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2008/02/12 [Tue] 23:56:10 » E d i t
米国やイタリアで腎臓移植に携わる医師や日本での病腎移植の検証に携わった病理医らにより、平成20年2月10日(日曜)、「第2回国際腎不全シンポジウム」が東京(グランドプリンスホテル赤坂 別館/5階/ロイヤルホール)で開かれました。このシンポジウムは万波誠医師を支援する患者団体である、「移植への理解を求める会」が主催したものです。




1.では、「第2回国際腎不全シンポジウム」のプログラムを。

「12:30
●開会の挨拶
向田陽二「移植への理解を求める会」代表

12:40
1.「日本のレストア腎移植42例」~全米移植外科学会での発表~
藤田士朗・フロリダ大学助教授

13:10
2.「レストア腎移植が可能となった歴史的考察」
堤寛・藤田保健衛生大学教授

13:40
3.「通常医療としての担がん腎修復移植49例」
デビッド・ニコル氏(クイーンズランド大学教授)

14:10
4.「担がん腎の修復移植の症例」
ウィットソン医師およびマックスウェル・メング准教授
(米国カリフォルニア大サンフランシスコ校)

14:40
5.「イタリアにおける臓器ドナーの適合性の保証に関する基準」
アレサンドロ・ナンニ・コスタ教授
(イタリア国立移植センター所長)

15:10
6.「臓器ドナーの国際的な危機」
ジェレミー・チャップマン・国際移植学会理事長

15:40
7.パネルディスカッション~「ハイリスクドナーの臓器活用について」
講演者全員出席

*6.の講演は急用のため中止
*座席の増設のため30分近く遅れて開始」




2.シンポジウムには何度も参加しているため、何度か見かけた顔の方が――一方的にですが――多数でした。参加者多数であったために座席が足りなくなり、座席の増設を行ったのですが、立って聞く方がかなり生じてしまいました。

講演者のお話によると、シンポジウム開催前に報道機関による取材があったようです。また、講演会の様子を録画していた報道機関(例えばTBS)もいましたが、今現在(2月10~12日の時点)、シンポジウムの開催につき、どこの報道機関も報道していないようです。

藤田先生が全米移植外科学会での発表の内容を紹介するなど、有意義な内容であったのに、なぜ報道しないのかよく分かりません。報道されることを期待しつつ、講演内容を少しだけ紹介しておくことにします。


(1) 藤田士朗・フロリダ大学准教授による「日本のレストア腎移植42例」という講演は、全米移植外科学会での発表内容を詳しく説明したものでした。

多くの腎不全患者がおり、多くの人が色々な理由で腎臓を摘出されている現状からすれば、その摘出された腎臓を使うことができるのではないか? ということで、病気腎移植は「治療の新機軸」となりうるものではないか、という提案をした発表内容でした。


講演の中で、「他人に移植して機能するのならば、どうして本人に残してあげられないのか?(自家移植、部分切除は行われないのか?)」「倫理的に許されるのか?(倫理委員会、IC、レシピエントへの注意方法は?)」という点について触れていました。こういった説明は報道機関向けでもあるのでしょうが、いまだにこんな基本的な点について説明しなければならないほど、(報道機関には)病気腎移植への理解がないのでしょう。

前者については、<1>自家移植、部分切除を行うと手術時間が長くなるため(5~6時間)、身体的な負担となること、<2>腎臓移植を行う患者は通常高齢者が多く、他の疾患も抱えていることを考えると、合併症などを考えるとできるだけ、手術時間は短い方がよいことなどから、自家移植、部分切除が少なくなるわけです。

後者については、万波医師にとっては、病変を切除して自家移植していたことを、他人に移植しただけのことなので、病気腎移植も通常の移植医療という認識であり、病気腎移植を開始した1991年当時、多くの病院で倫理委員会があまりなく、十分機能しているものではないのです。


藤田士朗・フロリダ大学准教授が特に強調なされていたことが2点ありました。

手術承諾書についてはドナー・レシピエント双方のサインがあったので、手術につき何らの文書がなかったわけではないということです。(ですから、手術につきインフォームドコンセントに関する文書がなかったわけではないと評価できるわけです。)

そして、注目すべきことは腎臓の部分切除手術を行ってきた割合です。万波医師の場合、(人並みはずれた手術数をこなしていながら)部分切除は90%であるのに対して、他の医療機関は部分切除は20%程度なのです。(ですから、「万波医師が移植したいために腎臓の全部摘出を行っている」という卑屈な邪推は、およそ見当はずれなのです。)


(2) アレサンドロ・ナンニ・コスタ教授 による「イタリアにおける臓器ドナーの適合性の保証に関する基準」 という講演は、イタリアにおける移植に関するリスク管理について説明するものでした。

原点は、“欧州連合における臓器提供および移植の安全性と質”に関する会議(2003年9月17・18日)であり、絶対的に安全な移植というものはなく、現在の知見・科学に照らして判断するしかなく、5人の異なる分野の専門医がどんなケースでも検査することにより、リスクが大幅に減ったということでした。リスクを最小限にするシステムを如何に構築するかが大事であるわけです。

アレサンドロ・ナンニ・コスタ教授は、シンポジウム前の記者会見を聞いていてかなり心配をなされていました。どうやらどこかの報道機関が、病腎移植の危険性を執拗に聞いていたようで、「移植の際に可能性のあるリスクを報道すること自体はよいとしても、それを実際の可能性よりも大きく取り上げているのではないか(絶対に安全な移植はないことに反し、移植医療の現実に反する)」と。




3.このように、レストア腎(病気腎)移植は、世界で有用性が認められ、推進されつつある状況であるのです。

(1) しかし、厚労省の態度はまるで異なります。

厚労省は監査の結果、病気腎移植は省令で原則禁止されている特殊療法にあたり、「保険適用対象外」と判断して、厚生労働省は、病気腎移植などに絡んで不正な保険請求を行ったとして、万波医師の保険医登録のほか、宇和島徳洲会病院と万波医師の前任地の同市立宇和島病院の保険医療機関指定をいずれも取り消そうとしています(読売新聞:関西発「万波氏 保険医取り消し」(2008年02月12日))。事前に、病気腎移植は「省令で原則禁止されている特殊療法」だという明示がなかったのに、事後的な評価で遡及的に「保険医療機関指定取り消し」という重大な行政処分を加えようとするのですから、妥当な処分といえるか疑問です。



(2) 厚労省が行った最近の行政処分も実に不合理なものでした。

「保険医療機関の行政処分をめぐっては、診療報酬の不正請求が明るみに出た藤枝市立総合病院(静岡県)が昨年10月、1カ月間の指定取り消しとなり、療養費委任払いが適用されている。」(asahi.com「病気腎移植の市立宇和島病院、保険医取り消しへ 厚労省」(2008年02月11日19時17分))


この行政処分がなされた事例は、asahi.comでは全く書かれていませんでしたが、混合診療に関するものでした。主に首都圏の基幹医療機関に設置しているフリーマガジンである「ロハス・メディカル(2008年2月号)」から一部引用しておきます。

 「昨年10月に静岡県の藤枝市立総合病院が保健医療機関の指定を取り消されました。医療界では、ちょっとしたニュースでした。

 保険医療機関でなくなるということは、かかった医療費を患者さんが全額負担しなければならないということです。保険が利けば多くても3割負担で済む……のですから大違いです。そして、そんな所を選ぶ患者さんは稀(まれ)なので、医療機関は潰(つぶ)れます。

 今回は1ヶ月後すぐに、問題とされた歯科口腔(こうくう)外科を除いて再指定され、藤枝市立総合病院は潰れませんでした。けれど、10月の収入は例年に比べ5億円も減ったそうです。指定取り消しの理由は、うっかり「混合診療」したから。これだけ見ると、「混合診療」は相当悪いことのようです。

 ところが、11月になって東京地裁で「混合診療禁止には法的根拠がない」という判決が出ます。すかさず、政府の規制改革会議が12月にまとめた第2次答申で、「混合診療」の全面解禁を重点項目に盛り込もうと厚生労働省と折衝しました。

 と、ここ数ヶ月に起きたことを並べましたが、何が何だか分からないと思います。」(「混合診療ってどうなの?」ロハス・メディカル(2008年2月号)20頁)



ここまで読めば、「混合診療」を行うことは、保健医療機関の指定を取り消すほどではなかったと誰もがわかると思います。東京地裁で「混合診療禁止」について訴訟になっていたことが分かっており、「混合診療禁止には法的根拠がない」という判決まで出ていることや、政府の規制改革会議の答申からすれば、明らかでしょう。

病腎移植は、万波医師らが行う以前から、日本の医療機関でも行われてきたこと、米国移植外科学会は、今回応募された約120の演題のうち、万波医師らの病気腎移植の論文を上位10本の1つに選出して表彰を行うほど、高く評価するものであるのに、相変わらず否定的です(「万波医師らによる病気腎移植(レストア腎移植)を、米移植外科学会が表彰~万波医師らの論文を上位10本の1つとして」)。

万波医師の保険医登録のほか、宇和島徳洲会病院と万波医師の前任地の同市立宇和島病院の保険医療機関指定をいずれも取り消されることで一番困るのは、地域一体の住民であり、万波医師に頼ってきた全国の患者です。

万波医師らは患者の利益のために移植医療を行い、現実に利益になったのにもかかわらず、厚労省は、妥当でないとして、多くの患者の命を奪う結果をもたらしかねないほどの不利益を与えようとしているのです。宇和島徳洲会病院市立宇和島病院は、愛媛県南部唯一の救命救急センターが併設された中核病院であるのですから、救急では助からないといっているのと同然です。厚労省は、相変わらず、国民の健康・命を害することをも厭わないようです。

万波医師の保険医登録のほか、宇和島徳洲会病院と万波医師の前任地の同市立宇和島病院の保険医療機関指定をいずれも取り消すことについて、強く抗議します。世界が病気腎移植を高く評価して注目している中、そんなことをして世界に恥をさらすことは止めるべきです。



<2月14日追記>

腎臓移植を待つ患者の平均待機期間について。

「シンポジウム」の講演内容によると、日本の場合は、16.6年、オーストラリアでは3~4年、イタリアでは2~3年だそうです。オーストラリアやイタリアの状況は、日本の市民からすると夢のような待機期間ですが、オーストラリアやイタリアは日本よりもずっとドナーを増やす努力をしています。日本はなぜ努力をしないのか、努力をした万波医師や市立宇和島病院病院・宇和島徳洲会病院の保険医療指定を取り消そうとするのか、不思議でなりません。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
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2008/02/13 Wed 00:51:06
| #[ 編集 ]
春霞様
「第2回国際腎不全シンポジウム」のご報告ありがとうございました。
その中でも、
藤田先生の講演での>万波医師の場合、(人並みはずれた手術数をこなしていながら)部分切除は90%であるのに対して、他の医療機関は部分切除は20%程度なのです。(ですから、「万波医師が移植したいために腎臓の全部摘出を行っている」という卑屈な邪推は、およそ見当はずれなのです。)

は初めて知りましたが、これだけを見ても今までの批判はほんとに見当はずれなのですね。市立病院等の調査・専門委員会などのいい加減な見解は目に余るものがあります。

しかしながら、そんないい加減、恣意的な専門・調査委員会や学会の見解発表を根拠に、万波先生や2病院の保険医指定が取り消されるのがほぼ確実との報道です。
産経、読売等も本日報道しましたね。

報道によればとうとう最悪の結果になるかもしれません。たまったものではありません。
未だに信じがたいことです。昨日から脱力感であまり申し上げることもできませんので、本日はここで失礼したいと思います。
ありがとうございました。
2008/02/13 Wed 00:51:13
URL | hiroyuki #-[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ:2008/02/13 Wed 00:51:06
以前から愛読していただきありがとうございます。

ご指摘ありがとうございます。直ちに訂正しました。感謝します。
今後とも間違いがありましたら、遠慮なくお願いします。できる限り正しい情報を提供していきたいですから。
2008/02/13 Wed 01:35:15
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>hiroyukiさん:2008/02/13 Wed 00:51:13
コメントとTBありがとうございます。


>部分切除は90%であるのに対して、他の医療機関は部分切除は20%程度

もちろん、私も始めた知った事実です。部分切除を積極的に行っている病院はまだ少ないのに、万波先生は、ここまで熱心に腎臓を残そうとしているのです。この事実からしても、万波先生の腕は極めて優れているといえますね。


>これだけを見ても今までの批判はほんとに見当はずれ

本当にそう思います。
「国際腎不全シンポジウム」などのシンポジウムに参加すると、多くのことが知ることができて大変ありがたいです。


>報道によればとうとう最悪の結果になるかもしれません

そうなりそうですね……。しかし、2病院の保険医療機関指定で、最も困るのがその病院に頼って命を預けている地域一帯の住民です。厚労省の態度は実に非人間的です。
2008/02/15 Fri 00:09:32
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
藤田先生の情報をトラックバックしました。
審査請求の対象になりますかね?

法律に背いた違法なことは、していないことは、確かです。
故に民事、刑事で罰することは、不可能ですが、行政の許認可権の濫用に当たると思いますので、行政不服審査請求の対象になると思われます。
行政も、もし両病院が騙そうとして不正請求をしていたのならば詐欺罪で両病院を告訴するはずですが、そうしないところを見ると前記の処分と齟齬を生じておりますから、勝てると思いますが、ただ原告は、宇和島徳州会病院と宇和島市民病院になりますが、市民病院の方は、官営でありますから、行政を訴えることは、ないのでしょう。
問題は宇和島徳州会病院の方ですが、私は医療関係者じゃないのでよくわからないのですが、不正というより行政が拡大解釈する拡小解釈するかで、細かいところまでほじくれば全国どこの病院でも不正請求が出てくると思うのです。
だから徳州会病院が行政不服審査請求すると他のグループ病院までいじめられる可能性大です。
それは、やはり戦術的には、好ましくないような気がしますので、世論を盛り上げて正攻法で挑んでいくしか方法はないんじゃないでしょうか。

今いちばん危惧されるのは、海外で移植した人は、臓器移植法に抵触すると言いがかりをつけて国内の診察も保険適用外にしていることです。
もし、いまの行政のこのような横暴を許せば、病腎移植そのものを否定して移植された患者さんの診療で供される免疫抑制剤の処方などにも保険適用外などとやりかねないかとも思います。
杞憂に終わることを切に願うばかりです。

2008/02/16 Sat 14:23:41
URL | ほっちゃれ #17ClnxRY[ 編集 ]
>ほっちゃれさん:2008/02/16 Sat 14:23:41
コメントありがとうございます。

>問題は宇和島徳州会病院の方ですが、私は医療関係者じゃないのでよくわからないのですが、不正というより行政が拡大解釈する拡小解釈するかで、細かいところまでほじくれば全国どこの病院でも不正請求が出てくると思うのです。

ほっちゃれさんの推測は当たっているようです。「救急科専門医の独り言」さんは「宇和島で保険指定医療機関の取り消しか?」というエントリーで、次のように述べています。

「保険診療として認められていないものを、保険診療で認められた治療をしたと偽って(という表現も不適切ではあると思いますが、お役所側からすればそういう表現になると思います)保険請求すると言う事は、全国的に黙認されている事です。保険診療で認められた治療と言うのは、最新の治療とはズレが生じますし、一般的な教科書に載っている手術名が保険診療で認められた手術として載っていない事も多いです。そういう場合には、近い手術名で請求すると言うのはどこでもやっている事でしょう。病腎移植を普通の腎移植として請求する事は、同じような手技(であると思います)なので全く問題ないと思いますが、、、、  もし、そういう事で不正請求であると考えるのであれば、国民に説明して欲しいです。」
http://blog.so-net.ne.jp/kekimura/2008-02-13


>行政不服審査請求の対象になると思われます
>徳州会病院が行政不服審査請求すると他のグループ病院までいじめられる可能性大です。
>それは、やはり戦術的には、好ましくないような気がしますので、世論を盛り上げて正攻法で挑んでいくしか方法はないんじゃないでしょうか。

審査請求の対象になるでしょうし、徳州会グループもいじめに負けるほどヤワではないとは思います。ただし、仰るとおり、保険医療機関指定の取り消しによって多数の住民が被害を被ることを訴えて、世論を喚起することがまず大事だと思います。


>今いちばん危惧されるのは、海外で移植した人は、臓器移植法に抵触すると言いがかりをつけて国内の診察も保険適用外にしていることです

その点も大変心配に思っています。国側がドナーを増やす努力をしないから、海外で移植せざるを得ないのに。厚労省の役人はどうかしているとしか思えません。
2008/02/18 Mon 22:11:11
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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誠に残念なことですが、市立宇和島病院、宇和島徳洲会病院、万波先生らへの保険医取り消しの方針を厚生労働省が固めているとのニュースが報じられました。 朝日新聞2月11日 病気腎移植の市立宇和島病院、保険医取り消しへ 厚労省 End of Headline http://www.asahi.com/n...
2008/02/13(水) 00:31:09 | 万波誠医師を支援します
フロリダ大学 准教授の藤田先生の日記を転載します。 医師専門の掲示板にも、載せましたが、厚生労働省のいう「万波先生らが診療報酬の不法請求を行った。」としたことに関しては、意義があります。 実は、この移植が始まった当時から、それぞれの病院の事務方で...
2008/02/16(土) 14:20:05 | 地獄への道は善意で舗装されている
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