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2007/06/12 [Tue] 01:31:35 » E d i t
ドイツのエッセンで開かれた移植に関する国際シンポジウムにおいて、6月11日、フロリダ大学の藤田士郎助教授が病腎移植の有効性を報告しました。万波医師も会場入りして出席したそうです。この報道について紹介します。(6月13日追記:産経新聞でも報道していたので追記しました)


1.まず報道記事から。まだ、ほとんど報道記事としてはほとんど出ていませんが、いずれ続報など紹介したいと思います。

(1) TBSニュースi(06月11日23:36)

万波医師の病腎移植、ドイツで発表

 宇和島徳洲会病院の万波 誠医師らが行ない波紋を広げた病気の腎臓を使った移植が、ドイツで開かれている移植シンポジウムで、万波医師も出席のうえ、研究発表されました。

 シンポジウムでは、万波医師らがこれまで行ってきた病気腎臓移植の症例と、その有効性などが発表されています。

 発表を行ったのは、万波医師と交流があるフロリダ大学の藤田士朗助教授ですが、研究に参加した万波医師自身も会場に姿を見せています。

 「(移植の)臓器不足は世界中にあるわけですから、ドイツでどう議論されるか、不安と期待がある」(万波 誠 医師)

 国内では、国の委員会が病腎移植を原則禁止することで大筋合意していますが、海外での発表は、そうした流れに一石を投じるものといえそうです。(11日23:36)」



(2) 東京新聞(2007年6月11日 23時48分)(←現在削除ゆえ、東京新聞(2007年6月12日 00時26分)を参照へ)

 「病気腎移植の論文発表 万波医師ら独シンポで
2007年6月11日 23時48分

 病気腎移植問題で、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らは11日、ドイツのエッセンで開かれた移植に関する国際シンポジウムに出席し、病気腎移植の成果をまとめた論文を発表した。

 万波医師は発表後、共同通信の取材に「日本では全面的に否定されたが、こちらでは好感を持って受け止められたと思う」と話した。

 論文は、万波医師らが実施した病気腎移植の結果を分析、生着率などのデータから「世界的な臓器不足の現状を打開する方策」として、有効性を主張する内容。共著者が発表し、万波医師も同席した。

 万波医師らは5月に米サンフランシスコで開かれた米国移植外科学会で発表予定だったが、同学会側から「時期尚早だ」との連絡があり、発表を断念していた。

(共同)」




2.病気腎移植について、やっと国際的なシンポジウムで発表できたのですから、万波医師らの行ってきた腎移植を正当に評されるためにも、世界的な臓器不足解消の一方法を提示するという世界の医療の進歩のためにも、大変有意義なことです。

(1) 本当なら、米国移植外科学会で発表予定だったのですが、日本移植学会会長による悪質な工作のため、発表断念となったのですが、今回は妨害工作を受けずにすんだようです。

学会とは、医療の進歩に寄与するために存在するはずなのですが、日本移植学会は、発表を妨害し、学問の自由や表現の自由を制約するような行為を行い、日本移植学会は学会の意義を否定する行動をとったのですから、呆れた学会です。

この報道を聞いた日本移植学会の幹部は、妨害工作ができなかったことを悔やんでいるのでしょうが、学会の存在意義とは何かをよく考えて、二度と妨害工作といった恥ずべき行動をとらないと自己反省して頂きたいと思います。


(2) 

「万波医師は発表後、共同通信の取材に「日本では全面的に否定されたが、こちらでは好感を持って受け止められたと思う」と話した。」

万波医師から見た評価ですから、客観的な評価といえない面があることは確かですが、好意的な評価を受けたと感じているようです。

日本で実施された腎不全シンポジウム(徳洲新聞 2007年(平成19年)4月30日 月曜日 No.567 1面より)などでも分かるように、米国政府は2003年より「臓器ドナー現状打破共同作戦」を開始、より高齢者、乳児、C型肝炎やB型肝炎、糖尿病の患者、同性愛者、麻薬中毒者、さらにはがんの既往のあるドナーからの臓器を移植に利用し始めています。
また、イタリアのタイオーリ教授が移植医療専門誌『トランスプランテーション』に発表した論文に基づいた講演によると、「大規模集団での追跡調査を複数行った結果、ドナーからレシピエントへのがんの転移は、非常にまれであることがわかりました。移植を決める際には、がんの存在は問題にすべきではありません」と話しています。

このように、世界では病腎移植を認め、いかにして広げていこうかと実施・模索を行っているのですから、万波医師が好意的な評価を受けたと感じるのも当然のことと思います。


(3) 日本では、なぜか世界的な潮流に反して病腎移植を事実上前面禁止しようとし、臓器不足解消の道を自ら絶ち、日本の腎不全患者を見殺しにしようとしています。

こうなると、今後とも、国際的なシンポジウムなどで病腎移植の有効性について発表して、外圧によって病腎移植を認める方法をとることが賢明であるように思います。外圧でしか物事が動かないことは、日本の昔からの傾向であり、情けないことですが、有効な医療が不当な扱いを受ける以上、有効な手段は使うべきでしょう。




<6月13日追記>

産経新聞6月12日付でも、この話題について掲載していましたので引用しておきます。

 「病腎移植、欧州で発表 万波医師、有効性を主張
6月12日8時0分配信 産経新聞

 病腎移植を行ってきた宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らが11日、ドイツで始まった生体臓器移植の国際シンポジウムに出席し、病腎移植の有効性などに関する論文を発表した。

 万波医師らは、5月に米国で開かれた米移植学会などの合同総会で同じ論文を発表する予定だったが、日本移植学会の中止要請を受け米側が演題採用を直前に見送った経緯がある。今回は論文を発表することを事前に公表していなかったという。

 発表したのはドイツ西部エッセンで11日から2日間の日程で始まった第3回国際生体臓器移植シンポジウム。エッセン大学病院主催で、米国や欧州、アジアなど17カ国の臓器移植医ら61グループが最新の研究成果を発表する。

 万波医師らの演題は「腎移植の最後の手段-生体病腎移植」で、瀬戸内グループと呼ばれる万波医師と弟の廉介医師(60)ら6人が共同執筆。同グループが行った病腎移植42症例の追跡調査結果を紹介し、特にがんの病変を切除した腎臓を移植したケースで再発が1例も認められないことなどをもとに、透析に耐えられない高齢患者などを救う道として有効性を示した内容。

 共同執筆者の藤田士朗・米フロリダ大助教授が英語で発表し、続いて質疑応答を行った。万波医師らは会場で見守った。

 米国での論文発表が中止に追い込まれたことをめぐっては、万波医師の患者らの団体が日本移植学会に「患者を救う役割を放棄している」などと抗議する文書を送付している。

最終更新:6月12日8時0分」(産経新聞(6月12日8時0分配信)



日本移植学会からの中止要請を受けないように「今回は論文を発表することを事前に公表していなかった」そうです。賢明な措置でした。

 「発表したのはドイツ西部エッセンで11日から2日間の日程で始まった第3回国際生体臓器移植シンポジウム。エッセン大学病院主催で、米国や欧州、アジアなど17カ国の臓器移植医ら61グループが最新の研究成果を発表する。」


まだ第3回という歴史の浅いシンポジウムですが、米国や欧州、アジアなど17カ国の臓器移植医ら61グループが最新の研究成果を発表するのですから、まさに国際的な規模であり、大規模なものです。日本の学会で発表しても国際的に注目されることはなく、世界的には日本での発表は無意味ですが、このシンポジウムでの発表は世界的に有意義なものと評価できそうです。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
春霞様
私も今晩のニュースを見ました。夜帰宅した時にこのことを知りましたが、最初に頭に浮かんだのが、学会が妨害工作をしなくてよかったと言うことでした。

>こうなると、今後とも、国際的なシンポジウムなどで病腎移植の有効性について発表して、外圧によって病腎移植を認める方法をとることが賢明であるように思います。外圧でしか物事が動かないことは、日本の昔からの傾向であり、情けないことですが、有効な医療が不当な扱いを受ける以上、有効な手段は使うべきでしょう。

おっしゃるとおりです。5月のアメリカでの発表に大いに期待していただけに、あの時のことが悔しくてなりません。
2007/06/12 Tue 01:45:41
URL | hiroyuki #-[ 編集 ]
良識のもとで
深夜でしたが、目の覚めるような嬉しいニュースでした。
学会の妨害工作など、許されるものではありません。同じ日本人として、恥ずかしい。
良識の知識と意識のもとで、移植医療が我が国で進められることを願ってやみません。(精神が、健全じゃないですね、学会は)。
ご報告ありがとうございます。春霞さま、hiroyukiさまのお働きを感謝します。
2007/06/12 Tue 08:32:31
URL | 梅雨空 #-[ 編集 ]
イタリアのタイオーリらの論文について
はじめまして。
イタリアのタイオーリらの論文について
コメントします。

万波医師らの支援や、病気腎移植の推進のために
イタリアのタイオーリらの論文を取り上げられる
方をよくみかけます。
しかし、この論文
(Taioli E., et al. "A Population-Based Study of
Cancer Incidence in Solid Organ Transplants From
Donors at various Risk of Neoplasia" Transplantaion
2007; 83: 13-16)
を、万波医師らの支援や、病気腎移植推進の推進に
用いることは不適切です。
その不適切な理由は、次の1~5の通りです。


この論文で取り上げられているドナーは全て
死体ドナーです。瀬戸内グループのように、
生体ドナーではありません。
(ちなみに1人のドナーから複数の臓器を摘出して
 移植を行った症例があるため、全移植臓器数は
 108例ですが、ドナーの数は59人です。)


全移植臓器数は108例ですが、これは全て腎移植
ではありません。108例という数字は、
腎臓(1個の腎移植の症例数: 33例+2個の腎移植
の症例数:3例)や、肝臓(症例数:54例)、
心臓(症例数:8例)、肺(1個の肺移植 3例+
2個の肺移植 1例)および、移植後腫瘍のある
臓器を拒否したため再移植をおこなった1例と
移植後初期の段階で亡くなった5例を合計した
ものです。


また、この全108例という症例数は、
(1) 臓器摘出時に悪性腫瘍があったもの 64例
(2) 臓器摘出時に良性腫瘍があったもの 28例
(3) 過去に悪性腫瘍があったが、摘出時には
 治療済みのもの 16例
を合計したものです。


この論文では、腎臓に腫瘍があって腎臓を移植
した症例は、4例(悪性腫瘍:1例、良性腫瘍:3例)
しか記載されておりません。残りの腎移植は、
腎臓以外の臓器に腫瘍(前立腺癌や脳腫瘍など)
があるドナーの腎臓を用いたものです。
 腎臓に腫瘍があって腎臓を移植した症例も、
移植した腎臓そのものに腫瘍があったどうかは、
この論文には記載されていないため、不明です。
二つある腎臓のうち1個だけに腫瘍があり、移植
には腫瘍がないもう1個の腎臓を用いた可能性も
あります。
もちろん、病気腎そのものを用いた可能性もあり
ますが。
 上で述べたとおり、腎臓に腫瘍がある場合に
腎臓を移植臓器として用いた症例はわずかです。
腎臓に腫瘍があるドナーの臓器を移植臓器として
用いる場合には、主に腎臓以外の臓器(肝臓や
心臓、肺)を移植しています。
(ちなみに、この論文では肺や肝臓などほかの臓器
 で腫瘍がある場合、その腫瘍がある臓器そのもの
 を移植した症例については一切記載されていま
 せん)


この論文で取り扱ったようにリスクが高いドナー
からの移植を行う場合、移植前に法律に従って
専門家からの意見を求めるなど、きちんとした
手順でおこなっていると記載されています。


以上からわかるように、この論文で確実に言える
ことは、死体ドナーで腫瘍があっても、移植する
臓器に腫瘍がなければ、移植後レシピエントに
腫瘍ができる可能性はきわめて低いということ
だけです。
瀬戸内グループの行った病気腎移植については、
この論文からは何も言えません。
ちなみに、この論文の原文は、20ドルを払えば、
以下のページから読むことが出来ます。
http://www.transplantjournal.com/pt/re/transplantation/abstract.00007890-200701150-00003.htm;jsessionid=Gn2PLQr717SFGQQLNWTKNCy2Pz20Ls0Hk6kYDv5cG74hpbW8tcGX!220059229!-949856144!8091!-1

この論文の日本語訳なら、以下の徳州会のページで
読むことができます。
(ただしこの日本語訳は大まかには大丈夫ですが、
 細かい所では怪しいです。)
http://www.tokushukai.jp/media/rt/558tr.html


今回の病気腎移植について、マスコミや学会等
で間違いと思われる報道や発言は多数ありますが、
瀬戸内グループを支援する方や病気腎移植を推進
される方の発言にも間違いや怪しいことが多数あり
ます。
ですから、瀬戸内グループを支援する方や病気
腎移植を推進される方の発言を鵜呑みにせずに、
自ら確認してコメントしていだけばと思います。
2007/06/12 Tue 19:40:00
URL | 吉里 #-[ 編集 ]
タイオーリ医師の発言について
春霞さま、お久しぶりです。吉里さま、はじめまして。

吉里さんには貴重なご意見をありがとうございます。ただ一言春霞さんに代わって?コメントさせていただきますと、春霞さんの元記事にある

>また、イタリアのタイオーリ教授が移植医療専門誌『トランスプランテーション』に発表した論文に基づいた講演によると、「大規模集団での追跡調査を複数行った結果、ドナーからレシピエントへのがんの転移は、非常にまれであることがわかりました。移植を決める際には、がんの存在は問題にすべきではありません」と話しています。

は、『トランスプランテーション』にあった記事の内容そのものではなく、4月に大阪・東京で行われた腎不全シンポジウムでのタイオーリ医師のビデオ講演からの引用であると思います。私は大阪でシンポジウムに参加し、このビデオ講演を視聴しましたが、少なくとも翻訳できいた限りでは、春霞さんが書いておられる通りを、講演の締めの言葉として言っておられました。

タイオーリ医師の研究は確かに腎臓がんを直接にターゲットにしたものではありませんし、その限りにおいて結論の普遍性についてはなお議論、検証の余地があるだろうとは思われます。ただし、病気腎移植そのものとの関連とは別に、「ドナーの癌病歴がレシピエントに対して与える影響は最小であると考えていい」という点では、現在日本で通例とされる、「部位を問わず、がんの病歴のある者をドナーとする禁忌」について一石を投じうることは間違いないところではないでしょうか。

ついでですが、瀬戸内グループ支援ネットの最新記事に、次のようなものがありました。

「デビッド・ニコル
 (プリンセス・アレクサンドラ病院、ブリスベン)

(発表要旨)
オーストラリアでの腎移植平均待機期間は3~4年以上、待機中の年間死亡率は13%であり、ドナーを増やすことが急務となっている。その手段として、小さな腎癌の患者からの摘出臓器を移植に利用する方法が検討されている。われわれは、小腎癌(PTI期ー3cm未満)が発見され、摘出された腎臓を移植した症例における術後成績を検討した。


透析を継続しても年間死亡率が20%以上と推定され、60歳以上で合併症を有していて移植の実施が限界に近い18例の患者に、腎癌が偶発的に発見された患者からの腎臓を移植した。
18例中5例は死体腎(腎癌のあるドナー)であり、13例は小さな腎癌が発見された患者の腎臓を移植した。

追跡期間は6~85ヵ月(平均値35ヵ月、中央値38ヵ月)で、生着率及び生存率はともに100%である。今回の予備的研究により、小腎癌が偶発的に発見された腎臓は腎移植における貴重な臓器提供源となる可能性が示唆された。


(林 コメント)
上記の報告は、2004年5月サンフランシスコで行われた第99回米泌尿器科学会ハイライト集に掲載された、帝京大学医学部泌尿器科 堀江重郎氏の訳、報告になるものです。ここに掲載した報告はすでに3年以上前のものです。
堀江医師は現在某大学の教授職に就かれているとうかがっていますが、どのような事情から病腎移植の医学的有効性を示す情報を明らかにされなかったのでしょうか。病腎移植に救いの手を待つ患者は、残念な思いをしているでしょう。」
http://www.setouchi-ishoku.info/article.php/20070608183655295

林氏の参照している元記事がネット上で検索困難であったため、引用元にまで遡っていませんが、みなさまのご参考までに。
2007/06/12 Tue 22:16:21
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
鵜呑みではなく
吉里様、こんにちは。
はじめまして。
一読者また一支援者の立場として意見を述べさせて頂きます。

イタリアのタイオーリの論文についてご見解の明示及び支援者へのご指摘と承りました。
私自身としては、「鵜呑みにしている」という思いはありません。また海外の論文は参考にはなっても、正当を裏付ける確たるものだとも思いません。

おおざっぱに言わせて頂けたら、完全な論文などこの世にひとつも存在しないと思っております。だからこそ、私たちは日々、切磋琢磨する必要があると思います。不完全な互いが向上するために。

私は医学の専門家ではありませんし、単なる一支援者です。でもここまでして支援せざる得ない思いがわき上がるのは、専門的な分野の論争ではありません。目の前に苦しんでいる患者がいて、「病気腎移植」を希望する人がいる。「病腎植」で助かる可能性があれば、その人の選択肢を可能なものにして救ってほしい、それだけなのです。深刻なドナー不足の我が国で、それで現に助かった人がいる。そのわずかな灯火も希望も消してほしくないわけです。

今回こうして吉里さまの貴重な意見をお聴きし、大変うれしく思いました。(学会は、このような学問追求の場さえも奪う学会なのではと信じたくはありませんが、疑わざるを得ないことばかりなのです。)
今後ともどうぞよろしくお願いします。
2007/06/12 Tue 22:50:56
URL | 梅雨空 #-[ 編集 ]
再度コメントします。
皆様、こんにちは。

> 語学教師 さん
>ただし、病気腎移植そのものとの関連とは別に、
>「ドナーの癌病歴がレシピエントに対して与える
>影響は最小であると考えていい」という点では、
>現在日本で通例とされる、「部位を問わず、がん
>の病歴のある者をドナーとする禁忌」について
>一石を投じうることは間違いないところではない
>でしょうか。
それは、その通りだと思います。
ただ、前回述べたとおり、万波医師らの支援や
病気腎移植推進のための根拠として用いるのは
不適切です。
支援や推進のために用いるにしても、「病気腎
移植の場合にも、同様のことがあてはまるかも
しれない」という意見に使えるだけだと思います。
しかしながら、この論文は、死体からの移植の
ドナーの適応を広げるための根拠にはなると思い
ます。

話はそれますが、昨日の春霞 さんの書き込みの件
もあるので、ドナーの適応範囲についてコメント
します。
死体からの移植の場合、現時点でも、がんのドナー
からの移植の全てを禁忌しているわけではありません。
腎移植の場合は、摘出時に原発性脳腫瘍が見つかった
ドナーからの移植は容認しています。
その容認している理由は以下の通りです。
(以下は、Transplant Communication 腎移植Q&Aからの
引用です。引用元は、
http://www.medi-net.or.jp/tcnet/dqa/q3-08.html
です。)
Q 3-8. 献腎移植はどんな人が腎臓を提供するのですか

A
献腎移植のドナー(提供者)は、術前検査を十分に
行うことができないため、年齢と原疾患、摘出時の状
態で適応を決めなくてはいけません。年齢70歳以下が
よく、尿所見は末期の上昇を除き正常であることが望
ましく、血液生化学、尿所見等による器質的腎疾患の存
在が疑われるとき、HCV抗体陽性のときは慎重に適応を
決定します。死因が悪性腫瘍の人はもちろん適応外であ
り、既往歴に悪性腫瘍がないかにも注意が必要です。
ただし、原発性脳腫瘍はドナー候補となりえます。全
身感染症、活動性感染症、HBs抗原、HTLV-1抗体、HIV
抗体陽性の人、クロイツフェルト・ヤコブ病およびその
疑いの人も除外されます。

(オランダのテレビ番組のドナーは脳腫瘍ですので、
 日本でもこのドナーの症例は容認されると思います。)
また、上を見る限り、過去に癌があっても容認される
場合があるようです。
実際、過去に癌があっても臓器摘出時に治っているドナー
については容認すると説明しているところもあります。
(そのページは、
http://www.nms.ac.jp/FromNMS/JIN/JNOS-A.html
です。ちなみにこのページは、日本腎臓移植ネットワーク
関東甲信越ブロックセンター情報のページです。)


不適切と思われることを根拠にした支援や推進は、
周りの人たちから良い評価をされることはないと
思います。
今回の病気腎移植についてのマスコミの報道や学
会のコメントには不適切なものがありますが、
だからといって、支援する側も不適切なことを
やってよいというわけではないと思います。
ですので、今回コメントさせていただきました。
今後なにかありましたら、またコメントするかも
しれませんが、そのときはよろしくお願いします。
2007/06/13 Wed 19:23:38
URL | 吉里 #-[ 編集 ]
腎がんの病気腎移植は正当化し得るか
吉里さま。詳細なお返事をありがとうございます。

私自身、腎不全シンポジウムでのタイオーリ医師の講演を聞く限りでは、扱っている対象、研究の関心領域などから、おそらく病気腎移植そのものとの関連は強くはないだろうと感じました。強いていえば、今後もし病気腎移植が治療法のひとつとして確立することがあるとするなら、その確立に到達するまでの長い梯子の、脚の置き所がみえた、というぐらいの感じかな、と思います。

それでは、私個人が何をもって(ここでは腎がんに限って)病気腎移植を肯定的にみるか、ということを述べますと、

(1)擁護派として発言している難波氏をはじめとした、病理学の専門家からの、「他者のがんを移植して生着させることの難しさ、そこから類推される、個体を越えたがん転移の可能性の低さ」の指摘を理論的な基盤として、

(2)これまでに報告されている、万波グループでの生着した5例、アメリカでの14例の腎がん切除腎の移植症例で、これまでのところがんの再発、転移がみられないこと。これに前回のコメントで引用したオーストラリアの18例を加えてもいいでしょう。

(2)に関しては、経過観察の期間がもう少し長期である必要があると思われますし、その点で不足があるのは確かです。しかし、合計で37例においてがんの再発、転移がみられていないのだとしたら、これは数の上から言って、既に有効な治療法として本格的な研究対象に値するところまでいっていると考えていい気がします。今後に関しては、もっと症例が増え、長期の観察を経た時点で、もう一度その有効性を再検討する、という方針がベストかな、と。

理論的な予想、実際の症例観察共にもっと細部を詰めて、びくともしないところまでいかないと実用にはできないのではないか、と主張することもできるでしょうが、実際の臨床現場においては、そのあたりをきちんと詰めないままに定式化されている治療法、臨床常識というのは、意外に多くあるのではないでしょうか。腎臓移植を例にとれば、移植に際してHLA(白血球のタイプ)適合が長い間アプリオリに移植適合条件に組み入れられていましたが、大規模な統計の結果、むしろHLA適合の移植例の方が不適合の移植例に比べて成績が悪いことが判明し、現在ではむしろ重視されないと聞きます。

また、もっと卑近な例で言うと、先年私は親族の外科手術を経験しまして、その際に患者と同じ血液型であることから輸血用血液の提供を申し出ましたが、医師からは「最近の知見では、遺伝子的に近い親族からの輸血はかえって強い拒絶を示す可能性があるので、うちの病院では親族からの血液提供を受けないことにしている」と言われました。

極端な例かもしれませんが、要するに治療上の常識、メソードはそもそもが常に流動するものですし、「びくともしないところまで詰める」という態度はおそらく現実的でないでしょう。その点を考慮に入れ、さらに移植に使用する腎臓が絶望的に不足している日本の現状を見据えた場合、腎がんの病気腎移植は、現時点で既に本格的な治験に付されるべき段階にあるとみなすのが正当であるように思っています。

さて、話を本題に戻しまして、ドイツでのシンポジウムについての日本のマスコミの反応ですが、当日深夜のフジテレビのニュースがかなり批判的に採り上げたのを除くと、従来強硬な批判派だった大メディア、とくに朝日、毎日、讀売の3大新聞は情報を完全に黙殺のようですね。(こんなきれいな黙殺は、全米移植学会での発表がアクセプトされたとき以来です(^^;)。)その一点をみるだけでも、おそらく発表が概ね成功といえる成果を挙げたのだろうと想像してよいのではないでしょうか(^^)。
2007/06/13 Wed 22:34:36
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
> hiroyuki さん
コメントありがとうございます。


>最初に頭に浮かんだのが、学会が妨害工作をしなくてよかったと言うことでした。

やはり、誰もが「妨害工作」のことが頭に浮かぶことみたいですね。日本移植学会の幹部が、妙な文書を送りつけたせいで、米国での論文発表が中止に追い込まれたことは、驚きでした。
学会自ら、憲法上保障されている、学問研究の自由の意義を損なう行動に出たのですから、許しがたい行動であると、いまでも考えています。
2007/06/13 Wed 23:38:25
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>梅雨空さん:2007/06/12(火) 08:32:3と同日 22:50:56へのお返事
コメントありがとうございます。


>深夜でしたが、目の覚めるような嬉しいニュースでした。

「腎移植」で検索したら、この報道が出ていて、その後テレビ報道でも放映されて、「お~!」と驚かされた報道でした。

ただ、読売・朝日・毎日新聞は報道していません。病腎移植に好意的な報道はしないというが、読売・朝日・毎日新聞のスタンスなのでしょう。国際的なシンポジウムで発表したとしても、必ず好意的な評価を受けるとは限らないのですから、報道してもいいと思うのですけどね。


>ご報告ありがとうございます。春霞さま、hiroyukiさまのお働きを感謝します。

ありがとうございます。

国際的なシンポジウムでの発表ができたということは、病腎移植の客観的な評価を受ける機会を得たというものですから、病腎移植の是非をこえて、有意義なことです。エントリーとして取り上げる価値のある報道であると思いました。


>一読者また一支援者の立場として意見を述べさせて頂きます。

ありがとうございます。
2007/06/13 Wed 23:39:06
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>吉里さん:2007/06/12(火) 19:40:00と2007/06/13(水) 19:23:38へのお返事
はじめまして、コメントありがとうございます。


>2007/06/12(火) 19:40:00
>イタリアのタイオーリらの論文について
>万波医師らの支援や、病気腎移植推進の推進に用いることは不適切です。
>その不適切な理由は、次の1~5の通りです。

このエントリーでは、タイオーリ教授が移植医療専門誌『トランスプランテーション』に発表した論文自体を取り上げたのでなく、語学教師さんがご指摘したとおり、大阪・東京で実施した腎不全シンポジウムで行った、タイオーリ教授のビデオ講演の発言を引用したものです。
http://www.tokushukai.jp/media/rt/567.html

1つ前の文章に、「徳洲新聞 2007年(平成19年)4月30日 月曜日 No.567 1面より」をリンクさせていたので、すぐに分かると思います。
なので、イタリアのタイオーリらの論文を使うことが不適切だと非難しても、このエントリーとは直接関係ありません。もちろん、ご承知のうえでコメントなされたとは思いますが、念のため。

このエントリーにおいて、なぜタイオーリ教授のビデオ講演の発言を引用したのかというと、「なぜドイツのシンポジウムでは、病腎移植の論文が好意的に評価された(と万波医師が感じた)のか」を説明・証明するためです。

タイオーリ教授のビデオ講演の発言の中で注目した点は次の2点です。

<1>イタリアでは、「大規模集団での追跡調査を複数行った」ことから、多数の「がんを持ったドナーからの臓器移植」が容認されていること、
<2>結果も「がんの存在は問題にすべきではありません」というほど良好であったこと

この2点に着目すれば、病腎移植が好意的に評価されたかを説明・証明する証拠となると考え、引用したのです。  

もちろん、イタリアだけでなく、エントリー中では移植大国である米国では政府主導で、病気臓器移植の推進を行っていることも、紹介して説明しています。これも含めて、病腎移植を好意的に受け止める下地があるようだと説明・証明したわけです。


>その不適切な理由は、次の1~5の通りです。

ある結論の立証を行う場合、全くの同じ条件で後追い検証を行う論文もあるでしょうが、多くの論文などを使って補いながら立証を行うこともよくあることです。これは「立証のイロハ」といえるほど基本的なことだと思います。

タイオーリ教授の論文は、「『がんのあった臓器の移植は禁忌』であるというお題目」を突き崩すことができます。
万波医師らの行った病腎移植は、腎臓がんのあった臓器移植に限らないのですし、摘出の妥当性も議論になっているのですから、一部を正当化する論文にすぎません。
しかし、「『がんのあった臓器の移植は禁忌』であるというお題目」は、病腎移植否定の最大理由なのですから、それを突き崩すことができる以上、非常に意義のある論文なのです。

吉里さんは、1~5の理由を挙げて、「万波医師らの支援や、病気腎移植推進の推進に用いることは不適切」と述べていますが、これでは、ある結論をすべて満たすような論文でないと評価しないと言っているのと同じです。「立証のイロハ」として、「多くの論文などを使って補いながら立証を行うこともよくあること」であることをご理解下さい。


>1
>この論文で取り上げられているドナーは全て死体ドナーです。瀬戸内グループのように、生体ドナーではありません。

確かに生体か献体かの違いがありますが、生体ドナーでなかったことで、「不適切」と評価するほどの意味があるのでしょうか?

健康な腎移植の場合、生存率・生着率ともに生体腎移植の方が高いことはご承知のことと思います。
http://www.medi-net.or.jp/tcnet/tc_1/1_3.html

このことからすると、同じ病気腎移植であれば、献体ドナーより生体ドナーの方が良好な結果が生じるはずです。そうなると、タイオーリ教授の論文で対象となった患者よりも、瀬戸内グループの患者の方がより良好な結果が生じることを暗示しているとも評価できるのであって、「不適切」と評価する理由にはならないと思います。


>2
>全移植臓器数は108例ですが、これは全て腎移植ではありません。

全て腎移植の事例でないことは無視してはいけないと思いますが、だからといって、「不適切」と評価するのは解せません。

この論文の意義は、腎臓に限らず病気の臓器の移植の妥当性・有効性を証拠付けたことに意味があるのであって、病腎移植賛成側は、その点に着目しているのです。言い換えれば、腎臓に限らず、多くの臓器で病気の臓器移植が有効であれば、病気腎移植も有効だろうというわけです。「大は小を兼ねる」という理屈です。「大は小を兼ねる」という理屈がおかしいとは思えません。


>3
>また、この全108例という症例数は、
>(1) 臓器摘出時に悪性腫瘍があったもの 64例
>(2) 臓器摘出時に良性腫瘍があったもの 28例
>(3) 過去に悪性腫瘍があったが、摘出時には治療済みのもの 16例
>を合計したものです。

これは、108例の中には病気臓器移植と言い難いものが含まれているという、この論文の評価の問題ですね。病気臓器移植と言い難いものを除いて評価すればよいだけです。なので、病腎移植賛成として使うことが「不適切」な理由になっていないと思います。


>4
>この論文では、腎臓に腫瘍があって腎臓を移植した症例は、4例(悪性腫瘍:1例、良性腫瘍:3例)しか記載されておりません。

これは「2」と同じ内容ですね。
この論文の意義は、病気の臓器の移植の妥当性に意味があるのであって、病腎移植賛成側は、その点に着目しているのです。言い換えれば、腎臓に限らず、多くの臓器で病気の臓器移植が有効であれば、病気腎移植も有効だろうというわけです。
「大は小を兼ねる」という理屈です。


>5
>この論文で取り扱ったようにリスクが高いドナーからの移植を行う場合、移植前に法律に従って専門家からの意見を求めるなど、きちんとした手順でおこなっていると記載されています。

申し訳ありませんが、正直な話、この点を指摘して「不適切」と評価した意味がよく分かりません。

病気臓器移植を実施したが、これは臨床試験の手続きとして行ったことを明示したことは確かです。
しかし、手続き問題は、タイオーリ教授の論文の主題(病気臓器移植の妥当性)とは関係ありません。この論文の意義は、病気の臓器の移植の妥当性に意味があって、病気の臓器の移植の妥当性と移植手続きの妥当性は別個の問題です。

ですから、万波医師らの支援や、病気腎移植推進の推進に用いることに「不適切」という理由にはならないと思います。

もともと、「手続きは法廷地法による」という原則があるように、手続きは各国それぞれのやり方で行うことになっています。イタリアではイタリアなりの手続きを行い、日本では日本なりの手続きを行うわけです。
日本では、日本移植学会の指針では、生体腎移植についての倫理委員会の審査は不要ですし、病腎移植について手続きはなく、各医療機関の裁量に任されています。各医療機関の裁量でありまたは手続きがないのに、手続きを守らなかったと非難するのは妙な話だと思っています。


>この論文で確実に言える
>ことは、死体ドナーで腫瘍があっても、移植する臓器に腫瘍がなければ、移植後レシピエントに腫瘍ができる可能性はきわめて低い

その結論は、このエントリーで引用したことと同じですが……。
私は、「大規模集団での追跡調査を複数行った結果、ドナーからレシピエントへのがんの転移は、非常にまれであることがわかりました。移植を決める際には、がんの存在は問題にすべきではありません」と引用しています。

なお、悪性腫瘍のあるままの臓器を移植しないのは当然のことです。万波医師らも、悪性腫瘍のあるままの臓器を移植したことはありません。
吉里さんが「移植する臓器に腫瘍がなければ」とわざわざ書いたのは、念のために書いたということなのでしょうが、意味があることなのか、妙な感じがしました。


>瀬戸内グループの行った病気腎移植については、この論文からは何も言えません。

すべて反論したことから分かるように、タイオーリ教授の論文は、「病腎移植」について、病気臓器移植が広く実施されていることと、移植の妥当性に関して証明する証拠の1つだといえます。

病腎移植問題では、摘出の妥当性、移植の妥当性、手続き問題、事後的な検証の要否、「生体腎移植での病気腎移植」への対応、ドナー保護の問題と言った点について、それぞれ別個に考える必要があります。

タイオーリ教授の論文は、医学面における「移植の妥当性」についてのものであって、「病腎移植」をすべて正当化するものではないのです。「病腎移植」は多くの論ずべき点があり、法律問題もある以上、すべてを正当化する医学的な論文はありえないのです。


>瀬戸内グループを支援する方や病気腎移植を推進される方の発言にも間違いや怪しいことが多数あります。

病腎移植賛成の発言の中には、間違いもあるでしょう。人である以上間違いや誤解はつきものです。

ただ、病腎移植賛成者は、長年の経験のある泌尿器科専門医や病理医であったり、腎不全患者や移植を受けた患者・家族であることが多く、実際上の経験に裏付けられているため、間違いといえるほどのものがあったか、記憶にありません。なので、間違いが多数あるとは初耳です。


>瀬戸内グループを支援する方や病気腎移植を推進される方の発言を鵜呑みにせずに、自ら確認してコメントしていだけばと思います

ご忠告ありがとうございます。どんな発言もできる限り、確認・納得したうえで書くことは必要ですね。


>2007/06/13(水) 19:23:38
>腎移植の場合は、摘出時に原発性脳腫瘍が見つかったドナーからの移植は容認しています。
>その容認している理由は以下の通りです。
>以下は、Transplant Communication腎移植Q&Aからの引用です。
>Q 3-8. 献腎移植はどんな人が腎臓を提供するのですか
>(オランダのテレビ番組のドナーは脳腫瘍ですので、
>日本でもこのドナーの症例は容認されると思います。)
>また、上を見る限り、過去に癌があっても容認される場合があるようです。
>実際、過去に癌があっても臓器摘出時に治っているドナーについては容認すると説明しているところもあります。
>(そのページは、
http://www.nms.ac.jp/FromNMS/JIN/JNOS-A.html
>です。ちなみにこのページは、日本腎臓移植ネットワーク関東甲信越ブロックセンター情報のページです。)

情報ありがとうございます。大変参考になりました。折角ですので、こちらも探しましたら、詳しくは、次のような基準が出ていました。

「<腎臓>臓器提供者(ドナー)適応基準

1.以下の疾患又は状態を伴わないこととする。
(1)全身性の活動性感染症
(2)HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原などが陽性
(3)クロイツフェルト・ヤコブ病及びその疑い
(4)悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられるものを除く)

2.以下の疾患又は状態が存在する場合は、慎重に適応を決定する。
(1)血液生化学、尿所見等による器質的腎疾患の存在
(2)HCV抗体陽性

3.年齢:70歳以下が望ましい。

付記 上記の基準は適宜見直されること。」
http://www.jotnw.or.jp/studying/06-3.html
これも日本臓器移植ネットワークのHPからの引用です。これだけを見ると、悪性脳腫瘍であっても、原発性の場合なら、移植可能といえそうです。

ただ。

「悪性の脳腫瘍は、体の別の部分で発生した癌が脳へ転移することが最も多く、転移は1カ所のことも複数の異なる部位のこともあります。乳癌、肺癌、消化器癌、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫など、多くの癌が脳へ転移します。」
http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec06/ch088/ch088b.html

実際上、悪性脳腫瘍のうち原発性のものは少ないのですから、現実には、悪性脳腫瘍の患者からの臓器を移植に使うことはまれかと思います。

オランダの悪性脳腫瘍の患者の例だと、原発性かどうか分かりませんし、しかも悪性脳腫瘍の場合は脳へ転移した場合が多いのですから、「日本でもこのドナーの症例は容認される」という理解は難しいかと思います。

もっとも、日本では献体臓器移植が極めて少ないのですから、悪性腫瘍の患者の臓器も移植に使うのかどうかなんて、絵空事のような感じですね。オランダの番組自体、作り事でしたから、ますます議論をする意味がないのかもしれません(汗)。
2007/06/13 Wed 23:40:00
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
再びコメントします。
皆様方、こんばんは。

春霞 さん
私がタイオーリーの論文が今回の件について不適切とした理由は、根拠として用いるには不適切という
ことです。
あくまでも参考資料として用いるkとは不適切という意味ではありません。

1
>確かに生体か献体かの違いがありますが、生体ドナーでなかったことで、「不適切」と評価
>するほどの意味があるのでしょうか?
細かいことになりますが、生体からの移植の場合と献体からの移植では臓器の取り出し方が異なります。また腎臓を摘出してから移植するまでの時間も違います。
こうしたことを考えると、一概に、献体ドナーより生体ドナーの方が良好な結果が生じるとはいえません。言えることは、春霞 さんの書き込みにあるとおり、「より良好な結果が生じることを暗示している」という
ことだけです。「暗示している」のであって、「結果が出る」ではありません。


2
>この論文の意義は、腎臓に限らず病気の臓器の移植の妥当性・有効性を証拠付けたことに意味があるのであって、病腎移植賛成側は、その点に着目しているのです。

この論文は、病気の臓器そのものの移植の妥当性、有効性を証拠付けたのではありません。論文を読んでもらえればわかりますが、取り上げられている症例のほとんどは、病気を持った臓器以外の臓器を移植しています(腎臓を移植した症例の大半は、病気をもった臓器は脳や甲状腺です)。ほとんどの症例において、病気の臓器そのものを移植に用いているわけではないのです。

病気の臓器と思われる症例もたしかに報告されていますが、それは腎臓のみです。この場合にも論文中には、移植した臓器そのものに病気があったかどうかが記載されていないため、移植した臓器が病気だっかどうかは不明です(腎臓に腫瘍があった症例は二つある腎臓のうち、腫瘍があったのは一つだけで、もう一つの腎臓には腫瘍がなかった可能性が
あります。)

移植する臓器そのものに癌がある場合と、臓器に癌があるものの移植する臓器には癌がない場合では、結果が同じようになるかどうかはあくまでも現時点では仮説に過ぎません。
移植する臓器にあった癌を完全に取り除くことが可能である、もしくは各臓器毎に発ガンの機構がまったく同じということが明らかになっていれば、その仮説も正しいと言えますが。


>ただ、病腎移植賛成者は、長年の経験のある泌尿器科専門医や病理医であったり、(中略)間違いといえるほどのものがあったか、
>記憶にありません。なので、間違いが多数あるとは初耳です。

一つ例をあげると、広島大名誉教授の難波先生の発言には間違いが
あります。
先日の国際シンポジウム中で、
「がんは伝染病でなく、遺伝子異常で起こる遺伝子病であり」
述べられていますが、全てのがんは遺伝子病でありません。たしかにDNAの損傷でがんが起こるらしいということになっていますが、DNAの損傷=遺伝子病ではありません。
遺伝子病とは、遺伝要因が病気に直結しているものを指します(生化学事典・第三版(2000年)、東京化学同人 より)。
したがって、家族性のがんを除いて、がんは遺伝子病とは言いません。
(このがんを遺伝子病といわないことの例として、
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E7%96%BE%E6%82%A3 )

また、遺伝子病であっても、移植した患者で発病するかどうかは別問題です。
以前に、難波先生は、遺伝子病は移植した患者に発症しないことの例として、肝臓のドミノ移植の例を取り上げられています。
(徳洲新聞 2006年(平成18年)11月20日 月曜日 No.545 8面
 難波先生「特に遺伝子病で起こるアミロイドーシス肝などは、本人には有害無益の存在だが、この遺伝子をもたない人に移植してやれば、自然に元の健康な肝臓に戻る。」
http://www.tokushukai.jp/rt.html )
この肝臓移植のことは間違っています。アミロイドーシス肝が移植後、レシピエントの方に発症した症例があることがすでに報告されています。
http://health.goo.ne.jp/news/K2006072607580.html )



梅雨空さん
>目の前に苦しんでいる患者がいて、「病気腎移植」を希望する人がいる。「病腎植」で助かる可能性があれば、その人の選択肢
>を可能なものにして救ってほしい、それだけなのです。深刻なドナー不足の我が国で、それで現に助かった人がいる。そのわず
>かな灯火も希望も消してほしくないわけです。
その気持ち、よくわかります。
私の家族は移植経験者(生体肝移植ですが)です。
私の家族の場合、レシピエントは移植医療で助かることは出来ず、その他のことについても上手くいきませんでしたが。
そのわずかな灯火も希望も消さないためには、支援する方も、きちんとしたやり方でやっていかなければならないと思います。


語学教師さん
>タイオーリ医師の講演を聞く限りでは、扱っている対象、研究の関心領域などから、おそらく病気腎移植そのものとの関連は強く
>はないだろうと感じました。強いていえば、今後もし病気腎移植が治療法のひとつとして確立
>することがあるとするなら、その確立に到達するまでの長い梯子の、脚の置き所がみえた、というぐらいの感じかな、と思います。

私自身もこのタイオーリ医師の論文については、そのように思っています。

>既に有効な治療法として本格的な研究対象に値するところまでいっていると考えていい気がします。今後に関しては、もっと
>症例が増え、長期の観察を経た時点で、もう一度その有効性を再検討する、という方針がベストかな、と。
この点についても同感です。
私自身は、現時点では、通常の医療として行うことは時期早々と
思います。臨床研究として、試行錯誤する段階だと思います。
ですので、先日の厚生労働省のパブコメでは、病気腎移植の医療としての可能性は認めるものの、現段階では広く臨床研究として行うべきであるという意見書を提出しました。


私自身、現在、基礎医学に関する研究の仕事をしています。また本来の仕事とは別に、ボランティアとして、移植医療の調査、移植ドナーおよびレシピエントのカウンセリング、移植医療におけるインフォームドコンセントの方法論の調査および開発等を行っています。
そのため、今回かなり細かいことまで発言しましたが、ご参考になれば
と思います。
2007/06/14 Thu 20:24:43
URL | 吉里 #-[ 編集 ]
「きちんとしたやり方」とは?
吉里さま、こんばんは。

コメントを頂きましたので、さいど思いを述べさせて頂きます。

吉里さまの言われる「きちんとしたやり方」とは、どういうものでしょうか。「論文を調べ上げる」ことですか。「研究する」って事ですか。私にはそのように聞こえて仕様がないのですが。

では、私も言わせて頂きたいのですが、「『病腎植を残してほしい』と願う患者のひとりひとりの気持ちをきちんと聞かれましたか」と。

私は、子育て中の者ですが、最近は、マニュアルの本も出回って、お母さん方も混乱するほどです。きちんと育てたいと思う気持ちがあるため、陥る過ちもあるのです。ある意味、子どもの可能性を、一方的な仕方でつみ取ってしまうのも親かもしれないとも反省もします。果たして、何に基づいた「きちんとしたやり方」なのでしょう。

「がん」は、ストレスからもくるでしょう。明るい気持ちでいれば、外的なものにも左右されず、自身の力で治ることも不可能ではない病なのではないでしょうか。もちろん、科学的な洞察は必要でしょう。当然のことです。しかし、絶対的なものではないはずです。希望を失わせない治療こそ治療ではないのでしょうか。私は、そう思っております。

吉里さまは、カウンセリングというお立場なのに、その中で一番大事な「患者の声に耳を傾ける」この「きちんとしたやり方」をどうして軽視されるのか、不思議です。

私も、大切な人を生体移植(肝臓)できずなくしました。いろんな立場、考え方があっていいと思いますが、基本的なところが違うように感じています。
2007/06/15 Fri 01:09:27
URL | 梅雨空 #-[ 編集 ]
私の考えるきちんとしたやり方とは
梅雨空さん

私が病気腎移植をきちんとやるということは、論文のことや座学的な研究を指すのではありません。
私がきちんとやるということは、医療機関側だけではなく、患者およびその家族、そして支援してくださる人たちと、どのようにすればこの病気腎移植をすればよりよい医療になるか考え、その考えに基づいて実践していくことを指します。
それは今まで私がボランティアとして行ってきた生体肝移植関連のこともそうです。
(先日のコメントで書かなかったことで、私がこれまで生体肝移植関連で行ってきたことの例をいくつかあげると、
 1 ドナー外来の開設のお願い
 2 ドナー健康手帳の作成のお手伝い
 3 生体肝移植のガイドブックの作成 などです。)

現時点では、病気腎移植を実施するにあたっては、色々な問題を含んでいます。たとえば、インフォームドコンセントについてもそうです。
瀬戸内グループの医師らのように長年の付き合いのある患者の方なら、口頭で説明するだけでも十分かもしれません。でも、病気腎移植によってはじめて付き合う患者の方の場合には(ドナー側、レシピエント側の双方において)、同様の方法で
上手くインフォームドコンセントができるかどうかわかりません。場合によっては書面が必要かもしれませんし、口頭だけで行う場合でも長年の付き合いのある患者の方と違う方法があるかもしれません。なお、ここでの書面とは、移植学会の言っているような形式だけの書類ではなく、患者の方やその家族にとって、わかりやく有意義なものを指します。

また、今回の瀬戸内グループらの病気腎移植では、ドナー及びレシピエントの方は術後、元気になられた方が多かったので現時点ではそれほど問題にはなっていませんが、医療的なことだけではなく、精神的なフォローも必要になってくると思います。
それはドナー、レシピエントおよびその家族の方々が移植実施前に完全に納得したと思って医療に望んだとしても、移植後も納得しているとは限らないからです。後悔までいかなくても、本当にやってよかったかどうか悩むことがあるかもしれません。また移植をやらないと決断された方の場合も、本当にやらなくてよかったかどうか悩むことになるかも
しれません。こうした方々をフォローすることも重要だと思います。病気腎移植のドナーの方は、あくまでも病気の治療だからそこまでフォローする必要がないと言われるかもしれません。しかし医学的にやむない理由で腎臓全てを摘出した場合を
除き、部分切除か全摘出を選べる場合も出てくると思います。その場合の決断が果たしてよかったか悩むドナーの方が出てくる可能性もあるからです。

こうした例は、あくまでも私の経験から病気腎移植でも有用かもしれないと思うことです。ですから、実際の病気腎移植の現場では必要ないかもしれません。でも、臨床研究であっても病気腎移植を行うことが可能になれば、少なくとも有用か無用か
どうかだけでも行ってみる価値はあると思います。
臨床研究とは、よりよい医療として行っていくために、単に医学的なことだけではなく、インフォームド
コンセントや精神的なフォローなどその医療に関わることを色々と試行錯誤することだと私は思います。先日の厚生労働省のパブコメでも、こうしたことをいくつか提案しました。臨床研究で行うことが出来なくなった場合でも、やみくもに認めて欲しいと言うだけではなく、病気
腎移植を実施するにあたって問題と思われることの解決策をきちんと考えていることを学会や国側に提示することによって、今後認められる可能性が出てくると思います。
ただ、こうしたことを行うには、医療機関側だけで行うのではなく、支援してくださるドナーやレシピエントの経験者や一般の方の意見も必要です。というのも、医療機関側ではこうしたことを全て行うことは不可能でしょうし、医療側がよいと思ったことでも、患者やその家族の方にとってはよいことではないかもしれませんから。

最初に書いたとおり、私が病気腎移植をきちんとやっていこうということの意味は、医療側とドナー、レシピエントおよびその家族の方々、そして一般の支援する人たちで、病気腎移植という新しい医療を作っていこうということです。現時点では私個人的に何人かの支援者の方に電子メールでご意見をお聞きし、一緒に新しい医療を作っていくことを私から提案をしているところです。

ただ、新しい医療を作っていく上で形で作っていくうえで、根拠のないもしくは曖昧な情報は不要だと思います。ですから、先日からコメントさせていただきました。

もちろん私のコメントが間違いもしくは勘違いがあれば、それを指摘していただけばと思います。
2007/06/15 Fri 17:16:19
URL | 吉里 #-[ 編集 ]
>語学教師さん:2007/06/12(火) 22:16:21と2007/06/13(水) 22:34:36へのお返事
お久しぶりです。コメントありがとうございます。


>一言春霞さんに代わって?コメントさせていただきますと
>4月に大阪・東京で行われた腎不全シンポジウムでのタイオーリ医師のビデオ講演からの引用であると思います。

その通りです。代わって答えて頂いてありがとうございます。


>現在日本で通例とされる、「部位を問わず、がんの病歴のある者をドナーとする禁忌」について一石を投じうることは間違いないところではないでしょうか。

私もそう思います。この点は、吉里さんと同意見のようですが。


>ついでですが、瀬戸内グループ支援ネットの最新記事に、次のようなものがありました。
>「デビッド・ニコル
 (プリンセス・アレクサンドラ病院、ブリスベン)

情報ありがとうございます。


>60歳以上で合併症を有していて移植の実施が限界に近い18例の患者に、腎癌が偶発的に発見された患者からの腎臓を移植した。

がんが転移するのではという不安がある以上、患者を限定していることが分かります。この点は万波誠医師も同じですね。


>18例中5例は死体腎(腎癌のあるドナー)であり、13例は小さな腎癌が発見された患者の腎臓を移植した。

13例はいわゆる「病腎移植」ですから、万波医師らの病腎移植と同じ事例なのだと思います。詳しい内容が分からないのでなんともいえないことは確かですが、死体からの秒腎移植に限定せず、むしろ生体からの病腎移植の例の方が多いのですから、死体病腎移植と生体病腎移植をことさらに区別していないことが伺えます。


>追跡期間は6~85ヵ月(平均値35ヵ月、中央値38ヵ月)で、生着率及び生存率はともに100%である。

追跡期間としては長期7年はよいとしても、平均3年でなく5年くらいはほしかったです。ただ、生着率及び生存率はともに100%という結果は、「がんのあった臓器は禁忌」という日本の移植学会の幹部が唱えるドグマを、覆す一論文といえそうです。


>研究の関心領域などから、おそらく病気腎移植そのものとの関連は強くはないだろうと感じました

治療目的で摘出した臓器を移植するという、いわゆる「病気腎移植」自体を念頭においた研究ではないのすから、「関連は強くはない」といえばその通りです。


>今後もし病気腎移植が治療法のひとつとして確立することがあるとするなら、その確立に到達するまでの長い梯子の、脚の置き所がみえた

私のとしてはもう少し積極的に評価してよいとは思っています。みなそれぞれの考えをもっているのですから、色々、見解が異なるのは当然のことかと思います。
元々、ここのブログは、病腎移植肯定派のなかでもかなり積極的な立場を表明していることも関係しますが(汗)


>先年私は親族の外科手術を経験しまして、その際に患者と同じ血液型であることから輸血用血液の提供を申し出ましたが、医師からは「最近の知見では、遺伝子的に近い親族からの輸血はかえって強い拒絶を示す可能性があるので、うちの病院では親族からの血液提供を受けないことにしている」と言われました。

ご親族が早く回復なされることをお祈りしております。さて、近親者からの輸血を避けるのは、かなり一般的になっているようですね。

「<<ご存知ですか?>>

「血液は新しいものほど、そして近親者(親、兄弟)からのものが安全だ。」と一般の人は思っています。

◎血液は古い方が安全です。!!
 採血後72時間以内の血液はまえに梅毒スピロヘータを感染さすことがあります。また、リンパ球もしばらくは増殖能力を保っているためGVHDをa引き起こす可能性があります。

◎近親者からの共血は避ける!!
 例えば親の血液を血液を子に輸血した場合、子は親のリンパ球を攻撃しませんが、輸血された親のリンパ球は子の組織を攻撃、破壊する場合があります。

 全くの他人であれば、輸血された血液に含まれるリンパ球は宿主側のリンパ球に攻撃され、ある程度破壊されます。」
http://www.sam.hi-ho.ne.jp/tootake/1993215.htm
これは、「1993年2月15日号 NO.124」という箇所に書いてあったものです。

ほかにも、

「現状では、GVHDに対する有効な治療法はないといわれている。従って、予防が必須である。予防法としては、採決後2週間以上経った古い血液を使う、近親者からの輸血を避ける、自己血輸血を実施する等の方法があるが、確実性に欠ける。確立している予防法は、血液の放射線照射である。」(作成: 1998/11/05 武藤 利雄 データ番号:010128 輸血用血液製剤の放射線照射装置)
http://www.rada.or.jp/database/home4/normal/ht-docs/member/synopsis/010128.html

このように、「近親者からの輸血を避ける」ことを調べると、少なくとも10年くらい前から言われているようです。医師にとっては「最近の知見」と感じていても、一般人からすると、「ぜんぜん、最近の知見じゃない!」という感じでしょうね。
2007/06/15 Fri 18:02:30
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
>吉里さん:2007/06/14(木) 20:24:43へのお返事
コメントありがとうございます。


>私がタイオーリーの論文が今回の件について不適切とした理由は、根拠として用いるには不適切ということです。
>あくまでも参考資料として用いるkとは不適切という意味ではありません。
>論文を読んでもらえればわかりますが、取り上げられている症例のほとんどは、病気を持った臓器以外の臓器を移植しています(腎臓を移植した症例の大半は、病気をもった臓器は脳や甲状腺です)。ほとんどの症例において、病気の臓器そのものを移植に用いているわけではないのです。
>2007/06/15(金) 17:16:19 | URL | 吉里
>新しい医療を作っていく上で形で作っていくうえで、根拠のないもしくは曖昧な情報は不要だと思います。

108例のうち、病腎の移植はあまりに少ないことなどから、参考資料程度の論文にすぎないということなのだと思います。言わんとすることは分かりますが、「根拠として用いる」ことと「参考資料として用いる」の違いが、今一歩はっきりしません。「用いる」点では同じなのですから。

なるべく「曖昧な情報」を排除し、病腎移植が多数含まれる論文のみを根拠とするべきたという潔い態度は健全で、本来あるべき態度だとは思います。しかし、日本移植学会の幹部がリークする虚偽報道があふれ、病腎移植が全否定されている状態においては、使える論文は使った方が実践的ではないかと思います。
また、「生体腎移植での病腎移植」はかなり行ってきたのですから、本当のところはどこまで「新しい医療」なのだろうかと疑問に思っています。少なくとも、病気腎移植すべて「新しい医療」扱いは行きすぎのように思います。


>生体からの移植の場合と献体からの移植では臓器の取り出し方が異なります。また腎臓を摘出してから移植するまでの時間も違います。
>一概に、献体ドナーより生体ドナーの方が良好な結果が生じるとはいえません。言えることは、春霞 さんの書き込みにあるとおり、「より良好な結果が生じることを暗示している」ということだけです。「暗示している」のであって、「結果が出る」ではありません。

もちろん、一概に言えませんが、統計上、生体ドナーの方が良好な結果が出ていることは確かです。その統計を無視する訳にはいかないと思います。
すべて一概に言えないといってしまえば、病腎移植が生体・死体腎移植よりも劣る結果が出ていることさえも、「一概に言えない」となってしまいます。

「暗示している」と書いたのは、死体病腎移植で良好な結果がでているならば、今までの腎移植の統計からすると、論理的には、いわゆる「病腎移植」の方がより良好な結果が生じることになります。そうすると、よりこの論文が生きてくることになることを「暗示している」ことになるということです。


>この論文は、病気の臓器そのものの移植の妥当性、有効性を証拠付けたのではありません。

「病気の臓器そのもの」を移植した例が少ないことは確かです。ですが、この論文はドナーががん患者であることに意味があります。がんの場合は転移の可能性があるのですから、たとえ問題のない臓器であっても移植すれば、転移の危険性をかかえるおそれがあり、多くの病気の臓器移植なかでも特別なのだと思います。
なので、「病気の臓器そのものの移植」に限らず、がんの場合について
「病気の臓器の移植の妥当性・有効性を証拠付けた」という評価ができるかと思います。もちろん、この論文だけで十分なものとは思いませんが。


>一つ例をあげると、広島大名誉教授の難波先生の発言には間違いがあります。
>先日の国際シンポジウム中で、
>「がんは伝染病でなく、遺伝子異常で起こる遺伝子病であり」
>したがって、家族性のがんを除いて、がんは遺伝子病とは言いません。

難波先生は、「がんのあった臓器を移植した場合に、なぜ、そのレシピエントにがんが発症していないのか」という疑問について、「がんは伝染病でなく、遺伝子異常で起こる遺伝子病」だからという説明をしてみせたわけです。「がんは伝染病でなく、遺伝子異常で起こる」からだとまでで止めておけば問題がなかったのでしょう。説明の便宜として、「遺伝子病」の意味を広げて使っているのかなと思います。用語の使い方の問題であって間違いとまで言えるのかと、思うのですが。


>難波先生「特に遺伝子病で起こるアミロイドーシス肝などは、本人には有害無益の存在だが、この遺伝子をもたない人に移植してやれば、自然に元の健康な肝臓に戻る。」
http://www.tokushukai.jp/rt.html )
>この肝臓移植のことは間違っています。アミロイドーシス肝が移植後、レシピエントの方に発症した症例があることがすでに報告されています。
>(http://health.goo.ne.jp/news/K2006072607580.html )

「自然に元の健康な肝臓に戻る」という意味は、リンク記事に出ているように、「別の患者に移植した場合、その患者の体に異常たんぱく質がたまってFAPを発症するまで余裕がある」という意味だと、思っていました。移植時してから20年ほどFAPを発症しないから、「元の健康な肝臓に戻る」と言ってもさほど間違いとはいえないようにも思います。善意に解釈しすぎかと言われるかもしれませんが。
ただ、6年程度でFAPを発症するならば、「元の健康な肝臓に戻る」と言うのは問題があり、仰るとおり間違っていると思います。

もし、この発言を問題視するならば、99年当時、京都大でドミノ肝移植移植を担当した田中紘一・日本移植学会理事長こそ、厳しく糾弾すべきでしょう。患者を実際に安易に危険に晒したのですから。


2007/06/15(金) 17:16:19のコメントで気になった点についても、少し言及します。

>でも、病気腎移植によってはじめて付き合う患者の方の場合には(ドナー側、レシピエント側の双方において)、同様の方法で上手くインフォームドコンセントができるかどうかわかりません。
>やみくもに認めて欲しいと言うだけではなく、病気腎移植を実施するにあたって問題と思われることの解決策をきちんと考えていることを学会や国側に提示することによって、今後認められる可能性が出てくると思います。
>臨床研究とは、よりよい医療として行っていくために、単に医学的なことだけではなく、インフォームドコンセントや精神的なフォローなどその医療に関わることを色々と試行錯誤することだと私は思います


病腎移植を望む側は、患者の自己決定権の1つとして、レシピエントに病腎移植という選択権を認めてほしいと主張なのです。すべてのレシピエントに、原則として死体腎移植と同様に、病腎移植を実施することを要求するというものではありません。
http://www.tokushukai.jp/media/rt/568.html#line02
(弁護士有志が厚労相に意見書 徳洲新聞 2007年(平成19年)5月7日 月曜日 No.568 4面より)

「病気腎移植によってはじめて付き合う患者の方」へのインフォームドコンセントが十分にできるかを気にかけることは分かります。ですが、病気腎移植はリスクがあるので、予め病腎移植を納得しているレシピエントでなければ実施することは難しく、長年の付き合いなど、高度の信頼関係なくして病腎移植を実施することはかなり難しいと思います。
しかも、病気腎移植をうまく生着させるためには、極めて優れた技量を有する移植医が実施する必要があります。使える病気腎なのかの見極めを有する医師がいることも必要です。

このように、元々、病気腎移植は「やみくもに認め」ることは、事実上不可能なのです。

「インフォームドコンセントや精神的なフォロー」に気を配ることは大切だとは思います。ですが、病腎移植ができるほどの極めて優れた医師が実施しないと、「インフォームドコンセントや精神的なフォロー」は単に、移植の失敗をいかに患者に納得させるかという、医師の都合に堕してしまうと思うのです。

インフォームドコンセントは必要で、事後の検証も重要ですが、それはどの医療でも必要かと思います。病腎移植を実施する場合の力点は、どういう病気腎まで使用できるのかの判断と、極めて優れた移植医の存在であると思います。


>病気腎移植のドナーの方は、あくまでも病気の治療だからそこまでフォローする必要がないと言われるかもしれません。しかし医学的にやむない理由で腎臓全てを摘出した場合を除き、部分切除か全摘出を選べる場合も出てくると思います。その場合の決断が果たしてよかったか悩むドナーの方が出てくる可能性もあるからです。

部分切除か全摘出かの「決断が果たしてよかったか」どうかのフォローとして、ドナー患者扱いして対応することは好ましいとは思いません。摘出後は病気治療としてその患者に対応するべきだと思います。
生体腎移植のように最初からドナーがいるのではなく、治療の経過を経た上で、結果としてドナーとなった者であって、あくまで治療目的で腎臓を摘出するのですから。

摘出後は病気治療としてその患者に対応しないと、治療目的でなく移植目的で摘出されたのかと疑い、ずっと疑念が晴れないままになってしまうと思います。
2007/06/16 Sat 07:04:33
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
コメントの追記。単なる情報の補充です。
>また、上を見る限り、過去に癌があっても容認される場合があるようです。
>実際、過去に癌があっても臓器摘出時に治っているドナーについては容認すると説明しているところもあります。
>(そのページは、
http://www.nms.ac.jp/FromNMS/JIN/JNOS-A.html
>です。ちなみにこのページは、日本腎臓移植ネットワーク関東甲信越ブロックセンター情報のページです。)

本当にそうなのか、気になっていたのですが、次のような記述がありました。生体腎移植の場合ですが。

「持病を持っていると提供はできませんか?

持病にもよりますが一度移植医に相談下さい。
基本的には癌を治療して数年以内の方やウイルス感染症の方は、腎臓といっしょにそれらの癌細胞やウイルスを移してしまう可能性がありますのでお薦めできません。」

http://www.nagoya2.jrc.or.jp/kidney-center/kaisetsu/qanda.html
(「腎移植Q&A - 名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター」からの引用。)

そうなると、実際上は「過去に癌があっても臓器摘出時に治っているドナーについては容認する」可能性はあまりないようです。生体腎移植では。

もっとも、死体腎移植なら、過去にがんがあっても治っているなら移植可能とも考えられますが、死体腎移植だと緩和していい理由が考えにくいのですが……。


>生体からの移植の場合と献体からの移植では臓器の取り出し方が異なります。また腎臓を摘出してから移植するまでの時間も違います。
>一概に、献体ドナーより生体ドナーの方が良好な結果が生じるとはいえません。

「藤田保健衛生大学病院での腎移植の特徴は、本邦の全腎移植の約75%が腎提供者(ドナーといいます)を健康な肉親や配偶者とする生体腎移植であるのに対し、腎提供者が死亡された第三者である献腎移植(死体腎移植ともいいます)が腎移植の約80%を占めているということです。しかも、脳死ドナー腎と比較し、かなり悪い条件下で摘出された心停止ドナー腎を移植しているにもかかわらず、当施設の腎移植成績は極めて良好で、本邦の主要施設での生体腎移植成績や脳死ドナー腎を用いた欧米の献腎移植成績に勝るとも劣らない腎生着率が得られており、この結果は国内外の学会や移植専門医からも高い評価を受けております。」
http://info.fujita-hu.ac.jp/~urology/ohanashi8.htm
(「藤田保健衛生大学泌尿器科、腎移植(1)」からの引用。)

この説明を見ると、死体ドナーよりも生体ドナーの方が腎生着率が良いという意識があるといえそうです。
2007/06/18 Mon 08:09:18
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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