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2007/09/04 [Tue] 00:00:01 » E d i t
遠藤武彦農相(68)=衆院山形2区=は9月3日午前、自身が組合長理事を務める農業共済組合が共済掛け金を国から不正受給していた問題の責任を取り、首相官邸で安倍晋三首相に辞表を提出、受理されました。また、政党支部の政治資金報告書に領収書を二重計上していた坂本由紀子外務政務官(58)=参院静岡選挙区=も同日午前、引責辞任しました。参院選大敗から態勢立て直しを図った内閣改造後、わずか1週間で閣僚、政務官の交代劇です。この報道について触れてみたいと思います。

1.まず報道記事から。

(1) 朝日新聞平成19年9月3日付夕刊1面(asahi.com)

 「遠藤農水相が引責辞任 後任に若林前環境兼農水相
2007年09月03日13時23分

 遠藤農林水産相は3日午前、組合長を務める農業共済組合の補助金不正受給問題の責任をとり、安倍首相に辞表を提出、受理された。首相は記者団に「任命責任はすべて私にある」と認めた。与謝野官房長官は記者会見で、後任に若林正俊前環境兼農水相(73)を充てる人事を発表。政治資金収支報告書への会議費の重複計上が発覚した坂本由紀子外務政務官も同日、辞任した。参院選惨敗を受け、政権浮揚をかけた内閣改造からわずか1週間で閣僚らが相次いで辞任し、首相の政権運営能力が再び問われる事態となった。民主党など野党側は10日召集の臨時国会で、最終的には問責決議案提出を視野に首相の任命責任を追及するとともに、補助金など農水省の構造的な問題を取り上げる方針だ。

 遠藤氏は首相官邸を訪ねて、首相に辞表を提出。「任用してくれたのに期待に沿えず申し訳ありません」と述べると、首相は「残念です」と答えたという。

 その後、遠藤氏は農水省で記者会見し、辞任の理由について「事情はどうあれ、農水省の補助金受給が不適正に行われたことは、厳正中立さを傷つけるものだ。就任の際、このことを総理に申し上げていなかった。農業行政への信頼を傷つけない配慮から辞表を提出した」と述べた。1日夜に辞意を固め、2日に与謝野官房長官を通じて、首相に伝えたという。

 一方、与謝野氏は3日午前の記者会見で、内閣改造からわずか1週間での遠藤氏の辞任について「国民のなかにある批判は内閣として謙虚に受け止めなければならない」と述べた。

 「政治とカネ」を巡る一連の不祥事を踏まえ、閣僚候補者の「身体検査」を入念に行ったにもかかわらず、問題が明らかになったことについては、「森羅万象、全部わかるわけではないが、結果として残念だ。責任を感じなければならない。二度と起こらない十分なチェック体制で責任を果たしたい」と語った。

 若林氏は昨年9月の安倍内閣発足とともに環境相に就任。赤城徳彦元農水相が事務所経理の二重計上などで更迭され、環境相と兼務で後任の農水相に就いた。今回の内閣改造では再任されなかった。

 遠藤氏の在任期間は8日で、新憲法下で辞任した閣僚のなかでは、88年12月の竹下改造内閣で、リクルート社からの政治献金が問題となって辞任した長谷川峻法相の4日に次いで、歴代2番目の「短命大臣」となった。

 発足1年弱の安倍内閣で、閣僚が任期途中で辞任・退任するのは5人目。特に農水相ポストは、松岡利勝氏が自殺、赤城氏が更迭されるなど、3カ月余りで3人が途中交代する異例の事態となった。野党側は「農水相ばかり不祥事が多発している。農水省の構造的な問題も厳しく問いつめなくてはいけない」(民主党の鳩山由紀夫幹事長)として、同省の補助金行政のあり方も含めて、臨時国会で追及を強める構えだ。」



(2) “泥舟”内閣ですから、早々に穴が開く(=大臣の不祥事発覚・辞任)と予想していましたが、せめて臨時国会が開会後だろうと思っていました。しかし、臨時国会開会前に穴が開くとは……。早すぎでした。




2.解説記事をいくつか。

(1) 東京新聞平成19年9月3日付夕刊1面「解説」

 「『人心一新』に失敗

<解説> 政権浮揚を懸け、内閣改造による人心一新を図った安倍晋三首相の試みは失敗した。

 遠藤武彦農相の不正受給問題による辞任は、首相の求心力低下に間違いなく拍車を掛けることになる。

 参院選惨敗にもかかわらず、続投を宣言した首相。ちょうど一週間前に断行した内閣改造は、政権の命運を懸けたはずだった。

 首相は改造内閣発足にあたり、「失われた信頼を再び政治に取り戻す」と決意表明していた。それが臨時国会の召集も待たずに、崩壊しようとしている。

 農相の不祥事に加え、坂本由紀子外務政務官が「政治とカネ」問題で辞任に追いやられた。改造内閣の顔ぶれを見て、政権の再スタートに期待を掛けた国民の失望は計り知れないだろう。

 失墜した政権への信頼だけでなく、首相の政権運営は数の論理からみても極めて厳しい。

 今回の辞任劇を通じ、参院の与野党逆転によってひとたび閣僚に不祥事が発覚すれば、与野党攻防の主導権は野党が握ることが明白になったからだ。政府・与党が農相辞任を異例のスピードで決断したのは、こうした事情が背景にある。

 「美しい国」をつくるため「戦後レジーム(体制)」からの脱却を目指した首相だが、失った信頼感とねじれ国会の現実を考えあわせると、政権の存続に赤信号が点滅し始めたといっていい。 (政治部・吉田昌平)」



(2) 朝日新聞平成19年9月3日付夕刊2面

 「逆転国会で首相窮地 農水相辞任、反省生かせず

 参院選での自民党の惨敗の大きな敗因の1つは、政治とカネをめぐる閣僚の不祥事や失言が相次ぎ、任命権者である安倍首相の人材登用や対応のまずさに有権者が失望したことだった。その反省をもとに、建て直しを図るための改造内閣が、発足後1週間でまたも農水相が辞任する事態となり、政権への打撃ははかりしれない。

 故松岡、赤城両元農水相の不祥事が発覚した時に比べ、今回は急転直下の辞任劇だった。

 朝日新聞の報道で補助金不正問題が発覚した1日、遠藤氏は農水相を辞任しない考えを表明した。だが、翌2日、政府・与党首脳が一気に辞任への流れをつくった。それは、民主党など野党が臨時国会に問責決議案を提出する構えを見せたためだ。

 参院選の前と後では、政治の基本構造が大きく変わった。参院での与野党逆転の状況の中、ただでさえ困難さを増した国会運営の波乱要素は速やかにつみ取らなければならなくなったのだ。

 参院選の結果、政治とカネの問題にも、これまで以上に厳しく状況せざるを得なくなった。

 内閣改造前、首相官邸は「身体検査」に精力を注いだが、遠藤氏が組合理事を努める農業共済組合の補助金不正問題を把握できなかった。

 安倍首相は内閣改造時の記者会見で「十分な説明ができなければ去っていただくという覚悟で閣僚になっていただいている」と明言した。だが、政治とカネをめぐる「説明」では「相手にわかってもらわないと説明したことにならない」(関係者)。

 安倍首相は、出直しのための閣僚人事でまたもつまずいた。人事をめぐって繰り返された失態は改造前の反省から学んでいないとみられても仕方がない。野党が主導権を持つ逆転国会で、任命責任をはじめ、首相の指導力が厳しく問われるのは間違いない。(栗原健太郎)」



(3) 日経新聞平成19年9月3日付2面

 「安倍政権、危機管理能力の欠如露呈 農水辞任、首相かばう声なく

 遠藤武彦農相と坂本由紀子外務政務官が就任わずか1週間で辞任に追い込まれたことは、安倍政権が危機管理能力に欠けることを改めてあらわにした。今回の内閣改造では、政治とカネ絡みの不祥事を避けようと、閣僚候補の身辺を調べる「身体検査」に1ヶ月近くをかけた。その揚げ句の辞任劇―。後任は直近まで閣僚をしていてトラブルを起こしていなかった若林正俊氏を選ばざるを得なかった。

 「あれだけ時間をかけた『身体検査』はどうなっていたんですかね。しかも農相はこれまで松岡利勝氏や赤城徳彦氏と問題が相次いでいたのに……」。自民党幹部は3日朝、安倍晋三首相らの対応を皮肉交じりに語った。派閥推薦を拒否し、トップダウンの演出に腐心した人事だっただけに、首相をかばう声は与党内にもほとんどない。

 7月29日の参院選後すぐに人事に踏み切らなかったのは、閣僚候補の身辺調査に時間を費やしたかったためだ。井上義行首相秘書官は改造直前の安倍首相のアジア歴訪に同行せず、「身体検査」に専念。関係省庁も動員し、万全を期したはずだった。

 後任選びも事情はほとんど同じだった。井上氏らによる検査能力が当てにならないとの見方が広がっている以上、不祥事を防ぐ手だてはない。

 他方、「身体検査」にいつまでも時間を掛けて後任選びが長期化すれば、安倍政権の統治能力そのものが疑われる。

 結局、辞めたばかりの閣僚のうち、スキャンダルが出ていなかった人物しか安心できないという状況に追い込まれた。

 「改造内閣で政治とカネの問題で閣僚が辞任するようなことになれば、安倍内閣はもう終わりだろう」。改造前、自民党内で冗談めかして交わされていた会話が現実味を帯びてきた。

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▼不正受給問題 遠藤武彦農相が組合長を努める置賜農業共済組合(山形県米沢市)は、農作物の霜などの被害を補償する農業共済を巡り、加入者を水増しするなどの手口で共済掛け金115万円を国から不正受給していた。会計検査院が2004年の検査で把握し、山形県に指摘。県は今年5月に会計検査院から連絡を受けるまで対応しておらず、未返還となっていた。」




「参院選の前と後では、政治の基本構造が大きく変わった」のです。参院選での与党惨敗の影響は非常に大きく、参院では野党が過半数を得た結果、参院を気にするようになり、与党側が機敏に対応するようになったのです。これこそ、参院の復権、二院制の復権といえるのではないかと思います。

それにしても、日経新聞の記事はかなり辛辣です。「改造内閣で政治とカネの問題で閣僚が辞任するようなことになれば、安倍内閣はもう終わりだろう」という、与党内の言葉を引用するのですから。今回の辞任劇により、いよいよ与党全体で安倍政権が終わりに近づいていると感じているのではないでしょうか。




3.識者の見解をいくつか。

(1) 朝日新聞平成19年9月3日付夕刊14面

 「◆民間なら経営破綻――危機管理コンサルタント会社リスク・ヘッジ社長の田中辰巳さんの話

 組織の危機管理には危機が起こる前の「予防的管理」と、いざ起きてからの「予後的管理」の2本柱がある。安倍政権の予防的管理能力の低さは相変わらず論外の水準だ。ただ今回は問題の深刻さを感知し、「辞任」という切り札を素早く切っており、事後的管理能力は向上した。とはいえ最も注目されていた農水相でさえこれでは、他の閣僚の事前の危機管理がどうなっていたかもあやしく、今後の不安は消えない。民間企業ならとうに経営破綻(はたん)している状況だ。


◆族議員、もろ刃の剣――小林良彰・慶応大学教授(政治学)の話

 族議員は専門家であるとともに利害関係者でもあり、もろ刃の剣と言える。今回の補助金不正受給は当然辞任すべき問題だ。このことを以前から会計検査院に指摘されていた事実を、安倍首相周辺の「身体検査」する側が見落としたこともおかしい。仮に国会開会中であれば、審議は立ちゆかなくなっただろう。安倍首相の続投は人心一新が前提なのだから、開会前までの迅速な対処が首相には求められた。閣僚にあと1人こういうことが起きたら、解散総選挙は避けられないだろう。」



(2) 読売新聞平成19年9月3日付夕刊14面

 「わずか1週間での農相辞任劇をどう見るか。識者に聞いた。

◆農政の色濃く――山口二郎・北海道大教授(政治学)

 「農水の分野は補助金の件数も金額も多く、農業団体が特定の政治家の選挙マシンになっていることが少なくない。農相に関するカネの問題が続々と明るみに出るのは、自民党政権下で長年培われてきたシステムが、他の分野以上に色濃く残る世界だからなのではないか。後任は農水省出身の若林正俊氏に決まったが、民間人や全く農政とかかわりがなかった人の方がよかったくらいだ」


◆不思議な鈍さ――「宣伝会議」編集長の田中里沙さん

 「補助金に対する国民の目が厳しくなっている中で、会計検査院から指摘を受けていながら、なぜ打診があったときに首相に報告するなどの考えが浮かばなかったのか、その鈍さが不思議でならない。これまでの『政治とカネ』の問題とは違うというのはあちらの世界の論理で、国民にはそうは受け取れない。もう誰も大臣を努められる人はいないのではないか、との政治不信を国民に植え付けてしまった安倍首相の責任は大きいし、今後の政権運営はかなり困難になるだろう」」



一様に厳しい評価です。ただ、「今回は問題の深刻さを感知し、「辞任」という切り札を素早く切っており、事後的管理能力は向上した」面があることは確かですが。

「農水の分野は補助金の件数も金額も多く、農業団体が特定の政治家の選挙マシンになっていることが少なくない」ことからすると、農水の族議員を大臣にすることは、「政治とカネ」の問題を生じやすいようです。農水省出身の若林正俊氏に決まりましたが、若林氏もまた辞任の可能性をはらんでいるかもしれません。

誰もが気にしていた農水相において「身体検査」が不十分だったのですから、他の閣僚も大丈夫なのかと、あやしむ声があるのは当然のことでしょう。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

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