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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/05/25 [Fri] 06:44:35 » E d i t
遊園地「エキスポランド」(大阪府吹田市)のジェットコースター事故を受けた緊急点検で、国土交通省は5月23日、全国の139施設のジェットコースター306基のうち、5施設の7基で車輪の亀裂などが見つかり、306基のうち、61施設の72基(24%)は過去に一度も微細な傷を調べる探傷試験を実施していなかったそうです(東京新聞5月23日付夕刊1面)。
この報道について紹介します。


1.朝日新聞平成19年5月23日付夕刊1面

 「ジェットコースター、4割が1年間探傷試験せず 国交省
2007年05月23日13時41分

 大阪府吹田市のエキスポランドで起きたジェットコースター死傷事故を受け、国土交通省が全国のコースター型遊具306基の点検状況を調べたところ、4割近い119基で、日本工業規格(JIS)で定められた年1回以上の車軸の「探傷試験」を行っていなかったことがわかった。これまで一度も探傷試験をしていない遊具も、4分の1にあたる72基にのぼった。JISの順守は現場で徹底されず、安全をなおざりにした「絶叫マシン」の管理実態が浮かび上がった。

 冬柴国交相は23日午前、コースター以外の遊具についても自治体を通じて緊急点検するよう指示した。

 調査は、ジェットコースターなど傾斜5度以上の高架のレールを走行する遊具がある施設を対象に、国交省が都道府県を通じて緊急点検の実施と過去の点検状況の報告を要請。18日までに139施設の306基について回答があった。

 国交省によると、設置後1年以上たつ297基のうち、車軸について過去1年以内に探傷試験を実施していなかったのは89施設119基。全施設の4分の3、全遊具の39%にあたる。仙台ハイランド遊園地(仙台市)やナガシマスパーランド(三重県)、ニューレオマワールド(香川県)、スペースワールド(北九州市)など、過去に遊具での人身事故が起きた施設でもJIS規定通りの点検を怠っていた。

 未実施の遊具の中には、東京ドームシティアトラクションズ(東京都)や鷲羽山ハイランド(岡山県)、三井グリーンランド(熊本県)といった有名な遊園地の絶叫マシンも並ぶ。市営や県営の施設もあった。

 探傷試験を一度も実施していなかったのは61施設の72基。うち設置から20年以上たつ遊具が14施設で18基あった。

 緊急点検を終えた103施設の256基のうち問題がなかったのは98施設の249基。車輪や車軸、レールに亀裂や破損があった遊具も、浅草花やしき(東京都)や多摩テック(同)の2基など5施設の計7基にのぼり、「今回の点検後に是正されたが、事故の恐れがある状態だった」(国交省)という。また、36施設の50基は点検が終わらず、現在も運行を休止している。

 調査結果は23日午前の衆院国交委員会でも取り上げられ、同省の榊正剛住宅局長は「たいへん憂慮すべき事態。JISの徹底を図りたい」と述べた。

 遊具の安全について、建築基準法は「定期的に検査を受け結果を報告しなければならない」としているものの、車軸の点検方法は政省令にも明文規定がない。JISは、探傷試験を年1回以上実施するよう定めているが、法令上の位置付けはあいまいとなっている。


<キーワード> 探傷試験

 金属部品などに生じた微細な傷や亀裂を、材料を壊さずに見つける非破壊検査。航空機や原子力発電所の部品検査などに採用されている。

 磁気の乱れから傷を見つける「磁粉探傷」染色液で傷を染める「浸透探傷」、内部の亀裂を超音波で見つける「超音波探傷」などがあり、目視での点検が難しい1ミリの亀裂も見つけられる。」 (*ネットと紙面で違うので、見出しはネットと同じだが、文章部分は紙面のものを引用した)



解説:安全意識の徹底が必要

 スリルを楽しむための前提となる安全への信頼は裏切られた。日本工業規格(JIS)に定められた「年1回以上の探傷試験」は、約4割のコースター型遊具で守られていなかった。国土交通省は規制強化を検討しているが、問題は現場の安全意識の低さにあるといえる。

 遊園地などの遊具の安全基準は1959年から建築基準法で定められた。規制の重点は構造物としての安全に置かれ、乗り物としての安全は、通達やJISによって行政指導が行われてきた。現場の安全は、定期検査の責任者「昇降機検査資格者」を中心に守れているはずだった。

 だが、エキスポランドの事故や今回の調査で浮かび上がったのは、多くの施設でのずさんな安全管理の実態だった。

 事故の再発防止に向け、国交省は「法令上のJISの位置づけがあいまいだった」と探傷試験の法令による義務化を検討している。国会などでは「時速100キロ超の乗り物の安全が建築基準法で守れるのか」と新法を求める声も出ている。

 規制強化は当面の事故防止に役立つとはいえ、法令に頼る安全は対応が後手に回りかねない。「法さえ守れば安全」との誤解も生じやすい。大切なのは、法の背後にある安全への社会的要請を認識し、それに応える自覚を持つことだ。

 問い直されるべきは、施設の経営者や現場の検査資格者が、なぜ安全に対する意識を徹底できていないのかという点であり、それを促すことができなかった国や業界もまた、反省が求められる。(本山秀樹)」



(1) エキスポランドの事故や今回の調査からすると、ずさんな安全管理体制だったのはエキスポランドだけではなく、他の多くの施設でも同じだったのです。

ジェットコースター死傷事故問題については、「「エキスポランド」ジェットコースター死傷事故問題~元業界関係者が語る“コースター事故の背景”(東京新聞5月9日付「こちら特報部」より)」で触れましたが、やはりというべきか、第二のコースター死傷事故がいつおきてもおかしくなかったわけです。


(2) 

「規制強化は当面の事故防止に役立つとはいえ、法令に頼る安全は対応が後手に回りかねない。「法さえ守れば安全」との誤解も生じやすい。大切なのは、法の背後にある安全への社会的要請を認識し、それに応える自覚を持つことだ。

 問い直されるべきは、施設の経営者や現場の検査資格者が、なぜ安全に対する意識を徹底できていないのかという点であり、それを促すことができなかった国や業界もまた、反省が求められる。」

コースターが事故を起こせば死傷者が生じるのですから、特に絶叫系コースターであれば多数の死者が生じる可能性も出てきます。そうなると、安全を強化する法令ができる否かに関わらず、コースター乗車客の安全を確保する義務を負っており、できる限り安全確保の対策を採る必要があるのです。

「問い直されるべきは、施設の経営者や現場の検査資格者が、なぜ安全に対する意識を徹底できていないのかという点」であることはもちろん必要ですし、「それを促すことができなかった国や業界もまた、反省が求められる」ことも必要です。ですが、もっとも問題となるのは、今後、施設の経営者や現場の検査資格者に対して、どうやって安全に対する意識を徹底させるか、という点でしょう。

もっとも効果的な方法としては、些細な事故であっても遊園地名と事故の状況を徹底して公表する義務を課すことだと思います。事故が多いことが明らかになれば、入場者が激減して閉園の危機に追い込まれるのですから、いやでも十分に検査をすることになるからです。下手をしたら、著名な遊園地も真実が明らかになれば、閉園の危機に追い込まれるかもしれません。




2.朝日新聞平成19年5月23日付夕刊17面

「探傷規定知らなかった」 コースター調査で施設側の声
2007年05月23日20時07分

 「絶叫マシン」の安全性はどう確かめたらよいのか。大阪・エキスポランドのジェットコースター事故をきっかけに国土交通省が23日まとめた調査で、車軸の亀裂などを調べる「探傷試験」を設置以来一度もしていないコースターは全国72基にのぼった。施設側からは「(基準を)知らなかった」「問題ないと思っていた」という声が相次いだ。

◇21年未試験の施設も

 日本工業規格(JIS)の「遊戯施設の検査標準」には「車輪軸は年1回以上の探傷試験を行う」と書かれている。しかし、そのことすら知らない施設が多かった。

 エキスポランドの事故機と同じメーカーの立ち乗り型コースターがある岡山県倉敷市の「鷲羽山ハイランド」は、JISの規定について「知らなかった」(広報担当者)と言う。4基のうち2基は86年5月の設置。21年にわたり探傷試験をしていなかったことになる。

 同園では過去3回、業者のアドバイスで車軸を新品に交換した。現在は点検のために運行を中止している。「金属疲労には交換が最も効果的。毎年、法定検査を市に届け出ていたので問題ないと思っていた」と担当者。

 秋田県男鹿市の「ファンタジア男鹿」の遊具を管理するアルノ(秋田市)の担当者によると、同社のモノレール型遊具について、年に1回の検査項目の一つに「探傷試験」の記述があった。ところが完了をチェックする欄には、初めから斜線が引かれていたという。「だからやらなくてもいいと思っていた」と担当者は話す。

 北海道の帯広市動物園の大西正典園長も「JISに基づく探傷試験の義務は知らなかった」と言う。2基ある施設のうち1基は79年設置。点検業者から「目視やハンマーによる検査で異常があった場合のみ探傷試験をやればいい」と説明を受け、納得したという。

 第三セクターが管理運営する北海道湧別町の「ファミリー愛ランドユー」の担当者も試験義務自体を知らなかった。20日から急きょ、該当機を休止して試験を始めた。

 エキスポランドは7日の記者会見で、探傷試験について「施設設置以来、JISに定められていたことを知らなかった」と話していた。

◇首都圏の遊園地 温度差

 首都圏の遊園地の対応は――。

 東京都台東区の浅草花やしきでは、4月8日の始業前点検で、コースターの車輪の一部に亀裂が見つかった。その場で部品を交換し、運行を続けた。5月8日からの緊急点検でも、別の車輪の一部から亀裂が見つかり、やはり部品を交換したという。23日から運行を再開している。

 担当者は「傷があったからといって直ちに事故につながる危険があるとは限らない。部品交換後の探傷試験でも問題ないとの結果が出ており、自信をもって安全といえる」と話す。

 東京都文京区の東京ドームシティアトラクションズは、調査対象5基のうち、大型コースター「サンダードルフィン」で探傷試験を先延ばししていた。

 約80メートルの高さから約80度の傾斜を最高時速130キロで滑り降りる。例年2月に外部の検査会社に委託して実施していたが、気温などの面で条件の良い春に変更するため、今年は6月に延期していたという。運営会社は「年1回以上の実施というJISの規定は知っていた。年内の実施であれば間隔が1年を超えても問題ない、という認識でいた」と話す。

 エキスポランドの事故を受けて5基の運転を一時休止したが、緊急点検で安全を確認。サンダードルフィンも18日から運転を再開した。

 千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートでは、「スペース・マウンテン」など計七つのコースターをそれぞれ年に1度運休し、JIS基準に従って試験している。

 運営するオリエンタルランドによると、社内の技術者が探傷試験に先立ち、車両を分解して損傷などを確認する。その後、委託した専門業者が、磁石や超音波を用いて調べているという。」



 「法基準あいまい――清水久二・横浜国立大名誉教授(安全工学)の話
 探傷試験の法令上の基準のあいまいな点が、未実施の多さを招いたと思う。コースターごとに構造が違い、車軸にかかる力も違うのに、JIS基準が一律に年1回以上の点検を求めているのも、施設側への説得力を持ちにくい要因だろう。全施設でも検査回数が限られることや、専門性を持つ検査員の数が少ないことを考慮し、検査機関の共有など実効性のある対策を検討して欲しい。」



(1) この記事を読むと、多くの施設経営者側がいかに安全意識が乏しいが分かります。

「21年にわたり探傷試験をしていなかった」とか、探傷試験の「完了をチェックする欄には、初めから斜線が引かれていた」から「やらなくてもいいと思っていた」とか、点検業者から「目視やハンマーによる検査で異常があった場合のみ探傷試験をやればいい」と説明を受け、納得したとか。
最高時速130キロで滑り降りるという大型コースター「サンダードルフィン」であっても、1年を超えて探傷試験を先延ばししても問題ないという認識でいた、というのもどうかと思いますが。


(2) もっとも、清水久二・横浜国立大名誉教授(安全工学)の話を読むと、探傷試験を実施していなかったことは、施設経営者側が安全を軽視していたからと決め付けることができないことがわかります。

「探傷試験の法令上の基準のあいまいな点が、未実施の多さを招いたと思う。コースターごとに構造が違い、車軸にかかる力も違うのに、JIS基準が一律に年1回以上の点検を求めているのも、施設側への説得力を持ちにくい要因だろう。」


探傷試験をしない施設が多かったのは、法令上の基準があいまいだった点も原因なのですから、一概に探傷試験をしなかった施設を非難できないわけです。

しかも、あまりスピードの出ないコースターから、高速で走るものまで色々なのですから、「コースターごとに構造が違い、車軸にかかる力も違う」以上、施設経営者の意識もそれぞれとなるのが自然です。そうなると、「JIS基準が一律に年1回以上の点検を求めている」と言われて、JIS基準通りに実施していないと非難されても、戸惑う施設があるのも当然といえるのでしょう。
しかも、専門性を持つ検査員の数が少ないという現状では、検査したくても十分にできないわけです。

ですから、問題であったのは、JIS基準を遵守したか否かというよりも、安全意識の徹底ができていたのか否かという点なのだと思います。たとえ「21年にわたり探傷試験をしていなかった」としても、頻繁に「新品に交換」していれば、コースターによっては安全管理は十分であったともいえるのです。

(3) 

「全施設でも検査回数が限られることや、専門性を持つ検査員の数が少ないことを考慮し、検査機関の共有など実効性のある対策を検討して欲しい。」

安全強化の法令を作ることも結構なことだとは思います。ですが、法令を作るということよりも、検査員の増員を図り、「検査機関の共有など実効性のある対策」を採ることこそ、重要なのです。

ちなみにドイツでは、安全確保のために第三者機関が総合的に検査を行っているそうです(NHK放映「クローズアップ現代」より)。将来的には、そういった安全管理体制を設けることが望ましいと思います。

テーマ:ニュース・社会 - ジャンル:ニュース

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コメント
この記事へのコメント
エントリーとは異なるコメントで、恐縮でございます。
 昨日は光市母子殺害事件(当時少年被告)の差し戻し審初公判があり、本日は少年法が改正(悪)されました。少年の健全な育成に寄与するのでしょうか。
 2000年の神戸新聞の記事ですが、興味深いものがありました。神戸の連続児童殺傷事件の少年審判を担当なさった井垣康弘氏の書かれたものです。
http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/53add85deefbef721e190c922d73ac16
2007/05/25 Fri 13:25:29
URL | ゆうこ #mQop/nM.[ 編集 ]
>ゆうこさん
コメントありがとうございます。

>昨日は光市母子殺害事件(当時少年被告)の差し戻し審初公判があり、本日は少年法が改正(悪)されました。少年の健全な育成に寄与するのでしょうか。

ともかく、まずは光市母子殺害事件差し戻し審初公判についてエントリーしてみました。

今回の少年法改正は、「少年の健全な育成」よりも「厳罰化」優先ということなのでしょう。今回の改正は、少年院側も困っているようで、多くの問題が生じてしまったようです。少年法改正についても触れてみたいと思います。
2007/05/27 Sun 07:14:47
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
もっと詳しく
2007/09/12 Wed 11:06:01
URL | 名無しの権兵衛 #-[ 編集 ]
>名無しの権兵衛さん
コメントありがとう。まず、名前を書いて下さい。検索しづらいので。


>もっと詳しく

詳しく書くことを求めているのは、ジェットコースター死傷事故のことですか? それとも少年法改正のことでしょうか? 

少年法改正の問題は、論じようとしても色々と話題が多く、すみませんが延び延びになっています。法律雑誌でも、少年法改正の特集を次々掲載(予定)していますので、論じるとしたら、その雑誌を見てからということになるかと思います。
2007/09/13 Thu 21:37:38
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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2007/05/26(土) 22:59:56 | 晴天とら日和
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