FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
09« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»10
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2007/06/13 [Wed] 04:51:31 » E d i t
少し前の報道になりますが、余命6カ月と診断され、死期の迫った女性が自分の腎臓を提供する移植希望者を選ぶという内容により、国内外の物議を醸していたオランダのテレビ番組が6月1日に放送され、その中で実は作り話だったことが明かされました(朝日新聞)。
「死期の迫った女性」は現実には健康だったのですが、ここで注目したいのは、「死期の迫った女性」の死期の理由・何の疾患なのか、なのです。この点については、すでに「病気腎移植推進・瀬戸内グループ支援ネット」さんの「オランダの臓器提供ショー」(2007年6月 6日(水曜日) 15:25)で触れています。こちらもご覧下さい。


1.オランダでの臓器移植ショー番組の記事を引用しておきます。

(1) CNN(2007.05.31Web posted at: 13:55 JST- AP)

腎臓移植、テレビ番組で提供相手を決定 オランダ
2007.05.31 Web posted at: 13:55 JST- AP

オランダ・アムステルダム(AP) 手術不能な脳のがんを患い、存命中に腎臓を提供する考えを表明しているオランダ人女性(37)が、テレビ番組で提供相手を決めることになった。放送には反対の声もあがっているが、テレビ局は、移植腎臓の提供が危機的に少ない状況をアピールしたいと説明。政府は、番組内容がいかに非倫理的なものであっても、放送に介入できないとしている。

「ビッグ・ドナー(提供者)・ショー」という名がつけられたこの番組は、公共放送局BNNが来月1日に放送を予定している。「リサ」と呼ばれる腎臓提供者が、移植候補3人とその家族および友人たちと面談し、誰に提供するのかを決める。視聴者もインターネットを通じ、望ましいと思う候補者に投票できるが、最終的な決定はリサが下す。

3人が女性の提供する腎臓に医学的に適合しているのかは不明。そのため、リサの選んだ人物に必ずしも移植されるわけではないという。

この番組に関しては、与党キリスト教民主同盟の議員が国会で是非について質問した。答弁に立った教育相は「番組内容は放送にふさわしくなく非倫理的だと聞いているが、判断するのはテレビ側だ」と述べ、政府の介入は検閲に相当するとの考えを示した。

BNNの会長は「番組を悪趣味と感じる人もいるだろうが、現実はもっとショッキングで悪趣味だ。臓器の提供を待つのは、宝くじの当選を望むのと同じなのだ」と述べている。

腎臓移植を推進する立場の腎臓協会は、移植をめぐる問題への関心が高まったことを歓迎する一方で、番組については注目が集まり過ぎたとしてBNNに放送を見送るよう求めている。

オランダでは、放送に適しているかどうかの議論を呼ぶような番組が過去にも放送されている。2年前には、民間放送局が女性の出産の様子を生放送。BNNはほぼ同時期に、記者が麻薬(コカイン)を吸引し、どのような感覚なのかについてインタビューに答える番組を放送した。」



(2) CNN(2007.06.02Web posted at: 20:39 JST- CNN/REUTERS)

 「腎臓移植の提供相手決める番組、「架空の物語」と判明
2007.06.02 Web posted at: 20:39 JST- CNN/REUTERS

アムステルダム――手術不能な脳のがんを患い、存命中に腎臓を提供する考えを表明しているオランダ人女性(37)がテレビ番組で提供相手を選ぶと宣伝されていた番組が1日放映され、公共放送局BNNは番組の最後で「架空の物語」と告白した。

女性は健康な女優であることも分かった。オランダでの臓器提供者の不足に焦点を当てるための創作だったとしている。「架空」であることを明らかにしたのは女性が提供相手を発表する直前だった。

移植候補3人とその家族および友人たちと面談し、誰に提供するのかを決めるとされていたが、この3人は腎臓関連疾病を実際患っていた。

同放送の宣伝を受け、国内ではモラルの面などからの論争が起きていた。政府は番組内容がいかに非倫理的なものであっても、放送に介入できないとの立場を取っていた。

番組のプロデューサーは視聴者に謝罪を表明しながらも、番組内容への怒りが移植臓器の少なさへの批判に結びつくことを期待するともした。番組の創作の是非をめぐり新たな論争が起きそうな気配ともなっている。」



2.日本の報道記事では明示がなかったので、CNNの記事を引用しました。

(1) この記事によると、

「手術不能な脳のがんを患い、存命中に腎臓を提供する考えを表明しているオランダ人女性(37)」

です。要するに、がん患者だったのです。

記事を読むと、オランダではがん患者からの臓器提供については、「番組内容は放送にふさわしくなく非倫理的だ」とか、「人間の生死を見せ物にする」(産経新聞(2007/06/03 00:46))という批判はあっても、がん患者からの移植は「禁忌」であるといった批判は、オランダ市民レベルでも全くありません。オランダでは、医師に限らずオランダ国民は、臓器提供者ががんであっても、移植に使用することは問題視しない意識が根付いているわけです。もちろん、腎臓にがんがあったのではなく、脳にがんがあったケースですが。

そうすると、日本移植学会の大島氏が常々唱えている「がんは禁忌」としてすべて排除するという考えは、市民レベルでも世界的には通用しない考えであるようです。どんな場合でも許されない「絶対禁忌」ではなく、場合によって可能である「相対禁忌」というのが、世界的な理解ではないでしょうか。


(2) これに対して、日本では、提供された臓器は次のような評価によって、移植に使用する臓器かどうかを判断しています。なお、これは、死体臓器移植の場合の判断基準です。

ドナーの適応評価

 臓器提供の意思を持ったドナー候補が現れても、その臓器が医学的に移植に適しているとは限らない。移植される臓器は健康で、レシピエントの体の中で十分に機能を果たせると評価されるものでなければならない。またドナーがウイルスなどに感染したり、悪性腫瘍に冒されていると、臓器とともにレシピエントの体に病気を持ち込んでしまう可能性がある。

 したがって、臓器そのものが十分に機能できるものであるか、感染症にかかっていないか、悪性腫瘍を伴っていないか、肝炎ウイルス、エイズウイルスのキャリアでないか、などの点についてチェックする。高齢者では臓器も老化しているため、原則として心臓は50歳以下、肝臓は60歳以下、腎臓は70歳以下が望ましいとされている。

 またレシピエントとの適合性を調べるには、血液型、HLA型の検査、リンパ球交叉試験などが必要であり、そのために血液が採取され、検査センターに送られて分析される。」(「Transplant Communication」(臓器移植の情報サイト)より「臓器移植のプロセスを明らかにする」から引用)


この(死体臓器移植での)ドナー適応評価によると、「移植される臓器は健康で、レシピエントの体の中で十分に機能を果たせると評価されるもの」に限り、「ドナーがウイルスなどに感染したり、悪性腫瘍に冒されていると、臓器とともにレシピエントの体に病気を持ち込んでしまう可能性」があるので、それを排除するというのです。そうすると、おそらくは、臓器自体に悪性腫瘍がなくても、ドナーの他の臓器に悪性腫瘍がある場合には、その多くは(ほとんどすべて!?)そのドナーの臓器は移植に使用していないものと推測できます。

米国では、死体腎移植の場合ですが、かなり広範囲に病気腎移植が行われていますし、オランダではそこまで広範囲でなくても、移植される臓器の範囲が日本よりも広いといえそうです。

そうすると、日本では、諸外国と比較して、捨てている臓器がかなり多いと判断できるのですから、もっと諸外国の例を参考にして、捨てずに移植に使用することを考える必要があるように思います。

もっとも、捨てていた臓器を移植に使用する場合、生着率が低くなることが予想されますから、そういったリスクがあることをレシピエント側が十分に理解し、なるべく生着率を低くしないためにも、極めて優れた技量を有する移植医の手によることが不可欠になってくるのだと思います。
ただ、日本では諸外国と比較すると、移植数が少なく優れた技量のもつ医師が少ないため、捨てていた臓器を十分に活用できるか、現実的にはかなり厳しいのが難点ですが。




<6月14日追記>

コメント欄への記載から一部修正しつつ転載。

「<腎臓>臓器提供者(ドナー)適応基準

1.以下の疾患又は状態を伴わないこととする。
(1)全身性の活動性感染症
(2)HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原などが陽性
(3)クロイツフェルト・ヤコブ病及びその疑い
(4)悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられるものを除く)

2.以下の疾患又は状態が存在する場合は、慎重に適応を決定する。
(1)血液生化学、尿所見等による器質的腎疾患の存在
(2)HCV抗体陽性

3.年齢:70歳以下が望ましい。

付記 上記の基準は適宜見直されること。」


http://www.jotnw.or.jp/studying/06-3.html
これは、日本臓器移植ネットワークのHPからの引用ですが、これだけを見ると、悪性脳腫瘍であっても、原発性の場合なら移植可能といえそうです。

ただし、

「悪性の脳腫瘍は、体の別の部分で発生した癌が脳へ転移することが最も多く、転移は1カ所のことも複数の異なる部位のこともあります。乳癌、肺癌、消化器癌、悪性黒色腫、白血病、リンパ腫など、多くの癌が脳へ転移します。」


http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec06/ch088/ch088b.html

このような病状からすると、実際上、悪性脳腫瘍のうち原発性のものは少ないのですから、現実には、悪性脳腫瘍の患者からの臓器を移植に使うことはまれかと思います。
オランダの悪性脳腫瘍の患者の例だと、原発性かどうか分かりませんし、しかも悪性脳腫瘍の場合は脳へ転移した場合が多いのですから、やはり、日本ではドナーとなることはほとんどないように思われます。

テーマ:時事ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/421-8a431356
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
●TBS首相、歴代大臣の責任検証は「後で」安倍総理は、いわゆる「消えた年金」問題での歴代の厚生労働大臣の責任の検証は、社会保険庁など実務者に対する検証を終えた後で行う考えを示しました。「政治責任がどこにあったかという議論よりもですね、まず実務的にど....
2007/06/13(水) 22:09:40 | 晴天とら日和
アクセスありがとうございます。応援のワンクリックよろしくお願いします^^▼    ▼    ▼    ▼    ▼    ▼    ▼今オランダで、ある「やらせ番組」が議論を呼んでいるそうです。「やらせ番組」功罪 臓器不足、逆に関心アップ...
2007/06/21(木) 01:41:43 | ★社長の品格★
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。