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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/04/16 [Mon] 18:43:16 » E d i t
様々な理由で子育てできない親から匿名で新生児を預かる「こうのとりのゆりかご」設置に向けて、熊本市の慈恵病院で4月12日、病棟の改築工事が始まったそうです。順調に進めば4月28日に完成し、熊本市保健所の確認を経て、5月の大型連休後から運用が始まる見通しだそうです(asahi.com(2007年04月12日20時24分))。
まだ設置されていないのですが、すでに問い合わせが20件ほどきているようです。東京新聞4月15日付「こちら特報部」の記事を見ると、「こうのとりのゆりかご」には、本来の目的以上の意義が生じているようです。東京新聞4月15日付「こちら特報部」を紹介したいと思います。


1.東京新聞平成19年4月15日付朝刊28面「こちら特報部」

熊本・赤ちゃんポスト設置間近 

 熊本市の設置許可を受け、早ければ今月末にも赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を設置する慈恵病院(同市)に母親たちからの相談が相次いでいる。一部から「親の無責任を助長する」と批判される赤ちゃんポストだが、病院は「できるだけ相談してもらい、ゆりかごの利用は最終手段に」と呼びかけ、態勢づくりを進めている。  (片山夏子)

◆問い合わせ すでに20件  まず悩み相談 橋渡し

 「赤ちゃんポストはできましたか」。昨年11月、「こうのとりのゆりかご」の計画を発表して以来、慈恵病院に電話で約20件の問い合わせがあった。大半は妊娠中の女性からだが、男性からも。当初はみんな匿名や偽名だったが、最終的に全員が本名を名乗ったという。

 田尻由貴子看護部長は「説得はしない。とにかく話を聞く。話をしている間に本人が考えることができる」と説明する。話しているうちに「実は…」と本名を名乗り、事情を打ち明ける。1日に何度も電話をかけてくる人も。「それだけ不安が強い。できれば相談に来ませんかと呼びかける」と田尻さん。電話の後、直接病院に来た人も少なくない。

◆「父親が蒸発」「経済的に不可能」

 20代女性で誰にも相談できないまま、赤ちゃんポストについて問い合わせてくる場合が多いという。

 「父親になる人が蒸発した」「母子家庭で、経済的にもう一人は育てられない」「未成年で妊娠を親に言えないうちに臨月が近くなってしまった」―。相談は多岐にわたる。本人が親に話しにくいときは病院が橋渡しする。「一人で抱えないようにして、どうするかを相談する。子育ては大変。育てるにしても、孤立すれば虐待につながる心配もある」(田尻さん)

 相談者の中にはすでに出産した人もいて、約半分が特別養子縁組に、半数が自分で育てると決めた。

 慈恵病院は赤ちゃんポストを機に「新生児相談室」を新設。2002年から「妊娠葛藤(かっとう)相談」を行ってきた経験が生きる。田尻さんや助産師などカウンセリングのできる担当者が24時間電話相談に乗る。赤ちゃんポストにも、赤ちゃんを置きに来た人あての手紙を入れ、病院に相談したり、赤ちゃんのために名乗ってほしいと呼びかける。

◆支援の希薄さ 困窮を考えて

 匿名が救済につながる場合もあるために、匿名性は排除しないが、田尻さんは「命を救うことが最優先だが、親が名乗ることで、すぐに里子や養子縁組ができる選択肢が赤ちゃんに増える。子どもが親を知りたいとおもったときのために、匿名性をなるべくなくしたい」と話す。「ゆりかごは最終手段。利用されないに越したことはない。ゆりかごがきっかけとなって相談に来てくれれば」(田尻さん)が病院側の気持ちだという。熊本市や熊本県も妊産婦への24時間電話相談などの充実に乗り出すが、田尻さんは「困窮する人たちの受け皿や支援体制の希薄さを国を挙げて考えてほしい」と訴える。

 母子家庭の当事者団体「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子(ちえこ)理事は10年前に比べ、女性一人での子育ては困難になっていると指摘、婚外子差別やシングルマザーの生きにくい空気を踏まえ「お母さんたちが今の時代に感じている、産みにくさや生きにくさをどう解決していくかも並行して議論されれば」と話す。「親の状況がどうであれ、子どもの育ち全体を支援するシステムが日本にはない。なぜ、赤ちゃんポストに来るのか、どうして手放さなくてはならないのかをもっと分析し、解決していく議論や支援が必要だ」と強調した。



「こうのとりのゆりかご」 

 赤ちゃんが預けられると、慈恵病院は児童相談所や警察、熊本市などに通報。市が赤ちゃんの戸籍を作り、里親のもとか乳児院で育てられるが、親の身元が分かる可能性があるため、1年ほどは乳児院で暮らす。親が分かる場合は里子になったり、親権放棄を経て特別養子縁組が行われる。」




2.「こうのとりのゆりかご」問題については、「「こうのとりのゆりかご」(いわゆる「赤ちゃんポスト」)問題~厚労省は慈恵病院による設置申請を容認へ」について一度触れています。法律問題など主要な問題点についてはそちらをご覧下さい。

東京新聞の記事から幾つかコメントします。

(1) 

「1日に何度も電話をかけてくる人も。「それだけ不安が強い。できれば相談に来ませんかと呼びかける」と田尻さん。電話の後、直接病院に来た人も少なくない。

◆「父親が蒸発」「経済的に不可能」

 20代女性で誰にも相談できないまま、赤ちゃんポストについて問い合わせてくる場合が多いという。

 「父親になる人が蒸発した」「母子家庭で、経済的にもう一人は育てられない」「未成年で妊娠を親に言えないうちに臨月が近くなってしまった」―。相談は多岐にわたる。本人が親に話しにくいときは病院が橋渡しする。「一人で抱えないようにして、どうするかを相談する。子育ては大変。育てるにしても、孤立すれば虐待につながる心配もある」(田尻さん)」


どうやら慈恵病院は、「こうのとりのゆりかご」設置をきっかけとして、広く全国に知られる、妊娠中の女性に対する相談窓口になっているようです。いかに現在の状況が相談所が少なく、または、相談所があっても相談できない状況であることが明らかになったようです。

だからこそ、今現実に困っている状況に対して直接対応している、田尻看護部長は、

「熊本市や熊本県も妊産婦への24時間電話相談などの充実に乗り出すが、田尻さんは「困窮する人たちの受け皿や支援体制の希薄さを国を挙げて考えてほしい」と訴える。」

となるわけです。


(2) 

「母子家庭の当事者団体「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の赤石千衣子(ちえこ)理事は10年前に比べ、女性一人での子育ては困難になっていると指摘、婚外子差別やシングルマザーの生きにくい空気を踏まえ「お母さんたちが今の時代に感じている、産みにくさや生きにくさをどう解決していくかも並行して議論されれば」と話す。「親の状況がどうであれ、子どもの育ち全体を支援するシステムが日本にはない。」


10年前よりも、女性一人での子育ては困難になっているとか、子どもの育ち全体を支援するシステムが日本にはないというのは、国側が現実に対応したシステムの構築を怠ってきたということを意味します。

「こうのとりのゆりかご」設置を批判するならば、まずは、「子どもの育ち全体を支援するシステム」の構築を十分に行ってからでしょう。そういうシステムの構築なしに批判しても、赤ちゃんを街角に捨てたり、殺したりしてしまうだけです。規範意識とか、匿名性はいけないと唱えているだけでは、現実に困っている人に対しては、何も解決策にならないのです。


もちろん、「こうのとりのゆりかご」を設置したところですべての問題が解決することにはなりませんし、なくても命が失われないのであればよいのです。しかし、現実的は異なります。ならば、「こうのとりのゆりかご」を設置して、一人の命でも救うことは価値あることですし、困ってい状況にある妊娠中の女性にとって最後のよりどころになって、助けることに意義があるのです(ニューズウィーク日本版(2007年3月14日号)「赤ちゃんポストの欧州事情」23頁参照)。

ニューズウィーク日本版(2007年3月14日号)「赤ちゃんポストの欧州事情」の記事の最後は、次のような文章で締めていました。

「絶望的な心境で赤ちゃんを差し出す母親は知っている。窓口の向こうでは、優しい腕が受け止めてくれることを。」

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コメント
この記事へのコメント
度々すみません
春霞様 こんばんは
>慈恵病院は、「こうのとりのゆりかご」設置をきっかけとして、広く全国に知られる、妊娠中の女性に対する相談窓口になっているようです。
>いかに現在の状況が相談所が少なく、または、相談所があっても相談できない状況であることが明らかになったようです。
安倍首相は「匿名で子供を置き去りにすることは、私は許されないと思う」と強い疑念を表明し、塩崎官房長官は相談体制を強化することを訴えていました。
首相は安っぽい倫理観を説く前に、こういう現実が社会に厳然と存在することを認識し、その問題解決のために施策を示すべきです。
少子化対策を重点課題とするなら、人工妊娠中絶と少子化の関連を心底から認識し、地獄の苦しみに喘ぐ人達の心を1人でも多く救済すべきです。
官房長官のご説はご尤もですが、長官は「訴える」立場ではなく、施策を推進すべき立場にあるはずです。
政府が何時まで経ってもろくな施策を行わないから、民間が立ち上がったのだと、まだ解らないのでしょうか?
人々の心が貧しい国は決して美しい国にはなり得ません。マザーテレサの言葉を再認識すべきと思います。
「日本に来てその繁栄ぶりに驚きました。日本人は物質的に本当に豊かな国です。
しかし、町を歩いて気がついたのは、日本の多くの人は弱い人、貧しい人に無関心です。
物質的に貧しい人は他の貧しい人を助けます。精神的には大変豊かな人たちです。
物質的に豊かな多くの人は他人に無関心です。精神的に貧しい人たちです。
愛の反対は憎しみと思うかもしれませんが、実は無関心なのです。
憎む対象にすらならない無関心なのです。」
http://www.sakushi.jp/blog/archives/2006/08/post_167.html)より
2007/04/16 Mon 21:07:31
URL | Canon #yYfDAmAg[ 編集 ]
>Canonさん
コメントありがとうございます。


>首相は安っぽい倫理観を説く前に、こういう現実が社会に厳然と存在
>することを認識し、その問題解決のために施策を示すべきです。
>官房長官のご説はご尤もですが、長官は「訴える」立場ではなく、
>施策を推進すべき立場にあるはずです

倫理観を強調しても、育てられないという状況を具体的に改善できないのですから、安倍首相の発言は何の意味もありません。憲法改正ごっこは止めて、今必要なことに目を向けて欲しいです。

官房長官もあまり変わりません。「相談体制を強化する」と言ってもね……。何時、具体的にどうするのでしょう? 児童相談所はあまりにも忙しいので、相談所の人数を少し増やしてもさほど影響はないでしょうし。


>マザーテレサの言葉を再認識すべきと思います。
>日本の多くの人は弱い人、貧しい人に無関心です

最近、特に格差社会問題が表面化していますから、特に無関心はよくないのですが……。
2007/04/18 Wed 06:30:10
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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このコメントは管理者の承認待ちです
2017/02/10 Fri 10:35:08
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金持ちはドンドン金持ちになっていく。そりゃぁ~、政府が、金持ち・大企業優遇政策をとっている限り、富裕層はドンドン富裕層になっていく、・・・・・日本という国は欲の皮ツッパラかした奴ばかりが、富裕層になるようで、こういう連中で慈善団体に寄附したとか、....
2007/04/17(火) 07:17:57 | 晴天とら日和
 今回は、少し政治の話を離れて<実際は、政治にもかなり関わる問題ではあるのだけど>、赤ちゃんポストのことをメインに書いてみたいと思う。  この1~2ヶ月、子供とか親子、夫婦とは何なのか・・・ということに関して、色々と考えさせられるニュースが続いた。 熊本
2007/04/20(金) 00:30:28 | 日本がアブナイ!
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