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2008/02/07 [Thu] 00:15:41 » E d i t
東京で2月2日開幕する日教組の「教育研究全国集会」で、全体集会会場となっていたグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が一方的に契約を破棄、裁判所の仮処分に反し施設使用を拒んでいる問題で、日教組は2月1日、全体集会の開催を中止することを決定し、実際に中止され、4日閉会しました。1951年に始まった教研集会の歴史で全体集会が中止に追い込まれたのは初めて、とのことです。


この事件においては、プリンスホテル側が妥当でないことは明らかであり、新聞メディアばかりでなく、行政側もプリンスホテルを名指し同然で非難する見解を表明しています。

日教組の教研集会が閉会 文科次官も「司法尊重を」

 グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)の会場使用拒否で、初めて全体集会の開催が中止に追い込まれるという異例の事態となった日教組の教育研究全国集会が3日間の日程を終えて4日、閉会した。

 日教組は閉会に当たりアピール文を発表。「憲法で保障された集会の自由にかかわる重要な問題」と指摘した上で「憲法の理想を実現するため、学校現場からの教育改革を目指す」と強調した。

 文部科学省の銭谷真美事務次官も同日の定例会見で「会場の理由で全体集会を中止せざるを得なかったのは残念。一般論として、法治国家である以上、司法決定は尊重されるべきだ」と述べた。

 今回の教研集会では、全体集会の会場となっていたプリンスホテルが一方的に契約を破棄、施設使用を命じる裁判所の仮処分決定の後も使用を拒否したため、都内各会場で教育格差や学力問題などを討議する分科会のみが開かれた。

2008/02/04 18:37 【共同通信】


裁判所は、具体的な紛争について法を適用して裁定する作用を有しているのですから、裁判所が裁定した以上、訴訟当事者及び他の国家機関は、その司法判断を尊重しなければなりません。

文部科学省の銭谷真美事務次官が「法治国家である以上、司法決定は尊重されるべき」と述べて(明示していなくても名指ししているに等しい形で)プリンスホテルを非難していますが、法律論及び法治国家下における国家の姿勢として至極当然のことを述べたわけです。



1.まず、事実関係について詳しい報道記事などを幾つか。

(1) 東京新聞平成20年2月2日付朝刊1面

日教組 全体集会を中止 プリンスホテル 高裁の使用命令拒否
2008年2月2日 朝刊

 二日から東京で始まる「教育研究全国集会(教研集会)」の全体集会について日教組は一日、開催中止を決めた。会場となっていたグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が一方的に契約を解除、東京高裁が使用を命じる決定をしたにもかかわらず、従わないため。教研集会は一九五一年から開かれているが、五十七回の歴史で初めて全体集会が開けない異例の事態となった。 

 教研集会は日教組に所属する教員が、日ごろの教育実践などについて発表し、意見交換をする。日教組側は昨年五月、約二千人が参加する全体集会の会場として、同ホテルと「飛天の間」の使用について契約した。しかし、十一月になってホテル側が、右翼団体による抗議活動の可能性などを理由に契約を一方的に解除した。

 日教組の申し立てに基づき東京地裁は会場の使用を認め、東京高裁も先月三十日、ホテル側の抗告を棄却した。

 日教組は、契約上は使用開始となるはずだった一日午前にあらためて使用できるようホテルに要請。だがホテル側の姿勢は変わらず、予約していた会場は既に他の団体に貸し出されていたことも分かり、全体集会の開催を断念したという。

 集会は四日まで。二日午後から各教科や「生活指導」「教育格差」などのテーマに分かれて行う分科会は、予定通り都内の複数の会場で実施される。

 教研集会では過去にも、日本武道館や東京体育館などの使用をめぐり裁判となったが、集会の中止に追い込まれたことはなかった。

 プリンスホテルの話 集会が実施された場合、大規模な抗議行動により周辺地域が多大な騒音にさらされることが予想され、周辺に迷惑をかける。裁判所の決定は、極めて短時間に、十分な審理のないままなされたもので大変残念だ。」




(2) 毎日新聞平成20年2月2日付朝刊

日教組会場問題:教研・全体集会を中止、史上初 ホテル、拒否崩さず

 日本教職員組合(日教組)は1日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で2日から予定していた「教育研究全国集会」(教研集会)の全体集会の中止を発表した。右翼団体の妨害を理由にホテルが開催を拒否したため。教研集会は1951年に始まり、全国各地で毎年1回開催されているが、全体集会の中止は初めて。

 全体集会で民間ホテルの会場使用を予定したのも初めてだが、ホテル側が昨年、契約解除通知してきたことから、日教組側が仮処分を申し立てており、東京高裁が会場使用を認めた判断をしている。集会の約30ある分科会は、ほかの十数カ所の施設で4日まで予定通り開く。

 日教組によると、昨年3月、イベント会社を通じて会場使用を申し込み、妨害行動が予想されることも説明。5月にホテルと契約したが、11月に契約解除通知が届いた。日教組は契約解除の無効を求めて東京地裁に仮処分を申請。東京地裁は使用を認め、東京高裁も先月30日「ホテルが警察と十分な打ち合わせをすれば混乱は防止できる」とホテル側の抗告を棄却した。

 日教組は1日、再度、ホテル側に使用を求めたが、「既にほかの予約が入っている」と拒否された。全体集会は2000人規模で、格差を断ち切る教育を求める基調報告などを行う予定だった。

 記者会見で森越康雄委員長は「ホテルは企業の論理を司法より優先させた。悔しい」と述べた。近くホテルに損害賠償を求め提訴する意向を示した。

 ホテルは「客の安全安心をモットーとしており、150台もの街宣車が来る集会は開けない。裁判所の判断は重大だと受け止めているが、契約解約は有効で法令違反と思わない」と話している。

 日教組によると、これまで4回、会場側の使用拒否で裁判になったが、いずれも日教組の言い分が認められ、中止になったことはなかった。【山本紀子】

 ◇社会おかしい兆候--奥平康弘・東京大学名誉教授(憲法学)の話

 戦後「集会の自由」と言いながら「開催場所の確保」が課題となってきたが、公的施設であれ私的施設であれ、徐々に市民の側の権利が守られるべきだという考え方が確立してきた。今回、会場使用を認める裁判所の判断があるにもかかわらず、ホテル側が「公的秩序」を前面に出した対応をするのは、社会がおかしくなってきた兆候だ。

毎日新聞 2008年2月2日 東京朝刊」




(3) 日教組のHPの「ニュース・最新の情報」より引用

ホテル側の司法判断無視に抗議 第57次教育研究全国集会全体集会中止の抗議声明

 日教組は2月2日(土)から4日(月)の3日間、東京で第57次教育研究全国集会を開催するため諸準備を進めてきました。
 昨年の3月には全体集会会場としてグランドプリンスホテル新高輪に会場使用を申し込み、予約金を払うなどして10月末まで打ち合わせ等を進めてきました。しかし、11月はじめに突如、会場予約を白紙に戻すとの通告が一方的にされました。
 日教組はグランドプリンスホテル新高輪が契約の一方的破棄をするのか承服できないため撤回を求めて、12月4日に東京地方裁判所に対し「仮処分命令申し立て」を行いました。
 そして、東京地裁(07年12月26日、08年1月16日)、東京高裁(08年1月30日)で3度の司法判断でも日教組の主張が認められています。
 日教組は契約どおり会場を使用させるよう最後まで話し合いをしましたが、ホテル側は司法判断を無視して「契約解除は撤回しない」との回答に終始しました。
 こうした経過の中で、準備の時間を考え、2月1日に日教組中央執行委員会として、「全体集会」中止の決断をせざるを得なくなりました。
 2日午後からの分科会討議は予定どおり開催します。」





2.事実関係について最も詳しいものは、読売新聞平成20年2月3日付朝刊3面「スキャナー」欄でした。プリンスホテルの悪質さが伺えるかと思います。図表などを除いて引用しておきます。

ホテル、日教組の使用拒否 街宣恐れ 司法も無視

 日本教職員組合(日教組)の教研集会(教育研究全国集会)をめぐって、全体集会の会場予約を取り消した「グランドプリンスホテル新高輪」(東京都港区)に批判が集まっている。会場を貸すよう命じた裁判所の決定に対し、右翼の街宣などを理由に従わなかった判断は、同様の街宣活動に悩む企業にも影響を与えかねない。なぜ司法の判断の重みや、社会正義が通じないのか。(社会部 村井正美、渡辺光彦)

◆高裁判断「混乱の防止は可能」

 教研集会の分科会が都内各地に分散して始まった2日、全体集会に予定されていた同ホテルの宴会場「飛天」では、夕方から「賀詞交換会」という名の会合が開かれた。出席者たちに尋ねると、「プリンスホテルの取引先」などと名乗ったが、どんな会合か、ホテルの広報担当者は「答えられない」と言うだけだった。

 日教組では、教研集会の全体集会に例年2000~3000人が集まるため、会場の選定を開催約1年前から始めている。

 昨年3月に同ホテルに使用を申し込んだ際には、右翼団体の街宣活動の対象になっていることなどを説明。5月の契約後も、妨害を避けるために予約名は匿名とし、情報が漏れないようホテル側に要請した。

 同ホテルが契約解除を通告したのは、5か月以上たった11月12日。12月6日には他の予約を入れており、それが「賀詞交換会」だったとみられる。

 「契約から解除までの間に何があったのか」

 日教組の中村譲書記長は今でも首をひねる。

 同ホテルは契約の解除の理由をこう説明していた。

 「右翼団体の街宣車や大規模警備で、ホテルの客に迷惑がかかる恐れがある」

 日教組が、東京地裁に契約解除の無効を求める仮処分を申請すると、同ホテルは「申し込みの際に、街宣車や警備の具体的な説明がなかった」とも主張。昨年秋、前回開催地の大分県別府市に社員を派遣するなどして初めて実態を把握したとの説明まで加えた。

 しかし東京地裁は今年1月16日、東京高裁も同30日、会場を使わせるべきだとする決定を出した。

 地裁はその中で、街宣活動は予想できたとして「開催が困難なら予約の段階で判断するべきで、5か月以上もたった後に解約する理由にならない」と指摘。高裁も、客や周辺の迷惑になるとするホテル側の主張に、「警察などと打ち合わせれば混乱を防止できる」という趣旨の判断を示した。

 それでも同ホテルは会場の貸し出しを拒否。ホテルを経営するプリンスホテル(豊島区)名で「当社は『お客さまの安全・安心』を第一に掲げており、当社の姿勢はそれに沿ったもの」などとするコメントを出しただけで、記者会見も開いていない。

 これに対し、日教組は損害賠償を求めるほか、他の法的措置も検討している。

 プリンスホテルを傘下に持つ「西武ホールディングス」の社長は銀行員時代、総会屋などとの決別を進めたことで知られる。そうしたトップを頂くホテルとして問題ではないか。同ホールディングスの広報担当者にも尋ねると、再び「お客さまの安全、安心……」という答えが返ってきた。


◆法順守の意識欠く

 「株主オンブズマン」代表の森岡孝二・関西大教授(企業社会論)の話 「司法の判断に従わないホテル側は、法令順守の意識が欠けていると言わざるを得ない。街宣車が押し寄せて客に迷惑がかかることを理由にしているが、世間ではホテル側がおびえたためと受けとめられる。こうした行為が、反社会的勢力を助長させる。集会の自由は民主主義の根幹なのに、あしき前例にもなりかねない」

◆本来の役割を放棄

 奥平康弘・東京大学名誉教授(憲法学)の話 「集会の自由は、開催場所が確保できて初めて成り立つという認識が戦後、長い時間をかけて定着した。ホテルは使用拒否の理由に、街宣による混乱を挙げているようだが、会場提供という本来の役割を放棄している。司法の判断より、自社の営業判断を優先させる企業が出てくることも懸念される。集会場を持つ地方自治体にも悪影響を及ぼしかねない」




会場確保、年々困難に

 教研集会の会場探しは、街宣活動の影響で年々困難になっており、裁判に持ち込んで使用にこぎつけたケースが過去に4回ある。日教組もトラブルを避けるため、例年は開催の2週間前まで会場の公表は控えている。

 こうした街宣活動を、なぜ阻止できないのか。

 最近の右翼団体は北朝鮮や北方領土問題を中心に街宣活動をしているが、日教組の教研集会にも毎年300~400人が100台以上の街宣車で集まる。

 警視庁は今回、教研集会が都内で開催された1991年と2001年を参考に約1000人態勢の警備を計画。今月は「北方領土の日」や「建国記念日」などで、右翼団体の活動が分散するという事情もあり、「大きな混乱は考えにくい」(警備部)としていた。

 ただ、憲法が結社や言論の自由を保障する以上、右翼団体の活動を禁じることも不可能。警察当局は、過激な街宣を封じるため、道路の通行止めなどの実力措置のほか、街宣車に道交法違反の整備不良を適用するなどしているが、警備を厳重にすれば渋滞を起こすなどのマイナス面もある。

 「今の右翼団体には取り締まりを逃れるための知恵も蓄積されており、阻止しなくてはと思っても、手が出せないケースもある」と警視庁幹部は語る。

 一方、全体集会が中止に追い込まれたことについて右翼側の反応は様々。「我々の考えは街宣でしか日教組に伝えられないので、中止は本意でない」とする関係者もいるが、別の団体関係者は、「日教組がやってきたことを考えれば中止は当然」と言い切った。

(2008年2月3日 読売新聞)」((2008年2月3日 読売新聞)




社会的責任、自覚を

 「国家の品格」や「女性の品格」といった本が売れているが、今回のケースでは、「企業の品格」とは何かを考えさせられた。

 宴会場の使用を拒否したホテルは「お客さまに迷惑がかかる」ことなどを理由にあげているが、一度は予約を受け付けた日教組は、お客さまではなかったのだろうか。ホテルの経営陣には、法治国家の下、経済活動をする企業として最低限守らなくてはならない社会的責任をもう一度考えて欲しいと思う。(村井)」



<教研集会>
 全国の教職員が年1回、教育活動の成果を発表し、討論する。第1回は1951年11月に栃木・日光で開かれた。全体集会では記念講演などが行われ、今回は教育改革に詳しい広田照幸・日大教授が講演を予定していた。」





3.これらの報道記事及び日教組のHPからすると、契約時から東京高裁で仮処分の判断を示すまでの間には次のような事実があったと判断できます。

(1) 事実の概要を網羅するとともに( )内において簡単な推測を入れておきました。これらの事実からすると、プリンスホテルによる契約の解除は無効と判断するのが自然でしょう。

<1>日教組では、教研集会の全体集会に例年2000~3000人が集まるため、会場の選定を開催約1年前から始めている。(参加人数が多いこと及び右翼団体の妨害があるため、会場の選定には時間がかかると判断できる)

<2>日教組によると、昨年3月、イベント会社を通じて会場使用を申し込み、約2000人が参加する全体集会の会場として、プリンスホテル新高輪と「飛天の間」の使用について契約を締結した。

<3>昨年3月にプリンスホテルに使用を申し込んだ際には、右翼団体の街宣活動の対象になっていることなどを説明していた。5月の契約後も、妨害を避けるために予約名は匿名とし、情報が漏れないようホテル側に要請した。(これらの事情からすると、日教組がプリンスホテルに対して隠していた事情があったという判断はできない)

<4>予約金を払うなどして10月末まで打ち合わせ等を進めていた。しかし、プリンスホテルは、契約時から6ヶ月ほどたった11月12日に、突如として会場予約を白紙に戻すとして一方的に契約の解除の通告を行った。(会場の選定には時間がかかることは明白なのに、11月になってからの一方的な解約では集会の中止は確実だといえる)

<5>日教組はグランドプリンスホテル新高輪が契約の一方的破棄をするのか承服できないため撤回を求めて、12月4日に東京地方裁判所に対し「仮処分命令申し立て」を行った。そして、東京地裁(07年12月26日、08年1月16日)、東京高裁(08年1月30日)で3度の司法判断でも日教組の主張を妥当と判断した。

<6>プリンスホテルが契約を解除を通告したのは11月12日であり、12月6日には他の予約を入れていた。日教組は12月4日に東京地方裁判所に対し「仮処分命令申し立て」を行ったので、プリンスホテルは、裁判の係争中に、裁判で敗訴しても事実上会場使用をできなくするために、わざと他の予約を入れたことになる。(4日仮処分申立に対して、6日には別の予約を入れたという荒業を行ったのだから、プリンスホテルの行動は、最初から司法判断に従う気がないのが明らかであり、仮処分の効力を無にするという極めて悪意に満ちたものである)

<7>2月2日、全体集会に予定されていた同ホテルの宴会場「飛天」では、夕方から「賀詞交換会」という名の会合が開かれた。出席者たちに尋ねると、「プリンスホテルの取引先」などと名乗ったが、どんな会合か、ホテルの広報担当者は「答えられない」と言うだけだった。(プリンスホテルは、最初から裁判所の判断に従う気がなかったため、プリンスホテルの関係者をわら人形に仕立てて予約をいわば「偽装」したといえる)

<8>プリンスホテルは契約の解除の理由を 「右翼団体の街宣車や大規模警備で、ホテルの客に迷惑がかかる恐れがある」と説明している。しかし、3月の会場使用申し入れの段階から右翼団体からの妨害があることは分かっていたはずであり、10月まで打ち合わせをしていたのだから、「契約から解除までの間に何があったのか」と日教組の中村譲書記長は今でも首をひねる。(日教組がプリンスホテルの会場を使用することを聞きつけた右翼団体が、「西武ホールディングス」の幹部に対して中止の申し入れを行い、幹部の意向で契約の解除をしたと推測できる。素早くプリンスホテルの関係者をわら人形に仕立てて予約を入れるという、荒業ができることからも推測可能。)

<9>東京地裁はその中で、街宣活動は予想できたとして「開催が困難なら予約の段階で判断するべきで、5か月以上もたった後に解約する理由にならない」と指摘。高裁も、客や周辺の迷惑になるとするホテル側の主張に、「警視庁などが警備を了解しており、街宣車が取り囲む事態は想定し難い」との判断を示した。(公共施設を使う集会について、最高裁はこれまで「正当な理由がない限り利用を拒んではならない」「不当な差別的扱いをしてはならない」との判断を示している(泉佐野市市民会館事件である最高裁平成7年3月7日判決、上尾市福祉会館事件である最高裁平成8円3月15日判決)。また、蛇の目ミシン株主代表訴訟事件である最高裁平成18年4月10日判決は、取締役に対して恐喝されても警察に届けるなど適切な対応をする義務を認め、旧経営陣の過失を認定している。東京地裁や東京高裁は、これらの判例にそった判断であり、妥当性がある)

<10>日教組は契約どおり会場を使用させるよう最後まで話し合いをしたが、プリンスホテルは司法判断を無視して「契約解除は撤回しない」との回答に終始した。




(2) 契約解除の有効性に関して、プリンスホテル側の言い分にも言及しておきます。

  イ:プリンスホテルは、契約解除の時期は遅くなかったと主張しています。

「当社が昨年開催時の実態を確認したのは11 月初めでありました。そしてすぐに契約の解除を申し入れいたしました。ただし、契約の解除は開催予定日の約3ヶ月前であります。主催者側には他の会場を探す時間もあったのではないでしょうか。」(プリンスホテルによる2月5日発表のコメント)



日教組は、参加人数が多いこと及び右翼団体の妨害があるため、約1年前から会場の選定を行い、しかも「妨害を避けるために予約名は匿名とし、情報が漏れないようホテル側に要請」しているくらいなのです。11月12日に解除の通告、開催予定日は2月2日ですから、2ヶ月半ほどしか探す余裕がないのですから、あまりに直前になってからの解除の通告です。こんな短期間では、主催者には「他の会場を探す時間」はありません。

しかも、裁判係争中であり、東京地裁(07年12月26日、08年1月16日)で日教組側が勝訴という判断が出ている以上、法治国家の下では司法判断を遵守するものなのですから、日教組は他の会場を探すはずがありません。

このようなことから、プリンスホテルは「主催者側には他の会場を探す時間もあった」とか、「当社といたしましても集会自体が中止になるという事態は真に遺憾であったと考えております」などとうそぶいていますが、その主張は明らかに妥当性を欠いていると考えます。
 

  ロ:プリンスホテルは、集会が実施された場合、周辺に迷惑がかかり、他の利用客に迷惑がかかるとして解除が有効と主張しています。

「当該集会がグランドプリンスホテル新高輪で実施された場合、大規模な抗議行動により周辺地域が多大な騒音にさらされ騒然となり、また1,000 名を越える警察当局による道路封鎖や通行規制等の大規模警備が行われることが予想されます。当ホテルは多数の住宅、学校、病院等に囲まれた環境にあり、実施予定日には多数の学校での入学試験も予定されており、周辺地域の皆さまに多大なご迷惑をおかけすることになります。また、ホテルには婚礼、宴会、レストラン、宿泊の他の多くのお客さまがいらっしゃいます。これらのお客さまに安全に安心してホテルをご利用いただくこともできなくなります。」



昨年3月にプリンスホテルに使用を申し込んだ際には、右翼団体の街宣活動の対象になっていることなどを説明していました。5月の契約後も、妨害を避けるために予約名は匿名とし、情報が漏れないようホテル側に要請していたのです。さらには、10月末まで打ち合わせ等を進めていたのです。

これらの事情からすると、周辺に迷惑がかかり、他の利用客に迷惑がかかる可能性があることは当初から解除に至るまでずっと明白であったのです。東京地裁は、街宣活動は予想できたとして「開催が困難なら予約の段階で判断するべきで、5か月以上もたった後に解約する理由にならない」と指摘していますが、その判断は極めて妥当です。

また、東京都には、「拡声機による暴騒音の規制に関する条例」があり、警察には騒音を抑える武器があるのですし、従来から東京都で行っている警察による取締りが十分に可能であることは、誰もがよく知っている事実でしょう。だからこそ、東京高裁も、客や周辺の迷惑になるとするホテル側の主張に、「警視庁などが警備を了解しており、街宣車が取り囲む事態は想定し難い」と非難して否定しているのです。何よりも問題視すべきなのは、暴騒音を出して多数人に迷惑をかけている街宣車を繰り出す右翼団体であって、日教組の側ではないのです。

このようなことから、プリンスホテルは、集会が実施された場合、周辺に迷惑がかかり、他の利用客に迷惑がかかるとして解除が有効と主張していますが、その主張は妥当性を欠いていると考えます。


  ロ:プリンスホテルは、日教組側が説明不足だったから解除は有効と主張しています。

「そもそも予約を受けつけたことが問題の発端ではないかというご批判は甘んじてお受けいたします。ただし、このときの先方のご説明は、「前回の大分での開催時は、街宣車は来たが警察の警備によって問題なく実施している」と実態と大きく異なるものでした。このときに正しい説明を受けていればこのような事態にはならなかったと思っております。」



  ハで述べたように、日教組がプリンスホテルに対して隠していた事情があったという判断はできません。また、日教組の全体集会に関しては、どれほどの規模の右翼団体が押しかけるかは、一般人であれば通常知りうる公知の事実です。ですから、「正しい説明を受けていればこのような事態にはならなかった」という言い訳は、あまりにも子供じみています。

このようなことから、プリンスホテルは、日教組側が説明不足だったから解除は有効と主張していますが、その主張は妥当性を欠いていると考えます。



(3) 今回の事件においては、プリンスホテル行動に関して多くの問題がありますが、最大の問題点は「司法判断の無視」の点と、プリンスホテルによる「契約の拘束力の軽視」の姿勢という点です。

日教組は、妨害行動が予想されることも説明して、ホテル側と会場を使用する契約を締結した以上、一方的に契約の解除を主張することはできません(裁判所が契約は有効としているとおり、ホテルには正当な理由もなく解除した)。グランドプリンスホテルにとっての契約とは、何時でも一方的に破棄できるものなのですから、契約の拘束力は皆無に等しいとしか思えません。

しかも、昨年5月に締結していたのに11月12日に解除したのですから、開催予定日(2月2日)にあまりに近くなってから一方的に契約の解除を申し出たものであって、2ヶ月半ほどで会場を探すことは困難なので、日教組は集会の中止に追い込まれるのは確実です。予定日が迫っている以上、せめてプリンスホテルが代替会場を提供すればよかったのですが、「解除から時間があるのだから、日教組が代替会場を探さない方が悪い」という意識なのです。これでは、契約を締結した相手方が被る不利益に配慮する意識にも欠けています

資本主義国であろうとと社会主義国であろうと、契約を遵守する意識に欠けているようでは、社会経済が成り立っていきません日本社会が社会として成り立たなくなることも厭わず、契約の拘束力を無視し、契約を遵守しない点が最大の問題です。一般人の方がプリンスホテルの対応について、どれほど賛成した方がいたのかは不明ですが、法曹など法律関係者は、プリンスホテルを全く信用しなくなったことは確かなことです。



続きは、「プリンスホテルによる日教組会場使用拒否・司法判断無視事件(下)」で論じます。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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2008/02/08(金) 09:38:40 | かめ?
以下の呼びかけを転載します。 呼びかけ文 「裁判所の決定まで無視したグランドプリンスホテル新高輪に対する要請への賛同を呼びかけます」         2008.2.3   発起人  非戦つうしん主宰  毛 利 正 道 東京品川のグランドプリンスホテル...
2008/02/08(金) 14:58:10 | JCJ機関紙部ブログ
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