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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2007/01/24 [Wed] 06:15:36 » E d i t
安倍首相は1月19日に、「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案について、25日召集の通常国会で成立を目指すよう、長勢法相らに指示していたのですが(読売新聞1月20日付)、安倍首相は同法案の扱いについて22日夕には、「国会での法案の優先順位、審議の状況などもあるだろう。それは国会において判断をすることになると思う」と、与党の判断にゆだねる考えを表明していました。
東京新聞の報道によると、結局は、与党は、25日召集の通常国会での成立を断念する方針を固めたようです。この報道についてコメントしたいと思います。


1.東京新聞平成19年1月24日付朝刊1面

 「共謀罪 通常国会 成立見送り

 与党は23日、犯行に至らなくても話し合っただけで処罰される「共謀罪」新設のための組織犯罪処罰法改正案について、25日召集の通常国会での成立を断念する方針を固めた。

 安倍晋三首相は19日、長勢甚遠法相に通常国会での成立を図るよう指示したが、22日には与党の判断に委ねる方針に転換。与党内ではもともと慎重論が強かったため、先送りが固まった。

 自民党の中川秀直幹事長は23日の記者会見で「国会で総合的に取扱いを考えていくべきではないか」と述べ、成立にこだわらない意向を表明した。

 自民党の参院国対幹部は「参院選にマイナスになることはできない」と指摘。同党の衆院国対幹部も「共謀罪を採択すれば、他の法案が審理できなくなる」と述べた。

 同改正案は2003年3月に最初に国会提出され、廃案と再提出を繰り返してきた。テロリストやマフィアなどの国際犯罪組織による犯罪を防ぐことが目的だが、組織犯罪とのつながりが薄い窃盗も適用対象にしているため、野党が強く反発し、成立のめどが立っていない。

 このため、与党は通常国会での成立は見送り、参院選終了後に対象犯罪を絞り込む大幅修正を行い、今秋の臨時国会以降に成立を目指す方向で検討に入っている。」


 
2.共謀罪創設法案については、米国でさえ、共謀罪を定める条約5条を留保して批准しているように、5条は留保可能な条項なのです。なので、日本も5条を留保して批准すればよく、共謀罪を創設するような法案は必要ないのです(「「共謀罪」法案が今週審議入りの可能性~東京新聞平成18年10月22日付より」参照)。

「共謀罪が始まったら、きっと重大事件の捜査に支障が出てくるね」という現役の刑事さんの発言がある(「共謀罪創設の是非~「刑事が反対する理由」(東京新聞平成18年5月18日付)」を参照)ように、共謀罪創設法案は、捜査にとって有害であるとさえいえるのです。

このような法案である以上、

「「共謀罪」新設のための組織犯罪処罰法改正案について、25日召集の通常国会での成立を断念する方針を固めた。 」

ことは、喜ばしいことだと思います。いい加減に共謀罪法案を成立することを断念して欲しいものです。



3.それにしても、安倍首相は、法案の提出や成立、政策の実現への意欲を、突発的に明言し強気な姿勢を示したと思えば、比較的短期間にその姿勢を転換してしまうなど、言動が非常に軽く、まるで民主党の前原執行部と似ているのです。

 「自民党幹部は同日、「安倍首相は、民主党の前原(誠司前代表)執行部と似てきた」と指摘した。

 前原執行部は2005年の衆院選での民主党惨敗後、若い幹部をそろえて誕生した。だが、「偽メール問題」で事実関係をよく調べないまま、永田寿康衆院議員(当時)の質問を容認するなど、党内調整の未熟さや不手際が目立った。

 安倍首相も同様に、「周辺に仲良しの若手ばかり集めたため与党調整ができず、首相が先行して指示や方針を打ち出し、与党がついていけない」(自民党若手)ケースが相次いでいる。

 <1>一部の事務職らを法定労働期間規制から外し、残業代をゼロにする「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制を導入するための労働基準法改正案<2>「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰改正案<3>省庁再々編――が、その典型例だ。

 いずれも、首相が法案の提出や成立、政策の実現への意欲を明言しながらも、与党の同意を得られていない。関係者は、「調整が難航しているというよりは、与党がにべもなく否定し首相への配慮のかけらもない状態だ」と指摘する。

 首相の威厳や権威が軽視されていることを示す場面も目立っている。

 首相に近い1人は、「首相補佐官が人前で首相の方に手を回したり、閣議に首相があらわれても、直ちに立ち上がって迎えなかったり、おしゃべりをやめない閣僚もいる」と嘆いた。」(読売新聞平成19年1月23日付朝刊4面)



首相は、法案の提出や成立、政策の実現への意欲を明言していても、すぐに止めてしまうのですから、本当に意欲があったのかどうかさえ疑問視できそうです。

ひどいのは、

首相補佐官が人前で首相の方に手を回したり閣議に首相があらわれても、直ちに立ち上がって迎えなかったり、おしゃべりをやめない閣僚もいる」と嘆いた。」

という点です。安倍首相とは親しい間柄だったり、安倍首相が強い態度に出ないことから、内閣がまるで学級崩壊のような状況になっているのでしょう。しかし、「首相」は日本国を体内・対外的に代表する存在なのです。首相に対しては、それなりの敬意を払うだけの礼儀は持っておくべきです。

“教育再生”は、まず、人間性に問題があったり、職務に対する責任感が欠如しているような首相補佐官・閣僚の一部から実施すべきであるように思います。

最近、内閣支持率が続落している(読売新聞では48%、朝日新聞は39%)という報道がありました(1月23日付朝刊)。このような内閣支持率低下の原因は、「安倍首相の指導力不足に不信」(読売新聞1月23日付朝刊)にも理由があるのかもしれませんが、不祥事ばかり出す閣僚、安倍首相の存在を軽視している周り(与党幹部、首相補佐官、閣僚)がいるからだと思うのです。
もっとも、そんな「周り」を任命したのは、安倍首相なのですから、安倍首相の自己責任といえるとは思います。

安倍首相はもう何もしない方がいいのではないでしょうか? 




<1月24日追記>

「毎日新聞平成19年1月24日付朝刊3面『クローズアップ2007』」にも、共謀罪創設法案についての記事があったので引用しておきます。

 「どうなる共謀罪 事前処罰に根強い批判、首相の指示も迷走

 共謀罪を創設する組織犯罪処罰法改正案は、25日召集の通常国会で審議されるのか。犯罪の事前合意だけで処罰できるため根強い批判がある共謀罪。安倍晋三首相の同国会中の法案成立指示もトーンダウンし、夏の参院選を控え、与党内では慎重論が大勢なことに変わりはない。最初の法案提出から4年近く、成立への道筋が見えない共謀罪をめぐる最近の論議と今後を探る。【森本英彦】

 ◇米の一部留保、語らぬ外務省

 「国会会期も十分でなく、時間的な制約もある。円滑な国会運営をしなければならない責任があるから当然だ」。長勢甚遠法相は23日朝の閣議後会見で、こう述べて、安倍首相の成立指示があった19日以降も与党内に広まる慎重論について一定の理解を示した。

 共謀罪に対しては「話し合っただけで罰せられ、表現・内心の自由が脅かされる」「捜査機関が乱用する恐れがあり、市民団体や労働団体がターゲットになる可能性がある」といった批判が当初からある。これまで与党はこうした批判を考慮して修正案作りを続け、民主党も与党との修正協議に応じてきた。

 ところが、共謀罪導入のきっかけとされる国際組織犯罪防止条約について、条約の旗振り役である米国が「一部の州には限定的な共謀罪しかない」と、条約の一部規定を留保(特定の規定を適用しない)して批准していたことが06年夏に明らかになる。これ以降、野党側は態度を硬化させた。

 それまで民主党が「共謀罪の対象となる犯罪を限定した上で、条約を一部留保すべきだ」と主張していたことに対し、政府が「対象犯罪を限定する留保はできない」と突っぱねてきたからだ。

 野党が特に問題にしているのは、05年10月の衆院法務委員会での小野寺五典・外務政務官(当時)の答弁だ。

 「米国は共謀罪の規定を既に有し、条約との関係では特に問題なく法整備が可能だったと承知している」

 この時点で外務省は、米国が翌月に一部留保で条約を批准することを知っていたにもかかわらず、そのことには一切触れなかった。その後の国会質疑の中でも全く説明してこなかった。

 外務省は「米国の留保は条約の趣旨・目的に反するとは考えておらず、特に言及しなかった。委員会でも特に質問がなかった」と弁明する。しかし、野党側は「条約の留保が重要な論点となっていたのだから、外務省の言い分は説得力がない。あえて隠そうとしていたとしか考えられない」と批判を強める。

 外務省によると、アラスカ、オハイオ、バーモントの3州には、共謀罪の対象となる犯罪が殺人罪など14~21種類しかない。条約は、4年以上の拘禁刑に当たる犯罪を共謀罪の対象にするよう求めているが、アラスカは爆発物所持罪など38種類、オハイオはテロ行為罪など54種類、バーモントは爆発物所持・使用罪など129種類が、対象からはずれている。

 こうしたことから、野党側は「留保はできないという政府答弁は虚偽だった。共謀罪を設けなくても、条約を留保して批准できる」と主張する。

 ◇対象犯罪600種以上--政府案

 問題を指摘される共謀罪だが、政府自身も99年3月の時点では、国連の条約起草委員会で「すべての重大犯罪の共謀を犯罪とすることは、我が国の法的原則と相いれない」と主張していた。日本の刑法は、犯罪の意思だけでは罪に問わず「既遂」を罰するのが原則で、「未遂」や「予備」などの処罰は例外的に定められているからだ。

 ところが、その後、方針を転換する。00年12月には条約に署名、共謀罪の創設を受け入れた。政府は「日本の問題提起の後、共謀罪の対象となる犯罪が、組織犯罪集団の関与する重大犯罪に限られたからだ」と理由を説明する。条約起草委員会の記録の多くは公開されていない。このため、野党側は「政府がなぜ考えを変え、共謀罪に固執しているのかが明らかでない」と疑問を投げかける。

 共謀罪を導入すると、政府案では、対象となる犯罪は600種以上に及ぶ。このため、「共謀罪創設は、日本の刑事法体系を根底から変える」と警告する学者もいるほどだ。現在までに条約を批准したのは130カ国に上る。政府の調査では、ノルウェーで新たに共謀罪を創設したことが確認されたが、もともと共謀罪を持っていた英米法系の国以外の実情はよく分かっていない。

 ある与党議員は「他の国がどうやっていようと、きちんと条約の要請を果たすのが日本の責任だ」と話す。しかし、野党の「ここまで大がかりな立法をしようとする日本の異常さは際立っている」との批判に政府・与党は十分に反論できていないのが現状だ。

 昨年の臨時国会では、審議すらできずに継続審議になった改正案。それでも長勢法相は23日「国民の理解を得て成立を図るのは当然」と述べ、政府の意思が変わっていないことを強調した。

 ◇国際社会への責任--安冨潔・慶応大教授(刑事訴訟法)の話

 共謀罪の創設は国際組織犯罪防止条約を批准するために必要で、日本も国際社会の一員として責任を果たさなければならない。国際約束である条約の批准をできないまま、あまりにも時間がたっているのは問題だろう。一方、共謀罪は国内外の組織犯罪に対処する立法としても重要だ。対象となるのは、あくまでも暴力団などの犯罪集団が共謀して組織犯罪を行おうとする場合であることがもっと理解されるべきだ。

 ◇刑法原理に反する--村井敏邦・龍谷大法科大学院教授(刑事法)の話

 実行行為がなくても処罰できる共謀罪は刑法の原理に反し、表現の自由も侵害しかねない。共謀の証拠を集めるには密告制度やおとり捜査が必要になり、あまりに波及効果が大きい。日本には予備罪や凶器準備集合罪が既にあるうえ、共謀共同正犯も実務上認められており、新たに国内法を整備しなくても国際組織犯罪防止条約の要請を満たしている。これだけ国民に不信感を与えたのだから、政府は法案を取り下げるべきだ。

==============

 ■ことば

 ◇共謀罪

 政府案は、4年以上の懲役・禁固にあたる犯罪が「団体の活動として犯罪実行のための組織により行われる場合」の共謀を罰するとしている。対象犯罪が「死刑、無期、10年を超える懲役・禁固」に当たるケースでは5年以下の懲役・禁固、それ以外の場合は2年以下の懲役・禁固が科される。06年の通常国会で与党と民主党はそれぞれ、政府案をより明確・厳格にする修正案を提出。現在、政府案だけが継続審議になっている。

毎日新聞 2007年1月24日 東京朝刊」


国際法の解釈上、通常は留保できるのに、ずっと政府側(外務省)は、「留保できない」と言っておいて、米国は留保していたことは黙っていたですから、政府側(外務省)は国民を欺いていたというしかありません。

この記事にもありますが、

「野党側は「政府がなぜ考えを変え、共謀罪に固執しているのかが明らかでない」と疑問を投げかける。」

政府案のままだと一気に処罰犯罪が増加しますので、捜査機関としては捜査や起訴の対象とするかどうかも考慮しなくてはならないので、そうなると捜査機関・検察側が十分に対応できません。刑罰規定は、必要に応じて徐々に増えるものなのです。政府側(外務省)が、共謀罪に固執するのはあまりに現実離れしています。


安冨潔・慶応大教授は、この問題について政府側にたったコメントしていますが、本音のところはどうなんでしょうね? お人柄や学識能力を知っているだけに気になるところです。

テーマ:社会ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
今こそ分水嶺!
共謀罪が見送りになっても国民投票法案が通ってしまえば実質、憲法改悪されたのも同じ状況になります。共謀罪を目くらましとして教育基本法を改悪し、今また国民投票法案をその危険性が知られない間に強引に通そうとするのが彼らの狙いです。ですから何も喜ばしいことなどありません。明後日の共謀罪の集会で私はそのことをはっきりと言います。
2007/01/24 Wed 15:23:08
URL | ヘンリー・オーツ #ZQN6BGP6[ 編集 ]
> ヘンリー・オーツさん
コメントありがとうございます。


>ですから何も喜ばしいことなどありません。

う!(汗) 確かに共謀罪法案見送りくらいで喜んでいては、浅はかでした。
国民投票法案については、与党で変更された項目があったりするなどして、具体案がはっきりしないため(と思っていたので)、論じてきていませんでした。今後は何らかの形でエントリーで取り上げてみたいと思います。


>明後日の共謀罪の集会で私はそのことをはっきりと言います

それは大変意義のあることだと思います。ヘンリー・オーツさんの頑張りに期待しています。
2007/01/24 Wed 23:20:45
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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2007/01/27(土) 15:38:29 | 散策
1/19の安倍首相の共謀罪成立指示報道に驚いて色々なかたのブログを拝見しておりました。保守系のかたの共謀罪反対、懸念も健在なことに少し安堵しています。
2007/01/27(土) 15:38:54 | 散策
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