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2007/08/14 [Tue] 23:59:15 » E d i t
小池防衛相は、独断人事で、防衛省の守屋武昌次官を9月1日付で退任させ、後任に西川徹矢官房長を充てる意向を示していたのですが、どうやら政府は事務次官人事を凍結したようです。小池氏の要望を容認したとの報道(産経新聞)もありましたが。「安倍政権の内閣掌握力の甘さがまたもや露呈した」(朝日新聞8月14日付朝刊1面)のです。この報道について触れたいと思います。


 「防衛次官人事、内閣改造後に先送り

 防衛省の事務方トップの人事をめぐり混乱です。政府は、小池大臣が求めている9月1日付けでの防衛次官交代の人事を、内閣改造後に先送りすることを決めました。

 小池大臣は、在任期間が4年を超える異例の長さとなった守屋武昌防衛事務次官を退任させて、後任に西川徹矢官房長を充てたい意向でした。

 しかし、省庁の幹部人事を決める人事検討会議を開催する塩崎官房長官への根回しがなかったほか、警察庁出身の西川氏の手腕に防衛省内から疑問の声も上がり、守屋次官も「まったく相談がなかった。どうしてこんな仕打ちを受けるのか」と大臣に抗議するなど、混乱が生じていました。

 「それ(人事検討会議の開催)はもう官邸がお決めになることですので。以上です」(小池百合子防衛相)

 これについて、的場官房副長官は14日、人事検討会議の開催要請が来ていないと、通常の手続きをとらなかった小池大臣の勇み足であることを示唆、「閣議決定は27日の週にならざるを得ない」と述べ、防衛省トップの人事は内閣改造後に先送りとなりました。(14日17:20)」(TBSNEWSi(8月14日17:20)




1.このごたごたの様子については、各紙が触れています。

(1) asahi.com(朝日新聞平成19年8月14日付朝刊4面)

 「防衛次官人事で火花 防衛相の独断に官邸「相談ない」2007年08月14日02時13分

 小池防衛相が一度内定した守屋武昌防衛事務次官(62)の退任が13日、凍結された。在任5年目で官邸と太いパイプを持つ守屋氏に相談しないまま小池氏が警察庁出身者を後任に決めたため、守屋氏が反発。塩崎官房長官も根回し不足を理由に「待った」をかけた。13日には小池、守屋両氏が代わる代わる首相官邸を訪れ、安倍首相や塩崎氏と直談判する異例の事態に。結論は27日ごろの内閣改造後に先送りされる公算が大きく、安倍政権の求心力の低下が露呈した形だ。

 小池氏は13日午前、官邸に塩崎氏を訪れ、15日の閣議で次官人事を決めるよう要請。しかし塩崎氏は「事前に相談がなく、手続きが非常識だ」などと突っぱねた。この直後、今度は守屋氏が官邸で安倍首相と会談。さらに小池氏が再び訪れ首相と面会。首相は13日夜、「人事検討会議は官房長官が開きます」と記者団に語り、現段階では塩崎氏の判断を支持する考えを示した。

 収まりがつかない小池氏は同夜、周囲に怒りをぶちまけた。「塩崎さんは、官僚の長期在任を許さないのが持論だったはずではないのか!」

 事務次官などの省庁幹部人事は通例、大臣と官邸双方の意向が反映される。大臣が現職事務次官と相談して大筋の人事を決め、正副官房長官による人事検討会議の了承を得て閣議で決定するのが慣例となっていた。

 その意味では、対立の引き金を引いたのは小池氏だった。6日に西川徹矢防衛省官房長(60)に対し、9月から守屋氏の後任次官になるよう言い渡し、省幹部人事を相談した。「次官在任が長すぎると組織がだめになる」との思いがある一方で、イージス艦の情報流出事件の対応を念頭に、警察庁出身の西川氏に白羽の矢を立てたという。

 ただ、小池氏が塩崎氏に根回しをした形跡はなかった。さらに、守屋氏に退任を言い渡したのは翌7日朝。「事前に伝えて欲しかった。許せない」と守屋氏は激しく反発、西川氏を「恥を知れ」と怒鳴りつけたという。

 守屋氏は03年8月に事務次官に就任。防衛庁の省昇格のほか、米軍再編特措法の制定、自衛隊のイラク派遣などの強力な推進役となった。「自分の気に入った人間ばかり登用する」などと批判もあるが、今秋の臨時国会でのテロ特措法の審議を控え、「自分でなければ乗り切れない」と続投に意欲満々だった。

 守屋氏は小池氏の訪米中、自民党国防族議員や官邸に次官人事の白紙撤回を訴えて回った。こうした動きを受け「閣議にかけられた形跡もないものが独り歩きしている」(自民党の山崎拓安全保障調査会長)と小池氏への批判も出て、与党を巻き込む事態に発展。内閣改造で留任確実といわれていた小池氏の去就も不透明さを増している。」



(2) 日経新聞平成19年8月14日付朝刊2面

 「防衛次官人事、改造後に・官邸が先送り

 政府は13日、小池百合子防衛相が打ち出していた「守屋武昌防衛次官退任、西川徹矢官房長の次官昇格」という人事案の決定を27日の内閣改造後に先送りすることを決めた。警察庁出身の西川氏を次官とする案を根回しなしに決めようとした手法に塩崎恭久官房長官が強く反発。人事案が白紙に戻りかねない異例の事態となった。

 省庁の幹部人事は正副官房長官らによる人事検討会議で内定する。

 ■首相に直訴

 13日昼、防衛相は首相官邸で官房長官と会い9月1日付の人事案を説明。政府関係者によると、官房長官が「(内閣改造に伴う)次の防衛相の就任後に決めるというのが人事検討会議を構成する正副官房長官4人の総意だ」と拒否すると、防衛相は「案をのんでもらえないなら私にも決意がある」と辞任をちらつかせ「(安倍晋三)首相に(直接)伝えに行く」と席を立った。

 首相は、防衛相が官邸を去った直後に守屋次官と会談。夕刻には防衛相とも協議した。その後、首相は記者団に「まだ決めていない。人事検討会議は官房長官がやる」と述べ、官房長官に判断を委ねる考えを示した。政府高官は人事検討会議の内閣改造前の開催は「ない」と断言した。

 テロ対策特別措置法の延長問題を抱える秋の臨時国会を控え、防衛省内では、既に在任5年目を迎えた守屋氏続投の見方が有力だった。防衛相が先の訪米ギリギリのタイミングで守屋氏の退任を打ち出した背景には「防衛相が続投をにらんで指導力発揮を狙った」などの憶測が飛び交う。

 ■沖縄に口約束

 守屋氏交代案の経緯について、沖縄県の照屋全哲名護市議は13日「2日に仲井真弘多沖縄県知事から防衛相に“守屋外し”の提案があり、5日に防衛相が島袋吉和名護市長に電話で受諾を伝えていた」と暴露した。

 県や名護市が求める米軍普天間基地移設案の修正を拒む守屋氏交代の内定と引き換えに、移設手続きの第一歩となる環境評価方法書を沖縄県に提出。これを手柄に訪米する算段だった。

 事実上無視された塩崎氏の怒りは収まらない。首相補佐官時代の小池氏とハドリー米大統領補佐官との会談を聞きつけた官房長官がハドリー氏に電話し「カウンターパートは私だ」と念押ししたこともあった。小池氏の「独走」にはかねて批判的で、防衛次官人事の問題では「塩崎VS.小池氏」の構図が再熱した形だ。」



(3) 毎日新聞平成19年8月14日付朝刊2面

小池防衛相:防衛次官人事で内紛 塩崎、守屋氏反発

 小池百合子防衛相が、守屋武昌防衛事務次官を9月1日付で退任させる人事方針を固めたことに守屋氏が反発、首相官邸にも塩崎恭久官房長官を中心に慎重論があり、次官人事をめぐる対立が13日、激化した。政府筋は同日夜、小池氏の人事方針自体に変更はないとの見通しを示したが、27日に予定される内閣改造・自民党役員人事以降に手続きが先送りされる可能性も出ている。小池氏は13日、安倍晋三首相に自らの方針について理解を求めており、官邸を巻き込んだ騒動が拡大すれば、首相の指導力も問われかねない事態となっている。

 小池氏は今月6日、守屋氏の在任期間が4年を超える異例の長さとなったことから退任させることを決断。後任には西川徹矢官房長を充てることを内定した。しかし「寝耳に水」だった守屋氏は、「人事は相談することになっていたはずだ。なぜ勝手に決めたのか」と小池氏に食ってかかるなど猛反発。小池氏が後任に指名した西川氏が警察庁出身であることにも異を唱え、自らの退任が避けられない場合でも、後任を防衛省生え抜き幹部に差し替えるよう要求、巻き返しに動いている。

 さらに、首相補佐官時代の小池氏と外交面での主導権争いなどからしばしば対立してきた塩崎長官が「相談を受けてない」として、守屋氏と歩調を合わせている。小池氏が人事を15日の閣議で決定したい考えだったのに対し、内閣改造後に先送りするよう主張。13日、首相官邸を訪れた小池氏と会談し、こうした考えを伝えた。

 次官の任命権者は所管閣僚だが、制度上、官房長官が主催する閣議人事検討会議に諮る必要があり、塩崎長官が会議開催を拒否すれば、人事は事実上凍結される。小池氏が内閣改造で留任しない場合、内定した人事が覆る可能性もある。

 小池氏は対抗手段として13日夜、首相官邸に安倍首相を訪ね、人事方針に理解を求めた。15日の次の閣議は改造人事後の28日となる見通しだが、小池氏は改造前に人事検討会議を開くことで次官問題に決着をつけるよう強く求めている。

 首相は小池氏との協議を終えた13日夜、記者団から次官人事の混乱を聞かれ「いや、混乱してるんですか。まだ決まっていませんよ、人事は」とかわした。【田所柳子】

毎日新聞 2007年8月14日 東京朝刊」





2.守屋武昌防衛事務次官は、通常、事務次官は2年程度の在任期間であるのに、在任期間が4年を超える異例の長さとなっているため、退任を求める理由はあります。しかし、理由があるからとはいえ、守屋次官退任を巡る、小池防衛相の行動には多くの問題点があるといえるのです。

(1) まず、小池氏は人事を巡る法的手続きを無視した点が問題です。

 「『事務次官などの省庁幹部人事は通例、大臣と官邸双方の意向が反映される。大臣が現職事務次官と相談して大筋の人事を決め、正副官房長官による人事検討会議の了承を得て閣議で決定するのが慣例となっていた。』(朝日新聞)
 
 『次官の任命権者は所管閣僚だが、制度上、官房長官が主催する閣議人事検討会議に諮る必要があり、塩崎長官が会議開催を拒否すれば、人事は事実上凍結される。』(毎日新聞)

 『省庁の幹部人事は正副官房長官らによる人事検討会議で内定する。』(日経新聞)


<中央省庁等改革基本法>

(国の行政機関の幹部職員の任免についての内閣承認)
第十三条 国の行政機関の事務次官、局長その他の幹部職員については、任命権者がその任免を行うに際し内閣の承認を要することとするための措置を講ずるものとする。

(内閣機能の強化に関するその他の措置)
第十四条 政府は、第六条から前条までに規定するもののほか、第四条第一号の基本方針の趣旨にのっとり、内閣機能を強化するため、内閣及び内閣官房の運営の改善を図るものとする。」


事務次官の人事を決定するには、中央省庁等改革基本法13条・14条に基づき、所管の大臣だけでなく、「制度上、官房長官が主催する閣議人事検討会議に諮る必要」があり、人事検討会議の了承を得てさらに内閣の閣議決定(通常、事前の承認を要する)が必要となるのです。

正副官房長官による「閣議人事検討会議」が設置されたのは、橋本政権下であり、これは、事務次官など省庁の幹部人事を事前に審査することで、首相官邸が各省庁への統制を強化し、行政改革と内閣機能の強化を図る一環として、設けられたとされています。要するに、正副官房長官による「閣議人事検討会議」によって、省庁の幹部の人事を決定することこそが重要であるというわけです。

どういう人物が事務次官にふさわしいか、退任させる時期かどうか、所管大臣による裁量の余地があることは確かです。しかし、小池防衛相のように、独断で防衛事務次官の人事を決定し、「閣議人事検討会議」に諮ることなく、しかも、首相に対して、自らの決定に添った形で、事後的に閣議決定を求めることは、法的に要求されている手続きを無視するものであって、法律違反の行為です。

中央省庁等改革基本法は、内閣機能の強化、特に首相官邸の機能を強化する趣旨で定めたものです。とすると、所管大臣が首相官邸を無視して独断決定することを許すことは、首相官邸を軽視するものであって、中央省庁等改革基本法の趣旨にそぐわないものであり、小池氏の行為は厳しく非難されるべきなのです。


(2) また、小池防衛相が辞任をちらつかせて独断で決定した人事を押し通そうとした点も問題です。

「13日昼、防衛相は首相官邸で官房長官と会い9月1日付の人事案を説明。政府関係者によると、官房長官が「(内閣改造に伴う)次の防衛相の就任後に決めるというのが人事検討会議を構成する正副官房長官4人の総意だ」と拒否すると、防衛相は「案をのんでもらえないなら私にも決意がある」と辞任をちらつかせ「(安倍晋三)首相に(直接)伝えに行く」と席を立った。」(日経新聞)



日本国憲法下では、首相に「首長」(66条1項)としての地位を認め、それを裏付ける国務大臣の任免権(68条2項)を与えています。しかし、明治憲法下においては、首相は「同輩中の首席」にすぎず、他の国務大臣と対等の地位にあるにすぎなかったため、閣内の意見不一致の場合は、衆議院を解散するか、総辞職せざるをえませんでした。
特に、軍部大臣現役武官制によって、陸海軍大臣が辞任して軍部が後任を推薦しないと内閣が崩壊することをもたらしました。要するに、陸海軍大臣から「要望を飲まないと辞任する」と脅されると、首相としては要求に従わざるを得ないという事態になってしまうわけです。

小池防衛相は、「案をのんでもらえないなら私にも決意がある」と辞任をちらつかせたのですから、まさに明治憲法下の戦時中の大臣の行動を髣髴とさせるものです。このような首相の憲法上の地位・権限を強化した現行憲法に反するような、小池氏の行動は認めるべきではないのです。




3.安倍政権下では多くの閣僚が失言問題を起こしましたが、ずっとかばってきたせいもあって、閣僚全体に安倍首相を軽視する意識が蔓延していました。

小池氏が事務次官人事を独断で決定すること自体問題があるのに、安倍首相に対して再三にわたって独断人事を認めさせようとアピールしているのですから、これほど露骨に首相官邸の権限を軽視する人物もいないでしょう。「安倍政権の内閣掌握力の甘さがまたもや露呈した」(朝日新聞8月14日付朝刊1面)のです。

「守屋氏交代案の経緯について、沖縄県の照屋全哲名護市議は13日「2日に仲井真弘多沖縄県知事から防衛相に“守屋外し”の提案があり、5日に防衛相が島袋吉和名護市長に電話で受諾を伝えていた」と暴露した。

 県や名護市が求める米軍普天間基地移設案の修正を拒む守屋氏交代の内定と引き換えに、移設手続きの第一歩となる環境評価方法書を沖縄県に提出。これを手柄に訪米する算段だった。」(日経新聞)


小池氏は勝手に約束を交わし、「手柄」にして訪米する算段だったことも、個人的なスタンドプレーであって、好ましいことではないのです。


小池氏の行動には法律上の問題点があり、安倍氏はこれほどまでに小池氏から馬鹿にされ、勝手な行動を行っているのですから、小池氏を閣僚に留任させるべきではありません。もし、安倍氏が小池氏を留任させるようだと、小池氏はますます増長して身勝手な行動に走るでしょう。安倍氏が小池氏を留任させるかどうか、注目に値すると思います。

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コメント
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2007/08/17 Fri 22:30:32
| #[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ
コメントありがとうございます。非公開コメントでのご質問ですので、修正を加えつつ、引用することにします。


><水戸参院議員>選挙カー事故で書類送検 バイクの女性けが [毎日新聞]
>http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070817-00000034-mai-soci
>民主党の水戸将史参院議員(45)が選挙運動中に、開けた選挙カーの助手席ドアにバイクが衝突する事故を起こしたとして、神奈川県警保土ケ谷署は17日、重過失容疑で横浜地検に書類送検
>この場合、側方間隔不保持、通行帯違反など、過失はむしろバイク側にあると考えられ、運転してもいない人が交通違反?に問われるのは変だと思うのですが
>もし議員のほうが怪我をした場合でもバイクの責任は問われないことになりかねませんが、何でも怪我した(死んだ)ほうが正しいとでも言うのでしょうか
>最大の責任はバイクの側方通過を野放しにしている警察にあるのではないか


1.こういう事件があったのですね、情報ありがとうございます。

この交通事故の過失はバイク側にあると考えたわけですね。とりあえず、サンケイスポーツの記事も引用しておきます。このサンスポの記事の方には「過失内容」が出ていますので。

「民主・水戸議員、選挙カーがバイクと接触で女性にけが負わす

 参院選の神奈川選挙区で初当選した民主党の水戸将史参院議員(45)が、選挙運動中に選挙カーから降りようとしてドアがミニバイクと接触、運転の女性にけがを負わせていたことが17日分かった。県警は同日、水戸氏を重過失傷害の疑いで書類送検した。

 参院選では公明前職の松あきら氏(59)を破る“金星”で3人枠の最後に入った。当選したてだが、「私の不注意であることは間違いない」と反省しきりだった。

 水戸氏は7月18日午後零時50分ごろ、横浜市内の交差点で赤信号で停車した選挙カーの助手席のドアを開けたところ、後方から来たミニバイクに接触。女性(37)に全治2週間の軽傷を負わせたとされる。

 支援者を見つけ車を降りて握手しようとして、安全確認を怠った。保土ケ谷署は選挙カーを運転の男性(58)も後方安全確認を怠ったとして自動車運転過失傷害の疑いで書類送検した。」
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200708/sha2007081808.html

要するに、警察は、水戸氏に対しては、安全確認を怠ったとして重過失致傷罪(刑法211条1項後段)に、選挙カーを運転の男性(58)に対しては、後方安全確認(道路交通法71条第4号の3)を怠ったとして自動車運転過失致傷罪(刑法211条2項)にあたるとしたわけです。言い換えると、選挙カー運転の男性の方は運転者としての義務違反があって、交通違反として罪を問われたのに対して、水戸氏の方は交通違反でない過失の事故として罪を問われたわけです。

なので、「運転してもいない人が交通違反?に問われるのは変だと」思う意識自体は正しいのですが、水戸氏は、ジツは厳密には交通違反に問われていないのです。


2.条文も引用しておきます。↓

(業務上過失致死傷等)刑法第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
2 自動車を運転して前項前段の罪を犯した者は、傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

(運転者の遵守事項)道路交通法第71条 車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。(中略)
4の3.安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること。


3.では、この事故の責任は、水戸氏側(水戸氏及び選挙カー運転者)かバイク側かどちらにあるのでしょうか? 

道交法71条第4号の3は、運転者に対して、本人及び乗客が、安全確認をしてからドアを開ける義務を課しています。これは、車外を通行する者にとっては、ドアが開くかどうかは分からず避けようがないため、ドアを開ける車両側の方に、後方から歩行者や車両がこないか注意義務を課したのです。

そうなると、道交法71条第4号の3が規定している以上、水戸氏側に事故の責任への寄与度が大きいといえるのです。

もっとも、水戸氏側に事故の責任への寄与度が大きいとはいえ、運転者でない水戸氏に対しても事故の責任を問うのは酷ではないかとも思えます。しかし、水戸氏はいい大人なのですから、後方確認せずにドアを開けた場合の危険性はよく分かっていたはずです。また、選挙カーにおいてもっとも責任ある者は水戸氏であって、運転者ではないはずです。そのため、年齢や水戸氏の立場を考慮して「重過失」ありとして、警察は罪に問うべきと判断したのだと思います。


4.もちろん、停車中の車であればドアを開ける可能性はあるのですから、バイク側にも注意義務があるとは思います。「バイクの側方通過」も問題があるとは思います。

ただ、この事案の場合では、車両から降りるために停車したというのでなく、赤信号で停車中、支援者を見て突然降りようとしたものです。赤信号で停車しているだけでは、通常、後方車両は乗車している者が降りることはないと信頼しているといえるため、バイク側には、刑法理論で言う、「信頼の原則」により注意義務違反がない(又は違法性阻却)と判断されてしまうでしょうね。もちろん、詳しい事情が分からないのですが、バイク側にも少しは過失があった(徐行不足など)ため、書類送検したにとどまっているのかもしれません。


5.停車中の車両が突然ドアを開けて、バイクが転倒するという事故は、結構よくあることだと聞いています。今回の事故も死亡事故ではなく「全治2週間の軽傷」で済んだようですし。ですので、本来は、ニュースネタになるほどのことではないのです。

それでも、ニュースネタとなったのは、議員が選挙中に事故を起こしたからなのでしょうね。また、選挙カーに乗る議員や運動員に対して、「自分のことばかりだけでなく、周りにも注意を向けましょう」(^^ゞ)と、注意喚起する意図もあるのかもしれません。
2007/08/18 Sat 16:31:03
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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2007/08/20 Mon 00:17:38
| #[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ:2007/08/20(月) 00:17:38へのお返事
コメントありがとうございます。非公開コメントですが、答える必要性から一部コメントを公開することをお許し下さい。


>道交法71条第4号の3は、運転者が安全確認をしてからドアを開ける義務を課したもので、運転手本人だけでなく、乗客が勝手にドアを開けないように必要な措置を講ずる、つまり乗客が勝手にドアを開けても、運転手がその責任を負うことは明白

コメントを読んでいるうちに、思い直しました。「2007/08/18(土) 16:31:03」で答えた結論を撤回することにしました。申し訳ありません。

仰るとおり、道交法71条第4号の3からすれば、乗客の過失行為も運転者の責任としたのです。だとすれば、運転者のみが事故の責任を負うのがスジです。

また、致傷の結果はバイク側の怪我1つなのに、運転者とドアを開けた乗客の2人に罪を負わせるとなると、1つの傷害結果を法的に二重評価することになってしまい妥当ではありません。

なので、選挙カー運転の男性に対して自動車運転過失致傷罪の罪責を負わせることで足り、水戸氏に対して重過失致傷罪の罪責を負わせる必要はないと思います。
2007/08/20 Mon 00:57:17
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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今から、62年前・戦後直後に伊丹万作氏(伊丹十三氏の御尊父)が書かれた文章を深くお読み頂きたい。そして「戦争とはなにか?」「戦争責任とはなにか?」を真剣に思考して頂きたいのです!伊丹万作氏は言う。「もう一つの別の見方から考えると、いくらだますもの....
2007/08/15(水) 23:47:32 | 晴天とら日和
●J-CASTニュース  2007年08月16日21時38分たかが携帯、されど携帯 小池防衛相と次官の泥仕合小池百合子防衛相(55)が2007年8月6日夜、守屋武昌防衛事務次官(62)に退任人事構想を携帯電話で伝えようとした。でも、「つながらなかった」というのが防衛相の言い分....
2007/08/18(土) 01:01:25 | 晴天とら日和
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