FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
04« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»06
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2007/01/19 [Fri] 05:52:53 » E d i t
代理出産など、生殖補助医療(不妊治療)のあり方について検討する日本学術会議(会長=金沢一郎・国立精神・神経センター総長)の「生殖補助医療の在り方検討委員会」の初会合が17日、東京・六本木の同会議で開かれました(読売新聞1月18日)。
委員は産婦人科や小児科、家族法、刑法、生命倫理、哲学といった分野の専門家13人で構成されており、どういった考えを有しているかについては、以前触れたとおりです(「「生殖補助医療の在り方検討委員会」(日本学術会議)の今後の行方を予想」を参照)。初会合についての報道についてコメントします。


1.まずは初会合についての報道記事から。

(1) 時事ドットコム(1月17日)

 「2007/01/17-21:40 医療としての是非から議論=代理出産めぐる検討委-日本学術会議

 代理出産の是非や代理出産で生まれた子の親子関係について、柳沢伯夫厚生労働相と長勢甚遠法相から審議依頼を受けた日本学術会議は17日、「生殖補助医療の在り方検討委員会」の初会合を開いた。鴨下重彦委員長(東大名誉教授・小児科)は、厚労、法務両省による検討の経緯の報告と各委員の意見を聞いた上で、代理出産を医療として容認するかどうかを最初に議論する考えを示した。

 同委員会は今後、月1回のペースで会合を重ね、来年1月末までに報告書をまとめる。」


厚労、法務両省による検討の経緯の報告を聞くそうですが、これは厚労省や法務省のHPを見れば分かることです。本当のところ、報告なんているのだろうかと思いますが、儀式みたいなものとして行う必要があるのでしょう。

最初に代理出産の是非について検討するようですが、法制審議会のように(法制審議会の議事録参照)、特に理由を検討することもなく「代理出産契約は公序良俗に反して無効である」と結論付けてしまって、国際私法上・国際民事訴訟法上の議論もほとんどすることなく、また、自己決定権に遡った議論もありませんでした。今回は真っ当な議論をして欲しいものです。


(2) 毎日新聞1月18日付朝刊

 「生殖補助医療:日本学術会議の検討委が初会合

 生殖補助医療のあり方について議論する日本学術会議(金澤一郎会長)の検討委員会(委員長、鴨下重彦・東京大名誉教授)の初会合が、17日開かれた。法務省と厚生労働省が、代理出産の是非を中心に、急進展する生殖補助医療に関する検討を依頼していた。鴨下委員長は「社会的にも関心の高い問題で、責任は重い。1年をめどに方向性を示す提言をまとめたい」と話した。

 委員会は法律、哲学、生命倫理、産婦人科などの専門家13人で構成。この日は、法務省と厚労省の担当者が、審議会などでのこれまでの検討状況を説明した。

 委員からは「代理出産は技術的には可能で、不妊患者の需要もある。早く方向性を示すべきだ」「代理出産する女性の健康問題や出産後のトラブルなどが考えられ、積極的には賛成できない」など、さまざまな立場の意見が出された。【永山悦子】」


最後の段落には、代理出産の是非についての議論の内容が出ています。「代理出産は技術的には可能で、不妊患者の需要もある。早く方向性を示すべきだ」というのは、代理出産賛成派の意見ですが、「代理出産する女性の健康問題や出産後のトラブルなどが考えられ、積極的には賛成できない」というのは代理出産反対派の意見です。ともかく、すべての委員が代理出産全面禁止ではないようなので、少しほっとしています。

ただし、自己決定権を巡って意見を交わしてはいないのでしょうか? 代理出産を含む生殖補助医療は(生命倫理学及び憲法学上)自己決定権と深く関わる問題ですから、絶対この点についての議論が必要です。自己決定権につき議論を交わしていても、記事では引用していないだけか、又はまだ最初だからそこまで議論していないというのなら良いのですが。




2.生殖補助医療の始まりは何かと言うと、古くから行われてきた人工授精であり、日本では1949年に慶應義塾大学病院で初めて実施され、最近までの50年間にほぼ1万人が誕生したそうです。

ただし、日本産科婦人科学会が公認した(=会告を出した)のは1996年であるように、人工授精はそれほど問題視する意識が乏しく、倫理的に問題視されたのは体外受精でした。それゆえ、生殖補助医療の始まりは体外受精、すなわち「すべては体外受精に始まった」(金城清子著「ジェンダーの法律学」(2002年、有斐閣)139頁)のです。そのはじめての体外受精児(ルイーズ・ブラウン)は、1978年英国で誕生しました。
そのルイーズ・ブラウンさんのことがニュースになっていました。

(1) CNN(2007.01.17)

 「世界初の体外受精児、自然妊娠で男児出産
2007.01.17
Web posted at: 16:11 JST- CNN/AP

 ロンドン──世界初の体外受精児として1978年7月に生まれた、英国のルイーズ・ブラウンさん(28)が、昨年12月21日に自然妊娠で男児を出産していたことが明らかになった。

 英紙メール・オン・サンデーは、ブラウンさんの話として、「赤ちゃんは2700グラムなく、小さいけれど、元気そのもの」と伝えている。

 ルイーズさんは3年前に、ウェスリー・マリンダーさん(37)と結婚し、英国西部ブリストルで暮らしている。

 1978年に世界初の体外受精児として誕生した際には、世界中で「試験管ベビー」と話題になった。しかし、現在では体外受精は珍しい医療ではなく、英国では2004年3月末までに、1万人以上が体外受精で誕生している。

 ルイーズさんは、自分が生まれた頃は話題になったが、自分の人生は平凡なものだとして、「自分の人生を、普通に、地道に暮らしている」と話している。

 ルイーズさん同様、体外受精で生まれた妹のナタリーさんも、1999年に出産している。」


(2) この報道を読む限り、ルイーズさんにはなんら障害が生じていないことが判断できます。体外受精が子供に及ぼす影響はほとんどなかったのであって、医学上は危険性がなかったと実証できたと判断できそうです。

この体外受精は、当時、2つの問題点が指摘されていました。それは<1>生殖の領域に人間の技術が介入することに対する反発、<2>道で不確かな領域に踏み込むことへの危険性でした。

しかし、前者は、夫婦間の不妊に用いられる限り、倫理的問題は少ないですし、AID(非配偶者間人工授精)では夫婦以外の第三者の精液の提供を受けるため、誰との間で親子関係を認めるのかといった法律上の問題が生じますが、体外受精(夫婦間の精子と卵子使用の場合に限る)では法律上の問題は生じません。
また、後者は、今まで大きな問題は指摘されておらず、医学的技法として定着しつつありますし、日本でも1983年に体外受精による最初の子が誕生しています。

このようなことからすると、当時の反発は、偏見の産物であって過剰なものだったといえる(今井道夫著「生命倫理学入門」31頁)と思います。




3.このような体外受精は不妊治療のためですが、日本国民は不妊治療の実態・治療方法についてどれだけ知っているのでしょうか?

(1) 朝日新聞(平成19年1月18日付夕刊3面

 「体外受精児、65人に1人 一般女性の正解11%
2007年01月18日17時33分

 不妊体験者らでつくるNPO法人「Fine」(東京都)が、体験者と一般の女性に行った意識調査で、不妊治療の実態や、生まれる子の65人に1人が体外受精という現状に、一般の理解があまり進んでいないことが浮かび上がった。調査結果は20日のNPO法人「日本不妊予防協会」の設立総会で報告される。

 調査は昨年10月、インターネット上で実施。同法人の会員を中心とした不妊体験女性と一般女性のそれぞれ約100人ずつに、基本的な知識など20問を選択式で聞いた。

 日本ではカップルの10組に1組が不妊治療をしているとされる。この割合を聞いた設問では、体験者は76%が正解だった。しかし、一般の正解は49%で、「20組に1組」が15%、「50組に1組」も6%あった。

 また、国内で体外受精で生まれた子は、日本産科婦人科学会の03年度調査では「65人に1人」。体験者の正答率42%に対し、一般は11%と低く、「290人に1人」と最も少ない割合を選んだ人が34%、「210人に1人」も27%だった。

 一般の女性には、人工授精と体外受精の違いを理解していなかったり、「20代後半」とされる女性の生殖能力の低下開始年齢を、実際より高い「30代後半」と考えていたりする人も多かった。

 Fine代表の松本亜樹子さんは「不妊について体験者と一般の意識を比較する調査はこれまでなかったと思う。一般の人は不妊などについて正しい情報に接する機会が少ない。誤った知識のまま、生殖能力を過信することで『不妊予備軍』が増えたり、治療を特別視して偏見につながったりする心配もある。正しい知識の普及に努めたい」と話す。調査結果は近くホームページ(http://j-fine.jp/)にも掲載する予定。」



(2) 不妊体験者以外の者は、不妊の実態、不妊治療についての知識が乏しかったという調査結果が出たということです。よく知らないということは偏見や差別を生じかねないのですから、両親・親戚・友人から不妊夫婦への心無い発言(「子供まだ?」)がなされるのもこういった知識の乏しさが原因の一つといえそうです。


「人工授精と体外受精の違いを理解していなかった」

というような女性もいるようです。この点を少し説明しておきます。

人工授精は体外に取り出した精子を注射器のような物で女性の子宮に注入するというもので、技術的には容易な方法と言われています。これは、無精子症、乏精子症など不妊の原因が男性側にある場合の治療法です。夫の精子による配偶者間人工授精(AIH)と、第三者の精子による非配偶者間人工授精(AID)とがあります。
AIDによる子供は、日本では1949年が最初で、以来1万人を超えているといわれ、米国では1980年代前半でもすでに30数万人が産まれているとされています。

これに対して、体外受精は体外に取り出してシャーレの上で精子と受精させるものです。これは女性側の原因による不妊、それも卵管通過障害に対する不妊治療として登場したものです。卵管の中での受精というプロセスを、体外の試験管の中(より正確にはガラス皿上)で行うことで、不妊を治療しようとするものです。
体外受精によって1978年に世界で最初に産まれ、日本でも1983年に体外受精によって最初の子が誕生しています。日本の場合、2002年の1年間に体外受精によって産まれた子は、1万5223人(うち顕微授精によるものが5481人を占める)で、これまでに産まれた体外受精子の総数は10万189人(うち顕微授精によるものが3万1185人を占める)に上っています(坂本百大・青木清・山田卓生編著「生命倫理―21世紀のグローバル・バイオエシックス」119頁)。


「日本ではカップルの10組に1組が不妊治療をしているとされる」

という点は、体験者以外は49%が知っていたそうです。
まずまずの理解があるということもできますが、10組に1組という割合の結果、2002年の我が国の出生子の1.2%が体外受精によって産まれています。それほどまでに生殖補助医療が行われており、日本は「もっとも生殖補助医療が盛んな国の1つ」(『日本産科婦人科雑誌』57巻1号118頁)と言われているのです。

言い換えれば、日本では、生殖補助医療がもっとも盛んな国の1つと言われるほど、不妊が深刻な状況にあるという見方も出来るのです。こういった深刻な事態にあることを日本の市民は自覚すべきですし、深刻な事態にあることを考慮に入れたうえで、「生殖補助医療の在り方検討委員会」は結論を出して欲しいと思います。

テーマ:時事ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
始めまして。
「晴天とら日和」を管理しております、とらちゃん、と申します。
本日、貴方様のブログを記事にさせて頂きました。
事後報告で申し訳ありませんが、よろしく御配慮賜りたく存じます。
尚、当ブログのリンク先にも貼らせて頂きました。事後報告で申し訳ありません。しかし、今まで貴方様のブログを存じ上げなかったのが、なんとも痛恨の極みです。
では、・・・・・
2007/01/20 Sat 16:02:22
URL | とらちゃん #-[ 編集 ]
>とらちゃんさん
はじめまして、コメントありがとうございます。

>本日、貴方様のブログを記事にさせて頂きました。
>事後報告で申し訳ありませんが、よろしく御配慮賜りたく存じます。

記事にして頂いたことと連絡ともども、ありがとうございます。


>尚、当ブログのリンク先にも貼らせて頂きました。

リンクありがとうございます。こちらもリンクさせて頂きます。


>今まで貴方様のブログを存じ上げなかったのが、なんとも痛恨の極みです。

ありがとうございます。今後も宜しくお願いします。
2007/01/21 Sun 23:20:10
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/262-05554b66
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
産科・婦人科・小児科当クリニックはアットホームな雰囲気ですので、不安な事、心配な事なんでもご相談ください!出産は女性の一生のうちで、最も感動的な一瞬です。元気な赤ちゃんが生まれますよう、スタッフ一同お手伝いさせていただきます。お産は主に自然分娩と....
2007/01/19(金) 19:18:29 | 産婦人科検索 全国の評判の優良産婦人科病院を紹介
???ã、??ľ、???。2030?40ã??ä???。?メディア?????Τ、¸Τ?ä???。
2010/03/14(日) 19:32:14 | ?θ??
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。