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2007/12/15 [Sat] 23:48:09 » E d i t
「政党ビラ配りと住居侵入罪の成否(上)~東京高裁平成19年12月11日判決」の続きです。(12月16日追記:ところどころ説明を追加しました)。


1.まず、この事件の事実の概要についてよく知らない方も多いようです。なので、このエントリーでもう少し詳しく触れておきます。

 「被告人は、平成16年12月13日頃、知人から政党ビラ(「都議会報告」「葛飾区議会だより」「区民アンケート」「アンケート返信用封筒」の4種類)を配布するよう依頼され、同月23日午後2時頃、東京都葛飾区内にある本件マンションの玄関口から中に入り、玄関ホール、1階廊下を経てエレベーターで7階に昇り、7階各戸のドアポストから本件ビラを投函し、その階の全戸への配布を終えると、階段を使用して下の階に順次降りていった。本件マンション内の全戸に本件ビラを配布しようと3階まで降りてきたところ(3~7階27戸に投函した)、3階で居室から出てきた住民(男性)に、背後から突然「このビラを入れたのはお前か。迷惑だからやめろ。」と声を掛けられため、被告人は「今後、あなたのお部屋にはビラを入れませんので、何号室ですか。」と尋ねたところ、その直後に男性住民は携帯電話で「共産党のビラを配って者がいる。PC(パトカーのこと)を使え。ガラ(身柄のこと)は押さえた。」などと警察の隠語を交えながら警察に通報し、パトカー2台と12人もの警官がかけつけ、結局、逮捕に至った。

 本件マンションは、地上7階、地下1階建ての鉄筋コンクリート造りの分譲マンションであり、ドア内部の立ち入りについて個別の同意が必要なオートロック式ではない。1階部分は店舗及び事務所用として、2階以上はすべて住宅として分譲されており、1階の店舗用部分の出入口にはガラス製両開きドアがあり、そこから入った場所は、玄関ホールとなっており、その右側の壁には掲示板と集合郵便受けが設置されていた。その掲示板にはA4判大の白地の紙に「チラシ・パンフレット等広告の投函は固く禁じます。」と書かれた本件マンション管理組合名義の張り紙と、B4判大の黄色地の紙に「当マンションの敷地内に立ち入り、パンフレットの投函、物品販売などを行うことは厳禁です。工事施行、集金などのために訪問先が特定している業者の方は、必ず管理人室で『入退館記録簿』に記帳の上、入館(退館)願います。」と書かれた本件マンション管理組合名義の張り紙等があった。その奥にさらにガラス製ドアがあり、その手前の左側に管理室があり、管理員が平日8時から午後5時まで(水曜日及び土曜日は午前中のみ)勤務し、通行人の監視等を行っていた。エレベーター等はその奥のドアを開けてさらに進んだところに設置されていた。

 本件マンション管理組合理事会は、葛飾区の広報紙(“広報かつしか”)を除いてビラやパンフレット等を投函する目的で本件マンションの内部に立ち入ることを一切禁止することを決めており(選挙公報の配布さえ認めていなかった)、本件当時の管理員も、その旨伝えられていた。ただし、“広報かつしか”以外、あらゆる内容のビラの配布を阻止していたことは、理事長の指示で行っていたものであって、管理組合が住民全体に図って決定したものではなかった。

 被告人は40年以上ビラを配っていても住民からとがめられたことがなく、マンション立ち入りの際に、個別に事前に管理者等から立ち入りについて注意や警告を受けておらず、本件マンションにおいて実効的な立ち入り禁止の措置はとられていなかった。そのため、当時商業ビラが多数、各戸のドアポストに投函されていた。」(川口浩一「政党ビラの配布と住居侵入罪の成否」刑事法ジャーナル9号(2007年)146頁参照)


逮捕後の経緯とやや詳しい判決骨子については、「ビラ配布の自由を守る会」をご覧ください。

日本の集合住宅の形式は様々であり、古い二階建てのアパートのように、集合郵便受けや入り口ドアもなく、自由に立ち入りが可能で、包括的な同意が認められている形態のものもあれば、逆にオートロック式のマンションのようにドア内部に立ち入る場合には個別の同意が必要であって包括的な同意が認められない形態のものもあります。今回の事例は、これらの中間的な形態であり、このような中間的な形態の集合住宅でのみ住居侵入に当たるか否か争いになるのです(川口浩一「政党ビラの配布と住居侵入罪の成否」刑事法ジャーナル9号(2007年)152頁)。




2.まず学者のコメントをいくつか。学者にコメントを求めた新聞社は2紙のみでした(関東版では)。

(1) 日経新聞平成19年12月12日付朝刊42面

法の適用範囲 広がりを危惧

 奥平康弘・東大名誉教授(憲法)の話 立川反戦ビラ事件は自衛隊宿舎だったが、今回は一般住宅のため、法の適用範囲が広がるのではないかと危惧する。判決ではポストへの投函を禁じたマンション管理組合の決議を金科玉条として、個別の住民の情報を受け取る権利性が抜け落ちている。これまではマンションのビラまきが許されるケースもあったが、今回の判決に従えば、住居侵入罪が当たり前に適用される可能性もある。恣意(しい)的な法律の適用が問題になるのではないか。マンションでのビラまきなど、いかなるPR活動も禁じることがいいのか疑問だ。

「政党」のみ排除 整合性が取れず

 愛敬浩二・名古屋大教授(憲法)の話 広告などの商業ビラ配布が放置されているのが現状なのに、政党ビラだけを排除するのは整合性が取れない。民主主義社会では多様な意見が流通することが非常に大事で、ビラが必要なければ住民が捨てればよく、コミュニケーション手段として相手にかける負担は小さい。第三者が立ち入ることで生じる「財産権の侵害」の程度も低い。刑事罰を適用すれば表現の自由が過度に抑制されてしまう。」


多くの住居では、政治的ビラだけでなく、地域の情報誌、催し物の案内状、営業の宣伝広告、公共機関や町内会からの通知など多種多様なビラが、毎日何枚も各戸のポストに配布され、個々人が取捨選択して必要な情報を生かしていくのであり、それにより「個別の住民の情報を受け取る権利」の充実を図ることができるのです。「ポストへの投函を禁じたマンション管理組合の決議を金科玉条」として、「個別の住民の情報を受け取る権利」を切り捨ててしまうのは妥当ではないといえるのです。

判決は、住民らが管理組合の決議等を通じてビラ配布のために立ち入り規制を緩和すことも可能であるとしていますが、本来毎日何枚も配布されるビラをいちいち管理組合の決議で決することは非現実的であり、ビラ配布の実態を現実を知らない判断であって妥当でありません。「判決ではポストへの投函を禁じたマンション管理組合の決議を金科玉条として、個別の住民の情報を受け取る権利性が抜け落ちている」点で妥当でないのです。

オートロック方式のマンションを除くマンションにおいては、廊下や階段(共用部分)では、ビラ配りだけでなく、各戸を訪問する友人の行き来、郵便物・新聞等の配達、マンション住民以外の地域住民との交流(例えばバザーやお祭りといった催し)などがなされるが通常です。判決によれば、「マンションでのビラまきなど、いかなるPR活動」も含め、一切を禁じることになってしまい、妥当ではないのです。

「広告などの商業ビラ配布が放置されているのが現状なのに」政治的表現活動の一態様としての「政党ビラだけを排除するのは」、差別的扱い(差別的起訴・処罰)であって、整合性が取れていません。しかも、「ビラが必要なければ住民が捨てればよく、コミュニケーション手段として相手にかける負担」は小さいのに、刑事罰を適用すれば表現の自由を過度に抑制することになってしまいます。刑法の謙抑性の見地や表現の委縮効果の恐れからしても妥当ではないといえるわけです。



(2) 毎日新聞平成19年12月12日付朝刊31面

◇実情無視した判決--白取祐司・北海道大大学院教授(刑事訴訟法)の話

 今回のマンションは明確な立ち入り禁止の表示がなく、日常的に多数のビラが配布されており、判決は実情を無視した一面的なものだ。表現の自由の重要さも十分検討していない。こうした表現活動を「犯罪」とするのは、言論の自由に大きなダメージを与える。裁判所は権力の行き過ぎをチェックすべきだ。東京高裁は自らの役割を放棄したと言える。

 ◇「住居不可侵」勝る--渥美東洋・京都産業大大学院教授(刑事法)の話

 表現の自由は重要だが、相手側が任意に受け取る前提で成り立つ。他人から干渉を受けない「住居の不可侵」は、憲法が保護する領域で「表現の自由」よりも勝る。住居の不可侵を侵害する行為を処罰するのは適切である。

 伝える側も、街頭で配布するなど、相手側の承諾を得た上で自分たちの主張を訴える方法は他にいくらでもある。」


この2人は刑事訴訟法の学者です。本事案は憲法及び刑法の問題ですから、刑事訴訟法の学者にコメントを求めることは聞く相手を間違っているように思います。もっとも、23日間の逮捕勾留という逮捕手続や差別的起訴の妥当性は刑事訴訟法の問題ですが。ただ、さすがというべきか、白取教授は刑事訴訟法に関わらない点でも妥当な論理を述べています。

渥美教授の説明は、「住居の不可侵」というプライバシーは、憲法13条でなく35条で保障されるとし、無断侵害者は誰に対しても銃をもってしても排除できるとして、プライバシーは表現の自由(憲法21条)より優先するという、渥美教授独自の理論に基づいたものです。渥美教授はほとんどの問題について渥美理論で説明しますが、渥美理論への賛同者は(弟子を除き)皆無です。渥美理論はユニークなものであり学問的には評価に値するとしても、一般的に通用する論理ではありません。なので、なぜ毎日新聞が渥美教授にコメントを求めたのか不可解です。毎日新聞の記者が渥美教授のゼミ生だったのでしょうか。


<12月23日付追記>

渥美理論によれば、公道など「開かれた領域」ではプラバシー保護はないとする。マンションの廊下はマンション住民ならば誰でも通行できるので、個人のプラバシー保護はなく(集団のプライバシーがある?)、仮に集団のプライバシーなるものを認めたとしても、廊下へのガラス戸が無施錠で、管理人室による入館者の統制が実施されておらず、「広告」禁止の意味に取れる張り紙しかなかった状況下では、「閉じた領域」と理解するのは無理があり「開かれた領域」と理解するのが自然だろう。渥美理論からすれば、当然、処罰すべきでないとなるはずだが。



3.次に、高裁判決に関する解説記事も引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成19年12月12日付朝刊39面

《解説》 判決、「住民の意思」尊重

 高裁判決の特徴は、住居侵入罪が成立するかどうかの判断にあたって、平穏を守るために立ち入りを禁止した「住民の意思」に重きを置いた点にある。

 1審判決は無罪の理由として、立ち入りを刑事罰の対象とするほどの「社会通念」が確立していないと指摘した。被告の立ち入りが7、8分程度だったことや、40年以上ビラを配っていても住民からとがめられたことがなかった、という事情を列挙。刑事責任を問うことにはなじまないという思いをにじませた判決内容だった。

 高裁は「社会通念」の論点に言及せず、外形的な事実が罪の成立する条件を満たすかを検討。掲示板で住民が立ち入りを拒んでいることを明示した場所に被告が「侵入」したことを重視して結論を導いた。

 今回の事件で通報した住民は処罰を求めたが、ほかの住民には「逮捕は行き過ぎ」という声もあり、起訴が「住民の総意」といえるかは疑わしかった。検察内部でさえ起訴すべきかどうか意見が分かれ、学者や弁護士の間には起訴すると「表現の自由」や「知る権利」が侵害されかねないという懸念も強かった。

 有罪判決は結果として起訴を支持した形となり、今後、ビラ配りに萎縮(いしゅく)効果を与えることが十分に想定される。高裁は「立ち入らなくてもビラの配布は可能だし、個別に住民の許可を得て配ることもできる」といった理由を挙げ、権利は侵害されないとした。しかし、住民の防犯意識やプライバシー意識の高まりという近年の状況を踏まえても、高裁判決が「表現の自由」との兼ね合いをどこまで検討したかという疑念は残る。(岩田清隆、河原田慎一)」(39面)


朝日新聞は、「起訴が『住民の総意』といえるかは疑わしかった」こと、「検察内部でさえ起訴すべきかどうか意見が分かれ、学者や弁護士の間には起訴すると『表現の自由』や『知る権利』が侵害されかねないという懸念も強かった」こと、「有罪判決は結果として起訴を支持した形となり、今後、ビラ配りに萎縮(いしゅく)効果を与えることが十分に想定される」としていることから、住居侵入罪を認めた東京高裁判決に批判的な解説になっています。



(2) 東京新聞平成19年12月12日付朝刊26面

<解説>言論や政治活動委縮
2007年12月12日 07時09分

 「チラシ・パンフレット等広告の投函(とうかん)を禁じる」。どこにでもあるこんな張り紙を理由に、東京高裁は政党ビラを配布した荒川さんを逆転有罪とした。言論や政治活動を委縮させる懸念を考えると、判決は単なる住居侵入事件にとどまらない大きな影響を持つことになるだろう。

 捜査の過程から異例ずくめだった。荒川さんは任意聴取と思って赴いた警察署で突然「通報者に民間人逮捕されている」と通告され、正月を挟み長期拘置された。十数人の警官が子どもしかいない自宅を数時間かけて捜索したが押収すべきものは何も出てこなかった。

 マンションの住民が見ず知らずの人間に敷地内に入ってほしくないと思うのは、住民の防犯意識が高まる中での自然な感情だ。しかし、東京都立川市の自衛隊官舎への反戦ビラ配布事件以降、相次いだ摘発は、住民の防犯意識を利用して、特定の市民団体や政党の主張を恣意(しい)的に弾圧する手段に使っているように見える。高裁判決はこうした流れを支持したことになる。

 ビラ配布は、市民がメッセージを伝達する有力な手段だ。受け手にとっては、情報を得る機会でもある。捜査当局による逮捕、拘置など公権力の行使は住民に害を及ぼす危険性がある場合など、抑制的であるべきだ。

 「表現の自由」と「プライバシー権」がぶつかり合った事件だったのに、一、二審はほとんど憲法判断をしていない。「憲法の番人」である最高裁の判断が注目される。 (出田阿生)」


東京新聞は、「住民の防犯意識を利用して、特定の市民団体や政党の主張を恣意(しい)的に弾圧する手段に使っている」ように見え、高裁判決は恣意的な弾圧手段の流れを支持していること、「ビラ配布は、市民がメッセージを伝達する有力な手段だ。受け手にとっては、情報を得る機会でもある。捜査当局による逮捕、拘置など公権力の行使は住民に害を及ぼす危険性がある場合など、抑制的であるべき」としていることから、東京高裁判決に批判的な解説となっています。



(3) 読売新聞平成19年12月12日付朝刊39面

解説:「侵入」の犯罪要件 形式的あてはめ

 1、2審が政治ビラの配布という目的は正当と認めながら、正反対の結論を出した背景には、集合住宅でビラ配りが日常的に行われている実情を、どの程度考慮したかの違いがある。

 1審は、事件の舞台となったマンションで、ピザの宅配業者のメニューなどがドアポストまで届けられている事情を考慮し、被告のビラ配りも社会通念上、許容できるとした。ところが、2審は、こうした考え方には立たず、ビラ配りを禁じた建物に、許可なく立ち入ってビラを配れば違法と判断した。

 プライバシーや防犯の意識が高まる中、住民の「生活の平穏」を守る権利を極めて重くみた判断といえるが、住民の意思に反する侵入という犯罪の要件を、形式的に当てはめた感はぬぐえない。

 今回同様、2審で逆転有罪となった旧防衛庁官舎ビラ配り事件では、住民の抗議後も配布を続けたことが悪質と判断されたが、今回のケースでは過去に住民とのトラブルはなく、ビラの内容も穏当なものだった。こうした行為を犯罪とした判決を、弁護団は「市民の常識からかけ離れている」と批判した。市民感覚から離れた行き過ぎた摘発は「表現の自由」の制約につながることを、捜査当局も考慮すべきだ。(稲垣信)」


読売新聞は、「今回のケースでは過去に住民とのトラブルはなく、ビラの内容も穏当なものだった」し、「市民の常識からかけ離れている」とした弁護団の批判を肯定的に評価し、「市民感覚から離れた行き過ぎた摘発は『表現の自由』の制約につながることを、捜査当局も考慮すべき」としていることからすると、東京高裁判決に批判的な解説となっています。さすがの読売新聞も東京高裁判決に批判的であったことは、注目すべき点です。 



(4) 毎日新聞平成19年12月12日付朝刊31面

■解説 「居住者の権利」を尊重  逮捕に疑問も 社会で論議必要

 政党ビラ配布事件の東京高裁判決は「住民の許諾なしにマンションに立ち入れば住居侵入罪が成立する」と居住者の権利をより尊重した判断を示し、1審の無罪判決を覆した。

 だが「表現の自由」と「平穏に暮らす権利」がせめぎ合う場面で、どのような調整が図られるべきなのかが決着したわけではない。社会全体で議論を深めることが必要だろう。

 確かに「体感治安の悪化」が指摘される昨今の風潮を考えれば、高裁判決にも一定の説得力はある。その一方で、マンション住民からでさえ「逮捕はやりすぎ」という声は上がっていた。

 司法判断も揺れている。1審は「ビラ配布の目的だけであれば、共用部分への立ち入りを刑事罰の対象とするとの社会通念は確立していない」と、今回とは逆の判断。東京都立川市の防衛庁官舎で、自衛隊イラク派遣反対のビラを配った男女3人が同罪に問われたケースでも、1審は無罪、2審は逆転有罪(罰金10万~20万円、被告側が上告中)だった。

 住民一人一人でも見方が異なる可能性がある。政治的な意見を表明するビラを配っただけで、逮捕され23日間という長期間拘置されることが妥当だったのかという疑問は依然として残る。【銭場裕司】

毎日新聞 2007年12月12日 東京朝刊」


毎日新聞の説明は、ちょっと奇妙です。例えば、

「確かに「体感治安の悪化」が指摘される昨今の風潮を考えれば、高裁判決にも一定の説得力はある。」

体感治安は実際の統計資料とかけ離れた感覚にすぎないのですから、「体感治安」を理由にしたらいくらでも処罰可能になってしまいます。
「体感治安の悪化」をもって処罰することにつき、「説得力はある」はずがありません。

「政治的な意見を表明するビラを配っただけで、逮捕され23日間という長期間拘置されることが妥当だったのかという疑問は依然として残る」として、訴訟手続きの問題点を指摘したことはよいとしても、住居侵入罪を認めた東京高裁判決の結論に批判的かどうかは不明です。



(5) 産経新聞平成19年12月12日付朝刊3面「視点」

共産党ビラ事件 住民の権利、重視の判断
2007.12.11 20:34

政党ビラ配り事件の控訴審判決で逆転有罪となり、無念の表情を見せる荒川庸生被告=11日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ マンションの共用廊下に入ってドアポストにビラを配ることが住居侵入罪にあたるかが争われた裁判で、東京高裁は逆転有罪判決を言い渡した。マンション住民が、ビラ配りを禁止する意思表示を明確にしていたかが争点の一つだったが、この意思表示の解釈が正反対になったことが判決を分けた。

 マンション住民の意思表示としては、マンションの玄関ホールの張り紙があった。張り紙には「チラシ・パンフレット等広告の投函(とうかん)は固く禁じます」「当マンションの敷地内に立ち入り、パンフレットの投函、物品販売などを行うことは厳禁です」と記してあった。

 1審判決は、この張り紙を「商業活動を禁じる趣旨に読める」と指摘。政治的なビラ配り目的の立ち入りまで禁止していることは、来訪者には分かりづらいと判断した。

 一方、高裁は、張り紙の内容は、訪問先を特定していない部外者の立ち入りをすべて禁止しているとした。その上で「禁止されている場所に無断で入ったのだから、住居侵入罪が成立する」という結論を導き出した。

 高裁は「住民は住居の平穏を守るため、政治的なビラ配りを含め、部外者の立ち入りを禁止できる」とも述べた。プライバシー侵害への意識や体感治安の悪化による防犯意識の高まりといった社会情勢に即して、住民側の権利を重視する判断をしたといえる。

 マンションなどの集合住宅には、不特定多数のポスティング業者やデリバリー業者などが許可なく入り、チラシなどを配布していく現状がある。こうした業者についても、住民の意向をくんだ営業活動が求められる。

 (大泉晋之助)」


産経新聞も「体感治安の悪化」を問題にしていますが、妥当性があるとはいえません。産経新聞は、東京高裁判決について直接明確に賛否を示していませんが、「住民側の権利を重視する判断をした」としているので、どちらかというと東京高裁判決を肯定する立場のようです。




4.最後に。

(1) 今回事案では過去に住民とのトラブルはなく、ビラの内容も穏当なものでした。そして、今回の事例を前提として、合法的なビラ配布目的での共用部分への立ち入り行為については、憲法学者及び刑法学者(前田雅英教授を除く)のほぼすべてが不処罰と理解しています(川岸令一「政党ビラの配布と住居侵入罪の成否」判例セレクト2006(憲法7)9頁、中山研一「刑事法学の動き」法律時報79巻12号127頁、松宮孝明「最新判例演習室・刑法」法学セミナー627号(2007年)117頁、川口浩一「政党ビラの配布と住居侵入罪の成否」刑事法ジャーナル9号(2007年)146頁)。また、すでに触れたように1審判決は無罪とし、2審判決が有罪としつつも実質的に罰金0円とし処罰の必要性がないとしているのです。

本問類似の刑法事例としては、「セールスマンお断りの張り紙がある場合に、鍵のかかっていない門扉・ドアを開けて玄関先に立ち入る行為」につき、住居侵入罪が成立するかという事例です。この事例については、営業の自由をも尊重して、張り紙を無視しても立ち入ったとしても(詐欺目的もあったとしても)絶対的に拒否しているとまではいえないとして、「侵入」に当たらず住居侵入罪に当たらないとするのが、従来からの一貫した理解です。

もし今回のような事案において住居侵入罪を肯定するとなると、「セールスマンお断りの張り紙がある場合に、鍵のかかっていない門扉・ドアを開けて玄関先に立ち入る行為」をも処罰することが可能になり、従来の理解を大きく変更することになってしまうのです。ここまで処罰を範囲を拡大する必要性があるか疑問に思います。

過去の判例において、妻と姦通する目的でその承諾を得て夫の留守宅に立ち入った者を住居侵入罪を認めていました(大審院大正7年12月6日判決、大審院昭和13年2月28日判決など)。これらの判例は、出征兵士の妻の姦通事案が多く、当時、出征兵士の士気を昂揚させるため、妻の姦通を処罰する政策的な必要に迫られたが、姦通罪が親告罪であって(旧183条2項)、出征中の夫には事実上、告訴が不可能であったので、姦通罪の代わりに、その手段としての住居侵入行為を強いて処罰しようとしたものでした。今回の事案の場合、共産党ビラ配布自体を処罰できない代わりに住居侵入で処罰するものであって、こういう濫用的な処罰をまた肯定することは妥当でないのです。


そうすると、住居侵入罪不成立とする結論が妥当であると考えます。不成立とする理論構成については、下級審判例や学説には次のような見解があります。

<1>「侵入」(刑法130条前段)に当たらないとする見解
<2>「正当の理由」(刑法130条前段)があるとする見解
<3>違法性阻却事由がある、又は可罰的違法性を欠くとする見解(東京地八王子支判16.12.16)
<4>適用違憲として不処罰とするとする見解(川岸)


ということが主張されています。

「侵入」の解釈としては、主観的要素も重視する判例の傾向からすると、「侵入」に当たらないとすることも可能ですが、居住者の利益と表現の自由の利益衡量を行うのであれば、ビラの内容を含めた実質的判断を行うことになるため、違法性阻却事由として判断することが妥当であるように思います。なぜなら、(1)「侵入」概念はなるべく主観を排除して客観的に判断するべき(=「侵入」時にビラ内容は不明であり、「侵入」判断に関しては客観判断すべき)であり、また、(2)表現の自由を保障することは決して自然なことではないのであって、その擁護を宣言している社会の市民は相応のコストを負担しなければならないのですから(川口浩一「政党ビラの配布と住居侵入罪の成否」刑事法ジャーナル9号(2007年)146頁)、ビラ一切排除することは妥当でなく、政治ビラかどうかといった細かい利益衡量を行うべきだからです。



(2) この問題以外にも共通することなのですが、 合法的なビラ配布目的での共用部分への立ち入り行為についてまで処罰することは、実に寛容性に欠けた判断であるように思えます。

ビラ配り有罪 寛容さ欠くと息苦しい(12月14日)

 政党ビラを配るためマンションの廊下に立ち入った僧侶に対して、東京高裁が刑法の住居侵入の罪で罰金の有罪判決を言い渡した。

 公判では「表現の自由」と「住居の平穏」のどちらを重視するかが争われた。

 判決は住民の許可を受けないで立ち入った行為を処罰しても、表現の自由に反しないと判断した。一審の無罪から百八十度転換し、集合住宅への政治的なビラ配りを有罪にする最近の司法の流れに沿った判決である。

 このマンションに限らず、住宅には毎日のようにビラやチラシ類が投入されている。不要や不快と感じる住民がいるとしても、ドアポストに差し入れただけの人に刑事罰を科するのは行きすぎではないだろうか。寛容さのない社会を助長する判決は残念だ。 (中略)

 ビラは意見や情報を多くの人に伝える簡単で効果的な手段である。自分と異なる意見のビラが入っていても、多様な情報を得る受忍の範囲内だろう。

 商業ビラ配布で罪に問われた例は聞いたことがない。どうして政治的意見を書いたビラだけ摘発されるのか。

 かつては過激派やオウム真理教に適用された微罪での逮捕・立件が、拡大されていく不安も感じる。

 東京高裁は二年前、自衛隊宿舎に反戦ビラを配った市民運動家に逆転有罪判決を言い渡した。東京地裁も昨年、マンションに共産党機関紙を配った社会保険庁職員に有罪判決を出した。

 反戦ビラと今回の事件を審理する最高裁は、もっと実態をふまえ、表現の自由を重視した判断を示してほしい。」(北海道新聞平成19年12月14日付「社説」


今回の事案では、住民男性が突然「このビラを入れたのはお前か。迷惑だからやめろ。」と声をかけ、被告人は「今後、あなたのお部屋にはビラを入れませんので、何号室ですか。」と尋ねたところ、その直後に男性住民は警察に通報したのですから、住民側はその場で話し合うことさえ拒絶したかのような対応です。また、現に一連の事件によってバザーの開催などを知らせるチラシでも配布を断られる事態が生じており、市民の過剰反応はますます助長されているようです。

東京高裁判決のように住居侵入罪を認めることは、より寛容性に欠ける社会をもたらし、より社会を息苦しくしかねません。最高裁は、社会に寛容さをもたらすような判断を行ってほしいと思います。


テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
最高裁に寛容さを持つよう強要されるいわれはありませんね。
私有地で誰を入れ、誰を追い出そうが土地の所有者の自由ですよ。財産権で規定されています。
2007/12/16 Sun 18:00:34
URL | 完全体 #F5zq6Lws[ 編集 ]
教えてください
>「セールスマンお断りの張り紙がある場合に、鍵のかかっていない門扉・ドアを開けて玄関先に立ち入る行為」につき、住居侵入罪が成立するかという事例です。この事例については、営業の自由をも尊重して、張り紙を無視しても立ち入ったとしても(詐欺目的もあったとしても)絶対的に拒否しているとまではいえないとして、「侵入」に当たらず住居侵入罪に当たらないとするのが、従来からの一貫した理解

絶対的に拒否したい場合、どのようにしておけばいいのでしょうか?



柔らかく、「セールスマンお断り」程度では、駄目なんですね・・・。
茶道にみる「止め石」のような風雅が砕け散った感じで、息苦しいです。
2007/12/16 Sun 18:25:06
URL | P #ex3yOCrA[ 編集 ]
共産党員の場合、出て行けといっても出て行きませんからねぇ。
2007/12/16 Sun 21:24:39
URL | 完全体 #zPm1fXlo[ 編集 ]
>完全体さん:2007/12/16(日) 18:00:34・2007/12/16(日) 21:24:39
コメントありがとうございます。


>最高裁に寛容さを持つよう強要されるいわれはありませんね。

「強要」はしてませんけど。
というか、一市民がどうやって最高裁に「強要」できるのでしょう?


>私有地で誰を入れ、誰を追い出そうが土地の所有者の自由ですよ。財産権で規定されています。

ほ~。
「私有地で誰を入れ、誰を追い出そうが土地の所有者の自由」であると、「財産権で規定」すなわち「財産権」で「明記」しているのですね。ぜひその「財産権」の条文及びその条文の文言を示して下さい。
それに、住居侵入罪の保護法益って知っていますか? 知っていて「財産権」と書いたのですか?

土地の占有権限を有する者が「私有地で誰を入れ、誰を追い出」すことはできるとしても、どんな立ち入りでも処罰に値する犯罪なのかどうかは別問題です。東京高裁の事案で問題となっているのは法律問題であり、どういう法律問題が問題点となっているのか分かってますか? 


>共産党員の場合、出て行けといっても出て行きませんからねぇ。

Pさん宛てのレスですか? Pさんは「セールスマンお断り」の話をしていて、共産党員の場合を論じているわけではないのですけど。
それはともかくとして、共産党員は一般的に退去しないということですか? では、その証拠資料があるのですか? 根拠のない誹謗中傷は名誉毀損になりますので、お気をつけ下さい。

そういえば、完全体さんは、東京高裁判決に批判的なブログの幾つかで、エントリー批判のコメントを行ってますね。この問題のみやたらと熱心なように思いますが、ビラ配りをした共産党支援者に対して個人的な恨みでもあるのですか? まずは法律学を学ぶことをお勧めします。
2007/12/17 Mon 17:57:25
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>Pさん
コメントありがとうございます。(はじめまして、ですよね? でもどっかで記憶が……)


>絶対的に拒否したい場合、どのようにしておけばいいのでしょうか?
>柔らかく、「セールスマンお断り」程度では、駄目なんですね・・・。

「鍵のかかっていない門扉・ドア」の場合には立ち入ることがあるのですから、鍵をかけていれば玄関先まで入れません。「セールスマンお断り」の張り紙の有無を問わず。

ただし、どんなことでも「絶対的に」ということは無理な話です。扉は元々入ることを予定しているので、入るか否かは結局相手次第になってしまうのですから。「泥棒お断り」って張り紙をしたら、泥棒が入らない……ことになったら、世の中なんと幸せなことか!

話は少し変わりますが、「セールスマンお断り」「猛犬注意」は、古典的・例文的なお断り文句です。通常、これは「立ち入るな」という意味と言うよりも、「訪ねてこないでほしい」(=ベルを鳴らしたり、扉を叩いたりするな)という意図ですね。(また、通常は、「セールスマンお断り」のほかに「受付は○○の場所でお願いします」といった張り紙をして誘導するかと思います。)
一般家屋の場合、こういった張り紙で訪ねてこないセールスマンもいるでしょうが、例文的なお断り文句で引き下がっているようなセールスマンは会社での評価は低いでしょうね。


>茶道にみる「止め石」のような風雅が砕け散った感じで、息苦しいです。

「セールスマンお断り」の張り紙があるのに訪ねてきたくらいで、処罰する方が息苦しいと感じます。相手だって生きるために仕事をしているのですから。セールスマンに会いたくないなら居留守を使ってもいいのですし。ぎすぎすした風潮から、一歩引いて落ち着いて考えることができるのが「茶道」のよいところでしょう。
2007/12/17 Mon 18:12:01
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
> 「強要」はしてませんけど。

少なくとも春霞氏は「最高裁は、社会に寛容さをもたらすような判断を行ってほしい」とエントリーに書いておられますよね。
つまり最高裁が、部外者の侵入を嫌がる住民に対して「もっと寛容になりなさい」と被告に無罪判決を下す事を望んでおられるのでしょう?
そうなれば、共産党のみならずさまざまな政党、政治団体のビラ撒きが訪れる可能性が高まります。
それはつまりビラ撒き禁止の住民の意思を、最高裁が「受け入れなさい」と否定する事になりませんか?

> 知っていて「財産権」と書いたのですか?

高裁判決で「表現の自由であっても他者の財産権を侵害する事は許されない」とありましたので、
私はこの判決でマンション管理者の財産が侵害されたと解釈しました。

> 土地の占有権限を有する者が「私有地で誰を入れ、誰を追い出」すことはできるとしても、どんな立ち入りでも処罰に値する犯罪なのかどうかは別問題です。

私有地内で土地の管理者が定めた禁止行為を止めるよう要請しても止める意思がない人物に対しては、警察に通報する以外に有効な手立てはないと思いますが。
被告は住人に咎められても、咎めた住人以外の部屋にはビラ投函を続けようとしていますし。

> 根拠のない誹謗中傷は名誉毀損になりますので、お気をつけ下さい。

個人的実体験を述べただけです。
場所、日付、出て行かなかった共産党員の名前は覚えていますし、大勢が私との口論を目撃していますので、訴訟になったとしてもウソではない事を証明するくらいは出来ます。

> ビラ配りをした共産党支援者に対して個人的な恨みでもあるのですか?

ビラ撒き禁止の張り紙を無視してビラを入れている共産党員と口論になった事があります。
商業ビラや他の政党(民主党)のビラ撒きは、注意するとすぐに謝罪して立ち去るので通報するような事態にはならないんですけどね…。
2007/12/17 Mon 20:13:52
URL | 完全体 #3Fn2fuP2[ 編集 ]
 いつも勉強させていただいております。NISSHAと申します。

 本件は憲法学と刑法学とがミックスしていて、法律を学ぶ者としては、実に興味深い事例だと思います。
 本件を複雑にしている要素として、①被告は以前から本件マンションでビラ配布をしてきたのに、一度も咎められたことがないこと、さらに、②本件マンションにおいて商業用ビラ配布は基本的に自由に行われていたこと、が挙げられると思います。
 まだ判決全文がアップされていないので詳しいことはわからないのですが、11日の東京高裁判決(以下、本判決)が平穏侵害説に依拠したのだとすると、少々不自然さを感じます。すなわち、商業用ビラの配布が「平穏を侵害した」として住居侵入罪の適用を受けていないのに、被告人のみが「平穏を侵害した」ことになるのは、論理が一貫していないように感じるのです。被告人がエントランスのオートロックを突破したとか、押し売りのように玄関に居座ったなどの状況があったのなら、被告人のみに本罪の適用があっても不自然ではないのですが。少なくとも、他の商業ビラ配布行為が本罪の適用を受けていないのは、そもそもそれらの行為が平穏を侵害するものではなかったからではないでしょうか。
 この点、住居権説に依拠するのなら、政党ビラ配布に限っては住居権侵害を構成する、と考えることも、各住民の主観は多様ですから、ありえないことではないと思います。このような住居権説の(過度に)個人主義的な点が、平穏侵害説から批判されるところではありますが。

 確かに、被告がエントランスの「貼り紙」を無視してビラ配布を行った点には責められるべき点があるとしても、上記①および②に鑑みるならば、被告人が、「貼り紙」の内容について、「平穏を害することが明白な態様での配布のみを禁じている」のだと縮小解釈したり、自分に対しては管理側の暗黙の了承が存するのだ、と誤認したりすることも、致し方ないではないかと思います。

 また、本判決は「被告人が他の方法によってビラ配布をすることも可能だった」と述べています。これを春霞氏は、LRAの基準の適用ではないかと分析されていますが、仮に本判決がLRAを適用するつもりで上記のようなことを述べたのだとしたら、LRAの意味を誤っていると思います。LRAを適用すべきは、公権力による表現行為の規制についてなのであって、本件でLRAの原則を適用するならば、逮捕権および公訴権の運用において「より制限的でない他の方法がなかったか」を検討すべきなのです。被告が他の表現方法を選びうるか否かは、表現行為の内容規制が内容中立規制よりも緩やかな合憲性判断で許されるための根拠なのであって、LRAの適用場面とは異なるはずです。

 長文で失礼いたしました。
2007/12/18 Tue 18:44:07
URL | NISSHA #C7zzqf8w[ 編集 ]
訂正します。

誤:表現行為の内容規制が内容中立規制よりも緩やかな合憲性判断で許される
  ↓
正:表現行為の内容中立規制が内容規制よりも緩やかな合憲性判断で許される

試験なら一発アウトですね。失礼しました。
2007/12/18 Tue 18:47:45
URL | NISSHA #C7zzqf8w[ 編集 ]
>完全体さん:2007/12/17(月) 20:13:52
コメントありがとうございます。


>最高裁に寛容さを持つよう強要されるいわれはありませんね。
>私有地で誰を入れ、誰を追い出そうが土地の所有者の自由ですよ。財産権で規定されています。

この意味を誤解していました。すみません。

「俺の土地で何をしようが俺の勝手だ。最高裁が住居侵入罪不成立? そんなの関係ねぇ」

こういう意味だったんですね。ではこれを前提として。
仮に今回の東京高裁の事案で住居侵入罪が不成立ならば、検察官は同種の事例で起訴しないということであって、完全体さんが、マンション廊下からビラ配り中の共産党支援者を追い出したところで、最高裁から直接「寛容さを持て」と強制されることはありません。刑事裁判の判例なのですから。


>そうなれば、共産党のみならずさまざまな政党、政治団体のビラ撒きが訪れる可能性が高まります。

観念的には可能性はありますが、現実には「共産党のみならずさまざまな政党、政治団体のビラ撒き」が行われますかね~。非現実的な気がしますけど。

それにしても、そんなにも政治団体のビラを見たくないのですか?

政治団体のビラは見るものイヤという感情をもつことは個人の自由ですが、有権者の態度としては好ましくありません。選挙権を有する者は選挙で選んだ議員の行動を知り、議員も有権者に対して政治行動を伝える政治的責務を負っているのですから、地方議員や国会議員を輩出している政党の場合、その政党の行動は議員の行動を決定するため政党情報は知るべきだからです。


>それはつまりビラ撒き禁止の住民の意思を、最高裁が「受け入れなさい」と否定する事になりませんか?

この事件は刑事事件ですから、仮に最高裁が住居侵入罪不成立としても、住民は訴訟当事者ではないのですから、最高裁がビラ配り禁止の意思を持つ住民に対して「受け入れなさい」と強要するわけではありません。

もっとも、かりに東京高裁のまま最高裁でも維持された場合でも、検察は同種の事案で起訴することはないでしょう。実質罰金0円の有罪判決なんですから、起訴するだけ無駄なので。


>私有地内で土地の管理者が定めた禁止行為を止めるよう要請しても止める意思がない人物に対しては、警察に通報する以外に有効な手立てはない

入ることができないように鍵をかけておくことで足ります。鍵をこじ開けて入ってくれば住居侵入罪です。


>> 根拠のない誹謗中傷は名誉毀損になりますので、お気をつけ下さい。
>個人的実体験を述べただけです。
>場所、日付、出て行かなかった共産党員の名前は覚えていますし、大勢が私との口論を目撃しています

個人の1体験だけで、共産党員一般も同じ扱いをすることは無理があります。


>大勢が私との口論を目撃しています
>商業ビラや他の政党(民主党)のビラ撒きは、注意するとすぐに謝罪して立ち去るので通報するような事態にはならない

どうやら完全体さんはマンションの管理人さんのようですね。昼間、誰が入っていくるか熱心に監視し、通報までするくらいなのですから。

でも、どうでしょうか? 

マンション住民は、ビラ配りの人たちと揉め事を起こすようなことまでして、ビラ配りを排除してほしいと望んでいるのでしょうか? かえって完全体さんの熱心さに冷たい目を
向けている住民も少なくないのでは、と思います。揉め事になるのはどっちもどっちだと。

もしかしたら、ビラ排除を執拗に迫る住民から「今日、1枚入っていた、サボるな」などと、完全体さんが理不尽に文句を言われていて、仕方なくビラ配りの人排除に努めているのかもしれませんが。

どちらにせよ、オートロック方式のマンションか24時間監視する管理人が常駐するのでなければ、完全なビラ排除は難しいですね。 
2007/12/20 Thu 08:24:04
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>NISSHAさん
はじめまして、コメントありがとうございます。

>本件は憲法学と刑法学とがミックスしていて、法律を学ぶ者としては、実に興味深い事例だと思います

そうですね。憲法学と刑法学とがミックスした問題だと、なかなか1分野のみしか理解していない研究者だと手におえない状態ですし。例えば名誉毀損罪は刑法と憲法が絡む問題ですが、名誉毀損罪のようにこの事案も違法性阻却で処理するのかどうか、最高裁での判断が気になります。


>商業用ビラの配布が「平穏を侵害した」として住居侵入罪の適用を受けていない
>少なくとも、他の商業ビラ配布行為が本罪の適用を受けていないのは、そもそもそれらの行為が平穏を侵害するものではなかったからではないでしょうか
>住居権説に依拠するのなら、政党ビラ配布に限っては住居権侵害を構成する、と考えることも、各住民の主観は多様

東京高裁判決は、エレベーターや各階廊下はもちろん、玄関ホールへの立ち入りも住居侵入罪にあたるとしているので、玄関ホールへ入れば商業用ビラの配布であっても住居侵入になってしまうように思います。玄関ホールへの立ち入りで「侵入」になるのですから、住民と個別に会うまでもなく、犯罪成立になってしまいそうです。そうなると、保護法益との関係ではどう説明するのでしょうね。

玄関ホールまでなら「侵入」にならないというのであれば、NISSHAさんが考えたような筋道もなるほどと思います。


>本判決は「被告人が他の方法によってビラ配布をすることも可能だった」と述べています。これを春霞氏は、LRAの基準の適用ではないか
>本判決がLRAを適用するつもりで上記のようなことを述べたのだとしたら、LRAの意味を誤っている
>LRAの適用場面とは異なるはず

そうですね。
まぁ今は、LRA(より制限的でない他の選びうる手段)の基準は人権制限一般の審査基準とするのが妥当という考えもありますので、この点での判例批判は難しそうです。

話は少しずれますが、東京高裁判決のように「他の方法でビラ配布すれば?=マンションの外で配れ」なんて言ったら、マンションに限らず住宅街だったら、一日中立ちんぼしててもビラを渡せません。駅前ならともかく、用もないのに外をうろうろしている住民なんていないんだから。
東京高裁が提示する他の方法は、非現実的な方法なので、「より制限的でない他の選びうる手段」になっていないだろうに、と思っています。
2007/12/20 Thu 08:27:33
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
いつもためになる記事をありがとうございます。ところで春霞大臣(笑)、「下」だけでなくて、「上」もトラックバックください。お願いします。
2007/12/22 Sat 00:22:18
URL | 村野瀬玲奈 #6fyJxoAE[ 編集 ]
>村野瀬玲奈大臣(笑)
コメントありがとうございます。
薬害肝炎協議決裂のエントリーなど作成中だったので、コメントにすぐに気づきました。


>「下」だけでなくて、「上」もトラックバックください。

ご要望ありがとうございます。早速、TBしました。渡辺喜美行政改革担当相と異なり、官僚の抵抗はありませんので、TBはすぐに実行できますね(^^ゞ
2007/12/22 Sat 01:15:49
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>>完全体
>私有地で誰を入れ、誰を追い出そうが土地の所有者の自由です>
>よ。財産権で規定されています。

参政権を一切放棄すればね。
2007/12/23 Sun 23:40:32
URL | Executor #-[ 編集 ]
>Executorさん:2007/12/23(日) 23:40:32
はじめまして、コメントありがとうございます。


>参政権を一切放棄すればね

なるほど。これからもコメントお願いします。
2007/12/28 Fri 07:08:49
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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