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2007/04/27 [Fri] 02:33:07 » E d i t
JR特急電車内で女性に乱暴したとして、大阪府警淀川署は4月21日、解体工植園貴光被告(36)=強姦罪などで公判中=を強姦容疑で再逮捕したという報道がありました。問題は、当時、同じ車両には約40人の乗客がいて、一部の人は異状に気づいていたのに、植園被告から「何を見ているんだ」などとすごまれ、制止どころか通報もできなかったというのです。この報道についてコメントしたいと思います。(4月28日追記:産経新聞4月27日付「産経抄」にも出ていたので引用しました)


1.まず報道記事から。

(1) 毎日新聞平成19年4月22日付朝刊1面

 「強姦:特急内で暴行、36歳容疑者を再逮捕 乗客沈黙、すごまれ通報できず

 ◇JR北陸線・昨年8月に

 大阪府警淀川署は21日、JR北陸線の富山発大阪行きの特急「サンダーバード」の車内で昨年8月、大阪市内の会社員の女性(当時21歳)に暴行したとして、滋賀県湖南市石部南、解体工、植園貴光被告(36)を強姦(ごうかん)容疑で再逮捕した。当時、同じ車両には約40人の乗客がおり、一部の乗客は異変に気付いたものの、植園容疑者にすごまれ、制止できなかったという。植園容疑者は、昨年12月にも同様に車内や駅構内で女性に暴行したとして今年1月、滋賀県警に逮捕され、強姦罪などで現在公判中。

 調べでは、植園容疑者は、昨年8月3日午後9時20分ごろ、福井駅を出発した直後に、6両目の前方から2、3列目にいた女性の隣に座り、「逃げると殺す」「ストーカーして一生付きまとってやる」などと脅し、繰り返し女性の下半身を触るなどしたという。さらに、京都駅出発後の午後10時半ごろから約30分間にわたり、車内のトイレに連れ込み、暴行した疑い。女性は車両前方のトイレに連れて行かれる途中、声を上げられず泣いていたが、付近の乗客は植園容疑者に「何をジロジロ見ているんだ」などと怒鳴られ、車掌に通報もできなかったという。

 植園容疑者は昨年12月21日、JR湖西線の普通電車内で女性(同27歳)に暴行し、さらに大津市のJR雄琴駅で電車を降り、同駅のトイレに女子大学生(同20歳)を連れ込み、暴行したとされる。

 JR西日本によると、同社の大半の車両には連結部付近に通報ブザーをつけているほか、トイレにも体調悪化などに備えたブザーを設置。いずれも車掌に連絡が届くようになっている。また、特急など停車駅間が長い列車の場合、車掌の車内巡回を励行しているという。同社広報部は「引き続き車掌の見回りなどを強化し、乗客の安全確保、防犯対策に努めていきたい。事件を目撃したら通報ブザーを活用してほしい」と話している。【鵜塚健】

毎日新聞 2007年4月22日 東京朝刊」




(2) 読売新聞平成19年4月23日付(2007年4月22日20時45分)

特急トイレで女性暴行、36歳男を再逮捕…乗客知らんぷり

 JR北陸線の特急電車内で昨年8月、女性客に乱暴したとして、大阪府警淀川署は21日、滋賀県湖南市の解体工事業、植園貴光被告(36)(強姦=ごうかん=罪などで公判中)を強姦容疑で再逮捕した。

 同じ車両には約40人の乗客がおり、異状に気付いた人もいたが、植園被告にすごまれ、制止や通報ができなかったという。

 植園被告は昨年12月、JR湖西線の電車内と大津市内の駅トイレで2件の女性暴行事件を起こしたとして起訴され、今月6日、大津地裁で開かれた初公判で起訴事実を認めていた。

 調べでは、植園被告は昨年8月3日午後9時20分ごろ、特急「サンダーバード」(9両)が福井駅を出発した直後、旅行客の大阪市内に住む20歳代の女性の隣に座り、「声を出すな、殺すぞ」と脅して体を触り始め、同10時45分に京都駅を出発後、トイレに連れ込んで暴行した疑い。

 女性がいた車両には当時、約40人が乗車。女性がトイレに連れて行かれる際、泣いているのに複数の乗客が気付いたが、「何を見とるんじゃ」と植園被告にすごまれ、何もできなかったという。車掌も、女性の隣に座る植園被告を確認していたが、暴行には気付かなかったという。

 女性は大阪府警に被害届けを提出。昨年12月の事件と手口が似ていたため、府警が現場で採取した遺留物のDNA型を鑑定した結果、植園被告と一致した。

 調べに対し、植園被告は「他の客から離れて座っている女性を狙った」と容疑を認めているという。

 JR西日本によると、すべての車両には連結部付近の壁に非常通報ブザーがあり、今回の事件を受け、ブザーの位置を知らせる大型ステッカーを張ることを検討中。同社広報部は「不審な行為を目撃した時には、ブザーで車掌に連絡してほしい」としている。

(2007年4月22日20時45分 読売新聞)」


この2つの記事で大体の事件の大筋が分かるかと思います。

<1>特急列車内で被害にあった女性は、「声を出すな、殺すぞ」と脅かされていたため、助けを求めることが困難だったこと、
<2>同じ車両には約40人の乗客がおり、全員ではないが一部の乗客は異変に気付いていたこと、
<3>女性がトイレに連れて行かれる際、泣いているのに複数の乗客が気付いたが、「何を見とるんじゃ」と植園被告にすごまれ、何もできなかったこと(制止も通報もなし)(4月28日追記:犯人の自供及び被害者の証言の一致した内容と思われる)
<4>午後9時20分ごろから被害を受け、同10時45分(午後10時半ごろ?)に京都駅を出発後、トイレに連れ込んで暴行したのであって、かなりの長時間被害にあっていたこと、
<5>植園被告は昨年12月、JR湖西線の電車内と大津市内の駅トイレで2件の女性暴行事件を起こしたとして起訴されていて、「他の客から離れて座っている女性を狙った」と言っているように、阻止する者がいないということを学習したか、又はばれないような手口を学習して、常習化していたこと

です。「サンダーバード」車内はかなり静かだそうですし、1時間以上座席という目や物音がある状態で、犯行が執拗になされていたのですから、かなりの乗客は気づいていたと考えるのが合理的です。かなりの乗客は気づいていながら、制止も通報もしなかったわけです。(4月28日追記:犯人や被害者は何人見に来たか覚えているはずなので、犯人の自供及び被害者の証言からすれば、こういう判断は合理的でしょう)


犯罪ではなく痴話ゲンカかもしれないと思った人もいたかもしれませんが、1時間以上座席という目や物音がある状態で、犯行が執拗になされていたのですから、ひどく鈍感だったり寝ているのでなければさすがにおかしいと思うのが通常でしょう。




2.この事件について社説を出したのは、おそらく毎日新聞だけです。その社説を紹介します。(5月15追記:朝日新聞も社説で紹介)

(1) 毎日新聞平成19年4月24日付朝刊「社説」

 「社説:特急車内強姦 見て見ぬふりを決め込むな

 乗客が居合わせた車両の中で、一人で座っていた若い女性がわいせつ行為をされ、さらに車内のトイレに連れ込まれて暴行されるという事件が起きた。強姦(ごうかん)容疑で再逮捕された男の蛮行に強い憤りを覚えるのはもちろんだが、それ以上に、このような事件がやすやすと起きてしまった土壌に背筋が凍る。

 事件は昨年8月3日夜、JR北陸線の富山発大阪行き特急「サンダーバード」車内で起きた。6両目の前方から2、3列目にいた女性(21)の隣に男が座り、「逃げると殺す」などと脅しながらわいせつ行為を繰り返した。さらに車内のトイレに連れ込み、30分にわたって暴行した。

 この車両には約40人が乗っていた。恐怖で助けを求められないまま、泣きながらトイレに連れて行かれる女性に気づいた乗客もいたが、男に「何をジロジロ見ているんだ」などとすごまれ、そのまま見過ごしたという。

 怒りの中で、いくつもの「なぜ?」が浮かんでくる。異常に気付いた乗客はなぜ犯行を制止しなかったのか。すごまれて怖かったのなら、なぜ、他の客と協力しようとしなかったのだろう。それが無理なら、なぜ、せめて車掌に通報する行動を取れなかったのか。立ち上がるのすら怖かったのなら、携帯電話で110番通報する手もあったはずではないか。

 見知らぬ者同士がたまたま乗り合わせた夜9時過ぎの特急内とはいえ、そうした知恵が浮かばなかったのだろうか。

 学校でのいじめや家庭内の児童虐待では、加害者の周りに、見て見ぬふりを決め込む無言の加担者たちがいる。それが有形無形の暴力をより一層はびこらせ、この社会を住みにくく、薄ら寒いものにしている。

 電車内で痴漢を止めようとした乗客が孤立無援になったりするケースはあるが、1時間半以上にわたって犯行が執拗(しつよう)に繰り返される状況はあまりに異常だ。「自分とは関係ない」「面倒だから黙っておこう」という意識の横行が結果として事件を許してしまったのではないのか。

 JR西日本の大半の車両には連結部付近とトイレ内にブザーが設置されている。同社広報部は「車掌の車内見回りを強化し、乗客の安全確保に努めていきたい。事件を目撃したら通報ブザーを活用してほしい」としている。だが、そもそもブザーの存在がどれだけ知られていたのか疑問だ。

 この事件をしっかり検証した上でさらなる防犯対策を講じるとともに、得られた教訓を鉄道各社はじめ社会全体のものにするよう同社に求めたい。

 むろんそうした対策も、見て見ぬふりを決め込む土壌では大きな効果は期待できない。男はその後も同様の性的暴行を繰り返していた。車内の沈黙がさらに多くの被害者を生んだわけである。

 私たちはいつ「その乗客」にならないとも限らない。犯罪を防ぐのはほかならぬ自分自身だということを一人一人が肝に銘じたい。

毎日新聞 2007年4月24日 0時09分」




(2) 個人的感覚からすれば、もし自分が目撃したら阻止も通報もしないなんて、到底考えられません。性格上、知らんぷり、見て見ぬふりはどうもできないのです。なので、誰も止めず通報もしないなんて、なんと情けないことか……とは思います。

ただ、列車内で、痴漢被害を受けている女性を逃すような“行動”や暴力行為や迷惑行為への対応などを何度かした経験からすると、阻止や通報するような人は、ひどく少ないのが現実であり、実感です。世界中の男性はどうするかは分かりませんが、日本の男性の多くは、犯罪的な行為を見ても、女性が犯罪被害にあっていても、何もしないで目を背けているだけと思っていた方がいいでしょう。
痴漢にあっても誰も助けてくれなかったとか、酔客から嫌がらせにあっても誰も助けてくれなかったという、実体験のある女性はかなり多いはずです。それが日本の現実です。悲しいことですが。


なぜ、何もしないか? について、毎日新聞の社説は、次のように指摘しています。

「怒りの中で、いくつもの「なぜ?」が浮かんでくる。異常に気付いた乗客はなぜ犯行を制止しなかったのか。すごまれて怖かったのなら、なぜ、他の客と協力しようとしなかったのだろう。……

 「自分とは関係ない」「面倒だから黙っておこう」という意識の横行が結果として事件を許してしまったのではないのか。」


確かに「自分とは関係ない」とか、「面倒だから」という理由もあるでしょう。ただ、この容疑者は乗客を脅かしていることからすると、「助けに入るのが怖い」とか、「助けに入って怪我をさせられたら嫌だ」とか、「犯人に逆恨みをかって報復されたら困る」といった事情が主たる理由であると思います。「助けたとしても周りから注目され、白い目で見られるのが嫌」というのもあるようです。要するに、「わが身可愛さ」から何もしないといった感じでしょうか。
もちろん、助けに入るのが怖い人や女性4月30日訂正:現実には女性が助けに入ることはかなり多いので。コメント欄参照)に対して、今回のような容疑者に対して何か行動せよと求めるのも無理な話です。今回の列車内の乗客は、助けに入るのが怖い人ばかりだったのかもしれません。



(3) ただ、何もしないでいると、加害者はさらに被害を行い続けることになります。「車内の沈黙がさらに多くの被害者を生んだ」のです。自分自身、自分の家族・友人が被害にあっても誰も助けないままということにもつながります。しかし、このように被害が広がり、犯罪がはびこる結果になってもいいのでしょうか? 

社会の包囲網緩めるな 暴力団銃器犯罪で前警察庁局長の竹花豊氏に聞く '07/4/23

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 長崎市長射殺事件や東京都町田市の立てこもり事件と、暴力団員による銃を使った犯罪が相次いだ。事件をどう見るか、教訓は何か。長年、暴力団対策にかかわった元東京都治安担当副知事で前警察庁生活安全局長の竹花豊氏に聞いた。

 二つの事件を見て、暴力団の稼ぎの手段が確実に狭まり、焦りが広がっている実態を感じる。私も制定にかかわった暴力団対策法の施行から十五年。市民や行政、企業、警察の協力による包囲網が浸透し、脅しによって暴力団が簡単にカネを手に入れることはできなくなった。それだけに長崎で重大な犯罪を防げず残念でならない。

 暴力団の銃犯罪は、これまで主に組同士の抗争で使用され、今回の二つの事件は異質。組織の統制が機能しなくなっている一端でもある。

 日本は、一般人が銃の所持を許される米国のような社会とは違う。昨年の発砲事件は過去最も少なく、銃が一般社会に広く拡散している状況ではない。銃問題の中核にある暴力団の解体が銃の拡散を防ぐ鍵。銃器摘発は、警察や税関などの責任だが、暴力団の封じ込めには市民の協力が不可欠だ。(中略)

 今回の一連の事件で、これまで各地で築かれてきた市民や行政、警察の協力による暴力団への包囲網を後退させてはならない。銃の脅しにひるんで、協力の輪が一角でも崩れると暴力団は必ず息を吹き返し、銃の拡散にもつながる。」(中国新聞('07/4/23)


このように、暴力団の封じ込めには、市民の協力が不可欠なのです。もちろん、協力といってもかなりの覚悟が必要です。

今回の犯人は1人だけ、しかも列車内で性犯罪を行うのですからあまりに無軌道で、さすがに暴力団員と推測するのは無理です(暴力団員も組織の人間なのでそれなりの論理があります)。1人相手で、しかも暴力団員でもないのですから、「かなりの覚悟」までは必要ないのに阻止も通報もできないようでは、暴力団の封じ込めはおよそ難しいのです。



(4) 何か行動すべきだとした場合、どうしたらよいのでしょうか?

「JIROの独断的日記ココログ版」さんの「「特急車内で女性暴行=誰も通報せず、36歳男逮捕-大阪」←対処法がある。」(2007.04.24)では、ご自身は、大声で怒鳴って対処しているそうですが、

「頭の中でシミュレーションを行うことが極めて有効である。」

ことを説いています。まさにそのとおりでしょう。何かあったときに何も考えていなければ、対応はできませんから。


ただ、今回の場合、どういう方法をとればよかったのかというと、次のようなことを説いています。

「犯人に聞こえないように、周囲の人々に呼びかける。

「これから、私が警察に連絡します。みなさんも、電話して、あるいはそのフリだけでもいいから、大きな声で私と同じ事を言って下さい」

これで、どれだけ同調するか分からないが、とにかく、やる。……

皆に呼びかけて、なるべく大勢で電話をするのは、「自分だけ犯人に復讐されるかもしれない」、という恐怖感から免れる為だ。
もし、40人が携帯で同時に大声で、110番に連絡していたら、それだけで、この男は逃げ出しただろう。」


このように、みんなで大声で警察に電話をすることで、犯行をやめさせる方法が良いというのです。要するに、正面きって犯人と向き合うのではなく、機転を利かせるということです。

この事件は、暴力団を封じ込めるといった場合ではありません。もちろん、犯人逮捕や犯人と対峙しろしてもよいのですが、JIROさんが説くように、そこまでしなくても女性を被害から解放させれば足りるのです。何とか機転を利かせる方法を考えて実行すればよいのです。例えば、被害女性の知り合いを装って連れ出すようにしてもよいでしょうし、「警察、警察、車掌を呼べ」と喚いて走り回るのもよいでしょう。ほかにも色々考えられます。


何もしなければ、見て見ぬふりや知らんぷりだったりすると犯罪は見逃され、何も変わりません。これくらいで怯えていたら、暴力団の封じ込めだっておよそ不可能です。暴力がはびこる世界を許容するか、阻止するか。腹を決める必要があるのです。



<4月28日追記>

産経新聞4月27日付朝刊「産経抄」でも触れていたので引用します。

 「昨年8月3日の夜、JR北陸線の特急車内で起きた強姦(ごうかん)事件は、日本という国が抱える病巣そのものといえる。若い女性の隣に座った35歳の男が、「逃げたら殺す」などと脅してわいせつ行為を繰り返し、さらに車内のトイレに連れ込み、約30分間にわたって暴行したという。

 ▼トイレに連れて行かれる間、女性は恐怖のあまり声もあげられず、ただ泣いていた。車内に居合わせた乗客は何をしていたのか。男にすごまれて怖かったといっても、車掌に通報する方法はいくらでもあろうに。味をしめた男は、その後も同様の犯行を重ねた。

 ▼「見て見ぬふり」が横行するのは列車内だけではない。いじめや虐待のSOSを発していながら、犠牲になった子供たちは数知れない。北朝鮮の工作員による拉致事件にいたっては、何十年間も、犯罪自体が存在しないことになっていた。

 ▼昭和48年に失踪(しっそう)した渡辺秀子さんの2児拉致事件の捜査から、今になって驚くべき事実がわかってきた。拉致には工作船だけでなく、万景峰号や貨物船が使われ、5年前までは積み荷、乗下船者ともにノーチェックだった。

 ▼犯行グループが所属する組織と朝鮮総連とのかかわりも明らかになりつつある。悪質きわまりない犯罪がどうして見過ごされてきたのか。これまで総連を擁護し、献金を受けてきた政治家だって、知らなかったではすまされない。

 ▼昨年、日本でも上映された「ユナイテッド93」は、9・11米中枢同時テロの乗っ取り機内を再現していた。乗客が敢然と犯人に立ち向かう姿に、国柄の違いを思い知らされたものだ。「悪」に立ち向かう気概がなければ、いくら法律を整え、ミサイル対策に金をつぎ込んでも、安全保障は絵に描いた餅(もち)にすぎない。

(2007/04/27 05:10)」


いじめや虐待があっても見て見ぬふり、誰かがやってくれるだろう、いじめや虐待の対策は国の責任だ……、列車で女性が性暴力にあっていても、犯人から何かされるのが嫌だから、車掌や警察に任せるべき……と腰が引けていては、いじめや虐待、列車内での性犯罪は増えることはあっても減ることはないのです。国がすべて対策をしてくれるわけでもなく、いつでも車掌や警察がいるわけではないのですから。


「祖国があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたが祖国のために何を行うことができるかを問おうではないか。(And so,my fellow Americans: ask not what your country can do for you - ask what you can do for your country.)」

これは、J.F.ケネディの大統領就任演説の一節ですが、今回のことにも当てはまるかと思います。乗客は気づかなかったはずで、新聞報道が間違っているとか、助けて犯人から被害を受けたらどうするのだと、逃げていては、状況は一向によくなりません。無謀に行動せよというのではなく、自ら主体的に実行することが大事なことなのです。



<5月15日追記>

朝日新聞平成19年5月13日付朝刊「社説」において論評していましたので、引用しておきます。

 「列車内の犯罪―自分が居合わせたら

 去年の夏の夜、北陸から大阪へ向かっていたJRの特急列車「サンダーバード」の車内で強姦(ごうかん)事件が起こった。

 被害に遭った20代の女性は新大阪駅で降り、警察署に駆け込んだ。容疑者の男も同じ駅で降りたが、姿をくらました。その男が逮捕され、11日に強姦罪で起訴された。

 事件からすでに9カ月がたつ。昨年暮れに男は別の強姦事件を2件起こしている。サンダーバード事件をすぐに解決していれば、あとの事件は起きなかった。

 この事件が衝撃的だったのは、だれもいないところではなく、約40人の客が乗っている車内で起こったからだ。乗客たちはなぜ、止めようとしたり、車掌に知らせたり、しなかったのか。

 起訴状などによると、事件のあらましはこうだ。

 発生は昨年8月3日の夜。列車が福井駅に着いたころ、男は6両目の窓側に1人で座っていた女性の隣に座った。男は「大声出すな。殺すぞ」と脅し、女性の肩を押さえ、胸を触るなどわいせつな行為を繰り返した。京都駅に近づくと、女性をトイレに連れ込み、強姦した。

 一つの車両には64の座席がある。6割ぐらいが埋まっていた計算だ。男は通路をはさんだ隣の乗客に「何をじろじろ見とるんや」と脅したという。前と後ろの座席にも乗客はいた。

 女性はしくしく泣いていたそうだ。怖くて声を出せなかったことは容易に想像できる。

 女性と男がいたのと同じサンダーバードの座席に座ってみた。たぶん、周りの何人かは男の異常な行動に気づいただろう。なんとか救う方法はなかったのか。

 男に注意する。1人でできないなら、ほかの乗客といっしょに止めに入る。

 いや、もっとやりやすいことがある。各車両についている非常ボタンを押せばいい。車掌に通報が届く。非常ボタンを押すのを男に見られたくなければ、乗務員室にこっそり行って事件を伝えることもできる。携帯電話を持っていれば、それで110番することも可能だ。

 色々な手立てがすぐに思い浮かぶ。

 だが、乗客たちは何もしなかったようだ。これをどう考えればいいのか。

 相手はまともな人間ではない。へたにかかわれば、自分に危害が及ぶ。そんな心理が働いたのかもしれない。

 もうひとつ、「だれかが通報するだろう」「男女のもめごとかもしれない」などと、行動を起こさない理屈づけをしたことも考えられる。

 心理学で「冷淡な傍観者」という考え方がある。目撃者が多ければ多いほど個人の責任が軽くなり、自分が率先して行動を起こす動機が弱まるというのだ。

 だが、それでは被害者は救われない。

 だれもがいつ犯罪の被害者になるかわからない社会で、犯罪の現場に居合わせたときにどんな行動をとるか。そのことが一人ひとりに突きつけられている。」


結論として、「だれもがいつ犯罪の被害者になるかわからない社会で、犯罪の現場に居合わせたときにどんな行動をとるか。そのことが一人ひとりに突きつけられている。」ということのようです。行動した方がいいよ、という意思は感じられますが、控えめな主張です。この社説を読んで行動すべきだと思うでしょうか? みな「冷淡な傍観者」のままで「被害者は救われない」ままになりそうです。

テーマ:時事ニュース - ジャンル:ニュース

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コメント
この記事へのコメント
こういうのを見てみぬ振りできる世渡り上手になってみたいですよ。

子供の頃から障害者の子がいじめられているを見ると、そのいじめている奴を後ろから飛びげりしたりして、その卑怯なやり方から、自分もいじめられましたねえ。

まあ解体工でありながらヤクザ構成員ってのもおおいですから、風体はそのものだったんでしょう。

皆さん携帯持っているんだから、通報すればそれで済むんですけどね。

警察に拘わって時間取られるがいやなんですかね。
私も、一度ある宿に泊まって、そこの主人が、金を脅し取られそうになっているを見て、その男を取り押さえて、警察に突き出したことがありますが、朝の5時まで調書つくるのに付き合わされて,閉口したことがありますね。

まあ、私なら、携帯で連絡するより後ろから立ち直れないぐらいのダメージを与えるでしょうね。
中途半端にやると、こちらがやられますからね。
これって正当防衛ならなくて過剰防衛いや単なる傷害ですかね。
まあ、後ろからやるってのが、あくまで卑怯な私ですから、非難を浴びそうですけど。
2007/04/27 Fri 08:21:37
URL | ほっちゃれ #-[ 編集 ]
>ほっちゃれ さん
コメントありがとうございます。


>そのいじめている奴を後ろから飛びげりしたりして、
>その卑怯なやり方から、自分もいじめられました

そうなんですか!? 
いじめ自体が卑怯ですから、後ろから飛び蹴りするくらいはかまわないと思うのですけど。


>皆さん携帯持っているんだから、通報すればそれで済むんですけどね。

そうですね、今は列車にいても通報するのは簡単です。なのにそれすらしないのが、がっくりきました。


>警察に拘わって時間取られるがいやなんですかね。

それもあるでしょうね。


>朝の5時まで調書つくるのに付き合わされて,閉口したことがありますね

5時までとは大変でした。おそらく犯人は、単にキツク文句を言っていただけで、恐喝ではないと言い訳するでしょうから、言い訳されないような調書にしておきたいという警察官の真摯な気持ちが、5時までという結果になったのかと思いますが(汗)


>後ろから立ち直れないぐらいのダメージを与えるでしょうね。
>中途半端にやると、こちらがやられますからね。
>これって正当防衛ならなくて過剰防衛いや単なる傷害ですかね。

性被害者を救うため犯人に傷害を負わせた場合、正当防衛になるのかそれとも過剰防衛か、ということですね。

正当防衛と過剰防衛の区別は、相当性(利益がだいたい権衡か、行為の相当性があるか)があるかどうかがポイントです。

今回のような犯人相手に、性犯罪は今や重罰化していて性的自由の保護は重要ですし、今回特に長時間に及んでいますので、傷害という不利益と比較しても権衡しています。また、凶器を使わず飛び蹴り程度なら、行為も相当性があります。
なので、正当防衛であって過剰防衛にならないと思います。


>後ろからやるってのが、あくまで卑怯な私ですから、非難を浴びそう

救うことが大事なので、私は非難しませんし、むしろ賞賛します。非難するヤツは無視していればよいと思います。列車内で行動に出ると、じろじろ白い目で見てくる人がいますが、そんなヤツはいつも無視してます。
2007/04/28 Sat 01:39:45
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2007/04/28 Sat 23:50:52
| #[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ(コメントかなり修正しました)
コメントありがとうございます。答える都合上、(一部変更して)多少引用する形で文章を一部公開することをお許しください。


>もっと、罪を重くするべきだと思うのですが、どうでしょうか?

この犯人が性犯罪を始めた頃は、罪も重くなく人々の意識も重大な被害を与えるという意識が低かったのだと思います。だからこそ、ずっと続けてきたのでしょう。

ただ、ごく最近はかなり違ってきました。性犯罪については、平成16年12月に刑法改正がなされて重罰化してますし、裁判上もかなり重い刑が宣告されています。例えば求刑が懲役12年に対して、懲役14年が宣告されたこともあります(大阪地裁平成16年10月1日判決)。
今回の犯人に対しては、かなり重く処罰されるでしょうし、今回のような犯罪が生じるようだと、今後、もっと重く処罰されるようになると思います。
もっとも、今回は列車内での出来事すから、途中で止めさせることはできた……、というより止めさせないといけないと思いますけどね。列車内での犯罪対策がもっと必要なのでしょう。


>困ってる人を助けるのは、なぜか女性が多いように思います。
>どうでしょうか?

個人的な感覚としても、知り合いに色々聞いても、「困ってる人をたすける」のは女性の方が多いですね。東京新聞4月21日付の投書を読むと、痴漢にあっていた中学生を助けたのは女性で、その女性は周囲の大人に「なぜ見てみぬふりをするのか?」と怒ってました。
だから、地域を問わず、女性の方が多い感じがします。公衆の面前で、女性からはっきり言われたら、黙ってしまう男性って結構多いので、意外と女性の方が良い面があるように思います。

なぜ、男性が行動に出ないのか……? 公衆の面前で何かをすることを恥ずかしがるからかな~と思ってはいますが……。だから、酒で酔っ払うと反動で迷惑行為も厭わなくなる……。いざというときの度胸がないんでしょうね、男性の方が(^^ゞ 
2007/04/30 Mon 01:24:32
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
はじめまして。過去記事にコメント失礼します。
友人が始めたブログで同じ記事を扱っていたので、気になっていろいろ調べていました。
http://tohsenboh.blog41.fc2.com/

この事件許せない!犯人はもちろんのこと、乗客のモラルが許せません!
この事件に限らず、車内マナーの悪いことといったら...。

2007/11/19 Mon 17:20:56
URL | D.M. #-[ 編集 ]
>D.M.さん:2007/11/19(月) 17:20:56
はじめまして、コメントありがとうございます。


>犯人はもちろんのこと、乗客のモラルが許せません!

このブログでは触れていませんが、この犯人の特急車内での行為は、かなりの時間に及ぶものであり、かなり酷いものでした。

だからこそ、乗客は見過ごすことなく、何とか阻止する行動にでるべきだったのにと、思います。最近は、駅員などに連絡する機器が設置されていて、そういった点の充実もよいことだと思いますが。
2007/11/21 Wed 23:52:45
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
週刊現代・ポストが裁判を傍聴、詳細を記事に
犯人・植園はキセル乗車50分も騒がなそうな女を探し車内を徘徊
Aを見つけ隣に座り大声で暴力団を名乗り6号車を制圧
声の大きさに思わず耳を塞いだAに因縁をつけ服に手を入れ強制猥褻
社内改札に来た車掌に切符購入を即されると「嫁が払いに来る」と大声で追い払う
Aは啜り泣きパンツに手を入れられていた
嫁の一言でAは他人と見抜けたはず、ましてキセル乗客を降車させない
車掌は植園が怖くて逃げた
偶然通った乗客を恫喝、謝罪させ他の乗客に恐怖を植えつけていく
助けてと言わなかった女が悪いとの意見もある
がAはデッキに連れて行かれる時、デッキの壁に押し付けられ強制猥褻されてる時も悲鳴を上げている
その度「声を出したら殺す」と壁に叩きつけられてる
トイレに引き擦り込み泣いてヤメテと哀願するAを姦淫。
30分もトイレに籠ったら車掌が注意すべき
京都駅で降り損ねた植園はAをカーテン一枚の洗面所にAを押し込み強姦
この時も車掌は見てる
週刊ポストの取材にJRは「女が泣いてるのは見てない。二人は親しそうに見えた」と回答
06年8月の事を07年5月の取材時まで覚えてる?
強姦と知っていたから覚えていて責任を追及されるのが嫌でAを貶めてまで自己保身
車掌は二人いた。鉄道警察に通報すべきだった
裁判で明らかになった事
植園は最初、ホテル内飲食店の責任者に暴行、逮捕、二人の女の強姦で逮捕、公判中にAの犯人と判った
植園は前科9犯、Aが人相・降車駅を記憶、空缶を車内に残したので指紋もある
警察は犯人を捜していなかったのだと思う
植園は子供の頃から下着ドロ、中学で同級生を強姦しまくり
近所の人は面倒な一家と関りたくないと警察沙汰にしなかった
週刊ポストは18歳妊娠嫁に取材
嫁は「浮気するけどしょうがない。いつも最後は私の元へ帰ってくる」と答えた
浮気じゃなくて犯罪です
この事件は乗客より強姦を甘く考えてる人達が問題だと思う


2008/08/27 Wed 21:57:10
URL | 批判する相手が違うと思う #-[ 編集 ]
>批判する相手が違うと思うさん:2008/08/27 Wed 21:57:10
はじめまして、コメントありがとうございます。


>この時も車掌は見てる
>車掌は二人いた。鉄道警察に通報すべきだった
>植園は子供の頃から下着ドロ、中学で同級生を強姦しまくり
>嫁は「浮気するけどしょうがない。いつも最後は私の元へ帰ってくる」と答えた
>浮気じゃなくて犯罪です
>この事件は乗客より強姦を甘く考えてる人達が問題だと思う

犯罪ですから、犯人が最も非難されるべきですし、知っていたら止める義務がある車掌が(もし気づいていたのであれば)次に非難させるべきです。「元気があっていい」と言った太田農水相を除いて、強姦を甘く考えている人は、もはやあまりいないかもしれませんが、問題にされるべきことは確かです。

ただ、「強姦を甘く考えてる人達」は、電車内にいないのですから、被害者を救うことはできません。非難したところで何になるのでしょうか。電車運行中という警察が乗り込めない状態で、犯罪を目の前で見ている乗客しか、被害者を救う人がいないのです。乗客が行動しなければ、誰が被害者を救えるというのでしょうか? 車掌がいけないと他人のせいにして、被害者を見捨てろとでも? 救える立場にいるものがその勤めを果たさなければ、非難されてしかるべきだと思うのです。
 
2008/08/30 Sat 21:57:35
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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2007/04/29(日) 04:43:44 | JIROの独断的日記ココログ版
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