FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
07« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»09
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2007/05/15 [Tue] 00:00:24 » E d i t
憲法改正の手続きを定める国民投票法案が、5月14日の参院本会議で採決され、自民、公明両党の賛成多数で可決・成立しました。民主党など野党は審議が不十分だとして反対したが、民主党では渡辺秀央氏1人が賛成に回りました。
同法の成立後、改憲原案そのものの提出・審査は3年間凍結される一方、次の国会から衆参両院に憲法審査会が設置されるなど、国会でも改憲を視野に置いた論議が始まることになる。この報道についてコメントしたいと思います。


1.まず報道記事から。

(1) 朝日新聞平成19年5月12日付朝刊2面「時時刻刻」

山積論点 参院素通り 「再考の府」機能せず

 憲法改正を参院選の争点にする――。国民投票法を可決した11日の参院特別委員会でも、安倍首相はこうした考えを重ねて示した。だが、参院では論点が深まったものの、与党は「修正なし」で突き進み、「再考の府」としては機能しなかった。改憲問題では「二院制の見直し」も議論されるなか、法案の課題は積み残されたまま成立する。(佐藤武嗣、鮫島浩)

 「衆院ではボタンの掛け違いがあった。力任せでやると国が割れる。再考の府の参院で、軌道修正してほしい。それが二院制のメリットだ」

 8日の参考人質疑。与党推薦の小林節慶大教授は「僕は改憲論者」と断ったうえ、参院審議で与党と民主党が関係修復するよう促した。ジャーナリストの今井一氏も「公務員の政治的行為の制限」の適用除外で民主党と一度は合意したことに触れ、「適用除外を参院でぜひ復活させてほしい」と訴えた。

 自民党の新憲法草案づくりでは「二院制の見直し」が浮上。存在感が薄い参院にとって、この法案審議は「二院制」の意義をアピールする格好の舞台のはずだった。

 ところが、与党は「中央公聴会を開かないまま採決すれば参院の歴史に汚点を残す」(民主党の簗瀬進氏)という反対論を抑え、衆院が通した法案のまま採決。自民党の舛添要一氏は「民主党との合意を崩した張本人と批判される首相への質疑は衆院ができなかったこと」と胸をはるが、首相の登場にはむしろ「安倍カラー」を演出する思惑すらにじんだ。

 民主党も参院で最低投票率を求める質問を繰り返したが、採決前に提出した対案にはその規定はなく、「民主党の対案に入るべきだが、党内不一致になるから入っていない」(参院自民幹部)と皮肉られた。

 次の国会から衆参に憲法審査会が設置され、その合同審査会が改憲論議を主導する見通しだ。参院審議では「通常の衆参の関係からして事実上の衆院の優越になる」と指摘された。「結論ありき」の参院審議は、そんな懸念をいっそう膨らませた。

◆妥協、「付帯決議」ずらり

 「付帯決議の数の多さが、とりもなおさず審議が尽くされていないことを示している。法案を修正すれば済む話だ」。11日の同特別委で、与党案への反対討論に立った社民党の近藤正道氏はこう指摘した。

 付帯決議は、民主党が採決を受け入れやすいよう与党が配慮し、採決直前に両者でにわか作りしたものだ。<1>最低投票率制度の意義・是非を検討<2>公務員や教育者の地位利用による国民投票運動の規制で、禁止される行為の明確化<3>罰則の適用は国民の意見表明や運動が萎縮(いしゅく)しないよう慎重に運用――など18項目にわたる。

 自民党の舛添氏は「ここに参院の良識が詰まっている」と語ったが、課題が積み残されていることをいみじくも認めた格好だ。

 妥協の道を模索した衆院に比べ、参院では議論が深まったとの見方は与野党とも一致している。例えば最低投票率制度について「ごく一部の人の意思によって改正されれば、憲法の正当性を損なう」(山口二郎・北大大学院教授)などと多くの公述人らが指摘。組合の運動を警戒した一部自民党議員の主張で盛り込まれた、公務員への「政治的行為の制限」についても「公務員は何をしていいのか、いけないのか、全くわからない」とあいまいな基準を懸念する意見も相次いだ。

 同法案では、「関連する事項ごと」に分けて改憲案の賛否を問う、となっている。自民党新憲法草案の賛否を一括して問うことにはならないが、どこまでが「関連する」条項とみるのか、その基準は不透明なままだ。
 
 そもそも、投票年齢の「18歳問題」や、公務員の政治的行為の禁止基準など、詰め切れない部分は、凍結期間の3年間に議論するとして、法案の「付則」の検討課題に押し込まれている。法案作成に携わった与党関係者は「政局と政治的妥協で、いびつな法案になってしまった」と打ち明ける。付則にとどまらず、付帯決議で指摘された項目についてもなお、見直しを続けることが迫られる。

◆改憲争点化 離れる民主

 「私の内閣で憲法改正を考えていきたいと訴えるのは、むしろ正直な態度ではないか」

 11日の参院憲法調査特別委員会。大詰めの審議に登場した首相は、参院選で「憲法改正」を訴える考えを強調した。

 与党と民主党の協調路線を崩したのは、憲法改正を参院選の争点に掲げる今年初めの首相発言だった。だが、憲法改正をどう訴え、何を問いかけたいかは、いまだ判然とはしない。この日の質疑でも、民主党の前川清成氏が「街頭演説で自民党の草案を読み上げるのか。具体的にこの国の形をどう変えたいのかを示さないと、国民には伝わらない」と指摘した。

 首相は「街頭演説で全部しゃべるわけにはいかない」としつつ、「『何を考えているのか』とよく言われるが、自民党はすでに決めている。この存在をまず知らしめていく。9条を変えるとも書いてある」。自民党の新憲法草案の実現をめざすと訴えるのだと説明したが、自らの言葉で志向を語ることはなかった。

 憲法改正には衆参で3分の2以上の議席が必要だ。民主党との合意は不可欠だが、首相が憲法改正の争点化を掲げるほど民主党は離れていく格好で「安倍さんは参院選で与党だけで3分の2をとれないと退陣するのか」(民主党の枝野幸男憲法調査会長)とも皮肉られている。首相が自民党の草案に固執すれば、民主党との合意形成は絶望的な状況だ。」




(2) 朝日新聞平成19年5月11日付朝刊16面「私の視点」

 「◆国民投票法 最低投票率 違憲ではない――上智大教授(憲法)・高見勝利(たかみ かつとし)

 憲法改正の手続きを定める国民投票法案をめぐる参院での審議が大詰めを迎えている。だが、重大な論点について議論が尽くされていないばかりか、憲法解釈上も見過ごせない奇妙な議論がまかり通っている。

 その1つが、最低投票率を設けることが憲法違反だとする法案提出者の見解だ。その主張を整理すると次のようになる。

 憲法96条は、国会の憲法改正の発議要件について各議院の「総議員の3分の2以上の賛成」と厳格に定める一方で、国民投票の承認については「その過半数の賛成」としている。

 「その過半数」とは、実際に投票所に行き、賛成・反対の明確な意思を表示した投票権者、つまり、有効投票の過半数であることは一義的に明白だ。憲法に書かれていない最低投票率を法律で設定するのは憲法96条に過度の要件を加えるもので、憲法違反だ――。

 しかし、この見解は、憲法96条に関する独自の理解に基づくもので、一般的にはとうてい通用しない。

 「その過半数」の意味については、複数の「解釈」の余地がある。他ならぬ提案者自身が、衆院の憲法調査特別委員会などで、過半数の算定基準として、<1>投票権者総数<2>投票総数<3>有効投票総数、という三様の理解がありうると、公言していたことからも明らかだろう。学説上も3通りの解釈がなされている。

 そもそも、<1>の解釈に立てば、最低投票率の問題は生じない。集計の結果、投票権者名簿に記載された投票権者総数の「過半数」の賛成が得られなければ、国民の「承認」があったとはいえないからだ。

 一方、<2>や<3>の解釈では、投票権者の何%が投票所に足を運び、票を投じたかが問題となりうる余地がある。「大量の棄権や白票・無効票が出た場合でも、投票総数等の過半数が得られさえすれば、国民による憲法改正の承認があったとしてよいのか」という疑問が生じるためだ。

 最低投票率に関する規定を置くべきだとする主張がいま、弁護士会や法学者、市民団体などの間で強まっているのは、この点を突いている。あまりに低い投票率で憲法改正がなされる可能性のある法律を作ることが、国民の憲法改正権の本質に照らして問題はないのか、という問いである。

 にもかかわらず、最低投票率を法律で定めるよう憲法に書いていないからという理由で、最低投票率を設定することを違憲だという主張は本末転倒もはなはだしい。その論理に従えば、国民投票法を作ること自体も憲法に明記されておらず違憲だという、奇妙なことになるのではなかろうか。

 しかも、最低投票率が重大な争点になったのは、憲法96条の「その過半数」をめぐる複数の解釈の中から、提案者があえて「有効投票」を採用したためだ。

 それに伴う問題解決のために立法上の手当てをすることは、憲法改正権者を国民と定めた憲法の趣旨に沿いこそすれ、違憲の解釈はあり得ない。逆立ちした議論の横行を見過ごすわけにはいかないし、「良識の府」としての参院での真摯(しんし)な議論を期待したい。」




2.「参院では議論が深まったとの見方は与野党とも一致している」と自画自賛しているようですが、参院でわずか1ヶ月の論議に「論点を深めるような議論ではなかった」(小林節教授・朝日新聞5月14日付夕刊15面)という評価の方が妥当です。

「付帯決議の数の多さが、とりもなおさず審議が尽くされていないことを示している」のに、なぜ、そのまま成立させてしまったのか、というと、それば安倍首相の指令に従ったからでしょう。指令に従わないと、おそらく郵政解散と同様、推薦取り消しなどペナルティもあるでしょうから、みな従うのも当然でしょうが。ともかく今国会で成立させるという「結論ありき」の参院審議でした。

法案提出者が「最低投票率を設けることが憲法違反だ」といったりするような、憲法感覚が皆無な議員ばかりなのです。かといって、与党議員だけがダメかというと、そうでもないのです。民主党も参院で最低投票率を求める質問を繰り返していたようですが、採決前に提出した対案にはその規定はないのですから、「民主党の対案に入るべきだが、党内不一致になるから入っていない」(参院自民幹部)と皮肉られても、何も文句は言えません。

憲法改正には衆参で3分の2以上の議席が必要ですから、民主党との合意は不可欠です。なのに、首相が憲法改正の争点化を掲げることで、かえって民主党は離れていく格好になります。合意が必要である以上、自民党の新憲法草案をそのまま改正案にできないはずなのに、安倍首相は自らの言葉でどう国を憲法を変えたいのか、志向を語ることができないのです。憲法改正を夢想しているだけなのでしょうか、安倍首相は。

憲法がよく分からない議員が、論点山積のまま、18項目もの付帯決議を付けたまま、国民投票法案を成立させてしまったのです。白けた気分に陥っています。

テーマ:ニュース - ジャンル:ニュース

憲法 *  TB: 7  *  CM: 0  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/393-e2c097fe
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
【国民投票法の強行に抗議】今日、5月14日という日は、後の歴史からみれば歴史の大きな転換点となった日として歴史に刻まれるだろう。楽天仕事市場国会で、憲法9条を変えてアメリカの戦争に日本が参戦するための憲法改定。本日、この手続き法案である『国民投票法』が成
2007/05/15(火) 00:49:47 | Mr.くろぱんだのブログ 平和と未来
もうすぐ、60代になる関西のオバチャンが、今、何を危惧するかといえば、当然アベシの政治姿勢にあります。攻撃的で、勇ましくもあり、ですが。何故?勇ましくなれるのか?それは、アベシは、戦争突入になったとしても前線に行くことは100%ありません。前線で人に殺さ
2007/05/15(火) 01:29:09 | 晴天とら日和
 昨日14日は帰宅が0時近くに。で、早速、ネットでニュース・チェックをしたのだが・・・。 予定通りの国民投票法案成立、案の定のイラク特措法延長の強引採決etc.etc.・・・まあ、ほとんどは想定の範囲内のニュースだったのだけど。 そんな中、あまりにも予想外で、驚
2007/05/15(火) 10:28:23 | 日本がアブナイ!
3日ほど情報をシャットアウトしていたら・・・色々ありますね。 ■公的年金加入記録、生年月日不明が30万件…受給額影響も ■環境事前調査 海自艦艇が支援 沖縄・辺野古沖 ■「国内法にのっとり処理」 北のテロ支援解除で米国務長官 ■「松岡氏の説明は不十分」 光熱水費
2007/05/15(火) 11:36:36 | 競艇場から見た風景
先日、衆院を通過した時にも書いたが筆者は憲法改正自体は反対ではない。改正を否定した法律は、もはや法律とは呼べない、と考えるからである。しかし、「改正」と正しく改める限りは、こう変えるべきと先日もご紹介した改正私案を、再度掲載しよう。右翼の方々、激怒必至の
2007/05/15(火) 13:10:09 | しっとう?岩田亜矢那
※最初の表題「「反戦な家づくり」さんへ、有志を募って連名で民主党に現憲法、なかで
2007/05/15(火) 15:57:50 | 雑談日記(徒然なるままに、。)
国民投票法が成立 自、公両党の賛成多数で参院で可決 憲法改正の手続きを定める国民投票法案が、14日の参院本会議で採決され、自民、公明両党の賛成多数で可決・成立した。民主党など野党は審議が不十分だとして反対した。同法の成立後、改憲原案そのものの提出・審査は
2007/05/15(火) 19:11:11 | S氏の時事問題
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。