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2007/03/02 [Fri] 01:05:28 » E d i t
宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)が、5月に米サンフランシスコで開かれる米国移植外科学会に参加して、病気腎移植の成果などを発表することが28日、分かった、との報道がありました。この報道を紹介しながら、コメントしたいと思います。


1.TBSニュース(2月28日22:30)

 「病気腎移植、万波氏が米で論文発表へ

 国内では病気の腎臓を使った移植に否定的な意見が相次ぐ中、渦中の 万波 誠 医師が今年5月にアメリカの権威ある学会で病気腎移植に関する論文を発表することになりました。日本の医学界でも波紋を広げそうです。

 万波医師が発表するのは、今年5月にサンフランシスコで開かれるアメリカで最も権威があるとされる移植学会です。

 万波医師は学会に出席し、生体腎移植の最後の手段と題して、発覚した42件のうち腎臓ガンなど36件の病気腎移植について問題がなかったことなど、こうした移植の正当性をアピールする予定です。

 「移植学会・泌尿器科学会で完全否定されましたから、アメリカでは果たして受け入れてもらえるかどうか知りたかった」(宇和島徳洲会病院 万波 誠 医師)

 この問題をめぐっては、日本移植学会などが3月にも病気腎移植を原則禁止する見通しですが、アメリカでは同じ病気腎移植を行った医師の論文が医学雑誌に掲載されることになるなど関心を示していて、今後、国内外に波紋を広げそうです。(28日22:30)」



「「移植学会・泌尿器科学会で完全否定されましたから、アメリカでは果たして受け入れてもらえるかどうか知りたかった」(宇和島徳洲会病院 万波 誠 医師)」


こういった気持ちは、病気腎移植に否定的な市民であっても少しは抱いているのではないでしょうか? 

「日本の移植学会・泌尿器科学会の幹部連中は病腎移植を否定(原則否定)していて、マスコミも1面で執拗に万波医師らを非難しているけど、最先端医療を行っている米国では、どう評価されるだろう? 
 マスコミは、納豆ダイエットをはじめとしてウソばっかり報道しているし、ウソを正す意思があるのかというと、ウソ報道した関西テレビへの非難は今やほとんど少なく身内には甘いから、ウソ報道は続きそうだ。一方的な見方で報道するのはかえって怪しく、また報道被害が生じているのでは。マスコミに騙されるほど、バカではない」

と。

このブログや他のサイトで紹介されている論文(藤田士朗氏)でも触れているように、日本移植学会の幹部や調査委員(否定する意見に異を唱えている委員は除く)は、古い医療水準の下に、卓越した技量もなく、万波医師よりも少ない移植経験でもって調査しているので、元々、判断能力がないと感じています。だから、万波医師と同程度、あるいはそれ以上の知識・技量・経験のある米国移植学会の医師によって判断を受けることは、正しい評価のためには、重要なことだと思います。

「日本の医学界でも波紋を広げそうです。」

ぜひ、波紋を広げて欲しいです。
日本の医療の進歩のため、患者の命や人生を救うためにも。




2.東京新聞平成19年3月1日付朝刊31面

 「病気腎移植米で発表へ  万波医師 5月の学会で計42例

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠・泌尿器科部長(66)らが、五月に米国のサンフランシスコで開催される移植の学会に参加、病気腎移植の成果などを論文にまとめ発表することが二十八日、わかった。病気腎移植については、国内では日本移植学会が批判的な見解を発表しているが、万波医師は「ドナー不足は世界的に深刻な問題。捨てるはずの腎臓を利用する病気腎移植について広く知ってもらい、議論してもらいたい」と話している。

 万波医師らが参加する会合を主催するのは、米国移植外科学会(会員約千人)と内科医が中心で組織される移植学会(会員約二千六百人)の二団体でいずれも全米組織。会合は年に一度開催され、今年の日程は五月五-九日。万波医師らは最終日に発表する。

 万波医師らは一九九一年一月から昨年九月までに行った三十六例の病気腎移植について応募。二月二十八日に採用通知を受けた。当日は応募後に判明した分を含め、腎臓がんや尿管がん十六例やネフローゼ症候群八例を含む計四十二例の病気腎移植について発表する。

 応募抄録では、生着率の高さやがんの転移がないことなどを数字で示し、「死体腎が十分確保できない国では、病気腎が供給源の最終手段になると思う。倫理的な問題も健康な生体腎の利用よりも少ない」と手術の有効性を強調している。病気腎移植については日本移植学会が、手術に至る過程などに疑問を示し、三月末にも関連四学会と合同で、「手術は好ましくない」とする声明を出すとみられる。

 一方、フロリダ大学移植外科の藤田士朗助教授は「年間一万七千件の移植が行われている米国でもドナー不足は深刻。正規の応募期間に間に合わず追加応募したにもかかわらず採用されたのは、米国の移植関係者の関心がかなり高いことを示す」と評価する。同助教授の元には、米国移植外科学会の元会長のリチャード・ハワード氏から「ドナーとレシピエントがリスクと利益を完全に理解しているならば容認できる。特に日本のように移植できる腎臓に限りがある国では認められると思う」というコメントが寄せられたという。」


この記事は、1面の紙面紹介欄にも、「社会 31 病気腎移植を米で発表へ」と紹介していますし、31面でも大き目の見出しで、かなり目を引く形の記事になっています。東京新聞では、関心を向けて欲しい記事として意識しているようです。全国紙が1つも報道しない中で。


「フロリダ大学移植外科の藤田士朗助教授は「年間一万七千件の移植が行われている米国でもドナー不足は深刻。正規の応募期間に間に合わず追加応募したにもかかわらず採用されたのは、米国の移植関係者の関心がかなり高いことを示す」と評価する。」


正規の応募期間に間に合わなかったのに、採用されたのですから、「米国の移植関係者の関心がかなり高い」というのは当然の評価でしょう。どんな問題であっても、合理性を追求する米国らしい態度といえるかもしれません。何でも「禁忌」と言って思考停止してしまう、日本移植学会の幹部とは大違いです。

日本のマスコミも、学会の幹部が「禁忌」と言えばそのまま水戸黄門の印籠のごとく、「へへー」と受け入れてしまうのは止めるべきです。学会の幹部に睨まれるのが怖いのかもしれませんが、国民に対し、正しい情報を伝えるからこそ、憲法21条で報道の自由が保障されているのです。マスコミも学会幹部に対して、「外国では病腎移植はなされているのだから、客観的事実を無視せずに病腎移植の医学的妥当性を一からやり直せ」と、合理性を追求する意識をもって欲しいものです。

「同助教授の元には、米国移植外科学会の元会長のリチャード・ハワード氏から「ドナーとレシピエントがリスクと利益を完全に理解しているならば容認できる。特に日本のように移植できる腎臓に限りがある国では認められると思う」というコメントが寄せられたという。」


このリチャード・ハワード氏のコメントは、このブログでも紹介していますが、米国移植外科学会の元会長からも、病腎移植は良い評価があり、米国にいる藤田士朗助教授も病腎移植に肯定的ですから、米国では病腎移植を認める意識があるといえます。そうなると、米国学会での発表が高く評価されることは約束されていると言ってもいいかもしれません。




3.中国新聞('07/3/1)

 「病気腎移植、米学会の演題に採用 万波氏発表へ '07/3/1

--------------------------------------------------------------------------------


 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らが実施した病気腎移植の報告が、五月に米国サンフランシスコで開かれる米国移植学会議(ATC)の演題として受理されたことが二十八日、明らかになった。万波医師は同会議に参加し、自ら発表する予定。(編集委員・山内雅弥)

 世界で最も権威あるATCの場で、日本の移植データが取り上げられるケースは異例。専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・トランスプランテーション」からも論文依頼があったという。病気腎移植に否定的な見方が強い日本移植学会などの動向にも、少なからぬ影響を及ぼしそうだ。

 米国移植外科学会と同移植学会が合同で開催するATCは、各国の移植医や看護師、薬剤師、研究者ら移植関係者が参加。移植医療に関する最新の知見とともに、社会・経済や倫理上の問題も議論される。

 ATC最終日の五月九日午前(現地時間)に行われる発表演題は「腎移植患者にとっての最終手段、生体ドナー(提供者)/患者からの病気腎」。万波医師、呉共済病院(呉市)の光畑直喜医師(58)をはじめ「瀬戸内グループ」の医師と、病理記録を解析した難波紘二・広島大名誉教授(病理学)ら六人の連名になっている。

 病気腎移植四十二例のうち三十六例の解析結果を基に、全体の五年生存率76・4%、がんの腎臓を移植した患者の五年生存率72・7%―などのデータを報告する予定。「倫理的問題を引き起こすことは健康な生体ドナーの利用より少ない」と有効性を訴える。

 万波医師は「ドナー不足の中、米国の学会が病気腎を使うことに関心を持っていただいたのは、ありがたいと思っている」とコメント。光畑医師も「国内では患者さんから離れた議論がされているのが悲しい。世界の専門家が集まる場でオープンに検証してほしい」と期待をにじませた。」



世界で最も権威あるATCの場で、日本の移植データが取り上げられるケースは異例。専門誌「アメリカン・ジャーナル・オブ・トランスプランテーション」からも論文依頼があったという。病気腎移植に否定的な見方が強い日本移植学会などの動向にも、少なからぬ影響を及ぼしそうだ。」


「世界で最も権威あるATCの場で、日本の移植データが取り上げられるケースは異例」であるのに、取り上げられるのですから、この点でも、「米国の移植関係者の関心がかなり高い」という評価になるでしょう。

「米国移植外科学会と同移植学会が合同で開催するATCは、各国の移植医や看護師、薬剤師、研究者ら移植関係者が参加。移植医療に関する最新の知見とともに、社会・経済や倫理上の問題も議論される。」


米国移植外科学会と同移植学会が合同で開催するATCは、かなり幅広い観点から、検討を加えるようです。「世界で最も権威あるATC」と言われるだけのことはあります。ここでも、合理性を追求する米国らしい対応が出ているといえると思います。


「万波医師は「ドナー不足の中、米国の学会が病気腎を使うことに関心を持っていただいたのは、ありがたいと思っている」とコメント。光畑医師も「国内では患者さんから離れた議論がされているのが悲しい。世界の専門家が集まる場でオープンに検証してほしい」と期待をにじませた。」



病腎移植は、良好な結果が出ているのだから客観的事実として患者のためになっているのに、日本の移植学会は、人工透析のウマミがあるせいか、否定的であって患者無視の議論・結論をしています。多くのマスコミはそういった不合理に対して異を唱えないのです。光畑医師が言うように「国内では患者さんから離れた議論」になっています。

日本の“自称腎移植専門家”は、「全摘以外の術式をまず検討すべき」といい、腎癌の手術は腎全摘術が主流であるという標準的移植手術の現実とかけ離れたことを言うばかりで、埒が明きません(「病気腎移植推進・瀬戸内グループ支援ネット」から「専門委員会調査報告への反論(3)」「病気腎移植推進・瀬戸内グループ支援ネット」から「専門・調査委員会報告についての意見」「地獄への道は善意で舗装されている」さんの「藤田士朗・米フロリダ大学助教授が、病腎移植について発表1」「「病気腎移植問題~病気腎元患者は「摘出誘導なく、納得している」と証言」のコメント欄参照)。“自称腎移植専門家”が幅を利かせる日本ではなく、最先端医療を行っている世界の“本物の腎移植専門家”のいる場所での検証をしてもらった方が良いのです。




4.万波医師が病腎移植の有効性に関する論文を発表するのは、米国移植外科学会と同移植学会が合同で開催するATCです。この会合には、各国の移植医や看護師、薬剤師、研究者ら移植関係者が参加し、世界の“本物の腎移植専門家”がいるのです。

万波医師が、このような会合において直接論文を発表することは、世界の“本物の腎移植専門家”に対して「直接病腎移植の有効性を知ってもらって、世界の移植医療に役立つことになる」ばかりか、「日本の移植学会は、客観的な根拠があって病腎移植の有効性を説いているのに認めないという、不合理な事実を直接伝える」ことを意味します。その結果、世界の“本物の腎移植専門家”は不合理な事実に驚かされ、日本移植学会は世界の笑いものになってしまうのです。

世界の“本物の腎移植専門家”によって、病腎移植の有効性を認められ、それが日本に“逆輸入”されて、日本でも病気腎移植の有効性が認められるということになるのでしょう。実に恥ずかしく、頭を抱えたくなるくらい情けないことではありますが、それが日本の現実ということのようです。

テーマ:社会ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
世界へ
「患者のためにやっている」
常にそう語り実行しておられる。名誉欲、金銭欲などありません。
そんな万波先生が、世界にはばたく医師であってほしいと思います。
2007/03/02 Fri 11:30:28
URL | rikachan #-[ 編集 ]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2007/03/02 Fri 21:00:51
| #[ 編集 ]
>rikachan さん
コメントありがとうございます。


>そんな万波先生が、世界にはばたく医師であってほしいと思います

ATCで講演を行う万波医師と、そんな機会もない日本移植学会の幹部。どちらが「世界にはばたく医師」なのか、勝負は付いている感じがします(^^)
2007/03/03 Sat 06:02:19
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ
コメントありがとうございます。

情報ありがとうございます。

唖然とするような事実です。無茶苦茶です。
後任県知事は時代錯誤の認識ですし、何も知らないまま県政をおかしくしてしまいそうです。県民のことを考えると心が痛みます。
2007/03/03 Sat 06:17:01
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
相変わらずの長文、お許しください
春霞さま。こんにちは。

さて、既に皆さんがご承知の通り、徳洲会の調査委員会が「万波医師の腎臓的出は適切だった」との公式見解を発表しました。

この件について、讀売新聞(YOMIURI ONLINE)は次のように述べています。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20070304ik04.htm

「[解説]公平な判断と言えず
 懸念された事態がやはり起きた。11件の病気腎移植を検討してきた宇和島徳洲会病院の調査委員会は、万波医師を何とかして守ろうとする姿勢が当初から見え隠れしていた。3日の「結論」が公平な判断とは、とうてい言えない。厚生労働省の調査班など、第三者の立場の機関が、改めて調査を行う必要がある。

 調査委の委員13人のうち、9人が同病院スタッフや徳洲会の専務理事ら徳洲会関係者。患者の聞き取り調査をしたのも徳洲会が依頼した弁護士だった。

 客観的な事実を解明して、偏らない立場から評価を進めるのが、外部委員を含む調査委員会の役目だ。だが、院長ら病院関係者は、「医療行為は適切」という立場を明らかにし、徳洲会の機関紙も毎号、病気腎移植を擁護するキャンペーン記事を載せていた。

 前回の委員会でも、専門委員からは「容認できない」と、医学的な評価は明確になったが、徳洲会関係の委員が「万波医師の話も聞くべきだ」などと主張、結論を持ち越した。身内ばかりが多い委員会で、適切な調査結果が出せるだろうか。

 移植医療と同様に、調査も「オープン・フェア・ベスト」に行われなければ、日本の医療に禍根を残しかねない。(大阪科学部 阿利明美)」

一見もっとものようにみえます。また私自身も、今回の公式見解については、「正式に病気腎移植にOKを出した」というよりも、「学会が何を言おうと万波医師を擁護すると徳洲会が腹を括った」というニュアンスでとらえる方が、より正しいような気がしています。(逆に言えば、ここで徳洲会が万波医師を切り捨てたら、後は雪崩式に万波医師が窮地に立たされたことでしょう。ことの重大さを考えれば、ここで徳洲会が腹を括ったのは重大な一歩です。)

ただし!実際にはこの記事は、問題の別の側面を大きく無視した重大な世論誘導とのそしりを免れない、欠陥文章であることがこれだけの記述からも窺えます。例えば、

1)「患者の聞き取り調査をしたのも徳洲会が依頼した弁護士だった。」と非難していますが、その反面、専門委員会が患者への聞きとり調査を一切行っていないことについて触れていません。

2)記者会見の時間が遅かったせいか、具体的な調査委員会の見解の要旨は、私の知る限り産経新聞にしか出ていません。(ペーパー版のみのようです。)4日付産経新聞3面によると、「専門委員の中に、11件の移植について「不適切」との意見を出した委員がいた。[あれ、全員じゃなかったのか?――語学教師注]万波部長は「個々の症例についてあまり質問を受けなかった」と話しており、調査としては不十分。専門委員も、説明を聞けば結論が異なることもありうると認めた。」とあります。つまり、専門委員会から参加した委員が、みずから専門委員会の調査が不十分であったこと認めているのです。

つまり、上の2点から、専門委員会の調査・分析が、讀売の主張するような「オープン・フェア・ベスト」なものでなかったことが、明らかであると考えられるのです。(この段落訂正しました:3月5日6時56分。)

そのうえ!そもそも讀売新聞にこのような口先ばかりの正義を振り回す権利はありません。先日1日の同じ讀売新聞(YOMIURI ONLINE)は、「病気腎移植問題、傷害罪の可能性も」と題して次のような記事を載せました。

http://osaka.yomiuri.co.jp/tokusyu/jinzo/tj70301a.htm

「 宇和島徳洲会病院の万波誠医師(66)らによる病気腎移植問題で、岡山、広島両県の5病院での病気腎摘出を検証した厚生労働省調査班委員の臼木豊・駒沢大教授(刑法)が28日、石川県で開かれた日本臨床腎移植学会で「移植を念頭にして臓器提供者に摘出をすすめたのなら、傷害罪にあたるかもしれない」と批判。医学的な問題だけでなく、刑事責任追及の可能性があるとの見解を示した。

 同じ調査班委員で移植医の高原史郎・大阪大教授は宇和島徳洲会など4病院の調査委員会の状況に触れ、「意図的に調査結果を曲げたり、不十分な内容にするなら、関係学会で厳しく対応する」とけん制した。」

この記事の前半に触れられている臼木豊氏の講演内容は、愛媛新聞によれば次のような内容です。

http://www.ehime-np.co.jp/rensai/zokibaibai/ren101200703018654.html

「 臼木教授は「(病気腎移植を)法律で禁じる必要はなく、患者が本当に自発的に申し出た場合は否定できない」との考えを示す一方、他者に移植することをドナー側担当医が持ち掛ける行為は、自発的意思を担保する面から「絶対に駄目だ」と強調した。
 会場からは「患者側から摘出を申し出ることなどあり得ない」「根本的に間違った医療だ」などの声が上がる一方、「患者から申し出る『例外』もゼロではなく、オープンにやれば許される」との意見も出た。」

つまり、愛媛新聞の記事を信頼するならば、讀売新聞の記事は、臼木氏の講演の趣旨を意図的にねじ曲げて、臼木氏が病気腎移植そのものを違法行為であると主張したように述べている訳です。(さらに、これはあくまで法学者としての見解を述べた講演であるにもかかわらず、讀売の見出しはあたかも「検察が傷害罪として採り上げる可能性があると判断した」といっているように読める点にも問題があります。)

さて、讀売新聞と愛媛新聞のどちらを信じるべきか?記事の詳細さ、また賛否両論であった会場の雰囲気を報告している点で、愛媛新聞の記事には臨場感があります。比較すると、讀売新聞の記事は、おそらく自己取材ではなく、何らかの情報ソースを鵜呑みにして記事にしているのみに思えます。信頼性への判断は、ここをお読みになる皆さんにお任せいたします。

しかし、この讀売の記事の後段落、高原史郎氏の発言は、知ってか知らずか、重大ですね。つまり、高原氏は、学会として自らの意志に添わない調査内容は許さないと圧力をかける発言をしているのですから。

*****

ついでです。調査委員会の見解要旨には、「摘出手術中に病理検査が一切行われなかったとの記事が掲載されたが、誤りと確認。腎がんでは術中生検も行われ、記録も残っている。」とあります。これは具体的には、朝日新聞の次の記事を指しています。

http://www.asahi.com/national/update/0302/OSK200703020094.html

「 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で万波誠・泌尿器科部長(66)が実施した11件の「病気腎」移植をめぐり、摘出手術中に摘出の是非や移植の適合性を診断する病理検査が一切行われていなかったことが、外部の専門医らでつくる同病院の専門委員会の調査でわかった。移植しようとする腎臓に病気が見つかった場合は通常、実施されており、専門委員らは「科学的妥当性に欠けた医療行為」と指摘。11件すべてが不適切と認定した。

 万波医師らが同病院を含む3病院で実施した計42件の病気腎移植のうち、同病院で摘出と移植を同時に行った6件と、ほかの病院で摘出された腎臓を同病院で移植した5件を合わせた計11件について、外部の専門医と徳洲会の医師計7人の専門委員が患者のカルテや、細胞を採取して調べた病理標本を分析した。

 各委員が上部組織の調査委員会に提出した報告書によると、11件すべてについて、摘出手術の際に病変部分の一部を切り取って病理医が検査する「術中生検」が実施されていなかった。術中生検を義務づけた取り決めなどはないが、がんを切除する場合はどの程度の部位を切ればいいか正確にわかるし、移植可能かどうかを最終的に判断できる。専門委員の一人は「臓器提供者の治療も移植患者のケアも考慮していないことを象徴する不作為」とみる。

 さらに、ネフローゼ症候群の患者の腎臓を二つとも摘出して移植したケースでは、患者がどういうタイプのネフローゼかを事前の検査で確かめないまま摘出していたことが、専門医の調査でわかった。この患者については万波医師とは別の医師が摘出手術の前に、東京の医大に腎臓の一部を検査用に送っていたことが判明。その病院に病理標本が残っていたことから、今回調べた結果、内科的治療を優先するタイプのネフローゼだったと診断されたという。

 別の専門委員は「専門委でこのネフローゼ患者について聞かれた万波医師は、全く別のタイプの病名を答えていた。病理検査も内科的治療もせずに患者の腎臓を二つとも摘出したことで、人工透析を必要とする腎不全患者を新たにつくってしまった」と批判する。」

さらについでのついでですが、この記事の2点目、ネフローゼの患者の腎摘についての記述は、一見もっともそうですが、意味不明です。

1)万波医師とは別の医師が病理検査を行っていたとのこと。もしその検査データと万波医師の診断の間に齟齬があれば、データを見ればよいわけで、いちいち病理標本の再検査をする必要はありません。

2)「別の医師」が病理検査の結果を見て、診断を下しているのならば、やはりその診断を万波医師の診断と比較すればよい話です。これもまた再検査の必要はありません。

3)病理検査のデータについて、「別の医師」が既に誤った診断を下しているならば、そもそも万波医師にまで責任は及びません。

この「別の医師」が万波医師と同じ病院に勤務するのか、それとも万波医師に患者を紹介した別の病院の医師なのか、記述からは不明ですが、もし別の病院の医師であるならば、カルテのやりとり、紹介状の内容から、以上3点のどれにあたるかは容易に判断できます。いちいち病理標本の再検査に戻る必要がなぜあったのかが、記事の記述からは全く分からず、うさんくさい内容となっています。

このおよそ2週間の間、朝日新聞、讀売新聞には継続して内部情報者からのリークめいた記事が掲載されていますが、これらについては、既に徳洲会側からの抗議などもありますし、春霞さんのサイトでも問題とされていますように、システマチックに誤報が相次いでいる印象があり、とても公正なメディアとしての機能を果たしていません。(これは、上記2紙の「すっぱ抜き」について追随する新聞がほとんど見られないことからも、記事の公正さが疑われるに足ります。)この点について、以上2紙は本来ならばしっかりした説明責任が問われるところです。
2007/03/04 Sun 20:08:16
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
>語学教師さん:長文構いませんよ
コメントありがとうございます。


>讀売新聞(YOMIURI ONLINE)は次のように述べています

情報ありがとうございます。この記事部分については別のエントリーでコメントしてみました。


>学会が何を言おうと万波医師を擁護すると徳洲会が腹を括った

そうなんでしょうね。徳洲会新聞では、病腎移植の有効性について記事を掲載していたとはいえ、徳洲会としては、万波医師を切り捨てることだって出来たはずですから。


>具体的な調査委員会の見解の要旨は、私の知る限り産経新聞にしか
>出ていません

もう1つ東京新聞には出ていました。おそらく中日新聞にも出ているかと思います。見解要旨を載せることが一番正確でいいと思うのですが、なぜ他の全国紙は載せないんでしょうね。


>厚生労働省調査班委員の臼木豊・駒沢大教授(刑法)
>傷害罪にあたるかもしれない

傷害罪の可能性は、この問題の最初の頃に出ていましたから、今さらという気がしました。
読売新聞の書き方の問題もありますが、傷害罪に当たる可能性があるという説明自体に疑問を持っています。ドナー側担当医が移植を持ち掛けたとしても、治療行為としての要件を満たすので、なぜ「絶対に駄目」なのか、疑問なのです。近いうちきちんと論じてみます。


>高原氏は、学会として自らの意志に添わない調査内容は許さないと圧力
>をかける発言をしている

こういうあからさまに脅しをかけるのは、ヤクザよりもたちが悪いです。


>調査委員会の見解要旨には、「摘出手術中に病理検査が一切行われな
>かったとの記事が掲載された
>これは具体的には、朝日新聞の次の記事を指しています

情報ありがとうございます。
別のエントリーで触れてみました。朝日も誤報ばっかり……。


>2週間の間、朝日新聞、讀売新聞には継続して内部情報者からのリーク
>めいた記事が掲載
>システマチックに誤報が相次いでいる印象

リークによって出てくる情報は、患者のプライバシー侵害に当たりそうなものですし、しかも誤報ばかりとなると、あまりに問題です。報道機関としては、本当に妥当な報道をしているのか、振り返って欲しいです。
2007/03/05 Mon 08:03:04
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
出勤前です(^^;)
春霞さま。さっそくのお返事、ありがとうございます。

>>学会が何を言おうと万波医師を擁護すると徳洲会が腹を括った

>そうなんでしょうね。徳洲会新聞では、病腎移植の有効性について記事を掲載していたとはいえ、徳洲会としては、万波医師を切り捨てることだって出来たはずですから。

たまたま土・日に古い新聞(一般紙です)の切り抜きをあれこれめくっていたのですが、今回の会見にも出席した宇和島徳洲会病院院長のコメントを続けて読んでみると、発覚以来擁護か非難かでかなり揺れているんです。おそらく学会発表が正式に決まるまでは、勝算がなかったのでしょう。

>もう1つ東京新聞には出ていました。おそらく中日新聞にも出ているかと思います。見解要旨を載せることが一番正確でいいと思うのですが、なぜ他の全国紙は載せないんでしょうね。

情報をありがとうございます。毎日新聞は、今朝は病気腎移植関係の記事が既に何も出ていません。社説もありませんでした(^^;)。ほぼ名指しで批判されている朝日新聞は、当然掲載しないでしょう。

さきほどフジテレビの「とくダネ!」でもこの話題に触れていました。ここでも、専門委員会と調査委員会の間の意見の齟齬に触れて、原因を「身内びいきの調査委員会」に求めていましたが、専門委員会が意見をまとめた2月中旬と3月3日の間に、アメリカの学会での論文受理の報があったわけで、このイベントに二つの委員会の意見対立?の原因を求めるのが正解のような気がします。

なお、同番組にコメンテーターとして出演していたピーコ氏は、「医療本来の目的は人を助けることなのに、この問題はこれまでその観点から論じられてこなかった」と発言していました。自身も重い病気を患って復帰した方だけに、場当たり的なコメントではなく、強い実感としてそう思っておられるのでしょう。
2007/03/05 Mon 09:24:54
URL | 語学教師 #va74bd7o[ 編集 ]
>語学教師さん:2007/03/05(月) 09:24:54へのお返事
コメントありがとうございます。


>ほぼ名指しで批判されている朝日新聞は、当然掲載しないでしょう。

朝日新聞の紙面を確認しましたが、見解要旨は掲載していませんでした。朝日新聞だけは、「万波医師が米移植学会で発表へ」ということさえ一切触れないんですから、徹底していますね(^^ゞ


>専門委員会と調査委員会の間の意見の齟齬

インサイダーさんのコメントでやっとはっきりしたのですが、専門委員会のうち、雨宮医師だけが勝手に「すべて不適切」と言っていただけなんでしょう。
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/blog-entry-317.html#comment792

元々、専門委員会で統一見解を示していませんし。
だから、専門員会の委員の見解はバラバラで、専門委員会と調査委員会の間では齟齬というほどのものはないような……。
この病腎移植ほど、何が虚偽で何が真実か分からないものはないな~と感じています。


>医療本来の目的は人を助けることなのに、この問題はこれまでその観点
>から論じられてこなかった

そうですね。病腎移植の肯否の立場問わず、どうしたら「人(患者)を助けることになるのか」を主として考えて欲しいですね。
2007/03/06 Tue 07:27:22
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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やっと、パソコン出来るようになりました。朝起きて、パソコン立ち上げてもディスプレーが真っ暗なまま、「アッチャァ~!」他には故障が感じられず、ディスプレーが故障したまった!でもさぁ、買って1年半だよ、それで故障するかい!掃除機なんか2年前に買い換えるま....
2007/03/02(金) 23:00:34 | 晴天とら日和
カルテを見ただけじゃ解らないと言っていた万波医師が、きちんと説明したらわかってくれたようだ。私は、信じていた、権威がどうの香のと言っても、医師は、必ず患者の命のために尽くすという良心があることを。すべての医師は、やはり医師を志したときから同じこころを持っ
2007/03/04(日) 11:15:13 | 地獄への道は善意で舗装されている
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