1.報道記事をいくつか。
(1) 毎日新聞2007年11月27日 12時16分 (最終更新時間 11月27日 14時40分)(11月27日付夕刊)
「光母子殺害:弁護士は懲戒せず 東京弁護士会が議決
山口県光市で99年に起きた母子殺害事件差し戻し控訴審の弁護団(約20人)の弁護士に対して、全国で懲戒請求が相次いだ問題で、東京弁護士会が「正当な刑事弁護活動の範囲内で、懲戒しない」と議決していたことが分かった。
同弁護士会が所属弁護士1人について調査した結果をまとめた22日付の議決書によると、この弁護士は「広島高裁の公判で非常識な主張をし、被害者の尊厳を傷つけた」などとして懲戒請求されていた。これに対し弁護士会は「社会全体から指弾されている被告であっても、被告の弁明を受け止めて法的主張をするのは正当な弁護活動。仮に関係者の感情が傷つけられても正当性は変わらない」と退けた。
懲戒請求を受けていた弁護士は「当然の結論だが、早く議決していただいた弁護士会には感謝したい」と話している。
懲戒請求は、弁護士が所属する弁護士会に対して誰でもできる仕組み。光市事件弁護団への懲戒請求は、タレント活動で有名な橋下(はしもと)徹弁護士=大阪弁護士会所属=がテレビ番組で呼びかけたことをきっかけに爆発的に増えた。
日弁連のまとめでは東京や広島など各地の弁護士会で計約7500件に達しているが、これまでに弁護士会が結論を出した十数件はいずれも「懲戒しない」と議決している。【高倉友彰】
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【ニュースな言葉】光市母子殺害事件とは
毎日新聞 2007年11月27日 12時16分 (最終更新時間 11月27日 14時40分)」
(2) 産経新聞2007.11.27 12:33
「東京弁護士会、光母子殺害の弁護士は懲戒せず
2007.11.27 12:33
山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審で、被告の元少年の弁護団を構成する各弁護士に対し「意図的に裁判を遅らせている」などとして大量の懲戒処分請求が出されていた問題で、東京弁護士会は27日までに、所属弁護士について懲戒処分をしないことを決定し、関係者に通知した。
関係者によると、決定は22日付。被告の弁明に沿って弁護することは弁護士として正当な活動で懲戒理由に相当しないことなどが理由とみられる。
日弁連によると、弁護団に対する懲戒請求件数は把握できただけで計7558件。
大量請求は橋下徹弁護士(大阪弁護士会)がテレビで呼び掛けたことがきっかけとされ、インターネット上に各弁護士会に懲戒を求める書面のフォームが出回った。弁護団のうち4人が9月、橋下弁護士に損害賠償を求め広島地裁に提訴した。」
(3) 産経新聞平成19年11月28日付朝刊27面
「弁護士1人の懲戒請求却下 光市の母子殺害
山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審で、殺人などの罪に問われた元少年の弁護団21人に全国から大量の懲戒請求が出されている問題で、東京弁護士会は所属弁護士1人について懲戒処分をしない決定をした。決定は22日付。決定を受けた弁護士は「当然の結果と考える」とコメントしている。
この弁護士には「被害者を侮辱し、裁判の遅延を図った」などとして懲戒請求が出ていた。決定理由は「正当な弁護活動の範囲内で、裁判の遅延を図ったものでもなく、懲戒理由に相当しない」などとなっている。
日弁連によると、弁護団に対する懲戒請求は把握できただけで計7558件に上っている。主任弁護人の安田好弘弁護士らが所属する第2東京弁護士会は、まだ結論を出していないという。」
(4) asahi.com(2007年11月28日21時33分)
「元少年弁護人を懲戒せず 光市母子殺害で東京弁護士会
2007年11月28日21時33分
東京弁護士会は28日、山口県光市で99年に起きた母子殺害事件で殺人罪などに問われた元少年(26)=一、二審で無期懲役=の差し戻し控訴審(広島高裁)で弁護人を務める同会所属の弁護士に出されていた懲戒請求について、懲戒しない決定をしたと発表した。「いかに多くの国民から指弾されている被告であっても弁護人は被告の基本的人権を擁護する責務がある」とした。
この裁判をめぐっては、橋下徹弁護士(大阪弁護士会)が民放のテレビ番組内で、差し戻し審で一転して殺意否認の主張をした弁護団の懲戒を請求するよう視聴者に呼びかけるなどしていた。同会によると、懲戒請求者は殺意否認の主張は意図的な裁判遅延の試みと指摘していたという。」
(5) 読売新聞平成19年11月29日付朝刊38面
「光市の母子殺害裁判で弁護士の懲戒せず…東京弁護士会
山口県光市の母子殺害事件で、殺人罪などに問われた被告の元少年の弁護団に対し懲戒請求が相次いでいる問題で、東京弁護士会は28日、同会所属の河井匡秀弁護士について懲戒しないことを明らかにした。
河井弁護士に対しては「意図的に裁判の遅延を試みている」などとして231件の懲戒請求があった。同会の綱紀委員会は「社会全体から指弾されている被告でも、その弁明を受け止めて法的主張を行うのは正当な弁護活動。遅延を試みた事実は認められない」と議決、同弁護士会は22日付で懲戒しないことを決定した。
日本弁護士連合会によると、同弁護団あての懲戒請求は、6月以降、7558件に上っている。
(2007年11月28日23時28分 読売新聞)」
(1) 7500件ほどのうち、河井匡秀弁護士に対しては231件の懲戒請求があったようですが、その懲戒請求の内容が、具体的にどの懲戒事由に当たるとしたのか定かではありません。
ただ、記事によると、懲戒請求者は「意図的に裁判の遅延を試みている」、「広島高裁の公判で非常識な主張をし、被害者の尊厳を傷つけた」ことを懲戒理由として挙げたようです。これらは、いわゆる懲戒請求テンプレートのままですから、安易にテンプレートに署名しただけだけで、懲戒請求したことがよく分かります。光市事件の弁護人に対する懲戒請求をした者は、懲戒請求を「署名活動」と勘違いしているという批判があるのも当然のことだったのです。
しかし、これらの懲戒理由は「懲戒事由に該当する事実の特定」がなく、法令違反かそれに類する違反行為に当たるという判断も困難ですから(「弁護士に対する懲戒請求と不法行為の成否〜“母子殺害で懲戒請求数百件”との報道を聞いて」参照)、懲戒事由に当たらないとするのはごく穏当な判断です。
(2) 新聞記事から、綱紀委員会が懲戒事由に当たらないとした理由を引用しておきます。
「・社会全体から指弾されている被告であっても、被告の弁明を受け止めて法的主張をするのは正当な弁護活動。仮に関係者の感情が傷つけられても正当性は変わらない
・正当な弁護活動の範囲内で、裁判の遅延を図ったものでもなく、懲戒理由に相当しない
・いかに多くの国民から指弾されている被告であっても弁護人は被告の基本的人権を擁護する責務がある
・社会全体から指弾されている被告でも、その弁明を受け止めて法的主張を行うのは正当な弁護活動。遅延を試みた事実は認められない」
これらの理由をみると、ただ単に懲戒事由に当たる証拠がないとか、懲戒事由に当たるほどの非行はないという消極的な否定ではなく、「正当な弁護活動」であると積極的に懲戒事由に当たらないことを明言しているのです。「正当な弁護活動」であることは、原文を読むともっとはっきりします。ネット上には、綱紀委員会が懲戒事由に当たらない旨述べた原文がありましたので、それも一部引用しておきます。
「2 刑事被告人には資格を有する弁護人を依頼する権利があり(憲法37条3項)、いかに多くの国民から、あるいは社会全体から指弾されている被告人であっても、その主張を十分に聞き入れた上で弁護活動をおこなう弁護人が必要であり、弁護人には、被告人の基本的人権を擁護する責務がある。
懲戒請求者は、弁護団の主張が「科学的にも常識的にも理解できないものである」と主張するが、弁護人は、上記の職責からして、被告人の主張や弁解が仮に一見不可解なものであったとしても、被告人がその主張を維持する限り、それを無視したり、あるいは奇怪なであるなど非難したりすることは許されないし、被告人が殺意を争っている場合においては、弁護人が被告人の意見に反する弁論をおこなうことは、弁護士の職責・倫理に反するものであり、厳に慎まなければならないのである。
弁護団が、被告人の弁明を誠実に受け止めて、これを法的主張としておこなうことは弁護人の正当な弁護活動であり、これによって、仮に関係者の感情が傷つけられ、精神的苦痛を与えられたとしても、ことさら、その結果を企図したものでない限り、その正当性が否定されるものではない。
以上のことは、憲法と刑事訴訟法にもとづく刑事裁判制度から必然的にみちびかれるものであって、懲戒請求者の主張にはこの点についての理解の不足によるものというほかない。
3 懲戒請求者は「被告人が差し戻し審にいたるまでは殺意を認めていた」旨主張するが、仮に、そうであったとしても、被告人が差し戻し審で殺意を否認することは法的に何の問題もなく、被告人から殺意の点についての弁明を聞き、あるいは、被告人の殺意に関して疑念を抱いた弁護人が被告人に説明したうえで殺意を争うことも正当な弁護活動であるし、これによって、裁判が遅延したと断ずることはできない。また、正当な弁護活動により裁判に要する時間が増えたとしてもそれ自体責められるべきものではない。
なお、懲戒請求者の主張によっても、本件に関する裁判経過に照らせば、弁護団がいたずらに裁判を遅延させるような弁護活動をおこなった事実は認められない。」
一番注目すべき点は、綱紀委員会が示した判断及び刑事弁護についての理解は
という点です。「橋下弁護士の懲戒請求扇動訴訟〜弁護士は誰のためにいるのか?」で、一度触れた点ですが、ここでも引用しておきます。「憲法と刑事訴訟法にもとづく刑事裁判制度から必然的にみちびかれるもの」
「専ら被告人の利益擁護にあたる者として弁護人制度が存在するのであり、被疑者・被告人は自己の防禦権(自己弁護権)を実効的なものにするため、憲法上、弁護人依頼権(憲法37条3項、憲34条)が人権として保障されているのです。
弁護士が被告人に味方する法文上の根拠は、弁護士法そのものであり、弁護人依頼権(憲法37条3項、憲34条)なのであり、弁護人は、被疑者・被告人のために存在するのです。
橋下氏は、「被告人のためだけに働くのは(弁護士会の懲戒対象である)品位を失う活動にあたる」と主張します。しかし、そのような主張は、専ら被告人の利益擁護のための弁護人制度を定めた弁護士法そのもの及び弁護人依頼権(憲法37条3項、憲34条)に違反するものであり、妥当でないのです。橋下氏の主張は、「刑事訴訟法の歴史は弁護権の拡大の歴史である」ことを失念したものといえます。」
綱紀委員会は、憲法と刑事訴訟法にもとづく刑事裁判制度から必然的に導かれる刑事弁護の理解を示したのですから、懲戒請求者は、憲法及び刑事訴訟法に反する請求をしたのであり、刑事裁判制度を否定する請求をしたものだったのです。現行憲法下において、反憲法的な懲戒請求が認められるはずがないのですから、懲戒請求者は自らの行動を猛省すべきです。
懲戒請求を受けた弁護人は、すべて懲戒請求者に対して、懲戒請求者の氏名を明示したうえで損害賠償請求を行うことがよいのではないでしょうか。一罰百戒、愚かしい行動には、ペナルティがかさせることを体験させるべきだと思います。
(3) 今枝弁護士によると、懲戒請求件数7000件のうち、(今枝弁護士に対する)請求者は
橋下弁護士が視聴者に、被告の弁護団メンバーに対する懲戒請求を呼び掛けた「たかじんのそこまで言って委員会」(及び懲戒請求テンプレートHPの管理者)の扇動を聞き入れ、安易に乗せられて請求してしまった人は、231人(230〜500人程度)に留まったということは、少しは安心できるものだったといえそうです。
「たかじんのそこまで言って委員会」は何十万人と見ている番組ですから、その番組で煽った以上、数千人が懲戒請求する可能性もあったわけです。しかし、「たかじんのそこまで言って委員会」は、損害賠償責任が認められたことのある問題番組であり、およそ真っ当な法律論を論じるわけではなく、法律論を気にすることなく感情的に問題発言を楽しむ娯楽番組です。しかも、橋下弁護士の法的知識がかなり怪しいことも公知の事実です。なので、この番組の視聴者の多くは、出演者の発言内容を本気にしてはいけないことが分かっているから、橋下弁護士がこの番組でどんなに煽っても231人に留まったといえるのではないでしょうか。
悪質なクレーマーは、今やどの業界に存在しますから、懲戒請求を求めた者も悪質なクレーマーの一種という見方も可能でしょう。今枝弁護士から求釈明書を送られて事の重大さを突きつけられても、なお懲戒請求の取り下げを行わなかった者は、あえて考え直さなかったのですから、悪質なクレーマーである可能性が十分にあります。不当な懲戒請求であるとして損害賠償請求が生じることも知っていながら懲戒請求した者、懲戒請求が認められるわけがないと意識していながら懲戒請求した者も、当然、悪質なクレーマーに当たります。
もっとも、マスコミ報道の多くが、被害者遺族の本村さんの発言を執拗に扇情的に紹介し続けていることからすると、ついつい「たかじんのそこまで言って委員会」での(橋下弁護士の)扇動に飛びついてしまった、純朴で、かつ調査をせずに考えることもしない者が
もちろん、どんなに純朴な者であっても、憲法及び刑事訴訟法に基づく刑事裁判・刑事弁護の理解があり、少なくとも懲戒請求が署名活動と異なるものであるという理解があれば、「たかじんのそこまで言って委員会」での扇動に乗せられてしまうことはなかったのです。法教育の必要性、特に裁判員制度の実施が迫っていることからすれば、憲法及び刑事訴訟法に基づく刑事裁判・刑事弁護の理解を行うことが急務というべきですし、裁判員すべてに対して法律論に関する試験を実施した方がいいかもしれません。
3.この綱紀委員会の判断は、どのような影響を及ぼすのでしょうか?
(1) まず、光市弁護人による橋下弁護士に対する損害賠償請求が、一層認めやすくなったということです。
橋下弁護士に対する損害賠償請求は、懲戒請求が却下される前の損害賠償請求であるから、不当な懲戒請求かどうか分からないのではないか、という弱点がありました。通常、弁護士に対する懲戒請求に不法行為を認めた裁判例は、懲戒請求が却下された後であったことからも分かるかと思います(「光市母子殺害事件弁護団が、タレントの橋下弁護士を提訴へ〜テレビ番組での“懲戒請求呼び掛け”発言で」参照)。
しかし、1人だけとはいえ、懲戒請求が却下されたのですから、弱点が克服されたわけです。しかも、懲戒事由に当たらないと判断は「憲法と刑事訴訟法にもとづく刑事裁判制度から必然的にみちびかれるもの」とまで言い切っている以上、他の弁護団の弁護人に対しても同じような判断によって、懲戒請求が否定されるはずです。
このようなことから、光市弁護人による橋下弁護士に対する損害賠償請求が、一層認めやすくなったといえるのです。
今は、橋下弁護士に対する損害賠償のみしか提訴されていませんが、もし、
(2) もう1点は、「橋下弁護士の懲戒請求扇動訴訟〜弁護士は誰のためにいるのか?」で触れたように、「たかじんのそこまで言って委員会」及び読売テレビの問題性が、より一層肯定しやすくなったという点です。綱紀委員会の判断を前提にすると、橋下徹弁護士が5月、テレビ番組で、反憲法的・反刑事訴訟法的な懲戒請求を視聴者に呼び掛けた後、各弁護士の所属弁護士会に一般の人から多数の申し立てがあったのですから、読売テレビの責任は重大といえるからです。
「『光市事件』報道を検証する会」は、11月27日、光市事件の裁判をめぐるテレビ局の報道が放送倫理を逸脱しているとして、NHKと民放による第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会に、調査と審理を要請しています。
イ:読売新聞2007年11月27日22時47分
「山口の母子殺害事件、被告の弁護人が民放報道で申立書
山口県光市で起きた母子殺害事件の裁判を報道した民放各局の計18番組に「事実関係の間違いや過剰な演出、不公平な取り上げ方が見られる」として、被告弁護人を務める弁護士ら計17人が27日、放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構」(BPO)に審理を求める申立書を提出した。
申立書では「法廷内での被告人の態度などを悪意を持って伝え、反省がみられないなどの方向に誘導する番組があった」などと指摘している。
(2007年11月27日22時47分 読売新聞)」
ロ:朝日新聞平成19年11月28日付朝刊37面
「光市母子殺害報道 BPOに調査要請
山口県光市の母子殺害事件の裁判をめぐるテレビ局の報道が放送倫理を逸脱しているとして、浅野健一・同志社大教授ら有志でつくる「『光市事件』報道を検証する会」は27日、NHKと民放による第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会に、調査と審理を要請した。
同会は、今年5月〜9月の各局の18番組を挙げ、「被告の元少年を死刑にすべきだとの感情が残る演出が目立つ。著しく客観性を欠き、裁判の公正さを損なう」と指摘。橋下弁護士が番組で元少年の弁護団の懲戒請求を呼びかけた問題も、「放送法の公平原則違反だ」と訴えた。」
ハ:毎日新聞2007年11月28日 19時35分
「光市母子殺害:市民グループが放送倫理検証委に申し立て
山口県光市で99年に起きた母子殺害事件の裁判を取り上げた民放番組について、市民グループ「『光市事件』報道を検証する会」は28日、「裁判の事実関係に間違いや歪曲(わいきょく)がある」などとして、放送界の第三者機関「放送倫理・番組向上機構(BPO)」の放送倫理検証委員会に対し、審理を求める申立書を提出した、と発表した。
申し立てたのは、ジャーナリストの鎌田慧さんや弁護士ら17人で、対象は計18番組。被告の態度を悪い人格として描く過剰な演出があった、と訴えている。
毎日新聞 2007年11月28日 19時35分」
ニ:東京新聞平成19年11月29日付朝刊26面
「倫理違反とBPOに要請 母子殺害事件の民放報道で
2007年11月28日 20時36分
山口県光市の母子殺害事件の裁判を扱った民放6局の番組をめぐり、大学教授らのグループが28日に記者会見し「虚偽を含む不公正な報道は放送倫理に反する」として、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会に審理を要請したと発表した。
要請したのは浅野健一同志社大教授、足立修一弁護士ら17人。今年5月から9月にかけ放送された情報バラエティーや報道番組について「裁判の実態について視聴者に誤解を与えるなど、放送倫理に反する」と指摘した。
対象となった番組は、出演した弁護士が視聴者に、被告の弁護団メンバーに対する懲戒請求を呼び掛けた「たかじんのそこまで言って委員会」(読売テレビ)など。
(共同)」
「『光市事件』報道を検証する会」は、次のように問題がある報道であったとしています。
「民放各局の計18番組に「事実関係の間違いや過剰な演出、不公平な取り上げ方が見られる」……申立書では「法廷内での被告人の態度などを悪意を持って伝え、反省がみられないなどの方向に誘導する番組があった」などと指摘している。」(読売新聞)
「今年5月〜9月の各局の18番組を挙げ、「被告の元少年を死刑にすべきだとの感情が残る演出が目立つ。著しく客観性を欠き、裁判の公正さを損なう」と指摘。橋下弁護士が番組で元少年の弁護団の懲戒請求を呼びかけた問題も、「放送法の公平原則違反だ」と訴えた。」(朝日新聞)
「裁判の事実関係に間違いや歪曲(わいきょく)がある」(毎日新聞)
「「虚偽を含む不公正な報道は放送倫理に反する」……今年5月から9月にかけ放送された情報バラエティーや報道番組について「裁判の実態について視聴者に誤解を与えるなど、放送倫理に反する」と指摘した。」(東京新聞)
BPOで問題視せよとした番組は、「今年5月〜9月の各局の18番組」ですが、「出演した弁護士が視聴者に、被告の弁護団メンバーに対する懲戒請求を呼び掛けた『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)」は特に名指しされています。いかに、「たかじんのたかじんのそこまで言って委員会」が問題視されているかが現れています。
放送メディアは、出版メディアと異なり、法律による様々な規制があり、番組内容を規制する規定もあります。その典型が放送法3条の2の定めるいわゆる公平原則です。この公平原則は、放送内容が政治的に公平でなければならず、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることなどを要求しています。
「たかじんのそこまで言って委員会」では、光市事件弁護団や被告人の主張をほとんど取り上げることなく、一方的に批判する演出に終始していたのですから、「公平原則」違反であることが明らかです。好機委員会は、懲戒理由が反憲法的な内容であったと明言しているのですから、BPOが、こういった綱紀委員会の判断を真摯に受け止めて判断するのであれば、放送倫理上問題点があったとの見解を表明し、当該放送事業者に対し、再発防止計画の提出を求めるべきであると考えます(「放送倫理検証委員会」運営規則9条)。
もっとも、BPOのHPをみると、放送倫理検証委員会の「議事概要:第6回 2007年10月12日」には、
と出ています。どうやら、BPOは、法律論を気にすることなく感情的に問題発言を繰り返し、治外法権のような自由奔放な放送を続ける「たかじんのそこまで言って委員会」を放置し続けるようです。「◆事務局からの報告
<2>光市母子殺害弁護団に対する懲戒請求発言の放送について、公正・公平な検証を求めるとの要請。すでに、弁護士同士で係争中であり、委員会の審理要件に合致せずと判断。」
放送メディアが、明らかに公平原則に反しようが何もしないのであれば、「たかじんのそこまで言って委員会」及び他の番組でも問題発言で煽り立てる辛坊氏、「たかじんのそこまで言って委員会」及び読売テレビは、虚偽を触れ回るものであるとして一切無視するべきであると考えます。
URL | 今枝仁 #z8Ev11P6[ 編集 ]
>現時点では私への懲戒請求数が約500になっていますから、300→500に訂正していただければありがたいです
情報の提供、大変ありがとうございます。訂正しました。
そもそも、非常識に、被害者の尊厳を傷つけるのが犯罪、なのにね。
URL | rice_shower #UXr/yv2Y[ 編集 ]
>そもそも、非常識に、被害者の尊厳を傷つけるのが犯罪、なのにね
至言ですね。「そういう犯罪」を犯したとして起訴されている者を弁護するのが「刑事弁護」なのに。「懲戒請求テンプレート」をそのまま使ったから、こういう全く懲戒理由にあたらない懲戒請求をしてしまうんでしょう。
橋下弁護士のように、被害者感情(世論?)の立場で弁護しろという、憲法や刑事訴訟法に反する弁護をしろと思う方は、あまりいないと思いますが。
今日、12月4日は光市事件の最終弁論でした。この報道もエントリーという形で触れたいと思います。
やはりTVマスコミは原則としてお断り,会場外で売り子などをするスタッフは皆なマスクを被る,など,週刊誌マスコミへの対策もしなければなりません.特に,光市事件のドキュメンタリーまで作った(製作資金は新日鉄光提供)山口放送(読売系)は一切シャットアウト,というふうに通知もする予定です.
つまり,あとになってから BPO に泣き込んだ所で,どれだけの効果があるのだろうか,というのが現場の実感です.東京弁護士会が動いて頂けるのは資金面でも影響力でも大いに助かるのですけれども…….
私がどこかで過少申告しているようにとられるといやだったので。
なんでも疑われ邪推される今日このごろです。
URL | 今枝仁 #qbIq4rIg[ 編集 ]
この事件に疑問を持つ人は誰しも,孤独感に襲われた経験があるはず.今枝さんも「世論」の圧力に負けずに頑張って下さい!
>あとになってから BPO に泣き込んだ所で,どれだけの効果があるのだろうか
仰るとおり、さほどの効果はないでしょうね。ただ、BPOで調査を受けて、世間が問題ある番組だと指摘し、スポンサーが圧力をかけるようになれば、違ってくるでしょうけど。
>私がどこかで過少申告しているようにとられるといやだったので。
確かに気になりますね。
でも、懲戒請求者数のご指摘、ありがとうございます。
>なんでも疑われ邪推される今日このごろです。
喋れば意図と異なる方向へ受け取られ、黙っていれば変に邪推されてしまうわけで。なので、ある程度割り切るしかないとは思います。なかなかそう達観できないでしょうけど。
効果がないと知りつつBPOに文句を言うのは良くて,効果がないと知りつつ弁護士会に文句を言うのはダメなわけですか。
なんかダブルスタンダードな気がしますね。
URL | とおりすがり #-[ 編集 ]
・・・これは民訴法91条92条の趣旨から考えて違法では?
URL | とおりすがり #-[ 編集 ]
弁護士会に文句を言うのがダメと烙印を押されるのは、最初から効果がないからではありません。
発想がそもそも全く法制度に対して無理解であるからです。
また、効果がないだろうなと思っていても「一縷の望みを託す」ことは問題にされるべきとは思えませんが。
>・・・これは民訴法91条92条の趣旨から考えて違法では?
92条は私生活について重大な秘密がなければ閲覧制限を認めません。今回のような、自分に直接利害関係のない事項について懲戒請求をしたこと自体が「私生活」上の重大な秘密に当たるという見解は採用できないと思われます。
もっとも、見せしめなどを目的に公表するのは不法行為成立の可能性を否定できないとは私も思います。
少額訴訟程度の賠償額であったとしても、民事責任という事実を教えれば彼らを反省させるには十分と思います。庶民にとっては少額訴訟程度の金銭も安くないですし。
URL | 炎の獅子 #XZm8TX1I[ 編集 ]
>なんかダブルスタンダードな気がしますね。
「BPOへの文句」と「弁護士法に基づく懲戒請求」って、同じスタンダードだったんですかぁ??
そりゃ、知りませんでしたよ。
>>懲戒請求を受けた弁護人は、すべて懲戒請求者に対して、懲戒請求者の氏名を明示したうえで
>・・・これは民訴法91条92条の趣旨から考えて違法では?
違法じゃないと思いますがねぇ...
訴訟が裁判所に係属していないので、ご指摘の条文が働く余地はないと思います。
URL | Zizou #-[ 編集 ]
>効果がないと知りつつBPOに文句を言うのは良くて,効果がないと知りつつ弁護士会に文句を言うのはダメなわけですか。
「効果がないと知りつつBPOに文句を言うのは良」いとか、「効果がないと知りつつ弁護士会に文句を言うのはダメ」……?。エントリー内容はそういう趣旨ではないと思いますけど? はて。
それに、前者は放送倫理の問題、後者は正当な弁護活動への妨害という憲法論・刑事訴訟法の問題ですから、全く別個の問題です。
>なんかダブルスタンダードな気がしますね。
別個の問題ですから、ダブルスタンダード以前の問題です。同じ土俵に乗る問題であってはじめて比較が成立し、矛盾しているかどうか検討できるのです。何でもかんでも「ダブルスタンダードだ〜」と叫んでも意味がないのです。
>>懲戒請求を受けた弁護人は、すべて懲戒請求者に対して、懲戒請求者の氏名を明示したうえで
>・・・これは民訴法91条92条の趣旨から考えて違法では?
民訴法91条は無関係としても、92条1項1号はプライバシーに関わるものは秘密保護として閲覧制限ができるというものですね。例として、HIV訴訟における原告であるHIV患者の氏名や強姦の被害者の氏名を特定する事実が典型です。
例を見れば分かるように、訴訟当事者の氏名の秘匿はごく限られた場合を想定してますから、この場合は当てはまらないと分かると思います。憲法上、裁判の公開が原則ですから(憲法82条)、誰と誰との間で訴訟があるのかという訴訟の最も基本的な事項は公開されるべき事柄ですので。
まぁ、こういった説明・解釈をするまでもなく、「判例タイムズ」や「判例時報」には原告被告の名前がほとんど明示されています。なので、判例タイムズや判例時報を見ていれば、「民訴法91条92条の趣旨から考えて違法」だなんて、一目瞭然で「ムリ!」と分かると思います。それに、今の段階で光市事件弁護人が懲戒請求者に対して不法行為請求をしたら、マスコミが名前を公表するのでは?
だいたい、憲法に基づく正当な弁護活動を行っている弁護人に対して懲戒請求をしておきながら、不法行為請求をされたら「名前は出さないで〜」なんて虫が良すぎます。国民自ら反憲法的な行動をするべきではないのに、反憲法的な懲戒請求をするので、「氏名を明示してしまえ」と説いているのです。
>今回のような、自分に直接利害関係のない事項について懲戒請求をしたこと自体が「私生活」上の重大な秘密に当たるという見解は採用できない
民訴法92条に当たらないことについては、色々と説明できますね。説明ありがとうございます。
>見せしめなどを目的に公表するのは不法行為成立の可能性を否定できないとは私も思います。
裁判の公開原則があり、光市弁護団の弁護士はマスコミも取り上げますから、見せしめの意図の有無を問わず、訴えられた懲戒請求者の氏名はいずれ分かってしまうでしょうね。有名な光市事件だからこそ、懲戒請求をしたのですから、氏名が公になることも許容するしかないでしょう。
公表して問題となることは、マスコミ報道がなされて広く一般に知られてしまうことなのだと思います。マスコミ対応は大変なので、「ひっそりと訴訟を行いたいという利益」というものも考えられそうです。
ただ、マスコミ報道を阻止することってできるのでしょうか……。
>少額訴訟程度の賠償額であったとしても、民事責任という事実を教えれば彼らを反省させるには十分と思います
「民事責任という事実を教えれば彼らを反省させるには十分」だなんて、炎の獅子さんは優しいんですね。
私はどうも、公判中の正当な弁護活動を妨害することは、刑事弁護及び刑事裁判制度への挑戦ですし、不当な懲戒請求をしてしまった以上、その不利益を負っても仕方がないだろうと、突き放してしまうのです。もっと炎の獅子さんを見習って優しさを学んだ方がいいかもしれません(^^ゞ
>>・・・これは民訴法91条92条の趣旨から考えて違法では?
>違法じゃないと思いますがねぇ...
>訴訟が裁判所に係属していないので、ご指摘の条文が働く余地はないと思います。
92条違反にならないという説明は色々できますね。説明ありがとうございます。
こんなに沢山コメントをいただけるとは思いませんでした。
どうも短文レスだったせいか,上手く論旨が伝わっていない部分があるようなので補足させていただき
ます。
>・・・これは民訴法91条92条の趣旨から考えて違法では?
92条については皆様ご指摘の通りです。91条については,3項で「謄写」をできる者が当事者もし
くは利害関係を疎明した第三者に限定されているという点を指しています。
春霞さんがご指摘のとおり,92条からプライバシーに関わるものは秘密保護として閲覧制限が可能で
す。閲覧制限を行うために一定の疎明が必要なのはご指摘の通りですが,当事者が勝手にそれらの記
録を公開してしまうことは,適正手続の観点から問題があると言わざるをえません。
91条3項(2項もですが)からも訴訟記録の無制限な公開が認められていないことが読み取れると思
います。
よって訴訟当事者の氏名の公開は違法なのではないか,というのが上記のレスの趣旨です。
「訴訟が裁判所に係属していない」との指摘に関しては,弁護士が懲戒請求者を民事訴訟で訴えた後の
状態を想定して書きましたので,その前提でお考え頂けると幸いです。
・・・というか,そもそも「みせしめ」という悪意を持って懲戒請求者の氏名を公開するならば,上記
の条文など出すまでもなく違法行為のような気がします。
>効果がないと知りつつBPOに文句を言うのは良くて,効果がないと知りつつ弁護士会に文句を言うのはダメなわけですか。なんかダブルスタンダードな気がしますね。
どちらも,相手方に対して懲戒や処罰を受けさせる目的での申立であり,濫用すれば違法行為になる(何でもそうですが)という点で類似しています。たぶん申立人も申立が通るとは思っていないであろうという点でも類似していると思います。個人的にはBPOへの申立についても,例の最高裁判決の基準が準用できるのではないかと思います(だから弁護士団のBPOへの申立は違法,と言いたい訳ではありません。念のため。)。
「効果がないだろうなと思っていても「一縷の望みを託す」ことは問題にされるべきとは思えませんが。」とのご指摘については私も同感です。願わくば懲戒請求についても,その考えを適用して頂きたかった所ですが。
・・・以上,大雑把な主張なので皆様からすると突っ込みどころは色々とあるかと思いますが,如何せ
ん掲示板での議論ですので細かい部分については善解していただけると幸いです。。
URL | とおりすがりさん #-[ 編集 ]
まず。コメントして頂けるのは良いのですが、読者に対して同一人物か分からないので、今度からはHNの変更をお願いします。
>当事者が勝手にそれらの記録を公開してしまうことは,適正手続の観点から問題がある
民訴法で「適正手続」っ言い方自体どうかという突っ込みはともかく。本来、民訴法91条で何人も訴訟記録の閲覧請求ができ、HIV患者の氏名や強姦の被害者の氏名という特殊な場合のみ制限するので、加害者である不法な懲戒請求者の氏名は制限される場合に含めようがないと思いますが。普通は、訴訟当事者は、判決文でも明示され、マスコミや雑誌でも名前がでるでしょうし。なぜ、不法行為を行ったという「加害者」の氏名を隠さないといけないのか、意図がよく分かりません。
>相手方に対して懲戒や処罰を受けさせる目的での申立であり,濫用すれば違法行為になる
ですから、放送倫理の問題と憲法論・刑事訴訟法の問題とは別個なんですよ。
BPOが行うのは「勧告」または「見解」であり、懲戒や処罰はありません。懲戒請求と異なり、BPOの審理対象番組は委員会が決定し、申立人毎に判断するわけではないので、申立てが違法行為になることはまず不可能です。
このように、弁護士会への懲戒請求とBPOへの申立は共通性がないのです。まぁ、「ある機関に対して、何らかの請求をした」くらいの共通性はありますけどね。これで共通するなら、何でも共通性ありとなってしまいそうです。
>個人的にはBPOへの申立についても,例の最高裁判決の基準が準用できるのではないか
無理です。
とおりすがりさんは法律の素人なんでしょうけど、ここまでぶっ飛んだ考えは誰にも言わない方がいいです。
>大雑把な主張なので
確かにそうですね。……(^^ゞ
URL | 来栖宥子 #mQop/nM.[ 編集 ]
>TBさせて戴きます
>できないようです
申し訳ありません。どうもFC2にアクセスが殺到するときだと、TBの受け付けがうまくいかないようです。ぜひまた宜しくお願いします。
TBを試みたのは、たぶん「光市母子殺害事件の安田弁護士懲戒せず」の2つのエントリーのどちらかですね? 拝見させて頂いています。こちらでもエントリーとして取り上げたいです。
安田弁護士懲戒せずの話題は、なぜか、(22日現在)読売新聞と時事通信しか報道していませんけど。
アレッ♪ テンプレート変わりましたね。春霞さんじゃないみたい。面食らっちゃいましたよ(ふふふ・・)
TB、今日はできました。一度、読んでみて下さい。素人の、主婦の、感覚ですけど。
>アレッ♪ テンプレート変わりましたね。春霞さんじゃないみたい
クリスマスと正月の頃はテンプレートを変更しています。読者の側も新鮮な気持ちに……というより、ブログを間違えたかなと、思うかもしれませんが(汗)
>TB、今日はできました。一度、読んでみて下さい
TBできてよかったです。拝見しました。来栖宥子さんの方のエントリーにコメントしますね。
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