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2007/12/18 [Tue] 06:47:55 » E d i t
薬害C型肝炎訴訟の和解協議の成否は、福田首相の政治決断にかかっています。原告側は「全員一律救済」を求めていますが、政府は難色を示しており、いまだ政治決断をしていません。この薬害C型肝炎訴訟の和解協議に関しては、多くの新聞社が12月14日以降、「政治決断を促す」社説・コラムを掲載していますが、最近のものを2つ紹介することにします。


1.まず社説とコラムを。

(1) 日経新聞平成19年12月17日付「社説」

社説1 肝炎訴訟和解も「意気込み」だけか(12/17)

 薬害C型肝炎訴訟の和解交渉で、政府の対応が注目されている。「年内に和解を成立させる」(舛添要一厚生労働相)、「患者の方々に満足いただけるようになってほしい」(福田康夫首相)と明言して裁判所の和解勧告に応じたのだから、“公約破り”にならないよう、和解を成立させ早期に薬害被害者の救済策を実行しなければならない。

 同訴訟は全国5つの裁判所に提訴された。9月までに出そろった地裁判決は「国に感染被害を止められなかった責任があるかどうか」について、感染源である薬剤の種類や薬剤を投与された時期で区切って判断した。その結論は、「どの時期も責任なし」からほぼ原告の訴えどおりに広い範囲で認定したものまで、5つの判決がそれぞれに異なる。

 大阪高裁が提示した和解案は、国の責任を限定的にとらえる内容で、原告側は薬害被害者の一部が救済されないとして拒否する意向を表明した。同高裁は和解案と同時に出した所見・説明書で「(原告側が要求する)全員、一律、一括の和解金支払いによる解決が望ましいが、被告の国・製薬会社の格段の譲歩がない限り、地裁判決の内容から外れられない」旨、述べている。

 ここで留意すべきは、裁判で争われる「国の責任」の有無とは賠償責任が生じる「違法な行政」があったか否かだ、という点である。肝炎訴訟のような、行政の不作為を問責するケースでは「行政権限を行使しなかったことが著しく不合理」と判断された場合だけが「違法な行政」になり「国の責任」が認定される。

 国民が薬事行政に求める「安全確保の責任」が、そんなものでないのは論をまたない。当の厚労省も「“著しく不合理”にならなければいくらサボっても構わない」などとは考えていないだろう。血液製剤を原因とするC型肝炎感染が発生し広がった原因に、「著しく不合理」とまではいえなくても薬事行政の手抜かりや怠慢があったのは明らかだ。

 政府は、福田内閣発足後の10月になって従来の姿勢を変え、和解交渉の席に着いた。訴訟の経緯と原告側の要求を理解したうえでの方針転換なのだから、国側には何らかの形で責任を認め謝罪する覚悟と、薬害肝炎の患者・感染者全員を救済する腹案がなければおかしい。それなしに「和解成立を目指す」と言ったのならば無責任である。

 約束を果たせそうにない「宙に浮いた年金記録」の名寄せと同じく、肝炎訴訟和解も意気込みを語ったにすぎない――では許されない。」




(2) 東京新聞平成19年12月17日付「筆洗」

「正確な日付は記憶にないが、水俣病の未認定患者の救済を求め、熊本県から上京したときのことはよく覚えている。環境庁を訪れると、仲間が一斉に「よろしくお願いします」と頭を下げたが、自分一人、頭を上げたままで役人に言った。「なぜ、被害者が加害者に頭を下げねばいけないのですか」と

▼約七年前に取材したときの水俣病患者、木下レイ子さんの回想である。不知火海に臨む漁師の家で育ち、海の幸が主食だった。だから両親、自分、夫、姉や妹…と、一族が水俣病に苦しむことになった。だが、全員が認定されていない。何も悪いことをしていないのに、なぜこんな目に遭うのか。納得できるはずがない

▼国と製薬会社に損害賠償を求めている薬害肝炎訴訟の原告の思いも同じであろう。被害者全員の一律救済を求めているが、国は「薬害」と認めながら、原告の言い分に首を縦に振らない

▼国に法的責任があると認められた期間は、裁判によってばらつきがある。救済範囲が際限なく拡大しないよう、救うか救わないかの線引きをしたいらしい

▼原告団の団長が「勇気ある政治決断をお願いします」と訴えていた。どうして被害者の苦しみが分からないのか。煮えたぎるような怒りを抑えての「お願い」だろう。二度と言わなくていいようにしたい。国の指導者こそ、大局的な判断から一人でも多くの人を救うことに腐心すべきである

▼「無学で難しいことは分かりませんが、人間の命より尊いものは世の中にありませんよ」。木下さんの言葉が頭から離れない。」





2.政府が「全員一律救済」に難色を示しているのは、和解成立後も賠償金額が増え続けることへの不安があるからです。政府の試算では、患者数1万2000人、1800億円が必要となると考えているのです。


(1) 朝日新聞平成19年12月15日付朝刊4面

救済範囲、悩みの種

 首相が未提訴者を含む「全員一律救済」に踏み切れない大きな理由は、和解成立後も賠償金額が増え続けることへの不安だ。原告側は追加提訴の可能性が残る人数を「多くて1千万人」と見積もっているが、首相周辺は「根拠が薄い数字」。フィブリノゲンなど血液製剤で感染した1万人以上にとどまらず、輸血で感染した人を含めると、数万人が提訴する可能性も否定できない。

 政府内には「政治判断できるような規模ではない。『一律救済』というならば、消費税を引き上げるぐらいの覚悟が必要だ」(政府高官)との声さえある。政治判断で「一律救済」が実現した薬害エイズ訴訟の場合、救済対象となった患者は約1400人。薬害ヤコブ訴訟でも約100人にとどまる。ともに今回の薬害肝炎訴訟と比べ、追加提訴が急増する可能性は低かった。

 大阪高裁は和解骨子案で、フィブリノゲンについて国側に法的責任が及ぶ期間を85年8月~88年6月に限った東京地裁判決を踏まえる姿勢を示した。首相周辺は「和解が物別れになり、大阪高裁が判決を言い渡すことになったら、救済される人は国の想定よりも少なくなる」と、一律救済を求める原告側を牽制(けんせい)する。(以下、省略)」



(2) 時事ドットコム(2007/12/17-21:55)

1800億円必要と国側試算=1万2000人救済なら-薬害C型肝炎

 薬害C型肝炎訴訟で、汚染された血液製剤を投与されC型肝炎に感染したとみられる約12000人について、仮に全員を救済するとした場合、約1800億円が必要になると国側が試算していることが17日、法務省関係者の話で分かった。
 同省関係者によると、フィブリノゲンや、クリスマシンなどの第9因子製剤を投与されたとみられる感染者は約12000人に上る。
 一律救済を求めている原告側は、巨額の費用がかかるとの見方に対し、被害が証明でき補償対象となるのは、既に提訴している人も含め最大1000人程度と反論している。」



(3) 補償費用は元は国民の税金なのですから、巨額の補償費用が増えないようにするという政府の言い分も一理はあるとは思います。

しかしながら。

「血液製剤を原因とするC型肝炎感染が発生し広がった原因に、「著しく不合理」とまではいえなくても薬事行政の手抜かりや怠慢があったのは明らかだ

 政府は、福田内閣発足後の10月になって従来の姿勢を変え、和解交渉の席に着いた。訴訟の経緯と原告側の要求を理解したうえでの方針転換なのだから、国側には何らかの形で責任を認め謝罪する覚悟と、薬害肝炎の患者・感染者全員を救済する腹案がなければおかしい。それなしに「和解成立を目指す」と言ったのならば無責任である。」(日経新聞)


C型肝炎感染が発生し広がった原因は、薬事行政が「安全確保の責任」を怠ったからです。多数の患者が発生し、巨額の補償費用が必要となったのもすべて薬事行政の責任なのですから、巨額の費用がかかるからといって、補償対象患者を限定し、患者切捨てを行うことは筋違いです。「国側には何らかの形で責任を認め謝罪する覚悟と、薬害肝炎の患者・感染者全員を救済する」方策を採らなければおかしいのです。

「約束を果たせそうにない『宙に浮いた年金記録』の名寄せと同じく」、肝炎訴訟和解の場合も、(全員一律救済を拒むような)無責任な言動は止めるべきです。


「原告団の団長が「勇気ある政治決断をお願いします」と訴えていた。どうして被害者の苦しみが分からないのか。煮えたぎるような怒りを抑えての「お願い」だろう。二度と言わなくていいようにしたい。国の指導者こそ、大局的な判断から一人でも多くの人を救うことに腐心すべきである」(東京新聞)


薬事行政が「安全確保の責任」を怠ったことによる、被害者がなぜ、何度も加害者(国)へ「お願い」をしなければならないのでしょうか。理不尽な思いがします。

高裁は「全員一律救済が望ましい」とも所見を述べています。この所見及び原告側の希望にしたがい、福田康夫首相は、今こそ命の救済を図るべく「全員一律救済」へ政治決断すべきです。政治決断を強く希望します。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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