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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/10/09 [Tue] 23:15:05 » E d i t
日本相撲協会は10月5日、東京・両国国技館で緊急理事会を開き、時津風部屋の序ノ口力士、時太山=当時(17)=が6月下旬のけいこ後に死亡した問題で、協会の信用を失墜させたとして、師匠の時津風親方(57)=元小結双津竜=を満場一致で解雇処分としました。解雇処分は、相撲協会の賞罰規定によると相撲協会から永久追放となるので、重い処分であり、親方の解雇は1997年初場所を無断欠勤した山響親方(元小結前乃森)に次いで2人目です。
日本相撲協会は、時太山に暴行したとされる時津風部屋の兄弟子への処分は保留し、警察などの判断が下されてから検討するとしています。

この時津風親方の解雇処分、特に解雇理由については、「協会の信用を失墜させた」という記事が出ていることから、「マナー違反で解雇理由なのだ」と述べたコメンテーターがいるなど、どうも解雇理由が間違って理解されているように思います。そこで、この解雇理由について触れてみたいと思います。


1.報道記事をいつくか。

(1) 朝日新聞平成19年10月6日付朝刊1面より一部引用。

 「時津風親方を解雇、役員は減俸 相撲協会が理事会
2007年10月05日19時26分

 大相撲の序ノ口力士だった斉藤俊(たかし)さん(当時17)=しこ名・時太山=が名古屋場所前の6月に愛知県犬山市でのけいこ中に死亡した問題で、日本相撲協会は5日、東京都墨田区の国技館で理事会を開き、斉藤さんへの暴行を認めている師匠の時津風親方(57)=本名・山本順一、元小結双津竜=を解雇することを決めた。死亡の経緯には踏み込まず、暴行行為が協会の信用を失墜させたとして処分した。集団暴行を行ったとされる兄弟子らは愛知県警の捜査の結論が出るまで処分を保留。北の湖理事長(元横綱)ら協会役員は自主的に給与の一部を返上することにした。

 解雇は5日付。部屋持ち親方の解雇は初めてだ。師匠を失うことになる時津風部屋には9日まで猶予が与えられ、「時津風」の名跡を誰が継ぐか部屋関係者で決めることになった。親方への退職金は今のところ払われない見込み。

 理事会には理事10人のうち体調を崩している1人を除いた9人が出席。全員一致で解雇を決めた。

 理事会後の記者会見で北の湖理事長は、解雇に踏み切った理由を「力士を養成、監督する立場である師匠が安全への配慮を怠り、自らもけがを負わせたほか、年長の力士らの暴力を黙認した」と説明。こうした行為が協会の信用、名誉を著しくおとしめたと結論づけた。

 処分を持ち越した兄弟子らについては「将来がある」として人数、しこ名などを伏せた。

 役員の給与返上は理事長が50%を4カ月、他の理事、監事、役員待遇の親方ら計15人は30%を3カ月。「世間に対する反省」として申し合わせた。北の湖理事長は協会としての処分ではなく、あくまでも自主的に行ったと強調した。

 事前に上申書を出して理事会への出席を訴えていた時津風親方はこの日、席上に呼ばれて理事らに謝罪。いったん退席した後、再び呼び戻されて処分を告げられた。

 愛知県警の調べでは、斉藤さんは6月26日、犬山市内にあった時津風部屋のけいこ場で兄弟子とのぶつかりげいこ中に倒れ、病院に運ばれたが死亡した。県警の調べで死因は「多発外傷による外傷性ショック」と判明。県警や協会の聴取に時津風親方や兄弟子は、ビール瓶で殴るなどの暴行があったことを認めていた。


<キーワード>相撲協会の罰則

 重い順に除名、解雇、番付降下、出場停止、減給、譴責(けんせき)がある。解雇以下の処分は理事10人で構成される理事会の多数決で決まる。除名は役員、評議員(親方ら)、横綱、大関の4分の3以上による特別決議が必要。除名だと退職金は出ないが、解雇の場合は特に規定がないという。ともに処分を受けた者は二度と協会に戻ることができない。除名は過去に例がないが、解雇は97年1月、初場所の仕事を無断欠勤した高田川部屋付きの山響親方(元小結前乃森)が受けた例がある。」



(2)  時事ドットコム:2007/10/05-19:30

 「2007/10/05-19:30 時津風親方を解雇=理事長ら給与一部返上-力士死亡で相撲協会

 大相撲の時津風部屋で6月に序ノ口力士の斉藤俊さん=当時(17)、しこ名・時太山=が急死した問題で、日本相撲協会は5日、臨時理事会を開き、師匠の時津風親方(57)=本名山本順一、元小結双津竜=を同日付で解雇した。同親方は大相撲界に戻ることはできない。北の湖理事長(元横綱)ら役員16人も自発的に給与の一部を返上することを決めた。
 記者会見した北の湖理事長は解雇理由として、時津風親方が師匠の安全配慮義務を怠り、自らビール瓶で殴った上、弟子が斉藤さんに暴行するのを黙認、入門2カ月の新弟子には通常あり得ない30分ものぶつかりげいこをさせたことなどを指摘。さらに、相撲協会の名誉を著しく傷つけたことを強調した。
 理事会は満場一致で解雇を決め、同親方を呼んで通告した。解雇は理事会で決められる処分では最も重く、2例目。部屋を預かる師匠では初めて適用された。
 役員の給与返上は北の湖理事長が4カ月(50%)、ほかの役員が3カ月(30%)。暴行に加わった兄弟子の処分は捜査当局の判断が出るまで保留とした。部屋の存続問題は9日までに継承者の結論を出すよう関係者に伝えた。 
 斉藤さんは、6月26日に愛知県犬山市の同部屋名古屋場所宿舎でけいこ中に死亡。時津風親方と力士数人が愛知県警の事情聴取に暴行を認めている。
 相撲協会は当初、捜査の結果を待って処分を決める方針だった。しかし、9月28日に文部科学省から独自の真相究明と関係者の処分などを進めるよう異例の指導を受け、時津風親方から2度、力士ら部屋関係者から1度、事情を聴取。同親方は相撲協会に対しても、ビール瓶で殴るなどの暴行を認めていた。(了)」




2.各紙掲載していますが、朝日新聞と時事通信の記事が明確なので、この2つを挙げておきました。


(1) まず、今回の解雇処分に関わる賞罰規定を挙げておきます。賞罰規定は、財団法人日本相撲協会寄附行為施行細則に規定しています。

第九十四条
年寄・力士・行可およびその他協会所属員として、相撲の本質をわきまえず、協会の信用もしくは名誉を毀損するがごとき行動をなしたる者、あるいは品行不良で協会の秩序を乱し、勤務に不誠実のためしぱしば注意するも改めざる者あるときは、役員・評議員・横綱・大関の現在数の四分の三以上の特別決議によう、これを除名することができる。

第九十五条
年寄・力士・行司・職員およびその他協会所属員に対する懲罰は、解雇・番附降下・給料手当減額・けん責の四種とし、理事会の議決により行うものとする。

第九十六条
協会所属員にして、引退・解雇・除名または脱走した者は、再び協会に帰属することができない。



(2) この2紙には、解雇理由がかなり明確に示されています。

 「死亡の経緯には踏み込まず、暴行行為が協会の信用を失墜させたとして処分した。……理事会後の記者会見で北の湖理事長は、解雇に踏み切った理由を「力士を養成、監督する立場である師匠が安全への配慮を怠り、自らもけがを負わせたほか、年長の力士らの暴力を黙認した」と説明。こうした行為が協会の信用、名誉を著しくおとしめたと結論づけた。」(朝日新聞)

 「記者会見した北の湖理事長は解雇理由として、時津風親方が師匠の安全配慮義務を怠り、自らビール瓶で殴った上、弟子が斉藤さんに暴行するのを黙認、入門2カ月の新弟子には通常あり得ない30分ものぶつかりげいこをさせたことなどを指摘。さらに、相撲協会の名誉を著しく傷つけたことを強調した。」(時事通信)


  イ:要するに、自ら傷害行為を行ったこと、年長の力士らの暴力を黙認したこと、過剰な稽古を強いたことは、師匠の安全配慮義務を怠ったことものと認定できるのであり、そういう事情から、時津風親方は「協会の信用もしくは名誉を毀損するがごとき行動をなしたる者」(財団法人日本相撲協会寄附行為施行細則94条)にあたるとしたことが解雇理由ということです。

相撲部屋の師匠には、部屋の管理者として法的に「安全配慮義務」が課されており、その安全配慮義務違反の事実が数々あることが、解雇理由の実質的根拠であり、それが「協会の信用もしくは名誉を毀損」という財団法人日本相撲協会寄附行為施行細則94条違反に該当するということなのです。

「協会の信用、名誉を貶めた」ことが解雇理由なのは、賞罰規定の文言であるのですし、実質的な解雇理由は安全配慮義務違反ですから、マナー違反が解雇理由という判断は間違っているのです。


  ロ:では、相撲部屋の師匠である時津風親方には安全配慮義務違反があるのでしょうか?

財団法人日本相撲協会寄附行為施行規則・施行細則をみても、安全配慮義務に関する明文の規定はありません。しかし日本相撲協会は「力士の相撲競技の公開実施」(財団法人日本相撲協会寄附行為4条3号)などの事業により収入を挙げており、相撲部屋の師匠は力士の技術指導の一切を管理しているのですから、相撲部屋の師匠は生命・健康に対する危険から力士を保護すべき義務があるというべきです(自衛隊の轢死事故につき、最高裁昭和50年2月25日判決参照)。競技レベル維持には厳しい稽古が不可欠であることからすると、相撲における安全配慮義務は、相撲部屋の師匠に対して本来的に課されている義務と思われます。

時津風親方は「自らビール瓶で殴った上、弟子が斉藤さんに暴行するのを黙認」する行為は、その弟子の生命または健康に危険を及ぼすことが明白であり、 時津風親方は通常の稽古と述べていていますが、どの相撲部屋でも「入門2カ月の新弟子には通常あり得ない30分ものぶつかりげいこをさせた」のですから、その弟子の生命・健康に危険を及ぼすことが明白です。

そうすると、理事会は、相撲部屋の師匠には、部屋の管理者として法的に「安全配慮義務」が課されており、その安全配慮義務違反の事実が数々あると判断したのですが、その判断は妥当なものといえます。

県警の調べで死因は「多発外傷による外傷性ショック」と判明しています。また、「県警や協会の聴取に時津風親方や兄弟子は、ビール瓶で殴るなどの暴行があったことを認めていた」ということが事実であれば、傷害致死罪にあたる可能性が高く、安全配慮義務違反であることは明白でしょう。


  ハ:もう1点着目しておくべきことは、「死亡の経緯には踏み込まず、暴行行為が協会の信用を失墜させたとして処分した」ことです。要するに、処分対象とした行為及び結果は、暴行傷害の範囲であり、死亡結果まで含めることなく、解雇処分としたことです。

もし死亡結果まで含めて処分するとなると、時津風親方の行為と死亡との間の因果関係があることをある程度はっきりさせる必要があります。そうなると、財団法人日本相撲協会は因果関係があることを指摘できるだけの資料が必要となりますが、それは困難でしょう。特に、時津風親方は、直接的に暴行を加えて死亡させたわけではない(=直接の実行行為者でない)のですから。

日本相撲協会は、「死亡の経緯には踏み込まず」に処分したものですが、あえて死亡の経緯に踏み込まなかったともいえますが、元々、踏み込むことが困難であったともいえるでしょう。




3.今後の影響などについても触れておきます。

 「打撃深刻 入門見送りも

 斉藤さんの急死では、新弟子へのビール瓶や金属バットを使った暴行が明るみに出た。

 現役の親方や力士には困惑の色が強い。ある中堅親方は「青竹ではたたかれたが、ビール瓶やバットはさすがにない。自分も入門して半年は『お客さん』だった。新弟子は徐々に鍛えないと」。現役の若手力士も「鈍器は命にかかわるからあり得ない」と言った。

 4日には武蔵川部屋で傷害事件が発覚。先輩力士が後輩に暴力を伴ういじめを行っていたことも明らかになり、角界のイメージはまた傷ついた。

 力士の卵たちに与えた影響は、角界に直接の打撃としてはねかえっている。若貴ブームに沸いた96年は140人いた新弟子が、06年にはすでに87人に減っていた。今年の名古屋場所は初めて受験者がゼロになった。

 ある親方は「事件後、ほぼ入門が決まっていた先から『少し待って下さい』と言われた」。別の親方は、立件の方針が伝えられた直後、「こんなことになって、申し訳ありません」と入門予定の家庭に謝罪したという。

 一方、競技レベル維持には厳しいけいこは不可欠。力士を何度も転がし、砂まみれにさせ、起きあがれないと竹刀で尻をたたく。一見、過酷な「かわいがり」と呼ばれるぶつかりげいこも、本来は野球の「千本ノック」などと同じく自分を限界まで追い込む練習だ。

 時津風部屋での暴力は「通常のけいことは言えない」(北の湖理事長)行為だ。しかし、「厳しいけいこ」と「暴力」が混同されることを恐れる現場からは「厳しくするのが問題になるなら、これからは一般の人にけいこを見せられなくなる」との嘆きも聞こえる。

 協会は、若い力士への指導のあり方を考える検討委員会をつくり、文科省の指導で外部の有識者も入れることにした。だが、人選は進んでいない。過去の死亡例の再調査もしたというが、具体的な再発防止策は示されていない。

 この日、再発防止の手だてを問われた北の湖理事長は「師匠や力士がきちっとすることが大事」と述べるにとどまった。」(朝日新聞平成19年10月6日付朝刊2面「時事刻刻」より一部引用)



(1) 「今年の名古屋場所は初めて受験者がゼロ」となり、ただでさえ入門者が減少しているところにこの事件が発覚したのですから、より一層、入門者が減少することが予想されるのです。今後、外国人力士がさらに増加することになりそうです。

相撲は「国技」と呼ばれていますが、多くの外国人力士が折、もう何人も外国人力士が横綱となっているのですから、もはや暗黙のうちに「国技」という意識を保つことが困難になっているのです。若者の意識の変化、今後一層、外国人力士が増加することが予想されることからすると、「協会の運営は力士出身者だけでは難しい時代を迎えている」(朝日新聞平成19年10月6日付朝刊2面)のであり、角界全体及び日本市民の側も意識改革が迫られているように思います。


(2) 相撲という「競技レベル維持には厳しいけいこは不可欠」ですが、「かわいがり」やぶつかり稽古などの「厳しいけいこ」と「暴力」の区別が、一般人にはかなり難しいようです。しかも、「かわいがり」には、「こいつは強くなるから、俺が鍛えてやろう」というものと、門限破りや盗みへの制裁の2種類あるようです(週刊朝日2007年10月19日号「相撲部屋『かわいがり』の壮絶現場」120頁)。

いかに競技レベルを維持するだけの稽古と、単なる「暴力」とを区別し、単なる暴力(暴力の果てに死亡)を如何に阻止するのか、具体的な再発防止策を構築していくことが不可欠のようです。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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2007/10/10(水) 23:22:57 | 晴天とら日和
5日、日本相撲協会は時津風親方を解雇すると決めた。   6月に起きた斉藤俊さん(時太山、当時17歳)の死亡に関する処分。親方自身が斉藤さんをビール瓶で殴打するなど暴力を振るった。しかも、兄弟子たちの暴力を黙認したとも一部で伝えられている。(親方自身はバ...
2007/10/11(木) 18:12:40 | りゅうちゃんミストラル
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