民主党の比例票は自民党の1.4倍であり、比例区で自民党を670万票上回る過去最多の2325万6242票を獲得したのですから(朝日新聞7月30日付夕刊3面)、名実ともに第1党となりました。この選挙について触れたいと思います。
「自民、歴史的大敗 民主躍進、初の参院第1党
2007年07月30日06時30分
安倍政権の信任が問われた第21回参院議員選挙は29日投開票された。自民党は改選の64議席から37議席に減らし、89年に宇野首相が退陣した過去最低の36議席に匹敵する歴史的大敗となった。公明党も選挙区で擁立した5人中3人が落選する惨敗で、非改選を含む与党の議席は過半数を割り込んだ。しかし、安倍首相は同日夜、続投を表明した。一方、民主党は改選議席の32議席から60議席に躍進し、自民党が55年に結党してから参院で占めてきた第1党の座が初めて入れ替わった。
今回の当選者と非改選議席を合わせた新勢力は、野党側が134議席、与党側は105議席。
政党別の当選者は、選挙区、比例区を合わせて、自民は改選64議席を大きく下回る37議席。公明も改選12議席のところ9議席にとどまった。
一方、民主は改選32議席に対し60議席と躍進。他は共産3、社民2、国民2、日本1などとなっている。
今回の改選数は選挙区73、比例区48の計121。年金や政治とカネにまつわる問題に関心が集まる中、前回(04年)に比べて57人多い377人が立候補し、支持を訴えてきた。」(asahi.com(2007年07月30日06時30分))
安倍首相は、選挙戦中
という問い掛けをしたのです。この参院選挙において、有権者は僅差でなく圧倒的な議席数を民主党に与えたのですから、小沢さんの方が首相にふさわしいという意思を示したことになります。「私と小沢さんのどちらが首相にふさわしいか」
ならば、「安倍氏は首相にふさわしくない」という決断をした有権者の意思を尊重して頂きたいと思います。自ら述べた言葉の責任をとるべきです。責任を取らないのであれば、嘘つき首相とそしられ、ますます信頼されないことになり、安倍政権及び与党(自民党、公明党)ともども支持率が一層下がるだけです。
1.この歴史的大敗となった原因については、次に紹介する東京新聞平成19年7月30日付【社説】がもっとも的確であるように思います。
「【社説】 安倍自民が惨敗 『私の内閣』存立難しく
2007年7月30日
安倍政治にノーの判定が下された。どんな主張も政策も国民の信頼を失っては実を結べない。参院選の突風はそう教えている。首相の「私の内閣」は存立可能か。
「小泉・郵政総選挙」から二年足らず。小泉後の安倍晋三政権が信を問うた参院選はまるでオセロゲームのように「黒白」が反転した。
一議席を争う二十九選挙区で小沢一郎氏の民主など野党が安倍自民党を圧倒した。改選数三や五の大都市圏も自民と公明の候補は押しまくられた。東京、埼玉、神奈川などで民主に、どちらかがはじき出された。
比例代表では自民得票率が前回参院選をさらに割り込んだ。凋落(ちょうらく)ぶりは目を覆うばかりである。
「敗因は安倍さん」の声
選挙の最終盤に自民比例候補の陣営で聞いた悲鳴と落胆が耳に残る。「なんで安倍さん、こんなに人気ないの?」「九年前の橋本政権の参院選最終盤と空気が同じ。負ける」
橋本政権は必ずしも不人気だったわけでない。が、長い不況に手をこまぬく与党の失政批判に加え、財政政策の首相のブレ発言がたたって自民は大敗。四十四議席だった。
安倍氏は首相就任十カ月の信任を求めた。教育基本法を変えた、改憲へ国民投票法をつくった、想定外だった年金の記録不備問題も手を打っている、と。
遊説先では、公務員制度の改革や地域の再生、攻めの農政も掲げて「改革か逆行か」と訴えた。
戦後生まれ初の日本国首相は戦後体制脱却を唱える。しかし気負いは空転した。語る言葉が目次の域を出ず、戦後の何が悪く、だからどうする、を語れなければ、国民がついていくはずはない。
首相は気づいていなかったのだろうか。先の国会の強引な運営は支持離れに拍車をかけた。「空気が読めない」−こんな批判が与党にくすぶる中での、橋本政権時の獲得議席も下回る惨敗に、与党からも「敗因は安倍さん」の陰口が聞こえる。
進行していた基盤の劣化
野党は国民の年金不安への政府対応、そして閣僚らの失言や不透明なカネの説明不足をめぐっても、後手を繰り返す首相の甘さを突いた。
政権リーダーの「資質」が焦点になれば反政権側に追い風が吹く。30%前後に下落した内閣支持率は選挙前から与党の劣勢を物語っていた。だが、これほどの逆風の厳しさは、それだけでは説明し切れない。
自民の支持基盤の甚だしい劣化である。前兆はかねてあった。突然変異のように人気を集めた小泉長期政権で忘れられていた深刻さが、今春の統一地方選で実感されていた。
四十四道府県議選と主要都市の市議選結果が参院選の自民敗北をかなりの確率で予言している。都市で民主は議席を大幅に伸ばし、自民の金城湯池の農村部でも躍進した。
今回参院選の一人区でいえば、県議大幅減の岡山や滋賀、九州でも自民の幹部やベテランが敗れた。東北の一人区、四国は全滅。石川、富山ですら自民は苦杯をなめた。
かろうじて当選できた人も、農家の所得補償などを掲げる小沢民主に守勢に立たされた。縮むパイを蜜月のはずの自民と公明が奪い合う。そんな事態が各地で展開された。
自公で二議席死守を目指す大都市の選挙区で、公明から自民へパンフ配布の要求があった。実際に配ったかどうか“監視”つきで。終盤には自民の県議一人につき五百票分を融通するよう公明が求めた。
「こっちだって当落の瀬戸際」と自民陣営。母屋を乗っ取られる、堅い宗教団体票を当てにした連立を続けていれば、支持基盤が弱るのは当たり前だよねぇ、といった自民陣営の運動員の嘆きを聞いた。
猛烈な逆風は連立与党間にも冷気を吹かせた。そもそも右傾斜の目立つ安倍自民と公明の相互にある違和感は、自公の参院半数割れで増幅されておかしくない。
忘れるわけにいかないのは、主要な争点が小泉・安倍政権通算六年半の決算でもあったことである。地方・弱者切り捨て政治だ、と格差拡大を攻める野党に、与党の反論は迫力を欠いた。地方の荒廃が進み、都市住民にも不公平感が募る中での「政権審判」選挙だったのだ。
歴史的といっていい惨敗だが首相は続投するという。自公両党の執行部も退陣はあえて求めていない。ただ求心力の減衰は避けられまい。
内閣改造で急場をしのぐにも人事は就任来の首相の“鬼門”である。国会はじめ政権の運営は困難を強いられよう。よほどの覚悟が要る。
速やかな総選挙が常道だ
勝った民主にはもちろん第一党の重い責任がのしかかる。衆院は与党圧倒多数のままだ。参院の多数野党が政治をかき乱すと映れば、世直しを期待した有権者は裏切られたと思うだろう。悲願の政権も遠のく。
とはいえ政権との安易な妥協は困る。多少の混乱なら談合よりましである。衆院の与党の暴走を抑え、参院で再考を促せるなら、二院制本来の機能発揮が期待できるからだ。
首相にも要望する。あなたはいまだ総選挙の洗礼を受けていない。ぜひ、速やかな政権選択選挙を、と。」
(1) 一番の敗因は、安倍氏自身です。
「戦後生まれ初の日本国首相は戦後体制脱却を唱える。しかし気負いは空転した。語る言葉が目次の域を出ず、戦後の何が悪く、だからどうする、を語れなければ、国民がついていくはずはない。
首相は気づいていなかったのだろうか。先の国会の強引な運営は支持離れに拍車をかけた。「空気が読めない」−こんな批判が与党にくすぶる中での、橋本政権時の獲得議席も下回る惨敗に、与党からも「敗因は安倍さん」の陰口が聞こえる。」
意味不明な「戦後レジームからの脱却」を連呼し、先の国会では強行採決を繰り返すという強引な国会運営をし、それを誇ってしまうという議会政治の理解の無さ。これでは国民は、国民に対して殆ど説明することなく、どこまで自分勝手に突き進むのだろうかと思い、安倍首相に恐怖さえ感じたのではないかと思います。
しかも、「女性は産む機械」発言や「原爆投下しょうがない」発言などの失言をした閣僚や「不透明なカネの説明不足」だった閣僚に対して、罷免することなくかばい立てをし、松岡前農水相を自殺にまで追い込むことさえしてしまいました。安倍氏が首相としての判断力がないこと自体が敗因だったのです。
(2) もう1つの大きな敗因は、「進行していた基盤の劣化」です。
「自民の支持基盤の甚だしい劣化である。前兆はかねてあった。突然変異のように人気を集めた小泉長期政権で忘れられていた深刻さが、今春の統一地方選で実感されていた。
四十四道府県議選と主要都市の市議選結果が参院選の自民敗北をかなりの確率で予言している。都市で民主は議席を大幅に伸ばし、自民の金城湯池の農村部でも躍進した。
今回参院選の一人区でいえば、県議大幅減の岡山や滋賀、九州でも自民の幹部やベテランが敗れた。東北の一人区、四国は全滅。石川、富山ですら自民は苦杯をなめた。
かろうじて当選できた人も、農家の所得補償などを掲げる小沢民主に守勢に立たされた。縮むパイを蜜月のはずの自民と公明が奪い合う。そんな事態が各地で展開された。」
小泉政権下における経済政策・郵政選挙などによって、所得格差が拡大し、弱者が一層困窮し、地方での支持基盤を破壊してしまいました。そのような状態をなかば無視したまま、選挙を行い、他方で、民主党の小沢代表がずっと地方を回って救済の手を差し伸べたのですから、1人区で自民党が大幅に議席を失ったのはむしろ当然でした。
要するに「小泉・安倍政権通算6年半の決算」がこの結果を生んだのです。この結果は、小泉政権の「弱者切捨て政策」こそ原因があったのですから、ある意味安倍氏に酷であったわけですが、安倍氏は小泉氏の政策を無批判に継承した以上、責任を問われても仕方がありません。
支持基盤を破壊してしまった以上、今後自民党が選挙において民主党よりも議席数を上回ることは難しくなりました。民意を理解することが苦手な安倍氏が首相の地位に居座るようでは、衆議院議員選挙においても自民党は大敗を喫することになるでしょう。
2.今回の選挙において良かったと思う点が2点あります。
(1) 1つは、投票率が高くなったことです。
「2007/07/30-05:33 投票率58.64%=前回上回る−参院選・総務省発表
総務省が発表した第21回参院選の投票率(選挙区)は全国平均58.64%で、前回2004年の56.57%を2.07ポイント上回った。比例代表も58.63%で前回比2.09ポイントの増。
今回と同様、統一地方選と重なった1995年の参院選は、投票率は44.52%と過去最低を記録した。運動の手足となる地方議員が自身の選挙で疲弊したためと指摘されている。今年は、さらに投票日が夏休みにずれ込んだこともあって、投票率が低下するとの見方もあった。
しかし、年金記録漏れや「政治とカネ」の問題などが大きな争点となり、有権者の関心が高まった。また、期日前投票が浸透したことも投票率が下がらなかった要因とみられる。
都道府県別では、投票率が高かったのは島根県71.81%をトップに、秋田県67.70%、鳥取県67.67%の順。逆に低かったのは青森県53.88%、茨城県54.00%、群馬県54.60%だった。(了)」(時事ドットコム(2007/07/30-05:33))
議会制民主主義国家においては、有権者が投票という選挙権の行使によって、国政選挙では国会議員という国民の代表者を選ぶという制度になっています。国民主権の下においては、有権者が選挙権を行使することは主権者としてもっとも重要な責務といってもよいのです。
もっとも、前回より投票率が高くなったとはいえ、60%を超えていないのです。もっと投票してほしいと思います。
(2) もう1つは、国会において法案をじっくり審議できるようになったことです。すなわち、これで17回もの強行採決を厭わなかった安倍政権は、今後は強行採決が困難になったことと、参議院で野党が第1党となったことで今まで与党から無視されていた、野党提出法案が審議できるようになったことです。
「野党に国会主導権 与党、強行採決不可能に
2007年07月30日10時02分
参院で与野党が逆転する国会は8年ぶりで、議長も野党・民主党が握れば初めてのこととなる。先の通常国会は衆院で3分の2を握る巨大与党が主導し、対決法案を次々と成立させたが、今後は主導権が野党に移る。成立する法案は絞り込まれ、様相は一変することになりそうだ。
自民党の二階俊博国会対策委員長は29日夜、「大変厳しい国会運営になるのは予想通りだが、それだけに与党間で十分協議して衆参の連携を取りながら、慎重な上に慎重な国会運営をしていきたい」と語った。
自民、公明両党の幹事長や国対委員長は30日、塩崎官房長官をまじえ、選挙後の臨時国会の開催時期などを協議する。自民党国対幹部は29日夜、「臨時国会は8月7〜9日あたりでやるしかない」と述べた。参院議長などを決めるだけで、本格的な秋の臨時国会は9月末以降に召集される見通しだ。
これまで与党は、改正教育基本法など対決法案を採決強行を重ねて成立させたが、こうした手法は通用しなくなる。首相指名や予算、条約は衆参で議決が異なっても衆院の議決が優先されるが、それ以外は衆院で3分の2以上の多数で再議決しなければ成立しないからだ。自民党内からは「労働3法案のように通常国会で継続審議になった法案は、臨時国会ではやれない」(国対幹部)との声が漏れる。
98年参院選で自民党が大敗した時は、99年秋に自自公連立政権ができるまで与野党逆転が続いた。「金融国会」と呼ばれた秋の国会では、与党は民主党などの対案を丸のみして成立させた。さらに、防衛庁の不祥事で額賀防衛庁長官の問責決議案が可決され、辞任に追い込まれた。
野党側はこの再現を狙う。ただ、対決一辺倒だと世論の反発を受ける可能性もある。民主党は法案を参院で修正して衆院に送り返したり、参院に法案を提出・可決して衆院に送ったりすることを検討している。同党幹部は「反対したら本当に止まるから、何でも反対ではいけない。仕方ないというのは賛成していかないと、国会が回らなくなる」と語る。
秋の国会で焦点となるのは、インド洋の米艦隊などに自衛隊が後方支援するためのテロ対策特措法の延長。11月1日に期限が切れ、延長しなければ支援は打ち切りになって対米関係に影響を与える可能性もある。これまで民主党は延長に反対してきたが、その姿勢を崩さずに政府を追い込むか、修正協議などを経て賛成に回るか、民主党の出方が問われる。
89年にも与野党逆転となったが、この時は自民党は野党の公明、民社両党と政策によって連携し、重要法案を成立させたこともあった。今回はこのような規模の議席をもつ中間的な野党が存在せず、与党はより厳しい国会運営を迫られる。」(asahi.com(2007年07月30日10時02分))
強行採決の連発をし、しかもそれを誇ってみせるという安倍首相の政治姿勢に対して批判的であったことも、自民党が大敗した原因の1つなのですから、与党は強引な国会運営を行ったことへの反省をして頂きたいと思います。
もちろん、首相指名や予算、条約以外では、衆参で議決が異なっても衆院で3分の2以上の多数で再議決できるのですから、強行採決はまったく不可能というわけではありません。しかし、強引な国会運営を行ったこと自体が批判を受けて大敗したという結果を重視して、二度と強行採決は止めてほしいと思います。もっとも、強行採決をするようでは、自民党は衆議院議員選挙でも大敗を喫することになると思いますが。
3.このような歴史的大敗となった結果をもたらした政党の総裁は、本来、辞任という責任を果たすのが筋であるのですが、驚いたことに安倍氏は辞める気はないのです。
(1) asahi.com(2007年07月29日22時34分)
「首相、続投を表明 「責任を果たすことが使命」
2007年07月29日22時34分
安倍首相は29日午後10時20分すぎ、テレビ朝日の報道番組に出演し、「私は総理に就任して改革を続行していく、新しい国造りを進めていくと約束した。その約束を果たしていくことが私の責任だと思う。決意している」と述べ、続投する考えを表明した。参院選では自民党の大敗が決定的だが、首相は「大変厳しい、苦しい状況だが、責任を果たしていくことが私に課せられた使命だ」と強調した。」
(2) 時事ドットコム(2007/07/30-03:03)
「2007/07/30-03:03 首相続投に「えっ」=加藤氏絶句、山崎氏も批判−参院選
自民党の加藤紘一元幹事長は30日未明、取材に対し、参院選での自民党惨敗にもかかわらず安倍晋三首相が続投を表明したことについて「えっと思った」と強い疑問を呈した。
さらに「続投した場合、首相だけではなく、自民党自体がぼろぼろになる危険性をはらむ」と強調。「よほど政策面で市場原理主義からの大転換など大胆なことをしないといけない」と述べた。
また、山崎拓前副総裁も29日夜、地元民放テレビに出演し、「国民の審判だから謙虚に受け止めなければならない」と述べ、退陣を決断しなかった首相を批判した。(了)」
(3) 読売新聞(2007年7月30日3時30分)
「自民執行部、首相退陣論封じに躍起…改造人事で駆け引きも
安倍首相が29日、続投の意向を示したことに対し、自民党の派閥領袖(りょうしゅう)クラスからは、これを支持する声が相次いだ。
ただ、党内には首相の責任を追及する声も出始めている。首相は内閣改造・自民党役員人事により、これを封じる構えだが、人事面での厚遇を求める派閥との間で、駆け引きが活発化しそうだ。
首相は29日夜、テレビ番組で「参院選の結果は厳粛に受け止める。今回の責任は私にある」と力無く語った。その目はうつろで、時折、涙をにじませるなど惨敗のショックは隠せなかった。
自民党幹部は29日、参院選での惨敗は避けられないと見て、開票前から首相続投に向けた環境整備に動いた。中川幹事長は、同日午後4時過ぎ、都内のホテルで森元首相、青木参院議員会長と会談。青木氏から「首相の進退の判断に異論ははさまない」と続投容認の言質をとり、党執行部の意見を「続投支持」でまとめた。同日夜に首相が続投の意向を示すと複数の派閥領袖が支持する考えを示した。
こうした背景には、衆院で与党が3分の2以上の議席を確保していることに加え、「ポスト安倍の有力候補もいない。首相が退陣しても、参院での議席は変わらず、政局が混乱するだけ」(政府筋)との判断があるとみられる。
一方で、加藤紘一・元幹事長は「有権者の気持ちをくみ取らないで続投した場合、首相のみならず、自民党自体がずたずたになる」と懸念を示した。
谷垣派は同日昼、会長の谷垣禎一・前財務相、川崎二郎・前厚生労働相ら幹部が都内で会合を開き、その席では「惨敗しても首相が政権に居座るならば、自民党は国民から見放される」との声が出た。
石破茂・元防衛長官(津島派)も「安倍首相は辞めるべきだ。そうでないと、自民党が終わってしまう」と述べ、首相退陣を求める考えを示した。
こうした首相への批判に対し、政府高官の一人は「内閣改造・党役員人事を目前に控え、首相に反旗を翻す議員はいない」と抑え込みに自信を見せる。
自民党は30日午前に役員会を開き、参院選を総括する。安倍首相は自民党総裁選で「選挙の顔」との期待を集めて圧勝しただけに、若手の間では「安倍首相のもとでは次の衆院選は戦えない」と失望感が広がっており、首相責任論が収まるかどうかは不透明だ。
(2007年7月30日3時30分 読売新聞)」
有権者は安倍首相を明確に信任しなかったのですから、選挙に示された民意を尊重するのであれば、首相を辞任するのが筋です。
もっとも、「衆議院選挙でないから政権選択選挙でないので、辞任する必要はない」という安倍氏に都合のいい論調があることは確かです。しかし、そういい切って辞任しないというのでは、憲法上最も重要な人権である、選挙権の行使によって示した有権者の意思・民意を無視することになります。安倍氏が辞任しないのであれば、選挙権とは何なのか、一票にこめた民意は何なのかと、疑問視せざるを得ないのです。
しかも、民主党の議席が大きく自民党を上回ったのであり、比例代表の得票数でも自民党の1.4倍なのです。安倍政権を信任しないという、あまりにも強く明確な民意が示されたのですから、この民意を尊重するべきです。安倍首相は、辞任すべきであると考えます。日刊スポーツ7月30日付1面だけが「安倍首相 辞めろ!!」と大見出しを打っていましたが、その通りだと思います。(もちろん、衆議院解散の方法もありますが)
未練たらたらの安倍首相に対して片山氏の敗戦の弁は潔いものです。
「自民党参院幹事長の片山氏が敗戦の弁 岡山選挙区
2007年07月29日22時21分
元総務相で自民前職の片山虎之助・党参院幹事長(71)が、岡山選挙区で民主新顔の姫井由美子氏(48)に敗れ、落選の見通しとなった。
片山氏は29日夜、有権者の前であいさつをし、「逆風が日を追って強くなる選挙だった。期待に反した結果となったこと、すべて私の不徳の致すところでした」と、敗北を認めた。
また、「(党参院)幹事長でありながら、自分の選挙にかまけて、他の候補も応援できなかったことに責任を感じている。主権者である国民の審判であり、自民党は反省すべきところ反省すべきだと思っている」と述べた。
自民逆風の象徴的な選挙区として注目された。現職の党幹部で抜群の知名度を持つ片山氏を支援するため、自民は選挙期間中、閣僚級を相次いで送りこみ力を入れた。また、郵政民営化に反対し自民を離党した平沼赳夫元経産相(衆院岡山3区選出)の支持も得て浸透を図った。一方、民主も岡山を「1人区の最重点」と位置づけ、党幹部が連日、姫井氏の応援に駆けつけた。片山氏は、遊説で年金問題対策に時間を割いて支持を訴えたが、与党への強い「反発」に屈した。」(asahi.com(2007年07月29日22時21分))
安倍氏は「反省すべきものは反省して」といい、大敗の責任は自分にあると言いいながらも、辞任しないのです。どのように具体的に大敗の責任をとるというのでしょうか? 責任をとることと、辞任しないこととが別であるなんて、実に不可解な発言です。少し議席を減らした程度でなく、大敗したということが、安倍氏には理解できないのでしょうか。
4.安倍首相は、今後も首相の地位にしがみ付くようです。そうなると、内閣及び自民党の支持率は一層下がることは必至であり、10%かそれ以下に下がることになるかと思います。有権者としては、民意を無視されたという怒りを抱き続けるのであり、辞任せずに未練がましい態度に対して一層信頼感をなくしていくからです。
見方を変えると、民主党にとっては、安倍氏が首相の地位にとどまる方が好ましいのです。安倍氏が首相にしがみ付く態度は、実は民主党支持率を一層高める行動なのです。もっとも、理解力のない安倍氏にとっては、分からないことでしょうが。
昔の自民党は、派閥抗争が激烈でしたが、他方で、自民党の中でオープンな議論ができ、多様な意見を言い合うことで、批判を緩和して長年政権与党でいることができたのです。ところが、与党幹部は誰も安倍氏を自民党総裁・首相を辞めろとは言わないのですから、党内抗争ができないほど、自民党は弱体化してしまったのです。
派閥を破壊して、支持基盤を破壊したのは小泉氏です。郵政選挙において、郵政反対派に対して、刺客を送り徹底的な弾圧を行いました。小泉氏は、政権維持するだけの体力を自民党から奪ってしまったのです。
そうなると、安倍首相の下では、衆議院選挙での自民党大敗という結果は必然であるばかりか、誰が総裁・首相になっても民主党よりも議席数を下回ってしまう可能性がありえるのです。
もしかしたら、自民党幹部が安倍氏に対して辞任を求めないのは、安倍氏を見限っているからかもしれません。首相にとどまっても、支持率の大幅な低下によって、どうせ2〜3ヶ月持たないだろうと予測できるからです。
民主党の小沢代表は、今度は衆議院選挙を念頭において行動していくことになると思います。例えば、参院選で落選した自民党議員を一本釣りしていくこともありえるでしょう。もしかしたら、落選した片山氏が民主党から出馬ということもあるかもしれません。
いよいよ政権交代が現実味を帯びてきました。衆議院選挙が今から楽しみになってきました。
| #[ 編集 ]
更に穿った見方をすれば、一部の利権に絡む経団連他の組織票を除いた場合、安倍退陣を望む民意は8割を超えるのではないかと考えられます。格差を容認していたら死ぬまで働き続けたあげく自殺を図る人が後を絶たない社会になると思います。
私的なことで恐縮ですけど、私の郷里は岡山です。姫井由美子さんとは、ちょっと縁があります。嬉しいな♪
本日、またHP更新していまして、春霞様のこと、ブログに書かせてもらいました。春霞さん、1年前から何も知らない私に教えてくださって、ほんとうにありがとうございます。
受験勉強頑張って下さい。よい結果が出るようお祈りしています。
>格差を容認していたら死ぬまで働き続けたあげく自殺を図る人が後を絶たない社会になる
仰るとおりになるでしょう、今のままでは。
今でさえ生活格差というか、生活に厳しい状況にある方が、見過ごすことができないほどいるわけです。
↓で、東京新聞の「大波小波」の記事を引用しました通り、市民の側は家計問題への対応を望んでいるのです。経済界と異なり。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-502.html
この選挙結果でやっと政治状況が変わりそうなので、ほっとしています。
>気持ちのスカッとする選挙結果だったと思います。
ほんと良かったと思います。
>私の郷里は岡山です。姫井由美子さんとは、ちょっと縁があります。嬉しいな♪
「姫の虎退治」でしたね。覚えやすいだけでなく、実にうまいキャッチフレーズでした。姫が負けてしまう場面は見たくないという心理状態にになるようなキャッチフレーズですし。
この選挙区の結果は、今回の選挙の中でも象徴的な結果でした。どんな実力者であっても民主党に負けてしまうほど要因があったといえるのですから。
>本日、またHP更新していまして、春霞様のこと、ブログに書かせてもらいました。
エントリー、コメントなど取り上げて下さってありがとうございます。
>TB出来にくいようなので
どうもTBがうまく反映しないことがあるようです。申し訳ありません。
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