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2007/03/26 [Mon] 07:50:16 » E d i t
日本移植学会は、米国移植学会へ嫌がらせ書簡を送るほど、「病腎全否定」に決定するため躍起になっています。しかし、学会内部のおひざ元では、現場の臨床医などから「病腎全否定」に異論も出ている(産経新聞3月25日付)ように、日本移植学会に対して異議を唱える声が大きくなってきています。

日本病理学会は、3月13日に開かれた学会の理事会、総会で、日本移植学会などの5学会の統一見解に「参加しない」ことを正式に決定しています(読売新聞「病気腎統一見解に病理学会は不参加」(2007年03月15日)参照)。このように、日本病理学会は日本移植学会と一緒に群れることを拒絶したのです。この経緯について、東京新聞は、日本病理学会の常任理事・藤田保健衛生大の黒田誠教授へのインタビューを行っています。このインタビュー記事を紹介します。


1.東京新聞平成19年3月25日付(日曜日)28面「こちら特報部」

 「SOS臓器移植:「病気腎」もっと検証を  日本病理学会 統一見解参加見送り

 病気腎移植について、関連5学会(日本移植学会、日本泌尿器科学会、日本臨床腎移植学会、日本腎臓学会、日本透析医学会)は31日に大阪市で合同調査報告会を開き、ここで統一見解を出すとみられる。だが、宇和島徳洲会病院(愛媛県)での検証に参加、5学会に同調するとみられていた日本病理学会は、参加見送りを表明した。真意はどこに―。同学会の常任理事で藤田保健衛生大の黒田誠教授(54)に聞いた。(片山夏子)


◇「同じテーブルで議論していない」

 ――統一見解発表への参加を見送るのは。

 宇和島徳洲会病院で行われた病気腎移植11件について、日本病理学会の倫理委員長を専門委員として派遣、病理学の見地から意見を出した。だが、他学会と同じテーブルについて議論や検証をしていないのに、いきなり共同声明に参加するということはないでしょう。国から検証するよう求められたわけでもなく、まだ何もしていない。

 今月上旬に日本移植学会から『日本病理学会はどうするか』と問い合わせを受けたが、13日から大阪で開かれた学会の理事会、総会で「協力はするが参加は見送る」と決定した。

 ――病理学的な見地からの検証とは。

 適切な治療や手術をするために、医師が治療方針を判断する材料となるのが、ぼくらが行う病理診断。病理診断とは、患者の体から採取した病変組織や細胞の標本を顕微鏡で観察し、どのような病気かを診断する。手術によって摘出された臓器の診断、手術中の迅速判断なども行う。病気腎移植については、移植前に適切な病理診断がされていたか、診断がされたならどんな病気だったのか―の二段構えで検証する。学会としては病気腎移植全件について、病理標本が残っているかも含めて掘り起こして検証する。その結果、5学会の結論が賛同できるならその時に参画する。

 ――病気腎移植で病理診断は行われていたのか。

 宇和島徳洲会病院は外注で、他の病院には病理医がいて病理診断は行われていたようだ。徳洲会病院の専門委員の病理医は、病理学的な診断に大きな問題はなかったというが、ただし、ネフローゼなどの腎移植がされていたのはいかがなものか、と。摘出の必要がないと思われる臓器摘出には疑問を呈した。呉共済病院(広島県)の病理医だった難波紘二医師も独自にデータを集め解析している。そこでも病理学的には不適切なものはほとんどないと聞いている。

◇長期データ集積が必要

 ――病気腎移植は適切な医療だと考えるか。

 ぼくらは診断屋。術前や手術中に正しい病理診断をして、適切な治療方針を決めてもらうのが大前提。その病理診断の結果を受け、どのような治療をするかについては立場が違うので発言を控える。

 ただ、がんやネフローゼの腎臓の移植は考えてもいなかった。きちんとした根拠があってやったのか、ドナーの腎臓は大丈夫だったのか、が重要。例えば、万波誠医師らは小さいがんなので再発がほとんどないとしているが、もっときちんとしたデータが必要だ。そもそも再発しないのであれば元の患者に残すべきだ。初めに移植ありきではまずい。学問的に裏づけとなるしっかりした根拠がなくては医療でも医学でもない。

 ――病気腎移植の今後をどう考えるか。

 移植を望む患者の心情はわかるか、医療として確立されるには長期のデータ集積が必要。そのデータを見て、どの医師が診ても同じ判断を下すかどうか。国が医学的見地からの検証を各関連学会や医師らに依頼し、検証し決めること。

 今後、透析患者が増える中で、病気腎移植という道があると主張するのはある意味で正論。だが、万波医師の腕がよかったということもあり、一般の移植医に同じことができるかというと難しい。学会などでガイドラインを作る場合は、ある程度の訓練を受けた医師がガイドラインに沿って同じようにできるという前提がいると思う。」




2.幾つかの点についてコメントしたいと思います。

(1) 

「――統一見解発表への参加を見送るのは。

 ……他学会と同じテーブルについて議論や検証をしていないのに、いきなり共同声明に参加するということはないでしょう。国から検証するよう求められたわけでもなく、まだ何もしていない。

 今月上旬に日本移植学会から『日本病理学会はどうするか』と問い合わせを受けたが、13日から大阪で開かれた学会の理事会、総会で「協力はするが参加は見送る」と決定した。」


他学会と議論や検証をしていないのに、いきなり結論は出せない。だから、参加しない、というわけです。まったく当然の決定です。日本病理学会は妥当な判断をしたと思います。

それにしても、日本移植学会は、今月(3月)上旬に参加するのかと問い合わせをするなんて、あまりにも遅すぎですし、いい加減です。議論もすることなく、共同声明に参加するのかなんて、日本病理学会に対して、単に名義貸しを求めているのと同じです。1つでも参加学会名が増えたら、重みが増すとでも思っているのでしょう。日本移植学会は。日本移植学会は、またもや呆れた行動をしたのです。


(2) 

「――病気腎移植で病理診断は行われていたのか。

 宇和島徳洲会病院は外注で、他の病院には病理医がいて病理診断は行われていたようだ。徳洲会病院の専門委員の病理医は、病理学的な診断に大きな問題はなかったというが、ただし、ネフローゼなどの腎移植がされていたのはいかがなものか、と。摘出の必要がないと思われる臓器摘出には疑問を呈した。呉共済病院(広島県)の病理医だった難波紘二医師も独自にデータを集め解析している。そこでも病理学的には不適切なものはほとんどないと聞いている。」


「摘出の必要がないと思われる臓器摘出には疑問を呈した」という点も指摘しています。しかし、「宇和島徳洲会病院は外注で、他の病院には病理医がいて病理診断は行われていた」とか、「徳洲会病院の専門委員の病理医は、病理学的な診断に大きな問題はなかった」とか、「難波紘二医師も独自にデータを集め解析……そこでも病理学的には不適切なものはほとんどない」ということからすると、日本病理学会としては、病理診断はなされていたようであって、病理学的には大きな問題はなかったと判断しているようです。


そうすると、次のような愛媛新聞の報道は虚偽報道だったわけです。

 「「病気腎移植は遺憾」独自見解方針 摘出時検査行わず 日本病理学会

 宇和島徳洲会病院(宇和島市)の万波誠医師(66)らによる病気腎移植問題で、日本病理学会(理事長・長村義之東海大医学部教授)が六日夜、東京都内で開いた常任理事会で、同病院で実施された十一件の病気腎移植をめぐり、腎臓の病理検査が行われていないケースがあったことが報告された。同学会は事態を問題視し、十三日に大阪市で開く総会後、病気腎移植に対し「病理学の立場から遺憾」とする独自の見解を発表する方針を固めた。(以下、省略)」(特集宇和島 腎移植2007年03月07日(水)付 愛媛新聞


3月13日に大阪市で開いた総会では、「統一見解に参加しない」ことを決定したのであって、総会後、病気腎移植に対し「病理学の立場から遺憾」とする独自の見解を発表していません
愛媛新聞は、誰に聞いたのか分かりませんが、勝手に病腎移植を遺憾とする見解を発表する方針を採用したなんて、虚偽報道は止めるべきです。


(3) このインタビュー記事でもっとも興味深く感じたのは、この箇所です。

 「――病気腎移植の今後をどう考えるか。

 移植を望む患者の心情はわかるか、医療として確立されるには長期のデータ集積が必要。そのデータを見て、どの医師が診ても同じ判断を下すかどうか。国が医学的見地からの検証を各関連学会や医師らに依頼し、検証し決めること。

 今後、透析患者が増える中で、病気腎移植という道があると主張するのはある意味で正論。だが、万波医師の腕がよかったということもあり、一般の移植医に同じことができるかというと難しい。学会などでガイドラインを作る場合は、ある程度の訓練を受けた医師がガイドラインに沿って同じようにできるという前提がいると思う。」


難波先生や藤田先生は、病腎移植の道の妥当性を主張していましたが、万波医師らを支援する立場以外の医師も、「病気腎移植という道があると主張するのはある意味で正論」だとはっきり述べるようになったのです。日本移植学会が、病腎移植を全否定する姿勢を示しているのに対して、黒田誠教授は明確に反対の意を示していることになります。個人的見解と断り書きを入れていないことからすると、日本病理学会としても、病腎移植の道を認める余地があると考えていると推測できます。3月13日~15日の総会において、病腎移植は遺憾であるという表明はしていないというのもその根拠といえるでしょう。


もう1点、興味深い点は「万波医師の腕がよかったということもあり、一般の移植医に同じことができるかというと難しい」という部分です。このコメントから分かるように、病腎移植は、一般の移植医には無理であって、本当に腕のいい医師でないとできないのです。その意味で、万波医師が、おそらく誰もが認めるくらい、恐ろしく腕いい医師であることが分かります。神の手を持つと言われる医師がいますが、万波医師もその神の手を持つ医師の一人なのだと思います。

ごく一部の病腎移植であれば一般の移植医も可能なのでしょう。しかし、広く病腎移植を行うには、世界の優れた移植医か、神の手を持つ医師のみができるのだと思います。一般の移植医にとどまる、日本移植学会の幹部にとっては、神の手を持つ医師の術式は、想像もできず、理解できないのは無理からぬところがあります。神の領域にある者の医療行為を、凡人がどうやって判断できるというのでしょうか?(苦笑) 
しかも、おそらくは、日本移植学会など関連5学会の幹部は、実際上は、並みの腕しかない医師なのに、腕がいいと誤解して信じ込んでいるはずです。そして、万波医師が神の手の領域にあるわけがないと疑問視しているはずです。

そうなると、日本移植学会など関連5学会に対して、病腎移植の医学的妥当性を納得させるのは、なかなか難しいと感じます。神などいないと固く信じている人に神がいると信じさせるようなものです。外圧(世界の先端医療を広く知らせる)や国民の啓蒙(病腎移植の医学的妥当性を知らしめる)によって、なんとかするしかないと感じています。




<追記>

日本病理学会が3月23日に「病腎移植についての声明」を出しています。この声明を引用しておきます。

 「病気腎移植について  -(社)日本病理学会の見解

平成19年3月23日
(社)日本病理学会理事長 長村 義之


宇和島徳洲会病院での病気腎移植に関して、(社)日本病理学会(以下 病理学会)に多くのお問い合わせをいただいております。宇和島徳洲会病院からご要望があり病理学会から委員を派遣しております。

病理学会では先日の常任理事会、理事会、総会での議論を経て、以下の見解が得られましたのでお知らせいたします。

1. これまで云われて来ております日本移植学会を含めた“5学会”に病理学会は含まれておりません。この件につきましては、日本移植学会も理解をされております。現在、病理学会を含まない5学会が構成されていると伺っております。

2. 日本移植学会から文書にてお問い合わせがありましたが、当面病理学会は上記5学会に参画せず、必要な意見を付するという意味での協力的な立場として対応することと致しました。5学会でご議論の結論が病理学会として充分に賛同できるものであれば、そのときに日本移植学会のご了解の上で、6学会として参画する可能性はございます。そのように日本移植学会にはご返事申し上げました。

 移植医療における病理学の基本的な役割は、摘出臓器の術前診断、臓器診断(疾患の程度・広がり、腫瘍であれば切除断端の検索など)、移植後臓器の経過観察(生検などによる)の正確でかつ的確な診断・情報を提供する点にあると考えています。また、術中の迅速診断なども欠くべからざる必須の情報を提供するものと確信しております。今回、病理学会にお問い合わせが多く寄せられたことは、医療の要としての病理学へのご理解が深まってきているものと自負しております。今後も、病理学の基盤としての役割、立場に立脚して社会への責任を果たしてゆく所存でございます。」


今回、病理学会にお問い合わせが多く寄せられたことは、医療の要としての病理学へのご理解が深まってきているものと自負」と書かれてい通り、病理学の立場から診断することは医療の要だと思います。

病理診断が医療の要であればこそ、病腎移植の是非についても、まず日本病理学会による判断が重要であるはずです。しかし、日本移植学会は、医療の要である、病理学的な検証を待たずに病腎移植を全否定しようとしています。日本移植学会は、医療の要を無視するほど、偏狭で独善的な態度を示しているのです。

テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
万波廉介氏手術分について
春霞さま。こんにちは。いつも貴重な情報をありがとうございます。

東京新聞の好意的記事は久しぶりではないでしょうか?私はすっかり、片山夏子氏が移植学会の逆鱗に触れて飛ばされてしまったのではないか、と思ってました(^^;)。

さて、コメント・タイトルどおり、asahi.comに、万波廉介氏の行った摘出手術について、

「厚労省調査班は岡山協立、川崎医大川崎、備前市立吉永、北川、三原赤十字の5病院で実施された6件の摘出手術について、「摘出は不必要か、(患者にとって)不利益、または不必要かつ不利益、の三つのうちのいずれかだった」と断定した。」

とする記事が掲載されました。

ここの事例についての詳細な説明はないのですが、これはおそらく、

http://www.setouchi-ishoku.info/index.php?topic=cate2222

に氏からの臨床報告が掲載されている分だと思います。

氏の報告自体は素人として判断しかねる部分もありますが、1点腑に落ちないのは、氏の手術例に尿管がんの症例があることです。

氏の報告中にもある通りに、現在尿管がんの治療方法は、「がん標準治療」

http://cancerinfo.tri-kobe.org/for_patient/pdq/summary/JP/CDR0000343585.html#_85

の説明によれば、

「標準治療は1種類あります。
手術
腎盂と尿管の移行上皮がんの治療には以下の手術方法のうちの1つを用いることができます。

腎尿管切除:腎臓全体、尿管、膀胱壁の一部(尿管と膀胱との接続組織)を切除する手術です。

尿管部分切除:尿管のがんができた部分とその周りの健康な組織の一部を切除する手術です。その後、尿管の端を再びつなぎ合わせます。この治療は、がんが表在性で、尿管のうち膀胱に近い下部3分の1の範囲内にある場合に行います。」

とあります。そうなると、少なくとも上記サイトに紹介された症例6「膀胱及び尿管下端に癌のある患者さんの上部尿路(腎・尿管)の移植」については、腎摘以外の措置が可能であるとの判断は、できるはずがないように思えます。

それにしても、

「 そのうえで病気腎移植が認められる条件として、(1)摘出が患者にとって最良の治療法(2)摘出した腎臓を修復して戻す「自家腎移植」が、患者にとってリスクとなりかえって不利益となる(3)患者が自らすすんで腎提供したいと考え、移植を受ける患者にも不利益にならない――の三つを必要とし、「このような例は極めてまれで、一般的に実施されるとは考えられない」と結論づけた。」

とまた自家腎移植の必要性を説いてますね。これはどうにもならんものか(>_<)。

もっとも逆に言うと、上の「病腎移植用に摘出できる3条件」は、じつによくできているのではないでしょうか。少なくとも上記「標準治療」および瀬戸内グループ支援ネット

http://www.setouchi-ishoku.info/

に紹介された腎全摘の数の総数などからいって、上の3条件中、少なくとも最初の二つについては、「きわめて稀」どころかか、合致する症例は、実際にはきわめて多いように思われます。
2007/03/26 Mon 09:59:41
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
こんなブログを見つけました。 難波先生の説に噛み付いています。

はたして、皮膚がんと内臓のガンは同じに扱えるのでしょうか? 専門家の意見が聞きたいものです。(今となっては「専門家」ほどうんくさいものはありませんが。 


免疫力の弱い人に他人の癌を移植すると癌は移ります(キッパリ)



タミフルとは直接関係ないんですが「あの時禁止していれば・・」つながりの内容ですのでちょっとお付合いくださいです。

例の病気腎移植の事件で支援グループの方たちが広島大学名誉教授の間違った知識を取り上げているのでちょっと、揚げ足をとってみます。

癌は感染するものじゃない・・・ということが、彼の理論の根拠になっていますが、過去の研究により免疫力の弱い方には癌は感染することが解っています。

1963年、アメリカである人体実験がおこなわれました。
有名なスローン・ケタリング研究所というところで、他人の癌細胞を癌患者さんの皮膚に注射する実験がおこなわれました。300人を超える患者に癌細胞は注射されましたが、健康な方は注射後、癌細胞によるシコリはすぐに消失しましたが、癌患者さんはシコリが消失するには時間がかかりました。


さらに、癌ではない慢性疾患を煩っている14人に同じように他人の癌細胞の注射をしました。このうち、4人は注射後、何度も癌のシコリが再発し、切除を繰り返し、2人は死ぬまで注射した癌のシコリが増大しつづけました。彼はこの研究結果を論文にしています。


癌を研究している人たちは、免疫機能を破壊したヌードマウスというネズミに人間の癌を移植して実験をして、抗がん剤や遺伝治療の実験をしています。

で、今回の事件に戻ると、移植患者さんたちは、拒絶反応が起きないように免疫抑制剤を飲んでいます。他人の腎癌や尿管癌が移る可能性はあるんです。



個人的には腎癌や尿管癌で摘出した腎臓は移植の対象にはなり得ないと思っているんですけどね。

もし、将来、腎癌や尿管癌で摘出した腎臓を移植腎として認め、ドナーに再発したら、責任は誰がとるのでしょうかね。

たぶん、手術をした医師や、認めた移植学会・泌尿器科学会が吊るし上げられちゃうんでしょうね。それとも、禁止しなかった厚生労働省なんですかね。
もし、支援する会の人たちが、将来に渡って責任を取り続けるならこういう理論展開で運動を続けて下さい。

責任をとれないならば、こういう理論展開はすぐ辞めた方がいいです。無責任すぎます

http://medicalbio.iza.ne.jp/blog/entry/138354
2007/03/26 Mon 17:04:00
URL | 条項  #-[ 編集 ]
スローン・ケタリングそのほか
条項さま。

私も一回調べてみました。
まず最初に言うと、スローン・ケタリング研究所がJewish Chronic Desease Hospitalで行った実験は、被験者に対して嘘の説明が行われた、「偽りのインフォームド・コンセントによる人体実験」の例として非常に有名で、実験内容とともに、これについて病理学を学んでいる人がそもそも知らない、ということはまずないだろうと思います。(少なくとも、難波氏、春霞さんの引用された記事にある黒田氏、あるいは腎臓がんの腎臓を移植したシンシナティ大学の移植チーム、イタリアの大規模リサーチの調査班の4者が全て知らなかった、ということはあり得ないでしょう。)

この事件についての概説は、英文となりますが以下の二つがよいかと思います。

(A)http://links.jstor.org/sici?sici=0023-9186(196723)32%3A4%3C620%3AHEEITC%3E2.0.CO%3B2-8

法律雑誌に掲載された論文です。冒頭ページしか読めませんが、おおよそのあらましはその中に含まれます。

(B)http://www.winstonsmith.net/cancerman.htm

AIDS Book Part IIIと題されていますが、この本文自体は他のHPでも見かけた記憶がありますので、このページ作成者の手になるものではないのかもしれません。引用された記事にある、数百人を用いた第一次実験と、22人(14人じゃないみたいですね)を用いた第二次実験と、それぞれについてかなり詳しいあらましを述べています。
(ただし、この文章自体はどうやら「がん=ウィルス病因説」に則っているようで、このJewish Chronic Desease Hospital事件についての記述以外は、かなり怪しげなところがあります。全体に目を通すときにはご注意下さい。)

で、そのあらましですが、第一次実験については

「有名なスローン・ケタリング研究所というところで、他人の癌細胞を癌患者さんの皮膚に注射する実験がおこなわれました。300人を超える患者に癌細胞は注射されましたが、健康な方は注射後、癌細胞によるシコリはすぐに消失しましたが、癌患者さんはシコリが消失するには時間がかかりました。」

と、この方が書いておられる通りです。第2次実験については、

「さらに、癌ではない慢性疾患を煩っている14人に同じように他人の癌細胞の注射をしました。このうち、4人は注射後、何度も癌のシコリが再発し、切除を繰り返し、2人は死ぬまで注射した癌のシコリが増大しつづけました。彼はこの研究結果を論文にしています。」

まず、(B)によりますと、選ばれた22人は、免疫を化学的に抑制した上で、systematicallyといいますから、継続して何度もがん細胞を注射しています。その結果として、がん細胞が定着し、大きくなった4人については、外科的切除の後にもう一度腫瘍が再発、一人についてはがん細胞の全身への転移が見られたとのことです。しかし、(A)によると、22人中注射の直後に二人が死亡、ただしこれは、様々な健康状態の被験者を選んだうちに、既にかなりの重病患者がいたためとのことです。こちらによると、この実験を調査した委員会は、「注射が被験者の死を引き起こしたのではない」という実験者たちの結論を覆すには至らなかったとのこと。(これは当時の病理的知識からいって、たとえば全身転移が見られた被験者のがんを移植した細胞に由来するものかどうか同定できなかった、などいろいろな問題があったのだろうと思います。いちばんは、実験を主導したSoutham氏本人を始めとして、当時は「がん=ウィルス病因説」が支配的だったために、事後調査にもバイアスがかかった可能性があるでしょう。)

で、結論を言いますと、もしがん細胞をそのまま残して、あるいは取りきることがなく臓器を移植したならば、免疫をコントロールしているレシピエントのもとで、がんが再発する可能性は否定できないでしょう。(万波医師も移植前にレシピエントに対して同様の説明をしています。)おそらく黒田氏が

「だが、万波医師の腕がよかったということもあり、一般の移植医に同じことができるかというと難しい。学会などでガイドラインを作る場合は、ある程度の訓練を受けた医師がガイドラインに沿って同じようにできるという前提がいると思う。」

と述べた真意はその辺にあるような気がします。(だからこそ、万波医師が実際の手術でどのような術式を行ったのかを公表してもらうことが大切になるのだと思ってます。)

じゃあ難波先生が嘘をついてるとか、ものを知らないとかと結論できるかというと、そこにはやはりちょっと飛躍があるなあ、というのが私の感想でして、

「癌を研究している人たちは、免疫機能を破壊したヌードマウスというネズミに人間の癌を移植して実験をして、抗がん剤や遺伝治療の実験をしています。」

この、免疫不全のマウスにヒトがん細胞を移植するのがどれだけ難しいか、というと、

(C)(削除:22時45分)
(D)http://jstore.jst.go.jp/cgi-bin/patent/advanced/detail.cgi?pat_id=13529

を見ていただくのがいいかと思いますが、免疫不全マウスだからといって百発百中ヒトがん細胞が移植できる訳ではなく、様々に厳しい条件付けをした上で(移植できるがん細胞にも、厳しい条件付けがあるらしい)はじめて移植できる、しかも再現性に問題があったりもする、というのが現状のようです。で、そういう事情を知っていれば、「がん細胞を移植するのはただ事ではない」という意見に辿り着いても不思議ではなかろうと思います。

で、ここからがエントリ関連のコメントなのですが、(D)のようにねらったところにがん細胞を定着させるための特許を出願している研究もある、という現状を考えると、日本病理学会として「たとえがんを切除した後でも、その臓器を移植すればがんは移る可能性がある」という「5学会」で予定された結論に安易にのってしまうと、(上記の特許がまさにそれに該当するかどうかは別問題です;「上記(D)は別としても」と断っておきます)まさに今現在大きな単位でお金が動いているところに支障が出かねないので、政治的にあれこれとつつかれたぐらいで軽々に尻馬に乗る訳にはいかない、というのが、日本病理学会の本当の思惑ではないかな、と、実は私は思っております。

また、

「もし、将来、腎癌や尿管癌で摘出した腎臓を移植腎として認め、ドナーに再発したら、責任は誰がとるのでしょうかね。」

これに関しては、今回の万波医師による症例でも尿管がんの再発した(おそらく微細ながん細胞がとりきれなかったとされています)患者さんがいらっしゃって、それでも再度の腎臓の摘出を拒まれる、という件がありました。病気腎移植が医療として確立されることがあるならば、そのときは、

1)綿密な術後の経過観察を行うこと
2)「再発がみられた時点で強制的に病気腎を摘出し、免疫抑制剤の使用を中止する」旨について、事前に念書をとること

の二つは最低限でもプロセスに盛り込まないといけないでしょう。

なお、最初に触れたイタリアでの大規模リサーチの結果についての藤田士朗氏のコメントで、

http://www.tokushukai.jp/media/rt/558.html

「追跡期間は比較的短いですが、ドナー由来のがんがレシピエントに発生はしなかったということで、これまで、散発的症例報告で予想されていた、0.02~0.2%以下であろうという推定を確認するものです。」

とある、これまでの「予想」について、具体的に文献があるのなら読みたいところですね。

私個人の意見としては、この藤田氏のコメントにある通り、実際のがんの移植先での再発率と移植した腎臓の生着率、移植がかなわずに亡くなっていく腎不全の患者さんの数など、様々な条件を勘案してリスクを計算することが大切で、印象的に「ダメ」とも「だいじょうぶ」とも言ってはいけないことだろうと思っています。

22時45分訂正:上記(C)は、正確にはヒト正常細胞のヌードマウスへの植え付けについての研究でした。削除箇所を明示した上で削除・訂正しました。
2007/03/26 Mon 20:11:22
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
病理学会いたって正論ですね
こんばんは。

「今後、透析患者が増える中で、病気腎移植という道があると主張するのはある意味で正論。だが、万波医師の腕がよかったということもあり、一般の移植医に同じことができるかというと難しい。学会などでガイドラインを作る場合は、ある程度の訓練を受けた医師がガイドラインに沿って同じようにできるという前提がいると思う。」

これこそいま必要とされているものです。移植学会は責任をもって臨床試験をすべしと、私は先日べつのコメント欄にて大島氏の言葉尻をとらえてあてつけましたが、ガイドラインなきまま下手糞に手出しをされるのが一番まずい。だから手続きを整備し症例を蓄積し技術を公開して、できる範囲やってはイカン事例を確定したうえで移植医療の選択肢にすればよろしい。やっと言ってくれたかという気がします。
と書いたところで語学教師様の詳細な論文紹介と分析を拝読しました。COEやら特許など巨額のお金が絡んでいる分野だけに移植学会の否定一色路線に乗るわけにはいかないという解析がじつに腑に落ちます。透析の世界も1兆ウン千億円産業ですしどこも必死だ。

私は自分自身も家族も健常です。利害関係人ではない立場から病気腎移植の推進に賛同するのには理由があります。
かつて通勤路にいい品を作る職人の店がありました。気がつくと店の戸が閉まりっぱなしになり、貼り紙が出されました。いつかまた再開できる日のくることを信じて透析を続けている、という文面でした。貼り紙は取れないまま何年も経ち、仕事場を変わった私が先日そこをたまたま通り過ぎたとき、貼り紙は消えていました。店は再開していません。人工透析の十年生存率が約40パーセントだと知ったのはその直後です。
あの時から腎不全は他人事ではなくなりました。死体腎がなかなか出なくて十数年待ち、待ってる間に6割が死んでいく計算の移植待機者。健常者を傷つける(しかも相手に適合するかどうか分からない)生体腎移植が大半を占める現状。それに自分や親族が巻き込まれれば楽しい未来図になるはずもない。
透析はテクノロジーによる延命措置です。機械に生命線をゆだねる以上あたり前のことですが、電力が長時間止まれば透析患者には大打撃です。マシンが壊れてもいけない。自前の臓器にはかないません。だいたい、しんどいし。
だから、年間20件でも30件でもいいので移植に使える腎を増やす努力がなされるべきなのです。これまでの方法に加えて、新しい手法により。
早晩30万人に達する透析患者に対して腎臓移植件数は去年やっと1000件を超えた程度。こういう統計をとっているのも学会です。そこの構成員にはこの数字の持つ重みをもっと認識してもらいたいものです。

22時55分 表現を一部訂正
2007/03/26 Mon 22:31:57
URL | 東雲 #5pt6HCyg[ 編集 ]
>語学教師さん:2007/03/26(月) 09:59:41・20:11:22 へのお返事
コメントありがとうございます。それと、「条項」さんに、代わって答えて頂いてありがとうございます。助かりました。


>東京新聞の好意的記事は久しぶりではないでしょうか?
>私はすっかり、片山夏子氏が移植学会の逆鱗に触れて飛ばされてしまった
>のではないか、と思ってました(^^;)。

最近、片山記者は名前を見なかったので、どうしたのかと思っていましたが、こうやって良い記事を出してくれると嬉しいですね。


>asahi.comに、万波廉介氏の行った摘出手術について
>ここの事例についての詳細な説明はないのですが、これはおそらく、
>http://www.setouchi-ishoku.info/index.php?topic=cate2222
>に氏からの臨床報告が掲載されている分だと思います。

情報ありがとうございます。別個のエントリーで引用させて頂きました。


>とまた自家腎移植の必要性を説いてますね。
>これはどうにもならんものか(>_<)。

またかという感じですね。
自家腎移植をするには、別の箇所も開腹し、しかも7時間くらいかかるという患者に負担のかかるわけで、それだけでもリスクがあるのに。


>「きわめて稀」どころかか、合致する症例は、実際にはきわめて多い

そうなんでしょうね。それに、万波慶介医師の報告を読むと、色々な医師から執刀を頼まれてます。兄弟そろって優れた技量があるようです。そうなると、難しい手術は、特にいわゆる「瀬戸内グループ」の医師に集まっていて、それが「きわめて稀」と思われる事例が多くなる原因となっていると思います。
2007/03/27 Tue 22:09:13
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
>条項さん
はじめまして、コメントというか、情報ありがとうございます。


>こんなブログを見つけました。 難波先生の説に噛み付いています。

情報ありがとうございます。知ってはいましたが、一見して無視していました。


>免疫力の弱い人に他人の癌を移植すると癌は移ります(キッパリ)

万波医師らは、がん細胞の部分を切除してから移植しているのです。だから、「他人の癌を移植」していません。
だから、この方の批判は、全く的外れです。なので、無視してました。


「がん細胞があった以上、再発の危険性のある臓器であるから、移植してはいけない」というのであれば、修復して本人に戻してはいけないはずです。本人でも他人でも危険な臓器であることは同じなのですから。

しかし、日本移植学会は、盛んに「本人に戻せ」というんですよね。このブログの方は、ぜひ日本移植学会に対しても批判して欲しいものです。「本人に戻してはいけない」と。
2007/03/27 Tue 22:09:43
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
>東雲 さん
コメントありがとうございます。


>ガイドラインなきまま下手糞に手出しをされるのが一番まずい
>やっと言ってくれたかという気がします

確かに、ラフにいえば、黒田先生は、「下手糞は手を出すな」と言ってますね。誰しも分かっていたことなんでしょうけどね~(苦笑)。病理学は、それだけ冷静に判断できなければ務まらないのかもしれません。


>貼り紙は取れないまま何年も経ち、仕事場を変わった私が先日そこを
>たまたま通り過ぎたとき、貼り紙は消えていました。
>店は再開していません

人工透析と仕事・生活が両立できる人はいいのです。しかし、どうしても人工透析が合わないとか、過剰な負担になって仕事・生活がままならない人も多いのです。この職人さんは後者に当たるようですね。

こういう、腎臓移植を必要とする人たちに対して、提供する臓器が著しく足りないから、なんとかしようとして、「病腎移植」を認めるべきだというのに。なんとかならないものか、と思います。
2007/03/27 Tue 22:34:37
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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激務に耐えながら、患者を治すために、もう勉強して、その仕事ぶりからして、決して高い収入だとは、思えない。ただ金もうけしたいだけなら、銀行員になった方が余程、効率がいいと思う。そんな、医師達についに良心の火が点きました。これが、必ずや、燎原の火のごとく広ま
2007/03/29(木) 18:44:14 | 地獄への道は善意で舗装されている
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