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2007/04/15 [Sun] 05:13:27 » E d i t
憲法改正の手続きを定める国民投票法案の与党修正案が4月13日午後の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決、参院に送られました。16日に参院憲法調査特別委員会で審議入りすることになります。この報道についてコメントしたいと思います。


1.まず、報道記事から。

(1) 東京新聞平成19年4月14日付朝刊1面

 「国民投票法案が衆院通過 与党案16日から参院審議
2007年4月14日 朝刊

 憲法改正の手続きを定める国民投票法案の与党案は十三日午後の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決され、参院に送付された。民主党案は否決された。これを受け、参院の与野党は十六日午前の本会議で同法案の趣旨説明と質疑を行った後、憲法調査特別委員会で提案理由説明を行う日程で合意した。同法案が六月二十三日の今国会会期末までに成立するのは確実だ。 

 安倍晋三首相は十三日夜、国民投票法案の衆院通過について「ずいぶん長い時間、議論し、問題点、論点は出尽くし、機は熟した。いつかは採決をしなければならず、その時がとうとうやってきたということではないか」と述べた。訪問先の石川県輪島市で記者団に語った。

 十三日の衆院本会議で共産、社民両党は与党案と民主党案の両方に反対した。国民新党は与党に抗議の意を示すために審議の途中で退席した。

 与党案は、衆参両院に憲法改正原案を審議する憲法審査会を新設。ただし、公布から三年間は審議を凍結する。

 投票権者の年齢を原則十八歳以上とし、法律が施行されるまでの三年間に「公職選挙法、民法など必要な法制上の措置を講じる」と付則で規定。それが実現するまでの間は二十歳以上とする。公務員・教育者が地位を利用して投票を呼び掛ける運動は禁止するが、罰則は設けない。

 憲法九六条は、国会が発議した改憲案を国民投票にかけて過半数の賛成があれば承認されると規定しているが、投票の実施方法に関する法律は制定されていない。与党と民主党は昨年五月に、それぞれ法案を提出。衆院憲法特別委員会の理事が修正協議を続けたが、一本化に至らなかった。」




(2) 東京新聞平成19年4月14日付朝刊1面「筆洗」

 「中立的な手続きルールを定めるだけなのだから、成立は当然だ。遅すぎたぐらいだという論調が、メディアの中にもあることに正直驚く。それならなぜ、与野党一致の合意のもとで行われなかったのか▼「憲法改正の手続きを定める国民投票法案」が、前日の特別委に続き、衆院本会議でも与党だけの賛成多数で可決、参院に送付された。今国会での成立は必至という。憲法改正への第一歩がついに踏み出された。歴史の節目をこんなふうに越えてもいいのか▼施行は公布から三年後、それまで改憲案の審査は行わないというが、「三年」という改正への時限スイッチが入り、コチコチ時を刻み始めたことには違いない。就任以来「戦後レジームの脱却」を唱えてきた安倍政権だが、この政権を支える衆院の絶対多数は、憲法改正への信任として与えられたものではない▼一昨年九月、郵政民営化法案を参院に否決された小泉前首相が、その是非を国民に問う、いわば「疑似国民投票」として行われた衆院解散で与えられたものだ。それをまだ国民の合意形成もない憲法改正の手順に使うのは筋違いだ▼その負い目があるから、最後まで民主党を含めた与野党共同提案が模索されたのではないか。安倍首相は、憲法を改正したかったら、七月の参院選といわず、前首相に倣ってその是非を、解散総選挙で問うてはどうか▼防衛庁を省に昇格させ、手続きルールだと言っては改正への国民投票法をつくる。そんな外堀を埋めてから本丸を攻めるような姑息(こそく)な方法で国家百年の計を決めるな。」



(3) 東京新聞平成19年4月14日付朝刊27面

 「改憲難しくなった――小林節・慶応大学教授(憲法)の話

 自民党と民主党が対立したことにより、改正の発議に必要な衆参各院の国会議員の3分の2の賛成が得にくくなり、かえって改憲は難しくなったのではないか。憲法全体を包括的に問うなど問題の多かった3年前の与党案に比べ、今回の法案は、自民、民主両党が信頼し合って論議を深め、修正されてきた、公正で良い案だ。それだけに、参院選の思惑がからんだ土壇場での対立は相互に根強い不信感を生んだ。安倍首相が本気で改憲を目指すならこのような形での決着は大きな矛盾となる。」




(4) 朝日新聞平成19年4月14日付朝刊35面

◆問われる参院の良識――高見勝利・上智大教授(憲法)の話

 国民投票法が、憲法改正の是非について主権者である国民の意思を確定するルールであることを考えると、とりわけ慎重な審議が必要だ。衆院を解散し、国民投票法を争点に民意を問うことを考えてよいぐらいの重要な法案だった。与党が強引に衆院を通過させたのは、拙速との非難を免れない。これから問われるのは参院の対応だ。夏の参院選で法案の対立点を争点に掲げて民意を確かめ、その結果を踏まえ、法案を出し直して審議を行うことが筋だろう。「有効投票の過半数が得られさえすれば、かりに20%の有権者しか投票所に足を運ばなかったとしても、国民による憲法改正の承認があったといえるのか」など論点はたくさんある。衆院が送った法案をうのみにし、法成立を急ぐことは許されない。ことは二院制の存在意義にかかわる。良識の府として衆院の案を厳しくチェックする機能が期待されているのに、それを放棄するかのような態度に出れば、参院は無用ということになろう。一人ひとりの参院議員は自覚すべきだ。


◆イラク戦争に反対して外務省を退職した天木直人・元レバノン大使の話

 平和憲法は米国に押しつけられたものだが、軍国主義の被害を被った国民は受け入れた。その歴史が大切だ。今の改憲論議は、戦争を続ける米国との軍事同盟の議論と一体だ。9条を変えてはいけない。でも、国民投票法をつくること自体には反対しない。むしろ国民の1票で拒否した方が意味がある。国民が改憲に「ノー」と言ったという事実をつくることは、極端に言うと合法的な革命だ。戦後の国のあり方を、初めて国民が自らの意思で選び取ったということだから。もちろん、急いで法律をつくる必要はない。法案は「有効投票数の過半数」で改憲できることになっているが、国運を大きく左右する決定だから、「大方の国民が認めた」という形になるように、投票成立のためのハードルは高くすべきだと思う。最低投票率の規定を新たに設けるより、「総有権者の過半数」とした方が分かりやすいのでは。どういう内容ごとに投票にかけるのかも詰められていない。どう考えても時期尚早だ。」




2.憲法96条によると、憲法が改正される手続は、<1>国会による発議→<2>国民投票による承認→<3>天皇が国民の名で公布、という段階に分かれています。さらに細かくみれば、国会が発議するまでには、(イ)国会議員が憲法改正原案を提出し、(ロ)衆議院と参議院の両院で原案の審議をし、(ハ)国民に提案する、という流れをとることになります(豊秀一「国民投票 憲法を変える? 変えない?」岩波ブックレット697号4頁)。

今の国会で議論されているのは、<1>のルールを国会法の改正で対応し、<2>のルールを国民投票法を新に作って決めようというものです。ここで紹介した記事は、国民投票法に関するものです。

第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。




(1) 国民投票法は、憲法改正の手続として必要なものですが、なぜ、今まで国民投票法は制定されなかったのでしょうか?

 「実は、過去に一度、国民投票法が国会に提案される直前までいったことがありました。

 米国の占領が終わり、サンフランシスコ平和条約が発効して日本が独立を回復した年のことです。……当時の自治庁で具体的な法案作りを始めたのです。……しかし……閣議決定は見送られたのでした。

 閣議決定が見送られた後で、当時の自治庁選挙部長が「日本国憲法改正国民投票制度について」という論文を3回にわけて、雑誌『自治研究』に寄せていました。

 そのなかで、この選挙部長が実に興味深い指摘をしています。


  国民投票法は、ちょっと考えると、単なる投票の技術的な手続法のように思われるが、実際は、決してそうばかりではない。きわめて政治的な、実体的な考慮を要する問題が少なくない。その多くは、憲法改正という、革命に近い重大な事態のうちに行われるような場合があること、本質的には憲法改正という政治的な問題の解決の方法であることに由来しているといってよい。


 この部長が言うには、国民投票法は、一種の技術的な手続き法として、事務的に考えれば早く成立させなければならない。しかし、政府なり与党なりに憲法改正の意図があり、その布石(ふせき)だと見られたくないという政治的な考慮を加えることは当然だ。だからこそ、これまで提案を見合わせてきたのだ――。ざっとこんな論旨を展開していました。

 国民投票法を作ることは一見すれば技術的に見えるけれども、憲法改正と結びつく政治的な側面を持つという本質を、選挙部長の論文は的確にとらえているわけです。

 これまで憲法が変えられなかったことと同じように、国民投票法ができなかったことには政治的な理由があるわけです。」(豊秀一「国民投票 憲法を変える? 変えない?」岩波ブックレット697号6頁)




(2) 上で触れたように、国民投票法を作ること自体が、憲法改正と結びつきかねないという政治的な側面があったからこそ、今まで国民投票法ができなかったわけです。しかし、とうとう、国民投票法が衆議院を通過したのです。

では、これで憲法改正ができるようになるのでしょうか? 

小林教授はこのように述べています。

 「自民党と民主党が対立したことにより、改正の発議に必要な衆参各院の国会議員の3分の2の賛成が得にくくなり、かえって改憲は難しくなったのではないか。……参院選の思惑がからんだ土壇場での対立は相互に根強い不信感を生んだ。安倍首相が本気で改憲を目指すならこのような形での決着は大きな矛盾となる。」


「国民投票法が、憲法改正の是非について主権者である国民の意思を確定するルールであることを考えると、とりわけ慎重な審議が必要」(高見勝利・上智大教授)でした。「憲法改正への第一歩がついに踏み出された。歴史の節目をこんなふうに越えてもいいのか」(東京新聞「筆洗」)とさえいえるでしょう。

であるにもかかわらず、「13日の衆院本会議で共産、社民両党は与党案と民主党案の両方に反対した。国民新党は与党に抗議の意を示すために審議の途中で退席した。」という状態で衆議院を通過させたのですから、衆参各院の国会議員の3分の2の賛成はおよそ不可能になりました。

与党は、目前の「国民投票法」を強引にでも成立させることを優先させたため、かえって本来の目的であった「憲法改正」が遠のいてしまったのです。与党は本来の目的を忘れてしまったようです。



(3) この国民投票法は、高見勝利教授や天木直人氏が指摘するように「有効投票の過半数が得られさえすれば、かりに20%の有権者しか投票所に足を運ばなかったとしても、国民による憲法改正の承認があったといえるのか」など問題点はまだまだ多く残されています。(問題点の具体的な検討は別の機会に行います。なお、朝日新聞は4月14日3面でも解説していますが、4月16日から政治面で、論点など詳しく解説するそうです。)

参議院での十分な審議が必要であり、問題点を解消した後に成立を認めるべきです。「衆院を解散し、国民投票法を争点に民意を問うことを考えてよいぐらいの重要な法案」なのですから。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
こんにちは
この問題では春霞様にお聞きしたいことがありました。
春霞様は表面上は淡々と書かれていますが、大変に恐ろしい局面ですよね。
>有効投票の過半数が
最も大きな不安はやはりこれです。この有効投票に下限は無いのでしょうか?
私は民主党案も詳しくは知りませんが、これがもっと叫ばれない理由が解りません。
比較表がありましたが、未成年者の問題等を含め、何だか皆素直に納得できません。
http://www.news-pj.net/pdf/2007/niben-20070215.pdf
その他の大筋では私は日弁連の意見書に賛意を示したいです。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/2005_14.html
もう一つの質問は、憲法改正以外の目的の国民投票の定めはない、とされていますが、
今までもそうした制度の導入を検討したことは無いのでしょうか?
西洋における議会制民主主義を取る国では、特に重要な案件について国民投票を行う国もあると思います。
何故、国民投票が憲法改正と同列に扱われているのか理解できません。
国民の意見を2分する問題は決して少なくないですし、そうした問題こそ国民投票を決定の1つの手段としても良い様に思います。
無論、中世の魔女狩り裁判のような集団謀議的な決定を排除する仕組みも必要で難しいとは思いますが。
ざっと探してみたところ、この問題では次のサイトに共感を覚えました。
http://homepage3.nifty.com/kenpofaq/kokkai/q11.htm
どうも憲法研究者の通説も学説によって異なるようですね。
2007/04/15 Sun 18:29:16
URL | Canon #yYfDAmAg[ 編集 ]
>Canonさん
コメントありがとうございます。


>春霞様は表面上は淡々と書かれていますが

国民投票法案については色々な問題があるのに、このブログでは、はっきりと触れたのは今回が初めてです。あまりにも出遅れてしまったので、ちょっと気恥ずかしく、淡々と書いてしまいました(汗)


>この有効投票に下限は無いのでしょうか?
>これがもっと叫ばれない理由が解りません

この国民投票法案(+民主党案)には、最低投票率規定はありません。なので、低投票率であっても、憲法改正が成立してしまうことになります。

下限と言っていいのか分かりませんが、結局、20%の国民の賛成によって、成立する可能性があります。↓の「津久井進の弁護士ノート」の「国民投票法案が悪法であるワケ」が分かりやすいです。
http://tukui.blog55.fc2.com/blog-entry-279.html

なぜ、「もっと叫ばれない」のか、最低投票率規定がないのかというと、投票を無効にすることを狙ったボイコット運動を避けるためと言われています。
しかし、国の基本法なのですから、より広範な国民的合意がある方が妥当です。

重要なことは、日本では、近年特に投票率がかなり低いのです。日本において投票率が低いのは、ボイコットしているからではなく、関心が低いからです。
だから今のままでは、無関心のまま、憲法改正が成立しそうだから問題なのです。最低投票率規定を定めておくべきだと思います。

最低投票率規定は、弁護士会や市民の側や憲法学者の多くは入れるように主張していて、叫んでいるのですが。


>憲法改正以外の目的の国民投票の定めはない、とされていますが、
>今までもそうした制度の導入を検討したことは無いのでしょうか?

市民運動や政党による導入活動があったかどうかは分かりませんが、国民投票、すなわち広く捉えると「直接民主制」の導入の議論はずっと前からなされています。
国会においても、「昭和53年2月3日衆議院予算委員会」で議論されています。
↓の「国立国会図書館」の「調査資料:平成16年刊行分」の「シリーズ憲法の論点2「直接民主制の論点」のところに出ています。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/document2004.html

「シリーズ憲法の論点2「直接民主制の論点」(PDF file 1763KB) 自体は、↓です。
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/document/2004/200402.pdf


>国民の意見を2分する問題は決して少なくないですし、そうした問題
>こそ国民投票を決定の1つの手段としても良い様に思います。

国民投票制度については、ヒトラー体制下で重要な判断を国民投票で決定したという危うさをも、考慮する必要があります。もっとも、ナチス独裁の下では、反対意見を説く政党やメディアもなく、国民投票に関する情報は政府や御用新聞が一方的に流すものであって、冷静な判断のための条件を欠いていたことに注意する必要がありますが。

国民投票には危うさがあっても、意義あることは確かです。諸外国では国民投票は広く行われていますが、日本では未経験です。未経験のまま、国民投票が憲法改正の場合のみであるというのは、実施する際の影響力などが分からず、不安が多いのです。

仰るとおり、憲法改正に限定しない国民投票法の方が、現実問題として妥当ではないかと思います。
2007/04/17 Tue 00:25:17
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
「発議」は」議案の「提案」の意味
国会が「発議」するまでには・・・憲法改正原案を提出し・・・「国民に提案」・・・

こういう表現を豊秀一さんはされていますよね。

つまり、「発議」は複数のステップからなり、最終ステップとして、「国民に提案」が含まれると。

すると、憲法96条にある「国民に提案」という表現の意味は何か、という疑問が生じます。

はい、「発議」は「提案」の意味しかないのだ、とすれば、一件落着では?

http://unitingforpeace.seesaa.net/article/39365425.html
2007/04/19 Thu 17:58:34
URL | ohta #HuBhO90w[ 編集 ]
「発議」は国会への議案の提案を意味する
前コメントは意味不明になってました。
96条がいう「発議」は、改憲原案の国会への提案のみを意味する、という解釈です。
そうしないと、96条がいう「・・・国会が、これを発議し、国民に提案して・・・」が「・・・国会が、これを国民に提案し、国民に提案して・・・」とおかしな意味の重複が生じてしまいます。
「発議」の間接目的語は国会、「国民に提案」の間接目的語は、当然、国民です。
2007/04/20 Fri 11:30:19
URL | ohta #HuBhO90w[ 編集 ]
>ohta さん:2007/04/19(木) 17:58:34・2007/04/20(金) 11:30:19を併せてお返事
はじめまして、コメントありがとうございます。


>96条がいう「発議」は、改憲原案の国会への提案のみを意味する、
>という解釈です。

そういうご主張をなさっているのですね。丁寧に説明して下さってありがとうございます。

もっとも、96条の「国会による発議」とは、憲法改正案の原案を国会に提出するということではなく、「国民に提案される憲法改正案を国会で議決すること」を意味するというのが憲法学者の一般的な理解のようです(井口・浦田・只野・三輪編「いまなぜ憲法改正国民投票法なのか」45頁、野中・中村・高橋・高見著「憲法2」394頁)。

なぜかというと、憲法改正は、国会の意志と国民投票に現れた国民の意志の合致によって成立するのですから、国民は、国民投票という形で、国会の意志が不確定な原案に対して賛否を示すのではなく、国会が決定した改正案に賛否を示すものと解すべきだからです。


>そうしないと、96条がいう「・・・国会が、これを発議し、国民に
>提案して・・・」が「・・・国会が、これを国民に提案し、国民に提案
>して・・・」とおかしな意味の重複が生じてしまいます。

確かに、96条は「国民に『提案』してその承認を」経ることになっていて、発議と提案を書き分けていますので、ohta さんのような解釈にしないと、「提案して」という文言が無意味になってしまいます。妙と言えば妙な話ではありますね。

ただ、発議の成立を同時に国民への提案と解して不都合はないとするのが憲法学上の多数説とされています(野中・中村・高橋・高見著「憲法2」395頁、宮沢著・全訂日本国憲法」793頁)。要するに、「提案して」という文言は無意味でよいということですね。

なぜかというと、発議は公開の議決によってなされるのですから、発議さえすれば国民に対しても国会の意志を伝えることになる、すなわち「提案」していることと同じといえるからです。また、発議から国民投票を実施するまでの間に期間があるので、その期間中の公報が「国民への提案」といってよいからです。


でも、ohta さんのような解釈は判る気がします。
世論調査では、憲法改正に賛成か否かという問いがなされ、結構賛成が多かったりします。しかし、憲法改正は具体的な改正案が何なのかが重要なのです。しかも、国民投票で国民に問われるのは、「日本国憲法の改正に賛成かどうか」ではなく、「国会が発議したこの憲法改正案に賛成かどうか」ということなのです(井口・浦田・只野・三輪編「いまなぜ憲法改正国民投票法なのか」45頁)。

どうも国民の側に、憲法改正、国民投票法案への理解が乏しく、危機感が乏しいように思います。こういった危惧感を感じておられて、ohta さんはご主張なされているのかなと、
勝手に思っております。違っていたら申し訳ありません。
2007/04/20 Fri 17:31:44
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
96条では、「最終議決」要件が決まっていない
春霞さん、レスありがとうございます。

意外と思われるかもしれませんが、表題の通りで、「発案」要件は決まってるが、「最終議決」要件が決まっていない、と解釈しています。
だから、国民投票法案あるいは国会法で新たに決めるべきは、この点です。
「最終議決」要件を「発案」要件より厳しくすべきは、当然です。
もう少し詳しい説明を、じきに、「平和への結集第2ブログ」にアップします。
時間があればご覧ください。
2007/04/21 Sat 09:09:18
URL | ohta #HuBhO90w[ 編集 ]
>ohtaさん:2007/04/21(土) 09:09:18へのお返事
コメントとTBありがとうございます。


>もう少し詳しい説明を、じきに、「平和への結集第2ブログ」にアップします
>時間があればご覧ください

拝見しました。リンク先など色々参考になりました。ありがとうございます。
2007/04/22 Sun 22:49:23
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
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