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2006/12/24 [Sun] 16:25:12 » E d i t
「クリスマス・キャロル」と言うと、「キリスト教文化圏において、クリスマス・イヴの夜に人々が歌う「キャロル(歌)」で、「クリスマス聖歌」ともいうような意味」がありますが(「クリスマス・キャロル」-Wikipedia)、ここでは、チャールズ・ディケンズ(Charles Dickens)の作品を取り上げたいと思います。この作品は、繰り返し映画化されて、欧米の年の瀬を彩る風物詩となっている作品でもあります。


「クリスマス・キャロル」とは、どういう作品かというと、

 「並外れた守銭奴で知られるスクルージは、クリスマス・イヴにかつての盟友で亡きマーリーの亡霊と対面する。マーリーの予言通りに3人の精霊に導かれて、自らの辛い過去と対面し、クリスマスを祝う、貧しく心清らかな人々の姿を見せられる。そして最後に自分の未来を知ることに。」( 「光文社 古典新訳文庫」の「クリスマス・キャロル」より)


その内容については、光文社古典新訳文庫や新潮文庫でも読めますし、「青空文庫」の「クリスマス・カロル」でも読むことができます。その中でも、光文社古典新訳文庫での訳者・池央耿氏による訳筆が、もっとも現代に即して明快である感じがします。
12月25日追記:ただし、「さんむし」さんは、「新訳?クリスマス・キャロル」(2006年12月23日)で、「古典新訳文庫の『クリスマス・キャロル』の訳がひどい。今までに何種類も翻訳が出てる本の新訳なのに、日本語が古めかしくて硬い。」と厳しく批判しています。確かに、「『クリスマス・キャロル』の新訳を斬る」(2006年12月25日)で触れているように、原文の意味を取り違えている部分はまずいと思います)



1.この作品中で、スクルージが言い交わした娘と別れる場面では、こんな会話を交わしています。

 「今のあなたは拝金主義」
スクルージ 「商売は誰にも恥じることもない、正々堂々の行為だ! 世の中に、貧乏ほど始末の悪いものはない。それなのに、金儲けというと、世間では蛇蝎(だかつ)のように忌み嫌う!」


この会話を読むと、「お金儲けは悪いことですか?」と言っていた御仁(村上世彰氏)を思い出します。

このようにスクルージは自他認める拝金主義者ですが、悪人ではありませんでした。

 「ここに、見過ごしてはならないことがある。人が何と言おうと誹(そし)ろうと、スクルージは断じて悪人ではない。もとより悪心のかけらもなく、不正は働かず、廉潔一途がスクルージの身上である。子供の頃の貧苦と孤独が世の現実に対する恐怖を焼き付けて、石橋をたたいて渡る慎重居士になったのは同情に値するが、それは一種の防衛機制であって、吝嗇のなせる業ではない。甥のフレッドが言うとおり、私利私欲は頭にない証拠に、金にあかして贅沢をするでもない。金を稼ぐのは、ひたすら、まっとうに、真面目に働くことを天職と心得ているからである。自身、四角四面なスクルージは他人に対しても厳格だったに違いない。悪辣な儲け話を持ちかけられれば、それこそ『おととい来い』だろう。」(「光文社 古典新訳文庫」の「クリスマス・キャロル」の「訳者あとがき」190頁))


村上世彰氏の罪責がどうなるかは分かりませんが、「不正は働かず、廉潔一途がスクルージの身上」でしたから、スクルージは逮捕されるような行動にさえ、出ていないだろうと想像できるのです。

かといって村上氏が悪人かというと、果たしてどうでしょうか?

オリックスは、村上ファンドの中核2社に社外取締役を派遣し、30億円の資金提供をし、初期の村上ファンドの投資事業組合への出資募集は、オリックスの投資部門が代行するなど、村上ファンドは「オリックスの別働隊」でした。オリックスの宮内義彦氏は、政府の審議会のトップとして規制を撤廃し既得権者を打ちのめした後、それにより新しい利権を獲得するという「改革利権」を手にしていたのです(有森隆+グループK著「『小泉規制改革』を利権にした男 宮内義彦」(2006年12月、講談社)参照)。悪人と非難するに相応しい人物は、村上氏よりも宮内義彦氏であるのです。



2.「光文社 古典新訳文庫」の「クリスマス・キャロル」の解説(池 央耿氏)には次のようなことが書かれています。

 「世の中が大きく変われば、一方に必ず守旧派がいて、古き佳き時代を懐かしむのはいずこも同じ人間社会の常である。クリスマスの祝祭についても、イギリスでは19世紀のはじめ頃から、昔の牧歌的な習慣がすたれていくのを嘆く声が次第に高まっていた。加えてイギリスはハングリー・フォーティズ――飢餓の40年代を迎えることになる。大飢饉が続発して、多数の市民が困窮した10年間である。今で言う格差が広がって、都市人口の3分の1が赤貧に喘いだ、と物の本に伝えられているから、人心が荒(すさ)んだであろうことも想像に難くない。以前のように、人々が上下の隔てなくクリスマスの喜びを分かち合うのはむずかしい情況だった。

 そうした世相を映して、新聞雑誌の論説や、教会の説教で弱者に対する思いやりを訴えることが一種の流行になり、特にクリスマスの時期には論者が競って慈善を説いた。ディケンズが『クリスマス・キャロル』を書いたのがまさにこの時代である。自身、少年時代に貧苦の悲しさをいやというほど味わい、作家として不動の名声を築いてからは慈善運動にも熱心だったディケンズの「クリスマス精神」が、普段は新聞雑誌を読まない層や、牧師の説教に縁のない市民たちから熱狂的な支持を得て、同書は発売1週間で5000部という、当時としては異例の売れ行きを記録した。書籍が決して廉価ではなかった時代にこれだけ売れたのは、活字文化が一般に浸透して読書人口が増えたことを語る事実でもあろう。

 ディケンズはこれ以前にも、『ボズのスケッチ集』や『ピクウィック・クラブ』、雑誌「ハンフリー親方の時計」などでクリスマスを書いている。いずれも読者の懐古趣味に訴えるかのようでありながら、その実、祝祭の華やぎと、人がそれぞれに抱いている負の記憶を同じ視野の中に統一する狙いで貫かれていると言っていい。喪失の体験や、貧窮の辛苦、孤独の悲哀、遺恨、痛憤……、と現実は甘くない。世に生きるということはそういうことであって、実人生の暗部から目をそむけ、いやなことは忘れて、束の間のクリスマスを祝ったところで、喜びも善意も取ってつけたようなものだろう。闇があっての光である。負の記憶を包含してはじめて祝祭は喜びを増し、人の善意は生きる。これが、幼時の悲惨な境遇から出発してジャーナリストの目で社会を見つづけたディケンズの、宗旨にこだわらないクリスマス哲学だった。」



今の日本は、「大飢饉が続発して」ということはないですが、都市と地方の格差は修復不可能なまでに拡大し、今年の経済成長は名目2%に届かず、企業の好景気は労働人口の3分の1を非正規雇用者が占めることで支えられているにすぎません。非正規雇用者や自営業者の国民年金は破綻の危機にさらされたままで、国民健康保険制度も同様の状況です。このように、経済の落日と人心の荒廃が見え隠れするという事態になっていますから(高村薫「社会時評」東京新聞12月18日付夕刊7面)、ディケンズが『クリスマス・キャロル』を書いた時代と、今の日本の時代と似通ったところがあるのです。


「クリスマス・キャロル」にはスクルージの過去を含めて貧しい人々の様子が克明に描かれています。

 「実人生の暗部から目をそむけ、いやなことは忘れて、束の間のクリスマスを祝ったところで、喜びも善意も取ってつけたようなものだろう。闇があっての光である。負の記憶を包含してはじめて祝祭は喜びを増し、人の善意は生きる。これが、幼時の悲惨な境遇から出発してジャーナリストの目で社会を見つづけたディケンズの、宗旨にこだわらないクリスマス哲学だった。」


実人生の暗部に目を背けることなく、「忍耐、寛容、献身、和合……、すべてを超えて行き着くところに善意を謳うクリスマス精神」(「クリスマス・キャロル」(光文社古典新訳文庫「解説」175頁)。ディケンズ終生のテーマと言われているこの「クリスマス精神」「クリスマス哲学」について、考えて欲しいと思います。


なお、昨年もクリスマスにちなんだテーマでエントリーを書いています。「サンタクロースの法律問題」です。こちらもご覧下さい。

テーマ:書籍紹介 - ジャンル:本・雑誌

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