FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
06« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»08
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2007/02/12 [Mon] 13:46:48 » E d i t
女性が離婚後、前夫と異なる男性と結婚して子が誕生した場合、離婚から300日以内に誕生した子であれば、遺伝的には今の夫の子であっても、民法772条により戸籍上、(例外的な場合を除き)画一的に前夫の子と扱われます。そのため、今現在の夫の戸籍に登録するため裁判などを行った親たちが1月25日、「今後離婚する人に同じ負担を味わわせたくない」として、法務省や各政党に規定の見直しなどを求めて陳情しました(毎日新聞平成19年1月25日付夕刊)。
この陳情を受けて、長勢法相は、1月26日の閣議後会見において「考えなければならないこともあるのではないか」と述べて、見直しも含めて検討していく考えを示しています(asahi.com(2007年01月26日12時57分))。その後も長勢法相は、民主党の枝野議員の質問に対して、同様の答弁をしています。

 「民法772条:法相「裁判以外も検討」 理解示す--衆院委

 「離婚から300日以内に誕生した子は前夫の子」とする民法772条の規定をめぐる問題が7日午前、少子化問題をテーマにした衆院予算委員会で取り上げられた。長勢甚遠法相は「問題がたくさん起きているのも事実」と問題への理解を示したうえで、「(子の父を今の夫とするため)裁判という複雑な方法ではないものも検討したい」と述べた。枝野幸男議員(民主)の質問に答えた。

 枝野議員が「非常に現場が混乱している。早産のケースもあるし、また夫婦が別居して訴訟とか調停になれば、相当期間あるのが当たり前。(規定が)現実に合っていないのは明らか」と詰め寄ると、長勢法相は「状況を調査させ、できるものはできるよう検討している」と答えた。【工藤哲】

毎日新聞 2007年2月7日 東京夕刊」(毎日新聞平成19年2月7日付夕刊


このように、民法772条の見直しが検討されることになっています。そこで、朝日新聞が民法772条問題について簡潔にまとめていますので、その記事を参照しながら、民法772条問題について触れてみたいと思います。なお、この問題については、毎日新聞が一番詳しく解説していますので(例えば、「クローズアップ2007:「前夫の子」300日規定 実態と法、かけ離れ」(毎日新聞平成19年2月7日付朝刊))、そちらもご覧下さい。


1.朝日新聞平成19年2月9日付朝刊33面「ニュースがわからん!」欄

 「離婚後に出産、子どもの戸籍は? 300日以内なら「前夫が父」 変更には裁判や調停必要

 アウルさん 「離婚後300日問題」って何なの。最近よく聞くわ。

  民法772条の問題だね。例えばアウルさんがAさんと離婚して、新しい夫のBさんと子どもを作ったとしよう。法的な離婚の日から300日を超えて生まれれば「Bさんの子」だが、300日以内だと「Aさんの子」と推定されて戸籍にもAさんの子として登録される。出産して初めて知って、ショックを受ける夫婦も多い。

  どうすれば今の夫との籍に入れられるの?

  基本的には裁判所に訴えるしかない。前の夫に「嫡出否認」をしてもらうのが原則だが、ほかにも、前の夫に、親子関係がないことを確認する訴えを起こすことなどの方法はある。でも調停や裁判は、時間やお金、精神的負担がかかる。

  「300日」の根拠は何なの?

  昔から、母親が子どもを妊娠している期間は数えで「十月十日(とつきとおか)」、つまり妊娠10ヶ月目の10日に生まれると言われているだろう。これを基準に、遅めに出産した場合の余裕を持たせ「この期間内に生まれた子は前の夫との婚姻中に妊娠したことにする」と決めた。

 民法が施行された明治31(1898)年には、妊娠期間などの科学的な統計もあまりなかったんだ。当時は父親の子への責任を放棄させないための「子の福祉」の観点から意義深かった。ところが、離婚が増えた今では、当時の想定外の問題が出てきた。

  どういうこと?

  赤ん坊は実際には260~280日程度で生まれてくる子が多いから、離婚後すぐ新しい夫の子どもを妊娠した場合、法的には前夫の子とされるケースが出る。前の夫と別居して、法的に離婚するまでの間、今の夫との間にできた子についても同様な問題が起きうる。早産で前の夫の子となることもある……。

  民法は変わるの?

  法務省は改正も視野に入れて調査を始めるが、単純にはいかない。戸籍は相続や扶養に直結し、夫婦の気持ちで「どちらの子」と決めるような不安定な運用はできない。772条を変えれば、「女性は離婚後6ヶ月は再婚できない」などの条文との整合性の問題も出てくる。 (市川美亜子)」



2.基本的には朝日新聞2月9日付の記事中から、アウルさんの質問を引用しつつ、このブログなりの答えを書いていくことにします。

(1) まず、民法772条(嫡出の推定)の意味について説明しておきます(新版注釈民法(23)149頁~、内田貴著「民法4」169頁~)。

(嫡出の推定)
民法第772条  妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。


実親子関係は、血のつながりがあることで認められます。血のつながりの有無は、母子関係については(AIDや代理出産を除き)出産の事実で明瞭ですが、父子関係ははっきりしません。そこで、婚姻中は夫が妻との性的関係を独占している可能性が高いことから、772条1項は婚姻中に懐胎した子を夫の子と推定し、さらに医学的な知見に基づいて、本条2項で婚姻中の懐胎を子の出生時期によって推定することとして、この二重の推定の力で父子関係を安定させようとしたのです(第1の意味)。

婚姻中の懐胎と推定され、父の子と推定されたものが同時に嫡出性をも推定されることは、772条では直接触れていませんが、772条の推定を受ける子に対しては、嫡出否認の訴え(民法774条)が認められるため、子に嫡出性の推定があることを前提としているといえます。言い換えると、772条は嫡出性の推定も認めているわけです(第2の意味)。

772条は推定しただけなので、反対の事実を証明すれば何時でも簡単に推定を覆すことができる……というわけではないのです。772条の推定は夫からのみ争うことが許され(嫡出否認の訴え。774条)、かつ、提訴期間も、夫が子の出生を知った時から1年以内に制限されています(777条)。こうして、推定を覆し難くすることで、夫婦間の嫡出子とされている子を第三者がみだりに自分の子と主張すると家庭の平和を乱すことを防止し(家庭平和の維持)、早期に父子関係を安定させようとしたものです。

このような強力な推定によって、772条の推定を受ける嫡出子(「推定される嫡出子」)は、他の嫡出子よりも強く嫡出子としての地位が保護されているわけです。

このような二重の推定制度により、戸籍実務上、この推定を受ける子は夫婦間の嫡出子としての出生届だけしか受理されず、たとえ真実は夫の子でない場合でも、嫡出でない子として届け出ることは許されないのです(法曹会編「例題解説 家事審判法169頁)。



(2) 

 「「300日」の根拠は何なの?


772条2項は、懐胎期間を200日から300日と定めたわけですが、この300日はどういう根拠で定めたかというと、次のように説明しています。

 「明治民法草案819条2項(民旧820条2項と同じ)について起草委員富井政章は、「本条ハ医科大学ノ意見ニ依ツテ斯ウ云フ風ニ極メマシタ……最長期之ハ300日ヲ超ユル例ハ随分アリマス……665人ノ内300日以上ヲ経テ分娩ヲシタ子カ13人……其内320日ヲ超エテ分娩シタ者カ7名……稀レノコトニハ違ヒナイ 夫レテ万一ノ場合ニ嫡出子タルヘキ者カ嫡出子ト為ラナイト云フコトヲ別ニ防ク方法サヘ設ケレハ矢張リ短ク300日ニ限ツタ方ガ宜カラウ」と説明を加えている(速記録50巻112-113)。」(新版注釈民法(23)157頁)

要するに、医学的知見によると300日を超えて出産することは幾らかあっても稀であるので、300日までを懐胎期間と定め、301日後320日以内の出生子は一定の条件を満たせば推定を及ぼすことを認めようとしたのです。言い換えれば、離婚後もなるべく前夫の子であるとして、父子関係を安定させようとした意図だったわけです。もっとも、「301日後320日以内の出生子は一定の条件を満たせば推定を及ぼす」旨の規定は設けられませんでしたが。

ですので、朝日新聞の記事のように、十月十日=30日×9カ月+10日=280日目が出産予定日であるということを基準に判断したのではなく、民法が施行された明治31(1898)年には、妊娠期間などの科学的な統計があまりなかったからアバウトに決めた、と言うのは正しいとはいえません。



(3) 

 「「離婚後300日問題」って何なの? 「離婚が増えた今では、当時の想定外の問題が出てきた」って、どういうこと?



形式的には民法772条による嫡出推定を受ける子であっても、夫が長期間刑務所に服役中だったり、夫が失踪中であったりした場合、夫婦間での性的関係はあり得ないため、推定の前提を欠いているといえます。それなのに、推定を及ぼしても家庭の平和を維持できません。そこで、解釈上、772条の推定が及ばない場合があることが認められています。このような子を「推定の及ばない子」(表見嫡出子)と呼んでいます。

解釈上、772条の推定が及ばない場合としては、

(1) 事実上の離婚状態にある場合(最高裁昭和44年5月29日判決)
(2) 夫が精子欠如症であったり(新潟地裁昭和32年10月30日判決)、精管切断手術(パイプカット手術)を受けていた場合(東京家裁昭和52年3月5日審判)など、夫に生殖能力がない場合
(3) 子が人種を異にする場合
(4) 血液型又はDNA鑑定結果が不一致である場合(東京家審昭和52年3月5日)


(3)の場合はともかく、いずれの場合も推定を及ぼすべきとする見解がありますし、判例もすべて推定が及ばないとしているわけではありません。例えば、別居後も性交渉があったりした事案では、事実上の離婚状態との認定をせず(最高裁平成10年8月31日判決)、「推定の及ばない子」として扱いませんでした。
また、多くの判決・審決は、血液型の不一致だけでなく、家庭の崩壊や各当事者の意思を推定排除の条件としているのです(札幌家審昭和61年9月22日、東京高判平成6年3月28日)。このように、多くの判決・審決は、血液型やDNA鑑定によっておよそ血縁関係がないことが明白であってもそれだけでは推定を排除しないのです。

このように、ずっと前から推定の及ばない事例が争われてきたのですから、772条の推定規定には問題があったわけです。



離婚後300日以内であれば前夫の子であるとして、父子関係を安定させようとした理由は、離婚後比較的短期に出産した子は前夫の子であると推測したからです。確かに、前夫と死別し、その後婚姻していない場合には、前夫の子と推測するのは妥当です。

しかし、離婚の場合は別なのです。経験的には、離婚に至る前に別居するのが通常であり、離婚手続完了後(再婚禁止期間経過後)すぐに再婚した場合は、再婚相手と同棲するなどして再婚相手と性的関係がある可能性があるため、生まれてくる子は後夫の子である可能性が高いのです。このように、離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子というよりも、後夫の子と推定すべきだったのです。

そのため、772条2項が離婚後300日以内に誕生した子を前夫の子と規定すること自体に問題があるとも言われています(川上房子「妻の出産した婚外子」婚姻法改正を考える会編著「ゼミナール婚姻法改正」(1995年、日本評論社)234頁、二宮周平著「家族法(第2版)」(2005年、新世社)52頁)。「離婚後300日問題」の根本問題は、772条2項が離婚後300日以内に誕生した子を前夫の子と規定したことだといえるのです。



(4) 

 「どうすれば今の夫との籍に入れられるの?


戸籍実務を取り扱う市町村長等には実質的審査権がないので、理論上は「推定の及ばない子」とされる場合であっても、例えば事実上の離婚状態であったか否か等を調査する手段はないのです。したがって、「推定の及ばない子」も、形式的に民法772条の枠内に入るものは、戸籍実務上は嫡出子として取り扱うほかなく、非嫡出子しての出生届は受理されないのです(法曹会編「例題解説 家事審判法」176頁、新版注釈民法(23)177頁)。

そこで、今の夫との戸籍に入れる(=戸籍上、今の夫の子と扱う)方法として次のような手段が挙げられています(法曹会編「例題解説 家事審判法」176頁、新版注釈民法(23)409頁、法学教室308号(2006年5月号)70頁)。

(イ) ひとまず嫡出子としての出生届をしたうえで、推定される嫡出子として嫡出否認の訴え(調停)によるか、または推定の及ばない子として親子関係不存在確認の訴え(調停)によって、その旨の判決ないし審判を得て、これに基づいて戸籍を訂正して(戸籍法116条)、ついで今の夫の認知を得る。

(ロ) 出生届未済の状態のまま嫡出否認や親子関係不存在の訴え(調停)を提起して認容判決(23条審判)を得たうえで非嫡出子として出生届をする。この際に認知があれば、父欄に記名できる。 

(ハ) 推定が及ばない子の場合、出生届をしたか否かを問わず、実質的には嫡出推定が及ばないとして、嫡出否認なくして認知の訴えを提起できる(最高裁昭和44年5月29日判決)ので、この判決により父子関係を形成する。


ただし、次のような問題点があります。

・いずれの方法も裁判を必要とするため時間・裁判費用がかかり、精神的に大きな負担となること
・嫡出否認の訴えは前夫のみ提起できるため、世間体を気にしたり妻への嫌がらせのため、前夫は嫡出否認を起こさない可能性があること
・嫡出否認の訴えや親子関係不存在確認の訴えでは前夫を巻き込んでしまい、前夫の負担が生じることになり、特にDVのため夫から逃げていた場合には鑑定や証言などで夫の協力が得られにくいこと
・一度出生届をしてしまうと、裁判で現夫の子と戸籍登録できても前夫の名が残ってしまうこと
・現在の夫に対して認知の訴えが認められるのは、「推定の及ばない子」に限られるから、裁判例は必ずしもDNA鑑定だけで判断していないので「推定の及ばない子」と認められない可能性があること
・仮にDNA鑑定だけで処理するとしても、今の司法では、必要な鑑定は「新夫の子」としての証明ではなく「前夫の子ではない」ことの証明のために行われるので、前夫がDNA鑑定に応じなければならないこと(ただし、今の夫と子供のDNA鑑定を裁判所又は役所に出せば済むのであれば別。DNA鑑定の費用がかかる難点は残るが。平成20年5月23日追記)




(5) 

 「民法は変わるの?」


民法772条を改正することなく、運用を変更することで対応すべきとする意見もあります。例えば、水野紀子・東北大学教授は、民法772条は改正すべきではないが、役所は、前夫との子でないことが明らかな場合、現夫との子としての出生届を受け付けるように、より柔軟な運用にするべきであると主張しています(毎日新聞平成19年1月19日付朝刊)。また、家族法に詳しい榊原富士子弁護士は、改正しないのであれば、「法務省が通達を出すなどして、早産など明らかに前夫の子でない証明がある場合に「現夫の子」として扱えるようにする」(毎日新聞平成19年1月12日付)と述べています。


こういう運用で対応することも可能でしょうが、法改正で対応する方が好ましいという意見もあります。例えば、フランス法では、出生届の父の欄を空欄にして届け出ることが認められていることを参考にして、「夫の名前を明示せずに出生届がなされた場合には、推定を排除する」旨の規定を追加する方法が主張されています(婚姻法改正を考える会編著「ゼミナール婚姻法改正」(1995年、日本評論社)234頁・245頁)のです。こうすれば、裁判によらずに認知によって父子関係を形成できるのです。
また、民法772条2項を「婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の死亡による解消の日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する」と改め、離婚及び婚姻の取消の場合には、300日以内に生まれた子でも、前夫の子と推定しない方法も主張されています(二宮周平著「家族法(第2版)」53頁)。この規定であれば、再婚から200日経過後に生まれた子は、後夫の子と推定されることになります。

家族法に詳しい榊原富士子弁護士は「法的手続きなしで妻が父親を申告できるように民法を改正する」べきである(毎日新聞 2007年1月12日東京朝刊)と述べていますが、その法改正の方法について新聞紙上では明確ではありませんが、「夫の名前を明示せずに出生届がなされた場合には、推定を排除する」旨の規定を追加する方法を予定しているのかもしれません。


朝日新聞の記事では、「772条を変えれば、「女性は離婚後6ヶ月は再婚できない」などの条文との整合性の問題も出てくる」としています。確かに、再婚禁止期間を定めた733条と関連して論じられています。しかし、元々、733条の規定は100日に短縮するように改正する予定だったのですかから(廃止すべきという意見もある)、772条とは別個に扱うことは可能ですし、「夫の名前を明示せずに出生届がなされた場合には、推定を排除する」旨の改正ぐらいでは733条との整合性を気にすることもないでしょう。


「民法は変わるの?」と問われれば、変える必要性があるので、少なくとも運用は変えべきであり、民法改正もさほど困難ではないので、変わる可能性は大いにあるということになります。




3.772条の目的は、現代的な目で眺めれば、子供に適切な父親を与えることなのだと思います(新版注釈民法(23)152頁)。子供を抱っこしたり遊園地に連れて行くなど、ずっと我が子として面倒を見て接してくれる男性が父親と扱うのが適切であるといえそうです。

そうすると、離婚して同居していない前夫を父親とするよりも、ずっと同居するはずの再婚後の夫の方を父親として扱う態度の方が妥当ではないかと思います。前夫からDVを受けて逃げている場合であれば、なおさら前夫を父親と扱うのは妥当ではないはずです。民法改正が妥当であると考えます。


<2月14日追記>

「いろいろ」さんでは、この離婚後300日問題について、幾つかのエントリーがあります。例えば、「<民法772条>02年に自治体側が改正要望 法務省拒否」【2007/02/04 17:23 】や、「<離婚300日内誕生>問題解決へ検討 法相答弁」【2007/02/08 01:45 】 などです。

エントリー内容自体は良いと思うのですが、問題は、「<民法772条>02年に自治体側が改正要望 法務省拒否」【2007/02/04 17:23 】でコメントをしている「通りすがりの法律家」さんのコメント内容です。タダで教えているからといって、誤った説明は止めるべきでしょう。例えば、

 「>離婚届の前日まで性交渉を持つなんてことはフツーないし

果たして,本当に婚姻解消直前まで性交渉がないといえますか?

妻が妊娠を知る前に,夫が交通事故等で死亡した。妻が夫のDV…夫婦間強姦によって妊娠した…いくらでもケースは考えられます。」


「離婚届の前日まで性交渉を持つなんてことはフツーない」というのは、社会通念上一般的な理解ですし、家族法学者も同じような理解をするのが通常ですから、「いろいろ」さんの指摘は正しい理解です。これが違っているという反論は、一般的な理解でないので良くありません

それに、前夫と「離婚した」場合で議論しているのに、前夫と「死別した」場合で反論してはいけません。議論が違うのです。DVの例も、仮に中絶しないとしても、DVをしない後夫よりも、DVをした前夫の方が適切な父親とはいえないはずです。

また、憶測とはいえ、

「多くの法律家も問題は認識しながら……改正には賛成しないという状況ではないでしょうか」

といった、不確かな憶測を説くのも問題があります。家族法改正に関心のある研究者や実務家は、少なくとも1993年には改正案を示していますので、多くの法律家は改正に賛成しないという根拠は何なのか疑問に思います。

「いろいろ」さんにはご迷惑かもしれませんが、証明はできないので本当かどうか分かりませんが、ともかく「法律家」を名乗って誤った知識を吹き込むのは問題があると感じて、TBすることにしました。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
はじめまして。
春霞様、はじめまして。「いろいろ」の管理人のMariです。
トラックバックありがとうございます。
勉強させていただきました。ご指摘うれしいです。
柳沢氏の発言に関する記事も大変興味深くまた共感をもって拝見しました。
今後もお邪魔して勉強させていただこうと思いまして、さっそくリンクを貼らせていただきました。
よろしくお願いいたします。
とり急ぎお礼とご報告まで。

Mari拝
2007/02/16 Fri 01:38:32
URL | Mari #RBtNJR/g[ 編集 ]
>Mari さん
はじめまして、コメントありがとうございます。


>ご指摘うれしいです

そう思って頂けて、ホッとしました。正直、「通りすがりの法律家」にケンカ売っている感じですし。

Mari さんは正しいことを書いているのに、「(HNで)法律家」を名乗って間違った知識で批判するなんて、ヒドイと思ったのです。それに、この問題に限らないのですが、法律家を名乗っていても、ちゃんと調べているわけでもないし、嘘を書いていることが結構あるのです。
それで、ついついツッコミを入れたくなってTBしました。


>今後もお邪魔して勉強させていただこうと思いまして、さっそくリンク
>を貼らせていただきました

ありがとうございます。「社会問題について法律的に考えてみる」という形で、主として法律問題を扱っています。

なので、カタイ記事が多いのですが、その点はご容赦願います。コメントはなるべくクダケタ感じにしたいと思っているのですが(汗)。今後とも宜しくお願いします。
2007/02/17 Sat 00:37:24
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
この問題は
私は、この問題は、むしろ世界に向けて語る方がいいと思います。国連人権委員会とか、国際的な人権団体とかに、詳しく報告した方がいいと思います。
2007/05/22 Tue 18:53:20
URL | パラス #LKe1HGjQ[ 編集 ]
>パラス さん
はじめまして、コメントありがとうございます。

>私は、この問題は、むしろ世界に向けて語る方がいいと思います。国連人権委員会とか、国際的な人権団体とかに、詳しく報告した方がいい

300日規定について、5月21日、母親が離婚後に妊娠したことを示す医師の証明書があれば「現夫の子」として例外的に扱う法務省通達の運用が始まりました。しかし、、離婚前に妊娠した場合はこの通達が適用されないので、今回の通達によって救済される子供は1割程度と言われています。

これでは、多くの罪のない子供たちが「無戸籍」という不利益を被ったままであって、「子どもの人権確保を最優先に考えるべき」と指摘されています(高知新聞2007年04月13日「社説」)
http://www.kochinews.co.jp/0704/070413editor.htm

若桑みどり千葉大名誉教授は「法相の貞操発言には、家族と国家を強調し、個人の自由を奪おうという意図が込められている」と指摘、法制化に反対する法相を批判しているようです(東京新聞4月14日付)。
http://www.bitway.ne.jp/bunshun/ronten/ocn/sample/keyword/070419.html

NPO法人 SEANも次のように指摘しています。
「人権侵害を受けている子どもたちの権利を保障する議論は、女性への「貞操義務」「性道徳」「家族制度」に姿を変えてしまったようです。
 本来法律とは、国家権力など強者によって個の人権が侵害されないために制定されるべきものであり、1部の国会議員の道徳観念や画一化した価値観の押し付けであっては困りますし、実際に困っている子どもの人権救済を最重点課題として議論すべきだと思います。」
http://www.npo-sean.org/kaeko/kae219.htm

このように、一番困っているのは子供であるから救済すべきと指摘されてきているのに、結局は、法務省や与党は救済対象の拡大法案を葬ったのです。

そうなると、パラスさんが仰るとおり、日本政府は子供の人権侵害が生じているのに救済に消極的であると、「むしろ世界に向けて語る方がいい」事態にまでなっていると言ってよさそうです。

2007/05/24 Thu 01:24:10
URL | 春霞 #ExKs7N9I[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/289-335fe14e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
野党側は、ズラ~~~ッと論客揃いの役者が揃いました。 さて、どこまで経済格差・WCE導入・年金など、一般庶民が抱える日常課題に切り込めるのか?? アベシは、自分の言葉で、どれだけ反論できるか? 下手なワイドショーより、これは見物ですぞ~。。 アベ...
2007/02/12(月) 20:29:01 | 晴天とら日和
「民法第772条 春霞さんへのお答え」の元になったやりとりを基礎に春霞さんのご意見を条文化してみました。
2007/03/19(月) 19:44:49 | 労働、社会問題
「民法第772条 改正案 その1」で書いたように、この改正案によれば、「離婚後300日以内に子が生まれ、生まれるまでに母親が再婚していないときには、」どのような男性の子とも推定されません。
2007/03/25(日) 12:42:33 | 労働、社会問題
772条とか、「離婚後300日以内に生まれた子は前夫の子と推定する」とかの見出しが新聞によくでています。いったいなんだろう? これは、離婚した場合でも、離婚するまでは前の夫と夫婦なので、他の男性と交わるはず(べきで)はなく、よって、離婚から300日以内に
2007/05/07(月) 23:58:29 | 杉浦 ひとみの瞳
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。