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2007/01/18 [Thu] 04:43:25 » E d i t
フランスの合計特殊出生率が2.0の大台に乗り、1.98のアイルランドを抜いて欧州トップになったそうです。この報道についてコメントしたいと思います。


1.まずは報道から

(1) 東京新聞平成19年1月17日付夕刊2面

仏出生率回復2.0  仕事と両立政策が結実

 【パリ=牧真一郎】 フランス国立統計経済研究所(INSEE)は16日、昨年の同国の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)が2.0の大台に乗ったと発表した。過去30年間で最も高く、1.3を切り少子化に苦しむ日本とは対照的なベビーブームだ。仏政府が、働く女性が安心して子供を産み、育てられる環境づくりに長年取り組んできた成果が表れている。

 フランスでは1950年代に2.65だった同出生率が70年代以降、他国と同じように働く女性の産み控えなどによって急激に低下。一時は1.65を記録した。危機感を覚えた政府が、企業や労組などを巻き込んで少子化対策を次々と打ち出した。

 休業中も事情に合わせて短時間労働が可能な育児休業制度(最長3年間)のほか、ベビーシッター費用の税控除や子供を複数持つとさまざまな手当がもらえる制度などを整備。また、企業側も独自の託児施設を用意したり、国鉄は子供3人以上の家庭に最大75%の割引カードを発行している。」



(2) 朝日新聞平成19年1月18日付朝刊6面(asahi.com(2007年01月17日19時18分))

仏出生率、2の大台 国立統計研「欧州トップ」と予測

 【パリ=沢村亙】 フランスで、女性1人が一生に産む子どもの数である合計特殊出生率が06年に2.00と「2」の大台に乗ったことが、仏国立統計経済研究所(INSEE)が16日公表した人口統計で明らかになった。同研究所では「1.98のアイルランドを抜いて欧州トップになった」と予測。06年に生まれた赤ちゃんの数も81年以来の多さで、ちょっとしたベビーブームだ。日本の合計特殊出生率は05年で1.26。

 統計によると、06年に生まれた赤ちゃんは83万900人で前年より2.9%増。合計特殊出生率も前年の1.94から伸びた。20~40歳の女性の人口は減っており、1人の女性がより多くの赤ちゃんを産んでいる傾向がはっきりした。女性の出産年齢は上昇が続き、30歳未満の母親から生まれた赤ちゃんは、ほぼ半数の52.8%だった。労働人口に占める女性の比率も、03年の45.3%から05年の45.8%へと年々上がり、社会進出が出産を妨げていない状況を示している。

 人口維持に必要とされる出生率2.07を目標に掲げる仏政府は、育児家庭への給付や育児休暇制度の充実に加え、近年は託児所の増設など、両親が仕事を続けながら子育てできる政策に力を入れており、その成果がじわじわと表れた形だ。

 一方、結婚件数は27万4400と前年より8800も減り、95年以来の少ない数に。子どものほぼ半数が結婚をしていないカップルから生まれており、必ずしも「婚姻」が家族の形成を意味していない傾向も強まっている。」


出生率の向上には、長年の少子化対策を必要とするのであって、十分な対策を行っても効果が出るまでに長期間かかることを示しています。また、「政府が、企業や労組などを巻き込んで」少子化対策を行ったことから成果が出ていることからすると、国を挙げて取り組まないと効果が出ないことを示しています。

出産年齢の上昇が続いていることは、不妊化傾向も原因の1つでもあるとは思いますが、子供を産む時期を遅くしても育てやすい環境にあるということだと思われます。「労働人口に占める女性の比率も、03年の45.3%から05年の45.8%へと年々上がり、社会進出が出産を妨げていない状況を示している」としているように、出産と仕事の両立が十分に可能な状況にあるというわけです。



2.これに対して、日本の状況はどうでしょうか?

(1) 東京新聞平成19年1月14日朝刊(日曜日)25面「本音のコラム」

 「危うい少子化対策――藤本由香里(ふじもと ゆかり)

 「行政の縦割りを廃し、少子化対策を一元的に実行するため」の「こども省」構想が政府与党の間で浮上しているという。

 少子化対策については、2007年度から、0―2歳児の児童手当が現行の5000円(第1子・第2子)から1万円に増額されることが決定されており、加えて政府は今年初め、新たな少子化対策のための戦略会議も立ち上げると発表している。

 だが一方で気になるのは、昨年末に発表された、生活保護費の母子加算の撤廃のことである。

 母子加算というのは、18歳以下の子を持つひとり親に支給されるもので、16―18歳の子供への母子加算は本年度いっぱいで打ち切られ、これから3年かけて15歳以下の子供への母子加算もゼロにされる。

 もしかしてこれは「子供は産んでほしい。でも必ず両親はそろってね」ということなのだろうか。

 というのは、昨年、福井県の生活学習館で不適切な図書として百十数冊が排除された問題で、その中には母子家庭やシングルマザー関連の本がかなり含まれていた。つまり、保守的な層にとって母子家庭やシングルマザーはどうも「危険思想」の1つと考えられているようなのだ。

 だが、実は少子化対策に成功した国では、「結婚」にこだわらず、女性が子供を産み育てることを無条件で支援した国が多い。政府の少子化対策が間違った方向に進まないことを祈るばかりだ。
                      (編集者)」


「結婚」にこだわらず、女性が子供を産み育てることを無条件で支援した国というのは、フランスがその代表例です。「結婚」にこだわった政策を実施した場合には、少子化対策は十分に効果を挙げることができないという評価も可能でしょう。

ところが、日本政府は「活保護費の母子加算の撤廃」を決定しました。ただでさえ、母子家庭では女性が十分な収入を得ることができず困窮している状態なのに(ワーキングプア)撤廃するのですから、ますます母子家庭は困窮さを増していくことになります。


(2) それにしても、政府や保守層は、なぜ「保守的な層にとって母子家庭やシングルマザーはどうも『危険思想』の1つ」と考えるのでしょうか?

どんなに仲が良い夫婦やカップルであっても、仕事や親族間とのトラブル、犯罪に巻き込まれるなど、男女間において直接の原因がないような種々の事情により離婚に至る可能性があるのですから、母子家庭やシングルマザーを「危険思想」と考えることは、現実とかい離した偏狭な考え方のように思えます。

政府が採用した、母子家庭への冷酷な対応を考えると、少しでも離婚後のことを考える思慮深い夫婦であれば、子供を産むことをためらうことが予想されます。当然の予想とさえいえるかもしれません。少子化対策を打ち出しながら、他方で、子供を産むことにブレーキを掛けるような措置をとるのですから、政府の態度は一貫していないのです。




3.日本政府は、フランスの合計特殊出生率の結果や少子化対策を見て、どう思っているのでしょうか? 参考にする気はあるのでしょうか? 何よりも企業側がどれほど真剣に対応する気があるのでしょうか?

政府や経済界は、一定条件の社員を労働時間規制から外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」、すなわち「残業代ゼロ法案」の導入を希望しています。この法案の今国会へ提出は断念したそうですが(朝日新聞1月17日付朝刊)、依然として導入を希望していることは確かです。

もし「残業代ゼロ法案」を導入すると、厚生労働省の少子化問題を担当している部署内においても、本制度導入による長時間労働促進のために(除外対象となった会社員が)家庭で過ごせる時間がますます減ってしまう、という反対意見があるように(読売新聞(2006年12月28日))、ますます少子化を促進させる結果が予想できます。ここでも(経済界の態度も含め)政府の態度は一貫しないのです。

子供がますます減少することは、子供に費やす費用がなくなり、国内需要が減少することになるのですから、日本企業にとって少子化は好ましくないはずなのに、目先の収入(=社員の給与の抑制)に目を奪われ、少子化を促進させる法案導入を希望して自ら首を絞める行動に出るのです。

今の政府や経済界のままでは、ますます少子化を促進させることになり、フランスのような合計特殊出生率の回復は絶望的であると感じています。




<1月19日追記>

ネット上の日経新聞の記事を追っていくと記述が流浪していると感じられます。

(1) 一番古い記述は、NIKKEI NET:国際ニュース トップ(1月17日(01:53) )

 「仏の出生率、2.005に上昇・欧州一の多産国に

 仏国立統計経済研究所(INSEE)が16日発表した2006年の人口動態統計によると、同年の出生率が2.005に上昇した。「欧州一の多産国になった」(人口問題研究部)としている。子育て支援策の整備を受けて働く女性の高齢での出産や3人目以上の出産が増え、婚外子も増加している。

 同年の出生数は前年比2万3100人増の83万900人で、過去25年で最多だった。この結果、15―50歳の女性が一生の間に生む子供の数を示す合計特殊出生率(速報値)は前年比0.062ポイント上昇し、統計がさかのぼれる1980年以降の最高を更新した。

 第一子の出産年齢は29.8歳と「晩婚・晩産」傾向は続くものの、30代以降の第二子、第三子の出産が増えている。婚姻件数は減少しているが、事実婚の増加が出産増を支えている。また、移民の出生率が平均より高いため、過去の移民受け入れが出生率上昇につながっている。

 仏の出生率は1990年代に1.6まで低下した後、各種手当や育児休業など出産・育児支援策が拡充され、上昇に転じた。(パリ=野見山祐史)(01:53) 」


この記事内容だと、

「事実婚の増加が出産増を支えている。また、移民の出生率が平均より高いため、過去の移民受け入れが出生率上昇につながっている。」

の部分に疑問符が付きます。だいぶ前から事実婚は多いのに、「事実婚の増加」は妙です。また、「移民受け入れが出生率上昇」という理解だと、少子化対策をした成果ではないといっているのと同然です。



(2) NIKKEI NET:国際欧州ニュース(1月17日(01:53) )

 「仏の出生率、2.005に上昇・欧州一の多産国に

 仏国立統計経済研究所(INSEE)が16日発表した2006年の人口動態統計によると、同年の出生率が2.005に上昇した。「欧州一の多産国になった」(人口問題研究部)としている。子育て支援策の整備を受けて働く女性の高齢での出産や3人目以上の出産が増え、婚外子も増加している。

 同年の出生数は前年比2万3100人増の83万900人で、過去25年で最多だった。この結果、15―50歳の女性が一生の間に生む子供の数を示す合計特殊出生率(速報値)は前年比0.062ポイント上昇し、統計がさかのぼれる1980年以降の最高を更新した。

(パリ=野見山祐史)」


これだと、「子育て支援策の整備を受けて働く女性の高齢での出産や3人目以上の出産が増え、婚外子も増加」となっているので、移民が出生率増加の原因という妙な記述がありません。



(3) NIKKEI NET:国際欧州ニュース(1月18日(01:18) )

 「仏「子だくさん国」に 育児支援・短時間労働など出産促す

 フランスが「子だくさんの国」に様変わりしつつある。1人の女性が一生の間に産む子供の数である合計特殊出生率は2006年に2.005に上昇。イタリア、ドイツなど隣国の出生率伸び悩みとは対照的に「欧州一の多産国」(仏国立統計経済研究所=INSEE)の地位を固めている。政府や自治体による育児支援策のほか、労働時間の短さや社会的意識の高さなど複数の要因が出生率を押し上げている。

 「保育所の抽選に当たり、出産3カ月後には職場復帰した」と1年前の出産を振り返るのはパリの語学学校に勤めるアンヌさん(39)。出産費用のほか出産休暇中の所得補償もあり「持ち出しはわずかだった」。抽選に外れても、政府公認の子守役「育児ママ」への支払いなど育児支出は所得控除の対象になる。第二子以降は子供が20歳になる直前まで給付される「家族手当」など公的支援がぐっと厚くなる。アンヌさんは「3人は産む」と話す。

(パリ=野見山祐史)」


この記事で真っ当になりました。日経新聞1月18日付朝刊の記述の一部と同じです。それにしても、「NIKKEI NET」の記述は、バラバラに掲載されているので、非常に読みづらいです。ちゃんと理解したいのなら、紙面を読めと言うことでしょうか。



(4) 日経新聞平成19年1月19日付朝刊7面

 「フランス 子だくさんの国に  少子化対策 成功の土壌は

▼短い労働時間、育児の助け
▼出産後復帰、社会の前提に

 フランスが「子だくさんの国」に様変わりしつつある。1人の女性が一生の間に産む子供の数である合計特殊出生率は2006年に2.005に上昇。イタリア、ドイツなど隣国の出生率伸び悩みとは対照的に「欧州一の多産国」(仏国立統計経済研究所=INSEE)の地位を固めている。政府や自治体による育児支援策のほか、労働時間の短さや社会的意識の高さなど複数の要因が出生率を押し上げている。

 「保育所の抽選に当たり、出産3カ月後には職場復帰した」と1年前の出産を振り返るのはパリの語学学校に勤めるアンヌさん(39)。出産費用のほか出産休暇中の所得補償もあり「持ち出しはわずかだった」。抽選に外れても、政府公認の子守役「育児ママ」への支払いなど育児支出は所得控除の対象になる。第二子以降は子供が20歳になる直前まで給付される「家族手当」など公的支援がぐっと厚くなる。アンヌさんは「3人は産む」と話す。

 06年の出生数は83万人。出産が一時的に急増した00年(80万8000人)も抜いた。出生数は00年以降80万人前後で安定している。「フランスは正真正銘の『例外』になった」。17日付の仏紙ルモンドは出生率上昇を誇らしげに書いた。先進国で仏に比肩するのは、出生率が高い移民の流入が多い米国(2.05)やアイルランド(1.99)ぐらいだ。

 仏の出生率は1990年代前半まで長く低下基調が続いた。出生率低下に歯止めをかけるため税制優遇、休業・復職にかかわる各種手当の拡充など幅広い措置を講じた。子供数が増えるほど税負担が軽くなる「N分N乗方式」は、日本などでの子育て支援税制の議論では必ず出てくる方策だ。

 ただ出産や育児、就労の環境が日本とは異なるため「出生率の高低を育児支援策だけで論じるのはバランスを欠く」(大和総研パリのエリック・ロマン・シニアエコノミスト)との指摘も多い。例えば仏の法定労働時間は週35時間。長時間労働が育児を妨げるといったケースはまれだ。

 「出産・育児で退職」との発想も仏では少ない。従業員に出産休暇前のポストを用意することが企業に義務付けられ、「出産→職場復帰」は当然との受け止め方が一般的。INSEEの06年の調べでは子供が2人いる女性の83%、3人いる女性の68%が働く。出生率引き上げには個別の育児支援策の拡充はもとより、社会全体の変化も欠かせない。
(パリ=野見山祐史)」


この(4)が記事として確定した内容です。内容としては特に問題はないですが、気になるのが見出しです。少子化対策の成功の理由と言う意味で、「▼短い労働時間、育児の助け ▼出産後復帰、社会の前提に」というのが見出しに出ています。

しかし、記事内容からすると、「幅広い子育て支援策の存在」と、「出産後に同じ地位で復職できるという就労保障の存在」が成功の理由として見出しに出すべきでしょう。「短い労働時間、育児の助け」という見出しは唐突な感じです。暗黙のうちに「ホワイトカラー・エグゼンプション」肯定をすり込もうという経済界の意向に沿った見出しのように感じられます。

なお、フランスの出産育児事情については、「ベビーブームが来ているパリのお話(1)」(掲載日:2005年12月21日)もご覧下さい。

テーマ:国際ニュース - ジャンル:ニュース

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