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2007/03/16 [Fri] 08:23:24 » E d i t
宇和島徳洲会病院の調査委員会は3月15日、専門委員の報告書や会議のビデオ映像など、これまでの調査経過を公表しました。この報道についてコメントしたいと思います。


1.調査経過の公表報道の前に2つほど触れておきます。

(1) 専門委員会の一部と調査委員会の結論が異なったのはなぜかが、一番の関心事だったのですから、本来、「調査経過の公表」がメインのはずです。しかし、なぜか各紙の報道の仕方が違っていました。

例えば、朝日新聞3月15日付夕刊(3版のみ。4版では削除)では、病気腎移植問題で、宇和島徳洲会病院で実施された11件について医学的に検討してきた外部の専門委員5人の報告書が15日、報道陣に公表され、いずれも厳しい内容となっているといった記事でした。しかし、東京新聞のHP(3月15日)では「専門委員6人の報告書を公表した。うち外部の5人は「摘出は必要ない」などと問題点を指摘している。」としているので、朝日新聞は6人の報告書があるのに隠蔽したように読めます。それに、朝日新聞は、肝心な「調査経過の公表」という点も報道せず、これも隠蔽してしまいました。


(2) もう1つ。日本病理学会は3月14日、大阪市内で総会を開き、病気腎移植をめぐる関係学会の合同会議や統一見解について、「参加しない」との方針を総会で説明したようです(2007年03月15日 読売新聞)。長村理事長は「もともと合同会議に(正式には)参加していないから、としか言えない」と述べていますから、日本移植学会の幹部が、勝手に「関係5学会」と流布し、(3月15日訂正)勝手に結論を決めていた態度に嫌気が差したのかもしれません。

この方針により、今度からは「関係4学会」ということになるのでしょう。(3月15日訂正。日本病理学会は元々5学会に含まれず)しかし、病腎移植の医学的妥当性については、病理学の観点が重要だったのですから、日本病理学会が合同会議や統一見解に関与しないままでは、合同会議や統一見解の妥当性が著しく低減するように思います。




2.では、本題の報道記事から。

(1) 産経新聞平成19年3月16日付朝刊29面

病腎移植問題「不可の根拠ない」 調査委、容認の過程公表

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠・泌尿器科部長(66)が行った病腎移植の妥当性を検証している同病院の調査委員会は15日、専門委員の報告書や会議のビデオ映像など、これまでの調査経過を公表した。腎臓摘出の適否をめぐって、6人の専門委員のうち3人が「不適切」「疑問」などと報告したのに対し、調査委の委員は「不可とする理由が分からない」と主張するなど、意見が割れた経緯が明かされた。

 専門委員は、日本移植学会、日本腎臓学会など関係4学会に所属する外部の医師ら6人。病腎の摘出と移植についてカルテなどを検討し、2月18日に調査委に報告書を出した。このうち日本泌尿器科学会の医師は、同病院で摘出された6例すべてについて不適切と報告。腎臓外科医など2人は一部の摘出を不適切としていた。

 報告を受けて今月3日に行われた調査委の会議では、万波部長に1例ずつ摘出に至った経緯の説明を求め、患者の容態なども検証した。外部委員の専門医らが「この症例は私も迷わず全摘を選ぶ」「なぜ専門委員は万波氏から詳しい説明を聞かなかったのか」と発言するなど専門委員の調査方法に疑問の声が出た。

 専門委員と調査委員を兼ねる日本移植学会の雨宮浩委員が、万波部長の説明を聞いた上で摘出は適切だったと意見を変え、「こういう話を聞くと(他の専門委員の意見も)ずいぶん違ったと思う」と述べる場面もあった。

 万波部長の病腎摘出については「移植のために全摘した」なとと批判する声が出ていた。調査委は6件の摘出行為のうち1件を「妥当」、2件を「容認できる」などと学会側と異なる結論を出しており、理解を得るため会議のビデオ映像や議事録などの公表に踏み切ったという。

 同病院は、調査委の委員の多数を徳洲会関係者が占めていることが誤解を招いているとし、今後メンバーを外部の専門家らに入れ替える方針。

 記者会見した貞島博通院長らは「院内に倫理委員会を設置していなかったことなど病院として多くの不備があり、移植行為の妥当性を損ねてしまった。深く反省する」などと改めて陳謝した。

(2007/03/16 01:39)」


 「報告を受けて今月3日に行われた調査委の会議では、万波部長に1例ずつ摘出に至った経緯の説明を求め、患者の容態なども検証した。外部委員の専門医らが「この症例は私も迷わず全摘を選ぶ」「なぜ専門委員は万波氏から詳しい説明を聞かなかったのか」と発言するなど専門委員の調査方法に疑問の声が出た。

 専門委員と調査委員を兼ねる日本移植学会の雨宮浩委員が、万波部長の説明を聞いた上で摘出は適切だったと意見を変え、「こういう話を聞くと(他の専門委員の意見も)ずいぶん違ったと思う」と述べる場面もあった。」

この箇所が、この記事の注目すべき部分だと思います。専門委員は、実際に執刀した当事者に効くのが一番良くわかるはずなのに万波医師から十分に説明を求めなかったのです。ですから、専門委員の調査方法には問題があるとなったのは当然でしょう。

ここで明らかになったのは、雨宮委員は大嘘つきでいい加減な人物ということです。

「万波部長の説明を聞いた上で摘出は適切だったと意見を変え、「こういう話を聞くと(他の専門委員の意見も)ずいぶん違ったと思う」と述べる場面も」

このように、雨宮委員は、合同会議では適切だったという意見を採っていたのに、マスコミの前では、適切でないなどとコロリと意見を変えるのです。雨宮委員は、

「移植学会としては、摘出すべきでない腎臓を摘出したうえ、移植を受ける患者の選択のしかたにも問題があったと考えており、今の段階で病気腎移植を認めるわけにはいかない。」(NHKニュース(3月3日 23時24分)「宇和島徳洲会調査委は、「病気腎摘出6例、適切または妥当」と判断」参照

とか、

「多勢に無勢だったのでは」との指摘に「そうかもしれない」と苦笑交じりに答えたり、「少なくとも今の医学基準に照らせば摘出十一件は不適当な手術だった。あくまで専門委の意見は並列で残してもらう」(特集宇和島 腎移植2007年03月04日(日)付 愛媛新聞

と述べているのです。今度からは、雨宮委員の言うことは全部嘘だと思った方がいいでしょう。



(2) TBSニュース(2007年03月15日18:12)

 「病気腎移植問題、調査委の映像を公開

 愛媛県の宇和島徳洲会病院で発覚した病気腎移植問題で、病院は15日、議論の不透明さが指摘されていた調査委員会の映像を公開しました。映像には、手術を行った万波医師と、学問的立場から判断しようとするほかの医師との主張の違いが生々しく記録されていました。

 宇和島徳洲会病院が15日、報道陣に公開した2時間にわたる映像。

 「他の症例でも説明しようとしたんですけど、『それはもういい』と聞いてくれないわけです。私はきちっと説明したかったんですよ」(万波医師:公開された映像より)

 万波医師の不満は、どこへ向けられたものだったのでしょうか。

 病気の腎臓を移植した問題をめぐっては、日本移植学会などから派遣された複数の医師が医学的な妥当性を判断する専門委員会と、その上部組織に調査委員会が設置されています。ところが万波医師は、調査の第1段階である専門委員会の聞き取り調査が、そもそも不十分だったと言うのです。

 万波医師は調査委員会で、患者がそれぞれ抱える事情を訴えました。
 「いろんな事から考えて、もうこの腎臓をとって欲しいということは最初から言われてた訳です」「消防士で、何とか働けるようにしてほしい(という)のが一番の願いだったんです。だから、腸の手術やこうしたら、後、困るんじゃないかという気はあったんです、私自身」(万波医師:公開された映像より)

 専門委員会の医師らはこれまでの調査委員会で、カルテに残された記録などから、医学的な問題を指摘していました。

 「守殿先生(もう1人の専門委員会の医師)もこういう話を聞くと随分意見が違う」(専門委員会の医師:公開された映像より)
 「変わると思いますよね」(調査委員会の医師:公開された映像より)
 「とにかくあそこ(専門委員会)で調べただけですから」(専門委員会の医師:公開された映像より)

 生命倫理の研究者で、調査委員会に加わった日本大学教授の高木美也子さんは、調査委員会が専門委員会の意見を覆したとの報道に疑問を投げかけます。

 「個人事情というのは一切(考慮に)入れなかったというのが、専門委員会のある種の見方ですよね。だからそれは手続きとしては全部不足していますから、そういう意味ではそういう判定もしようがないかなと。私たちも認めているわけですよ、それはそれで。でも、その上に考慮することが調査委員としてはあるんじゃないかという、社会的な状況や患者の事情とか、そういうことを考慮したりして、ということですよね」(調査委員のメンバー、高木美也子 日本大学教授)

 調査委員会は今回、病気の腎臓の摘出という行為に絞って議論した結果、容認できると判断しました。その一方で、摘出した腎臓を移植したことについては、結論を先送りにしています。

 それに対し日本移植学会などは、今月末にも病気腎移植に対して原則禁止という見解を表明する方針です。(15日18:12)」



こちらの記事は、「報道陣に公開した2時間にわたる映像」の様子を中心としたものになっています。この記事の中から、次の点について言及しておきます。

 「生命倫理の研究者で、調査委員会に加わった日本大学教授の高木美也子さんは、調査委員会が専門委員会の意見を覆したとの報道に疑問を投げかけます。

 個人事情というのは一切(考慮に)入れなかったというのが、専門委員会のある種の見方ですよね。だからそれは手続きとしては全部不足していますから、そういう意味ではそういう判定もしようがないかなと。私たちも認めているわけですよ、それはそれで。でも、その上に考慮することが調査委員としてはあるんじゃないかという、社会的な状況や患者の事情とか、そういうことを考慮したりして、ということですよね」(調査委員のメンバー、高木美也子 日本大学教授)」


要するに、書面による説明と同意がなかったとか、カルテの記載が不十分という手続は不足していたため、その点で不適切という専門委員会(の一部の意見)の意見は認めるが、専門委員会では個人事情を一切考慮しなかったので、患者の状況を考慮すれば、結論が変わってきたというわけです。

専門委員会は医学的な立場から判断し、調査委員会は患者の事情などを含めて臨床的に判断したから、結論が異なったといえるかもしれませんが、優れた医師でなくても、患者の事情を考慮して治療方法や手術を決定するのが医師として通常だと思うのです。「消防士で、何とか働けるようにしてほしい(という)のが一番の願いだった」のに、それはダメだとして手術せず、患者の願いを絶ってしまう方が、本当に患者のための治療なのでしょうか? 

専門委員の考えからすると、専門委員会の委員は、自分の所属する医院おいては、患者の事情を無視した医療を行っていることになりますが、これこそ、患者の自己決定権を無視した専断的治療行為であって違法行為のように思えてしまうのです。こういった会議のビデオ映像など、公表された調査経過を読むと、調査委員会の判断の方が妥当のように思えるのです。


合同会議では適切だったという意見を採っていたのに、マスコミの前では、適切でないなどとコロリと意見を変えるような、雨宮医師はあまりにも問題があります。今後は、専門員会の委員の氏名・所属・専門分野をぜひ公表して頂きたいと思います。日本移植学会から派遣された医師についても同様です。

テーマ:時事ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
相変わらず出勤前です(^^;)
春霞さま。こんにちは。いつも詳細なまとめとコメントをありがとうございます。

>(1) 専門委員会の一部と調査委員会の結論が異なったのはなぜかが、一番の関心事だったのですから、本来、「調査経過の公表」がメインのはずです。しかし、なぜか各紙の報道の仕方が違っていました。

各紙の報道、および時事通信報などを見ると、今回の会見・公表が何のために行われたのかが、全く不可解でしたね。もしこれが「専門委員会の見解が正しかったのに、それを無視して調査委員会が結論を出しました」というものなら、ただちに謝罪会見も行われるはずですが、それがなかった。そもそも、大方のメディアの論調では、2月17,18日の専門委員会ですでに「11件の手術全てが不適切」との見解をまとめたことになっていて、それが流された訳ですから、その報道だけを鵜呑みにしていた人たちには、ただ同じことが繰り返し述べられただけ、いったい何のための会見だったのかは、さっぱり分からなかったと思います。

この点について神戸新聞は、「同病院は報告書や調査委の議論を公開した理由について「調査委と専門委の結論の食い違いについて、誤解されている面があるため」と説明している。」と述べています。(これは共同通信報のはずですが、共同通信の直サイトから拾えませんでした。)

http://www.kobe-np.co.jp/kyodonews/science/0000270836.shtml

また、産経新聞も、春霞さんが引いておられるように、「腎臓摘出の適否をめぐって、6人の専門委員のうち3人が「不適切」「疑問」などと報告したのに対し、調査委の委員は「不可とする理由が分からない」と主張するなど、意見が割れた経緯が明かされた。」と書いています。

つまり、今回の会見は、専門委員会と調査委員会の間で見解が分かれたことではなく(だって、それは――正しくかどうかは別として――既に報道されたのですから)、「何故見解に相違ができたのか」を明らかにする会見・資料の公表だったはずです。

しかし、各紙の報道を見る限りでは、そのへんを記者の方々がそもそも理解していない、というか、「相違のできた経緯」についてなにがしかを述べているのは、結局産経新聞、およびわずかに毎日新聞ぐらいで、あとは「専門委員会の評価はこうだった」という報告のみです。

また、各紙報道では、

「 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で万波誠医師(66)による病気腎移植の妥当性を検証している調査委員会の委員13人のうち12人は徳洲会グループと関係があることが15日、明らかになった。
 調査委は今月3日、外部専門家らでつくる専門委員会側の「病気腎の摘出は必要なかった」とする報告を覆し、摘出は「適切」「容認できる」などとする見解を出しているが、検証結果の公正性が問われそうだ。」(共同通信報:東京新聞より)
(すいません、URL数超過で参照が入れられませんでした。)

と述べていますが、これもよく考えるとおかしな話です。というのも、今回の会見は、おそらく産経新聞の述べる通り、

「 報告を受けて今月3日に行われた調査委の会議では、万波部長に1例ずつ摘出に至った経緯の説明を求め、患者の容態なども検証した。外部委員の専門医らが「この症例は私も迷わず全摘を選ぶ」「なぜ専門委員は万波氏から詳しい説明を聞かなかったのか」と発言するなど専門委員の調査方法に疑問の声が出た。
 専門委員と調査委員を兼ねる日本移植学会の雨宮浩委員が、万波部長の説明を聞いた上で摘出は適切だったと意見を変え、「こういう話を聞くと(他の専門委員の意見も)ずいぶん違ったと思う」と述べる場面もあった。
 万波部長の病腎摘出については「移植のために全摘した」なとと批判する声が出ていた。調査委は6件の摘出行為のうち1件を「妥当」、2件を「容認できる」などと学会側と異なる結論を出しており、理解を得るため会議のビデオ映像や議事録などの公表に踏み切ったという。」

が眼目だったはずです。つまり、「公正でない」と批判一方だった委員会の結論について、ビデオを見せながら、記者たちに向かって「どうです、身贔屓で見解を曲げたと思いますか?公正でないといえますか?」と問いかける、そのための会見だった。検証結果の公正性が「これから」問われるのではなく、この会見でまさに公正性を明らかにするのが徳洲会側の意図だったのでしょう。

しかし、このような報道ばかりが出てしまった。これはもちろん、どこかからの圧力なり何なりという外的な問題もあるのかもしれませんが、それより先に、現場の記者たちが「自分が何に呼ばれたのか、ここでどのような情報が流されるのか、それをどう読むのか」という主体的な判断や、例えばビデオから何かを読みとるなどという作業を放棄して、外側だけなぞって分かる範囲だけを記事にしたのが、この一両日の報道の大勢のように思えます。

こうした見方をする私には、昨日今日の報道は、どこか記者たち自身がいったい何をどう書いていいのか分からないままに、当惑しつつ記事にしている匂いもするように思えるのですが、気のせいでしょうか?(このようなときに、「~が問われそうだ」ととりあえずまとめるのは、新聞記事によくある逃げ口上です。)

産経新聞では、会見での徳洲会側からのコメントとして、「調査委の委員の多数を徳洲会関係者が占めていることが誤解を招いているとし、今後メンバーを外部の専門家らに入れ替える方針。」と書いていますが、これらの経緯を見れば、この部分は「ちゃんとした外部の専門家を呼んでも、びくともしない結論を出せるぞ」という宣戦布告に読めます。同じ記事も、讀売新聞を見ると、

「 この日の会見では、調査委の外部委員のうち3人は、会社運営などで徳洲会とつながりがあることも明らかになった。これで日本移植学会元理事の雨宮浩委員を除く13人中12人の委員が徳洲会内部か利害関係者だったことになる。
 同病院の能宗克行事務総長は「運営として欠陥があったと思う」として、委員構成を見直す考えを示した。」

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070316ik07.htm

と敗北宣言になります。不思議ですね。

徳洲会側には、今後メンバーを刷新し、あらたに専門家を招いた委員会を設置して、更なる調査をどんどんやることをお勧めしたいですね。そのときには、

「 移植医からの報告書は、摘出手術の際、生体腎移植の手術に特有の薬剤が使われていたことなどに触れて、「本来の治療に関心がないのが明らか」と指摘し、手術そのものが移植を前提としていた可能性を示唆。「まさに密室内移植」「科学的裏付けのない病気腎移植」とも批判した。
 泌尿器科医の報告書は、血管筋脂肪腫について「再発の可能性があり、摘出が妥当と判断したとの手術記録があるが、そのような腎を移植するのは危険」と指弾。さらに「完全に治す治療法を探った記載が全くなく、当初から移植目的だった」などとし、11件について腎臓摘出の必要なし、と結論づけた。
 腎臓内科の専門医は、1人のネフローゼ症候群患者から両方の腎臓を摘出した症例を詳細に解説。薬剤への抵抗性など必要不可欠な検査が行われなかった点を挙げ、「腎臓を両方摘出して末期腎不全患者とすることは常識的な治療範囲を逸脱している」とした。
 病理医は、患者から切り取った病変部など残っていた標本を調査。腎がん2件について「4センチ以下の小さながんで、部分切除でも全摘同様の治療効果が期待される」とした。」

http://www.asahi.com/national/update/0315/OSK200703150039.html

「神戸赤十字病院の守殿貞夫院長は十人すべて摘出の必要はないとした。
 名古屋第二赤十字病院の両角国男第一内科部長は、ネフローゼの患者に必要な検査や可能な治療をせず腎臓を摘出したとして「医療として許容されず。重大な非倫理行為」と批判。」

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200703150327.html

といった今回の意見の可否も、併せて議論されることでしょう。


>(2) もう1つ。日本病理学会は3月14日、大阪市内で総会を開き、病気腎移植をめぐる関係学会の合同会議や統一見解について、「参加しない」との方針を総会で説明したようです(2007年03月15日 読売新聞)。長村理事長は「もともと合同会議に(正式には)参加していないから、としか言えない」と述べていますから、日本移植学会の幹部が、勝手に「関係5学会」と流布し、勝手に結論を決めていた態度に嫌気が差したのかもしれません。

>この方針により、今度からは「関係4学会」ということになるのでしょう。しかし、病腎移植の医学的妥当性については、病理学の観点が重要だったのですから、日本病理学会が合同会議や統一見解に関与しないままでは、合同会議や統一見解の妥当性が著しく低減するように思います。


既にこのサイトではインサイダーさんの情報などもあり、このような結果は予想されていたことでしたが、3月7日付の愛媛新聞には、このような記事がありました。

「 宇和島徳洲会病院(宇和島市)の万波誠医師(66)らによる病気腎移植問題で、日本病理学会(理事長・長村義之東海大医学部教授)が六日夜、東京都内で開いた常任理事会で、同病院で実施された十一件の病気腎移植をめぐり、腎臓の病理検査が行われていないケースがあったことが報告された。同学会は事態を問題視し、十三日に大阪市で開く総会後、病気腎移植に対し「病理学の立場から遺憾」とする独自の見解を発表する方針を固めた。
 常任理事会には、長村理事長ら常任理事五人全員が出席した。
 臓器を摘出・移植する際には、摘出の是非や移植の適合性を診断する病理検査を実施するのが通例とされている。長村理事長によると、報告を受けた出席者からは「医療現場の常識では考えられない」「摘出された臓器に対する確定した診断がなく、患者にとって問題だ」「移植手術が適切だったのかの検証ができない」など批判的な指摘が多く挙がったという。
 常任理事会後、長村理事長は病気腎移植について「(摘出・移植の根拠となる病理検査が行われていないことは)医療訴訟などに発展した場合、『証拠に基づく医療』という点で問題だ」などと話した。」

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101200703078762.html

現時点でこの記事はまだ削除もされず、訂正も出ていないようです。讀売新聞の記事を見れば、これは明らかに、意図された誤報です。何故このような記事が出たのか、愛媛新聞には説明・弁明の義務があると思われます。

(実は個人的には、この愛媛新聞の報道通りの見解発表が行われるものだと、その際には何を言ってやろうかと心待ちにしていました。今回は完全な肩透かしで、いささか唖然とさせられました。)

それでは、今回も長文で失礼しました。
2007/03/16 Fri 11:37:49
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
帰宅してもう一言
春霞さま。続けて失礼いたします。

どうも愛媛新聞には、メディアとしての一貫した思想がないのか、それとも内部的に何らかの事情で分裂してしまっているのか、今回の病気腎移植に関しても好意的な記事と否定的な記事がならんで出てくる印象があるのですが、ウェブの最新記事で、今回明らかにされた調査委員会の審議の詳細を、専門委員会の意見と並列で報じています。(こういった記事をきちんと書いてもらうことが、徳洲会が意図したことだったのでしょうが、それができたメディアがどれだけあったことでしょうか?)

長文になりますし、専門的な内容ですので、本文は引かずにURLのみを記します。

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101200703168897.html

私は医学が専門ではありませんから、この内容の適否、あるいは偏りについて述べる資格はありません。どなたか医者の方が第3者として判定してくださるのがいちばんだと思いますが、ただひとついえることは、ほぼ全ての場合において、万波医師が腎臓の温存も視野に入れた説明を十分に行った上で、患者さん本人に選択を委ねている、ということではないでしょうか?

挙げてある症例の中で、唯一難治性ネフローゼ症候群については真っ向から意見が対立し、万波医師の旗色が悪そうに読めますけれども、このへんは既に藤田士朗医師による解説がウェブ上にあり、

http://www.setouchi-ishoku.info/article.php/20070226144520553

この記述を併せて読んだ上で、医療上の論争のなりゆきを見守るべきであろうと思います。

しかし、今回の報道で、私がいちばん腹を立てたのは、かの雨宮浩氏の発言です。

「万波医師の患者は、透析が非常に苦しく長生きせず、移植が唯一の救いの道と確信しているが、日本医療の通念からみて一種独特な認識で、偏った先入観を植え付けた医師の責任を問いたい」

http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/jinzo/tj70315b.htm

雨宮氏はたしか3日の調査委員会後のインタビューで、「私の専門は移植ですから」と述べていた人でした。雨宮氏は、腎不全について移植と並ぶ治療である人工透析では、透析に入った患者さんの20年生存率が現在全国平均にして30%前後であることを知らないとでも言うのでしょうか。移植ネットワークに登録している患者さんだけでも、日本では常に1万人以上の方が腎臓を待ちわびていること、命を失う危険に脅えつつ、彼らが今の今も腎臓を待っていることを忘れているのでしょうか。移植医として自分の仕事に誇りと信念を持っていないのでしょうか。

腎移植を本業とする人が、このような認識を持っているのが現在の日本の移植医療界の現状だとしたら、非常に嘆かわしいことです。(さらに言えば、こういう発言を嬉々として引用して、批判を展開したつもりになっている大阪讀売の意識というのも相当なものです。)

もっとも、ここでいう「日本医療の通念」というのが、腎移植待ちの患者さんがネットワーク登録者だけでも1万人を超えていながら、ネットワークには微々たる量の臓器しか出回らない、宝くじを待つほどの希望で生き長らえている、その状態を是とし、あるべき医療の姿だと考えるものだとしたら、万波医師はそうした「通念」からは非常に遠いところにいることでしょう。

雨宮氏のコメントを読むと、何だか私には、万波医師がとてつもないヒーローであるとか、あるいは極悪人であるとか、そんなことではなしに、ごく当たり前の信念を持つ医者でしかなく、その当たり前をそうと思えない日本の医療の現況が、本物のモンスターであるように思えてなりません。

(同日21時18分、30分追補・訂正しました。)
2007/03/16 Fri 17:41:09
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
>語学教師さん:2007/03/16(金) 11:37:49と17:41:09を合わせてお返事
コメントと情報ありがとうございます。「家畜総回向」に行っていましたので、お返事が遅れました。すみません。


>いつも詳細なまとめとコメントをありがとうございます

こちらこそ、情報提供とコメントありがとうございます。


>神戸新聞は、「同病院は報告書や調査委の議論を公開した理由について
>「調査委と専門委の結論の食い違いについて、誤解されている面が
>あるため」

神戸新聞は、今回の会見・公表の意味を書いていたんですね。


>昨日今日の報道は、どこか記者たち自身がいったい何をどう書いていい
>のか分からないままに、当惑しつつ記事にしている匂いもするように
>思えるのですが、気のせいでしょうか?

徳洲会は記者会見の趣旨を伝えているはずなんですよね。だから神戸新聞や産経新聞はその趣旨にそって書いているわけです。

なのに、他の新聞社の記事は「記者たち自身がいったい何をどう書いていいのか分からないまま」なわけで……。病腎移植の問題は、専門医だからといって分かっているわけではないので、記者には余計に分からずに、書いているように思います。

あともう1つは、上司から支局の記者に対して、なるべく徳洲会の記者会見の趣旨にそった記事を書くなという要請があるんじゃないか、とも思っているのですが……。

<追記>
報道特集みました。読売新聞の記者は歪んでますね。


>讀売新聞の記事を見れば、これは明らかに、意図された誤報です
>愛媛新聞には説明・弁明の義務があると思われます。


情報ありがとうございます。読売新聞の記事からすると、愛媛新聞の記事は誤報ですね。愛媛新聞側の続報が欲しいところです。
この問題は、あまりに誤報が続くので、いい加減疲れてきました(汗)。


これ以下は【2007/03/16(金) 17:41:09】へのお返事

>ほぼ全ての場合において、万波医師が腎臓の温存も視野に入れた説明を
>分に行った上で、患者さん本人に選択を委ねている、ということでは
>いでしょうか?

仰るとおりです。
万波医師は、個別のケースについて十分反論になっているだけの説明はしていると思います。そして、患者の意思を尊重して決めているのですから、摘出手術については問題視することもないと思います。患者の選択を重視するのは、良いことだと思うのですけどね。


>今回の報道で、私がいちばん腹を立てたのは、かの雨宮浩氏の発言です
>移植医として自分の仕事に誇りと信念を持っていないのでしょうか。

雨宮氏の言動は理解しがたいものがあります。移植を推進したいのかしたくないのか、臨床現場の実情を認めたのか認めないのか……。
報道記者なら、本当に信用できる人物なのか気になると思うんですけどね。
2007/03/18 Sun 07:06:42
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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なんの専門なのかよくわからないのでわたしが命名してあげました。 日本移植学会の派遣された4名の医師も、専門委員会だけで決められたことを踏まえて、了承したのだから調査委員会の結論を尊重すべきです。 しかし、人の命を犠牲にしてまで権威を保ちたいものなのかねえ。
2007/03/16(金) 12:01:21 | 地獄への道は善意で舗装されている
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