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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/08/25 [Sat] 06:37:18 » E d i t
生殖補助医療問題について検討している日本学術会議の「生殖補助医療の在り方検討委員会」は、8月24日会合を開き、向井亜紀さんなど3名から意見聴取を行いました。この報道についてコメントしたいと思います。(小池防衛相が、記者団に「私は辞めるって言ってるのよ。分かる?」と言い放って辞任するという、唖然とする発言をしたとの報道も。これはいずれ)(8月26日追記:NHKニュースを引用しました)


1.まず、意見聴取前の報道記事を。

(1) 東京新聞2007年7月23日 21時17分

 「向井亜紀さんら意見陳述へ 日本学術会議委員会
2007年7月23日 21時17分

 生殖補助医療の在り方について検討している日本学術会議の委員会(委員長=鴨下重彦東京大名誉教授)は23日、米国人代理母に双子の男児を出産してもらったタレント向井亜紀さん(42)と、諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長(65)を、8月24日に開く次回会合に招いて意見を聴取することを決めた。

 向井さん夫妻は、自分たちを両親とする男児らの出生届を受理するよう東京都品川区に求めたが、最高裁は3月23日、受理を命じた東京高裁決定を破棄、夫妻の敗訴が確定した。

 根津院長は、代理出産や夫婦間以外での体外受精など、日本産科婦人科学会の倫理指針が禁じた生殖補助医療を実施したと明らかにしている。

(共同)」



(2) 日経新聞平成19年7月24日付朝刊38面

向井亜紀さんヒアリングへ 根津医師も、当事者から初 生殖医療検討会

 日本学術会議の生殖補助医療の在り方検討委員会(委員長・鴨下重彦東大名誉教授)が23日開かれ、次回8月の会合で、米国での代理出産で双子をもうけたタレント向井亜紀さんと、国内で代理出産や非配偶者間体外受精を手掛けた根津八紘医師からのヒアリングを行うことを決めた。当事者からのヒアリングは初めて。

 これに対し、委員からは「既にマスコミで発言し、立場のはっきりした人からのヒアリングはいかがなものか。そうでない人を探すべきでは」との反対意見も出た。鴨下委員長は「当事者の意見も聞くべきだとして推薦を受けた。他にも聞くべき人はいるが、了解が得られなかった」としている。

 同委員会は厚生労働省、法務省の要請で1月に発足。生殖補助医療をめぐる諸問題について、これまでさまざまな立場の有識者からヒアリングをしており、来年1月までに報告書をまとめる予定。」



(3) 日刊スポーツ2007年8月20日付

 「向井亜紀の陳述は非公開に決定

 生殖補助医療の在り方について検討している日本学術会議の委員会(委員長=鴨下重彦東京大学名誉教授)は20日、24日に予定しているタレント向井亜紀(42)の意見聴取を非公開にすると発表した。委員会事務局は「本人による希望」と説明している。

 同時に行われる諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長(65)の意見陳述は公開される。

 向井さん夫婦は、米国での代理出産で双子の男児をもうけた。自分たちを両親とする男児らの出生届を受理するよう東京都品川区に求めていたが、最高裁は出生届不受理の決定を行った。

[2007年8月20日20時8分]」



日経新聞の記事を見ると、「生殖補助医療の在り方検討委員会」は今回

「当事者からのヒアリングは初めて」

のようですが、その事実には驚きを感じます。

代理出産の是非を検討する場合、観念的に議論することも大事ではあるのでしょうが、まず何よりも、現実に代理出産に直接携わった当事者から、代理出産の現実を聞くことが重要です。代理出産の現実を知らなければ、現実と乖離した法律を制定することになってしまい、使い物にならない法律になってしまうからです。

当事者からの意見聴取を重視しない、「生殖補助医療の在り方検討委員会」は、どういう考えで会合を開いているのか心配になってしまいました。


また、日経新聞によると、向井亜紀さんや根津八紘医師から意見聴取することについて、難色を示す委員がいたようです。

「委員からは「既にマスコミで発言し、立場のはっきりした人からのヒアリングはいかがなものか。そうでない人を探すべきでは」との反対意見も出た。鴨下委員長は「当事者の意見も聞くべきだとして推薦を受けた。他にも聞くべき人はいるが、了解が得られなかった」としている。」(日経新聞)


「そうでない人を探すべきでは」との意見には、唖然としてしまいました。代理出産に関与した人で、立場をはっきり示していない人は、通常は、代理出産の事実を隠している人でしょうから、意見聴取に応じるはずがありません。「了解が得られなかった」のは当然でしょう。立場のはっきりしない人を探せだなんて、代理出産の実情を知らない戯言のようです。


大体、なぜ、「既にマスコミで発言し、立場のはっきりした人からのヒアリングはいかがなものか」と否定的になるのかも、意味不明です。立場がはっきりしていても、その経験談は価値があることには変わりがないのですし、マスコミが発言をすべて報道しているわけではないので、マスコミ報道以外の点やもっと詳しく聞けばよいのですから。単に、感情的に向井さんや根津医師の意見を聞きたくないから、というだけに思えます。

生殖補助医療の在り方検討委員会の委員には、代理出産の実情が全く分からずにいる、能天気な委員や、マスコミで発言しているからというだけで拒絶するという意味不明な認識を持つ委員が含まれているようです。



2.次に、意見聴取後の報道記事を。

(1) 時事ドットコム(2007/08/24-20:28)

 「2007/08/24-20:28 非配偶者間人工授精の現状批判=「精子提供者開示を」と子の女性-学術会議

 代理出産の是非など生殖補助医療の在り方を検討する日本学術会議の委員会が24日開かれ、夫婦が別の男性から精子の提供を受ける非配偶者間人工授精(AID)で生まれた30歳前後の女性(匿名希望)ら3人からヒアリングを行った。女性は精子提供者を開示しない現状を強く批判。一方、米国での代理出産で双子をもうけたタレント向井亜紀さんと国内で代理出産を手掛けた根津八紘医師は、代理出産を認めるよう訴えた。
 これに対し、鴨下重彦委員長(東大名誉教授・小児科)は「生殖補助医療は全然データが整備されていない。(子への告知)マニュアル作りなどが絶対必要だと痛感した」と述べた上で、今後もヒアリングやシンポジウムを行い、来年1月に報告書をまとめる方針を示した。」



意見聴取前の報道では、向井亜紀さんと根津八紘医師の名前しか出ていませんでしたが、AIDで生まれた女性からも意見聴取したようです。

「夫婦が別の男性から精子の提供を受ける非配偶者間人工授精(AID)で生まれた30歳前後の女性(匿名希望)ら3人からヒアリングを行った。女性は精子提供者を開示しない現状を強く批判。」


AIDも軽視することなく、きちんと報道するべきです。精子提供者を開示しないということは、子どもにとって「出自を知る権利」が奪われているのです。日本学術会議は、「出自を知る権利」を奪っていることについて、奪うことは不当ではないのか否か、合理的で十分な理由を説明する必要があります。



(2) 毎日新聞(2007年8月24日 20時26分)

 「代理出産:是非検討へ関係者から意見聴取 日本学術会議

 不妊夫婦に代わって他の女性が子どもを出産する代理出産の是非について検討する日本学術会議の委員会が24日開かれ、関係者から意見聴取した。5組の代理出産の実施を公表している諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は、代理出産を引き受けるボランティアを申し出た女性が約40人に達したことを明らかにし、「病気などでやむなく代理出産を希望する人を支援する施策を作っていただきたい」と求めた。

 根津院長は今年4月、代理出産を引き受ける女性の公募を発表。全国の20~50歳代の女性から申し出があり、現在は意思確認などのアンケート中という。これとは別に同クリニックで4~5組が代理出産を試み、妊娠中の人もいるという。

 米国人女性に代理出産を依頼したタレントの向井亜紀さんは「病気で子宮が働かなくなった女性への視点が必要だ。まず救済への道を選んでいただき、その上で、考えられる問題への対策を講じてほしい」と述べた。

 一方、夫以外の第三者の精子を使った人工授精で生まれた女性は「両親に隠されていたことがショックだった。この技術を使うなら、親が自らの選択に自信を持ち、積極的に子どもに伝えるとともに、子どもが出自を知る権利を確保すべきだ」と訴えた。【永山悦子】

毎日新聞 2007年8月24日 20時26分」


すでに読売新聞(8月23日付)が報道済みですが、代理出産の公募について、約40人もの応募があったようです。

「諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は、代理出産を引き受けるボランティアを申し出た女性が約40人に達したことを明らかにし、「病気などでやむなく代理出産を希望する人を支援する施策を作っていただきたい」と求めた。」

40人の中には、単なる冷やかしもあるでしょうが、代理出産について理解が進んでいる証拠といえるかと思います。



(3) 産経新聞平成19年8月25日付朝刊28面・SankeiWEB(2007/08/24 23:20)

 「向井さん「道を探ってほしい」 代理出産めぐり陳述

 日本学術会議の生殖補助医療の在り方検討委員会が24日開かれ、生殖補助医療の当事者4人が出席、意見を述べた。米国での代理出産で双子の男児をもうけたタレントの向井亜紀さんは、代理母のボランティア精神に支えられて代理出産を決めた経験を述べ「日本でも道を探ってほしい」と要望した。非配偶者間人工授精(AID)で誕生した女性は「環境が不十分。やめてほしい」と発言した。

 向井さんの意見陳述は非公開で実施された。終了後、向井さんは報道陣の質問に「養子縁組も考えていたが、代理母となってくれた女性の“私ができる最高のボランティア”との思いがあって、代理出産を選んだと話した」と答えた。

 日本産科婦人科学会の会告(指針)に反して国内で代理出産を実施した諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長は「(代理出産しか子供を持てない)少数の者を追いやるような施策だけは作ってほしくない」と訴えた。

 一方、国内ではすでに認められているAIDで誕生した女性は、父親とは別の男性の精子で誕生したことを知った際の苦悩を陳述。「適切な情報提供や相談できる環境がない現状では、やめてほしい」と述べた。

 委員の1人は「戸籍上のつながりよりも、遺伝子上のつながりの方が、思いが強いような印象を受けた」と語った。

(2007/08/24 23:20)」


産経新聞の記事は、他の新聞の記事内容とは異なっており、かなり独特です。

「向井さんの意見陳述は非公開で実施された。終了後、向井さんは報道陣の質問に「養子縁組も考えていたが、代理母となってくれた女性の“私ができる最高のボランティア”との思いがあって、代理出産を選んだと話した」と答えた。」


このように産経新聞では、毎日新聞と異なり、向井亜紀さんが報道陣の質問に答えた点についても紹介しています。

「国内ではすでに認められているAIDで誕生した女性は、父親とは別の男性の精子で誕生したことを知った際の苦悩を陳述。「適切な情報提供や相談できる環境がない現状では、やめてほしい」と述べた。」


この記事をそのまま受け取ると、AID廃止を要求しているだけに読めます。しかし、他の報道記事ではそういった断定をしていないので、おそらくは「AID廃止だけを要求」しているわけではないのでしょう。おそらくはそういう理解をするべきではないと思います。

おそらく全体の趣旨は、「AIDを維持するなら、親がAID選択に自信を持ち、積極的に子どもにそのことを伝えるよう教育を行い、子どもに出自を知る権利を確保して欲しい。もしこれらの教育や出自を知る権利を行っていない現状を維持するなら、AIDを廃止して欲しい。それくらいAIDから生まれた子にとっては深刻なんのだ」ということでしょう。


「委員の1人は「戸籍上のつながりよりも、遺伝子上のつながりの方が、思いが強いような印象を受けた」と語った。」



代理出産の肯定や出自を知る権利を要求することは、「遺伝子上のつながり」への思いが強いといえることは確かでしょう。

しかし、遺伝子上のつながり、すなわち、血のつながりへの思いが強いのは、世界中の人々にとって通常の意識かと思います。自己の遺伝子を残そうとする意識があるからこそ、生物は絶滅することなく存続していくのですし、また、通常、親子関係があることを直感的に意識するのは、(血のつながりの影響による)容貌が極めて類似しているところ、(例えば、顔がそっくりの大人と子供がいると、誰もが親子であると意識する)であると、解されるからです。
日本民法も血族を基本として親子法を定めているように、人間社会において「遺伝子上のつながり」を重視する意識があるのは、むしろ自然なことだといえるのです。

そうすると、委員は、「遺伝子上のつながりの方が、思いが強いような印象を受けた」なんて惚けたことを感じていないで、非配偶者間人工授精や代理出産について、もっと十分に理解してほしいと思います。



<8月26日追記>

NHKニュースによる報道では、向井亜紀さんの発言をだいぶ詳しく取り上げていましたので、引用しておきます。

 「向井さん 産めない人の救済を

 赤ちゃんをほかの女性に産んでもらう、代理出産の是非などについて検討している日本学術会議の委員会が開かれ、アメリカの女性に子どもを代理出産してもらったタレントの向井亜紀さんが「子どもが産めない人たちの救済の道を考えてほしい」と訴えました。

 委員会は、24日、東京・港区の学術会議で開かれ、国内で代理出産を実施している長野県の根津八紘医師と向井亜紀さんたちが、当事者の立場から意見を述べました。

 この中で根津医師は、妻に代わって出産してもらう女性を募集したところ、およそ40人が申し出たことを明らかにした上で、「代理出産を認めるよう、前向きに考えてほしい」と訴えました。

 一方向井さんの意見陳述は非公開で行われましたが、「自分は代理出産のおかげで2人の子どもを授かりとても幸せです。子どもを産めない人たちを救済する道を考えてほしい」と訴えたということです。

 代理出産をめぐっては4年前、厚生労働省の部会が罰則付きで禁止すべきだとする報告をまとめたほか、専門の医師で作る日本産科婦人科学会も指針で禁止しています。委員会は、代理出産を医療として認めるかどうかや、法律的な親子関係をどう考えるかについて検討を進め、来年1月をメドに提言をまとめることにしています。」(NHKニュース(8月24日21時50分)

*原文と異なり、読みやすく段落分けをしました。


向井さんの発言部分は、テレビ放映部分を見ると、おそらく記者が、聴取後の向井さんに対して、「どういうことを話したのか」との質問に、向井さんが答えた内容のようです。

NHKニュースのテレビ放映部分では、憲法学者の辻村みよ子・東北大学教授にインタビューしており、その発言を引用しておきます。

「これは非常に難しい問題ですね。それぞれにどういう利点がありどういう問題性があるのかしっかり社会に対して示していく、そういう情報を得たうえで、みんなが考えていく問題ではないでしょうか。」


誰もが異論がないと感じるコメントです。当たり障りのない発言にとどまらずに、憲法学の見地から、もう少し踏み込んだ発言をしてほしかったです。日本学術会議の委員会では唯一の憲法学者なのですから。

テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
連行ってなに?
連行ってなに?
2007/08/25 Sat 08:46:32
URL | BlogPetのミュシャ #-[ 編集 ]
初めて書き込ませていただきます
この問題については以前から関心を持ち、よりよい結果が出ることを願って止まない者ですが、
ひとつ気になるのは凍結精子による受精の問題が取り上げられていないことです。
この機会に論議の対象にして欲しかったと思います。
2007/08/27 Mon 21:11:41
URL | Isshin #2dx4OCNQ[ 編集 ]
> Isshinさん
はじめまして、コメントありがとうございます。


>よりよい結果が出ることを願って止まない

そうですね。代理出産の道を閉ざすことは止めてほしいです。もっとも、すでに別のエントリーで触れましたが、日本政府側が認める方向でまとめてほしいと要請しているので、どこまで道を広げるかで議論しているということなのでしょうけど。


>ひとつ気になるのは凍結精子による受精の問題が取り上げられていないことです。
>この機会に論議の対象にして欲しかったと思います。


審議事項として、「代理懐胎が生殖補助医療として容認されるべきか否かなど、代理懐胎を中心に生殖補助医療をめぐる諸問題について、従来の議論を整理し、今後のあり方等について調査審議を行う。」としています。
http://www.scj.go.jp/ja/info/iinkai/seishoku/
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-242.html

なので、「凍結精子による受精」問題も一応審議事項に含まれそうです。
また、凍結精子による死後生殖を巡る認知訴訟(最高裁平成18年9月4日判決)では、最高裁は、親子関係を認めるかどうかは、「死後生殖に関する生命倫理や生まれてくる子の福祉、親族など関係者の意識、社会一般の考え方など、多角的な観点から検討した上で、立法で解決すべきだ」と述べていますので、審議事項にしてくれないと困ります。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-143.html
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-146.html

なのに、日経新聞の記事によると「当事者からのヒアリングは初めて」なので、「凍結精子による受精」問題の当事者に対して、いまだヒヤリングをしていないことは確かです。まだなのかと、呆れてしまいます。
当事者からきちんとヒヤリングをして、「議論の対象」にしてほしいですね。
2007/08/29 Wed 00:33:44
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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