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2007/10/18 [Thu] 19:36:55 » E d i t
国連本部で10月16日、死刑制度の廃止を求める国際NGO主催のイベントが行われ、日本からは死刑確定後再審無罪となった免田栄さんが、そのイベントに参加しました。


1.まずその報道記事から。

(1) 東京新聞平成19年10月17日付夕刊10面

 「「死刑廃止は私の念願」 冤罪被害の免田栄さん、国連で訴え
2007年10月17日 12時05分

 【ニューヨーク16日=共同】再審で無罪になった元死刑囚の免田栄(めんだ・さかえ)さん(81)は16日、国連本部で開かれた死刑廃止を目指すパネルディスカッションに参加、「死刑廃止は私の念願です」と述べ、冤罪の可能性がある限り、死刑制度を廃止すべきだと訴えた。

 パネルディスカッションには免田さんのほか、同じく殺人で死刑判決を受けながら、後に冤罪と分かった米国とウガンダの男性も参加。免田さんは「犯してもいない殺人の罪で死刑という十字架を背負わされた」「警察は強制、強要、誘導尋問、暴力によって、何が何でも自白させようとした」などと司法当局への不信感を訴えた。パネルディスカッションは国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどが主催した。

 また、イタリアの国連代表部によると、同国などは死刑の執行停止を求める決議案を作成、来週にも国連総会第3委員会(人権)に提出する意向を明らかにした。」



(2) asahi.com(2007年10月17日10時44分)

 「「死刑廃止を」 無罪判決の免田さん、国連で訴え
2007年10月17日10時44分

 国連本部で16日、死刑制度の廃止を求める国際NGO主催のイベントが開かれ、死刑確定囚として日本で初めて再審・無罪判決を勝ち取った免田栄さん(81)が、国際社会に死刑廃止の必要性を訴えた。

 イタリアなどが国連総会に提出を目指す死刑執行停止を求める決議案を応援するため、国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」が開いた。免田さんは米国とウガンダの元死刑囚とともに出席。「獄中で多くの死刑囚を刑場に見送ったが、そのほとんどが裁判に不満を持っていた。冤罪が絶えない限り、死刑をなくすために行動したい。死刑廃止は私の念願です」と話した。

 イタリアなど37カ国が起草中の決議案は、全加盟国に対し、死刑廃止を視野に、即時に死刑の執行停止を求める内容。月内にも提出され、人権問題を扱う総会第3委員会で協議される見通しだ。」




(3) 毎日新聞 2007年10月17日 11時15分 (最終更新時間 10月17日 11時51分)

 「国連:「死刑執行停止を」免田さん訴え…人権団体討論会

 【ニューヨーク小倉孝保】再審で無罪になった元死刑囚、免田栄さん(81)が16日、国連内で行われた討論会に参加し、イタリアなどが国連総会への提出を検討している死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求める決議案への支持を訴えた。

 人権団体「アムネスティ・インターナショナル」主催の討論会には免田さんのほか、ウガンダと米国からも無罪になった元死刑囚が参加した。

 免田さんは「私にはアリバイがあり、物証もあったが無視された。暴力で自白を強要された」と述べ、「福岡拘置所で別れの握手を交わした死刑囚は覚えているだけで56人もいる」として、死刑廃止の必要性を訴えた。

 国連総会では欧州を中心に20カ国以上がモラトリアム決議案を支持する見通しだが、大票田のアフリカやアジアの国々は死刑制度支持の国が多い。決議案は11月2日までに総会の第3委員会(人道と文化)にかけられ、採択されれば総会にかけられる。

毎日新聞 2007年10月17日 11時15分 (最終更新時間 10月17日 11時51分)」




2.記事の見出しとしては、「『死刑廃止を』 無罪判決の免田さん、国連で訴え」と出ています。その点も重要ですが、記事中の別の点に注目する必要があります。


(1) 記事中で紹介しているイベントは、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどが主催したものですが、「イタリアなどが国連総会に提出を目指す死刑執行停止を求める決議案を応援するため」のものであり、その点に注目する必要があります。

 「イタリアなど37カ国が起草中の決議案は、全加盟国に対し、死刑廃止を視野に、即時に死刑の執行停止を求める内容月内にも提出され、人権問題を扱う総会第3委員会で協議される見通しだ。」


日本は、米国のような超大国ではないので、国連総会の決議を無視して行動するわけにはいきません。国連は、国連の全加盟国に対して、「死刑廃止を視野に、即時に死刑の執行停止を求める」決議案を採択する予定なのですから、採択後は、その決議案に沿った行動を行うことが急務となってきたと思います。

いよいよ、日本も、死刑廃止に向けて法改正を行うことが、切迫感をもってきたようです。国際社会の情勢からすれば、もはや、死刑存廃の議論を交わす時期は過ぎてしまい、直ちに死刑の執行を停止し、死刑という刑罰の廃止を前提として、どのように法改正するかを議論する時期に入ったのです。



(2) もっとも、東京新聞や朝日新聞と異なり、毎日新聞の記事は少し論調が異なります。

「国連総会では欧州を中心に20カ国以上がモラトリアム決議案を支持する見通しだが、大票田のアフリカやアジアの国々は死刑制度支持の国が多い。決議案は11月2日までに総会の第3委員会(人道と文化)にかけられ、採択されれば総会にかけられる。」


この記事からすると、アフリカやアジアが決議案に反対するかのようであり、決議案の採択は難しそうなイメージを与えます。しかし、本当はどうでしょうか?


朝日新聞平成19年10月17日付朝刊3面「死刑存廃 日本の道は 国連・欧州非難/高い世論の支持」から一部引用してみます。

◆「廃止」130国、「存続」60国

 スイス・ジュネーブの国連欧州本部で5月に開かれた拷問禁止委員会。

 法務省(日本) 絞首刑が残酷とは考えない。国際社会で死刑が非人道的な刑罰に当たるとの共通認識は存しない。

 議長 回答には失望しました。日本以外の世界では絞首刑は残酷と考えられている。

 議論の末、委員会は日本政府に死刑執行の速やかな停止を勧告した。

 死刑廃止・執行停止の流れは加速している。アムネスティ・インターナショナルによると、「事実上の廃止」状態を入れると廃止した国は130にのぼる。存続している国は米国や中国、日本など約60=表参照。

 国連は日本や米国などへの批判を強め、今年中に死刑停止を求める総会決議を可決する見通し。欧州会議も死刑を理由に、日米両国に対しオブザーバー資格をなくすと警告を繰り返している。

 鳩山発言を今国会の代表質問で複数の野党議員がとり上げた。廃止論から「人命軽視だ」とする批判と、「責任を負って署名すべきだ」とする容認論からの批判が交差。賛否が分かれ、是非をめぐる議論が進まない現状を浮き彫りにした。」



<死刑制度の現状>

あらゆる犯罪に対する死刑廃止=90
 欧州連合(EU)加盟国(ラトビアを除く26ヶ国)、ウクライナ、トルコ、南アフリカ、ネパール、カンボジア、ブータン、フィリピン、カナダ、メキシコ、ルワンダなど

軍法下の犯罪などを除く通常犯罪で廃止=11
 アルゼンチン、イスラエル、ブラジル、ペルー、ラトビア、フィジー、キルギスなど

10年執行していないなど事実上廃止=32
 ロシア、アルジェリア、ケニア、モロッコ、スリランカなど(韓国は予定)

通常の犯罪に対して死刑を存続=64
 米国、中国、日本、北朝鮮、ナイジェリア、エジプト、イラン、イラク、パキスタン、サウジアラビア、インド、インドネシア、タイ、シンガポール、キューバなど

*アムネスティ・インターナショナルの07年9月の調査結果による」


朝日新聞の記事によると、「国連は日本や米国などへの批判を強め、今年中に死刑停止を求める総会決議を可決する見通し」とのことですから、決議案の採択は難しそうなイメージを抱いておくことはやめておく必要がありそうです。


さらに、東京新聞平成19年10月14日付朝刊(日曜)26面「こちら特報部:死刑廃止「国際的な流れ」 人権NGOなどが集会」の記事からも一部引用しておきます。

「WCADP、AIなどのデータによると、133の国と地域が、法律上あるいは事実上、死刑を廃止している。2005年は世界で2148人以上が処刑されたが、昨年は4分の3以下に減り1591人だった。欧州連合(EU)のように、死刑廃止国であることを事実上、EU加盟の条件にしているケースもある。

 一方、日本、米国、中国、北朝鮮など25の国・地域が死刑を続けている。昨年、死刑を執行した国は25ヶ国で、世界中で処刑された死刑囚の数の91%は、中国、米国、イラン、イラク、パキスタン、スーダンでの執行だった。

 AIは「ヨーロッパでは、ベラルーシ以外で死刑がなく、中央アジアでも死刑廃止に向けた明確な動きがある」。キルギスは今年6月、通常犯罪について死刑を廃止し、カザフスタンでは03年から死刑執行を停止。タジキスタンでも04年以降、死刑の判決と執行を停止しているという。

 また、アフリカの状況をみると「昨年、死刑を執行した国はわずか6ヶ国だった。今年3月、ガーナの内務相は36人の死刑囚を終身刑に減刑すると発表。ナイジェリアでは今年5月、死刑判決を受けて10年以上たっている60歳超の死刑囚を恩赦するとの発表があった。ルワンダは07年7月に死刑を廃止した。ブルンジ、ガボン、マリは廃止に向けての措置をとっている」(AI)という。

 中南米でも03年以降、死刑が執行された国はなく、「南北アメリカで、03年以降に死刑の執行があったのは米国だけ」。その米国も「06年に行われた処刑は53件と、これまでの10年間で最も少なく、死刑判決も1990年代半ばをピークに減少し続けている」(AI)。

 アジアの場合、昨年、フィリピンが死刑を廃止。韓国も97年末以来、死刑を執行していない。執行停止10年で「事実上の死刑廃止国」となるAIの基準で、韓国も“廃止国”入りすることになる。」


この記事からすると、「大票田のアフリカやアジアの国々は死刑制度支持の国が多い」として、決議案の採択は難しそうなイメージを抱いておくことはやめておく必要がありそうです。やはり、近い将来、国連において「死刑廃止を視野に、即時に死刑の執行停止を求める」決議案を採択することがあることを念頭においておくべきでしょう。




3.このような国際社会と異なる態度を示しているのが日本です。長勢甚遠前法相の下では11ヶ月に10人の死刑が執行され、世論も存続派が多数なのです。内閣府(旧総理府)の世論調査で死刑容認派は99年で79%、04年は過去最高の81%に上っています。

日本の世論以上に、国際社会の状況とはるかにかけ離れた発言を行ったのが、わが国日本の法務大臣様です。鳩山法相は、「法務大臣が絡まなくても死刑執行が自動的に進む方法はないのか」などと述べて、いかにして責任を回避したまま楽に死刑を執行しようと画策する発言をしているのです。国際社会からすれば、鳩山氏はまるで異世界の人間の発言のように捉えられたはずです。

鳩山氏は、日本はウエットな「美と慈悲の文明」をもつなどと、安田喜憲氏の持論を引用して死刑を正当化しています。しかし、国際社会に通用しない文化論によって命を奪うことさえも正当化することは、国際社会からすれば、まるで命を奪うことさえ正当化したオウム真理教の教えのように奇怪に思われてしまうでしょう。

もっと国際社会の動向に注意すべきであり、国連では、近い将来、「死刑廃止を視野に、即時に死刑の執行停止を求める」決議案を採択する予定であることを理解しておく必要があるのです。死刑という刑罰の廃止を前提として、どのように法改正するかだけでなく、裁判においても死刑判決を下すことを避けなければならないことになるかと思います(拷問禁止条約に基づき死刑の執行停止を勧告されていることも影響するべき)。日本政府及び日本の世論は、死刑に関する認識を変更しなければならなくなっているのです。

テーマ:政治・経済・社会問題なんでも - ジャンル:政治・経済

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