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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/02/08 [Thu] 06:26:39 » E d i t
「死後懐胎」(死後生殖・死後出産)などの生殖補助医療技術については、日本学術会議で検討が行われている最中なのです。なのに、なぜか、日本弁護士連合会は「死後懐胎」の「禁止」を盛り込んだ法律制定を急ぐよう提言をまとめた、との記者会見を行ったようです。これについてコメントします。

1.報道を幾つか

(1) 東京新聞のHP(2007年02月07日 18時02分:2月8日付朝刊3面)

 「死後出産の禁止を提言 「法整備急げ」と日弁連

 日本弁護士連合会は7日、死亡した親の凍結精子・卵子・胚を使った出産の禁止などを含む「生殖医療法」の制定を求めた提言を、柳沢伯夫厚生労働相に提出した。

 日弁連は2000年3月に、代理出産の禁止などを盛り込んだ法律の制定を提言。その後、法整備が進まないまま新たな生殖医療をめぐる法的な問題が相次いだため、死後出産に関する見解などを追加した上で、あらためて法整備を急ぐよう求めた。

 提言は、夫婦の一方が死亡すれば夫婦の子ができないのは自然の摂理で、死後出産はこれに反する医療の乱用だと指摘。子どもが両親によって養育される権利を最初から失わせることにもなることから、保存した精子や卵子、胚は提供者が死亡した後には廃棄すべきだとしている。

(共同)
(2007年02月07日 18時02分)」


(2) TBSニュース(2007年02月07日(木)18:49)

 「日弁連、「代理出産」など禁止すべき

 日本学術会議で再検討が行われている「代理出産」などの生殖補助医療技術について、日本弁護士連合会は「禁止」を盛り込んだ法律制定を急ぐよう提言をまとめました。

 日本弁護士連合会=日弁連の今回の提言は、生殖補助医療技術のうち、提供者が死亡した後の冷凍精子や卵子による「死後懐胎」と「代理出産」です。

 提言では「死後懐胎」も「代理出産」も法律で禁止すべきとしました。特に「代理出産」については、出産する女性に身体的・精神的危険性を負わせる上、家族関係が複雑になるなど、深刻な人権侵害の可能性があるとして「禁止」を求め、現在、何の法的規制もない生殖補助医療について法整備を急ぐことを求めています。

 日弁連では7日に発表した提言を厚生労働省に提出するとともに、「代理出産」について再検討を行っている日本学術会議のメンバーや、国会議員に送付することにしています。(07日18:49)」




2.記者会見は2月7日に行ったようですが、日本弁護士連合会の「意見書等 Subject:2007-01-19 「生殖医療技術の利用に対する法的規制に関する提言」についての補充提言-死後懐胎と代理懐胎(代理母・借り腹)について-」を見ると分かるように、提言自体を行ったのは1月19日であって、ずいぶん前のことです。なぜ、すぐにではなく2月7日になって記者会見をしたのか、その意図が不明です。

TBSの報道の仕方だと、代理出産の禁止についても提言しているようですが、精子・卵子・胚の保存、廃棄、使用、同意について、補充しただけで、代理出産については特に変化はなく、代理出産の禁止についても提言したというのは言いすぎと思います。ですから、「死後懐胎」(死後生殖・死後出産)のみを表題とした「共同通信(東京新聞。読売新聞も同じです)の報道の仕方の方が適切だと感じます。

「補充提言の趣旨

第1 精子・卵子・胚の保存と廃棄
1 生殖医療技術を利用しようとする者が自ら使用するために医療機関に預託した、又は、法律上もしくは事実上の夫婦が使用するために第三者より提供された、精子もしくは卵子又は胚の凍結保存期間は5年とし、その期間が経過したときはこれを廃棄する。
   但し、提供者又は預託者の意思で5年ごとに期間を延長することができる。
2 凍結保存された精子もしくは卵子又は胚は、預託者もしくは提供者が死亡したときは、預託者又は提供者の意思にかかわらずこれを廃棄する。胚については、婚姻関係ないし事実上の婚姻関係を解消したときにもこれを廃棄する。

第2 精子・卵子・胚の使用と同意
1 凍結保存された精子もしくは卵子又は胚を使用するときには、使用の都度、預託者又は提供者の同意を得なくてはならない。
2 死亡した配偶者の精子又は卵子はこれを使用してはならない。」



詳しい内容は、提言全文(PDF形式・101KB)に出ています。一応、読んでみましたが、特に読むべきほどの内容ではありません。このエントリーで紹介した報道内容ぐらいで足りるかと思います。



3.この提言内容で気になった点が幾つかあります。

(1) 現在は、日本産科婦人科学会なので事実上禁止していますが、法規制がない状態ですから、医師及び患者ともに自由な自己決定権を行使している状態です。

そうすると、この提言は、死亡した親の凍結精子・卵子・胚を使った出産の禁止などを含む「生殖医療法」を求めるものですから、日弁連は、積極的に国家による人権制約、それも自由権の制約を求めているというわけです。

人権制約を求める立法であるのですから、本来、日弁連は慎重な対応を取るように要望するのが筋なのですが、法整備を急ぐように求めるのです。どうやら、人権擁護の立場を標榜する日弁連も、人権制約を求める団体に変貌したようです。もっとも、ただ単に何が問題なのか良く分かっていないように感じますが。


(2) 提言全文でも何度か出てくるので、一番気になったのが、「自然の摂理に反するから禁止」という部分です。例えば、

「夫婦の一方が死亡すれば夫婦の子ができないのは自然の摂理」

だから、死後生殖・死後出産は禁止すべきというのです。

しかし、生殖補助医療すべて「自然の摂理」に反するのですから、死後生殖や代理出産だけを「自然の摂理」に反すると強調のはおかしなことです。では、生殖補助医療をすべて禁止せよというのでしょうか? 

死後生殖の事例は、白血病で治療中の夫の事例ばかりであり、何度か体外受精を実施中だったのに、残念ながら出生前に死亡してしまったのです。死を目前としていて運よく夫が生きていたら「自然の摂理」に反しないとして、間に合わずに運悪く夫が死亡したら「自然の摂理」に反すると理解するのは、あまりにご都合主義で不合理な理解です。

「自然の摂理」に反するのは、生殖補助医療だけでなく、臓器移植だって同じですし、広く言えば、外科手術すべてが「自然の摂理」に反しますし、薬を飲むことだって「自然の摂理」ではあり得ないことです。

もっとも広げると、世の中には「自然の摂理」に反するものばかりです。電気製品、水道、ガス、自動車など、自然に存在するものではないのですから、「自然の摂理」に反してしまいます。もしすべて「自然の摂理」に反するから許されないとすると、人類全て原始人に戻らざるを得ません

このように「自然の摂理」という説明は、どこまでが「自然の摂理」なのか否かの限界がはっきりしないのです。「自然の摂理」と言う説明は、一見、説明になっているようにみえるのですが、よく考えてみると内容が空虚であって全然説明になっていないのです。もう少し生殖補助医療について理解をし、少しは頭を使うべきです。


(3) この提言では、

「「代理出産」については、出産する女性に身体的・精神的危険性を負わせる上、家族関係が複雑になるなど、深刻な人権侵害の可能性がある」

などと述べています。

しかし、家族関係が複雑になるのは、適法とされている「非配偶者間人工授精(AID)」も同じですし、ずっと昔から行われてきている「養子縁組」だって同じですが、これらは深刻な人権侵害扱いしないのに、なぜ、代理出産だけ「深刻な人権侵害」扱いするのでしょうか?

「非配偶者間人工授精(AID)」や「養子縁組」と、代理出産を比較すると、前者の場合は実際に暮らしている親とは血縁関係がないのに対して、後者の場合は血縁関係があるのです。誰もが「親子」であると実感するのは、姿形や性格が類似しているからですから、ずっと親子として生活していてより深刻な事態に陥るのは、血縁関係がないため類似性が欠けている、前者(「非配偶者間人工授精(AID)」や「養子縁組」)の方であるはずです。
このように、家族関係が複雑になってより深刻の人権侵害となるのは、代理出産ではなく、むしろ「非配偶者間人工授精(AID)」や「養子縁組」の方であるのです。



4.日本学術会議が検討している最中であり、期間も定めているのですから、日弁連が急ぐように提言をしてみても全く無意味です。しかも、提言内容は、「自然の摂理」の強調といったように、説得力のない理由を強調するのです。

現在、国民の半数近くが代理出産などを認めるようなアンケートがあり、また、日本産科婦人科学会の理事も一定程度は代理出産を認めてよいといったように社会情勢が変化しつつあるのです。にもかかわらず、日弁連は全部禁止するように提言するのですから、あまりに硬直的な態度です。

日弁連に対して機敏に対応せよ、なんて無理なことは求めませんが、少しは社会情勢の変化に対応した提言内容を行うべきではないでしょうか? あまりに内容のない提言なのですが、生殖補助医療にかかわるため、一応、紹介しました。



<追記>

「自然の摂理」で検索すると、天理教行理山分教会の提言にその言葉が出てきます。例えば、「この世は天然自然の摂理によって支配されています」と説いています。「自然の摂理」を強調することはどうも宗教じみてしまうようです。また、柳沢厚労相の「女性は産む機械」発言が出てくるのも、「女性は子供を産むのが自然の摂理である」と考えているからでしょう。

そうすると、日弁連は宗教団体ではないのですから、「自然の摂理」は強調すべきではなく、柳沢厚労相と同根となるような考え方は止めるべきです。日弁連は到底、柳沢厚労相を非難できません。日弁連の中で提言に参加した弁護士は、もっとよく考えるべきであり、もう少し言葉使いに慎重であるべきです。

テーマ:社会ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
またですか
TBSは以前向井さんのFROMでの講演に関し、意図的な操作報道で恥ずべきトラブルを起しています。
http://www.zakzak.co.jp/gei/2004_07/g2004073001.html
http://nipponsaisei.air-nifty.com/sakura/2004/08/tbs.html

そもそも向井さんが図らずもサンプルとなったのも、元はと言えば写真週刊誌のパパラッチ的な隠し撮りが発端です。
http://www.mukaiaki.com/akiblog/?id=1136732788
毎度の事ですが、幾らタレントとはいえ、マスコミの醜態はどうにかならないものですかねぇ。
これでは向井さんが余りに可哀想ですし、同じ人間として何とも情けない限りです。

で、日弁連の報告書読みましたが、確かに新たな補充提言は死後生殖だけで、代理出産は2000年提言のままです。
しかし、第1で最近の裁判の結果を追記、第5で代理出産禁止の提言理由を補充しています。
従って、日弁連の報告書としては残念ながら代理出産禁止を再提言したと見れなくもない形となっています。

2003年の動きでは愚かなのは厚労省と法務省つまりお役所だと考えていたのですが、日弁連もそうだったのですか。
弁護士と言えば、遠藤直哉弁護士(http://fair-law.jp/)を思い浮かべるほど、私は大変に良い印象を持っていました。
しかし、これでは、閉鎖的で権威主義的な医学界とあまり変わりがありませんね。
報告書に書いてある提言内容と理由は、春霞様がご指摘の如く、論理が滅茶苦茶で大いに失望しました。

日本学術会議の審議の行方が心配です。これからも目が離せません。
2007/02/08 Thu 19:58:29
URL | Canon #wyfAjrns[ 編集 ]
>Canonさん
コメントありがとうございます。お返事が遅れてすみません。


>そもそも向井さんが図らずもサンプルとなったのも、元はと言えば写真
>週刊誌のパパラッチ的な隠し撮りが発端です

プライバシーなんて全く無視した行動ですね。このマスコミは。もっと問題なのは、マスコミの自由に写真を撮らせ、患者の病気・治療記録を漏した医師です。はっきりいって犯罪行為です。秘密漏示罪(刑法134条)にあたります。

「(秘密漏示)
第百三十四条  医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
2  宗教、祈祷若しくは祭祀の職にある者又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときも、前項と同様とする。」


>しかし、第1で最近の裁判の結果を追記、第5で代理出産禁止の提言理由
>を補充しています
>日弁連の報告書としては残念ながら代理出産禁止を再提言したと見れな
>くもない形となっています

代理出産禁止という結論としては、前と同じなので、今「提言した」とまでいえるのかなと思っていたのです。
ですが、Canonさんの仰るとおり、どんな理由であろうと、理由とか補充をしたことは確かですから、代理出産禁止は提言していないというのは、言いすぎだったかもしれないです(汗)。

>弁護士と言えば、遠藤直哉弁護士(http://fair-law.jp/)を思い
>浮かべるほど、私は大変に良い印象を持っていました。
>これでは、閉鎖的で権威主義的な医学界とあまり変わりがありませんね

弁護士は、民事訴訟では両方の立場で弁護に立つわけですし、刑事事件が発生した場合、被告人の弁護を専門にする者もいれば、被害者側に立って損害賠償を請求する側(これは民事です)に立つことが多い弁護士もいます。弁護士は個々様々なのです。

そういう利害が対立する双方で弁護を行うのですから、本来は、日弁連は、一方的な立場に組するわけにはいきません。なので、代理出産のように世論が二分する状況では、一方的な立場に立って主張することは、かなり奇異なことなのです。

そうなると、ちょっと怪しんでいます。この提言のように、世論を無視して一方的な立場を主張するのは、代理出産禁止側の団体の意向を受けている弁護士ではないか、と。だから、この提言に唖然としている弁護士もかなりいるかと思います。

日弁連の提言とはいえ、一部の弁護士のみで決定したのですし、弁護士も色々なわけです。


>報告書に書いてある提言内容と理由は、春霞様がご指摘の如く、論理
>が滅茶苦茶

誰かさんの意向を受けて主張するから、こういった提言内容になるのでしょう。誰かさんの意向に関係なく真剣に考えたら、もう少しまともな論理になるかと思いますが……。


>日本学術会議の審議の行方が心配です。これからも目が離せません

この提言を「再検討を行っている日本学術会議のメンバーや、国会議員に送付する」のは、表向きには、「日本学術会議には弁護士が入っていないから、主張を伝える」ということでしょう。

しかし、本音は、「禁止したい側の団体が心配して、日弁連の意向でもって日本学術会議に影響力を与えたい」からだと推測しています。だから、この提言を受け取った日本学術会議のメンバーは、本音を見透かして、この提言を無視して判断して欲しいですね。
2007/02/10 Sat 02:18:18
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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