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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/06/16 [Sat] 05:31:02 » E d i t
集団的自衛権の行使について、憲法解釈見直しを含め検討する安倍首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が5月18日、6月11日と会合を開いています。そこで、今回から何回かに渡って、集団的自衛権の問題について触れていきたいと思います。

集団的自衛権を巡る問題は、憲法問題であると同時に、国際法規や軍事的な専門性がからむだけに議論は複雑です。このブログでは、憲法問題を中心に論じることになりますが、集団的自衛権の問題が憲法問題であり、政府見解を変更するしないに関わらず憲法解釈を行う以上、憲法解釈を行うだけの法的知識・法的思考力が必要です。

次に引用する東京新聞の記事は、柳井俊二・有識者懇座長と、阪田雅裕・前内閣法制局長官へのインタビュー記事ですが、座長と内閣法制局長官の法的知識・思考力がよく分かる内容です。この記事を紹介して検討を加えたいと思います。


1.東京新聞平成19年6月12日付朝刊3面「核心」

 「集団的自衛権 憲法解釈どうする

 集団的自衛権行使の事例研究を進める「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(有識者懇)は11日、安倍晋三首相が示した4類型について具体的検討を始めた。保持はしているが、行使はできないとされてきた集団的自衛権の憲法解釈の見直しが焦点となる今後の議論の方向性と課題を聞いた。 (政治部・本田英寛、中山高志、大杉はるか)


◆答弁で変更余地認める

 ――なぜ集団的自衛権の議論が必要なのか。

 「冷戦が終わり、テロや地域紛争、核・大量破壊兵器の拡散、北朝鮮情勢など安全保障環境が大きく変わった。日米同盟を円滑に機能させ、国連平和維持活動(PKO)など国際平和活動の参加も強化しなければならないが、障害がある」

 ――障害とは。

 「個別的自衛権しか行使できないという障害がある。今の憲法解釈は個別的自衛権を越えるものはすべて認めない」

 ――米国に向かうミサイルを撃墜しないと日米同盟が危うくなるのか。

 「そうだ。日本の安全保障にとって日米同盟は不可欠だ。同盟国として、米国が困ったら助けることも最低限必要だ」

 ――60年間積み上げた憲法解釈を変更できるのか。

 「前提となる国際関係が根本的に変わった。今までの憲法解釈は法律になってないし、国会の承認で決まっているものでもない。結局、行政府がそう解釈して国会答弁したのが今の解釈だ。だから同じ手続きで変えることができるはずだ。以上は私個人の考えである」

 ――国会で答弁すれば変更できるのか。

 「個人的にはそう思う。憲法に集団的自衛権を行使してはいけない、国連の集団安全保障に参加できないと明文で書いてあるなら別だが、そうではない。解釈の余地がある」

 ――有識者懇談会は集団的自衛権の憲法解釈変更まで踏み込むのか。

 「個別的自衛権で対応できるのか、集団的自衛権でないと説明がつかないのか、国連の安全保障措置なのか、別の法理があるのか。これから問題点を洗い出す」

 ――解釈変更するなら、改憲すべきとの意見がある。

 「(4類型は)解釈の余地が相当あると思う。改憲には何年かかるか分からない。その間、国際環境は待っていない。できることはやらないといけない。どこまでやれて、どういう歯止めをかけるか。これからの議論に期待されるところだ。

==============
 柳井俊二・有識者懇座長

 やない・しゅんじ 東大法卒。1961年、外務省に入省。条約局長、事務次官を経て99年、駐米大使に就任。2005年から国際海洋法裁判所判事。1937年生まれ。
==============


◆法治国家 改憲が必要

 ――集団的自衛権の行使はなぜ違憲なのか。

 「日本は外国からの武力攻撃を排除するため、必要最小限度の武力行使しか認められない。日本への武力攻撃がないのに、日本が武力行使をするのは憲法9条あるいは憲法全体をどう読んでも出てこない」

 ――集団的自衛権という権利はあるが、行使できない政府解釈が分かりにくいとの批判がある。

 「法律のイロハを知らない人の議論だ。国際法は国家にあらゆる権利を認めている。国際法上、権利があるというなら戦力を持つこともできる。国民の意思で国家の権利の行使を制限しているのが9条だ」

 ――憲法解釈を一内閣が変更できるのか。

 「憲法解釈が変わっていけないことはないが、日本は法治国家だ。論理的な解釈を超えて変えるのは無理だ。戦後60年間、国会で積み重ねた議論を無視できない」

 ――解釈変更でなく憲法を改正すべきか。

 「改正手続き法もできた。国民の憲法に対する信頼を維持するためにも、改正という手順を踏むのが王道だ。集団的自衛権を行使できないのが不都合で、日米同盟に差し障りがあるとすれば、憲法を改正すればいい」

 ――憲法問題ではなく首相が決める政策判断だという意見もある。

 「憲法解釈は政策ではない。規定をどう読むかは政策論ではない」

 ――首相は米国に向かうミサイルを撃墜しないと日米同盟の信頼をなくすと主張している。

 「現在、技術的に不可能な問題で、実益があるとは思えない。技術的に可能となっても、現行の9条の下では難しい問題ではないか」

 ――有識者懇のメンバーの人選は。

 「憲法解釈の問題だとすれば、憲法学者などがもう少しいてもよいのではないか」

 ――憲法改正ではなく個別法で認められるのか。

 「集団的自衛権の行使や多国籍軍への参加は、(憲法改正でないと)難しい。違憲の法律は無効だ」

==============
 阪田雅裕・前内閣法制局長官

 さかた・まさひろ 東大法卒。1966年、大蔵省に入省。官房審議官、内閣法制次長などを経て2004年、内閣法制局長官。06年に退官し現在は弁護士。1943年生まれ。
==============


◆安倍首相が検討を指示した4類型

 <1>公海上で自衛艦の近くにいる米艦船が攻撃された場合、自衛艦の対処<2>米国に向かうかもしれない弾道ミサイル迎撃の可否<3>同じPKO活動に従事する他国の部隊が攻撃を受けた場合、自衛隊員が救援に駆けつけ、武器を使用できるのか<4>同じPKOなどの活動に参加する他国への「後方支援」のあり方―の4点。」



(1) まずは、柳井俊二・有識者懇座長の発言ですが、驚かされます。

「 ――60年間積み上げた憲法解釈を変更できるのか。

 「前提となる国際関係が根本的に変わった。今までの憲法解釈は法律になってないし、国会の承認で決まっているものでもない。結局、行政府がそう解釈して国会答弁したのが今の解釈だ。だから同じ手続きで変えることができるはずだ。以上は私個人の考えである」

 ――国会で答弁すれば変更できるのか。

 「個人的にはそう思う。憲法に集団的自衛権を行使してはいけない、国連の集団安全保障に参加できないと明文で書いてあるなら別だが、そうではない。解釈の余地がある」」


憲法解釈は文意、制定趣旨、議論の積み重ねなどを踏まえて論理的に確定するものですから、「今までの憲法解釈は法律になってない」からといって、自由に憲法解釈を変更できるわけではありません。条文ごとに多くの憲法解釈がなされていますが、憲法解釈すべて法律で規定しているわけでもなく、いちいち法律で規定することは不可能です。

また、「国会の承認で決まっているものでもない」という発言もまた問題です。憲法解釈は論理的に決定するのであって、国会の承認の有無は無関係ですから、「国会の承認で決まっているものでもない」からといって、憲法解釈を変更できるわけではないのです。

憲法解釈は、論理で決まるのであって国会答弁で決まるわけではないことは当然のことなのですが、柳井俊二・有識者懇座長は「国会で答弁すれば変更できる」と述べています。国会答弁で憲法解釈が決まるのならば、憲法の条文の文言はなきに等しく、憲法典の存在自体無意味であるばかりか、法解釈論を否定するに等しい言動です。

このように発言を検討すると、柳井俊二・有識者懇座長は「法律のイロハ」を知らない人物であることが明白であると思います。このような人物が座長なのですから、有識者懇談会は、集団的自衛権を議論できるだけの法的知識・法的思考力をもち合わせていないといえそうです。


(2) 次に、阪田雅裕・前内閣法制局長官の発言を見てみます。

「――集団的自衛権という権利はあるが、行使できない政府解釈が分かりにくいとの批判がある。

 「法律のイロハを知らない人の議論だ。国際法は国家にあらゆる権利を認めている。国際法上、権利があるというなら戦力を持つこともできる。国民の意思で国家の権利の行使を制限しているのが9条だ」」


「法律のイロハを知らない人の議論だ」と、かなり辛辣に切り捨てています。国際法と憲法とは別法規である以上、国際法上認められている「集団的自衛権」を、憲法が制限することは当然あり得る議論です。「政府解釈が分かりにくいとの批判」は、批判になっていないといえるでしょう。


「 ――憲法問題ではなく首相が決める政策判断だという意見もある。

 「憲法解釈は政策ではない。規定をどう読むかは政策論ではない」」


一体、どこの誰が、集団的自衛権の問題を「首相が決める政策判断」と言っているのでしょうか? 憲法解釈は論理で決めるものであって、政策論ではありません。日本国は、法の支配があり、法治国家である以上、論理をまげて自由に憲法解釈を変更できないのです。
大体、憲法は公権力を制限する法規範なのですから、首相も憲法の縛りを受ける立場であって、首相が自由に憲法解釈を変更できるわけがないのです。


「 ――有識者懇のメンバーの人選は。

 「憲法解釈の問題だとすれば、憲法学者などがもう少しいてもよいのではないか」」


有識者懇では、憲法学者といえば西修・駒澤大学教授ぐらいで、しかも実績からしても憲法学上全く影響力のない人物です。靖国神社への首相の公式参拝を巡る議論の際にも、懇談会が設けられましたが、その懇談会には有力な憲法学者(芦部、佐藤功)が存在しましたのとは大違いです。
真っ当な憲法学者なしでは、60年に間に渡って積み上げ確定した、集団的自衛権を巡る議論の政府見解の変更を正当化することは極めて困難です。安倍首相の憲法感覚のなさが現れているメンバーです。


このように、阪田雅裕・前内閣法制局長官は、かなり強い調子で集団的自衛権を巡る政府見解の変更を拒絶する発言をしています。なぜ、ここまで発言できるのか疑問に思う方もいるかもしれません。一官僚にすぎないはずなのに、なぜ首相の意に反するのかと。そこで、次に朝日新聞の解説を引用して、この点を説明したいと思います。




2.朝日新聞平成19年6月12日付朝刊2面「ニュースがわからん!」(紙面では図解があるが省略)

 「「内閣法制局」って何じゃ? 政府の憲法解釈 事実上担う 

 ホー先生 集団的自衛権の論議は、政府の憲法解釈と密接に関係するが、解釈を事実上しているのが内閣法制局だな。

  そうだ。政府の「法の番人」と呼ばれ、法律面の助言などで内閣を直接補佐している。トップは内閣法制局長官で、閣議にも出るんだ。

 内閣法制局の主な仕事は各省庁が立案した法案、政令案、条約案などを審査する「審査事務」と、憲法や法令の解釈について政府の統一見解を示す「意見事務」の2つ。憲法解釈にかかわる重要な首相答弁や政府統一見解などは内閣法制局がつくるんだ。

  戦争放棄と戦力の不保持を定めた憲法9条の解釈が特に重要だった。

  そうなんだ。かつて野党第1党だった社会党(現社民党)が自衛隊を憲法違反と主張していたからね。

  憲法判断は裁判所の仕事じゃないのか?

  裁判所には、具体的な事件の訴訟で法律や行政行為が憲法に違反するかどうかを判断する「違憲立法審査権」がある。ところが、(旧)日米安全保障条約の合憲性が争われた「砂川事件」の最高裁判決(1959年)は、国防などの高度の政治性をもつ国家の基本政策について、司法審査はなじまないとする「統治行為論」という考え方を示した。

  憲法判断を避けるようになったんだね。

  そう。だから、閣僚らが国会で答弁する憲法解釈が重要な意味をもつようになったんだ。

  集団的自衛権については、国際法上、権利は持つが憲法上行使できないというのが今の政府の解釈だな。集団的自衛権を研究するために安倍首相が設置した有識者懇談会のメンバーは、集団的自衛権の行使を容認する意見を持つ人が大勢を占めると聞く。結論によっては政府が解釈を変えることができるのか?

  内閣の政治判断で解釈変更は可能という意見もある。ただ、憲法は公権力を縛る最高法規だ。歴代法制局長官は「憲法解釈は文意、制定趣旨、議論の積み重ねなどを踏まえて論理的に確定する。これを離れて政府が自由に解釈してよいわけではない」と答弁している。有識者懇談会の結論を首相がどう判断するかが注目されるね。(鯨岡仁)<2007・6・12>」



この解説のなかでは次の点がポイントです。

 憲法判断は裁判所の仕事じゃないのか?

  裁判所には、具体的な事件の訴訟で法律や行政行為が憲法に違反するかどうかを判断する「違憲立法審査権」がある。ところが、(旧)日米安全保障条約の合憲性が争われた「砂川事件」の最高裁判決(1959年)は、国防などの高度の政治性をもつ国家の基本政策について、司法審査はなじまないとする「統治行為論」という考え方を示した。

  憲法判断を避けるようになったんだね。

  そう。だから、閣僚らが国会で答弁する憲法解釈が重要な意味をもつようになったんだ。」


国防などの高度の政治性をもつ国家の基本政策に関わる解釈・判断については、裁判所は判断しないという態度を示しています。そうすると、政治性を有する憲法解釈については、内閣は自ら憲法適合的な行動をする必要があり、内閣法制局が政府の憲法解釈を担っているわけです。首相はもちろん内閣の構成員は政治家ですから、政治家に憲法解釈を直接任せると、政治的要素に左右されるおそれもあるからです。

裁判所が国防などの高度の政治性をもつ国家の基本政策について、司法審査はなじまないとしたのは、裁判所側としては内閣法制局が論理的に妥当な憲法解釈を行ってきており、今後も信頼するに足りる組織として、論理的に妥当な憲法解釈を行うことを期待しているからともいえるかと思います。

内閣法制局が政府の憲法解釈を担っており、裁判所もまたそれを期待していることから、内閣法制局はそのような重責を担っていると分かっているからこそ、内閣法制局長官はかなり強い調子で集団的自衛権を巡る政府見解の変更を拒絶する発言をしているのです。


安倍首相が政府の「法の番人」である内閣法制局の判断を無視し、勝手に政府の憲法解釈を変更することになると、裁判所は従来の判例法理を変更して国家の基本政策に介入することになりかねません。安倍首相は、内閣法制局の存在を軽視し、あまりにも憲法解釈を軽く見ているとしか言いようがありません。安倍首相の憲法感覚が問われています。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

憲法 *  TB: 2  *  CM: 1  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
あっ、憲法のはな
あっ、憲法のはなし!!
2007/06/17 Sun 10:18:37
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2007/06/16(土) 22:18:05 | 晴天とら日和
出来上がった宣伝カーの”流星号”に乗り、都内全域での街宣活動開始! 政府の悪行、市中引き回し街宣! 街宣スケジュルカレンダーをブログに設置しますので、 チラシまきや、一緒にマイクで与党の悪政を訴えてくれる方、そして運転を交代してくれる方、応援よろしくです
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