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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/10/10 [Wed] 23:59:53 » E d i t
今日、10月10日は、2003年に世界死刑廃止連盟(WCADP)が定めた「世界死刑廃止デー」です。人権問題などの協議機関である欧州会議も9日、死刑制度に関する国際会議を開催しています。これに関する記事について触れたいと思います。


1.まず、報道記事について触れる前に、死刑制度が「国際社会」ではどのように扱われているかを指摘したコラム(読売新聞平成19年10月10日付朝刊19面「ウイークリー時評」から一部抜粋)を紹介しておきます。

 「従来死刑廃止を強く推進して来たのは、ヨーロッパである。ヨーロッパにおいても、この運動が勢いを得るのは第二次世界大戦後であり、多くの国で制度化され始めるのは1980年代以降である。冷戦後にこの波は一気に東欧へと拡(ひろ)がった。現在ではEUに加盟するには死刑廃止が前提条件であり、欧州評議会加盟にも、最低限死刑の執行停止が求められている。欧州評議会加盟国の中ではロシアのみ死刑を廃止していないが、執行は停止している。オブザーバーである日本とアメリカは、共に欧州評議会から再三にわたり、死刑廃止を呼びかけられている。

 EUでは今年、この日を欧州死刑廃止デーにしようとしたが、ポーランドの反対のためできなかった。今月末に選挙をひかえたポーランド政府は、保守票への配慮のため反対したと言われている。多数決で決定ができる欧州評議会の方は、10日を欧州死刑廃止デーと定めた。アムネスティー・インターナショナルによれば、1990年以来、50を超える国がすべての犯罪に対する死刑を廃止している。90の国と地域があらゆる犯罪に対する死刑を廃止、11カ国が例外的犯罪を除いて廃止、32カ国が執行を事実上停止しており、64カ国が存続させている。

 昨年世界で死刑を執行した国は、日本を含む25カ国であり、執行数は中国、イラン、パキスタン、イラク、スーダン、アメリカが全体の91パーセントを占める。先進国で死刑制度を残しているのは日、米、韓くらいである。犯罪と刑罰の問題は、それぞれの社会の価値観に大きく左右される。しかし、昨今のグローバリゼーション下、このような問題にも、外から嵐が吹き付けることは避けられないのである。
(政策研究大学院大准教授・国際政治)」(読売新聞平成19年10月10日付朝刊19面「ウイークリー時評:岩間陽子・死刑制度 日本と欧州 かけ離れた価値観」)」


国際社会の現在の状況は、「EUに加盟するには死刑廃止が前提条件であり、欧州評議会加盟にも、最低限死刑の執行停止が求められている」ほどであり、「先進国で死刑制度を残しているのは日、米、韓くらい」なのです。

しかも、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルは、過去10年間、死刑執行をしなかった国を「事実上の死刑廃止国家」と分類しているのですが、韓国では、今年末で最後の死刑執行から10年となる韓国で10月10日、市民団体が主催する「死刑廃止国家宣言式」があったのですから(asahi.com「最後の執行から10年 韓国で死刑廃止国の『宣言式』」(2007年10月10日19時22分))、先進国で死刑制度を残しているのは、事実上日本と米国だけになりました。

国連拷問禁止委員会は、拷問禁止条約(日本は1999年に加入)に基づき、日本政府に対して「死刑の執行をすみやかに停止し、かつ、死刑を減刑するための措置を考慮すべき」と勧告しています(「国連拷問禁止委員会が日本政府に改善勧告~せめて最低水準に合わせろと勧告される“先進国”日本」「鳩山法相“署名なしで死刑執行を”発言の波紋~非難拡大・国会で論戦へ」参照)。


こういった国際社会の現状を十分に理解しておく必要があります。すなわち、日本がいくら死刑制度問題について、欧州と価値観が違うのだと主張したところで、日本が死刑制度を存続させることは極めて困難な状況にあるということです。では、記事を紹介します。


2.報道記事について。

(1) TBS-News i(10月10日10:09)

 「死刑めぐる国際会議で廃止求める声

 死刑制度に関する国際会議がポルトガルで開かれ、死刑を続ける日本などに対し、廃止を求める声が相次ぎました。

 「全ヨーロッパが死刑制度に強く反対します」(死刑制度に関する国際会議)

 死刑制度に関する国際会議は、人権問題などの協議機関である欧州会議が9日、リスボンで開催したもので、ポルトガルのソクラテス首相を初め、閣僚、NGOなどが参加しました。

 会議では参加者から、死刑は残酷な人権侵害、犯罪抑止の効果はない、などと死刑制度の廃止を求める意見が相次ぎました。

 「日本が突然、死刑を執行したことに、我々は失望せざるを得ません」(会議参加者)

 死刑制度を法律上、あるいは事実上、廃止している国が合わせて130ヶ国に上る一方、死刑を続ける国は67ヶ国で、とりわけ先進国の日本とアメリカが象徴的な存在とされています。

 「日本は世界の文化発展に非常に貢献している。その日本が時代遅れなのは大変、残念だ。いずれ日本も死刑を廃止し、『文明国』となる日が来るでしょう」(デイビス欧州会議事務総長)

 さらに、先の鳩山法務大臣による死刑自動化発言も日本への風当たりを強めています。

 「鳩山法相の言葉を聞いて、私は驚がくし、あきれかえりました。彼に言いたい。『あなたが部下に処刑を命じているのですよ』と」(国際人権団体の人)

 世界の大きな流れは、明らかに死刑廃止に向かっています。では、日本は今後どうするのか、少なくとも議論を深めていく必要があると言えます。(10日10:09) 」



(2) 東京新聞2007年10月10日 17時27分

法相は発言撤回を 死刑廃止求め49団体
2007年10月10日 17時27分

 アムネスティ・インターナショナル日本など死刑廃止を求める計49団体と再審無罪となった元死刑囚の免田栄さんらは10日、鳩山邦夫法相が法務大臣の署名なしでの死刑執行の検討に言及したことに抗議し、撤回を求める共同声明を発表した。

 声明は「人の命を機械的に奪っていこうという非人権的な思想の持ち主が法務省のトップに任命されることにりつぜんとせざるを得ない。世界は死刑廃止に向けて歩んでおり、制度の見直しを求める」としている。

 10日は世界の死刑廃止団体が定めた「世界死刑廃止デー」に当たることから声明をまとめた。

 鳩山法相は9月25日の安倍内閣総辞職後の記者会見で「法相が絡まなくても、自動的に客観的に進むような方法を考えてはどうか」などと述べた。

(共同)」




(3) 「死刑制度に関する国際会議がポルトガルで開かれ、死刑を続ける日本などに対し、廃止を求める声が相次ぎました」(TBS-News i(10月10日10:09))とあります。国連拷問禁止委員会は、拷問禁止条約(日本は1999年に加入)に基づき、日本政府に対して「死刑の執行をすみやかに停止し、かつ、死刑を減刑するための措置を考慮すべき」と勧告しているのに、日本は勧告に従っておらず、条約の履行を怠っているのですから、元々、日本は非難を回避できない立場にあり、日本などに対し死刑「廃止を求める声が相次」ぐのも当然のことです。

「先の鳩山法務大臣による死刑自動化発言も日本への風当たりを強めています。

 「鳩山法相の言葉を聞いて、私は驚がくし、あきれかえりました。彼に言いたい。『あなたが部下に処刑を命じているのですよ』と」(国際人権団体の人) 」 (TBS-News i(10月10日10:09))


条約の履行を怠っている状況において、鳩山法相は死刑自動化発言を行ったことは、国際社会の現状と逆行し、さらに積極的に条約の履行を怠るに等しいのです。鳩山法相の発言は、国際社会の日本に対する批判をより強めることになったのは、当然のことなのです。

鳩山大臣は10月5日、法務省内で制度見直しなどについての、初めての勉強会を開き、刑事局の担当者が死刑執行の現状などについて説明をしたそうです。この事実が国際社会が知ることになったら、より一層、日本への非難が強まることになりそうです。


「アムネスティ・インターナショナル日本など死刑廃止を求める計49団体と再審無罪となった元死刑囚の免田栄さんらは10日、鳩山邦夫法相が法務大臣の署名なしでの死刑執行の検討に言及したことに抗議し、撤回を求める共同声明を発表した。 」(東京新聞2007年10月10日 17時27分)


鳩山法相の発言に対しては、日本でもさらに批判が強まっています。鳩山法相のいうように、従来の政府が「死刑自動化」を行っていたとすれば、再審無罪となった元死刑囚の免田栄さんは、死刑を執行されており、生きて署名できなかった可能性が高かったはずです。鳩山法相は、免田栄さんに対して「死んでいるはずだったのに」と言っていると同然なのですから、共同声明に対して、免田栄さんを意識してぜひ答えてほしいと思います。

死刑以外でも冤罪事件は常に存在しますし、死刑事件でも袴田事件(1980年12月12日死刑確定)は、一審静岡地裁でこの事件に関わった元裁判官熊本典道氏は「彼は無罪だと確信していた」と発言するなど、冤罪の可能性が高いのです。

富山の冤罪事件で強姦罪などに問われ、約2年間の服役後に無実と判明した被告柳原浩さん(40)の再審判決公判が10月10日、富山地裁高岡支部で開かれ、藤田敏裁判長は「犯人でないことは明らか」と無罪を言い渡しました。「再審で弁護側は、柳原さんの自白が虚偽だったことを証明するため、取調官の証人尋問を2度申請したが、藤田裁判長はいずれも却下」し、富山地裁は、「誤認逮捕から誤判に至った実態の解明」をしなかったのです(東京新聞2007年10月10日 19時45分「富山冤罪、柳原さんに無罪 誤認逮捕、誤判、解明なく」)。

判決言い渡し後、藤田裁判長は、柳原さんの要望を拒絶しておきながら、柳原さんに「無実であるのに服役したことは誠にお気の毒です。(亡くなった)お父さまのことを思うと言葉がありません。これからの人生が充実していくものになるよう心から願っています」などとお為ごかしな説諭を行うという、茶番劇を演じてみせたのです(東京新聞2007年10月10日 19時45分「富山冤罪、柳原さんに無罪 誤認逮捕、誤判、解明なく」)。これでは、冤罪事件はまずなくならないことが確実です。

この富山の冤罪事件では、男性のアリバイ、現場の足跡の違いという決定的な客観的証拠を無視して、自白を強要して自白に頼って起訴したばかりか、弁護人が十分に被疑者の言い分を聞かず、裁判官も自白を鵜呑みにして有罪としたのです。しかも、日本の一部の市民や橋下弁護士は、光市事件を典型として、被告人が公判廷で言い分を十分に述べ、それを弁護することさえ非難するのです。これでは、冤罪を回避することは不可能に近いとさえいえるでしょう。


今でも死刑冤罪事件が疑われる事件があり、死刑以外でも冤罪事件は常に存在し、しかも裁判所はその原因を探ることもなく、日本の市民も、冤罪を避ける手立て(=必要かつ十分な弁護)を実質的に否定するという愚かしい行動にさえでるのです。このような日本社会の現状であるのに、鳩山法相は死刑自動化発言を行い、法務官僚に勉強会を強要してまでも死刑執行の署名をしたくないという無責任ぶりを発揮しているのです。拷問禁止条約に基づいて、日本政府に対して死刑制度の存続・執行が非難されているにも関わらず。

日本政府は、鳩山法相の「死刑自動化発言」の無責任ぶりをもっと重大に受け止め、野党も国際的な非難が高まっていることを国会において指摘する必要があると思うのです。そうでないと、より一層国際社会から批判が高まり、国際社会においてますます発言力・地位が低下することになるはずです。日本国憲法前文では、「国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」としていることをぜひ遵守してほしいと思うのです。

テーマ:社会ニュース - ジャンル:ニュース

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