1.まず報道記事から。
(1) 朝日新聞平成19年12月11日付朝刊1面
「名寄せ困難な年金、1975万件 宙に浮く5000万件
2007年12月11日06時06分
基礎年金番号に統合されず、持ち主の分からない5000万件の「宙に浮いた年金記録」の内訳の全容が10日、社会保険庁の調査で分かった。コンピューター上の照合作業で本人を特定できた記録は2割にあたる1100万件にとどまった。厚生年金を脱退済みなど、統合の必要のない記録が3割あるとし、4割近くの1975万件は入力ミスなどで本人の特定が困難とした。
政府・与党は来年3月末までに「名寄せを完了する」としていたが、持ち主が分かったのは一部にすぎず、記録問題の解決にはほど遠いことが浮き彫りになった。
調査結果は現時点での作業をもとに推計した。11日にも発表される。
年金記録は現在、1人で複数の記録をもつ人もおり、記録件数に比べて持ち主の人数は少なくなる。このため、特定できた1100万件は、850万人分に相当する。
照合作業では、年金の受給者と現役世代の加入者を合わせた計1億300万人の記録と、宙に浮いた5000万件を突き合わせるコンピュータープログラムを開発し、持ち主を捜している最中だ。
作業の結果、氏名、生年月日、性別の3条件が一致したのは、年金受給者では300万件(250万人分)。現在3700万人いる年金受給者のうち、少なくとも約7%にあたる250万人が本来の年金の一部を受け取れず、受給漏れを起こしている計算だ。
また、現役世代で先の3条件が一致したのは800万件(600万人分)。両方を合わせ、本人が特定できたのは計1100万件、全体の21.6%とした。社保庁はこれらの記録について、12月中旬から本人に該当の可能性を知らせ、確認を求める。
社保庁は今後、データを修正中で名寄せの成否が不透明な「氏名欠落」の470万件などを対象に、検索条件を広げて持ち主を捜す「2次名寄せ」も実施する。この作業で持ち主が特定できそうなのは「100万〜200万人」と見込んでいる。3月末までに持ち主が分かるのは最大でも、850万人にこれらを加えた1000万人程度となりそうだ。
一方、本人の特定が困難な記録は、1975万件、全体の38.8%に達する見込み。このうち、社保庁によるコンピューターへの入力ミスと考えられる記録が945万件、漢字の氏名をカナに変換するときの誤りが240万件。これらのずさんな事務上のミスだけで宙に浮いた5千万件の2割以上を占めている。
これらの記録については、コンピューター上だけでなく、紙台帳などの原簿にさかのぼって照合するなどして、来年4月以降も本人の特定作業を続けるという。」
(2) 産経新聞平成19年12月11日付朝刊1面
「年金統合2割困難 945万件 首相公約に黄信号
2007.12.11 00:56
社会保険庁は10日、基礎年金番号に未統合で宙に浮いた年金記録約5000万件のうち、18・5%にあたる約945万件が、手書き台帳と照合したとしても統合が難しい記録であるとの調査結果をまとめた。社保庁は、こうした記録が一定程度出ることを認めていたが、5件に1件もが特定困難な記録であることが判明したことで、「最後の1人、最後の1円まで確実に年金を支払う」との福田政権の公約は実現が難しくなった。
調査結果は、11日の自民党の年金記録等適正化推進チーム(座長・衛藤晟一厚生労働部会長)に報告される。
調査結果によると、今後手作業による解明が必要な記録は、全体の38・8%の1975万件に上った。このうち945万件が、手書き台帳との照合だけでは特定が困難で、統合が難しい記録として分類された。
大半は、手書き台帳からオンラインシステムに移行する際の社保庁職員の入力ミスや、加入者が就職採用条件をクリアするために年齢を虚偽申請したケースとみられる。外国に移住した人や、日本で一時的に働いていた外国人の記録も含まれるという。
入力ミスや年金加入時に生年月日、氏名を虚偽申請した記録については、本人が名乗り出ない限り手がかりすらつかめないことが想定されるという。このため、社保庁は「最終的に特定できないものが相当数残る」(幹部)とみている。ただ、平成9年の基礎年金導入以前は1人で複数の年金番号を持っていたため人数を特定するのは困難だ。
1975万件には、すでに亡くなった人のものとみられる記録や、婚姻で氏名が変わった人の記録も含まれていた。これらは自治体公報などを通じて申し出を呼びかける。オンライン化の際に氏名の漢字を変換するソフトが誤入力していたケースについては、照合プログラムの一致条件を緩和して調べ直す。
一方、氏名、生年月日、性別の3条件がオンライン記録と一致し、有力な手がかりが見つかったのは1100万件(850万人分)。これらについては17日から順次「ねんきん特別便」を発送し、確認を呼びかける。」
2.自民党政府は、次のように公約していました。
「5000万件の記録について、政府・与党は参院選前の7月5日にまとめた対策で、「2008年3月までに照合・通知を完了する」としていた。(中略)
舛添厚労相は8月28日の就任時の記者会見で、5000万件の記録について、「最後の1人、最後の1円までがんばってやるということを公約として申し上げた」などと述べ、記録の持ち主の全員特定を明言していた。
また、安倍前首相も7月の参院選挙中に、「最後の1人にいたるまで、記録をチェックして、まじめにこつこつと保険料を払っていただいた皆さんの年金を正しくきっちりとお支払いしていくこと」(7月21日、鳥取県米子市内の街頭演説で)などと述べ、すべての記録の特定を約束していた。」(2007年12月12日1時40分 読売新聞)
「4割近くの1975万件は入力ミスなどで本人の特定が困難」なのですから、公約実現は不可能になり、公約違反になることが明白になりました。元々、「「消えた年金記録」問題:突如として柳沢厚労相が謝罪、5000万件の照合来年5月までに照合明言〜本当に可能なのか?」(2007/06/05(火) 08:11:54)で触れたように、最初から照合・通知を完了することが困難であるという見方が大勢でした。今回の報道で、公約実現が不可能であることが正確なデータという形で明白になったわけです。
公約違反であることが明らかになっただけでなく、安倍前首相は、参院選挙中に、「最後の1人にいたるまで、記録をチェックして、まじめにこつこつと保険料を払っていただいた皆さんの年金を正しくきっちりとお支払いしていくこと」とまで明言したのです。首相が率先して公約を明言していたのですから、政府は国民に対して、公約違反となったことにつき謝罪を行い、対応策をはっきり示すべきです。
また、舛添厚労相は就任時の記者会見で、5000万件の記録について、「最後の1人、最後の1円までがんばってやるということを公約として申し上げた」とまで明言していたのです。ですから、舛添厚労相は、公約違反をしたことにつき国民に対して謝罪を行い、責任を取って辞任することが最も適切な判断です。
(1) 時事ドットコム2007/11/22-19:29
「 「公約違反ではない」=年金記録問題で舛添厚労相
舛添要一厚生労働相は22日の閣議後記者会見で、「宙に浮いた」年金記録の特定が一部困難との見方を示したことについて「決して公約違反という、そういうたぐいのものではない」と述べ、これまで自ら表明してきた「最後の1人、最後の1円まで確実にやる」という公約には反していないとの考えを強調した。」
(2) YOMIURI ONLINE(2007年12月11日13時53分)
「不明年金で首相「最後の1人まで調べる気持ちで」
福田首相は11日昼、約5000万件の該当者不明の年金記録のうち、約4割が「名寄せ」作業による持ち主の特定が困難になっていることについて、「どうしても分からない事情もあるかもしれないが、最後の1人まで調べ上げる気持ちで取り組みたい」と述べた。
首相官邸で記者団の質問に答えた。
一方、町村官房長官は11日午前の記者会見で、「(記録の特定を)最後の1人、最後の1円まで全部3月末にやると言ったわけではない。ただ(7月の参院選では)選挙なので、『年度内にすべて』と縮めて言ってしまった」と述べ、3月末までの「名寄せ」作業で持ち主をすべて特定できなくても、政府の公約と矛盾しないとの立場を示した。
(2007年12月11日13時53分 読売新聞)
(3) 町村官房長官が言うように「(記録の特定を)最後の1人、最後の1円まで全部3月末にやると言ったわけではない」のだとしたら、政権公約はいくらでもなかったことにでき、政権公約違反はなかったことにできてしまいます。参院選前の7月5日にまとめた対策で、「2008年3月までに照合・通知を完了する」としていたのに。町村官房長官の発言は実に国民(有権者)をなめきった、国民(有権者)を侮辱した発言であり、自民党政府にとっては、政権公約などは守る気がないことを示したわけです。
年金問題や格差問題が影響して、自民党は参院選で大敗したにもかからわず、こうやって年金問題を軽視する言動を行い、国民の神経を逆なでしているのです。
自民党が政権公約を守る気がないのだとすると、どんな選挙であっても有権者は自民党を信用する気を喪失します。自民党は、次期国政選挙において、どんな政権公約を掲げようと
と全野党及びマスコミ(読売を除く)から揶揄され、まともな有権者ならば自民党に投票しないはずです。「どうせうまくいかなくなったら、政権公約をなかったことにする気のくせに」
自民党は次期国政選挙でも大敗することが確実になってきました。自民党は自滅の道を突き進んでいるようです。自民党議員は、自滅の道を突き進むことを止めようとしていないのです。昔の自民党議員であれば、自民党が自滅しないように福田内閣を批判する議員がいたはずなのですが、誰も危機感が生じなくなったか、誰も批判しません。
ここまで腐りきった以上、自民党を信じるとバカを見る――。有権者は、次期国政選挙において自民党を徹底して信用せず、解党の危機に追い込むように投票するべきであると考えます。
テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
>公約違反で大臣を首にしたら。役人が悪いのですから
年金問題が生じたのは、社会保険庁の責任であることは確かです。
でも。肝心なことは、公約は政党(国会議員)と有権者との約束なのです。特に政権与党が、力を入れて約束した公約を、選挙後に「公約はなかった」としらばっくれたら、有権者は投票できなくなってしまいます。
公約の重要性を今一度、自民党に認識してもらう必要があるので、謝罪・辞任しろと主張しています。
まぁ、謝罪・辞任しなければ、自民党や公明党は衆院選では大敗し、野党へ転落するでしょうけど。そうなると……仰るとおり、大臣を首にしないで自滅してもらうのが最良かもしれません(^^ゞ
>官僚の首を取れば世の中変わりますよ
官僚は、ちょっとした処分があるくらいですね……。誰が首切りするのかな〜。自民党政権ではやらないかも。
>舛添さんは人気取りで頑張ったけれど役人は笑っているのです。
確かに。
社会保険庁の役人は「できもないことを約束して困るし、できなくなったら、すっとぼけとは」と苦笑してるでしょうね。
>ところで橋下弁護士の裁判はどうなっていますか、我々は調べようがありません
裁判の動向は↓で一応分かります。
「光市事件懲戒請求扇動問題 弁護団広報ページ」
http://wiki.livedoor.jp/keiben/d/FrontPage
ただ、第2回以降の期日は弁論準備手続(電話会議)となり、弁論準備手続は非公開であり、一般の傍聴はできません。訴訟当事者以外が知ることができるのは、準備書面だけです。
>どちらにしても大阪府民の見識が問われますね。
当選するようなことだけは止めてほしいです。へんなことを言う知事は石原東京都知事だけで十分です(^^ゞ
引用されている読売の記事では「「5000万件の記録について、政府・与党は参院選前の7月5日にまとめた対策で、「2008年3月までに照合・通知を完了する」としていた。」となっています。
www4.sia.go.jp/top/kaikaku/kiroku/taisei1-2.pdfがこの記事で言っている「対策」なのでしょう。
ここには20年3月を目処として記録の「名寄せ」を実施することと、その結果を通知することが書かれています。持ち主を特定し、記録を統合するのは20年3月以後の話となっています。
名寄は行われ、通知も行われる。ただし名寄せした結果、持ち主を特定することが困難な記録があることが分かった。これは公約違反なのでしょうか?
URL | 平家 #-[ 編集 ]
>名寄は行われ、通知も行われる。ただし名寄せした結果、持ち主を特定することが困難な記録があることが分かった。これは公約違反なのでしょうか?
自民党や福田内閣は、名寄せに努力すると言いたかっただけで、誤解するようなビラが良くなかったそうです。なので、自民党や福田内閣からすれば、「公約違反」ではないようです。参院選中の有権者の意識からすれば、「えーーーーーー! そんな誤魔化しって許されるのか!」と呆れた言い訳ですが。
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