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2007/04/21 [Sat] 06:48:37 » E d i t
日本の報道機関のうち、東京新聞だけは、日本で行われた国際腎不全シンポジウムのために来日した、米国移植外科学会元会長のリチャード・ハワード教授らに対して、インタビューを行ったようです。東京新聞4月20日付朝刊「こちら特報部」において、リチャード・ハワード教授らに対するインタビュー記事が掲載されています。17日に大阪で聞いたようです。
米国では、「いかにドナーを増やすかが大きな課題」として、政府が率先してドナーを増やす努力を本格的に取り組んでいるのですが、そういった内容が分かる記事になっています。この記事を紹介します。なお、紙面では、国際腎不全シンポジウムに参加している、万波医師と弟の廉介医師の姿を写した写真も掲載されています。できれば紙面もご覧下さい。


1.東京新聞平成19年4月20日付朝刊24・25面「こちら特報部」

SOS臓器移植:病気腎移植 容認の米学会元会長ら アメリカもドナー不足深刻

 病気腎移植は認めない-。その一項が臓器移植法の運用指針に盛り込まれる公算が大きくなった。日本移植学会など関連4学会が、「医学的に妥当性がない」と共同声明を発表したことを受けての措置だ。しかし、年間1万7000件もの腎移植手術が行われる米国医学界には、万波誠医師らが実施した手術に大きな可能性の芽を見いだしている研究者もいる。来日した米国移植外科学会元会長のリチャード・ハワード教授らに意見を聞いた。 (片山夏子)

◆“万波式”に「教わった」

 ハワード氏はフロリダ大学の教授で移植外科などが専門。病気腎移植については、日本で議論が始まった早い段階から「臓器提供者(ドナー)と移植希望者(レシピエント)がリスクと利益を完全に理解しているならば容認できると思う」と肯定の立場を明らかにしてきた。

 氏自身は生体からの病気腎移植をした経験はないという。その上で、「考えもみない方法を教えられた。小さながんがある腎臓でも適切に切除することで移植できることや、特にネフローゼは免疫系に問題がある場合、免疫系が違う患者に移植することで正常に稼働することを示すなど新しい治験を示した」と評価する。

 背景には、1年間に日本の17倍もの腎移植が行われる米国でもドナー不足が深刻だという事情がある。

 「ドナーの数を上回るペースで移植希望者が増えている」とハワード氏。1990年には移植待ちの患者は2万人だったが、現在は約9万5千人。うち7万人を腎臓希望者が占める。それに対し、昨年の腎移植数は死体から1万件、生体から7千件。「待っている患者の命を少しでも救うために、米国では今、ありとあらゆる臓器を利用することを考えている」

 現在、米国で特に利用拡大の可能性を模索しているのは、死体(脳死、心臓死とも)からの臓器。本来、望ましいのは18-25歳の若い健康な臓器だが、現実には、このような完全な臓器は15%にすぎないという。

 「もし完全な臓器だけを使うのなら米国の移植数はぐっと減るでしょう」とハワード氏。

 さらに「移植して機能する臓器ならば、疾患があるものでも使う。高齢者の臓器、疾患があるものなど、どこまで逸脱していいかを模索し、使える臓器を拡大している」と説明する。

 具体的には、60歳以上の高齢者、がんや高血圧の既往症のある人の臓器、脳腫瘍(しゅよう)や糖尿病だった人、軽度のB型やC型肝炎など感染症のある臓器も使われる。医師によっては肝硬変や肝炎の肝臓も移植に使っているという。

 「数年前には使えなかった臓器を、今は使っているのが現状」

 このような現状を踏まえ、ハワード氏は病気腎移植の可能性に大きな関心を寄せる。「米国は今は死体からの臓器移植の適用範囲を広げているが、将来的には、病気腎移植など生体からの移植の適用範囲も広げることが必要となる可能性がある」

◆「捨てる中からも探す」

 米国がドナー不足をどれほど深刻に考えているかは、政府が予算を出して臓器獲得をあらゆる方法で支援していることでわかる。

 ハワード氏によると、連邦政府の下で全米で58の臓器獲得機関が稼働している。臓器獲得の専門職員が移植コーディネーターを配属したり、病院に臓器提供を呼び掛け、ドナーの家族の支援も行う。

 また、約3ヶ月に1度、病院の死亡診断書をチェック。ドナー提供者になり得た人で見逃してしまった人はいないか、使える臓器を捨てていないかもみる。「州によっては臓器提供は本人の意思が主で家族は拒否できない。ドナーカードを携帯していなくても、救急病院でチェックできる体制もできている」という。

 米国臓器配分ネットワーク(UNOS)会長でバージニア大学保健科学センターのティモシー・プルート医師は「病院で、使えるのに廃棄されている臓器を減らすのが課題」と話す。さらに、今は廃棄されている臓器を減らすのが課題」と話す。さらに、今は廃棄されている臓器の中で、使えるものはないか、可能性を探す努力もしているという。

 腎不全の治療には、人工透析もあるが、これほど移植に力を入れるのは、なぜか。生体肝移植やドミノ肝移植などに携わってきたフロリダ大移植外科・藤田士朗助教授は、その根拠に生存率の差を挙げる。

 「以前は移植のメリットは、QOL(生活の質)が上がること、医療費が安いこと、などといわれた。たしかに、移植を受けた人の8-9割が社会復帰をしている。しかし、最も大切なのは、10年生存率が透析患者だと約4割だが、移植をすると約8割まで上がるということ。米国では、今では移植は長生きするための手段といわれる」

 また、藤田氏は「腎臓移植の待機年数は日本で平均16年。米国でも3-6年以上。このため米国ではドナー確保のため、ドナーとなった人に一定の報酬を払うことまで議論されるようになった」と話す。

 その上で、「新しい治験が次々出る中で検証は必要だが、病気腎移植の可能性について前向きに考えるべきだ。世界でドナー拡大が議論される中で日本は逆行している」と指摘する。

 米国の移植界がいかに「万波移植」に興味を持ったか。それは5月に開催される米国移植外科学会会議で、万波氏の発表が受理されたことでも明らかだった。しかし日本移植学会が「調査委員会が調査中で、発表は適切ではない」とした手紙を米国の学会に送った直後、発表は取りやめとなった。

 このことについて、前出のハワード氏は「詳しい事情はわからないが、他国で起きている論争に巻き込まれるのを避けたのではないか。しかし一度受理したものは取り下げるべきではなかった。議論するためにも発表の機会はあった方がよかった」と話す。

 さらに「(万波氏らが指摘された)手続きの問題と医学的な可能性は次元の違う問題」とする。

◆「学会声明 医療の発展妨げる」

 ハワード氏は「米国の学会は声明を出して医療にルールを作ったり、規制したりしない」とも話した。

 「どんな治療をするかは医師に任される。新しい方法なら、患者に予想しきれないリスクも含めて説明し、患者の了承を得て行う。そのデータが積み重なり、いい結果が出る方法なら注目され、治療として一般化される。学会が禁止すると医療の発展を妨げることになる。米国では、学会が患者のためにドナーを増やす努力をしなければ厳しい目でみられる」とする。

 さらに「まずやってみないことには医学の進歩はない。どんな医療も初めは少数派だった。誰かがやってみなければ、今の移植医療もなかったでしょうね」と話した。

<デスクメモ>

 病気腎移植で、がんの転移を不安視する意見もあるが、医学の門外漢はポカンとするしかない。患者にとっては腎不全であれ、がんであれ、命の危機は同じ。がんにならなくとも腎不全が悪化すれば意味はない。重要なのは、どちらのリスクが大きいかだ。データを得た上で、最後の選択は自分でしたいと願う。(充)」

4月22日追記(注):小見出しの文章自体は紙面のままですが、小見出しの位置は推測です。)*



万波医師「いい方法と思っている」

 ハワード教授らは、万波医師らを支援する患者らがつくる「移植への理解を求める会」が主催した「国際腎不全シンポジウム」(17日・大阪、18日・東京)で講演するために来日した。

 シンポジウムには2日間で合わせて約2000人が参加。万波医師と弟の廉介医師も姿を見せ、18日の講演に先立つ記者会見で、万波医師は「最初は、私が悪いことをしたのかとも思ったが、すべてが明らかになるにつれて、(病気腎移植は)いい方法だったと思うようになった。もっと認めてもらったら、患者は助かるはず。調査委は、私の説明をよく聞いてくれなかった。ドナーへの人権侵害はなかったと確信している。(臓器摘出は)これしかないという選択だった」と話した。」

 

記事中から幾つかの点にコメントしていきます。

(1) 

「「待っている患者の命を少しでも救うために、米国では今、ありとあらゆる臓器を利用することを考えている」

 現在、米国で特に利用拡大の可能性を模索しているのは、死体(脳死、心臓死とも)からの臓器。本来、望ましいのは18-25歳の若い健康な臓器だが、現実には、このような完全な臓器は15%にすぎないという。

 「もし完全な臓器だけを使うのなら米国の移植数はぐっと減るでしょう」とハワード氏。

 さらに「移植して機能する臓器ならば、疾患があるものでも使う。高齢者の臓器、疾患があるものなど、どこまで逸脱していいかを模索し、使える臓器を拡大している」と説明する。

 具体的には、60歳以上の高齢者、がんや高血圧の既往症のある人の臓器、脳腫瘍(しゅよう)や糖尿病だった人、軽度のB型やC型肝炎など感染症のある臓器も使われる。医師によっては肝硬変や肝炎の肝臓も移植に使っているという。

 「数年前には使えなかった臓器を、今は使っているのが現状」」


米国では、ドナー不足解消のため、移植を待っている患者の命を少しでも救うため、使える臓器かどうか懸命に模索し、使える臓器を拡大していることがわかります。完全な臓器は15%にすぎないという現状を考え、患者の命を救うのが医療機関の役目であるという本筋を貫いた態度です。

日本の移植医療の場合も、人口や生活環境などが異なるとはいえ、同じ先進国に属し食生活も類似しつつあることから、おそらく完全な臓器は15%にすぎず、疾患や加齢などで機能の落ちた腎臓もある程度、移植に使っているのだと思います(著しく機能の落ちた腎臓ゆえ、移植を拒絶し、それでも良いといった希望者に移植したという報道がありました)。日本の移植医療は、かなり昔の米国の移植医療の事情のようです。


(2) 

「氏自身は生体からの病気腎移植をした経験はないという。その上で、「考えもみない方法を教えられた。小さながんがある腎臓でも適切に切除することで移植できることや、特にネフローゼは免疫系に問題がある場合、免疫系が違う患者に移植することで正常に稼働することを示すなど新しい治験を示した」と評価する。……

 このような現状を踏まえ、ハワード氏は病気腎移植の可能性に大きな関心を寄せる。「米国は今は死体からの臓器移植の適用範囲を広げているが、将来的には、病気腎移植など生体からの移植の適用範囲も広げることが必要となる可能性がある」


米国では今、ありとあらゆる臓器を利用することを考えているのですから、疾患のあった死体腎移植にのみ目を向けていたが、万波医師らによる病腎移植(=生体からの病腎を摘出・移植する)という新たな方法を高く評価し、将来的には米国でも実施されるだろうというわけです。

日本移植学会は、万波医師らの病腎移植を(現時点で)否定していることと比べると、著しく異なった態度です。ドナーを増やすことが患者の命を救うことになるという観点から考えると、米国移植外科学会元会長の態度が妥当であって、日本移植学会の態度は妥当でないことは一目瞭然であるというべきです。


(3) 

「米国がドナー不足をどれほど深刻に考えているかは、政府が予算を出して臓器獲得をあらゆる方法で支援していることでわかる。

 ハワード氏によると、連邦政府の下で全米で58の臓器獲得機関が稼働している。臓器獲得の専門職員が移植コーディネーターを配属したり、病院に臓器提供を呼び掛け、ドナーの家族の支援も行う。

 また、約3ヶ月に1度、病院の死亡診断書をチェック。ドナー提供者になり得た人で見逃してしまった人はいないか、使える臓器を捨てていないかもみる。「州によっては臓器提供は本人の意思が主で家族は拒否できない。ドナーカードを携帯していなくても、救急病院でチェックできる体制もできている」という。

 米国臓器配分ネットワーク(UNOS)会長でバージニア大学保健科学センターのティモシー・プルート医師は「病院で、使えるのに廃棄されている臓器を減らすのが課題」と話す。さらに、今は廃棄されている臓器を減らすのが課題」と話す。さらに、今は廃棄されている臓器の中で、使えるものはないか、可能性を探す努力もしているという。」


政府が予算を出して「連邦政府の下で全米で58の臓器獲得機関が稼働」し、使える臓器を捨てていないか「約3ヶ月に1度、病院の死亡診断書をチェック」までするのですから、徹底しています。
政府も徹底していれば、それに呼応して米国臓器配分ネットワーク(UNOS)の方も、「今は廃棄されている臓器を減らすのが課題」であり、さらに、「今は廃棄されている臓器の中で、使えるものはないか、可能性を探す努力もしている」というのです。


(4) 

「腎不全の治療には、人工透析もあるが、これほど移植に力を入れるのは、なぜか。生体肝移植やドミノ肝移植などに携わってきたフロリダ大移植外科・藤田士朗助教授は、その根拠に生存率の差を挙げる。

 「以前は移植のメリットは、QOL(生活の質)が上がること、医療費が安いこと、などといわれた。たしかに、移植を受けた人の8-9割が社会復帰をしている。しかし、最も大切なのは、10年生存率が透析患者だと約4割だが、移植をすると約8割まで上がるということ。米国では、今では移植は長生きするための手段といわれる」」


米国が移植に力をいれるのは「QOL(生活の質)が上がること、医療費が安いこと」から、10年生存率が透析患者だと約4割だが、移植をすると約8割まで上がるという現実からして、「米国では、今では移植は長生きするための手段」となったわけです。


(5) 

「米国の移植界がいかに「万波移植」に興味を持ったか。それは5月に開催される米国移植外科学会会議で、万波氏の発表が受理されたことでも明らかだった。しかし日本移植学会が「調査委員会が調査中で、発表は適切ではない」とした手紙を米国の学会に送った直後、発表は取りやめとなった。

 このことについて、前出のハワード氏は「詳しい事情はわからないが、他国で起きている論争に巻き込まれるのを避けたのではないか。しかし一度受理したものは取り下げるべきではなかった。議論するためにも発表の機会はあった方がよかった」と話す。

 さらに「(万波氏らが指摘された)手続きの問題と医学的な可能性は次元の違う問題」とする。」


米国移植外科学会会議で行われるはずだった、万波氏の発表が取りやめになった理由は、事情を聞いていないので分からないとしつつも、「手続きの問題と医学的な可能性は次元の違う問題」であるから、手続きの不備は取りやめになった理由ではなく、「他国で起きている論争に巻き込まれるのを避けたのではないか」と述べています。

医学的な可能性を探るのが学会の役割なのに、学会の役割が分からないような愚かな医師が、手続きの不備を問題にして他国の移植学会にまで妙な手紙を送りつける……。不合理な理由で他国にまで不可解な手紙を送りつけるような日本移植学会とは関わらないほうが良いと思うのは、容易に分かる理由です。取りやめになったことで、日本移植学会の幹部は勝ち誇っているのでしょうが、米国移植外科学会としては呆れているというか、馬鹿にしているというのが実態でしょう。


(6) 

「ハワード氏は「米国の学会は声明を出して医療にルールを作ったり、規制したりしない」とも話した。

 「どんな治療をするかは医師に任される。新しい方法なら、患者に予想しきれないリスクも含めて説明し、患者の了承を得て行う。そのデータが積み重なり、いい結果が出る方法なら注目され、治療として一般化される。学会が禁止すると医療の発展を妨げることになる。米国では、学会が患者のためにドナーを増やす努力をしなければ厳しい目でみられる」とする。

 さらに「まずやってみないことには医学の進歩はない。どんな医療も初めは少数派だった。誰かがやってみなければ、今の移植医療もなかったでしょうね」と話した。」


日本の医師も米国に学びに行っているのにも関わらず、日本と米国が大きく違う点です。「米国の学会は声明を出して医療にルールを作ったり、規制したりしない」のですし、「新しい方法なら、患者に予想しきれないリスクも含めて説明し、患者の了承を得て行う」のです。お上や権威ある者にルールを決めてもらうことばかり求める日本とは大違いです。

病腎移植の有効性に目をつぶり、ドナー不足を増やす努力に後ろ向きな日本移植学会など関係4学会に対して、日本の市民は厳しく非難しないのですから、日本の市民はなぜここまで権威に弱いのか、呆れるほどです。「米国では、学会が患者のためにドナーを増やす努力をしなければ厳しい目でみられる」のとは大違いです。


<デスクメモ>では、「最後の選択は自分でしたいと願う」としています。患者の自己決定権を重視するということは、どんなにリスクがあっても、説明や情報を得た上で自分で決めるということなのです。病腎移植も、臓器提供者(ドナー)と移植希望者(レシピエント)がリスクと利益を完全に理解しているならば容認できるというのは、患者の自己決定権に適う意見だと思うのです。



2.国際腎不全シンポジウムの報道記事についても触れておきます。今回紹介する記事は、中国新聞('07/4/19)ですが、中国新聞は大阪会場の方も記事にしていますので(「米移植外科学会元会長、都内で記者会見“病腎は検討対象にできる”+国際腎不全シンポジウムの報道」参照)、移植問題について市民に対して積極的に情報提供しようとする姿勢がうかがえます。


中国新聞('07/4/19)

ドナー拡大へ米は積極的 大阪・東京で腎移植シンポ '07/4/19

--------------------------------------------------------------------------------

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らの病気腎移植は、臓器提供不足が背景にあった。脳死者からの移植が主流の米国では、健康な臓器提供者(ドナー)だけでなく、病気があった人までドナーの範囲を広げ、心停止後の提供も積極的に進めている。十七、十八の両日、大阪と東京であった腎移植を考えるシンポジウムで浮き彫りになった日米の対応の違いは―。(編集委員・山内雅弥)

 移植医療の先進国として知られる米国だが、腎移植を待っている患者は約七万一千人に上る。一方、死体腎移植件数は昨年実績で約一万件、生体腎を含めても一万七千件にすぎず、日本以上にドナー不足は深刻といえる。

▽提供が8%増

 全米移植外科学会のリチャード・ハワード元会長は「より多くのドナーを得ることが緊急課題」とした上で、「ありとあらゆる臓器を使うことが必要だ」と強調した。

 こうした危機感を背景に、米政府の肝いりで、二〇〇三年にスタートしたのが現状打破プログラムだ。脳死ドナーだけでなく、心停止後ドナーや高齢者、乳児も積極的に組み入れた。さらに高血圧や脳卒中で亡くなった人などを容認。B、C型肝炎や糖尿病、がんの既往がある人なども、ドナーの可能性が検討されている。

 従来、提供された腎臓に糸球体の硬化があると、移植せずに廃棄していた。それを今回、医学的な追跡調査を基に、硬化の程度に応じて使用するよう勧告した。

 この結果、年間の死体腎提供件数は約8%増えた。全米臓器配分ネットワーク(UNOS)のティモシー・プルート会長は「基準を広げた成果が出ている」と評価。万波誠医師らの病気腎移植に対しても、「米国でも将来のオプションになる可能性は十分ある」と期待する。

▽「15年待ち」も

 同時に、移植患者(レシピエント)の優先順位についても、待機年数を重視する現行基準の見直しを検討中。年齢を考慮した「移植後生存年数」(LYFT)の導入も視野に入れる。今後、賛否両論が出そうだが、臓器不足の現実に向き合う姿勢はうがかえる。

 これに対し、日本の実情はどうか。昨年の脳死・心停止を合わせた死体腎移植件数は全国で百九十七件。ピークの一九八九年(二百六十一件)の四分の三にとどまる。生体間移植を合わせても千件余りにすぎない。腎移植を希望して臓器移植ネットワークに登録している待機患者は一万一千人を超え、「十五年待ち」ともいわれる事態は一向に改善しない。

 日本移植学会などが三月に出した共同声明は、「腎臓も健常であることが前提」と病気腎移植を否定した。しかし、生体腎移植でも、腎動脈瘤(りゅう)が見つかった腎臓の患部を取り除いて移植したケースは、容認されてきた経緯がある。

 万波医師は「可能なら、病気腎移植の結果を移植学会などで発表したい」と語った。新たなドナーを増やそうとする米国の取り組みも踏まえ、学会や厚生労働省は、病気腎移植を科学的に検証していく責務があるだろう。

【写真説明】病気腎移植の可能性について議論する日米の専門家たち(17日、大阪市のホテル)」


「国際腎不全シンポジウム開催(4月17・18日)+日本移植学会公表の生存率はインチキだった?(産経新聞より)」で引用したように、 国際腎不全シンポジウムの演目はかなりあったのですが、「日米の対応の違いは?」と強調しているように、米国の移植事情に限定して、日米の移植事情を比較した記事にしています。

深刻な臓器不足という現状を踏まえて、「ありとあらゆる臓器を使うことが必要だ」として、米政府の肝いりで、二〇〇三年から現状打破プログラムを実施し、ティモシー・プルート会長は、万波誠医師らの病気腎移植に対しても、「米国でも将来のオプションになる可能性は十分ある」と期待しているくらいです。

それに対して、日本では「十五年待ち」ともいわれる事態は一向に改善しないのにも関わらず、こうして米国の移植事情が報道されているのにも関わらず、日本移植学会など4学会が出した共同声明は、病気腎移植を否定しています。米国と比べると、日本移植学会はあまりにも現実感のない態度です。

日米の移植事情を考えると、中国新聞が

「新たなドナーを増やそうとする米国の取り組みも踏まえ、学会や厚生労働省は、病気腎移植を科学的に検証していく責務があるだろう。」

と結論付けるのも当然のことです。

もっとも、責務を果たすべきと強調するのであれば、日本の報道機関は、日本移植学会や厚労省が「病気腎移植を科学的に検証」する気は全くない態度を強く非難すべきですし、日本移植学会が出す虚偽情報を強く非難すべきです。日本移植学会が出す虚偽情報を精査できない日本の市民もまた、問題があることは確かですが。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
春霞様こんにちは
大阪・東京でのシンポジウム、各会場約1000人もの方々がおいでいただき盛況に開催されたとのこと、誠にありがたく思います。
この春霞様の東京新聞のブログ内容は、当方のブログ内にもリンクさせていただきました。詳しい解説と紹介ありがとうございました。
2007/04/21 Sat 12:58:15
URL | hiroyuki #-[ 編集 ]
きょう、フロリダ
きょう、フロリダまで世界は治療する?
しかしミュシャはバージニアへ紹介♪
2007/04/22 Sun 10:17:12
URL | BlogPetのミュシャ #-[ 編集 ]
>hiroyuki さん
コメントとTBありがとうございます。

>大阪・東京でのシンポジウム、各会場約1000人もの方々がおいで
>いただき盛況に開催されたとのこと、誠にありがたく思います。

東京会場の方に参加させて頂きました。貴重な機会を設けて頂きありがとうございました。


>この春霞様の東京新聞のブログ内容は、当方のブログ内にもリンク
>させていただきました

リンクありがとうございます。良い記事だったので、引用してみました。東京新聞の「こちら特報部」の記事はもっとも評価が高いのですが、今回も良い記事でした。
評価が高いため、4月からネットでは一部だけしか読めないようになってしまいました。もっとも、購読している身としては無関係ですが。
2007/04/22 Sun 22:52:54
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
いい記事
>評価が高いため、4月からネットでは一部だけしか読めないようになってしまいました。

 中日新聞で同じ記事が載っていました。興味深かったので、いつものようにネットからブログヘコピペと思ったのですが、どう検索しても、タイトルすら見つけられませんでした。評価の高い記事なら、より広く知らせるように対応するのが広報本来の役割ではないかと思いますけど、閉ざす(売り上げの)ほうへ向いちゃうのかな。
 すみません。またもや、私のほうへコピペさせて頂きました。

 実に示唆に富んだ記事だと思いました。ハワード教授の話、心に迫ります。日本の意識、こんなにも遅れているのですね。そのため助かる命が失われていますのに。最優先しなければならないことですのに。
2007/04/25 Wed 10:05:21
URL | ゆうこ #mQop/nM.[ 編集 ]
>ゆうこさん
コメントありがとうございます。


>中日新聞で同じ記事が載っていました

「こちら特報部」の記事は東京新聞独自の記事なのですが、東京新聞だけでなく、(本社?の)中日新聞でも掲載していたんですね。


>評価の高い記事なら、より広く知らせるように対応するのが広報本来
>の役割ではないか

「こちら特報部」の記事を知ったのは、記事を紹介しているブログ(東京新聞購読者)だったのです。そのブログで記事を知って東京新聞のHPを見て、良い記事だと感激して東京新聞の購読を始めたという経緯があるので、ネットで記事が読めなくなったのは、残念なのです。ネットで知ったという読者が減ってしまうので。

もっとも、例えば共謀罪の記事については、販売圏外の読者から絶賛するメールがきていたようで、評価されても複雑という感じだったようです。こういう事情があるのでなんとも言い難いですが、記事によっては全文公開してほしいと思いますけどね。無理かな~。


>日本の意識、こんなにも遅れているのですね。
>そのため助かる命が失われていますのに

世界的に深刻な臓器不足の状態なのに、なぜ米国の移植に関する対応の仕方は参考にしないのかが、不思議です。日本でも患者のために医療を行うはずなのですが……。
2007/04/26 Thu 23:18:26
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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病腎移植の可能性大いに探った国際腎不全シンポジウム 大阪・東京4月17日(火)・18日(火)移植への理解を求める会と徳洲会グループは、万波先生らの医療行為の妥当性と病気腎移植の有効性を訴えるための国際腎不全シンポジウムを、4月17、18の両日、大阪と東京
2007/04/21(土) 12:04:04 | 万波誠医師を支援します
国際シンポジウム 4月17日、18日の病気腎移植を考えるための国際シンポジウムは盛況の内に終わり、成功だったと思います。大阪、東京ともに1000人前後の方に来ていただき、記者会見や講演後の報道関係者からの個別の問い合わせもかなりありました。長崎市長の襲撃
2007/04/21(土) 14:21:02 | 地獄への道は善意で舗装されている
< 伊 藤 一 長 長 崎 市 長 >ここに、謹んでご冥福をお祈り致します。 ◆プレスクラブ (2006年10月19日) 日本を知るには裏社会を知る必要がある菅沼光弘 元公安調査庁調査第二部長講演(東京・外国特派員協会) 東京(10月19日)―元公....
2007/04/21(土) 21:42:29 | 晴天とら日和
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