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2007/02/08 [Thu] 02:10:03 » E d i t
病気腎移植問題について調査をしていた、日本移植学会など関係学会と関連各病院の調査委の検証が終わって、2月17日には、関係学会と調査委の合同会議が開かれるそうです。毎日新聞が、その間の議論を追った記事を掲載していました。この記事を紹介します。


1.毎日新聞のHP(2007年2月4日 大阪朝刊)

 「クローズアップ2007:病気腎移植なお迷走 想定外の医療、定義付け困難

 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(66)らによる病気腎移植発覚から3カ月。3日には大阪市のホテルで同病院の専門委員会が開かれ、同病院の事例について病理的検証を終えた。17日には、各地で進む検証結果を持ち寄り、日本移植学会など関係学会と関連各病院の調査委の合同会議が開かれる。しかし、病気で摘出し通常は廃棄する腎臓を移植に使った「想定外の医療」だけに、この場で病気腎移植の取り扱いについて明確な方向性が出る可能性は低そうだ。この間の議論を追った。【加藤小夜、津久井達、野田武】

 ◇「患者選定が不公平」

 ●手続きの不備

 「(万波医師らが)病気腎移植を広めようとするなら、組織検査などをきちんとして記録すべきだった」。同病院で昨年12月にあった会合の後、専門委員からは手続きの不備を指摘する声が相次いだ。

 病気腎の摘出、移植にかかわった病院は主に瀬戸内地方の5県10病院。各病院でも検証作業が進んでおり、1月19日に市立宇和島病院で開かれた調査委の後の会見で、調査委員長の深尾立(かたし)・千葉労災病院長は「レシピエント(移植を受ける患者)の選定方法が公平性に欠けている」と厳しい表情で語った。

 万波医師は委員会で「自分の患者の中で一番困っている人を選んだ」と説明したが、深尾委員長は「死体腎移植と同じように日本臓器移植ネットワークを通して選ぶべきだ。もっと困っている人は全国にいるはずだ」と指摘する。

 現在は病院ごとに検証作業をしており、違う結論が出る可能性を懸念する声もある。宇和島徳洲会病院の専門委員の一人は「病気腎の定義付けが難しい。それがないと議論が前に進まない」と話している。

 ◇専門家は疑問視

 ●病気腎移植は危険か

 カルテや病理標本などによる検証では、がんやネフローゼ患者からの摘出や移植を疑問視する声が出ている。

 市立宇和島病院専門委員長の野村芳雄・大分大名誉教授は、1月18日の会見で「がんが小さく、病変部位を切除すれば腎臓を残せる可能性があった」と指摘。泌尿器科医の委員は毎日新聞の取材に「尿管がんは別の場所に再発する可能性が高く、腎臓を含めて全摘するのが常識。移植に使うべきではない」と話した。

 同病院では3人がネフローゼ症候群の治療のためとして両腎摘出手術を受けたが、2人は腎臓組織の一部を取って原因疾患を突き止める検査をしていなかったことも判明し、「両腎摘出の判断自体が疑問」という意見が出ている。

 一方、同病院では94年、尿管がん患者から病気腎移植を受けた患者の腎盂(う)から移植後にがんが見つかったことも判明した。この患者はその後、肺がんと肝がんを発症して死亡したが、同病院の検証作業では「データが不足している」という理由から、移植と両がん発生の因果関係は不明のままという。

 ◇「手術受けたい」全国から問い合わせ

 ●推進の署名活動

 宇和島徳洲会病院には問題発覚後から現在まで、「万波医師の治療や移植手術を受けたい」という問い合わせが全国から断続的にあるという。

 万波医師は今年に入り、再び腎移植手術を毎週のように行うようになった。しかし、病気腎移植は実施していない。先月、腎がん患者から腎臓を摘出した際も、一連の病気腎移植に使われたのと同様のケースだったが、廃棄したという。

 一方、万波医師らの支援活動を進める「移植への理解を求める会」(向田陽二代表)は3日、宇和島、松山両市の商店街で、病気腎移植を医療として積極的に検討することなどを求める街頭署名活動をした。既に3万人分の署名が集まっており、今月末までには厚生労働省に提出する方針だ。

 ◇がん十分切除と確認--宇和島徳洲会専門委

 大阪市で3日開かれた宇和島徳洲会病院での病気腎移植を医学的に検証する専門委員会の最終会合では、がんの腎臓が移植されたケースについて、がん部分は病理的に見て十分に切除されていたことを確認した。また、臓器提供者(ドナー)からの腎臓摘出について調べている厚生労働省調査班の委員も出席し、検証に必要な資料を提供した。今後、同病院の調査委員会で医学、臨床両面から病気腎移植が適正だったかどうかを判断する。

 万波誠医師がネフローゼ症候群の患者から病理検査なしに両腎を摘出していた問題も検討。患者が約20年前に腎臓組織の一部を採取した標本が見つかったが、委員からは「今の状況とは異なっているのではないか」と指摘があった。また万波医師に、移植を行った基準について質問があり、万波医師の裁量だったことを改めて確認した。

==============

 ◆病気腎移植問題の主な経過◆

(06年)

10月 1日    宇和島徳洲会病院での臓器売買事件が発覚

11月 2日    事件を受けた同病院の調査委で、11件の病気腎移植が判明

    6日    呉共済病院でも病気腎移植が明らかに(その後、関係病院は5県10病院に拡大)

    7日    万波誠医師が、市立宇和島病院でも病気腎移植を手がけたことを明らかにする

    9日    呉共済病院が内部調査委の設置を発表

   25日    宇和島徳洲会病院が東京で調査委開催

   26日    愛媛県で万波医師の移植医療を支援する会が発足

12月16日    岡山協立病院など5病院の腎臓摘出手術について、厚労省の調査班が大阪市で初会合

   23~24日 宇和島徳洲会病院の専門委開催

(07年)

 1月14日    厚労省調査班が岡山市で2回目の会合

   18日    市立宇和島病院の専門委開催(19日には同調査委)

   21日    厚労省調査班が岡山市で3回目の会合

 2月 1日    市立宇和島病院の専門・調査委で、同病院の病気腎移植実施数が11件増えて計25件に

==============

 ■ことば

 ◇病気腎移植問題

 万波誠医師を中心とした「瀬戸内グループ」の医師らが、病気を理由に摘出した腎臓を移植手術に使った問題。「移植に使って正常に機能する腎臓なら元の患者に戻すべき。がんの腎臓などは移植に使うべきではない」と批判が上がり、厚生労働省や日本移植学会、日本泌尿器科学会などが調査に乗り出した。厚労省は調査班を昨年12月に設置。摘出5病院の関係者や患者から聞き取りをし、3月までに報告書をまとめ、学会との連名でガイドラインを出す予定。

毎日新聞 2007年2月4日 大阪朝刊」




2.幾つかの点についてコメントします。

(1) 

 「「(万波医師らが)病気腎移植を広めようとするなら、組織検査などをきちんとして記録すべきだった」。同病院で昨年12月にあった会合の後、専門委員からは手続きの不備を指摘する声が相次いだ。」


確かに、病気腎移植を広めようとするなら、組織検査を行い、記録し、積極的に公表するほうが良かったのでしょう。ただ、検査を行ったり記録をしていなかったからといって、病気腎移植を行ったことを非難する理由にはなりません。病気腎移植の是非については、医学的妥当性があるかどうか、インフォームドコンセントを行っていたかどうかによるのであって、記録したり公表するかどうかは無関係だからです。

関係学会と調査委は、なんのために検証していたのでしょうか? 「記録」を見てその成果を知りたかったのに、見れなかったことを非難しているのでしょうか? 


(2) 

 「1月19日に市立宇和島病院で開かれた調査委の後の会見で、調査委員長の深尾立(かたし)・千葉労災病院長は「レシピエント(移植を受ける患者)の選定方法が公平性に欠けている」と厳しい表情で語った。

 万波医師は委員会で「自分の患者の中で一番困っている人を選んだ」と説明したが、深尾委員長は「死体腎移植と同じように日本臓器移植ネットワークを通して選ぶべきだ。もっと困っている人は全国にいるはずだ」と指摘する。」


相変わらず、「公平性」を問題にするようです。しかし、病気腎移植が毛嫌いされている状態で、どうして「死体腎移植と同じように日本臓器移植ネットワークを通して選ぶ」ことなんてできるのでしょうか? 病気腎移植を毛嫌いする医師なら、病気腎移植をするはずがないのですし、レシピエントの側だって病気腎ならためらう人だっているはずです。その医師やレシピエントの意思は無視するのでしょうか? こんな馬鹿馬鹿しい批判はもう止めて欲しいと思います。

だいたい、深尾立医師の方こそ問題のある医師だったはずです。それも「移植学会が非難しているような万波医師」とは比べ物にならないほどの悪質さですから、万波医師を批判する資格さえないはずです。その証拠となる記事を引用しておきます。

 「彼の名を全国的に有名にしたのは、脳死法案が成立する以前の昭和59年9月に日本初の脳死移植とされる膵腎同時移植を行なった医師として、である。

 ただ、この移植は法が決まる前から法に触れるのを承知で脳死移植をやったという点において、医者が正しいと思えば法を無視できると考えた点で倫理上問題があるだけでなく、本邦初の脳死移植のドナーをあえて精神障害者を選んだという点でも、家族が善意でドナーにしたというより、家族に厄介だった精神障害者だからドナーになったと考えられる点でも、あるいはヘルシンキ条約の精神からも、非常に後味の悪いものだった(このため、日本精神神経学会は脳死反対の立場を明らかにする日本医学会の中での唯一の学会になった)。

 それ以上に問題にしたいのは、助かる命のためなら、法を犯すのも仕方がない、相手が精神障害者でも仕方がないとしても、相手を助けるどころか、人体実験としか思えない手術をしたということである。

 移植を受けたレシピエントの患者は、糖尿病のために腎不全になった糖尿病性腎症の患者さんで、人工透析導入後3年が経過していた。

 この患者に対し、脳死の患者が出て、移植ができるようになったからといって移植を勧め、患者に説明をしたのが、この深尾立医師(当時筑波大学医学部助教授)である。

 裁判の記録をみると深尾医師はかなり強引というか、うそに近い説明をしている。
糖尿病性腎症の患者さんが透析を受けて4年生きられる可能性は2割もないというような説明をしているようだが、3年間透析を受けた患者さんが4年生きる確率は当時の技術でも89%、5年生きる確率は83%だった。

 さて、透析をしなくて済むとはいえ、1年間生きられる可能性が89%もあった患者さんが、その後どうなったかであるが、この患者さんは腎移植だけでなく、もともと腎不全になったのは糖尿病によるものなのだから、ついでに膵臓も変えて糖尿病を治せばどうかという提案が行われ、結果的にそれを受けることになる。この手術が難しいという説明は確かにあったのだが、どのくらいの生命予後が期待されるかなどについての具体的な説明はなく、また説明の翌日に手術を行なったように、これを十分に検討するだけの時間は与えられなかった

 結果は悲惨なものだった。

 術後、一ヶ月くらいから、拒絶反応が生じ(腎移植だけならそうは起こらない)、また免疫抑制剤の副作用にも苦しみ、腎臓も膵臓も機能しなくなって、再摘出を余儀なくされた。糖尿病は余計に悪くなり、(一説によるとちゃんとつながっているかどうかを確かめるためにわざとインスリンの注射を行わなかったためとされるが)患者さんは失明状態になってしまう。腎臓もとったので、また透析に逆戻りとなる。

 それまでは人工透析を受け、インスリンの注射をしながらまともな社会生活が送れていたのに、ずっと入院生活になり、1年も経たないうちにその患者さんは死亡した。
死因は、その膵臓の縫合不全とそれにまつわる炎症だった。ついでにいうと、実質的な執刀医だった深尾立助教授は、コロラド大学移植外科に肝臓の移植を勉強するために留学したのだが、膵臓の移植は行なったことがなかった。以前慈恵医大でやったことのない腹腔鏡手術を失敗した医者たちが業務上過失致死で訴えられたが、このケースだってそれと大して変わらない。

 いずれにせよ、法に触れてまで脳死移植を敢行したのに、患者さんのメリットになるどころか、その患者の社会生活を奪い、1年後90%も生きられる可能性があった命まで1年で奪ってしまったのだ。」(「病気腎移植問題~大島伸一・移植学会副理事長は万波医師を非難する資格があるのか?」参照)


もともと自己決定が困難な精神障害者をドナーとしたこと、ヘルシンキ条約の精神から問題があること、実質的な執刀医だった深尾立医師は膵臓の移植は行なったことがなかったのに手術を行い、結果として、その膵臓の縫合不全とそれにまつわる炎症が死因となり、結局に失敗に終わって死亡したのです。
これほど悪質極まる医師が、どうして万波医師らが行った病腎移植を非難する資格を有するのか、不思議にさえ思うのです。


(3) 

「現在は病院ごとに検証作業をしており、違う結論が出る可能性を懸念する声もある。宇和島徳洲会病院の専門委員の一人は「病気腎の定義付けが難しい。それがないと議論が前に進まない」と話している。」


「病気腎移植問題~病気腎移植の医学的妥当性(1)」のコメント欄で論じているように、生体腎移植では、病腎移植となることが珍しいことではないのです。

 「そもそも生体腎移植においてはドナー(腎臓提供者)に機能のよい腎臓や解剖学的に問題の少ないほうを残し、レシピエント(腎臓をもらう患者さん)に問題のあるほうを移植するというのが大原則であるということをご存知だろうか?

 日本移植学会やアメリカ移植学会では、ドナー腎に問題のあった症例をうまく移植したという報告が毎年のようにいくつも出されている。

 まず、腎動脈瘤のあった症例であるが、国内では、東京女子医大が腎移植症例1150例中、腎動脈瘤を持った症例8例を手術して成功したと1998年に報告している。

 そのほか、報告だけでも藤田保健衛生大学、浜松医大、京都府立医大、広島大学、北海道大学などから動脈瘤を持ったドナー腎の移植の成功が、30症例以上寄せられている。腎動脈瘤以外にも血管系に問題のある症例を体外で修復後、移植することはまったく珍しいことではない。」(「シリーズ・検証 腎不全と移植医療1 病気腎移植は医学的に議論されるべきだ」(徳洲新聞 2006年(平成18年)12月4日 月曜日 No.547 1,3面より)


生体腎移植を行う場合、病巣があった腎臓であっても修復して移植することは珍しくないのですから、現実問題としては、病気腎と健常な腎との間の線引き、「病気腎」という言葉の厳密な定義は難しいのです。このように、前から病気腎移植は珍しくないことなのですし、非難に値するような「病気腎」の認定は難しいのですから、病気腎移植を取り立てて問題視するべきではなかったと思うのです。

そうなると、「違う結論が出る可能性を懸念する声もある」、すなわち、万波医師による病腎移植が「病腎移植ではなかった」あるいは「問題視するような病腎移植ではなかった」という結論が出ることを恐れるというわけです。
万波医師の行為を非難したい側としては、少しでも認めるようなことになっては困るというわけです(苦笑)。


日本移植学会はどうしても病腎移植を否定したいようですが、米国では臓器不足から病腎移植に近いような移植を行いつつあるようです。

 「藤田士朗医師は、フロリダ大学で移植外科の助教授として2000年から勤務している。松山市で1月20日に開かれた「病腎移植を考える講演会~移植医療を進めるために~」では「日本、アメリカの腎臓移植、その現状と未来」と題して講演を行った。

 米国の腎移植件数は、年間1万7000件。それに対し日本は、わずか1000件に過ぎない。また米国では、脳死からの移植が多いのが特徴だ。

 そんな米国でも、腎移植を巡って問題が生じている。それは、ドナー(腎臓提供者)不足という問題。7万人を超える人が、腎移植を待っている。待機期間は、比較的ドナーが多く出るフロリダでも3~6年。他の州ではさらに長い。

 ちなみに、日本での待機期間は約16年。死体腎移植の場合、希望者の1%しか移植を受けることができないでいる。

 こうした事態を受け、米国においては、これまであまり使われなかった腎臓も使おうとする動きが出ている。たとえば60歳以上の方の腎臓や、50~59歳で死亡原因が脳血管障害だったり、クレアチニン(腎機能の指標)が1・5以上、高血圧の既往症を有する人の腎臓を使おうという動きだ。

 さらに、高齢者の方もしくは子どもの腎臓を2つ一緒に1人の人に移植したり、C型肝炎やその他の感染症のある人をはじめ、心臓死の人をドナーとして認めることもすでに行われている。」(「「日本、アメリカの腎臓移植、その現状と未来」 藤田 士朗 米フロリダ大学移植外科助教授(徳洲新聞 2007年(平成19年)2月5日 月曜日 No.555 3面より)


万波医師の行為を全否定しようとする日本移植学会は、こういった現状をどう説明するのでしょうか? 


(4) 

 「市立宇和島病院専門委員長の野村芳雄・大分大名誉教授は、1月18日の会見で「がんが小さく、病変部位を切除すれば腎臓を残せる可能性があった」と指摘。泌尿器科医の委員は毎日新聞の取材に「尿管がんは別の場所に再発する可能性が高く、腎臓を含めて全摘するのが常識。移植に使うべきではない」と話した。」


前段の事例は、腎臓を残せる可能性はあったが、患者の側が摘出を望んだから摘出した事例であったはずですから、非難に値しません。後段の事例は、難波名誉教授の調査によれば、レシピエント側には、別の場所(別の臓器?)に再発転移した事例はありませんでしたから、これも非難に値しません。米国の論文でも、がんだった腎臓移植を行った事例でも、癌の再発症例は1例もありませんでした。

こうなると、前段後段ともに、万波医師の行為を非難する理由になりません


(5) 

 「同病院では3人がネフローゼ症候群の治療のためとして両腎摘出手術を受けたが、2人は腎臓組織の一部を取って原因疾患を突き止める検査をしていなかったことも判明し、「両腎摘出の判断自体が疑問」という意見が出ている。」


コントロールのできない蛋白尿のあるネフローゼ症候群の患者さんには、両側の腎臓を摘出することは選択肢の1つであり、最近の教科書にも書いてあるほどよく知られていることなのです。しかも、3人のうち1人は、20年程度に渡って「一般的な内科治療」をし尽くした後の最後の処置として両腎摘出を行った事例です。それに、よく考えてみると、片方の腎臓だけネフローゼ症候群になっているなんて考えにくいのですから、ネフローゼ症候群の治療のためには両腎摘出はあり得ることだと思うのですが。

このようなことからすると、「両腎摘出の判断自体が疑問」という評価は、不当な評価であるのです(「病気腎移植問題~1月中にも「万波移植」に学会統一見解」のエントリーとコメント欄参照)。



3.このように検討してみると、この記事に書かれている万波医師に対する批判は、いずれも妥当でないことが分かります。

(1) ただ、この記事では1つだけ良いことが書いてありました。

 「大阪市で3日開かれた宇和島徳洲会病院での病気腎移植を医学的に検証する専門委員会の最終会合では、がんの腎臓が移植されたケースについて、がん部分は病理的に見て十分に切除されていたことを確認した。」


どんなに万波医師に対して批判的な専門員会であっても、万波医師の技量は確かであることは認めたわけです。深尾立医師とは大違いなわけです。

その意味で、万波医師は、確かな技量をもったうえで病腎移植を行ったわけです。万波医師はまだまだ上を目指しているようですが。


関係学会と調査委の合同会議ではどのような結論をするのか分かりませんが、このブログでずっと論じてきたように、明らかにインフォームドコンセントを欠いていた事例は見当たらなかったですし、生体腎移植でも秒腎移植はあったため、「病気腎」という言葉の厳密な定義が難しく、明らかに医学的に妥当性を欠いていた病腎移植の事例も見当たりません

万波医師は高い技量を持っているのですし、病腎移植も問題ないのだとすると、患者が万波医師に移植や手術をしてもらおうと殺到するのはごく自然なことだと思います。ことは患者の命にかかわることなのですから、このまま病気腎移植ができなくなって、患者の命を狭めることは止めて欲しいのです。

もちろん、人工透析でうまく行っている人にまで、臓器移植を勧めるつもりはありません。臓器移植後、必ずしも将来ずっと健康を取り戻したままという保障はなく、免責抑制剤は飲み続けないといけないのですから。ただ、臓器移植が必要な患者に対して、病腎移植を認めることで、できる限り生きる選択肢を広げるべきだと思うだけなのです。できる限り生きる選択肢を提示することこそ、医師としてあるべき姿であると思うのです。


(2) そして報道機関にも言いたいことがあります。

報道機関は、国民の知る権利(憲法21条)に奉仕するため、肯定否定両方調査して、その事実を報道するのが役割であるはずです。このような報道機関の役割からすれば、いい加減に、根拠にかける批判を繰り広げる移植学会の言い分をそのまま記事にすることは止めるべきです。

少なくともこの記事で触れているように、調査委が病気腎移植の是非の判断を示すことは難しく、是非を判断する可能性は低いのですから、病気腎移植を一方的に非難するような報道は止めるべきでしょう。

テーマ:社会問題 - ジャンル:ニュース

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