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2007/10/06 [Sat] 23:59:25 » E d i t
長野県の産婦人科医・根津八紘医師が平成19年4月12日午後、会見を行い、代理母になるボランティア女性を募集していました(「根津院長と代理出産を依頼した女性が記者会見~代理母の公募も」参照)。しかし、その試みは、現時点では断念せざるを得なくなったようです。


1.報道記事をいくつか。

(1) 東京新聞平成19年10月4日付夕刊10面

 「代理母ボランティアはゼロ 「公募は断念」と根津医師
2007年10月4日 08時11分

 諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は4日までに、妊娠できない女性に代わって出産する代理母のボランティア希望者を募集していたが、9月末までに応募はなかったことを明らかにした。院長は「現時点では、公募による代理出産は断念せざるを得ない」と話している。

 根津院長は今年4月に代理母公募の意向を発表。8月までに約40人が関心を示し、連絡してきたという。ところが、意思確認のためアンケートを郵送したところ、それへの回答はゼロだった。

 アンケートには十分な補償制度があることを前提として「妊娠・出産で病気となった場合、家族が十分協力してくれるか」「亡くなるようなことがあっても家族は納得できるか」などの質問があり、根津院長は「これらがネックになったのだろう」と話した。

 今後は「事故やトラブル発生に備えた具体的な補償制度の試案をまとめた上で、再度公募するかを検討する」という。

(共同)」



(2) 信濃毎日新聞10月5日(金)

 「代理母ボランティア 応募女性アンケートに「返信なし」

10月5日(金)

 諏訪マタニティークリニック(諏訪郡下諏訪町)の根津八紘院長(65)は4日、代理母のボランティアに応募してきた女性約40人に、真意や親族の同意を確認するアンケートを送ったところ、返信が1通もないと明らかにした。今後は代理出産をめぐる日本学術会議の検討委員会の論議などを見守りながら、必要に応じて代理出産の補償制度づくりなどを進める考えを示した。

 根津院長によると、ボランティアに応募したのは全国の20-50代。8月中旬、全員にメールや郵便で「家族の同意は得ているか」「亡くなるようなことがあっても家族は納得できるか」などを尋ねるアンケートを送った。

 また、アンケート送付後に別の女性からボランティアへの応募が何件かあったが、夫や子どもがいることなどの条件を満たす人はいなかったという。根津院長は「無理してやってもらうことではない。今回は適応者がいなかったということ」とし、今後は補償制度などの態勢をつくった上で「公募することもあり得る」と話した。」




この記事内容については、いつくか気になった点があります。

(1) まずは、「代理母ボランティア」という表題がついていますが、根津八紘医師が行う代理出産は、「十分な補償制度があることを前提として」代理出産を実施するのですから、いわゆる有償ボランティアの範囲の属することになると思います。

ボランティアというと、無償を想像する方も結構いると思いますので、「代理出産『公募』に返信なし」という見出しの方が適切であったかと思います。


(2) 次に気になったのは、 「代理母のボランティアに応募してきた女性約40人に、真意や親族の同意を確認するアンケートを送ったところ、返信が1通もない」(信濃毎日新聞)という点です。なぜ、だれも返信しないのだろうと思いました。

代理出産は、代理出産依頼者と代理母希望者との間で、代理母契約を締結して実施することになります。根津八紘医師側は、代理母依頼者とともに記者会見を行い、公募し、それに応募した以上は、代理母契約の交渉は始まっているのです。契約交渉過程に入っている以上、信義則上、代理母希望を取り下げるとしても、交渉を打ち切る旨の通知をすること、すなわち返信ぐらいは行う義務は発生していると理解することが可能です。

40人ほどの女性すべて返信しないというのですから、代理出産に対する認識が不十分なままで応募した方や、冷やかしで応募した方が多数を占めていたと推測できそうです。代理出産依頼者は、記者会見にでて真摯に代理母希望者を求めていたのですから、応募する側も真摯に対応するのが、礼儀ではないかと思うのです。誰も返信しないという結果は、大変残念です。


(3) 「公募は断念」という結果は、日本において、一医院だけで代理出産の公募を行うことが難しいことを示唆しています。「妊娠・出産で病気となった場合、家族が十分協力してくれるか」「亡くなるようなことがあっても家族は納得できるか」などの質問があり、根津院長は「これらがネックになったのだろう」と述べているように、十分な補償制度があるとしても、今回の代理母希望者には、そのリスク――死亡というリスクは極めて少ないとしても――への補償に不安を感じてたのかもしれません。

根津八紘医師は、「代理出産に伴うリスクを補償する『代理母保険』などのシステム構築を目指し、大手保険会社に協力を要請する」(毎日新聞 2007年4月18日 3時00分)こともしていたようですが、代理母希望者が納得できるような保険ではなかったようです。



<追記>

東京新聞平成19年10月4日付朝刊26面から。

 「60歳独身女性が妊娠 長野の医師公表 米で受精卵提供受け
2007年10月4日 朝刊

 米国で第三者から受精卵の提供を受けて妊娠した六十歳の独身日本人女性が、長野県の諏訪マタニティークリニックで出産を目指していることが三日分かった。根津八紘院長が明らかにした。

 女性は既に閉経しており、ホルモン投与で妊娠は可能だが、さまざまな合併症など母体や胎児への危険が懸念される。

 専門家によると、生殖年齢を超えた女性が海外で卵子などの提供を受け、妊娠するケースが増えており、こうした事例をどう扱うべきかをめぐり論議を呼びそうだ。

 根津院長によると女性は妊娠十五週で、経過は順調。「出産の危険や、子どもの将来を考えると決して勧められる方法ではない」とする一方、「受け入れ先がないのは問題」と考えて引き受けることにしたという。

 国内では二〇〇一年、六十歳の女性が米国で卵子提供を受け、夫の精子による体外受精で妊娠、帰国後に出産した例がある。だが今回のように独身で、遺伝的つながりが全くない子を妊娠した高齢女性のケースが明らかになったのは初めて。

 女性がどんな経緯で渡米し、誰から受精卵の提供を受けたかなどについて根津院長は「把握していない」と言う。妊娠の理由について女性は「自分でお産した子が欲しかった」などと話しているという。女性は東日本在住。」



この記事で気になったのは、この女性は、諏訪マタニティークリニック以外では、受け入れを拒絶されていたという点です。

確かに、「独身で、遺伝的つながりが全くない子を妊娠した高齢女性のケース」であったのですから、高齢出産の危険性だけでなく、多くの法的問題点が含まれているため、どの産婦人科医も訴訟のリスクや後々厚労省から文句を付けられることを危惧して、診療を断ったのだと思います。

しかし、まったく「受け入れ先がないのは問題」です。どこかの産婦人科医が診療を受け入れなければ、母体及び胎児の生命が危機に晒されてしまう可能性があるからです。一体、医師以外の誰が母体及び胎児の生命を救うことができるというのでしょうか? 「たとえ犯罪者でも、困っている患者に医療を施すのが医師の職業倫理の根幹」(岡山大大学院の栗屋剛教授(生命倫理))ということを忘れてしまっているようです。

また、医師には、正当な理由が無ければ医師は診療を断れないという、医師法の「応召義務」があるのですが(医師法19条)、「たとえ違法行為を行った者でも診療を拒否する正当な理由に当たらない」と解されています。
そうなると、海外において「独身で、遺伝的つながりが全くない子を妊娠した」としても、日本では事実上制約されている場合であるとしても(もちろん、違法行為でもない)、診療拒否するのは正当な理由に当たらず、応召義務違反になる可能性が高いように思います。

根津八紘医師が、「出産の危険や、子どもの将来を考えると決して勧められる方法ではない」としつつも、「受け入れ先がないのは問題」と考えて引き受けることにしたことは、きわめて妥当な判断だったと思います。

テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース

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