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2007/07/28 [Sat] 23:59:48 » E d i t
安倍政権初の大型国政選挙となった第21回参議院議員通常選挙が、明日7月29日、投開票されます。報道各社の情勢調査では、与党の自民、公明両党が非改選を含む参院全議席(242)の過半数122を割り込む公算が大きくなっているようです(東京新聞7月28日付朝刊1面)。

朝日新聞では、「投票日を前に ニッポンのゆくえ」と題する記事を連載していました(7月26日~28日)。投票する政党、候補者を選ぶのに直接関係する記事ではないのですが、日本社会の現状を振り返ってみる記事になっています。
もっとも、こういう日本社会の現状を維持するのか、変えようとする意識があるのか、と問い掛けるものですから、投票行動に無関係ではないと思います。そこで、この記事を紹介してみることにしました。


1.まず、「投票日を前に ニッポンのゆくえ」と題する記事を紹介する前に、東京新聞平成19年7月28日付【社説】は、光市母子殺害事件の弁護団への非難を諌めるものでしたので、取り上げておきます。「投票日を前に ニッポンのゆくえ」と題する記事と関連するので。

 「【社説】 弁護士脅迫 裁きは法廷で冷静に
2007年7月28日

 遺族感情を害し、いわゆる世間の批判にさらされても、正しいと考える活動をするのが弁護士の使命だ。その行動や自由な司法判断を封じようとする卑劣な脅迫は、法で裁かなければならない。

 一九九九年に起きた山口県光市の母子殺害事件の弁護人を脅迫する手紙が、日本弁護士連合会や新聞社に届いた。事件当時十八歳だった被告を死刑にできないなら弁護人らを銃で処刑する、という内容だ。

 母親と幼い子供の命が奪われた痛ましい事件であり、遺族の心情は察するに余りある。被告に対する憎しみをあおる報道が一部メディアにあふれ、一、二審判決が無期懲役だったことと相まって関心を集めた。

 最高裁が広島高裁に差し戻し、現在は同高裁で審理中だが、上告審、やり直し控訴審における弁護人の行動、弁護方針が多くの人に違和感を抱かせたことも事実だ。

 しかし、刑の量定も、弁護人の主張に対する法的判断も裁判官のみができる。裁判と無関係な人間が特定の行動や司法判断を関係者に強要することは許されない。

 憲法三七条は「刑事被告人はいかなる場合にも資格を有する弁護人を依頼することができる」と定めている。弁護人の役割は被告に適正な裁判を受けさせ、罪を犯した被告であっても刑罰の適正を確保してその人権を守ることである。

 人類が英知を積み重ねて完成した刑事裁判は、凶悪な事件を起こした被告にも守られるべき人権はあるとの前提で成り立っている。

 役割を忠実に果たしている弁護活動が、被害者感情を害し、社会的批判を受けることもある。そのような場合でも敢然と職責を全うすることが弁護士には求められる。

 国連の「弁護士の役割に関する基本原則」は各国政府に弁護士の安全を保障するよう求めている。

 「政府は、弁護士が脅迫、妨害、困惑あるいは不当な干渉を受けることなく、その専門的職務をすべて果たしうること…を保障する」「弁護士が、その職務を果たしたことにより、安全が脅かされる時には、当局により十分に保護される」-という第一六条の規定である。

 捜査当局は速やかに捜査し、手紙を送った人物に法の裁きを受けさせなければならない。さもなければ弁護活動が委縮し、刑事裁判が形骸(けいがい)化しかねない。

 脅迫は元少年の弁護人たちが死刑廃止論者であることも関係していそうだが死刑廃止の是非は冷静な環境で考えるべき問題だ。特定の事件をもとに感情的に語るのは避けたい。」



裁判自体は、裁判外の報道と異なり冷静に行われています。

 「2007/07/26-21:29 元少年の供述変遷、解明へ=光市母子殺害、差し戻し審-広島高裁

 1999年4月に起きた山口県光市の母子殺害事件で、殺人などの罪に問われ、最高裁が一、二審の無期懲役判決を破棄した当時18歳少年の被告(26)の差し戻し控訴審第7回公判が26日、広島高裁であり、楢崎康英裁判長は、被告の供述の変遷を把握するため、これまで明らかでなかった逮捕時からの全供述調書を証拠採用した。
 第8~10回公判は9月18日から3日連続で開かれ、情状面などの被告人質問のほか、検察側が申請した法医学者の証人尋問が実施される。
 この日の証人尋問で、野田正彰・関西学院大教授(精神病理学)は「父親の虐待や実母の自殺で被告の精神発達は未成熟」と指摘。18歳と同等の刑事責任を問うことは困難だと証言した。
 また、拘置所で面会した被告が「ぼくは死刑になっても仕方ない。来世に行って先に(本村洋さんの妻の)弥生さんの夫になる可能性があるが、そうなると洋さんに大変申し訳ない」などと話したことも明かした。」(時事ドットコム(2007/07/26-21:29)


「最高裁の認定事実に疑問を呈する法医学者らの鑑定書3通なども証拠として認めた」(BIGLOBEニュース2007年07月26日 16時10分)ようです。

被告人の供述は、差し戻し審になるまでほとんど明らかになっていなかったのですが、これまで明らかでなかった逮捕時からの全供述調書を証拠採用することになったようです。「我田引水で身勝手な主張」だとか言って、証拠採用しないなどといった対応はしていないのです。


東京新聞平成19年7月28日付「社説」は、「刑の量定も、弁護人の主張に対する法的判断も裁判官のみができる」といった裁判制度の仕組みを説いています。言い換えると、弁護士の訴訟活動上、必要であれば、他人の名誉を毀損するような事実を主張することがあるのですが、それは正当な業務行為として違法性が阻却されるというのが通説判例なのです(東京高裁平成9年12月17日判決、判例タイムズ1004号179頁など参照)。名誉に関する主張は、裁判所の裁判によって判断され、これによって損なわれた名誉を回復することができる仕組みになっているからです。

東京新聞7月28日付「社説」は、憲法37条を示して刑事弁護の意義も説いています。すなわち、刑事弁護人は、憲法37条3項(弁護人依頼権)に基づき、その被告人のために存在するのですから、被告人の主張を裏付けるように弁護することが、憲法上要求されているのです。弁護人は、被告人の利益・権利のために誠実に、献身的に最善を尽くさなくてはならないのです(誠実義務)。
もし、被告人のために献身的に最善を尽くすことを優先せずに、被害者感情や世論に配慮して弁護することを優先するのであれば、誠実義務に違反し、憲法37条違反になってしまうのです。

このように東京新聞の社説は、裁判制度の仕組みや、刑事弁護の意義を説いて、「被告に対する憎しみをあおる報道」を行った一部メディアのあり方をたしなめ、市民に対して冷静になるよう求めたのです。


この記事ではあえて触れていないと思いますが、市民がこの裁判に対して冷静さを欠くようになった原因の1つとして、被害者遺族である本村氏の発言にあると思います。

 「本村氏憤り「聞くに堪えない3日間」

 山口県光市・母子殺害事件の差し戻し控訴審は28日、広島高裁で集中審理を終えた遺族本村洋さん(31)が広島市内で記者会見。殺人罪などに問われた元少年(26)について「聞くに堪えない3日間だった」と憤りをあらわにした。

 本村さんは28日の公判で、退廷する元少年と事件後初めて目が合ったといい「鋭い目でにらみつけられた」と話し「この人間を社会に返してはいけない。裁けない司法ならばいらない」と強調。証言については「人を殺した理由に母親の自殺までも使っている。ここまで落ちたかと思った」と語った。 [スポーツニッポン2007年06月29日付 紙面記事 ]


本村氏は、「裁けない司法ならばいらない」とまで言っているのですが、これでは被害者の意向に従うのが裁判制度であると言っているのと同じであり、刑事弁護の意義を無視し、証拠に基づいて判断するという裁判を私刑集会と勘違いしているかのようです。裁判に対して無理解なのか、冷静さを失っているのか分かりませんが。

刑事弁護人として、憲法上、求められる義務・任務を行っているだけであるのに、「被告を死刑にできないなら弁護人らを銃で処刑する」といった脅迫をすることまでする者まで現れるのはあまりにも異常です。被告人を死刑と判断するか否かの判決は裁判官のみができ、弁護人は関与できないのにも関わらず、「被告を死刑にできないなら弁護人らを銃で処刑する」という内容なのですから、脅迫した者は裁判制度を全く理解していないことが明白です。


いつからこんなにも、冷静さを欠くような市民が増えてしまったのでしょうか。被害者(遺族)が冷静さを欠いた発言をしようと、煽るような報道があろうとも、市民はもっと理性的な態度であるべきなのです。

これも日本社会の現状の一端であるのだと思います。報道機関が、光市母子殺害事件の弁護団への非難を諌めること自体難しいほど、冷静さを欠いた市民が増えているのです(東京新聞の“勇気”を評価したいと思います)。では、次に「投票日を前に ニッポンのゆくえ」と題する記事を紹介します。




2.朝日新聞平成19年7月26~28日付「投票日を前に ニッポンのゆくえ」

(1) 朝日新聞平成19年7月26日付朝刊39面「投票日を前に ニッポンのゆくえ(上)」

 「競わされ きしむ職場

 千葉県にある電子部品メーカーの工場で、作業員10人が黙々とゲーム機の基板を組み上げる。ノルマは1人で600個だ。

 派遣社員の女性(32)は、やはり派遣でペアを組む同い年の同僚が作った基板を検品しながら、心の中で舌打ちした。

 「またやられた」

 600個のうち半分程度が作動せず、組み直しが必要だった。この同僚は「仕事が速い」と評価されていた。でも、ミスを承知で急いでいるとしか思えない。

 同僚が正社員への切り替えを切望しているのは知っていた。修理を押しつけられ悔しかったが、何も言わなかった。

 「他人の足はひっぱりたくないけど、私も気を抜くわけにはいかない」

 子育てが落ち着いて再就職をめざしたが、10社以上に断られた。この職場でも頑張れば昇格がないわけではない。一方で仕事が遅くて退職に至った人も見てきた。

 たとえ正社員になっても、仕事ぶりは厳しい。

 00年ごろから、年功より業績を重視して評価する成果主義が多くの企業に広がった。結果的に人件費の総額を減らすケースも多い。

 金子勝・慶大教授は「成果主義は体のいい賃下げになった。同僚がライバルになり『おれが、私が』と虚勢を張って、小さくなったパイを奪い合っている」と指摘する。

 朝日新聞の無料会員サービス「アスパラクラブ」の会員にインターネットでアンケートしたところ、「数字をごまかして自分の成績をよく見せようとする同僚がいる」(埼玉県の食品会社の男性)、「要領よく目立つ社員が高評価を受けていると思えてならない」(広島県のシステム会社の男性)といった声が少なくなかった。

 働く場のあちこちに、ギスギスした空気が広がっているのだろうか。

   ◇

 政府の経済戦略会議は99年、日本社会を「健全で創造的な競争社会」に再構築するべきだと答申した。バブル崩壊後、国際競争力の立て直しが求められていた。政府は商法改正をはじめ、様々な規制緩和に乗り出す。公が担ってきた分野への民間参入も進んだ。

 だが――。

 「人の心はお金で買える」。堀江貴文・ライブドア前社長は自署にそう書いた。村上ファンド代表だった村上世彰氏は逮捕直前の会見で「金もうけ、悪いことですか」と言い放った。

 両者とも証券取引法違反の罪で起訴され、1審で有罪となった。

 経済アナリストの森永卓郎氏は「表向きは『公正なルールを守って競争しよう』としつつ、実際は『ばれなきゃ何やったっていい』と考える経営者が少なくなかった」。

 介護報酬の不正請求が明るみに出たコムスンでは、「顧客を増やし、業界1番に」と、現場の社員にノルマを課して追い立てていた。

 大競争時代に「暴走」を始めたのは企業だけではない。進学実績にこだわるあまりの必修科目「履修漏れ」が全国の高校で発覚。関西の複数の私立高校では、できる生徒に多数の学部・学科を受験させ「実績」とし、謝礼を払った例もあった。

   ◇

 民主党の小沢代表は、選挙戦初日から「今の政治はセーフティーネットを作らず、自由競争万能に陥り、格差問題が起きている」と連呼。国民新党の綿貫代表も「日本は共生より競争という乱暴な政治に変わった」。

 安倍首相は「もっと豊かな日本をつくる。民主党は経済成長について語ったことがあるでしょうか」と応酬。「再チャレンジ」政策と銘打って雇用促進も強調している。

 同僚のミスに悩まされていた派遣社員の女性は、論戦を聞きながら思う。「働きたいのに競争の表舞台に立てない。派遣だと、やっぱり肩身が狭いですよ」

   ◇

 参院選投票日まであと3日。元気は出てきたものの、どこか息苦しさもある日本、一体どの方向へ向かうのか。」



成果主義がもたらした賃下げ、正社員と非正社員の賃金を含めた労働条件の格差などが影響して、「職く場のあちこちに、ギスギスした空気」が広がっています。こういった職場が増える状態では、一般社会においてもギスギスした空気が広がるのも無理はありません。

規制緩和は良い面もあったのですが、「人の心はお金で買える」と言う者さえ登場し、「ばれなきゃ何やったっていい」と考える経営者が少なくなかったのです。規制緩和により格差が広がり、「ばれなきゃ」いいと思うようでは、遵法精神やモラルの尊重を如何に叫ぼうとも効果はありません。

地方では特に格差問題が深刻であるという調査(asahi.com(2007年07月27日)「地方格差「深刻」62% 「民主に投票」顕著 情勢調査」)がでている通り、格差問題への対策が迫られているのですが、自民党は本気で対応する気がないのです。小泉前首相は次のように演説していることから明らかです。

「26日の青森市の応援演説では『能力のある人の足を引っ張っても、自分に能力がつくわけじゃない。商売のうまい人をねたんでも、自分の利益が上がるわけじゃない』。『金持ちを貧乏にしても貧乏人は金持ちにはならない』と社会主義的政策を批判したサッチャー元英首相ばりの理屈だ。」(朝日新聞7月28日付朝刊11面)


この小泉氏の発言からすれば、ギスギスした社会は少しも解消されず、むしろ助長するかのようです。



(2) 朝日新聞平成19年7月27日付朝刊38面「投票日を前に ニッポンのゆくえ(中)」

 「身近な犯罪 見ないふり

 私鉄で東京都心に通勤する神奈川県の会社員の男性(38)は、6月から以前より2本早い電車に乗っている。

 5月末の朝、社内で女性と若い男の争う声が聞こえた。隣にいた中年男性が「なにするんだ」と割って入った。「うっせえ」。若い男が叫び、その顔を殴った。

 次の駅で男が降り、女性の姿も見えなくなった。降りるまで30分間、殴られた中年男性はゆがんだ眼鏡を気にしながら舌打ちを繰り返した。

 自分は立ちすくむだけだった。また同じ電車に乗り合わせたら、彼に合わせる顔がない。そのせいか早く目が覚める。

 でも、相手が突然刃物を振り回したら、誰が助けてくれるというのか。

 2月に内閣府が発表した世論調査では、「日本の治安がこの10年で悪くなった」と感じる人が8割を超えた。そのうち半数が「地域社会の連帯意識が希薄になった」を理由(複数回答)に挙げた。犯罪を見た場合などに通報するかとの質問に「しない」「条件や場面によっては通報する」と答えた人に、通報しない理由も聞いており、「犯人の報復が怖いから」が33.6%で、前回から10ポイントも増えていた。

 4月にはJR特急「サンダーバード」の車内で強姦(ごうかん)事件が起きていたことが発覚した。乗客40人が居合わせながら、何も手出しできなかった。

 万一のときだれも助けてくれない。悪くすると見てさえいない。そんな不安がじわり広がる。

   ◇

 都内屈指の高級住宅街・成城のある世田谷区西部では、民家の軒先や駐車場の隅から、計500台近い防犯カメラが目を光らせる。地域では00年末に起きた一家4人殺害事件が未解決で、住民の不安は根強い。カメラの設置・管理は住民主体で行っている。防犯カメラ設置の動きは、隣の杉並区にも広がった。

 カメラがついてから、世田谷区西部でも杉並でも犯罪件数が減った。杉並区の03年調査では、カメラの犯罪抑止効果を、回答者の95%が認めた。

 まちなかだけではない。7月から走り始めた東海道・山陽新幹線の新型車両「N700系」には、1編成に60台の防犯カメラがついた。子どもの現在位置を把握できる携帯電話や、指紋認証などのシステムがついたマンションも売れる。

 「治安が悪化したと感じるので、プライバシーとか不愉快とかは言っていられない」(兵庫県の50代の女性。「アスパラクラブ」会員アンケートから)

   ◇

 確かに「機械の目」は事件の解決には役立つ。川崎市の児童投げ落とし殺害事件(06年)や長崎市の男児誘拐殺人事件(03年)がそうだった。

 しかし、思わぬ副作用も生む。昨年10月に起きた当て逃げ事故で、車載カメラの映像がネットにさらされた。車のナンバーから割り出された勤務先には、「犯人を出せ」などと電話が殺到。取引先にまで被害が出た。

 中村攻(おさむ)・千葉大教授(地域計画学)は「昼間おとなが当たり前にいる地域社会、お年寄りが気軽に外出でき、商店街や町工場が元気な街をつくれば、見守るまなざしが犯罪を遠ざける」と提案する。

 民主党はマニフェストで、個人情報保護の観点から防犯カメラの設置・運用などについて「法制定を含めた検討」を掲げる。自民党は「防犯ボランティア活動の促進などで地域の犯罪抑止力を強化する」とうたう。

 安心を脅かすものは、ほかにもある。新潟県中越沖地震が起き、候補者たちは原発の安全対策や防災の訴えにも力を入れ始めた。偽装ミンチなど「食の安全」を揺るがす出来事も相次ぐ。不安の時代にどう向き合うか。

 参院選の投票日まであと2日。」


JR特急「サンダーバード」の車内で強姦(ごうかん)事件が起きていたことについては、「特急車内強姦「見て見ぬふりを決め込むな」~毎日新聞4月24日付「社説」より」で紹介したことがあります。
そこでは、

「何もしなければ、見て見ぬふりや知らんぷりだったりすると犯罪は見逃され、何も変わりません。これくらいで怯えていたら、暴力団の封じ込めだっておよそ不可能です。暴力がはびこる世界を許容するか、阻止するか。腹を決める必要があるのです。」

と述べ、見て見ぬ振りをするべきではないと主張しました。

しかし、JR特急「サンダーバード」での事件では、乗客40人が居合わせながら、何も手出しできなかったのですから、これが当然のようになると、「万一のときだれも助けてくれない。悪くすると見てさえいない。そんな不安がじわり広がる」ことになります。これでは、多数の人の中にいながら、事実上、一人ひとり孤独な状態でいることになり、不安感もより増幅されてしまうのです。

誰も頼ることができないとなると、多数の防犯カメラを設置することにつながり、都内屈指の高級住宅街・成城のある世田谷区西部では、「計500台近い防犯カメラ」が設置され、7月から走り始めた東海道・山陽新幹線の新型車両「N700系」には、「1編成に60台の防犯カメラがついた」のです。

しかし、防犯カメラは抑止につながる効果はあるとしても、実際に犯罪に遭っている人を止めてくれるわけではないのです。



(3) 朝日新聞平成19年7月28日付朝刊38面「投票日を前に ニッポンのゆくえ(下)」

冷静さ失い 非難の応酬

 「クラッシュというのか、人を押しつぶして粉々にするような攻撃だ」

 春山九州男(くすお)弁護士(62)はため息をついた。

 福岡県で昨夏、RV車が追突されて海に落ち、幼児3人が水死した事故で公判中の被告(23)の弁護人。インターネット上に被告と弁護人を非難するホームページや掲示板ができ、「死刑を」「弁護団がふざけた反論」など、生の感情があふれるのを目の当たりにしている。

 裁判では、飲酒で正常な運転が困難だったとして危険運転致死傷罪(最高刑懲役20年)が成立するか、脇見運転が原因として業務上過失致傷罪(同5年)かが焦点。だが、検察側の構図を争うこと自体を非難する記事や、被告を断罪する調子の番組もあった。

 一方、今回の事故を巡っては、遺族もネット上でいわれなき中傷に苦しめられている。こうした空気に遺族側代理人の羽田野節夫弁護士(59)も、「司法の判断は客観的証拠に基づく冷厳なもののはずだ」と困惑気味だ。「それより被告が積極的な救助活動をしたら助かったかもしれないと訴えたい。救助すれば大幅に減刑する法改正を求める議論を起こす方向が生産的だと思う」

   ◇

 インフルエンザ治療薬・タミフル服用後に子どもを亡くした遺族も攻撃を受けた。「親の責任は」「受験生がいるのにタミフルが使えなくなったらどうする」。今年2、3月、「薬害タミフル脳症被害者の会」のホームページに匿名の批判の投稿が相次いだ。1日に届く約100通のうち2割前後を占めた。

 会の代表で2年前に長男(当時14)を亡くした秦野竜子さん(47)はいう。「声を上げた人ほど批判を受け、世の中からはじかれる時代。初めから批判を受けとめた上でなお議論していく覚悟がないと事は起こせない」

 何かのきっかけで集中豪雨のような非難や批判が殺到する。問答無用で切って捨てる言葉があふれる。解決につながる冷静な議論がしにくい。そんな例が時々起きる。

 こうしたバッシングはなぜ起きるのか。朝日新聞の無料会員サービス「アスパラクラブ」会員にネットでアンケートしたところ、「すべての問題を敵味方で分けて単純化し、相手の意見は聞かないという『想像力低下』のため」(東京都・20代男性)などの答えが寄せられた。佐藤俊樹・東大准教授(社会学)は「しがらみのないネットの匿名社会で、好き嫌いの形で主張することで『自分は正しい』と思える。そんな自己肯定感を求める人が増えたことが背景にある」とみる。

 ◇

 参院選の論戦はどうか。「(民主党は)金太郎アメ。どこをかじっても小沢と管と鳩山の顔が出てくる」(森喜朗・元首相)、「安倍首相くらいお粗末な総理大臣は初めて。言葉の重みがない」(渡辺恒三・民主党最高顧問)。非難合戦はエスカレート気味だ。

 「アスパラ」アンケートで、大阪府の50代の男性は「選挙中は、相手の政党の弱点ばかり探している。今の政治に辟易(へきえき)している」と答えた。

 一方で、与野党の間で年金制度をめぐり、数字を挙げての具体的な論争も繰り広げられた。公示前から候補者の公開討論会は盛況だったが、各種世論調査でも有権者の選挙への関心は高い。

 首都圏のある陣営によると、街頭で年金政策の要点を記した冊子を配ると、次々と受け取ってもらえたという。だが、政策を網羅したマニフェスト(政権公約)は人気がなく、余り気味だった。年金問題が過熱する一方、政策をじっくり読み比べて選ぶ「マニフェスト型選挙」の達成度はどうだったか。

 投票日まであと1日。選ばれる新しい議員たちは、風通しのよい議論をどう進めてゆくのか。」



「弁護士に対する懲戒請求と不法行為の成否~“母子殺害で懲戒請求数百件”との報道を聞いて」のコメント欄において、福岡県で昨夏、RV車が追突されて海に落ち、幼児3人が水死した事故に関して、弁護人が非難されてるというコメントを頂きましたが、これも裁判制度、刑事弁護に対する理解が欠けている事件の1つといえます。

「何かのきっかけで集中豪雨のような非難や批判が殺到する。問答無用で切って捨てる言葉があふれる。解決につながる冷静な議論がしにくい。そんな例が時々起きる。

 こうしたバッシングはなぜ起きるのか。朝日新聞の無料会員サービス「アスパラクラブ」会員にネットでアンケートしたところ、「すべての問題を敵味方で分けて単純化し、相手の意見は聞かないという『想像力低下』のため」(東京都・20代男性)などの答えが寄せられた。佐藤俊樹・東大准教授(社会学)は「しがらみのないネットの匿名社会で、好き嫌いの形で主張することで『自分は正しい』と思える。そんな自己肯定感を求める人が増えたことが背景にある」とみる。」


冷静な議論ができず、バッシングがおきる理由として、「相手の意見は聞かないという『想像力低下』のため」とか、「しがらみのないネットの匿名社会で、好き嫌いの形で主張することで『自分は正しい』と思える」といったことが挙げられるようです。

どういう理由であろうと、ネットに限らずギスギスした空気が広がる日本社会では、解決につながる冷静な議論は難しいと思います。参議院選挙において、有権者はどれほど冷静に各党の公約を判断し、安倍政権を信任できるのかどうか判断したでしょうか? 

「7月12日、参議院選挙公示~よく覚悟して一票を!」では、今回の参議院選挙の争点を示しています。このエントリーなどを参考にしてよく考えて投票してほしいと思います。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
全政党が嫌いです。
この文とはあまり関係がありませんがこれを見ていただくとありがたいです。
http://3.csx.jp/peachy/data/korea/korea1.html
ちなみにこれを見てから全政党が嫌いになりました。
2007/07/29 Sun 09:57:50
URL | 全政党が嫌いな人 #OzoaWtew[ 編集 ]
>全政党が嫌いな人さん
はじめまして、コメントありがとうございます。


>http://3.csx.jp/peachy/data/korea/korea1.html
>ちなみにこれを見てから全政党が嫌いになりました。

嫌韓国サイトですね。どの辺で嫌いになるのかというとこの当たりの記述でしょうか。

「民主党は“全て中国の言う通り”がモットー。
公明党は創価学会とともに日本を朝鮮のものにしようとしてる。
創価学会は日本の大手メディアを間接支配していて、社民党は朝鮮総連とともに拉致の存在を否定し、被害者の活動を妨害した。
共産党は北朝鮮に関して社民党と同じ。それに加えて反自衛隊・反米である。
朝鮮総連と民潭は日本を解体して朝鮮にしようと参政権を狙っているし、統一協会は売国政党の社民党を支援している。
朝日新聞などは中国と朝鮮の代弁者、つまり日本最大手の売国新聞だし、日教組は基本理念のレベルから反資本主義・反体制であり、残る自民党にも中国の顔色ばかり窺っている者が潜んでいるのである。」

まぁ、ちょっとどうかな~と感じがします。韓国との関係で問題視するなら、安倍首相安が(当時、官房長官)がカルト集団である統一協会の関連団体が開いた集会に祝電を寄せたことが、一番問題ではないでしょうか? 安倍氏は日本の首相として最も相応しくないのです。

選挙は誰かどこかの政党を選ぶことが求められますので、全政党が嫌でも選ぶ必要があります。どうしても嫌なら自分が立候補するしかありません。
2007/07/29 Sun 20:18:03
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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1981年9月にフランスで死刑が(法律上で)廃止されたときのフランス下院でのロベール・バダンテール Robert Badinter 法務大臣(当時)の死刑廃止演説の日本語訳を私が作ったのが2006年秋のことでした。この演説はフランスの歴史
2007/07/30(月) 00:14:38 | 村野瀬玲奈の秘書課広報室
だらだらと雑文を書き綴ってきたが,そろそろ本題に入ろう.私は現在2つ住まい(部屋)を持っている.都下三多摩地域の中核都市に一つ,もう一つは埼玉県北の小都市だ.前者はある企業の仮眠施設(現在仕事は切れた状態),後者は私の事務所兼住居で,言ってみれば「東京に
2007/08/02(木) 02:47:09 | エクソダス2005《脱米救国》国民運動
もう書くこともあまり残っていないのだが,選挙投票日前日三多摩から北関東までの自転車ツーリングの印象を書き止めておきたい.自転車で帰ることだけは決めていたが,時期は未定だった.当初は告示日を過ぎたら直ぐにでも帰るつもりでいたが延び延びになって,気が付くと何
2007/08/06(月) 15:47:59 | エクソダス2005《脱米救国》国民運動
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