて確認した。

 改正案は3案提出されており、年齢にかかわらず拒否の意思表示がなければ家族の同意で脳死からの臓器提供が可能となる「A案」の成立に「全力を尽くす」(寺岡慧移植学会理事長)としている。

 現行法は、脳死での臓器提供に本人の書面による意思表示が必要な点など要件が厳しく、1997年の施行後、脳死移植は65例にとどまる。」(東京新聞平成20年2月17日付朝刊26面)


関係者以外誰にも聞かれる場でない内輪だけで、意思確認をしただけで、何の意味があるのでしょうか? ときどき、「今国会で臓器移植法改正を」という空しい表明をするばかり。だいたい、臓器移植法を改正したとしても、多くの病院側が脳死移植に消極的であって、臓器提供者の提供意思を生かせる態勢は十分ではなく、法改正したとしても臓器提供者が増加しないのです(「臓器移植法施行から10年~法改正の審議も必要だが、提供意思を生かせる態勢は?」(2007/10/20 [Sat] 16:54:52)参照)。

こんな状態では、25学会・団体でつくる臓器移植関連学会協議会の「意思確認」なぞ、ほとんど報道しないのは当然の結果です。東京新聞がごく小さく報道するだけなのです……。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
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2008/02/18 Mon 00:16:10
| #[ 編集 ]
春霞様

東京新聞のこちら特報部の記事、いつもありがとうございます。こちらでは見れないのでありがたいです。

アメリカやイタリアでは、いかにして移植する臓器を増やそうかと賢明に模索している。移植にはリスクのあることを前提に、透析で死亡するかレストア腎移植でがんが転移して死亡するかリスクを比較検討し、リスクの少ない方を選択する。至極合理的な考え方だと思います。

そしてがんの転移は極めて可能性が少ないことがイタリアの調査等では判明しているとのこと。
それでも日本では、何もしようとしない、患者がリスクを承知でのレストア腎移植の希望さえ叶えようとしない、誠に残念なことです。
その上に、万波医師を事実上廃業に追い込もうとしている。移植を待つ多くの腎不全患者や私ども移植をした患者家族を全く無視した暴挙だと思います。

2008/02/18 Mon 00:32:17
URL | hiroyuki #-[ 編集 ]
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2008/02/18 Mon 07:58:43
| #[ 編集 ]
>hiroyukiさん:2008/02/18 Mon 00:32:17
コメントありがとうございます。


>東京新聞のこちら特報部の記事、いつもありがとうございます

東京新聞さんは、こうしてずっと移植問題について記事にしてくださるので大変ありがたいことだと思っています。


>万波医師を事実上廃業に追い込もうとしている。移植を待つ多くの腎不全患者や私ども移植をした患者家族を全く無視した暴挙だと思います

同感です。万波医師を頼みにしている患者は全国にいるのですし、2病院の保険医療機関指定の取消しは地域住民一体への病気治療が不安になってしまうなど、最も被害を受けるのは住民です。多数の住民を困らせてどうするのだろうか、と思います。
2008/02/20 Wed 07:09:19
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ
2008/02/18 Mon 00:16:10のコメントの方と2008/02/18 Mon 07:58:43のコメントの方へ、合わせてお返事します。

コメントありがとうございます。ともかくはお疲れ様でした。
2008/02/20 Wed 07:15:35
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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2008/02/17(日) 18:15:57 | ξ?
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