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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2008/02/13 [Wed] 23:59:38 » E d i t
犬や猫など動物を飼っていて心配になることは、飼い主側が病気になったり、死んでしまったりして、飼っていた動物の世話ができなくなった場合、動物の世話を誰にしてもらうか、ということです。一昔の日本とは異なり、今では20歳近くまで生きている犬や猫も多くなりましたから、もし老齢になってから動物を飼った場合、死後の世話を誰がするのかとても心配になります。

もし自分に子供がいて世話をしてもらえる余裕があれば大丈夫でしょうし、少ないですが動物保護団体に預かってもらえる場合もあります。そういう手段ができなければ、動物たちは自治体に引き取られ、殺処分となってしまいます。長く家族同然に暮らしていたペットが殺処分となることだけは絶対に避けたいことです。では、どうしたらよいでしょうか? その点について、読売新聞平成20年2月9日付で記事を掲載していましたので、紹介したいと思います。



1.読売新聞平成20年2月9日付夕刊1面

私が死んだらペット心配…  遺言相談相次ぐ 「世話」条件に遺産 1500万円の例も

 愛するペットが困らないように、遺言を残しておきたい。遺言書作成のアドバイスを行う行政書士に、そんな相談が相次いで寄せられている。

 民法上、ペットに直接遺産を残すことはできないため、ペットの世話をしてくれることを条件に、家族以外の人に遺産を贈るという内容の遺言書を作るケースも出てきた。少子高齢化で独り暮らしのペット愛好者も増える中、ペットへの“遺産相続”の問題に関心が高まりそうだ。

 「人によっては、ペットは家族以上の存在。遺言への関心も非常に高い」

 東京都台東区の行政書士、伊藤浩さん(46)のもとに、「ペットに遺産は残せるか」という相談が初めて寄せられたのは5年前。以来、約50件の相談があった。

 民法上、ペットは「物」で、相続人にはなれないため、遺産を相続させることはできないが、伊藤さんは「負担付き遺贈という方法なら、事実上、ペットのために遺産を残すことはできる」と説明している。「負担付き遺贈」は本来、「親の面倒を見る条件で遺産を残す」「農業を継ぐ代わりに土地を与える」といった遺言の仕方だが、これをペットに応用した形だ。

 この方法で、これまで3人が実際に遺言書を作成した。1人は70歳代の女性で、愛犬のために残す遺産は1500万円。贈り先は気心の知れた近所の友人だ。夫に先立たれ、独り暮らしになった女性は「これで肩の荷が下りました。私にもしものことがあっても、大丈夫ですね」と、ほっとした表情を見せたという。

 ほかの2人も高齢者で、ペットの世話を条件に300万~500万円の遺産を贈るという遺言書を作った。トラブルが起きないよう、遺言書は自筆ではなく公正証書にし、エサの回数や散歩の頻度など世話の内容を具体的に定めた「覚書」を、遺産を贈る相手と交わした。伊藤さんは「独り暮らしの高齢者がペットと暮らすケースは増えているが、飼い主が突然亡くなれば、最悪の場合、処分される可能性もある。遺言書を作っておくことは、飼い主の安心のためにも、ペットのためにも有効」と話す。

 相談者は高齢者に限らない。インターネット上でペットに関する相談を受け付けている熊本市の行政書士事務所には、30歳代の独身女性2人から遺言書を起案してほしいという依頼があった。うち1人は十数頭の犬を飼っており、同僚など数人に数頭ずつ世話を託した遺言書を作ったという。

◆安易な依頼は禁物 

 ただ、遺産相続を巡る問題だけに、トラブルも予想される。弁護士でペットに関する法律問題に詳しい吉田真澄・帯広畜産大教授によると、〈1〉遺産だけ受け取って世話をしない〈2〉法定相続人などから異議が出る〈3〉世話を頼んだ人にペットがなつかない――など、様々な問題が生じる可能性があるという。

 対策の一つは、遺言内容を実行に移す権限をあらかじめ与える「遺言執行者」を指定しておくこと。約束を守らない場合や、世話の内容があまりにもひどい場合、この遺言執行者が、遺産を贈るのを取り消すことができる。

 とは言え「世話」の定義はあいまいだ。吉田教授は「ニーズが高まっているのは確かだが、安易な遺言書の作成は禁物。本当に世話ができる人なのかを事前にきちんとチェックするとともに、病気や緊急時の対応も含め、世話の内容をこと細かに決めておく必要がある」と話している。

(2008年2月9日15時06分 読売新聞)」

(*ネットでの見出しは「愛するペット困らぬように…行政書士に遺言相談が続々」だが、紙面の見出しに変更)




2.読売新聞の記事は、飼い主の死後、ペットの世話を頼む方法を1つ紹介し、その方法を担保する手段を書いています。

読売新聞は1方法の紹介にとどまっていますが、飼い主の死後、ペットの世話を頼む方法として、3つの方法があるようです。すなわち、「負担付遺贈」、「負担付死因贈与」、「信託による方法」です(渋谷寛・佐藤光子・杉村亜紀子『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会、平成19年)215頁)。以下、この3つの方法について紹介していきます。全体として、『Q&A ペットのトラブル110番』を参照しています。詳しくはそちらをご覧ください(「 」の部分はそのままの引用です)。


(1) 負担付遺贈による方法
この方法による場合、「飼い主が遺言書で、ペットの世話をお願いしたい人に対し、ペットの世話をすることを条件にペットとその他の財産を渡す旨を記載すること」で行うことになります。

この方法には問題点があります。

「ただ、遺産相続を巡る問題だけに、トラブルも予想される。弁護士でペットに関する法律問題に詳しい吉田真澄・帯広畜産大教授によると、〈1〉遺産だけ受け取って世話をしない〈2〉法定相続人などから異議が出る〈3〉世話を頼んだ人にペットがなつかない――など、様々な問題が生じる可能性があるという。」(読売新聞)



その対策として次の点を挙げています。

「対策の一つは、遺言内容を実行に移す権限をあらかじめ与える「遺言執行者」を指定しておくこと。約束を守らない場合や、世話の内容があまりにもひどい場合、この遺言執行者が、遺産を贈るのを取り消すことができる。」(読売新聞)


遺言書は自筆ではなく公正証書(民法969条)にしておき、遺言内容を執行する遺言執行者を指定しておくこと(民法1006条)が安全であるといえそうです。



(2) 負担付死因贈与による方法
この方法による場合、「あなたが死んだら、あなたの財産とペットを、ペットの世話をしてくれる人に贈与する、という契約をすること」になります。

遺贈は一方的行為でできるのですが、贈与という契約ですので、あらかじめペットの世話をしてくれる人と贈与契約をしておく必要があります。その契約の中で、ペットの世話について細かく取り決めをすることになります。

しかし、負担付遺贈による方法、負担付死因贈与による方法も、100%大丈夫というわけではありません。世話を頼むはずの人がペットよりも先に亡くなってしまうこともあるでしょうし、世話をしていた人の事情が変わってペットの世話ができなくなることもあるからです。

そのため、「信頼できる人を探す、候補者として数名お願いしておくなどの工夫が必要」であるといえそうです。



(3) 信託による方法
今後、有効な方法になりそうなのが、信託の利用です。

「平成18年に成立した新しい信託法の成立(平成19年9月30日施行)により、「自分のペットの飼育」を目的とする信託を行うことができるようになりました。

 信託とは、財産(金銭、有価証券、不動産など)の所有者(委託者)が、信頼できる相手(受託者)に、一定の目的に従って、その財産の管理や処分を任せる契約です。新しい信託法により、「目的信託」といって、委託者(財産の所有者)が財産の大まかな活用方法を決めておき、運用した財産を誰に渡すかは受託者に任せるしくみがつくられました。したがって、飼主が委託者として、「ペットの飼育」を目的とする信託を行えば、受託者は、目的に合うように資産を運用して、ペットを飼育するために必要な者を受け取り手と決め、財産を渡すことが、制度上は可能になりました。

 なお、平成16年の信託業法の改正により、信託業務は、信託銀行のほかに、株式会社が行えるようになっています。」(渋谷寛・佐藤光子・杉村亜紀子『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会、平成19年)217頁)


信託業務は株式会社もできるようになったことからすると、今後、「ペットの飼育」を目的とする信託を行う株式会社が出てくるかと思います。ペットの飼育もすることなしに金銭を巻き上げるような株式会社だけの会社との区別を見極める必要はあるとしても、負担付遺贈による方法や負担付死因贈与による方法よりは、制度上、安定した世話が担保されているといえそうです。


ただし、どんなに財産があったとしてもいずれの方法も実際にペットを世話をする人がいるわけです。実際にペットの世話をする人が虐待などをすることなく、ペットを大切にしてくれるかどうかが肝心なことです。きちんと世話をする人物かどうかは、いくら財産を積んだとしても保障されるわけではありません。結局は見極めが必要なようです。


このエントリーで紹介・引用した「渋谷寛・佐藤光子・杉村亜紀子『Q&A ペットのトラブル110番』(民事法研究会、平成19年)」は、ペットを巡る様々な法律問題について、最も新しくて詳しいものです。ぜひ購入するなどしてご覧ください。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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