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2008/01/27 [Sun] 21:49:14 » E d i t
国際シンポジウム「日本とオーストラリアの病腎移植」が、1月20日東京で開催されたことについては、「国際シンポジウム「日本とオーストラリアの病腎移植」が開催」で紹介し内容について幾ら触れています。そのシンポジウムのために来日したオーストラリア・クイーンズランド大のデビッド・ニコル教授(47)へのインタビュー記事が東京新聞に掲載されましたので、紹介したいと思います。

紙面では、デビッド・ニコル教授とコーディネーターのゲイル・フローロフさんの写真(1月20日撮影)も掲載されています。図書館などで東京新聞の記事をぜひご覧ください。

1月29日追記日テレNEWS24<1/27 20:19>での報道を追記として引用した。シンポジウムの内容は、「国際シンポジウム「日本とオーストラリアの病腎移植」」(徳洲新聞No.606[2008(平成20)年2月4日]))もご覧ください)



1.東京新聞平成20年1月27日付朝刊28面「こちら特報部」

がんの病気腎移植 世界で試み  万波医師と共同研究へ 豪ニコル教授 「再発率は低いと思う」

 日本では「現時点では医学的妥当性が無い」として原則禁止となった病気腎移植。だが今、世界各地から、がんの病気腎移植の試みを報告する論文が出始めている。今後の動向などについて先日、講演のために来日したオーストラリア・クイーンズランド大のデビッド・ニコル教授(47)に聞いた。(片山夏子)

 ニコル氏は1996年から、クイーンズランド州立プリンセス・アレクサンドラ病院で小さながんを取り除いた腎臓を60歳以上の患者に移植してきた。その実績は死体腎からの5例を含む計49例に上り、昨年は15例を行った。

 「今後は年間15例のペースで行いたい。昨年論文をまとめたが、米国からも報告が出るなど動きが出てきている。一般的にがんに対する抵抗感は強いが、透析患者の死亡率とがんの再発率を比べて、冷静に病気腎移植について考えるべきだと思う」

 拒絶反応による摘出例は今のところない。一例は移植から9年後に小さながんが発見されたが、「場所が離れていることなどから、ドナー(臓器提供者)由来のがんの再発や転移ではないとみている」。がんが小さいことと、患者が高齢なことから経過を観察している。

 移植するのは60歳以上に限定し、糖尿病で合併症があるなど病状が悪い透析患者に限っている。

 「オーストラリアで60歳以上の透析患者の死亡率は約25%で、3センチ以下のがんの再発率は3―4%。移植を待っている間に患者が亡くなる現状を考えると、(日本で問題になったように)ドナーや患者への十分な説明や手続きの透明性は必要だが、これまで捨てていた腎臓を使うことは有効な手段のように思う」

 ニコル氏は昨年、論文をまとめて英国の医学雑誌に受理されたが、米国からも報告が出されたという。

 海外のほかの症例や研究はどのような状況なのか。

 米カリフォルニア大のジェアード・ホイットソン教授は、22歳男性から摘出した腎臓から2センチのがんを除去し、62歳の糖尿病で末期腎疾患の男性に移植したことを発表。「新しい臓器の利用価値は十分にある」とし、患者の登録制度を検討するとしている。

 米ピッツバーグ大のエマヌエラ・タイオーリ教授らは、2002―04年にイタリア国内での約8200例の臓器移植を研究。がんやがんのリスクのあるドナーから移植した場合、ドナー由来のがんが再発や転移する可能性は、極めて低いことを報告している。

 ニコル氏は「移植患者は免疫抑制剤を使っているので一般的にがんの発症率を高い。日本でも指摘されたようだが、オーストラリアでも当初はドナー由来のがんの再発が懸念されたが、症例を重ねるについて受け入れられてきた。移植でドナーと違う免疫系に入るため、ドナー由来のがんの再発率はむしろ低くなると考えている」と説明する。

 宇和島徳州会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らは27日朝(現地時間26日午後)、米フロリダ州のマルコ島で行われている米国移植外科学会の冬季シンポジウムで病気腎移植の症例や成果を発表する。

 ニコル氏はシンポジウムに合わせて訪米し、病気腎移植を検討するフロリダ大学で講演する。「世界的な臓器不足の中で関心が高い。がんへの抵抗感は根強いので広がるか分からないが、検証を重ねたい」

 今後は、がんの病気腎移植について万波医師らと論文をまとめる予定で、5月の米国移植外科学会に共同で演題を提出した。また、8月にシドニーで行われる国際移植学会に向けて、各国からの病気腎移植に関する報告を集めている。

 ニコル氏は「病気腎移植は症例が少ない。国際的にできるだけ多くの症例を集めてデータを一本化したい」と話した。」






2.幾つかの点に触れていきます。

(1) 記事中のニコル教授の発言は、いくらか講演会で述べたことと重なっています。

「「オーストラリアで60歳以上の透析患者の死亡率は約25%で、3センチ以下のがんの再発率は3―4%。移植を待っている間に患者が亡くなる現状を考えると、(日本で問題になったように)ドナーや患者への十分な説明や手続きの透明性は必要だが、これまで捨てていた腎臓を使うことは有効な手段のように思う」 」



この当たりの発言は講演会で述べたこと同じ趣旨であり、リスク(危険)とベネフィット(便益)を秤にかけてみれば、リストア腎移植を認める方がベネフィット(便益)が大きいというものであって、ほぼ重なっています。移植を受けないでいるリスク(60歳以上の透析患者の死亡率は約25%)及びレストア腎(病気腎)移植を受けたリスク(3センチ以下のがんの再発率は3―4%)と、移植を受けることによるベネフィット(便益)を考えれば、オーストラリアでは特に有効です。

ところが、このような発言が愛媛新聞によると、次のような記事になっています。

「この十年間で病気腎移植四十四件を手掛けたクイーンズランド大(オーストラリア)のデビッド・ニコル教授は「移植には政府の認可を必要としない。大事なのはリスクなどに関するインフォームドコンセント(十分な説明と同意)」と指摘。「日本では病気腎の価値が理解されていないのではないか。文化的・倫理的な問題はあるが、啓発を進めていけば克服できる」と強調した。 」(植2008年01月21日(月)付 愛媛新聞「病気腎移植 理解訴え 東京でシンポ 海外の実施状況報告」


ニコル教授の発言の趣旨が変わってしまっていて、違和感を感じます(後半の発言は、演目での発言でなくシンポジウムでの発言だったような……?)。


講演会での内容については、「病腎移植、オーストラリアで41例~11年前から。しかも、すべてがん再発なし」(2007/06/17(日) 17:26:35)「病気腎移植現地(オーストラリア)ルポ~東京新聞7月23日付「こちら特報部」より」(2007/07/25(水) 06:18:30)「“ブリスベーンの風”移植先進地からの報告~産経新聞7月24・25・26日付より」(2007/07/27(金) 23:57:54)でのニコル教授の発言部分でもいくらか知ることができると思います。

これらの記事に、講演会で聞いた内容を少し追加しておきます。

オーストラリアでは診断制度が上ったこともあって、腎臓がん罹患者が増加しており、しかも、輸血や入院のリスクを考慮して部分摘出でなく全部摘出を希望する患者が多いそうです。また、オーストラリアでも腹腔鏡手術が増えていますが、それでも部分摘出はリスクが高いので、全部摘出を希望する患者が多いとのことでした。



(2) ニコル教授が講演会では話していない内容について。

「ニコル氏は「移植患者は免疫抑制剤を使っているので一般的にがんの発症率を高い。日本でも指摘されたようだが、オーストラリアでも当初はドナー由来のがんの再発が懸念されたが、症例を重ねるについて受け入れられてきた。移植でドナーと違う免疫系に入るため、ドナー由来のがんの再発率はむしろ低くなると考えている」と説明する。」


この当たりの発言は、難波先生と同じ理解と思われます。難波先生の考えについては、日本では批判もありましたが、外国では受け入れることができる説明のようです。



(3) この記事では、米国移植外科学会の冬季シンポジウムについても触れています。

「宇和島徳州会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らは27日朝(現地時間26日午後)、米フロリダ州のマルコ島で行われている米国移植外科学会の冬季シンポジウムで病気腎移植の症例や成果を発表する。

 ニコル氏はシンポジウムに合わせて訪米し、病気腎移植を検討するフロリダ大学で講演する。「世界的な臓器不足の中で関心が高い。がんへの抵抗感は根強いので広がるか分からないが、検証を重ねたい」 」



万波医師らが米国移植外科学会の冬季シンポジウムで発表することについては、「病気腎移植、米移植外科学会で発表へ~万波医師らの発表は優れた演題の十傑に」(2007/11/21(水) 23:35:47)で触れています。

この発表については報道する予定(日本TV・ニュースZERO:1月28日(月)夜11時)だそうですし、明日には他の報道機関でも報道するとは思います。

この発表の様子に関して、藤田士朗フロリダ大学准教授による報告(藤田士朗フロリダ大学准教授からの報告(4) 全米移植外科学会での発表(2008年01月27日07:53))を一部引用しておきます。

「万波先生が壇上にあがる前の司会者からの紹介で、「とても興味深い発表だ」との発言があり、発表後の質問では、腎臓癌ドナーの治療に関する質問と、同様にオーストラリアでレストア腎臓移植を行っているニコール先生からの、賞賛のコメント等がありました。

ドナーの治療に関しての懸念を示した先生も、レシピエント側に対しては、このような腎臓が得られさえすれば、植えることには、問題がないとの認識を示していました。癌がレシピエントに移ると大騒ぎをしている日本の学会や厚生労働省の認識がこちらではなぜか滑稽に思われました。

素晴らしいことに、発表に先立って、日本のメディアが全米移植外科学会会長のDr. Klintmalm にインタビューをした際、非常に肯定的なコメントをいただき、万波先生とのツーショットの写真も撮られたようです。万波誠先生もアメリカではこんなにも温かくレストア腎臓移植のことを見守ってくれることに、アメリカの懐の広さを感じるとコメントしておられました。」 (「万波誠医師を支援します」さんの「捨てる腎臓で 生き返る人がいるかぎり」(2008/01/26 22:17)。詳しくは「万波誠医師を支援します」さんをぜひご覧下さい。)



この藤田准教授の報告を見れば、米国では、というよりも世界の移植医療の関係者が集まる場所においては、レストア腎移植は高く評価されていると分かると思います。これに対して、日本(日本移植学会の会員、厚労省、多くの日本の報道機関)では、(腎臓がんの)レストア腎移植を「絶対禁忌」と信じて疑わないのです。日本の有り様は実に「滑稽」としか言いようがありません。




3.東京新聞の記事中でも、レストア腎移植に関して「米国からも報告が出された」とあるように、「世界各地から、がんの病気腎移植の試み」がなされています。世界の移植医療においては、レストア腎移植は決して「絶対禁忌」ではないのです。

レストア腎移植に関して、ニコル教授と並んでパイオニアといえる医師が日本にいます。レストア腎移植を「絶対禁忌」としたことが間違いだったと認め、深刻なドナー不足であることを直視し、レストア腎移植を実施することができるよう、パイオニアの試みを高く評価する方向へ変更してほしいと思います。


万波医師らのレストア腎移植をきっかけに、厚生労働省は、市立宇和島病院、宇和島徳洲会病院の基幹2病院が保険医指定を取り消そうとする動きを行っています(「万波誠医師を支援します」さんの「-怒って欲しい-宇和島市連合自治会」(2008/01/22 21:53)参照)。医療過疎状態にある地方において、保険医指定の取り消しは地域一帯の住民に対する医療が崩壊し、代替医療機関が存在しない地域住民の命を奪うに等しいものです。保険医指定の取り消し後、厚労省は地域住民の医療・命を具体的にどう守るつもりなのでしょうか? 

世界的に評価されているパイオニアの行動を全否定するばかりか、地域住民の命を奪うような、厚労省の判断は、許されないものだと思います。



1月29日追記

ニュースZERO:1月28日(月)でも報道していましたが、ここでは日テレNEWS24<1/27 20:19>で報道していましたものを引用しておきます。

万波誠医師の論文 米国の学会で入選<1/27 20:19>

 病気の腎臓を移植していたことで論議を呼んでいる愛媛県の万波誠医師の論文が、アメリカの学会でトップ10の評価を受け、入選した。
 宇和島徳洲会病院の万波医師は、がんなどの病気で摘出した腎臓を修復した上で別の患者に移植する、いわゆる「病腎移植」を行い、日本の学会から批判を受けた。しかし、アメリカ移植外科学会からは「革新的で素晴らしい」との評価を受け、現地時間26日にフロリダ州で開かれた学会でトップ10に入った論文として、発表の機会を与えられた。

 病腎移植については、日本移植学会などは「妥当性がない」として禁止すべきとの姿勢を取っており、新たな論議を呼ぶものとみられる。」





テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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1月27日(日) 11:40 追記 最後に全米移植外科学会の発表報告を追記しました。 藤田士朗フロリダ大学准教授からの報告(4) 全米移植外科学会での発表 「女性自身」 1月22日発売 2338号 http://www.jisin.jp/pc/top.jsp シリーズ人間№1884 P56~P62 『捨?...
2008/01/27(日) 22:10:37 | 万波誠医師を支援します
  皆様のご支援に感謝致します! ありがとう! ●きまぐれな日々 kojitaken様 2008/01/28(火) 「ポピュリズム」や「上から目線」などなど~大阪府知事選雑感 --------------------------------------- ●カナダde日本語 美爾依様 2008/01/28(月) 大阪府知?...
2008/01/29(火) 21:32:29 | 晴天とら日和
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