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2007/03/30 [Fri] 23:56:10 » E d i t
病気腎移植問題について、広島県医師会は、「第三の移植として残す道を探りたい」として、病腎移植を容認する見解をまとめたようです。この報道を紹介したいと思います。


1.報道記事から。

(1) 産経新聞平成19年3月30日付朝刊28面

 「病気腎移植「残す道を」 広島県医師会が容認見解

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らによる病気腎移植について、広島県医師会は、「第三の移植として残す道を探りたい」と容認する見解をまとめた。

 見解は「日本移植学会に入らず、決められている移植ルールを無視した」としながらも「脳死移植が少なく生体移植に頼らざるを得ない日本の事情がある。患者の同意を取って実績を上げたことは称賛したい」との考えを示した。

 県医師会の高杉敬久副会長は「インフォームドコンセント(十分な説明と同意)をしっかりするなど課題はあるが、研究をやめるのは医学にとって不幸だ」と話している。

 広島県では、呉共済病院(呉市)の光畑直喜医師が「瀬戸内グループ」の一員として病気腎移植を実施した。

(2007/03/29 13:17)」



(2) asahi.com(2007年03月29日20時59分:紙面掲載なし)

 「病気腎移植「残す道探るべき」 広島県医師会が見解
2007年03月29日20時59分

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らが実施した「病気腎」移植について、広島県医師会(碓井静照会長)は「脳死移植が少なく、生体移植に頼らざるをえない日本の移植事情を考えると第三の移植として残す道を探るべきだ」とする見解をまとめた。腎臓内科医の高杉敬久副会長の所感として近く会報に掲載する。日本医師会は病気腎移植を「厳に慎むべきだ」との考えを示しており、県医師会の独自見解は異例。

 広島県内では、万波氏のグループの医師らが呉共済病院(呉市)で病気腎移植6件を実施。同医師会は地元医師会として見解を示す必要があるとして検討していた。

 副会長の所感では、一連の病気腎移植について「移植ルールを無視し続けたこと、成績を世に問わなかったことは残念」と指摘。しかし、日本の移植事情を踏まえ、道を閉ざすべきでないとの考えを記している。」



広島県医師会が病腎移植を認める見解を出したのは、

「「脳死移植が少なく生体移植に頼らざるを得ない日本の事情がある。患者の同意を取って実績を上げたことは称賛したい」

の点でしょう。世界的にドナー不足ですが、その中でも日本は圧倒的に不足している状態です。献体腎移植はほとんどない状態ですから、日本臓器移植ネットワークは詐欺師のような存在です。

生体腎移植は、親や親族の健康体を傷つける行為です。なので、腎臓の提供を頼まれた場合、親ならともかく、親族の場合は家族の反発も生じるなど、臓器を提供する側も戸惑いが生じることがあります。
その戸惑いを超えて移植を行っても、必ずしも機能するとは限りません。もし機能しなかったら、親や親族の体から腎臓を取り出し、傷つけただけに終わってしまいます。こういう状態になったら、親族間の関係もおかしくなり、移植しなければよかったなどと、提供側・移植側ともに精神的ショックを生じかねません。

何よりも、生体腎移植を実施するために腎臓を提供してくれる親族が存在しなければ、生体腎移植はまずできません。

このように、行き詰まりの状態にあるところに、万波医師らは、病腎移植について、ドナーとレシピエント両方の同意を得て、「実績」すなわち、患者に臓器を提供して救済(生活の質・命)をしているという、患者にとって最も最良の結果をもたらしているのです。医師と患者にとって最も望ましい結果が出ているのに、これを閉ざすのは「医学にとって不幸」なことです。

こういう意味から、広島県医師会が病腎移植を認める見解を出したことは、大変意義のあることですし、医師の役割として妥当なものだと思います。


2.広島県医師会が、病腎移植を認める見解を出そうとした背景には、万波医師に対する尊敬の念があるからだと思います。広島県医師会速報2006年(平成18年)12月15日「編集室」を読むと、そのことがよくわかるのではないかと思います。以前にも触れたことはありますし、「万波誠医師を支援します」さんの「広島県医師会「第三の移植として残す道」を容認との見解」でも引用していますが、改めて引用しておきます。

http://www.hiroshima.med.or.jp/kenisikai/sokuhou/2006/1215/1960_051.pdf

 「「万波腎移植事件」に思う

 腎移植を長年行ってきた外科医の立場から、宇和島で行われた臓器売買や病腎移植について感想を述べてみたい。あえて「万波事件」と題したのは、今回の事件が万波医師という類まれな人物からすべてが発していると考えられるからである。

 万波氏は市立宇和島病院で1977年に1例目の腎移植を行って今日までの30年間、630件の腎移植を実質彼1人で行ってきた。恐らく個人としての腎移植実施数は日本一であろう。広大第2外科では土肥前教授が1971年に第1例目の腎移植を行い、私を含めて多くの弟子が広大とその関連病院で腎移植を続けてきたが、それらをすべて合わせても300例には達しない。腎移植はドナーを必要とするのでそれほど多くの症例があるわけではなく、臓器保存、組織適合性、ドナー腎摘出術、腎移植手術、術後管理、免疫抑制等、多くの知識と経験を要する。人口9万人の地方都市の市立病院(現在は徳洲会病院)でこれだけの数の腎臓移植患者を集め、名声を博してきたことは尋常ではない。しかも、万波氏は齢66歳でありながらこの2年間に80例を行っている。彼より若い私は県立広島病院で月1例の腎移植がやっとである。

 病腎移植という発想は、万波氏が泌尿器科医であることが大きな要因となって生まれたものであろう。外科医であるわれわれには思いもよらない。最近、米国から腎癌を移植した14例の腎移植結果が報告され、1例も再発はないという。病腎は献腎移植の進まないわが国では間違いなく第三のドナーであろう。

 驚くのはネフローゼ患者の両腎を摘出し、それをすぐに他人2人に移植したのみならず、ネフローゼ患者には家族の腎臓を続けて移植した腎移植ドミノ事例である。両側腎摘と3つの腎移植を続けざまに万波氏がすべて執刀したのである。同じようなドミノ移植がもう1例ある。また、父と母をドナーとする2回の腎移植を行ったが相次いで廃絶し、その後病腎移植を2回繰り返して不幸にも死亡した例も明らかにされている。恐らく日本で4回の腎移植例は他にないであろう。これらは万波氏の信じられない気力、体力、技量を如実に物語っているが、一体そのエネルギーとモチベーションはどこから来るのであろうか。学会発表もせず、地位や名誉、財も求めない彼の世界は、もはや“狂”の世界に近いのかも知れない。

 20年前ならいざ知らず、今の世の中に承諾書もとらずに腎癌を他人に移植するなどという行為をどう理解してよいのか戸惑うばかりであるが、下着に白衣をはおり、スリッパをひっかけ、両手をポケットに突っ込んでカメラのフラッシュの前にひょうひょうと現れ、インタビューに対して朴訥な口調ながらもいささかの揺れもない返答をする姿にはある種の感動を覚える。万波先生を支援する患者の会が各地で発足していると聞く。

 腎移植を生業とする外科医としては、善悪を言う前に、その圧倒的な症例数と発想の奇抜さにただただ“参った、参った”というしかない心境である。(福田 康彦)」



腎移植を長年行っている外科医でさえ、「万波医師の凄さ」に心服している様子に、読んでいるこちらにも臨場感を持って「凄さ」が伝わってきます。もう何度も読んでいるコラムなのですが、毎回、「これほど驚異的な医師がいるとは!」と思ってしまいます。


「彼の世界は、もはや“狂”の世界に近いのかも知れない」

なんて、言葉だけを取り出せば大げさすぎる言い方です。しかし、万波氏が信じられないほどの気力・体力・技量を有し、「学会発表もせず、地位や名誉、財も求めない」のですから、一般人や一般的な外科医からすれば、「“狂”の世界」というのも少しも大げさではないと感じます。

「20年前ならいざ知らず、今の世の中に承諾書もとらずに腎癌を他人に移植するなどという行為をどう理解してよいのか戸惑うばかり」

というのも実に素直な感想です。「承諾書もとらずに腎癌」移植していたら、もし訴えられたら、訴訟で多額の賠償を負担して負けてしまうかもしれないのですから。いくら技量の優れた医師でも、腎癌で、承諾書なしなんて到底怖くてできないでしょう。通常は。「戸惑う」という素直な感想には、こちらも納得できるものがあります。

あまりに類まれな万波医師が発想した「病腎移植」は、それほど多くの医師ができることではないとしても、万波医師にはできる限り手術をしてほしいと切に願います。それが一人でも患者の命を救うことになるのですから。

テーマ:時事ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
春霞様
さっそくのブログ掲載とトラックバックありがとうございました。
広島県医師会が容認したとのニュース驚きとともに本当にありがたかったです。
患者の立場で考えていただいているのだなあと感動しました。
2007/03/31 Sat 00:13:24
URL | hiroyuki #-[ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2007/03/31 Sat 00:29:46
| #[ 編集 ]
トラックバックありがとうございます。
病腎移植は、確かに患者のために、すばらしいのですが、実を言うと、学会がドナーに迷惑と言っているドナーが一番助かっているのだと思います。
残った腎臓が駄目になったらどうしようという不安を抱えていますから、万波先生が病腎移植すれば、万が一、残された腎臓が駄目になっても移植してもらえるから、本当にメリットがあるのは、実は、ドナーになる方なんです。
ドナーが移植最優先の病気腎ネットワークができないかなと考えてしまいます。
2007/03/31 Sat 00:30:09
URL | ほっちゃれ #-[ 編集 ]
> hiroyuki さん
コメントありがとうございます。


>広島県医師会が容認したとのニュース驚きとともに本当にありがたかった
>患者の立場で考えて

1県の医師会であるとはいえ、医師会が声を上げることは、意義あることだと思います。患者のための医療ということが優先ですね。
2007/03/31 Sat 23:58:58
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ
コメントありがとうございます。


癌のあった腎臓を、癌細胞を切除してからその腎臓を移植したのですが、再発も転移もないようです。癌の腎臓の摘出を受けた患者は他に発生した癌で死亡したりしてますが、移植を受けた側はずっと癌が転移することなく生存してたりします。大変興味深い事実だと思います。

ただ、この報道を追っていない人に、「再発転移していない」と説明してもなかなか信じてもらえません(^^ゞ 
2007/03/31 Sat 23:59:17
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
>ほっちゃれ さん
コメントありがとうございます。


>学会がドナーに迷惑と言っているドナーが一番助かっている
>残った腎臓が駄目になったらどうしようという不安を抱えていますから、
>万波先生が病腎移植すれば、万が一、残された腎臓が駄目になっても
>移植してもらえる

なるほど。
こういう事情があると分かれば、もっと多くの人が理解を示すのでしょうね。


>ドナーが移植最優先の病気腎ネットワークができないかなと考えてしまいます。

いつも言われるのが、「移植の公平性」ですね。

万波医師らは、どういう方法を行ってきたわけですからね。病気腎は、「特別」(医師の高い技量が必要、不確かな要素がある)ですから、特別枠のネットワークを設けることは合理的でしょう。
なので、特別枠で公平性を図れば、「移植の公平性」を害することなく、可能だと思います。

ただ。
日本移植学会が……、同意するかな~と、思いますけどね。
2007/04/01 Sun 00:13:08
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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2007/03/31(土) 22:31:06 | 晴天とら日和
一人の、病理学会の理事をされている方が、反旗を翻しました。この手紙を書くことによって、どれだけ関係学会の人、厚生労働省から圧力を受けるか計り知れません。この方が被害をうけないように、我々は、注視して見つめていきましょう。もし、この方が、藤田保険衛生大学病
2007/04/01(日) 17:40:17 | 地獄への道は善意で舗装されている
ありがたいことです。広島県医師会が、「第三の移植として残す道を探りたい」と容認する見解をまとめられたとのこと。透析・腎不全患者等の立場にたった考え方をされていることに心から感謝申し上げたいです。また、県医師会の高杉敬久副会長は、「インフォームドコンセント
2007/04/02(月) 23:56:13 | 万波誠医師を支援します
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