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2007/05/16 [Wed] 05:31:01 » E d i t
5月14日、憲法改正手続き法(国民投票法)が成立し、いよいよ憲法改正が現実味を帯びてくることになりました。この国民投票法成立に関して、幾つかの論評・報道記事を引用していきたいと思います。今回は、作家・村薫氏が東京新聞に連載している「社会時評」を紹介します。


1.東京新聞平成19年5月15日付夕刊9面「社会時評」(村薫)

なんとなく改憲? 不備・不透明・強引――政権党の悲願とは別物

 憲法施行60周年の今年、これまで現実になるとは思いもしなかった国民投票法(憲法改正手続き法)が14日、成立した。安倍政権の憲法改正のかけ声は、いまや「嘘(うそ)のようなほんとうの話」になりつつある。

  ◆

 この60年、私たちにとって憲法は、ほとんど空気のようにそこにあり、時代に合うか否かを考えることもなかった。一方で一握りの政治家が改正を目論(もくろ)み、その一人が政権与党の総理総裁になったことで、ある日突然、政治日程に上ってきたのである。

 けれども、こうしていよいよ現実のものとして目の前に突きつけられてみると、今日の憲法改正の動きには多くの不備があることに気づかされる。第一に、憲法は国民主権者であることを保証していると同時に、ときどきの政権が自らの政策の正当性の根拠とするものである。そのため、首相や閣僚らは憲法の遵守(じゅんしゅ)を義務づけられているのだが、その彼らが率先して憲法改正を叫ぶのは、明らかにおかしい。ましてや政治課題にしたり、選挙の争点にしたりする性格のものでないのは、言うまでもない。

 だいいち総選挙も経ていない政権に、勇ましく憲法改正に踏み出す根拠があろうはずもない。また、憲法を改正するというのなら、何よりまず、衆参両選挙区の一票の格差を放置したままの国会に、憲法改正の発議をする資格があるとは思わない。

 さらに国民投票法については、有効投票総数の2分の1以上という規定が国会で議論になったが、国のあり方を変えようというときに、棄権者を白紙委任とみなすのは乱暴にすぎる。国はせいぜい啓発に努め、全有権者数を分母とすべきだと思う。

  ◆

 また、同法に併せて設置される憲法審査会は、改正原案を審査する機関だというが、国民を蚊帳の外に置いて、一から条文を書いていく場にならないという保証はない。

 このように手続きだけをみても実に不透明な改正の動きであるが、改正の目的はさらに不透明である。そもそも憲法改正は自民党結党以来の悲願だが、自民党の悲願の原点には、敗戦後の独立回復の過程で、戦勝国による天皇の戦争責任追及を回避するために、心ならずも受け入れた憲法だという思いがあると言われる。しかし国民は、とにかく素直に平和憲法を喜んだのであり、政権与党として尊重すべきは、国民が60年も憲法を享受してきた事実のほうだろう。

 私たちの多くは、現行憲法がGHQに押しつけられたものであるか否かを、重要な問題とは考えていない。60年を経た憲法に、何か不都合があるとも感じていない。たとえば戦力不保持の条文と自衛隊のあいまいな関係も、自衛のための最小限の戦力という内閣法制局の解釈で足りているというのが、大多数の感じ方のはずだ。しかもアジア諸国は、日本が集団的自衛権を行使してアメリカ軍とともに世界に軍事展開することを望んでいない。近隣の望まないことをするのが、安全保障上もっともまずい戦略だということぐらい、私たちにも想像はつく。

  ◆

 自民党は、日米同盟強化のために何としても自衛軍を保持したいらしいが、長い目で見れば一時的なものでしかない利害関係のために、国民の憲法を改正してよい道理はない。

 憲法は私たちとともにあり、時代や社会とともにあるのだから、私たちが欲すれば、変えることはできる。しかし私たちには、いま憲法を変えるような理由があるか。アメリカと一心同体にならなければ困るような状況が、どこかにあるか。

 安倍政権は、美しい国を連呼するだけで、国民のために憲法改正を急ぐべきことの合理的な説明をしていない。そういう政権に、そもそも憲法をいじる資格はないと、私自身はシンプルに考えている。 (たかむら・かおる=作家)」




2.幾つかの点についてコメントします。

(1) 

 「こうしていよいよ現実のものとして目の前に突きつけられてみると、今日の憲法改正の動きには多くの不備があることに気づかされる。第一に、憲法は国民主権者であることを保証していると同時に、ときどきの政権が自らの政策の正当性の根拠とするものである。そのため、首相や閣僚らは憲法の遵守(じゅんしゅ)を義務づけられているのだが、その彼らが率先して憲法改正を叫ぶのは、明らかにおかしい。ましてや政治課題にしたり、選挙の争点にしたりする性格のものでないのは、言うまでもない。」


憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」として、憲法尊重擁護義務を規定しています。この規定によると、あえて天皇と三権(立法、司法、行政)の担当者を名指ししているのは、「憲法を守らない可能性がある者」(山内氏)を具体的に列挙し、警告を発したということができます(「第3回憲法を守るのは誰か」参照)。そうすると、安倍首相が率先して憲法改正を叫ぶのは、憲法尊重擁護義務違反であると理解するのが素直な判断です。

しかも、 憲法の改正は、「各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議」が必要としていることは、議員全員がほぼ賛成するほどの改正案であるということを意味します。そうなると、憲法改正論議は、元々、選挙で与党か野党か二分して争う性質ではないのに、安倍首相は、憲法改正を参院選の争点とするのですから、どうかしているとしか思えません。

安倍首相が憲法改正を叫び、参院選の争点とすると明言することは、憲法上、どうしてもおかしいのです。


(2) 

 「改正の目的はさらに不透明である。そもそも憲法改正は自民党結党以来の悲願だが、自民党の悲願の原点には、敗戦後の独立回復の過程で、戦勝国による天皇の戦争責任追及を回避するために、心ならずも受け入れた憲法だという思いがあると言われる。しかし国民は、とにかく素直に平和憲法を喜んだのであり、政権与党として尊重すべきは、国民が60年も憲法を享受してきた事実のほうだろう。」


自民党の悲願の原点には、「敗戦後の独立回復の過程で、戦勝国による天皇の戦争責任追及を回避するために、心ならずも受け入れた憲法」だったというものなのですから、そんな心情は現行憲法の内容とは無関係であって、国民はそんな悲願に共感している暇はありません。当時、自民党と異なり、「国民は、とにかく素直に平和憲法を喜んだ」のです。

それを「戦後レジームからの脱却」を掲げての改正論は、「60年間に人生を送ってきた世代の人たちへの冒涜ではないかと思う。あるいはこの60年を否定するが如きの暴論といってもいい」のです(作家・保坂正康「施行60年憲法とどう向き合うか」東京新聞平成19年5月7日付夕刊9面)。


(3) 

 「自民党は、日米同盟強化のために何としても自衛軍を保持したいらしいが、長い目で見れば一時的なものでしかない利害関係のために、国民の憲法を改正してよい道理はない。

 憲法は私たちとともにあり、時代や社会とともにあるのだから、私たちが欲すれば、変えることはできる。しかし私たちには、いま憲法を変えるような理由があるか。アメリカと一心同体にならなければ困るような状況が、どこかにあるか。

 安倍政権は、美しい国を連呼するだけで、国民のために憲法改正を急ぐべきことの合理的な説明をしていない。そういう政権に、そもそも憲法をいじる資格はないと、私自身はシンプルに考えている。」


現在、自衛隊は実質的に「自衛軍」であるのに、わざわざ多大な費用と時間と政治的労力を費やして、憲法改正を行い明記する必要がどこにあるのでしょうか? 憲法改正によりアメリカと一心同体となって、よりアメリカに追従するような憲法となり、一層アメリカに隷属する結果になることのどこが、自主憲法の制定といえるのか、まったく分かりません。

安倍政権は、「美しい国を連呼するだけで、国民のために憲法改正を急ぐべきことの合理的な説明をしていない」のに、国民投票法について、与党は衆院での採決強行、参院での18項目に及ぶ積み残しをしたまま、成立させてしまったのです。憲法改正を急ぐ合理的な説明をせずにともかく「改憲ありき」では、真っ当な憲法論議はとてもできそうにありません。国民投票法でさえ、中途半端なのですから。

安倍首相は、憲法尊重擁護義務違反を気にせず、憲法の基本、すなわち権力を制約するための法が憲法であることさえ理解していない(枝野幸男議員「東京新聞5月15日11面」)のですから、「そもそも憲法をいじる資格はない」と断言されてしまうのは当然のことなのです。

テーマ:憲法改正論議 - ジャンル:政治・経済

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2007/05/16(水) 14:16:10 | 晴天とら日和
^明日は、<集団的自衛権アホメンバー>13人の発言等を検証します。この項は、私の魂が籠っています。私は、もう、両足棺桶に突っ込んだ病人だし、ババァだし、私の人生、そんなに長くはありません。(まぁ、憎まれっ子世に憚る、で長生きするかもしれん?)...
2007/05/20(日) 20:47:37 | 晴天とら日和
村野瀬@派遣秘書@ 私たちは現日本政府の体制変革(レジームチェンジ)に反対しますhttp://kokumintouhyou.blog98.fc2.com/です。下に掲載するのは、「私たちは現日本政府の体制変革(レジームチェンジ)に反対します」の共同声
2007/06/03(日) 22:13:34 | 村野瀬玲奈の秘書課広報室
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