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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/10/25 [Thu] 20:43:09 » E d i t
鳩山法相が「法相が絡まなくても自動的に客観的に進むような方法を考えたらどうか」と述べた問題について、福田内閣は閣議決定を行い、「法相の署名なしで死刑自動執行化」をする必要はないことを明確にしました。


1.まず、報道記事を。

(1) 読売新聞平成19年10月24日付朝刊2面

「自動的な死刑執行」考えぬ、と政府答弁書決定

 政府は23日の閣議で、鳩山法相が法相の署名なしに死刑を自動的に執行することも検討対象などと発言したことに関連し、「自動的に死刑が執行される制度が必要であるとは考えていない」とする答弁書を決定した。

 答弁書では、法相の発言について「併せて、執行を命ずる職責の重さについても発言しており、死刑の執行のあり方の所感を述べたものと理解している」と説明した。

 鈴木宗男衆院議員(新党大地)の質問主意書に答えた。

(2007年10月23日20時1分 読売新聞)」



(2) 時事通信(2007/10/23-12:30)

 「2007/10/23-12:30 自動的な死刑執行、必要ない=政府答弁書

 政府は23日の閣議で、法相の署名を必要とせず、死刑確定後、半年以内に自動的に死刑執行する制度の導入について「必要であるとは考えていない」とする答弁書を決定した。鈴木宗男衆院議員が質問主意書で、鳩山邦夫法相の「法相が絡まなくても自動的に客観的に進むような方法を考えたらどうか」との発言についてただしたのに答えた。
 答弁書は法相の発言について「死刑執行に関する所感を述べた」とし、「執行を厳正に行うべきである旨を述べ、併せて再審の有無等について慎重な検討の必要性や執行を命ずる職責の重さについても発言している」としている。」





2.福田内閣は、閣議決定を行い、

「自動的に死刑が執行される制度が必要であるとは考えていない」

とする答弁書を決定したのです。内閣で閣議決定した以上、大臣は内閣の一員なのでその閣議決定に拘束されますから、鳩山氏は閣議決定に反する言動はできず、下部機関である法務省も閣議決定に反する行動はできません。これで、鳩山氏は、「死刑自動執行化」することは不可能になったのです。また、基本的に閣議決定は、その後の内閣をも拘束するので、今後の内閣においても「死刑自動執行化」することはなくなったといえるでしょう。この閣議決定により、自動執行化を認めるための、法務省内での勉強会は解散となるはずです。

こうして、いち早く鳩山発言を否定する閣議決定を行ったということは、やはり、政府側の意識としても、鳩山発言は、ただ自分が署名したくないだけの無責任な態度にすぎず、思い付きだったと思っていたと推測できます。


(1) 鳩山法相“署名なしで死刑執行を”発言に関しては、「鳩山法相“署名なしで死刑執行を”発言~暴言に法相の資質を疑う!(毎日新聞9月27日付「社説」より)」「鳩山法相“署名なしで死刑執行を”発言の波紋~非難拡大・国会で論戦へ」「10月10日は「世界死刑禁止デー」」「冤罪被害の免田栄さん、国連で訴え~国連総会は「死刑執行停止」の決議案採択へ」でも触れてきました。

これらのエントリーで触れたように、鳩山発言に対しては、死刑制度存否両派のみならず、官邸(官房長官)も否定的であり、与野党問わず政界からも非難轟々という状態だったのですから、福田内閣としては当然の態度決定といえます。



(2) 苦笑を禁じえないのは、記事中の次の部分です。

「答弁書は法相の発言について「死刑執行に関する所感を述べた」とし、「執行を厳正に行うべきである旨を述べ、併せて再審の有無等について慎重な検討の必要性や執行を命ずる職責の重さについても発言している」としている。」



「鳩山法相“署名なしで死刑執行を”発言の波紋~非難拡大・国会で論戦へ」で触れたように、鳩山氏が「法相最大の仕事」をいらないと言い出したのですから、死刑制度にあまりにも無理解だったことがよく分かります。もちろん、鳩山氏に対して法務省の幹部が代わる代わる説明に赴いて、「修正を試みた」、すなわち、「間違っているから取り消せ」という趣旨を(婉曲に)何度も説得を試みたのに、鳩山氏は感情論から修正せず、理解力がなかったのですが。

町村官房長官は、勉強会を「ご検討されるのはご自由だが、あまり思いつきでやるのはまずい」と牽制する発言をしていますが、それも、法務省から経緯を詳細に知らされ(鳩山氏が思いつきで発言したこと)、法務省の意向を受けての発言であると推測できていました。


鳩山法相は、「執行を厳正に行うべきである旨を述べ、併せて再審の有無等について慎重な検討の必要性や執行を命ずる職責の重さについても発言している」としていることは確かです。しかし、本当に再審の有無等に慎重な検討が必要であるのであれば自動執行化は不可能なのですから、自身の発言の意味を理解できていれば、「死刑自動執行化」は無理であるとすぐに理解できたはずです。

この部分を答弁書で取り上げたということは、ここだけしか鳩山法相の発言を擁護できなかったということであり、鳩山法相の理解力のなさを閣議決定でお墨付きを与えたということなのだと思います(苦笑)。



(3) 鳩山氏は、死刑制度の重みが少しも理解できていません。

死刑を求刑する検事、死刑判決を言い渡す裁判官、執行に直接携わる刑務官ら、死刑相当事件に関わる弁護人すべて、人の命を奪ったという重荷を一生背負っていくのです。再審で無罪になった元死刑囚の免田栄さん(81)のように、「犯してもいない殺人の罪で死刑という十字架を背負わされた」こともあるのです。もし、死刑執行後冤罪であった場合、その責任は誰が負うのでしょうか?


 「欧州連合(EU)は、世界のあらゆる国での死刑制度の廃止を目指して活動しています。この姿勢は、平時であれ戦時であれ、いかなる罪を犯したとしても、すべての人間には生来尊厳が備わっており、その人格は不可侵であるという信念に基づいています。どの国にも、国民の生命に対する権利を守る義務があり、これには国民の生命を奪う権利は含まれていません。さらに、司法手続きを行うのは人間であり、誰もがよく承知しているように、人間は間違いを犯すものです。死刑はいったん執行されれば二度と取り返しがつきません。」(Speech 24/2005 - 2005/12/06:「人権と死刑を考える国際リーダーシップ会議 開会の挨拶」


人の命を奪うという刑罰は、生きることを本質的前提とする人間にとって過酷であり、人間の尊厳の根本的否定なのですから、人権思想に抵触するのです。しかも、その性質上誤判に対して救済不可能なのです(戸波江二『憲法(新版)』332頁)。死刑によって奪う命の重大性について、鳩山氏は理解しているのでしょうか?


鳩山法相は、無責任な発言をしたことに対して国民に対して明確に謝罪すべきであり、法務省の官僚が何度も説明したのにも関わらず死刑制度に対して無理解であって、無能さが露になったのです。ここまで人権感覚に欠け、理解力が欠如しているとなると、民意を汲み取ることさえ無理のように感じます。法相を辞任するだけでなく、国会議員を辞職した方が妥当であると考えます。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
オヂサンの思いつき発言
やっぱり、鳩山法相は、典型的な「オヂサンの思いつき発言」だったワケですよね!

しかし、まだ「思いつき発言」が続いているようでして、

『24日の衆院法務委員会での答弁で、死刑確定から執行まで平均で7年以上かかっている現状と、「法相は確定後6カ月以内に執行を命令しなければならない」とする刑事訴訟法の規定とのずれに違和感を示した。そのうえで「短すぎるなら延ばす方法もある」と述べ、期間について見直しも視野に検討していく考えを明らかにした。』

とのことです...どうも、法律の条文を「自己流」あるいはコチコチの「文理解釈」しすぎているような気が...(この件、春霞さんが解説してくださってましたよね)

法律で一律に期間を限定して執行するとなると、執行する現場の刑務官等は、ますます大変になるでしょうね~。

そして、極めつけはコレ!!

『法相は執行方法についても言及。「(絞首刑より)もっと安らかな方法はないか、という思いはある」と語った。』

って、この発言、絞首刑が「残虐」だって、間接的に答弁しているとも取れますよね。嗚呼、法務官僚のあわてる様が目に浮かびますw 現状での司法判断とも違いますね、この発言は。

このまま、典型的な「オヂサンの思いつき発言」をさせておけば、死刑の議論も「可視化」されていって...
2007/10/26 Fri 01:20:10
URL | Zizou #-[ 編集 ]
鳩山法相いいこと言うじゃん
 「もっと安らかな方法」
 いいですねえ、みなで考えましょう。
 例えば注射による安楽死はどうでしょう?
 執行が決まったら、受刑者には告知せず睡眠導入剤で眠らせてから、塩化カリウムか筋弛緩剤の静脈注射で安らかに命を絶つ。
 苦痛もないし、彼らはきっと毎朝の目覚めを神に感謝する思索豊かな人間に生まれ変われるでしょう。

 ああ、あくまでも素人の思いつきだから法的なご解説は必要ありません。だってここは私見を述べる場所なんだから、コメントだって私見を述べて問題ないはず。
 エントリにしたところで、ブログ主さんの興味関心の表れにすぎませんしねえ。でも私的には最近の法律トピック
・まことちゃんハウス仮処分却下(10/12)
・上告審の在り方、最高裁で激論(10/13)
なんかがスルーされたのは残念でした。興味がないんですね。
2007/10/26 Fri 23:46:40
URL | 傍人 #b5.M5V.g[ 編集 ]
>Zizouさん
コメントありがとうございます。


>しかし、まだ「思いつき発言」が続いているようでして
>「短すぎるなら延ばす方法もある」と述べ、期間について見直しも視野に検討していく考えを明らかにした

この発言については、「衆院法務委員会での鳩山法相の発言を検討~刑訴法475条2項「6箇月以内」の期間延長の要否」で取り上げました。ご覧下さい。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-625.html


>法律で一律に期間を限定して執行するとなると、執行する現場の刑務官等は、ますます大変になるでしょうね~

同感です。
本当に期間延長+期間経過後一律執行は、大量執行になるでしょうし。そんな大量執行を行ったら、国際社会から非難轟々でしょう。


>この発言、絞首刑が「残虐」だって、間接的に答弁しているとも取れますよね。嗚呼、法務官僚のあわてる様が目に浮かびます

確かにそうですね。残虐に当たるから憲法36条に違反して違憲の疑いありといえそうです。きっとまた、鳩山法相のところに法務官僚が説明しに言ったに違いありません。


>典型的な「オヂサンの思いつき発言」をさせておけば、死刑の議論も「可視化」されていって...

鳩山法相の良い点は、思いつきであっても臆することなく死刑問題について発言している点ですね。議論の「可視化」の結果、死刑廃止へ向かうかも……。
2007/10/27 Sat 23:38:09
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>傍人さん
コメントありがとうございます。


>「もっと安らかな方法」
>いいですねえ、みなで考えましょう。
>例えば注射による安楽死はどうでしょう?
>ああ、あくまでも素人の思いつきだから法的なご解説は必要ありません

法務委員会での鳩山法相の発言のことですね。鳩山法相は思いつきばかり発言してますけどね(苦笑)。解説は不要とのことですので、これ以上触れませんが。

ただ、この発言については、「衆院法務委員会での鳩山法相の発言を検討~刑訴法475条2項「6箇月以内」の期間延長の要否」で取り上げています。こちらをご覧下さい。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-625.html


>・まことちゃんハウス仮処分却下(10/12)
>・上告審の在り方、最高裁で激論(10/13)
>なんかがスルーされたのは残念でした。興味がないんですね。

この2点については、大変興味があったようですね。
法律問題についてリクエストがあれば、(忙しいといった事情がなければ)できる限りエントリーやコメント欄でお答えします。その際には、ご自分の考えを示して頂けると疑問点に答えやすいで、宜しくお願いします。

大変興味があったのならば、ご自分でブログを解説して論じてみたら如何でしょうか? どうでしょうか?
2007/10/27 Sat 23:44:40
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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2007/10/26(金) 23:42:47 | 晴天とら日和
 がして来ました.いよいよ本格的な秋ですね.と言っても,視力低下のため,昆虫たちの写真が貼れないのが残念です.トノサマバッタが目の前を飛んだことは何となく分かるんだけど,どっちへ着地したのかが分からないのが悲しい.今年は獲物が少ないせいか,マンションの...
2007/10/27(土) 14:03:51 | Die Weblogtagesschau laut dem Kaetzchen
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