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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2006/01/20 [Fri] 00:50:02 » E d i t
1月17日の事件について、続報を含めて触れておきたいと思います。


1.ライブドアに対する強制捜査の影響で、東京証券取引所で全銘柄を売買停止するなど「ライブドア・ショック」がおきましたし、粉飾決算の疑いも出てきました。

(1) 読売新聞(1月18日付)によると、

「ライブドア本体も粉飾決算、数社利益を付け替え黒字に

 インターネット関連企業「ライブドア」(東京都港区)が2004年9月期決算で、実質的に傘下にある複数の会社の利益を自社の利益に付け替え、経常赤字だったライブドア単独の決算を約14億円の経常黒字に粉飾していたことが、関係者の話で分かった。
 ライブドア本体の不正経理が明らかになったのは初めてで、東京地検特捜部も同様の事実を把握しているとみられる。特捜部は17日、関連会社の証券取引法違反容疑で、ライブドアの会計監査を担当していた港陽監査法人(横浜市)も捜索、本体の粉飾の実態も調べている。
 特捜部は今後、堀江貴文・ライブドア社長(33)、グループの財務責任者を務めている宮内亮治・同社取締役(38)、関連会社「バリュークリックジャパン」(現ライブドアマーケティング)の岡本文人社長(38)の3人から事情を聞き、同グループを舞台にした不透明な経理操作や株取引の全容解明を進める方針だ。…
 ライブドアは04年9月期の単独の決算が、実際には10億円前後の経常赤字になっていたことから、これらの会社の利益の中から計約24億円を、ライブドア本体の利益とすることで、最終的に約14億円の経常黒字としていた。
 当時、ライブドアは、プロ野球の新規参入を巡り、経営体力に勝る『楽天』と争っており、審査では『親会社の経営の安定性』が重要な要素となっていた。関係者は『赤字だと格好がつかないし、株価に悪影響を与えるため、単体決算をよく見せかけたのだろう』と指摘している。」



ここで出てきた粉飾決算が事実だとすると、堀江社長や宮内取締役はどのような法的責任が生じるのでしょうか?



(2) 御器谷法律事務所のHPから引用すると、

「1. 粉飾決算とは、
 典型的には、会社の経営状況が赤字や債務超過等悪化しているにも拘らず、売上げを水増ししたり、経費を圧縮したり等して不正な経理操作を行って黒字決算にすること等を言います。
 粉飾決算をして銀行から不正に融資を受けたり、本来できない利益配当や役員への賞与の支給を行えば会社の財産の減少をもたらし、債権者へも影響します。さらに上場会社にあっては、投資家への偽りの開示となり証券市場での投資家を裏切ることもあります。このように粉飾決算は様々の弊害をもたらし会社経営者としては決して行ってはならないことです。時として役員から「会社の信用を維持するためやむをえず行った」等の弁解を聞くことがありますが、コンプライアンスの見地からは全く許されない言い訳にすぎません。…
 粉飾決算の際の取締役の責任を刑事責任と民事責任に分けて説明します。

2. 刑事責任
(1) 会社財産を危うくする罪、違法配当罪
粉飾決算を行って本来はすることができない違法配当(「タコ配当」とも言われます)を行った場合には、「会社財産を危うくする罪」ないし「違法配当罪」(商法489条3号)として、これを行った取締役は「5年以下の懲役又は500万円以下の罰金」となります。
(2) 特別背任罪
取締役が粉飾決算により自己又は第三者の利益を図りその任務に違背して会社に損害を与えたときは特別背任罪(商法489条)として「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」となります。
(3) 証券取引法違反
上場企業の取締役が有価証券報告書の重要な事項に虚偽の記載をして提出したときは、「有価証券報告書虚偽記載罪」(証券取引法197条)として「5年以下の懲役・500万円以下の罰金」となります。

3. 民事責任
(1) 違法配当額の賠償-商法266条1項1号
取締役が粉飾決算により違法に利益配当を行ったときは、取締役は連帯してこの違法に配当した利益を会社に賠償すべきことになります。
(2) 第三者にも責任-商法266条ノ3第2項
取締役が粉飾決算により計算書類等の重要事項に虚偽の記載をし、そのために第三者に損害を生じたときは、取締役はこの第三者に対して連帯してその損害を賠償すべき責任を負うことがあります。
(3) 証券取引法24条の4
上場会社の取締役が有価証券報告書の重要な事項に虚偽の記載等をし、これを知らないで有価証券を取得した者にこれにより損害を生じたときは、この損害を賠償すべき責任を生じます。」
*条文は現行商法のものです。なお平成18年5月(施行予定)からは「会社法」が適用されます。



粉飾決算の典型例は、粉飾決算により利益配当をするのですが、ライブドアはずっと無配ですので、粉飾決算の中でも少し特殊といえるでしょう。



(3) 産経新聞(12月26日付)によると、

「株主総会で無配継続承認 ライブドア

 ライブドアの株主総会が二十五日、東京都内のホテルで開かれ、一株二円の配当を求めた株主提案を否決、配当は行わないとする会社提案の議案を承認した。同社は平成十二年四月の上場以来、無配を続けている。…」



このように、無配だとすると、堀江社長や宮内取締役などライブドアの取締役には、刑事責任である違法配当罪(商法489条3号)や、商法266条1項1号(違法配当の責任)の民事責任は生じないことになります。そのほかの責任については、現段階の報道でははっきりしませんので、責任がありうるというだけです。
なお、粉飾決算についての刑事責任についての詳しい解説は、西田典之編「金融業務と刑事法」(有斐閣)(1997年)186頁~)などをご参照下さい。



(4) 粉飾決算の疑いが生じ、東証から上場廃止も示唆され、マネックス証券に続き岩井証券も「ライブドア、ライブドアマーケティング2社の株式を23日から信用取引の担保として認めないことを決め」ています(共同通信1月19日付)。これにより、ライブドアとライブドアマーケティングの株価は1円になりかねません。

すでに株式系ブログでは悲嘆くれている方たちが少なくないですが、証券取引を行う場合、

「証券取引は、それぞれの証券に価格変動があり、投資額を回収することすらできなくなってしまう事態も予想されることから、証券に投資しようとする者は、そのことをよく理解して、自己の判断で証券取引を行い、結果(損失)についても自ら責任を負うべきもの(自己責任)」(消費者保護の法律相談〔第4版〕251頁)。


であることに、今一度、理解しておくべきです。




2.次に、ヒューザーの小嶋社長は、証人尋問において大半の質問に対し、証言拒否をしました。

1月17日付けのブログで問題があると指摘しましたように、日刊スポーツ(1月18日付)元東京地検特捜部長の河上和雄・駿河台法科大学院教授(刑法)も、

「証言拒否罪で追及

 自分の刑事訴追に関係ない一般的な質問まで証言を拒否しており、国会が告発すれば、議院証言法の正当な理由なき証言拒否罪で刑事責任を追及できる。補佐人の弁護士の判断にミスがあったのではないか。」

とコメントしています。


また、毎日新聞(1月18日付社説)でも、

「小嶋社長喚問 一体何しに国会に来たのか

 …およそ事件に関係がないと思われる点まで証言を拒んだのは、明らかに「拒否権」の乱用である。証人尋問の仕組み自体が問われる事態だ。与野党が再喚問や、正当性のない証言拒否が議院証言法違反に当たらないか、検討するのは当然だ。」

としています。

これに対して、朝日新聞(1月18日付)では、

「…鶴見弁護士は喚問終了後、小嶋社長の証言拒否について「捜査機関が小嶋氏を偽証容疑で逮捕、起訴を準備しているという有力な情報が直前にあった。住民のみなさんはけしからんと思うだろうが、ぎりぎりの判断だった」と説明した。…」


という記事が出ています。


小嶋社長は、マスコミ向けには明らかに嘘と思われることまで喋っていましたから、補佐人は、おそらく何を喋っても偽証罪に当たってしまうと思って、証言拒否させたと思います。

しかし、拒否させすぎは証言拒否罪に当たってしまい、依頼者に不利になってしまいます。弁護士は、社会正義の実現することもその使命なのですから(弁護士法1条)、証人尋問の意義を没却しないよう、証言を促すべきだと考えます。

何でも証言拒否させたり、ぎりぎり証言拒否罪に当たらないようにすること、…それは、遵法意識の乏しい堀江社長と同じ行為なのではないでしょうか


<追記>
海外メディアの市場評価もここで取り上げておきます。ロイター(1月18日付)によると、

「[焦点]信用取引の投げで連鎖安、東証システム問題も加わり予断許さず 2006年01月18日 水曜日 13:56 JST

 [東京 18日 ロイター] 東京株式市場は日経平均が前日比700円を超す大幅続落となった。きのうの高値から、わずか2日間で1000円超の下落となった背景には、“ライブドアショック”を引き金にIT関連株が急落、それが信用取引で買った投資家の投げを誘い、連鎖的な下げを引き起こしたことがある。さらに東証のシステム問題も不透明となってきたことから、海外勢の一部には、「日本売り」に傾く動きも出始めており、予断を許さない情勢になってきた。

 東京株式市場は全面安商状。ライブドア<4753.T>問題の行方が引き続き気にされるほか、ヒューザー小嶋社長の証言で安倍官房長官の名前が出た点、米半導体大手インテルが17日発表した第4・四半期決算が市場予想を下回ったことなど悪材料が重なり、朝方から幅広く売られる展開になった。

 加えて、後場に入り、東証が注文・約定件数が増加でシステムの処理可能件数を超える可能性が出てきたため、株式の全銘柄について取引停止する緊急措置を実施することもあると発表したことも、下げ幅を拡大させる要因となった。…」


としています。
日本のメディアでは、なぜかまったく報道されていない点が「ヒューザー小嶋社長の証言で安倍官房長官の名前が出た点」の部分です。海外では安倍官房長官がヒューザーとかかわりがあることが株価が下落したの原因の1つとであると評価されていることをぜひ覚えておくべきでしょう。海外では、次期首相になる可能性の高い人物が違法行為を助けるような行動をしている(=日本に対する不信感)と、思われていることを。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
河上和雄
夕方、河上和雄ははっきりと「今日の堀江逮捕は、ない。後数かい、任意事情聴取してからでしょう」

さすが元東京地倹だなあと思うとNHKは「堀江の逮捕」をずっと報じてきた。

河上和雄、嘘ついちゃ、だめじゃんか!
2006/01/23 Mon 20:26:45
URL | sadakun_d #-[ 編集 ]
>sadakun_dさん
初めまして、コメントありがとうございます。

>さすが元東京地倹だなあと思うとNHKは「堀江の逮捕」をずっと報じて
NHKは、強制捜査前に報道したり、読みがいいですね(読みすぎ?)。
東京地検特捜部からある程度情報を得ていたのでしょう。

>河上和雄、嘘ついちゃ、だめじゃんか!
河上さんは、御自分の検事時代の感覚から発言したんでしょうね。昔の経済犯罪の被害者は限定されてましたから。
河上さんには、ライブドア事件は世界的にも影響があって早期の解決が必要だという意識が少し乏しかったのかもしれません。
2006/01/24 Tue 00:21:52
URL | 春霞 #sDTYwMDk[ 編集 ]
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 16日、あの堀江氏がCEOを務めるライブドア社&関連施設に強制捜査がはいった。 昨日の時点では事情もよくわからず、大した件でもないのに捜査にはいって、17日の耐震偽造問題の証人喚問から目をそらす策なのではないかという話まで出ていたが、どうやらライブ
2006/01/20(金) 05:12:13 | 日本がアブナイ!