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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/12/19 [Wed] 23:59:57 » E d i t
飲酒運転で多目的レジャー車(RV)に追突して海に転落させ三児を死亡させたとして、危険運転致死罪及び道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われた元福岡市職員今林大(いまばやし・ふとし)被告(23)について、福岡地裁(川口宰護(かわぐち・しょうご)裁判長)は12月18日午前、福岡地検に対し、業務上過失致死(前方不注視)罪と道交法違反(酒気帯び運転)の罪の2罪を予備的訴因として追加するよう命じました。危険運転致死罪につき、検察側立証が不十分と判断したと思われ、危険運転致死罪の適用を否定することがほぼ確実となりました。

検察側は危険運転致死罪と道交法違反(ひき逃げ)を前提として懲役25年を求刑していますが、危険運転致死罪でなく、業務上過失致死罪が適用されると、上限は道交法違反罪(酒気帯び運転)と合わせても懲役7年6月となるため、大幅に量刑が下がることもほぼ確実となりました。この報道について触れてみたいと思います。


1.まず、報道記事をいくつか。判決が下されたわけではなく、各記事に不一致があることから、記事の添削(良い点・悪い点の指摘)の形でコメントしていきます。このブログでエントリーとして取り上げる際の思考過程を披露しているものともいえます。

(1) 【共同通信2007/12/18 14:12】

危険運転罪見送りか 3児死亡事故で福岡地裁

 飲酒運転で多目的レジャー車(RV)に追突して海に転落させ3児を死亡させたとして、危険運転致死傷罪などに問われた元福岡市職員今林大被告(23)について、福岡地裁(川口宰護裁判長)は18日、福岡地検に対し訴因変更を命じた。予備的訴因として業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び運転)の罪を追加する内容。地裁は危険運転の適用は困難と判断した可能性が高い。

 結審後の訴因変更命令は異例という。

 地検によると、地裁が求めてきた業務上過失致死傷罪の内容は、脇見による前方不注意だという。地検は「年内に結論を出す」としているが、応じない場合は危険運転致死傷罪が無罪となる可能性があるため、命令には従うとみられる。事前に地裁から打診があり、遺族には既に経緯を説明しているという。

 今林被告は、危険運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)の罪に問われ、検察側は併合罪の最高刑となる懲役25年を求刑して結審、来年1月8日に判決の予定だった。

2007/12/18 14:12 【共同通信】」


  イ:良い点

「予備的訴因として業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び運転)の罪を追加する内容」
「地検によると、地裁が求めてきた業務上過失致死傷罪の内容は、脇見による前方不注意」
「事前に地裁から打診」


起訴時の訴因は「ひき逃げ」の訴因でしたが、「酒気帯び運転」の訴因をも追加するよう求めたことも分かるのがまず良い点です。過失犯の態様は様々なので具体的な過失内容が重要なので、業務上過失致死の内容が「脇見による前方不注意」であることを指摘しているのも良い点です。訴因変更は本来は検察官の専権なので、まず裁判所は訴因追加・変更を促すのが通常ですので、「事前に地裁から打診」があった点の指摘も良い点です。


  ロ:悪い点

「結審後の訴因変更命令は異例」


確かに一度結審してはいますが、弁論を再開することも決定しているので、誤解を招く記述ゆえ、悪い点です。ただ、さほどの瑕疵ではなく、全体的に分かりやすいので、大変よい記事だと思います。



(2) 朝日新聞平成19年12月18日

3児死亡で危険運転罪見送り 福岡地裁、業過致死適用か
2007年12月18日13時32分

 福岡市東区で06年8月、幼児3人が死亡した飲酒運転事故で、危険運転致死傷などの罪に問われた元同市職員今林大(ふとし)被告(23)について、福岡地裁は18日、予備的訴因として業務上過失致死傷罪と道路交通法違反(酒気帯び運転)を追加するよう検察側に命じた。検察側は同被告に危険運転致死傷罪と道交法違反(ひき逃げ)の併合罪で最高刑の懲役25年を求刑していたが、地裁は危険運転致死傷罪の適用は困難と判断したとみられる。

 危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)とひき逃げとの併合罪は最高刑が懲役25年。これに対し、業務上過失致死傷(同5年)と酒気帯び運転、ひき逃げの併合罪は同7年6カ月(今年6月の法改正で15年に引き上げ)。この場合、適用できる最高刑が3分の1以下となることになる。検察側は「適切に対応したい」としているが、変更命令に応じない場合、地裁は危険運転致死傷罪については無罪を言い渡すとみられる。検察側は、予備的訴因の追加に応じるか、危険運転致死傷罪について補充して立証できるか検討する。

 裁判では今林被告が事故当時、危険運転致死傷罪の適用要件である「アルコールなどの影響で正常な運転が困難な状態」だったかどうかが争点になった。事故直後の飲酒検知では、今林被告の呼気1リットルから0・25ミリグラムのアルコールが検出され、酒気帯び運転の水準にとどまっていた。

 検察側は、今林被告は事故前に多量の酒を飲んで泥酔状態だったと指摘。事故直前まで急ブレーキなど衝突を避ける措置もとっておらず、「飲酒の影響で正常な運転ができない状態だったことは明らかだ」と主張していた。

 被告、弁護側は事故前に酒を飲んだことは認めながら、「正常な運転ができないほどではなかった」と反論していた。

 起訴状によると、今林被告は06年8月25日夜、酒を飲んで乗用車を運転し、福岡市東区の海の中道大橋で、大上哲央さん(34)のRVに追突。海に転落させて逃走し、大上さんの長男紘彬(ひろあき)ちゃん(当時4)、次男倫彬(ともあき)ちゃん(同3)、長女紗彬(さあや)ちゃん(同1)を水死させ、大上さん夫妻に軽傷を負わせたとされる。

    ◇

 〈訴因変更〉 検察官が公判の途中で、起訴状に記載した事実の範囲内で該当する罪名を変更したり追加したりすること。裁判所は訴因に対してしか判断できないが、刑事訴訟法は、審理の経過をみて適当と認めたときには検察官に訴因変更を命じられると定めている。例えば、ほかの訴因に変更すれば明らかに有罪なのに、検察官の主張する訴因のままだと無罪になると判断した場合などに変更を命じるケースなどが想定されている。ただし、検察官は命令に従わなくても構わないとされる。」


  イ:良い点

「危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)とひき逃げとの併合罪は最高刑が懲役25年。これに対し、業務上過失致死傷(同5年)と酒気帯び運転、ひき逃げの併合罪は同7年6カ月(今年6月の法改正で15年に引き上げ)。」
「検察側は「適切に対応したい」としているが、変更命令に応じない場合、地裁は危険運転致死傷罪については無罪を言い渡すとみられる。」
「裁判では今林被告が事故当時、危険運転致死傷罪の適用要件である「アルコールなどの影響で正常な運転が困難な状態」だったかどうかが争点になった。事故直後の飲酒検知では、今林被告の呼気1リットルから0・25ミリグラムのアルコールが検出され、酒気帯び運転の水準にとどまっていた。」
「〈訴因変更〉」


裁判所が「ひき逃げ」の点も立証不十分との心証を抱いているか不明ですが、この記事からすると、「ひき逃げ」の点は立証可能であったようにも思えますので、判決時に着目すべき点だと分かりますので、良い点です。訴因が変わることで量刑の上限が懲役7年6月と分かる点も良い点です。訴因変更追加命令に応じないと、地裁は危険運転致死罪につき無罪を言い渡すと分かるのも良い点です。裁判での争点を明確にしている点でも良い点です。訴因変更という用語の説明をしている点も、一般市民向けには必要ですから良い点です。

ここで、なぜ、「変更命令に応じない場合、地裁は危険運転致死傷罪については無罪を言い渡す」のか、について説明しておきます。

犯罪(構成要件)が異なったり、同一犯罪でも事実(行為態様・結果)が異なれば、訴因変更をする必要があります。ただし、訴因の中に包含された犯罪事実(例えば、傷害致死を傷害に、強盗を恐喝に、酒酔い運転を酒気帯び運転に)を認定するには訴因変更を必要としないという縮小認定の理論が認められています。なぜなら、事実が大は小をかねる形ですし、認定する事実は検察官も黙示的・予備的に主張していたといえ、被告人に不意打ちにならないからです。

縮小認定の理論が適用できる事実であれば、裁判所は訴因変更なしに「小」の事実を認定して判決を下すことができるのです。今回の事案の場合、危険運転致死傷と業務上過失致死傷の事実につき、もし縮小認定の理論が適用できれば、訴因変更なしに業務上過失致死罪として有罪とすることができます。

この事件の場合、危険運転致死傷罪(刑法208条の2)の4類型のうち、酩酊危険運転致死罪(同条1項前段)が問題となっていますが、福岡地裁が抱いた心証は、「脇見による前方不注意による致死」であって、起訴時の訴因事実のように「アルコールの影響で正常な運転が困難になって致死となった」ではなかったのです。このように事実にズレがあるため、縮小認定は難しい事案と思われます。そのため、訴因(追加)変更をしないと、裁判所は訴因から外れた事実の認定はできないので、危険運転致死罪について無罪となるだろうということです。


  ロ:悪い点

「予備的訴因として業務上過失致死傷罪と道路交通法違反(酒気帯び運転)を追加するよう検察側に命じた」


「酒気帯び」の点を明示した点は良いのですが、業務上過失における過失の内容が明示していないため、過失の態様を特定できず悪い点です。



(3) 毎日新聞平成19年12月19日付東京夕刊

福岡・車転落3児死亡:「危険運転」認定困難か 福岡地裁が訴因追加命令

 福岡市東区の「海の中道大橋」で06年8月に起きた3児死亡事故で、危険運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)罪に問われた元市職員、今林大(ふとし)被告(23)について、福岡地裁(川口宰護裁判長)は18日、福岡地検に対し、危険運転致死傷罪より量刑の軽い業務上過失致死傷罪を予備的な訴因として追加するよう命令した。判決言い渡しは08年1月8日の予定だが、求刑の懲役25年より軽い量刑となる公算が大きくなった。

 地裁は公判を通じ今林被告が深酔い状態だったことの立証が難しいとみて、危険運転致死傷罪の認定が難しいと判断したとみられ、先週、地検に訴因変更を打診。地検は従来通り、危険運転致死傷罪の適用を主張し、受け入れを拒んだ模様。刑事訴訟法は裁判所が適当と認めた時、起訴訴因の変更を命令できると定めている。同地裁が危険運転致死傷罪を認定した判決を出す可能性は極めて低くなった。

 検察側は11月「法が許す限りの最高刑で臨むほかない」と危険運転致死傷とひき逃げの併合罪の法定上限となる懲役25年を求刑。これに対し、被告の弁護人は「脇見運転が原因だった」として業務上過失致死傷罪の適用を主張していた。【石川淳一】

毎日新聞 2007年12月18日 東京夕刊」


  イ:良い点

「先週、地検に訴因変更を打診」


打診を受けたのが、一度結審した後であり、判決言い渡しは08年1月8日であるという、かなり押し迫ってから打診を受けたことが分かるのが良い点です。


  ロ:悪い点

「危険運転致死傷罪より量刑の軽い業務上過失致死傷罪を予備的な訴因として追加するよう命令」
「求刑の懲役25年より軽い量刑となる公算が大きくなった」


業務上過失における過失の内容が不明であること、軽い量刑とは上限が何年か命じていない点が悪い点です。



(4) 西日本新聞2007/12/18付夕刊

福岡3児事故死 危険運転罪適用困難か 訴因変更を命令 地裁が地検に「業過致死追加を」

 福岡市東区で昨年8月に起きた飲酒運転3児死亡事故をめぐる裁判で、福岡地裁(川口宰護裁判長)は18日、福岡地検に対し、危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)などに問われた元同市職員今林大(ふとし)被告(23)に対する訴因について、業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び)の罪を「予備的訴因」として追加するよう命じた。公判前整理手続きを行い、求刑も終えた段階での訴因変更命令は異例。同地検は「判決を目前にした訴因変更命令は意外だった。適切に対応する」としている。検察側は命令を受け入れるとみられる。

 危険運転致死傷罪は悪質な運転による事故を抑止するため2001年12月に施行されたが、(1)アルコールや薬物で正常な運転が困難(2)制御困難な高速度(3)赤信号をことさら無視-などが要件で、立証の難しさが指摘されている。

 川口裁判長はこれまでの公判で、同罪の適用は困難との心証を得て、業務上過失致死傷罪(最高刑懲役5年)と道交法違反の併合罪適用(同7年6月)が適当と判断したとみられる。検察側は危険運転致死傷罪と道交法違反(ひき逃げ)罪を併せた最高刑の懲役25年を求刑していた。来年1月8日の判決期日に変更はなく、同日に弁論再開後、判決を言い渡す予定。

 公判では今林被告の酔いの程度を争点に、弁護側が、事故後の検査でアルコール分が呼気1リットル中0.25ミリグラム(0.15ミリグラム以上が酒気帯び運転)だったことや、今林被告が事故前後に回避行動を取ったことなどから「酩酊(めいてい)状態ではなかった」と主張。「正常な運転ができない状態ではなく、前方不注視の原因はわき見」としていた。

 最終弁論では、既に社会的制裁を受けており「もはや刑罰は必要ではなく、執行猶予に付すべきだ」と求めていた。

 起訴状によると、今林被告は昨年8月25日夜、飲酒の上、車を運転し、福岡市東区の海の中道大橋で大上哲央(あきお)さん(34)一家5人が乗る多目的レジャー車(RV)に追突。車ごと海中に転落させ、長男紘彬(ひろあき)ちゃん=当時(4つ)、二男倫彬(ともあき)ちゃん=同(3つ)、長女紗彬(さあや)ちゃん=同(1つ)=の3児を死亡させたとされる。

●ワードBOX=訴因変更・予備的訴因

 刑事裁判の過程で、検察側が罪名などを含む起訴事実を変更すること。刑事訴訟法によると、公訴を提起する際には、起訴状に訴因(具体的な犯罪事実)を明示しなければならない。訴因変更には、検察官が請求する場合と、裁判所が命令する場合とがある。検察官の請求では、公訴事実を大きく逸脱しない範囲で裁判所は許可しなければならない。一方裁判所は、審理の経過で必要と認めれば変更を命じることができる。

 また、犯罪事実が2つ以上の罪になると考えられる場合は、訴因に順位をつけることができる。起訴罪名に次ぐものを予備的訴因という。検察側が公判中に追加することが多い。

=2007/12/18付 西日本新聞夕刊=
2007年12月18日15時18分」


  イ:良い点

「公判前整理手続きを行い、求刑も終えた段階での訴因変更命令は異例」
「来年1月8日の判決期日に変更はなく、同日に弁論再開後、判決を言い渡す予定」
「●ワードBOX=訴因変更・予備的訴因」


公判前整理手続きは争点整理するものですから、訴因変更することはまれになるため(訴因変更はいわば争点が違っていたと判断するもの)、しかも求刑後の訴因変更命令は異例なわけで、その点の指摘は良い点です。1月8日に弁論再開、その後判決を言い渡すのですから、弁論では追加した訴因を朗読するなりして簡単に済ませてしまい、弁論の内容は判決に影響しないことが分かる点で、良い点です。予備的訴因にまで用語説明をしている点も良い点です。


  ロ:悪い点

「業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び)の罪を「予備的訴因」として追加するよう命じた」


業務上過失における過失の内容が不明なので悪い点です。

地検は「判決を目前にした訴因変更命令は意外だった」としていますが、起訴前及び公判中における弁護側の主張からすれば、訴因変更の必要性は薄々分かっていたはずです。地検とすれば、見逃してくれたと思っていたところ、判決目前で変更命令を受けてしまい、「(直前になって気づくなんて)意外だった」ということかと推測しています。



(5) 日経新聞平成19年12月18日付夕刊23面

福岡飲酒事故 「危険運転」適用できず? 業過致死傷罪・地裁が追加命令

 幼児3人が死亡した福岡市の博多湾車両転落事故で、危険運転致死傷罪などに問われた元同市職員、今林大被告(23)について、福岡地裁(川口宰護裁判長)は18日、検察側に対し、予備的に脇見運転による業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び運転)の両罪の主張を追加するよう訴因変更を命令した。検察側は命令に応じる見通し。

 危険運転致死傷罪は「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」で事故を起こしたことが要件とされ、公判では事故当時の今林被告の酔いの程度が最大の争点となったが、同地裁は同罪の適用は困難とみているもようだ。

 今林被告の公判はすでに結審しているが、同地裁は弁論の再開を決定。来年1月8日に予定されている判決期日が変更になる可能性もある。

 危険運転致死傷罪の最高刑は懲役20年だが、業務上過失致死傷罪の場合は懲役5年。

 今林被告の公判では、検察側は危険運転致死傷罪の適用を主張し、同罪と道交法違反(ひき逃げ)の罪を併合した場合の最高刑に当たる懲役25年を求刑している。

 弁護側は危険運転致死傷罪の成立を否定し、業務上過失致死傷罪の適用を主張。業過致死傷と道交法違反の両罪を併合した場合の最高刑は懲役7年6月となり、弁護側は執行猶予付きの短期刑の判決を求めている。

 検察側は論告で「見通しのよい直線道路で直近まで多目的レジャー車(RV)に気付かなかった」と今林被告の運転の異常さを強調。事故前に酒を飲んだ居酒屋やスナックでの様子、事故後の言動などから「今林被告が相当酩酊(めいてい)した状態だったのは明らか」とした。

 その上で「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態で運転して事故を起こした」と危険運転致死傷罪の適用を主張した。

 弁護側は、今林被告が事故の約40分後に受けたアルコール検査の結果は呼気1リットル当たり0.25ミリグラムで、「酒酔い」でなく「酒気帯び」と認定されたことを指摘。「酩酊はしておらず、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態ではなかった」と危険運転致死傷罪の成立を否定し、業務上過失致死傷罪にとどまると主張した。(12月18日:13:35)」


この日経新聞の記事は、今まで述べてきたような瑕疵がなく良い点ばかりで、実に良い記事です。なお、「来年1月8日に予定されている判決期日が変更になる可能性もある」としていますが、西日本新聞で指摘しているように弁論再開後、判決であり、検察側はこれ以上危険運転致死罪について補充して立証することもないでしょうから、判決期日に変更はないと思われます。


「危険運転致死傷罪は「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」で事故を起こしたことが要件とされ、公判では事故当時の今林被告の酔いの程度が最大の争点となった」わけですので、ここで「正常な運転が困難な状態」の意義について説明しておきます。

「正常な運転が困難な状態とは、道路及び交通の状況等に応じた運転操作を行うことが困難な心身の状態である。道路交通法上の酒酔い運転(同法117条の1第1号、65条1項)で問題とする「正常な運転ができないおそれのある状態」であっても、運転が困難な場合にあたるとは限らない。現実に適切な運転操作を行うことが困難な心身の状態にあることを要し、アルコール、薬物の影響により、前方の注視が困難になったり、アクセル、ブレーキ、ハンドル等の操作が意図したとおりに行うことが困難になる場合を意味する(千葉地松戸支判部平15・10・6判時1848・159、東京地判平14・11・28判タ1119・272、東京地八王子支判平14・10・29判タ1118・299)。アルコール・薬物の影響が認められるのであれば、過労等の他の原因と競合していても差し支えない。」(前田雅英「刑法各論講義(第4版)」49頁)


要するに、道路交通法上の酒酔い運転で問題とする「正常な運転ができないおそれのある状態」だけでなく、現実に適切な運転操作を行うことが困難な心身の状態にあることを要するのです。ちなみに、アルコールの影響により「正常な運転ができないおそれのある状態」とは、言語活動、歩行活動、平衡感覚、視力など車両等の運転に必要な運動機能が害されている状態をいいます。

この事案の場合、弁護側は、今林氏は事故前後に回避行動をとっていること、「今林被告が事故の約40分後に受けたアルコール検査の結果は呼気1リットル当たり0.25ミリグラムで、『酒酔い』でなく『酒気帯び』と認定」され、「『酩酊はしておらず、アルコールの影響で正常な運転が困難な状態ではなかった』と危険運転致死傷罪の成立を否定し、業務上過失致死傷罪にとどまると主張」しています。いくら事後に水を飲んだとして証拠隠滅を図ったとしても事故のわずか40分後での検査ですから、さほど血中アルコール濃度が下がったとはいえず、これらの事実は十分にあり得るといえそうです。ですから、福岡地裁は、「正常な運転ができないおそれのある状態」という点が立証できるだけの証拠はないと判断したと思われます。




2.福岡地裁が訴因追加命令を行った点について、被害者遺族と識者のコメントとを引用しておきます。

(1) その前に、被害者遺族は、懲役25年より1年でも軽いなら「殺しに行きます」とまで言っていました。被告人に対する殺人予告と受け取れる発言を行ったのです。

母親が悲痛な叫び!懲役25年より軽ければ「殺しに行きます」 

 福岡市で昨年8月、一家5人が乗った多目的レジャー車(RV)が飲酒運転の車に追突され海に転落、幼いきょうだい3人が水死した事故で、危険運転致死傷罪などに問われた元同市職員・今林大被告(23)の第6回公判が4日、福岡地裁で行われた。3人の父の大上哲央さん(34)が出廷し、初対面となった被告の前で証言。妻かおりさん(30)の「懲役25年が下されると確信しています。1年でも軽い刑なら私が殺しに行きます」との調書も読み上げられた。(以下、省略)」((2007年9月5日06時02分 スポーツ報知))


ここまでの激情ぶりからすると、福岡地裁に対して激烈な批判コメントをするのかと思っていましたが、冷静な反応だったので意外でした。何かあったのでしょうか? 東京新聞の記事を引用しておきます。



(2) 東京新聞平成19年12月19日付朝刊27面(11版S)

両親淡々「やむを得ない」

 今林大被告について、福岡地裁が予備的に業務上過失致死傷罪などを追加する訴因変更を命じたことを受け、3児の両親の大上哲央さん夫妻は18日、代理人の弁護士を通じ「厳重に処罰してほしい気持ちはあるが、客観的証拠に基づく冷静な判断であればやむを得ないと受け止めています」との談話を発表した。

 一方、今林被告の弁護側も「無理に無理を重ねて立件しようとしているのだから、訴因変更命令は当然。事故の態様にについても冷静な分析がなされることを希望する」とするコメントを出した。

 今林被告は事故後に現場から逃走。大上さんの代理人を務める羽田野節夫弁護士によると、これまでも夫妻は今林被告に対し「なぜ助けてくれなかったのか」という思いの方が強く、危険運転の成立にはこだわっていなかったという。

 危険運転が成立しないということなら、被告は冷静だったということ。自分の保身に走り、他者の命を考えなかったことは断じて許されない」と語気を強めた。

 訴因変更命令については「とやかく言えないが、判決を控えて証拠を精査する過程でそういう心証を持つに至ったのではないか」と苦渋の表情で話した。哲央さんはこの日までに地検から経緯を説明されており、黙って聞いていたという。

 結審後の訴因変更命令は異例。地検は「年内に結論を出す」としているが従うとみられる。」


羽田野節夫弁護士は、「危険運転が成立しないということなら、被告は冷静だったということ。自分の保身に走り、他者の命を考えなかったことは断じて許されない」と述べたようですが、「他者の命を考えなかった」という点でひき逃げしたことを非難しているかようなコメントです。危険運転致死傷とひき逃げとは別個の犯罪事実であり、「危険運転致死傷=ひき逃げ」のようなコメントは危ういように思います。



(3) 毎日新聞2007年12月19日西部朝刊

福岡・車転落3児死亡:訴因追加、両親「受け止める」

 ◇危険運転致死傷罪 法の形がい化、不安も

 「それが判断ならば、受け止める」--。福岡市東区で起きた3児死亡事故の公判は18日、福岡地裁が今林大(ふとし)被告(23)に対する業務上過失致死傷罪の訴因追加を命じ、「懲役25年」の検察側求刑が、判決では「7年半以下」になる可能性が高まった。遺族は冷静に受け止めたが、厳罰を求める声とともに法の意味に疑問も出た。【石川淳一、鈴木美穂】

 愛児を失った大上哲央(あきお)さん(34)、かおりさん(31)夫妻。関係者によると哲央さんは、17日に検察側から「訴因変更命令が出そうだ」との連絡を受けたが「決して危険運転致死傷罪の成立が願いではない」と冷静に受け止めたという。夫妻は代理人弁護士を通じて「厳重に処罰してほしい気持ちは変わらないが、裁判所の冷静な判断なら、受け止めたい」との感想を伝えた。

 また、哲央さんは被告の弁護人が哲央さんの居眠り運転の可能性などの過失を指摘した点について「居眠りなど断じてしていない」と反論したという。

 一方、被告弁護団は「無理に無理を重ねて立件しようとしているのだから、訴因変更命令は当然」とのコメントを発表した。

 交通事故遺族からは憤りの声が上がった。

 99年に東名高速で飲酒運転のトラックに追突されて娘2人を失い、危険運転致死傷罪成立のきっかけを作った千葉市の井上郁美さん(39)は「遺族感情を踏みにじる命令。判決直前になぜこんな事態になるのか。万一、危険運転で無罪となれば、せっかく成立した危険運転致死傷罪が形がい化しかねない」と怒りをあらわにした。

 03年に飲酒ひき逃げ事故で当時24歳の次男を失った大分県国東市の佐藤悦子さん(56)は「逃げた方が罪が軽くなる『逃げ得』を容認することになる。求刑の懲役25年を1カ月でも軽くすることがあってはいけない」と訴えた。

 ◇7年半では軽い--諸沢英道・常磐大大学院教授(被害者学)の話

 飲酒の認識を検察が証明するのは難しい。それを厳密に求める危険運転致死傷罪の法の欠陥が表に出た最悪のケースになりかねない。3人の死が懲役7年半ではあまりにも軽い。

 ◇厳罰化に影響も--内田博文・九州大学法学研究院教授(刑事法)の話

 危険運転致死傷罪での立証に合理的疑いがあれば、有罪にできないのが刑事裁判の考え。裁判所は遺族感情に寄り添う形で同罪を柔軟に運用してきたが、危険運転で立証できなければ、今後厳罰化の流れに影響を与える可能性もある。

 ◇構成要件難しい--板倉宏・日大法科大学院教授(刑法)の話

 刑罰法規は厳格に解釈すべきだ。検察が酒気帯び以上の証明をできないなら、業務上過失致死傷罪に認定を落とすのも仕方がない。危険運転致死傷罪は構成要件が難しい。

 ◇結審後おかしい--土本武司・白鴎大法科大学院教授(刑法)の話

 故意犯である危険運転致死傷罪を前提に公判が進んだはず。結審後に過失犯である罪の訴因を追加したのでは、これまでの審理は何だったのか。命じるなら「訴因の追加」ではなく、変更だ。訴因変更した以上は、判決までに双方の主張や立証をやり直さなければならない。

毎日新聞 2007年12月19日 西部朝刊」



諸沢英道・常磐大大学院教授は、「3人の死が懲役7年半ではあまりにも軽い」としてますが、同じく人を死亡させた場合でも、故意犯と過失犯では非難の度合いが異なるため法定刑が大きく異なるのです。過失であれば何人死亡させても法定刑が軽くのは当然のことです。「3人の死が懲役7年半ではあまりにも軽い」という言い方は、法律の素人のような言い分です。

土本武司・白鴎大法科大学院教授は、「命じるなら「訴因の追加」ではなく、変更だ。訴因変更した以上は、判決までに双方の主張や立証をやり直さなければならない」と主張しています。しかし、危険運転致死傷罪の罪質は、特殊な結果的加重犯(道交法違反を基本犯とし、過失を付加したもの)であり、道交法違反の点はすでに公判廷で立証済みのはずです。
ですので、変更(=新旧の訴因を交代すること)であろうと、追加(=新たな訴因を付加すること)だろうとたいした違いはないように思います。また、弁論を再開することを決定しているため、そこで多少の弁論を行えば検察側・弁護側に不利益はなく、「判決までに双方の主張や立証をやり直せ」というほどのことではないように思います。

12月22日付追記:危険運転致死傷罪の罪質について正確な情報を少し。危険運転致死傷罪は、結果的加重犯であり、それは「危険な運転行為」を基本行為として加重結果を処罰するものである。「危険運転行為」は、行為の実質的な危険性から暴行に準じるといえるため、そのような運転行為を故意に行った結果、人を死傷させた場合、暴行による結果的加重犯としての傷害罪、傷害致死罪に類似するものとしたのである。本来、結果的加重犯では基本犯を処罰するのが、危険運転致死傷罪では基本犯を刑法上処罰していないので、特異な犯罪である。ただ、「危険運転行為」は、多くは道交法の罪として処罰されるから、かろうじて基本犯を処罰していると扱い、基本犯処罰を規定する必要がないとしたのである。(法制審議会での説明))(法務省は、危険運転致死傷罪を重罰化したために(=無理に故意犯にしないと重罰化できない)、こういった技巧を凝らした苦しい説明を行っているが、端的に言えば、道交法違反を基本犯としたと説明すれば足りるはずであるので、上記のような説明にした。)




3.毎日新聞の記事は解説記事があるため、これをまとめとして引用しつつ、論じたいと思います。

(1) 毎日新聞2007年12月19日西部朝刊

福岡・車転落3児死亡:地検、訴因に「業過」追加へ 「危険運転」適用に壁

 福岡市東区で昨年8月に起きた3児死亡事故で、危険運転致死傷と道交法違反(ひき逃げ)罪に問われた元市職員、今林大(ふとし)被告(23)について、福岡地裁(川口宰護裁判長)は18日、福岡地検に、危険運転致死傷罪より量刑の軽い業務上過失致死傷罪を予備的訴因として追加する訴因変更を命じた。地検はこれに応じる方針。地裁は危険運転致死傷罪の認定は困難と判断した模様で、飲酒運転による事故でも同罪適用の壁が高い実情を示した。

 予備的訴因は危険運転致死傷罪に替わり、業務上過失致死傷と道交法違反(酒気帯び運転)の罪で構成する。地検は年内にも訴因を変更するとみられるが、従来の立証は変えない方針。

 予備的訴因は、検察が主張した起訴事実が成立しないと裁判所が認めた場合、被告を無罪としないための次善策として主張するもので、地検がこれを拒むと、無罪判決が出る可能性が高まる。

 結審後に裁判所が訴因変更命令を出すのは異例だが、06年2月に愛知県春日井市であった飲酒運転・信号無視の4人死亡事故でも、名古屋地裁は危険運転致死傷罪などに問われた被告の判決を延期。予備的訴因として業務上過失致死傷罪の追加を命じた。判決(今年1月)は求刑の懲役20年に対し業務上過失致死傷罪を適用、懲役6年を言い渡した。【石川淳一】

==============

 ■解説

 ◇厳格な基準求めた地裁

 危険運転致死傷罪と業務上過失致死傷罪の間には、犯罪の自覚が必要な「故意犯」とそうでない「過失犯」という隔たりがある。さらに危険運転致死傷罪は、飲酒により正常な運転が困難な場合や、制御不可能な高速走行などに限って罰する極めて限定的な刑罰だ。福岡地裁の訴因変更命令は、同罪成立の壁の高さを改めて示した。

 危険運転致死傷罪の適用は年間300件前後しかないが、検察は結果の重大性に加え、事故後の逃走や飲酒検知前に水を飲む証拠隠滅工作の悪質性を重視。「従来の手法にこだわらない」と、起訴した。これが厳罰化を盛り込んだ道交法改正につながったわけで、「被害者とともに泣く検察」の使命に応えたと評価できる。

 しかし、飲酒が運転に及ぼす影響は個人差が大きいとされ、同様に危険運転致死傷罪の成否が争われた千葉地裁判決(04年5月)も「客観的に判定することは困難」と指摘。今回の公判でも検察は「アルコールの影響で正常な運転ができないという認識」の立証を迫られた。

 同罪の最高刑は20年。被告に重罪が科せられる以上、適用には慎重であるべきだ。一方で、業務上過失致死傷罪は5年。3児死亡事故の悲劇は、この落差を改めて浮き彫りにし、世論の厳罰感情を呼び起こした。

 だが、あくまで裁く基準は厳格な法体系だ。地裁判断はこうした世論に冷静さを求めたとも言える。【石川淳一】

==============

 ■ことば

 ◇訴因変更

 起訴状に記載する公訴事実は検察官が日時、場所などを特定して犯罪を証明する訴因を明示しなければならない。刑事訴訟法は、公判途中での訴因変更を認めており、検察官は事実関係が大きく変わらない範囲で変更できる。裁判所も、検察官に追加や変更を命じることができる。

毎日新聞 2007年12月19日 西部朝刊」




(2) まずは悪い点と良い点の指摘を。

  イ:1つ目は、誤解を招きやすい記述があることです。

「同罪の最高刑は20年。被告に重罪が科せられる以上、適用には慎重であるべきだ。一方で、業務上過失致死傷罪は5年。3児死亡事故の悲劇は、この落差を改めて浮き彫りにし」


確かに、業務上過失致死傷罪は5年以下の懲役ですが、現在(2007年6月から)は自動車事故の場合、自動車運転致死傷罪(刑法211条2項)が新設され、7年以下の懲役と重罰化し、道交法も重罰化しており、危険運転致死傷罪でなくても併合罪加重で上限15年の懲役なのです。問題となっている自動車事故の場合、これだけ差が狭まっているのに「落差を改めて浮き彫り」などと書くのはミスリードでしょう(危険運転致死傷罪も2001年創設当時は懲役15年以下であり、2005年の改正で懲役20年に)。今後への提言の話を含めているのですから、対比すべき罪名は、業務上過失致死傷罪と自動車運転致死傷罪であり、業務上過失致死傷罪を持ち出すのは止めるべきです。


  ロ:2つ目は良い点です。
この記事をみると、過去の下級審判例でも、予備的訴因として業務上過失致死傷罪の追加を命じるものがあり、起訴された訴因と異なり、危険運転致死傷にならないと判断したものがあることが分かります。

「結審後に裁判所が訴因変更命令を出すのは異例だが、06年2月に愛知県春日井市であった飲酒運転・信号無視の4人死亡事故でも、名古屋地裁は危険運転致死傷罪などに問われた被告の判決を延期。予備的訴因として業務上過失致死傷罪の追加を命じた。判決(今年1月)は求刑の懲役20年に対し業務上過失致死傷罪を適用、懲役6年を言い渡した。……飲酒が運転に及ぼす影響は個人差が大きいとされ、同様に危険運転致死傷罪の成否が争われた千葉地裁判決(04年5月)も「客観的に判定することは困難」と指摘。今回の公判でも検察は「アルコールの影響で正常な運転ができないという認識」の立証を迫られた。」


今回の事案も、危険運転致死傷か業務上過失致傷か争われたものであり、珍しいものではなくなってきていることが分かります。


(3) 

「あくまで裁く基準は厳格な法体系だ。地裁判断はこうした世論に冷静さを求めたとも言える。」


既に述べたように、危険運転致死傷罪は、その基本犯は道交法上の犯罪であり、自動車事故(交通事故犯罪)という過失犯を、無理に故意犯扱いにして重罰化した犯罪です。過失犯の処罰は例外であり、故意犯と過失犯とは法定刑に大きな差異があるのにもかかわらず、重罰化した危険運転致死傷罪を創設したこと自体無理があるのです。

元々、不自然に重罰化した規定なのですから、危険運転致死傷罪の要件をいくら拡大して解釈しようとも早々容易く適用できるわけではないのです。

ところが、一部の市民の間には、本来的に過失犯である自動車事故について、何でも危険運転致死傷罪を適用できるかのような意識があり、誤解を生んでいます。懲役25年よりも1年でも軽ければ殺しに行くなどと、異常な事態に陥っているのですから、確かに「地裁判断はこうした世論に冷静さを求めた」ともいえるかもしれません。もっとも、福岡地裁は、危険運転致死傷罪をあまりにも無理に適用することを止めただけであって、世論に冷静さを求めたということでもないのでしょう。

福岡地裁が訴因追加命令を行ったという記事を通じて、多くの市民が故意犯と過失犯の法定刑の違い、本来自動車事故は過失犯であって、危険運転致死傷罪を無理に適用することは困難であると知ってほしいと思うのです。そして、交通事故犯罪を抑制減少させるには、重罰化で対応することには無理があり、飲酒運転防止教育、自動車運転教育(運転側及び歩行者側)の充実を図ることが重要だと考えます。

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
厳罰主義
運転手の事故への厳罰化は私たちには脅威です。殺意なき殺人と、殺意のある殺人とは明確に区別されるべきです。「飲酒しただけで殺意は認められる。」と言われればそれまでですが、「よそみ」でも、危険運転を問われています。私も仕事で車を使いますが、100%完璧な人間はないのですから、車に乗らない仕事を考えざるを得なくなります。まったくいやになります。
2007/12/20 Thu 09:49:26
URL | マヨ #91CvM.Pg[ 編集 ]
>マヨさん
コメントありがとうございます。


>「よそみ」でも、危険運転を問われています

脇見やよそ見による前方不注視は、自動車事故の典型だったのに、今や「危険運転」扱いを当然視する風潮です。被害者感情重視とはいえ、極端すぎないかと、思ってしまいます。


>私も仕事で車を使いますが、100%完璧な人間はないのですから、車に乗らない仕事を考えざるを得なくなります

自動車事故は、自動車を運転する多くの国民の誰もが犯す可能性があるのです。過失犯処罰が例外であるという点もあり、本来重くできないなずなのに。今は自動車事故の法定刑が重すぎているように思います。

飲酒運転は、アルコール中毒のように飲んでいる者だったり、普段から飲酒による狼藉に甘い日本社会、普段の生活に自動車を切り離せない地方の事情からつい飲酒し易いことなどに問題があると思うのですけどね。
2007/12/22 Sat 00:03:00
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
一年間身柄拘束
いつも丁寧に返事をいただき感謝しています。さて、女性を強姦したとして一年間身柄を拘束された被告に無罪判決。いくらなんでも、一年間身柄を拘束するのは無茶じゃないですか。弁護士としてなんとかする方法はなかったのですか?一億二千七百万の損害賠償を起こしていますが、金の問題ではなくその人の人生をどの様に償うのかの問題ですよね。県警か検察、どちらの責任ですか?教えてください。
2007/12/22 Sat 10:26:51
URL | マヨ #91CvM.Pg[ 編集 ]
>マヨさん:2007/12/22(土) 10:26:5
コメントありがとうございます。


>いつも丁寧に返事をいただき感謝しています

いえいえ。これからもコメントお願いします。


>女性を強姦したとして一年間身柄を拘束された被告に無罪判決。いくらなんでも、一年間身柄を拘束するのは無茶じゃないですか

ご指摘の裁判は↓のことですね?

「強姦で無罪の男性が提訴 愛知県と国に賠償求め
2007.12.20 11:12

 女性を乱暴したとして強姦(ごうかん)致傷罪などに問われ、無罪判決が確定した岐阜県内の男性(31)が「愛知県警と名古屋地検の違法な捜査で損害を受けた」として愛知県と国に計約1億2700万円の賠償を求める訴訟を岐阜地裁に起こしていたことが20日、分かった。
 訴状などによると、男性は平成17年1月18日未明、勤務先の新年会で酒に酔った名古屋市の女性を部屋まで送った際、女性宅に押し入って乱暴し、女性の肩や胸にけがを負わせたとして逮捕、起訴された。
 名古屋地裁は昨年3月に「被害女性の証言の信用性に疑問がある」と無罪判決を言い渡し、確定したが、男性は判決言い渡しまで約1年間、身柄を拘束された。
 県警に対し「基礎捜査を入念にしていれば、女性の供述に信用性がないという事実に気付いたはずだ」と主張。名古屋地検には「県警に裏付け捜査を指示すべき義務を怠った」などとしている。
 県警監察官室は「現時点ではコメントできない」、名古屋地検の津熊寅雄次席検事は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。」
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/071220/trl0712201113006-n1.htm

中日新聞によると、「訴状によると、女性の告訴を受理した名古屋・天白署は、その8日後に女性からの被害申告やけがなどの写真だけで男性を逮捕。男性側は「重要な客観的事情を確認せずに逮捕した。入念な基礎捜査が行われていれば、女性の供述に信用性がないという事実に気付いたはず」としている。(中略)訴状の中で男性側は、愛知県警の警察官が「被害者が恥を忍んで告訴しているんだから、うそを言っているはずがない」などと、無理やり容疑を認めさせようとしたと指摘。女性宅へ向かう途中に立ち寄ったとされるコンビニエンスストアの店員への事情聴取も、実際にはその時間帯に勤務していなかった店員に行っていた。それなのに、捜査報告書では男性が立ち寄った時間に勤務していた店員となっていたとしている。」としています。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2007122002073523.html

はっきりしませんが、どうやら、この男性は、同僚だった女性から強姦にされていないのに「あの男性から強姦されそうになって怪我をした」とウソをつかれて逮捕、起訴となったようです。


>いくらなんでも、一年間身柄を拘束するのは無茶じゃないですか。

起訴後は、被告人の出廷確保のため、長期間勾留できることになっています。公訴提起後2箇月、その後は1箇月ごとに更新できるのです(刑事訴訟法60条2項)。だから、「一年間身柄を拘束するのは無茶」ではないのです。


>弁護士としてなんとかする方法はなかったのですか?

勾留されると様々な不利益を生じるので、保釈制度があり、外に出ることができます(刑事訴訟法88条~)。なので、弁護士としては、保釈請求(刑事訴訟法88条)をすることになります(なお、「勾留取り消し」(刑事訴訟法87条)もありますが、まずないでしょう)。おそらくは、弁護士はこの事件でも保釈請求をしていたとは思います。

ただ、裁判所は、事件が性犯罪であって、保釈の決定は検察官の意見を聞いて判断するので(刑事訴訟法92条1項)、結局、1年間保釈しなかったのだと思います。もっとも、裁判所としては、公判の途中で、証拠からすると女性の証言がウソっぽいことが分かったとは思いますけどね。その辺は事案次第ですので、なんとも言えませんが。


>一億二千七百万の損害賠償を起こしていますが

逮捕後起訴され、結果として「無罪判決」を受けた場合、憲法40条(刑事補償)に基づく刑事補償法によって補償を受けることができます。この男性の場合、杜撰な捜査だったとして国家賠償法に基づく損害賠償も請求したようです(両方の請求が可能なので)。


>県警か検察、どちらの責任ですか?

保釈の決定権限は裁判所にあるので、保釈しなかった責任は、裁判所にあると思います。

杜撰な捜査のまま起訴し被害を生じさせた責任は、杜撰な捜査を行った県警、被告人の供述を全く信用せずに杜撰な捜査を見逃した検察の両方にあります。

ただし、いずれにしても国家賠償責任が認められるかどうかは、事案次第ですので、分かりません。
2007/12/23 Sun 17:41:11
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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