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「死刑執行は前回8月の3人執行からわずか3カ月半」であり、「国会開会中の執行は、長勢甚遠前法相当時の4月27日以来」。「鳩山法相の執行命令は初めてで、福田内閣での執行も初」であり、死刑確定者は「今回の執行で104人」となりました。「年間の執行者数は9人となり、1976年以来最多となった」のです( 【共同通信・2007/12/07 13:23】)。こういった過去の死刑執行例と比較すると、今回の執行はかなり異例なものであったことが分かります。
1.まずは、死刑を執行したとの記事と、アムネスティや国連人権高等弁務官による声明を引用しておきます。
(1) 朝日新聞平成19年12月7日付夕刊15面(4版)
「死刑、初の氏名公表 法務省、3人執行と発表
2007年12月07日12時09分
法務省は7日、3人の死刑を執行した、と発表した。法相が執行命令書に署名しなくても執行が進む「死刑の自動化」を提案した鳩山法相の下での初めての執行となった。発表にあたり、同省は初めて、対象となった死刑囚の氏名と犯罪事実、執行場所を公表。「情報公開することで死刑制度に対する国民の理解を得られる」との狙いから、実施の事実だけを伝えて氏名などは一切公表しない従来の方針を転換した。
07年中の執行は、長勢法相時代の6人とあわせて計9人で、年間の執行者数としては77年以降で最多となる。刑事事件の厳罰化の流れのなかで、死刑確定者は増え続けており、この日の執行後の生存死刑囚は104人となった。
発表によると、執行の対象になったのは藤間静波(せいは)死刑囚(47)と府川博樹死刑囚(42)、池本登死刑囚(74)の3人。藤間、府川両死刑囚は東京拘置所で、池本死刑囚は大阪拘置所でそれぞれ執行された。
発表された犯罪事実やそれぞれの確定判決などによると、藤間死刑囚は81〜82年、横浜市で盗み仲間の男性(当時20)を刃物で刺殺したほか、神奈川県藤沢市の女性(同16)ら一家3人を刺殺。一緒に逃亡していた元店員の少年(同19)も兵庫県尼崎市で刺殺した。
府川死刑囚は99年、女性との交際費に困って東京都江戸川区の無職女性(同65)に借金を申し込んだが断られ、女性とその母親(同91)を刺殺した。
池本死刑囚は85年、隣人から自分の畑にごみを捨てられるなどの嫌がらせを受けたなどと思い込み、徳島県内の自宅にあった散弾銃で近所に住む3人を射殺し、1人に重傷を負わせた。」
「制度へ理解求める狙い
法務省は初めて氏名を公表した理由について「事件の被害者をはじめとする国民から情報公開をすべきとの要請が高まるなか、死刑が適正に執行されていることを国民に理解してもらうために公開が重要と考え、法相が今回の公表を決断した」と説明している。
もともと法務省は執行の事実についても、法相が記者会見などで言及した例外的なケースを除き公表していなかった。
98年11月、当時の中村法相の「情報公開の観点からも国民に知らせるべきだ」との考えに基づき、執行の事実だけは公表するようになった。しかし、具体的な死刑囚の名前や執行場所については「死刑確定者の遺族や、他の死刑確定者の感情を考えた結果、公表はふさわしくない」との理由で伏せてきた。
このため、これまでは死刑廃止を訴える団体や報道機関などが執行対象者を独自に割り出してきた。
その一方で法務省は、国民の大半が死刑制度の存続に賛成している現状を踏まえ、「秘密主義」との批判を受け続けるよりも「公開したほうが制度への理解が得られる」という観点から、省内で公表に向けた検討を進めつつあった。
そんな最中に就任した鳩山法相は「死刑の自動化」発言後も、絞首刑による執行に疑問を示すなど「問題提起」を繰り返した。すでに検討を始めていた法務省側にとって、氏名公表は、法相の意向を比較的実現しやすいテーマだった。(市川美亜子)」
(2) 日経新聞平成19年12月7日付夕刊23面(4版)
「3人の死刑執行 氏名公表 母娘強殺など 法務省が初
法務省は7日、死刑囚計3人の刑を執行したと発表した。死刑の執行は今年8月以来で、鳩山邦夫法相の就任後では初めて。この日の執行で、死刑確定囚は計104人となった。同省は死刑囚の家族らに配慮して氏名を公表していなかったが、死刑執行が適正に行われていることを国民に知らせるため、初めて氏名を明らかにした。
鳩山法相は7日、衆院法務委員会で「大きな心の痛みがあるが、治安、安全、被害者、遺族の皆さんの気持ち、世論に答える道だと思うと、死刑を執行せざるを得ないと考えた」と述べ、氏名の公表については「私が判断した」と語った。
執行されたのは、1981年から82年にかけて、母子3人を含む計5人を殺害した殺人などの罪で死刑が確定した藤間静波死刑囚(47)=東京拘置所で執行=と、府川博樹死刑囚(42)=同=と池本登死刑囚(74)=大阪拘置所で執行。
確定判決によると、藤間死刑囚は81年10月、横浜市で窃盗仲間の男性(当時20)を刺殺。82年5月、神奈川県藤沢市の会社員宅で、交際を断った女子高生(同16)と母親(同45)、妹(同13)を殺害、翌日には共犯の少年(同19)を口封じのために刺殺した。
府川死刑囚は99年4月、東京都江戸川区の女性(同65)宅で、借金を申し込んだが断られたため、女性と母親(同91)を包丁などで刺して殺害した。1、2審で死刑判決を受けて上告したが、取り下げていた。
池本死刑囚は85年6月、徳島県内で同死刑囚のユズ畑に勝手にごみを捨てたと思い込み、隣人で親類の男性(同46)とその妻(同54)を猟銃で射殺。さらに近所の男性(同71)も近くの路上で射殺するなどした。
執行前に公開を
福島至・龍谷大学法科大学院教授(刑事法)の話 秘密裏に行われてきた死刑執行に関する情報を開示すること自体は評価できる。ただ「適正に執行されていることを国民に知らせる」という趣旨であれば、執行前に情報公開すべきだ。執行日が決まってから処刑されるまでの手続きが開示されてなければ、本当に「適正な執行」だったかどうか外部から検証することはできない。情報公開のあり方としては中途半端だと思う。
執行、誠に遺憾
日弁連会長
日本弁護士連合会の平山正剛会長は「死刑制度の存続について国民的議論が尽くされるまで執行停止を法務省に要請してきたが、今回の死刑執行と合わせ、過去1年間に13人の死刑が執行されたのは誠に遺憾だ」などとするコメントを発表した。」(以下、解説記事は省略)
(3) アムネスティ・インターナショナル日本「日本支部声明 : 死刑執行抗議声明」(投稿日時: 2007-12-7 13:14:02)
「日本支部声明 : 死刑執行抗議声明
死刑の執行に抗議します。
本日、死刑確定者の府川博樹さん(東京拘置所)、藤間静波さん(東京拘置所)、池本登さん(大阪拘置所)に対して死刑が執行されました。
今回の死刑の執行についても、本人や家族を含め誰にも事前の予告はなく、突然に行われました。今回は執行後に執行された死刑囚の氏名が公表され、加えて先月は国会の法務委員会が刑場視察を許可され、私どもの死刑廃止活動について法務大臣が直接に話を聞く機会が設けられるなど、死刑制度をめぐる秘密主義に風穴をあける動きがあることは評価します。しかし一方で、今年は執行数が3回に増加し、昨年を上回る9人の死刑がこの1年間に執行されたことに強く抗議します。
世界の死刑廃止の潮流は、政治制度や宗教、文化の差異を超えて広がっています。そのような中で日本がこの流れに逆行し続けていることに、アムネスティ・インターナショナルは懸念を表します。2006年に死刑を実際に執行した国は、日本を含むわずか25カ国であり、G8諸国で死刑を存置している国は日本と米国のみとなりました。その米国でも死刑廃止の議論が活発化し、執行数、死刑判決数は年々減少しています。
国際連合では11月15日、世界規模で死刑の執行停止を求める決議が国連第3部会で採択されました。この決議は、〇犒最兒澆鯒案に置いて、執行を停止する、∋犒困膨礁未垢觴圓慮⇒の保護を確保する保障規定をさだめる国際基準を遵守し、死刑の適用を厳しく制限し、死刑相当犯罪の数を削減するよう各国に求めています。アムネスティはこの決議採択を歴史的な快挙とみなし、歓迎しています。同決議案は今月中旬に総会に提出され、採択される見通しです。
国連拷問禁止委員会は、2007年5月に拷問等禁止条約の実施状況に関する第一回日本政府報告書に対して最終見解を発表しました。委員会は死刑確定者の処遇状況に関し、日本の死刑制度に関する多くの条項が「拷問あるいは虐待に相当しうる」とし、改善に向けてあらゆる手段をとるよう勧告しました。また、死刑確定者の法的保障措置が制約されている点についても深刻な懸念を表明し、死刑の執行をすみやかに停止し、死刑を減刑するための措置を考慮し、恩赦を含む手続きを改善し、すべての死刑事件の上訴権を必須とし、死刑執行が遅延した場合は死刑を減刑することを確実に法律で規定すべきと勧告しました。
世界中が日本の死刑制度の行方を見守っています。国連をはじめとする死刑執行停止に向けた国際的な圧力は、今後大きくなることが予想されます。死刑制度という究極の人権侵害を廃止する一歩を、日本が近い将来に踏み出すことをアムネスティは期待しています。
2007年12月7日
社団法人アムネスティ・インターナショナル日本」
(4) 読売新聞平成19年12月8日付夕刊14面(4版)
「国連人権高等弁務官、日本の死刑執行に「遺憾」
【ローマ=松浦一樹】国連人権高等弁務官事務所(本部ジュネーブ)のルイーズ・アーバー高等弁務官は7日、東京と大阪で同日、死刑囚3人の刑が執行されたことについて、「遺憾」とする声明を発表した。
高等弁務官は、刑が執行された死刑囚の中に70歳代の高齢者が含まれていたことを問題視しており、声明の中で、「高齢者に対する刑の執行に正当な理由は見あたらない」とした。
(2007年12月8日10時33分 読売新聞)」
(5) 以前から、死刑を執行した対象者の氏名や執行場所は明らかになっていました。
「98年11月、当時の中村法相の「情報公開の観点からも国民に知らせるべきだ」との考えに基づき、執行の事実だけは公表するようになった。しかし、具体的な死刑囚の名前や執行場所については「死刑確定者の遺族や、他の死刑確定者の感情を考えた結果、公表はふさわしくない」との理由で伏せてきた。
このため、これまでは死刑廃止を訴える団体や報道機関などが執行対象者を独自に割り出してきた。」(朝日新聞)
98年、当時の中村法相は、「死刑の執行は裁判所の判決に基づいて行う行政行為だから、きちんと国民に知ってもらう必要がある」として(毎日新聞平成19年12月8日付3面「クローズアップ2007)、98年11月以降、「本日、死刑確定者○名に対し死刑を執行した」という形で公表していたのです(毎日新聞平成19年12月7日付夕刊)。そして、具体的な死刑囚の名前や執行場所については、「死刑廃止を訴える団体や報道機関などが執行対象者を独自に割り出してきた」ため、死刑を執行した対象者の氏名や執行場所は明らかだったのです。
今回、法務省側が氏名、犯罪事実、執行場所を明らかにしたことは、既成事実であったことを追認しただけであって、到底、「情報公開の流れ」(読売新聞)、「事件の被害者感情に配慮」(読売新聞)したとか、「閉鎖性、一歩脱却」(毎日新聞12月7日付夕刊)などいう大層なものでもなく、法務省が述べるような「死刑が適正に執行されていることを国民に理解してもらうために公開」したという程のことではないのです。ですから、当然ながら真の意図は何だろうかと、疑ってかかる必要があります。
(6) 「国際連合では11月15日、世界規模で死刑の執行停止を求める決議が国連第3部会で採択されました」が、日本もこの決議に参加していたのですから、民主主義国家であればこの決議を尊重し、死刑の執行を停止すべきだったのです。また、「国連拷問禁止委員会は、2007年5月に拷問等禁止条約の実施状況に関する第一回日本政府報告書に対して最終見解を発表」し、日本政府に対して「死刑の執行をすみやかに停止」することを勧告しています。日本国は、この拷問禁止条約に加入しているのですから、勧告を受け入れ、死刑の執行を停止すべきでした。
しかし、日本政府は、国連第3部会での死刑の執行停止を求める決議を無視し、国連拷問禁止委員会の勧告を無視したのです。要するに、日本政府は民主主義のルールを無視し条約遵守を行わなかったのですから、人権を軽視し法秩序を無視する国であることを世界に向けてアピールしたのです。(刑事訴訟法は6ヶ月以内に死刑執行する旨を規定するが、法律よりも条約が法形式上優位にあるため、条約の規定を遵守することになる。念のため。)
1950年の第5回国連総会において、世界人権宣言が採択された12月10日を「人権デー」と定めました。人権デーはすべての加盟国に、人権擁護の立場からさまざまな取り組みや関連行事を行うよう呼びかけており、日本でも、12月4日から人権デーの10日を最終日とする1週間を「人権週間」と定め、人権を尊重する考えを普及、高揚させるための啓発活動が全国各地で行われます。
それなのに、日本政府は12月7日に死刑を執行したのです。人権週間を分かっていながらの死刑執行なのですから、12月7日の死刑執行は、人権週間の意義や「人権デー」を定めた国連決議を否定するに等しい行動でした。 「国連人権高等弁務官事務所のルイーズ・アーバー高等弁務官は7日、東京と大阪で同日、死刑囚3人の刑が執行されたことについて、『遺憾』とする声明を発表」するのも当然の反応です。
「国連をはじめとする死刑執行停止に向けた国際的な圧力は、今後大きくなることが予想され」るにもかかわらず、日本政府は死刑を執行したのですから、国際社会の中でどう説明するのでしょうか? またしても、日本国が国際社会の中で軽視される要因をつくったといえるのではないかと思うのです。
過去の自衛隊派遣の行動はもとより、自衛隊のインド洋での給油活動(無料ガソリンスタンド)にしても、残念ながら当事国はあまり感謝しておらず、国際社会のなかでもあまり高く評価されているわけではありません。これは、日本が国際社会のなかで軽視されている証拠といえるのです。またしても、日本国が国際社会の中で軽視される要因をつくったことは、今後の外交面や国際社会での影響力にも影響するのではないかと懸念しています。
また、北朝鮮による拉致問題は法秩序への挑戦であり人権問題です。拉致被害者奪還のためには各国による圧力が必要なのですが、各国は協力的とはいえません。日本国が、法秩序を無視し人権問題を軽視しておきながら、各国に対して協力を求めても説得力がありません。日本と日本国民は、北朝鮮による拉致問題を解決する気がないのでしょうか?
日本国民は、国際社会で日本がおかれている状況を意識しておくべきなのです。
(1)
「死刑執行 氏名公表 情報公開の潮流 扉開ける
◆鳩山法相の決断「後押し」 裁判員制度もにらむ
法務省は7日、死刑囚3人の刑を執行するとともに、執行した死刑囚の氏名などを初めて公表した。事件の被害者遺族への配慮に加え、情報公開の流れや裁判員制度の導入が、鳩山法相の判断を後押しした形だ。(社会部 田中史生、政治部 宮井寿光)
■突然の公表
7日午前9時過ぎ、閣議が終わると、鳩山法相は福田首相に声をかけ、執行した死刑囚の氏名を公表する方針を伝えた。「わかりました。被害者遺族の立場を重視するということでもありますからね」。首相はそう、うなずいた。
鳩山法相が死刑執行命令書にサインしたのは、今週初め。この日は、午前9時38分までに東京、大阪両拘置所で死刑囚3人の刑が執行された。そして、法務省は11時過ぎになって、報道各社に3人の氏名や犯罪事実、執行場所を記載した3枚の紙を配布した。
最近まで、大臣が多忙となる国会会期中は執行しないのが慣例だった。しかし、この日は衆院法務委員会で質疑中に執行が明らかになり、委員会室でも氏名や事件の内容が読み上げられた。死刑に関して法相に問いただしていた民主党の細川律夫議員が、「ショックを受けた」と述べて質問を中止するなど、委員会が混乱する一幕もあった。
法務省は戦後長い間、死刑執行の事実すら明らかにしていなかった。執行の事実と人数だけを公表するようになったのが、中村正三郎法相当時の98年11月。その後も、同省は「執行された人の遺族や他の死刑囚に動揺を与える」として氏名を公表せず、報道機関が独自取材で報じる状況が続いてきた。
■転換
今回の氏名公表が実現した契機は、今年8月の鳩山法相の就任だ。就任後間もない記者会見で、「法相が絡まなくても自動的に執行が進むような方法を考えたらどうか」と述べ、省内の関係局長をメンバーに入れて死刑に関する勉強会を設置し、死刑制度全般にわたる議論を行ってきた。
この「死刑自動化発言」と勉強会設置は、大きな波紋を呼んだ。死刑廃止団体は当初、いっせいに反発したが、「実は自ら執行にサインするのが嫌なのではないか。勉強会の議論がまとまるまで執行はないかもしれない」という“期待”の声も上っていた。
一方、法務省内では、「死刑を粛々と進めるべきだという鳩山大臣の思いが、ああいう表現になったのではないか」という受け止めが大勢だった。前々任の杉浦正健法相が任期中に1人も執行しなかったのに対し、前任の長勢甚遠法相は、後藤田正晴法相(当時)が93年3月に死刑執行を再開して以来、歴代法相で最多となる10人を執行しており、大臣の信条や姿勢によって執行のペースが大きく変わることが明確になっていたためだ。
結局、勉強会では、「死刑自動化」が本格的に議論されることはなく、法改正の必要がない氏名公表が最初の制度改革として実現されることになった。
■背景
氏名公表が実現した背景について、ある法務省幹部は「行政情報全般の公開が進んでいる中で、死刑執行についてだけ、かたくなな姿勢を続けるのが難しくなった」と語る。また、被害者の遺族が公表を要望していた点に触れ、「たとえ、鳩山法相が就任しなくても、公表はやむを得ない流れだった」と言う。
裁判員制度が2009年に始まることも、法相の決断の一因とみられる。早大法科大学院の四宮啓教授は、「裁判員が死刑判決に関与する時代が始まることになり、死刑について国民一人ひとりが考える必要性が一気に高まる。国民に正確な情報を提供するという観点から、氏名公表は正しい流れだ」と指摘している。」
さすがに政府広報紙と化している読売新聞です。鳩山法相がいつ死刑執行命令書に署名したのかといった事実が出ています。「たとえ、鳩山法相が就任しなくても、公表はやむを得ない流れだった」など疑わしいことまで書いており、法務省側の建前がよく分かります。
早大法科大学院の四宮啓教授は、「裁判員が死刑判決に関与する時代が始まることになり、死刑について国民一人ひとりが考える必要性が一気に高まる。国民に正確な情報を提供するという観点から、氏名公表は正しい流れだ」と指摘しています。しかし、四宮啓教授は裁判員制度導入に積極的に関与した人物であり、いつも裁判員制度について楽観論を説くだけの人物です。こですから、今回の問題に関して四宮教授にコメントを求めても全く無意味なのです。読売新聞の意図がよく分かります。
(2) 「スキャナー」欄には別枠で次のような2つの記事もありました。
「国連『執行停止』決議へ EU主導、強まる国際圧力
世界では、死刑を廃止する国が増えている。国連総会第3委員会は先月、死刑制度を設けている国に対して死刑の執行停止を求める決議案を、賛成多数で採択。国連総会本会議は今月中旬にも、この決議案を正式に採択する見通しだ。本会議での決議に法的拘束力はないものの、同委員会で反対に回った日本、米国、中国などの死刑存置国に対する“風圧”は今後強まることが予想される。
死刑廃止の流れを主導しているのは、新規加盟国に廃止を求めている欧州連合(EU)。アムネスティ・インターナショナルなどの調査によると、死刑制度を全廃した国は1988年末で35か国だったが、2007年9月現在で90か国に増え、逆に存置している国は101か国から64か国に減少した。
日本は死刑制度を持つものの、執行数は必ずしも多くなく、2000〜05年は年間1〜3人で推移していた。しかし昨年、長勢前法相が就任してから一気に増え、今年は今回を含め9人が執行されたことになる。
日本国内での執行が増えている要因として指摘されるのが、執行を待つ死刑囚の急増だ。近年の厳罰化によって死刑判決が増えた影響で、未執行の死刑確定者は今年2月に初めて100人に達し、今回の執行前には107人になった。」
「提供情報さらに検討を
先月、死刑執行に使われる東京拘置所の刑場を視察した国会議員の間で、話題になったことがある。死刑執行には検察官と拘置所長が立ち会うが、拘置所側の説明で、絞首刑の瞬間には検察官らの前にカーテンが引かれることが初めて分かったという。
死刑執行に関しては、こうした基本的な情報すら外部に知らされてこなかった。日本では国民の間で死刑制度の存続を求める声が強いが、裁判員制度が始まれば、死刑判決にかかわる国民も出てくる。氏名公表にとどまらず、ほかにも提供するべき情報がないか、検討を続けるべきだ。(田中)」
読売新聞は、国連総会第3委員会が死刑の執行停止を求める決議案を賛成多数で採択したことについて報道していなかったので無視するものだと思っていましたが、今回、記事にしたのでちょっと驚きました。もっとも、埋め草のつもりで触れたのでしょうが。
刑事訴訟法477条1項は「死刑は、検察官、検察事務官及び刑事施設の長又はその代理者の立会いの上、これを執行しなければならない」と規定しているのですが、「拘置所側の説明で、絞首刑の瞬間には検察官らの前にカーテンが引かれる」とのことです。刑訴法477条1項による死刑執行の立会いは、死刑執行の密行性の趣旨に基づき、その実施の確認のための制度的要件ですから、カーテンを引くことは最後まで確認していないことを意味します。刑訴法477条1項の趣旨に反した運用がなされているのです。
読売新聞の田中記者は、「氏名公表にとどまらず、ほかにも提供するべき情報がないか、検討を続けるべきだ」と述べていますが、読売新聞だと、この程度しか主張できないのです。どこまで公開すべきか議論があるにも関わらず。まさに政府広報紙といえるでしょう。
3.では、処刑された死刑囚の氏名・執行場所の公表を行った、法務省の真の意図は何でしょうか?
(1) 朝日新聞平成19年12月8日付朝刊38面
「死刑囚の氏名公開で賛否 死刑廃止派に懸念も
2007年12月08日03時00分
法務省は7日午前に執行した死刑について、初めて対象者の氏名や執行場所を公表した。執行のあり方について省内に勉強会を設けた鳩山法相の意向もあり、「秘密主義」と批判されてきた死刑執行の情報公開が一歩進んだ形だ。ただ、かねて情報公開を要望してきた死刑廃止派の間には「死刑を進める布石になってしまわないか」との懸念が募っている。
「(公開は)私の判断です。勉強会でもスパッと結論が出ることではなかったが、決断をしようと思った」。鳩山法相はこの日午後の記者会見で強調した。
法務省はもともと、死刑を執行した事実も公表していなかった。98年からは執行したことと、対象となった人数だけ明らかにしてきたが、氏名の公表にはかたくなな態度を崩さなかった。
死刑囚の遺族が受ける精神的な苦痛や、他の死刑囚の心情に与える影響といった理由のほか、執行の順番などへの興味をあおったり、死刑そのものの是非についての論議が高まったりしかねない、との懸念があった。
しかし、国民の8割が死刑制度を支持し、廃止を求める論議が下火になっていることが方針転換につながった。鳩山法相は「人数(の公表)だけではブラックボックスという感じ。法にのっとり執行していることを明らかにした方が、国民の理解を得られる」と説明した。対象者の犯罪事実を公開したことについても「どんな罪を犯した人なのかを公表すれば、死刑執行は当然という理解が広まるはず」と法務省幹部は言う。
一方、死刑廃止議員連盟の保坂展人衆院議員は「執行の残虐性は隠して正当性だけをアピールするのは情報操作。死刑をめぐる議論が活発になってきた時に、一方的に議論の扉を閉ざす行為だ」と判断する。明治大の菊田幸一名誉教授も「国連などが求めているのは死刑囚の生活態度や心情面の公開。これでは情報公開の名を借りた法務省のアピールだ」と憤る。
勉強会で執行のあり方を検討している最中での執行を批判する声もあるが、鳩山法相は「勉強は勉強。その間は執行しないでおけばいいとの議論があるが、世論に反することになる」と強調した。(市川美亜子)」
(2) 東京新聞平成19年12月8日付朝刊27面(11版S)「解説」
「公開のあり方 幅広い議論を
「秘密主義」と批判され、公開の是非が常に議論されてきた死刑執行の情報開示をめぐり、法務省が方針転換した背景には、死刑執行が適正に行われていると国民に知らせることで、精度への理解を求めようとする判断が働いている。
法務省は長年、死刑囚の家族やほかの死刑確定者に精神的苦痛を与えることなどを理由に公表せず、報道機関の独自取材や市民団体の調査で明らかになるケースが少なくなかった。1998年11月からは執行時に事実と人数だけを公表してきたが、氏名や執行場所は明らかにされなかった。8月に就任した鳩山法相は死刑制度の必要性を認めながら、制度のあり方に関する勉強会を省内に設置し、公表への流れができあがった。
2009年から市民が刑事裁判で裁判員として参加する裁判員制度が導入される。裁判官とともに裁判員も死刑の可否の判断を迫られることが予想され、国民が死刑の実態を知ることは必要だ。
だが、執行対象者を選ぶ基準や手続き、死刑囚の拘置生活の状況、絞首刑の方法など、明らかにされていない情報は多い。一方で、死刑廃止に向かう国際的な流れや、終身刑の導入を求める声もある。死刑存廃を含めた国民的な議論のために、幅広い観点から模索を続けるべきだ。 (佐藤直子)」
(3) 読売新聞平成19年12月8日付朝刊4面
「死刑執行 超党派議連が会見 「氏名公表は適正」の声も
法務省が7日、3人の死刑を執行し、執行した死刑囚の氏名を初めて公表したことに対し、死刑廃止派の国会議員が抗議の緊急記者会見を開く一方、理解を示す意見も出るなど党派を超えて賛否が渦巻いた。
超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」(亀田静香会長)は同日午後、緊急記者会見を開き、「死刑制度の議論がこれから活発になろうという時に、執行したことは、一方的に意見交換の扉を閉ざす行為」とする抗議声明を発表した。
記者会見で社民党の保坂展人衆院議員は、氏名の公表について「法務省が、自ら明らかにしたという意味では前進」としつつも、「再審請求の有無や心身状態については明らかにされていない」と、公表の対象を拡大することを求めた。
また町村官房長官も記者会見で「国民サイドから死刑が適正に執行されているということについて理解を得るための情報公開と受け止めている」と述べた。」
(4) 法務省の真の意図は、次の点だと思われます。
「国民の8割が死刑制度を支持し、廃止を求める論議が下火になっていることが方針転換につながった。鳩山法相は「人数(の公表)だけではブラックボックスという感じ。法にのっとり執行していることを明らかにした方が、国民の理解を得られる」と説明した。対象者の犯罪事実を公開したことについても「どんな罪を犯した人なのかを公表すれば、死刑執行は当然という理解が広まるはず」と法務省幹部は言う。」(朝日新聞)
要するに、 「国民の8割が死刑制度を支持し、廃止を求める論議が下火」になっているため、少しぐらいの情報公開しても、その意識は変わらないと判断した(=国民をなめている)わけであり、しかも、執行された死刑囚の氏名とともに、対象者の犯罪事実を公開することによって、死刑囚は凶悪で日本国民に対して死刑執行は当然だと意識を根付かせようとしたわけです。ネットをみると、こういった法務省の意図にまんまと嵌まっていることがよく分かります。
「一方、死刑廃止議員連盟の保坂展人衆院議員は「執行の残虐性は隠して正当性だけをアピールするのは情報操作。死刑をめぐる議論が活発になってきた時に、一方的に議論の扉を閉ざす行為だ」と判断する。明治大の菊田幸一名誉教授も「国連などが求めているのは死刑囚の生活態度や心情面の公開。これでは情報公開の名を借りた法務省のアピールだ」と憤る。」(朝日新聞)
「執行対象者を選ぶ基準や手続き、死刑囚の拘置生活の状況、絞首刑の方法など、明らかにされていない情報は多い。一方で、死刑廃止に向かう国際的な流れや、終身刑の導入を求める声もある。死刑存廃を含めた国民的な議論のために、幅広い観点から模索を続けるべきだ。」(東京新聞)
「国連などが求めているのは死刑囚の生活態度や心情面の公開」であり(例えば、情報公開すべきことは、死刑囚が処刑寸前にどのような状況だったか、どんな法的問題を抱えていたのかなど)、執行対象者を選ぶ基準や手続き、死刑囚の拘置生活の状況、絞首刑の方法などについて情報公開することこそ、本来求められている「情報公開」なのです。法務省による「情報操作」に注意する必要があるのです。
刑事訴訟法477条1項の問題に関しては、保阪議員が質問していますね。
それについて、鳩山法相は見事に質問をはぐらかしています。
衆議院TV
保阪展人(社会民主党・市民連合)
http://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=37592&media_type=wb&lang=j&spkid=11725&time=04:32:10.4(動画)
「早大法科大学院の四宮啓教授」
弁護士で実務教員ですよね、この方。たまたまこの人の書いた論文を見たのです(新書は未読)。
要は、裁判員制度の導入によって、刑事司法の問題点を解決していけばいい、とのことでした。
この問題設定とその解決方法が、まったくもって逆向きで、間違っていると思うのです。
このままだと、完全に被告人を実験台にすることになりそうだと危惧しているのですが。
話はトピの趣旨とは離れますが:
この司法制度改革審議会の議事録もちょっと読んでみたんですが、審議委員のメンツといい、
議論といい、何を時間をかけて議論してたんだろ、って感じです。特に曽根綾子、恐るべし!
有識者懇談会(取り調べ適正化)
http://www.asahi.com/national/update/1206/TKY200712060067.html
ここのメンツを見て、思わずのけぞりましたけどw
結局、形だけのパフォーマンスなんでしょうね、第三者委員会とか懇談会とか審議会って...
初めから結論ありき、のようです。税金の無駄かと...
URL | Zizou #-[ 編集 ]
http://www.zakzak.co.jp/gei/2007_12/g2007121016_all.html
まあ夕刊フジのサイトなんでアレなんですが、服役囚の更正プログラムが恐ろしく古臭いのが気になりました。
予算をかけたくないと言ってもいくらなんでも・・・という気分になります。
URL | 論理的思考が苦手な人 #Zr2/WiYY[ 編集 ]
>刑事訴訟法477条1項の問題に関しては、保阪議員が質問していますね。
>それについて、鳩山法相は見事に質問をはぐらかしています。
>衆議院TV
>保阪展人(社会民主党・市民連合)
情報ありがとうございます。死刑執行の際にカーテンをひいている問題について、かなりの時間をかけているんですね。カーテンの是非については、あまり問題視されていませんが、もっと問題視すべきように感じました。
保坂議員と鳩山法相のやり取りを聞くと、↓のようなやり取りでした。
鳩山:検察がしっかり見届けるものではないか
保坂:カーテンはよくないということか
鳩山:見届ける人がいるべきだ
保坂:大臣の言っていることが刑事訴訟法をどうよんでもそう書いてある
鳩山法相自身は、カーテンはよくないと言っているようにも受け取れます。ただ、仰るとおり、はっきりしない感じではありますね。
>このままだと、完全に被告人を実験台にすることになりそうだと危惧しているのですが
同感ですね。被告人自身が裁判員制度を嫌がりそうです。
ただ、おそらくは、多くの法律関係者が内心(暗黙の了解?)では、「高裁で1審の判断をひっくり返すことができるから事実上弊害は回避できるし、今度からは高裁重視だな」と思っているでしょうけどね。
>有識者懇談会(取り調べ適正化)
>ここのメンツを見て、思わずのけぞりましたけどw
>初めから結論ありき、のようです。税金の無駄かと...
前田教授もメンバーなんですね。刑事訴訟法も理解できるようになったんだ〜と、ちょっと皮肉ってみたくなりますが。
皮肉はともかくとして、このメンバーだと取調べ状況の一部録画が結論なのでしょう。仰るとおり「初めから結論ありき」ですね。
おまけに、わたしの間違いまですかさずフォローw
おっしゃる通り、保坂議員と鳩山法相のやり取りはわたしの誤解でした。
鳩山法相ゴメンナサイw
保阪議員が、法相は死刑執行に立ち会うのはどうか?という質問に、
鳩山法相がはっきり答えなかったことに??を感じたのでした。
そっか、裁判員制度導入後は、高裁重視なんですね。ほんとうに
壮大なる実験ですよね。お金のかけ方間違っているような。
前田教授は...おもわず皮肉りたくなる人なのかもしれませんねwww
いつも参考になってます。ではでは。
URL | Zizou #-[ 編集 ]
ある意味スゴすぎです。
>まあ夕刊フジのサイトなんでアレなんですが、服役囚の更正プログラムが恐ろしく古臭いのが気になりました。
その「古臭い」部分を引用しておきます。↓
「刑務所の更生プログラムの内容が『30〜40年前に作った覚せい剤ラット実験の映像を見せられておしまい』と明かしている。」
日本では薬物取締り強化を重視していて、更正させることを主眼においた諸外国の対策からは日本は立ち後れていると言われていますが、いくらなんでもね〜。刑務所内で情報交換してるのですから、こんなプログラムじゃあ、再犯者が出てくるのも必然的ですね。
>予算をかけたくないと言ってもいくらなんでも・・・という気分になります。
同感です。
再犯対策のためには、更正プログラムが重要なのにこんなことでいいのか、ともっと問題視していいことなのに。これでは「自らの意思で薬物をしないようにしよう」と促すだけに近いですね。
刑務所では再犯が生じやすいようにしておいて、体感治安の悪化を煽るのだから、政府のしていることは意味不明です。
>おまけに、わたしの間違いまですかさずフォローw
ありゃ? 間違いだったのですか?(^^ゞ
鳩山法相は、そうはっきり明言してませんから、間違いとまではいえないような。カーテンを引くのを廃止するという方向になれば、保坂議員と鳩山法相の質疑は意味があったといえるのでしょうけど。
>「国際連合では11月15日、世界規模で死刑の執行停止を求める決議が国連第3部会で採択されました」が、日本もこの決議に参加していたのですから、民主主義国家であればこの決議を尊重し、死刑の執行を停止すべきだったのです。
国連決議は安保理決議以外は法的拘束力がないようですから、「この決議を尊重し」という表現になっているのだと思いますけど、法的拘束力がない以上、その程度のものでしかないと思うんですよね。法的拘束力がない決議のみを理由として制度変更するということは国内政治的にはあり得ないのではないでしょうか(それとも、日本以外の国ではそれが普通なんでしょうかね?)。
>「国連拷問禁止委員会は、2007年5月に拷問等禁止条約の実施状況に関する第一回日本政府報告書に対して最終見解を発表」し、日本政府に対して「死刑の執行をすみやかに停止」することを勧告しています。
この報告書を読んでみましたが、パラ20は、「死刑の執行をすみやかに停止」することではなく、「死刑の執行をすみやかに停止することを検討」することを勧告しており、表現が弱いです。「勧告」ですから、そもそも法的拘束力がないわけですが、それに加え、should consider taking・・・では正直ゴミのような表現に見えます(委員会側もその勧告が守られないことがわかりきっているような表現です)。パラ19にあるshould take all necessary measuresくらいの表現であれば、委員会側の意気込みが伝わってくるのですが。
>しかし、日本政府は、国連第3部会での死刑の執行停止を求める決議を無視し、国連拷問禁止委員会の勧告を無視したのです。要するに、日本政府は民主主義のルールを無視し条約遵守を行わなかったのですから、人権を軽視し法秩序を無視する国であることを世界に向けてアピールしたのです。
相場観がわからないとなんともいえないのですが、国連決議ってそんなに守られているものなんでしょうか。調べたわけではないので感覚でしか言えませんが、当該決議と整合しない制度を持つ加盟国の国内政治を考えると、法的拘束力のない決議でもって、国内においてその決議内容の反対派を黙らせるなんて到底できないと思うのです。その意味では、むしろ、民主主義国家であるがゆえに、決議を遵守できないことが起きるのではないかと思います。私は、国連決議というものは、国連内部でみると、予算、組織の関係で意義深いでしょうが、加盟国の立場でみると、国連からの単なる政治的メッセージであって、また、今後、法的拘束力がある条約を作るに当たっての足がかり程度にしかならないと思うのです。
>(刑事訴訟法は6ヶ月以内に死刑執行する旨を規定するが、法律よりも条約が法形式上優位にあるため、条約の規定を遵守することになる。念のため。)
ここでいう条約は拷問禁止条約が意図されていると思いますが、拷問禁止条約が死刑を禁止していることが明白とはいえませんし(わが国は、1条1の「合法的な制裁」に当たるとしています)、拷問等禁止条約の実施状況に関する第一回日本政府報告書を見ると、むしろ、わが国の死刑自体が違法ではない前提で記載されているように見えます。そうすると、条約の規定と刑訴法475条とは矛盾しないのではないでしょうか。勧告には法的拘束力がありませんから、ここで考慮に入れる必要はありませんし。
>過去の自衛隊派遣の行動はもとより、自衛隊のインド洋での給油活動(無料ガソリンスタンド)にしても、残念ながら当事国はあまり感謝しておらず、国際社会のなかでもあまり高く評価されているわけではありません。これは、日本が国際社会のなかで軽視されている証拠といえるのです。
実際に給油活動が評価されているかどうかはわかりませんけど、死刑執行停止決議を重く見るのなら、安保理決議内で評価されていたことも重く見るべきなのではないでしょうか。
>また、北朝鮮による拉致問題は法秩序への挑戦であり人権問題です。拉致被害者奪還のためには各国による圧力が必要なのですが、各国は協力的とはいえません。日本国が、法秩序を無視し人権問題を軽視しておきながら、各国に対して協力を求めても説得力がありません。日本と日本国民は、北朝鮮による拉致問題を解決する気がないのでしょうか?
おっしゃりたいことはわかりますが、国連決議に法的拘束力がなく、拷問禁止条約が死刑を禁止していないのであれば、今回の執行をもって法秩序を無視してはいないと思います。
URL | シャープ #-[ 編集 ]
>法的拘束力がない決議のみを理由として制度変更するということは国内政治的にはあり得ないのではないでしょうか
法的拘束力の有無を問わず決着を付けるのが「政治」です。法と政治を混同していませんか? 何らかの切っ掛けがあれば政治決断できるのですから、「国内政治的にはあり得る」はずです。
>「死刑の執行をすみやかに停止」することではなく、「死刑の執行をすみやかに停止することを検討」することを勧告しており、表現が弱い
……。「 」の部分は引用です。引用文が短かったということを言いたいのですか?(苦笑) どこまで原文を引用するかは、好みの問題のように思えますが。
>拷問等禁止条約の実施状況に関する第一回日本政府報告書を見ると
国連拷問禁止委員会は日本政府の報告書を妥当でないし、日本政府もろくな反論をしていないので、「日本政府報告書」は根拠になりません。
>死刑執行停止決議を重く見るのなら、安保理決議内で評価されていたことも重く見るべき
論理関係がありません。
>「勧告」ですから、そもそも法的拘束力がない
一昔前は、勧告にせよ、条約にせよ、法的拘束力があるか否かを気にする議論をしていました。しかし、今は条約の監視活動は、改善を求める「法的な」圧力であり、各国は十分に尊重することが求められており、十分影響力があるということで一致しています。現在の国際法の議論では、法的拘束力の有無は、あまり意味のない議論です。
>拷問禁止条約が死刑を禁止していないのであれば、今回の執行をもって法秩序を無視してはいない
拷問禁止委員会の拷問禁止条約の履行監視機関として設置されているので、拷問禁止委員会の活動も含めて判断しなくては意味がありません。
法的拘束力の有無を問わず、国際法である以上、「法秩序」に含まれます。シャープさんは、法的拘束力がない法は「法秩序」の埒外だと捉えているようですが、ぜひ論文を書いて世に問うてみるといいと思います。
>処刑者の氏名
「被処刑者」とは違いますか。
URL | 匿名 #mQop/nM.[ 編集 ]
>タイトルの
>>処刑者の氏名
>「被処刑者」とは違いますか。
ちょっと紛らわしいですよね。用語の使い方として、正しいのかどうかかなり迷ったのです……。
ともかく、「処刑者」を検索すると分かるのですが、「死刑を執行した者」ではなく、「死刑に処せられた者」という意味で使うことが多いようです。それで、「処刑者」を維持することにしました。
それに対して、「被処刑者」ですが。確かに「被処刑者」という使い方が正確なように思いますが、実はそういう使い方はあまりしていないようです。なぜだか分かりませんが。
でも、「処刑者」は紛らわしいことは確かですね。もし短めで分かりやすい言葉があればぜひ教えて下さい。
| #[ 編集 ]
>執行後なら「刑死者」と呼ぶべきと思います
なるほど。教えて頂き、大変ありがとうございます。早速、タイトルに「刑死者」を追加しておきました。今後は、「刑死者」だけを使うことにします。
もっとも、「刑死者」を使うことがない現実がくる方がよいことは確かですが。
URL | 匿名 #-[ 編集 ]
いわゆる「袴田事件」の再審開始は認められませんでしたね。裁判所は、再審制度を過度に制限していることと示しています。
この事件の場合、1審(静岡地裁)は、45通もの自白調書のうち、44通が違法な取り調べであるとして証拠排除しました。これだけでもどれだけ無茶な取調べを行ったのか分かると思います。この事件ほど、冤罪の可能性が高い事件はないといえると思います。無実の者であるのに再審が認められず、死刑を執行されてしまうほど、不条理なことはありません。おそらくは、法務省の側は、冤罪の可能性が高いと判断しているのではないかと思いますけどね。
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