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2006/12/19 [Tue] 07:35:04 » E d i t
生殖補助医療のあり方について検討している民主党の作業チームは18日までに、妻が病気で子宮を失った夫婦など、条件を限定して代理出産を容認する内容の中間報告をまとめたそうです。この報道についてコメントしたいと思います。

1.エキサイトニュース([ 12月18日 17時59分 ] 共同通信)

 「代理出産、限定的に容認 民主党作業班が中間報告 [ 12月18日 17時59分 ]
共同通信

 体外受精など生殖補助医療の在り方を検討している民主党の作業チームは18日までに、妻が病気で子宮を失った夫婦など、条件を限定して代理出産を容認する内容の中間報告をまとめた。

 国内には既に代理出産で生まれた子どももいることから「全面的な禁止は現実的な問題解決にならない」(中心メンバーの林久美子参院議員)と判断した。チームは来年末ごろまで検討を続け、生殖補助医療を規制する法案の国会提出を目指している。

 中間報告によると、代理出産を認めるのは医学的理由で不妊になった例のみとし、高齢が原因の場合は認めない。実施する医療機関を限定し、第三者機関が実施の可否を審査する。また親族による代理出産は認めず、第三者が無償で行うなど、厳しい制限を設ける。」


共同通信がこのニュースを報道する前に、毎日新聞が12月17日付(日曜日)で、しかも1面で報道していました。その記事も取り挙げておきます。



2.毎日新聞平成18年12月17日付朝刊1面

 「代理出産:民主、限定容認 親族、報酬は禁止--作業チーム、中間報告

 代理出産など生殖補助医療のあり方について検討している民主党の作業チームは、代理出産を一定条件下で容認する中間報告をまとめた。ただし、容認するのは妻が医学的理由で子を産めない場合に限り、法律で「代理母」に親族がなることや報酬の支払いを禁じるなど極めて高いハードルを設けた。日本では代理出産に法規制がなく、政府も先月、日本学術会議に代理出産の是非を審議するよう要請している。

 代理出産は厚生労働省の審議会が03年に禁止の報告書をまとめ、日本産科婦人科学会は自主規制している。一方、海外で第三者に依頼したり、国内で妻の母親や姉妹が出産するなどの実施例が相次いでいるのが実態だ。

 中間報告は「全面的に禁止することで問題を解決できるとは考えにくい」と指摘。代理出産を認める条件を、病気で子宮を失ったなど医学的・肉体的な理由に限定し、高齢などを理由にした代理出産は否定した。代理母については第三者が無償で引き受ける場合だけ認めるとした。

 さらに、専門的な倫理審査機関を新設し、具体的なガイドラインに基づき個別に審査する「許可制」とすることを提案。代理出産を実施できる医療機関も審査機関が指定し、子が生まれた後で依頼者の夫婦が引き取りを拒否しないよう義務付けることも盛り込んだ。

 中間報告では、生まれた子と代理母との法的関係は今後の課題とした。同党はさらに検討を進め、来年中に結論を出す考えだ。【須藤孝】

毎日新聞 2006年12月17日 東京朝刊」



3.この2つの記事から読み取れる「中間報告」の意味は、次の点でしょう。

(1) 民主党が一定条件で代理出産を肯定する立場を明確し、生殖補助医療に関する問題についても政府案への対案を出す予定であること。

(2) 親族による代理出産は認めず、第三者が無償で行うなど、厳しい制限であるので、今の日本では代理母を募る組織がなく、無償では第三者は多大な出費が生じてしまうことから、代理出産を事実上禁止することに等しいこと。

(3) 親族以外の第三者のみが代理母となるということは、代理母を募る組織として業者が参入することが不可避であり、将来、業者主導で代理出産を行うことになること。(業者が関与する以上、何らかの形で金銭のやり取りが生じるはず)

(4) 基本的に、厳しい条件を必要とするとしている、荒木勤・日本産科婦人科学会元会長の意見をそのまま取り入れたものであり独自性がないこと




4.しかし、この中間報告には色々な問題があります。

(1) 事実上代理出産を禁止するに等しい法案ですから、現在においてほとんど実施していない状況において、わざわざ禁止するような法案を出すなんてなんのための法案なのでしょうか?

事実上の全面禁止の「中間報告」なのに、「全面的な禁止は現実的な問題解決にならない」なんて、論理矛盾です。代理出産を認めたといっても事実上の全面禁止なのですから、現実的な問題解決にならないことと殆ど変わりません。民主党の議員は論理というものが分からないようです。


(2) 専門的な倫理審査機関を新設し、具体的なガイドラインに基づき個別に審査する「許可制」とすることを提案するようです。これを含めて、民主党の中間報告を読むと、事実上代理出産を禁止することを求めている、荒木勤・日本産科婦人科学会元会長の意見のままのようです(「どうみる代理出産:三者の見解~朝日新聞平成18年10月21日付朝刊「私の視点-ウイークエンド」より」参照)。

しかし、荒木勤・日本産科婦人科学会元会長の意見のままを取り入れるなんて、民主党議員は独自に考えるという見識がないのでしょうか? それに、高度なプライバシー情報であり、本来的に自己決定に委ねられている個人の生殖問題について、実際に代理母を診察する産婦人科医でない組織が、個別に審査し、事前の許可を行うという関与を認めるのですから、プライバシーや自己決定権への配慮ができるのか、疑問に感じます。


(3) 生殖補助医療に関しては、

<1>原則自由とし、国が最低限の関与をし、裁判所が後見的に関与するという考え

<2>(原則)禁止し、国が厳しく規制を加え、行政機関により個別に審査するなどコントロールを行い、裁判所が禁止の実効性を担保するという考え

の2つに分かれると思います。

民主党の中間報告は、<2>の考えを採用するようです。しかし、政府に生殖に関するプライバシー情報に深く関与させ、情報を集める切っ掛けを与えるような<2>の考えは、どうも個人の尊厳を保障するという憲法の基本的態度とそぐわないように思うのです。この点だけで即断することはできませんが、どうも民主党議員の人権意識に問題を感じてしまうのです。


(4) 中間報告では、生まれた子と代理母との法的関係は今後の課題としていますが、この問題こそ議員が解決すべき問題です。

中間報告は、代理出産を実施する際の規制ばかりですが、代理出産を実施する際の規制は医学的な問題ですから、基本的に医師の意見が尊重されるべきであって、議員がまず考えるべき問題ではないでしょう。法的問題を後回しにすべきではないのです。



5.このように取り上げてみたものの、政府は11月30日、代理出産など生殖補助医療の在り方について、日本学術会議に審議を要請しているのですから、政府案を提出するはずです。そうなると、民主党案を出したところで、意味があるのでしょうか? 対案を出すという姿勢は立派という評価を受けるのかもしれませんが。

それに、自民党の野田聖子議員は、民主党の小宮山洋子議員や、自民党の山際大志郎議員らと超党派で勉強会を作っていて、来年の通常国会に、議員立法での法案提出を目指しているそうです「野田聖子議員に聞く:産める社会を「子育て保険」で支援」(2006年12月1日)参照)。その内容は、生殖補助医療は原則自由、患者主体で行えるとする特例法ですから、事実上禁止する民主党案とは対立する法案です。

民主党の小宮山洋子議員が原則自由の案に賛同しているのですから、民主党の中間報告を法案にしたところで、民主党議員すべてが、民主党案に賛成していないことになります。こんな状態では、民主党が法案を出しても、無視されるだけのように感じます。 

元々、最近特に、法案の成否に影響力を与える力が乏しい民主党ですから、その法案の中身、しかもまだ中間報告の段階ですから、ニュースとして取り上げる意味がないと思います。

毎日新聞や共同通信が報道しているので、一応、エントリーとして取り上げましたが、毎日新聞のように1面で取り上げるほどの価値はないでしょう。


厚生労働省が3年前、審議会(厚生科学審議会生殖補助医療部会)の答申に基づいて、生殖補助医療に関する法案をつくろうと企てたときに、阻止したのは自民党の野田聖子議員です。野田聖子議員は自民党に復帰したので、野田聖子議員の方が政府案に関して影響力を与えることが可能です。

なので、民主党の中間報告よりも、野田聖子議員の意見の方がよほど情報として重要です。ということで、野田聖子議員へのインタビュー記事である、 「野田聖子議員に聞く:代理出産は認めるべき」(2006年12月1日)「野田聖子議員に聞く:産める社会を「子育て保険」で支援」(2006年12月1日)をご覧下さい。
なお、このインタビュー記事については、別エントリーで取り上げる予定です。

テーマ:社会ニュース - ジャンル:ニュース

コメント
この記事へのコメント
春霞さま こんにちは
>意味があるのでしょうか?
私もそう思っていました。でも何か言いたいとも思っていました。
春霞さまが言いたい事以上を言って下さり、お陰さまでスッキリしました。

最近の民主党にはうんざりです。ポリシーが全く感じられません。
先の代理出産が争点となった品川区長選挙でも、自民、民主、公明、社民推薦ですからね、節操が無い。
野党として是々非々であっても共産党や諸派と連携するか、独自の候補を立てる位のポリシーを持つべきでしたね。
こんなテイタラクでは、政権政党はとても無理。
国民にとって重要な選択の権利を与えられない責任を感じるべきですね。
与野党連合を組んだ社会党がその後凋落した時の、掛ける言葉も無いくらいの無様さを思い起こさざるを得ません。

最近、生殖医療関係で意味の無い行動が散見されます。例えば日産婦の凍結保存精子の扱いをめぐる会告制定。
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/061210/knk061210000.htm
今更の感を拭えません。真面目に現状を考えていない(いなかった)のを露呈しているようです。

現実から乖離した法制定の結果は、臓器移植の場合を見ても明白でしょう。10年ではじめて2桁/年ですから。
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/medical/news/20061218ddm041100119000c.html
http://www.asahi.com/health/news/TKY200612170186.html
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20061217i114.htm
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/061217/knk061217000.htm

せめて、学術会議で現実を見据えた深く妥当な議論が成される事を切に願います。
2006/12/19 Tue 20:02:22
URL | Canon #-[ 編集 ]
>Canonさん
コメントありがとうございます。


>言いたい事以上を言って下さり、お陰さまでスッキリしました。

ありがとうございます。

もう1つ追加しておきます。

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006121801000409.html
「生まれた子どもの引き取りについては、代理出産の依頼者には義務付けることとしたが、出産した女性には「子どもを渡さない権利を認めることも検討する」とした。」

元々、依頼者は代理母から子どもを受け取る意図で依頼するのですから、代理母に「子どもを渡さない権利」を認めたら、依頼者と代理母との間で子の引渡しを巡って、常に訴訟になってしまいます。だいたい、子どもを受け取れないなら、依頼する人なんていなくなります。民主党の作業チームの議員は、阿呆としか言いようがないです。


>こんなテイタラクでは、政権政党はとても無理

すぐにこう言われてしまうんですよね。だから、自民党が何をしようが、自民党は安心していられるし、自民党から出た議員も自民党に復帰したがるわけです。


>現実から乖離した法制定の結果は、臓器移植の場合を見ても明白でしょう。
>10年ではじめて2桁/年ですから。

深刻です。移植を待っている患者の心情を思うと切ない思いになります。臓器移植法の改正が必要と言われつつも、いまだになされないままです……。
2006/12/20 Wed 23:24:52
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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