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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/02/16 [Fri] 22:24:47 » E d i t
離婚後300日規定の妥当性(民法772条問題)について、長勢法相に続いて、安倍首相も「見直しの要否を含めて検討する」旨の発言をしたようです。安倍首相からも言質を取ったということになると、確実に、何らかの変更がなされることになるでしょう。ただ、「慎重に」検討するとのことですので、すぐに変更されることにはならないようです。


 「離婚後300日以内出産規定、首相「見直し含め検討」

 安倍首相は15日、参院厚生労働委員会の少子化問題に関する集中審議で、女性が離婚後300日以内に出産した場合、子供は戸籍上、離婚前の夫の子供になるという民法の規定について「見直しの要否を含めて、慎重に検討する」と述べた。民主党の千葉景子氏の質問に答えた。

 この規定については、再婚した後に妊娠し、早産などの理由で離婚後300日以内に出産せざるをえなかった女性らが「現在の夫の子供」とした出生届が受理されない事例が明らかになっている。

 こうした女性らを支援するNPO法人は法務省に対し、規定の見直しを求めていた。

(2007年2月15日14時11分 読売新聞)」(YOMIURI ONLINE(2007年2月15日14時11分)



法務省民事局参事官室が、1992年12月に婚姻及び婚姻制度検討の中間報告を公表した辺りから、婚姻法見直しの議論が特に盛んになり、その頃から民法772条を改正すべきであるとの意見は出ていました(婚姻法改正を考える会編著「ゼミナール婚姻法改正」(1995年、日本評論社)」参照)。では、なぜ最近になって「300日規定」が問題視されるようになったのでしょうか? この点について検討したいと思います。

もちろん、改正すべきとの声をあげなければ、無視されてしまいます。なので、従来から改正運動がなされてきて(「民法改正情報ネットワーク」など)、近時特に積極的になり、報道機関も積極的に取り上げるようになったこと、が問題視されるようになった原因の1つであることは最初に挙げておきます。これ以外の原因は何か? を検討してみるということです。


1.原因が含まれている報道記事をまず示しておきます。

(1) 朝日新聞平成19年1月26日(2007年01月26日01時54分)

 「夫の子なのに「前夫の子」 民法規定に改正求める声
2007年01月26日01時54分

 「離婚から300日以内に誕生した子は前夫の子」とする民法772条のため、今の夫の子と証明できても子供を戸籍に入れられないでいる両親らが25日、法務省や各政党に法改正を求め、「離婚して新たな家族を持とうとする人に負担だ」と会見で訴えた。法務省は市町村の運用実態などを調べる方針だ。

 会見したのは、NPO法人親子法改正研究会(大阪市)の代表理事、井戸正枝さん(41)ら約10人。戸籍がないままに今の夫のもとで育てられている女児(2)や、このままでは無戸籍になる子供を4月に出産予定の妊婦らが出席した。

 井戸さんは離婚成立から265日目の02年11月、現在の夫との息子海如(みごと)くん(4)を出産。ところが、市役所に前夫を父とする出生届を提出するように言われ、驚いた。別居から何年もたつ元夫がなぜ父になるのか。結局、今の夫を相手にした「強制認知」の裁判を経て03年11月、やっと戸籍を登録した。

 「法的離婚はスムーズにいかず、実生活で関係が解消されてから時間がかかる場合が多い。離婚を経れば高齢出産になりがちで、一日も早く子供を産みたいのに、根拠のない300日規定で苦しめられるのはあまりにも過酷だ」と訴えた。

 離婚後343日目の出産のはずが292日目に切迫早産したため、今の夫の子としての出生届を認められず、無戸籍で集中治療室での治療を続けている赤ちゃんの母親は「戸籍がないため、子供の健康不安に加え、医療費の不安も強い」と話した。」



(2) TBSニュース(2007年02月15日10:59)

 「新しい夫の子、年間千人以上認められず

 離婚後300日以内に生まれた子は前の夫の子とする民法の規定をめぐる問題で、今の夫の子と認められないケースが、少なくとも年間で1000人以上に上る可能性があることが関係者の話で分かりました。

 「今、出生届を受付するとなりますと、前のご主人の子供さんとして前の戸籍に入ってしまうことになるんですけれども」

 今月1日、神戸市内の区役所で出生届を提出できずにいる男女。女性(31)は去年5月に前の夫と離婚、その1ヶ月前、会社員の男性(31)と同居を始め、今年1月、女の子が誕生しました。

 しかし、生まれたのは離婚成立から230日後、区役所は「離婚後300日以内に生まれた子は前の夫の子と推定する」とする民法772条の規定により、男性の子供としては出生届を受理しませんでした。

 「父親じゃないのに、そっちの籍に入ってしまうのはおかしいというか、納得できないです」(女の子の母親)

 同じように今の夫の子であるにもかかわらず、民法の規定で認められない子供が、少なくとも年間で1000人以上に上る可能性があることが関係者の話で分かりました。1日におよそ3人、こうした子供が生まれている計算です。

 生まれた子供を今の夫の子とするためには、前の夫を巻き込んで裁判をするなどの必要があり、同じ問題に悩む母親たちは、先月、法務省に規定の見直しなどを申し入れました。

 一方、長勢法務大臣は、見直しが必要かどうか検討する考えを示し、現在、法務省が実態調査を進めていますが、同じ問題に直面する子供が年間1000人以上に上る可能性が浮上したことで、今後、見直しを求める声が強まりそうです。(15日10:59)」




2.これらの記事を読むと大体、なぜ最近、問題視されるようになってきたのか分かるかと思いますが、まとめてみることにします。

(1) 出産年齢の高齢化により、300日規定の不合理性がより顕在化したこと

 「法的離婚はスムーズにいかず、実生活で関係が解消されてから時間がかかる場合が多い。離婚を経れば高齢出産になりがちで、一日も早く子供を産みたいのに、根拠のない300日規定で苦しめられるのはあまりにも過酷だ」と訴えた。

 離婚後343日目の出産のはずが292日目に切迫早産したため、今の夫の子としての出生届を認められず、無戸籍で集中治療室での治療を続けている」


厚労省の統計によると、出生率のピークは、昭和39年当時では20歳代半ば、昭和59年は30歳代近く、平成16年には30歳前後にシフトしてきています。特に、離婚後再婚であれば、どんなに初婚が若くても、どうしても再婚は高齢化してくるでしょう。
このように、出産年齢が高齢化してくると、どうしても子供を産む年齢が限界に近くなってくるため、女性だけでなく、夫婦にとって一日でも早く子供をもうけたいという気持ちになり、300日は長く感じられてきます。

出産年齢の高齢化によって早産化の傾向を生じますから(「妊娠・出産のお金大事典」の「高齢妊娠・出産」参照)、より早く産まれる子供が増加することになります。特に、かなりの早産であっても、医療技術の発達によって生存できる子供が増えたということもあります。こうなると、300日規定を知っていて、300日に出産予定であっても、思わぬ早産で困ってしまう夫婦が増加することにつながります。


(2) 300日規定により、前の夫の子とされる子供が多数存在すること

 「今の夫の子であるにもかかわらず、民法の規定で認められない子供が、少なくとも年間で1000人以上に上る可能性があることが関係者の話で分かりました。1日におよそ3人、こうした子供が生まれている計算です。」


300日規定によって、今の夫の子であるのに前の夫の子とされてしまう子供が、年間1000人以上にもなっています。これらの子供については、戸籍上、今の夫の子と扱うためには裁判が必要ですから、裁判の負担(裁判費用)や訴えの方法によっては前の夫を巻き込む可能性があるため、金銭、時間、人的に負担がかかってしまい、不合理性を感じる家族が増えてしまっているのです。

厚労省の統計によると、出生数は、第2次ベビーブームの昭和48年には209万人(合計特殊出生率2.14)であったのですが、平成17年度の出生数は106万人となり(合計特殊出生率1.26)となってしまい、出生するが低下しています。そうなると、出生数における年間1000人以上という人数は、決して少なくないものといえそうです。


(3) DVの増加・過激化などで前夫のかかわりを避けざるを得ない状況が増えてきたこと

 「東京都世田谷区の女性(32)は03年8月、前夫と別居。離婚は04年6月だった。新たな相手との出会いは別居から4カ月後。1年間の交際を経て、離婚から半年後の04年12月に結婚、05年1月に女児が生まれた。

 女性が規定の存在を知ったのは、04年12月に役所に婚姻を届け出た時だ。妊娠10カ月と告げると、窓口で「生まれてくる子は現夫の戸籍に入れられない」と告げられた。

 インターネットで調べたところ、前夫の家庭裁判所での証言が必要と分かった。前夫は毎晩のように飲み歩き、女性を殴り、家具を壊すなどした。「また嫌がらせに耐えなければならないのか」。衝撃で1週間寝込んだ。

 女性は、DNAによる親子鑑定書などの資料をもとに、娘の親権者として今の夫を相手に認知を求める調停にこぎつけた。前夫の証言がいらない手続きで、家裁からは「特別に事情を考慮した」と言われた。

 05年4月から3回の調停で、6月に娘と現夫との父子関係が認められた。女性は「短期に正しい戸籍が取れるルールを整えて」と訴える。」(毎日新聞平成19年1月8日付東京朝刊)


警察庁の統計によると,平成16年中に検挙した配偶者(内縁関係を含む)間における殺人,傷害,暴行は1,694件,そのうち1,554件(91.7%)は女性が被害者となった事件です。女性が被害者となった割合は,殺人はやや低くなっていますが,傷害は1,198件中1,143件(95.4%),暴行は290件中284件(97.9%),とそれぞれ高い割合になっており,配偶者間における暴力の被害者は多くの場合女性であることが明らかになっています(男女共同参画白書平成17年度「第1節 夫・パートナーからの暴力の実態」参照)。

こういう現状ですから、離婚後、なるべく前夫と連絡を取りたくないでしょうし、弁護士を代理人として連絡をとるとしても、できる限り居場所を知られたくないようにしたいはずです。

前夫が関わらない形で裁判を行った場合でも、前夫が暴力を行っていたのであれば、裁判によって今の夫の名前にできるとしても、一時的にも前夫が父親であったことにしたくないという気持ちも生じることになるでしょう。



3.出産年齢の高齢化、出生数の減少、夫婦間暴力の増加が原因となると、これらの原因に対してそれぞれ対策が講じられているものの、現状においては、有効な対策となっておらず、今後これらの原因が解消される見込みはありません。柳沢厚労相は、女性を「子供を産む機械」扱いし、安倍首相は柳沢厚労相を罷免しないのです。こんな状態で、出生数が増加するはずありません。こういう政府の対応では、これらの原因は、もっと問題化する可能性があります。

今後これらの原因がもっと問題化するようであれば、300日規定によって不都合な自体になる子供や夫婦は、もっと増加するはずです。これ以上、増加する前に、300日規定の問題性を解消する必要性があると思います。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

コメント
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2007/03/07 Wed 22:08:43
| #[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ
コメントありがとうございます。

法と実態がずれていて、今では実態に合わせるだけの科学的証明方法もあるのです。ならば、実態に合わせる方が合理的です。

行政・立法の怠慢といえますが、裁判所の側も実態に合わせる努力が足りないのでしょうね。
2007/03/08 Thu 23:00:52
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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