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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2006/12/16 [Sat] 23:47:31 » E d i t
安倍内閣が今臨時国会の最重要法案と位置付けていた改正教育基本法は12月15日夕の参院本会議で、自民、公明の与党の賛成多数で可決、成立しました。1947年年に制定された教育基本法の改正は今回が初めてで、制定以来59年ぶりに全面的に改める内容になっています。
この改正教育基本法について、日経新聞平成18年12月16日付朝刊の解説を引用してコメントしたいと思います。

1.日経新聞の解説に触れる前に、改正内容について簡単に触れておきます。改正点として特に特徴的な点は次の部分です。

 「前文には、現行法が個人の権利尊重に偏っているとの指摘を受け、「個人の尊厳」と並び、新たに「公共の精神の尊重」や「伝統の継承」を明記し、公共性の重視が色濃く打ち出された。

 「教育の目標」(二条)には「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う」との表現で、「愛国心」の理念が盛り込まれた。

 「教育行政」(一六条)は、前段部分で「教育は、不当な支配に服することなく」と現行法を踏襲しながらも、後段部分は「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきである」と改正された。

 この改正について、伊吹文部科学相や文科省側は国会答弁で、学習指導要領は法律の一部であり、同要領によって行われる教育や、教育委員会の命令、指導は「不当な支配」には該当しないとしているが、文科省や教育委員会の統制が強まるとの懸念が出ている。」(東京新聞平成18年12月16日付朝刊1面)



2.日本経済新聞平成18年12月16日付朝刊3面

 「不安払拭へ明確な施策を

 教育基本法の改正問題はここ数年の政府・与党の教育政策論議で常に最大の懸念事項だった。

 2000年12月に教育改革国民会議が基本法見直しを提言してから既に6年、03年3月の中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」から数えても3年半以上が経過した。国会での審議時間も衆参両院で180時間を超えた。
 
 これだけの時間を費やしても、一般国民や学校現場で基本法改正への関心が盛り上がったとはいえない。中堅都市の教育委員会に勤務する指導主事は「学校現場は非常に冷めている。ほとんど無反応だ」と話す。

 いじめ、学力低下、教員の不祥事など、日本の教育は未曾有の危機に直面し、社会も保護者も学校もどうしたらいいか、途方に暮れている。

 こうしたときこそ、教育改革に明確なメッセージを発信するのが政治の責任のはずだ。だが最重要法案だと位置づけた安倍政権の意気込みとは裏腹に、「基本法を改正することで、本当に教育は良くなるのか」という素朴な問いに答えは最後まではっきりと見えなかった。「法律が変わったからといって学校が変わるわけではないと、みんな思っている」(東京都内の高校教諭)。これが大方の共通する思いではないか。

 中教審の議論や国会論戦の中で、基本法改正に対する様々な懸念や不安が指摘された。法改正が実現した今、政府・与党はこうした懸念や不安を払拭(ふっしょく)する努力を積み重ね、教育の閉塞(へいそく)状況を打開する明確な施策を早急に示す責任がある。

 そうでないと基本法を改正しても結局は現場をいたずらに混乱させるだけか、従来の基本法と同様に「誰もが立派だと言うが、誰も読んでいない法律」(中教審委員)に終わりかねない。  (編集委員 横山晋一郎)」



3.正直なところ、なぜ教育基本法を改正する必要があったのかと思います。

(1) 

 「最重要法案だと位置づけた安倍政権の意気込みとは裏腹に、「基本法を改正することで、本当に教育は良くなるのか」という素朴な問いに答えは最後まではっきりと見えなかった。「法律が変わったからといって学校が変わるわけではないと、みんな思っている」(東京都内の高校教諭)。これが大方の共通する思いではないか。」


要するに、安倍内閣は最重要視していると叫んでも、教員はもちろん、教育問題について具体的に調べ関心を寄せている者に限らず、大方の国民は、教育基本法を改正しても教育が良くなると思っていないし、学校は変わらず、今解決すべき問題点(いじめ、学力低下、教員の不祥事など)は解決しないと思っているのです。

与党だけがずっと無駄に騒いでいるだけで、一般国民は基本法改正への関心が盛り上がったとはいえないし、何より「学校現場は非常に冷めている」のです。教育問題に最も切実感のある、小中高の子供を持つ親や教員は、冷ややかな思いでいるのです。


(2) 近代的意味の憲法(立憲的意味の憲法)である、日本国憲法においては、個人の人権を守るために国家権力の行使に歯止めをかけるのが憲法の大切な任務であり、個人の尊重・個人主義を憲法13条は宣言し、全体主義(個人よりも全体=国家の方が大切であるとするもの)を否定しています(内野正幸著「憲法解釈の論点」25頁)。

そうなると、改正教育基本法では、公共の精神を強調するような規定が盛り込まれ、個人の尊重を制限する意欲を示していますが、現行憲法下において、公共の精神を強調してもそれを強要・強制すると、個人の尊重原理に抵触していまい、憲法違反になってしまうのです。
要するに、改正教育基本法で強調した「公共の精神」を具体的に実行することはかなりの困難が伴うのですから、政府与党の行動は滑稽であったように思えるのです。憲法知識が欠落している政府与党らしい行動といえるでしょう。

もちろん、現実問題として「公共の精神」を押し付けようと色々と強要するでしょうが、強要に快く思わない者との間で反発を生じ、ますます混乱が生じることになるだけでしょう。裁判沙汰もますます増えるでしょうから、違憲判決や合憲判決が入り乱れ、教育現場のより一層の荒廃が進むように思えてなりません。


(3) 横山晋一郎編集委員は、

「中教審の議論や国会論戦の中で、基本法改正に対する様々な懸念や不安が指摘された。法改正が実現した今、政府・与党はこうした懸念や不安を払拭(ふっしょく)する努力を積み重ね、教育の閉塞(へいそく)状況を打開する明確な施策を早急に示す責任がある。」

と述べています。
しかし、戦後殆ど与党として存在した自民党政権下において、「教育の閉塞状況」が生じたのであって、ずっと「教育の閉塞状況を打開する明確な施策」を示していなかったのですから、今後も「教育の閉塞状況を打開する明確な施策」を期待するのは無理というものでしょう。

 「基本法を改正しても結局は現場をいたずらに混乱させるだけか、従来の基本法と同様に「誰もが立派だと言うが、誰も読んでいない法律」(中教審委員)に終わる。


このどちらかでしょう。すでに答えが出ているようです。横山晋一郎編集委員は、慧眼の士です。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
こんばんは。TBありがとうございました。
早速拝読させて頂きました。

>しかし、戦後殆ど与党として存在した自民党政権下・・・期待するのは無理というものでしょう。

わわわ、、、そうですよね。どのブログも以外と書きません。短く簡単な言葉なのに分かり易く、的確で説得力がある。う~ん・・・失礼な言い方ですが「春霞さん」何者って感じです。勉強させて頂きました。改めてありがとうございます。今後とも宜しくお願い致します。
2006/12/17 Sun 00:20:43
URL | makuri #1wIl0x2Y[ 編集 ]
ミュシャは、公共
ミュシャは、公共も統制したかも。
だがきのうミュシャが、学力みたいな勤務ー!
及び小中に日本経済新聞が具体は教育された。
及び東京へ両院とか改革した。
及びきょうは日経新聞で強要しなかった?
2006/12/17 Sun 10:08:33
URL | BlogPetのミュシャ #-[ 編集 ]
>makuriさん
コメントありがとうございます。

>短く簡単な言葉なのに分かり易く、的確で説得力がある。

ありがとうございます。分かり易く的確に、そして読者に納得できるような文章であるように心掛けて書いています。


>今後とも宜しくお願い致します。

こちらこそ宜しくお願いします。
2006/12/17 Sun 19:22:46
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
>要するに、改正教育基本法で強調した「公共の精神」を具体的に実行することはかなりの困難が伴うのですから、政府与党の行動は滑稽であったように思えるのです。

同感です。いくら「法律に従って」と粋がってみたって、その法律自体が違憲になってしまえば意味はないですからね。
ただ、安倍政権は最終的には憲法改正を目指してますし、今回の教育基本法改正も憲法改正の一部先取りという見方がもっぱらです。
そういう点からすると、安倍政権は教育基本法が現行憲法と整合しないことは承知の上で、「最後に辻褄が合えばいい」とおもってるのかもしれません。まあ、そうだとすれば、それ自体とんでもない憲法違反(99条)ですけど。
2006/12/17 Sun 20:13:13
URL | 98 #JalddpaA[ 編集 ]
ご挨拶が遅れましたが、貴ブログの更新をいつも楽しみにしている一読者の98と申します。どうぞお見知り置きください。
2006/12/17 Sun 22:28:09
URL | 98 #JalddpaA[ 編集 ]
>98さん:2006/12/17(日) 20:13:13と同日22:28:09を併せて
はじめまして、コメントありがとうございます。

>いくら「法律に従って」と粋がってみたって、その法律自体が違憲に
>なってしまえば意味はないですからね。
>ただ、今回の教育基本法改正も憲法改正の一部先取りという見方がもっぱらです。

仰るとおりです。
きっと、安倍首相は「一部先取り」の意図なんでしょう。なので、憲法改正がない現段階では、教育基本法を幾ら変にいじくっても、違憲となる可能性があるという感じです。


>そういう点からすると、安倍政権は教育基本法が現行憲法と整合しない
>ことは承知の上で、「最後に辻褄が合えばいい」とおもってるのかも

「最後に辻褄が合えばいい」……。いや~恐ろしいですね。公共の精神を重視した憲法なんて、憲法といっていいのか疑問です。
だいたい、自民党憲法草案は、慶応大学の小林節教授いわく、「明治憲法に戻ろう論」に基づく憲法ですから(SIGHT30号「特集 君は読んだか!自民・憲法改正案の本音」48頁)。今更、明治憲法を恋しがるなんて、無茶苦茶だと思うんですけどね(苦笑)。


>貴ブログの更新をいつも楽しみにしている一読者の98と申します。

ありがとうございます。今後とも宜しくお願いします。
2006/12/18 Mon 23:38:32
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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2006/12/17(日) 00:35:34 | らんきーブログ
改正教育基本法が参院可決・成立 安倍政権がこの臨時国会の最重要課題と位置づけた改正教育基本法は15日夕、参院本会議で採決され、自民、公明両党の賛成多数で可決、成立した。民主、共産、社民、国民新の野党4党は反対した。「教育の憲法」と言われる教育基本法が改正
2006/12/17(日) 10:06:00 | S氏の時事問題
さて、参議院本会議の採決での「敗北」を抱きしめて、私たちは何をすべきでしょうか。まず私が思うのは、この間のリアルでのあるいはサイバー上での教育基本法改定反対運動を通じてつちかった連帯感と教育基本法への理解と関心は何があっても失うべきでないということ。 ..
2006/12/19(火) 03:23:35 | 秘書課村野瀬玲奈です
こんばんは。ひろです。
2006/12/19(火) 17:54:04 | ミ★ ひろのうろうろ日記 ミ★
私も気になっていた「法律としての整合性」。(私が巡回した範囲内では)碧猫さんの「13日の水曜日」で適切にまとめてあります。今回の教育基本法「改定」採決は、日本国憲法に違反の性質が強い。また、法律よりも優先すべき条約である「子どもの権利条約」との整合性も ..
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<font size=3>昨日、平成18年12月15日、教育基本法の改正が実現しました。まさに、我々、改正賛成派の念願が成就したわけです。このことを多くの同志の皆さんとともに言祝ぎたいと思います。教基法の改正だけでは、しかし、日本の教育を取り巻く状況はほとんど何もか
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2006/12/27(水) 13:18:26 | 競艇場から見た風景
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