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2006/12/12 [Tue] 02:23:23 » E d i t
自民、公明両党は11日の国対委員長らによる会談で、教育基本法改正案を15日までの今国会会期内に成立させる方針を確認したとの報道がなされています(毎日新聞:2006年12月11日 21時33分 (最終更新時間 12月11日 22時31分)から、いよいよ教育基本法改正案が成立してしまいそうです。
しかし、本当に成立させてよいのでしょうか? 東京新聞12月10日付朝刊「本音のコラム」で、評論家の藤本由香里氏が教育基本法改正についてコメントしているので紹介したいと思います。


1.東京新聞平成18年12月10日付朝刊27面「本音のコラム」

 「男女平等の終わり?  藤本由香里(ふじもとゆかり) 

 憲法から「男女平等条項」を削ろうという動きがあるらしいよ、と聞いて、「いったいどこの野蛮な国の話? 仮にも国際国家でそんなこと!」と思ったのは数年前。

 6日、千葉県市川市の市議会で、2002年に全会一致で可決された「男女平等基本条例」が廃止され、新たに保守系4会派のみで作った「男女共同参画社会基本条例」が40人中22人の賛成で可決された。

 新しい条例は、旧条例の<1>ジェンダー<2>積極的格差是正措置<3>相談窓口・苦情処理体制―などの条文を削除し、新たに「男女の特性の尊重」「父性・母性の役割重視」などを定めたことが特徴だという。そして今まさにこれも数の力で押し切ろうとされている新しい教育基本法からは、現行の第5条「男女共学」=「男女は、お互いに敬重し、協力しあわなければならないものであって、教育上男女の共学は、認めなければならない」が削除された。

 これはすでに日本女性学会が緊急声明を出して指摘している通り、男女は違うのだから別の教育を受けて当たり前、と男女をことさらに区別した教育を展開させる誘引になりかねないと思う。新教育基本法の理想は「男女がお互いの特性を生かしあい、国を愛し、公のために個人を抑える国民」―しかしいったい、本当に皆そんな社会を望んでいるだろうか。

 このままだとホント、とんでもないことになりかねないよ。 (評論家)」



2.このコラムで引用している、日本女性学会の緊急声明とは、つぎのようなものです。

日本女性学会  教育基本法「改正」に関する緊急声明

11月16日、教育基本法改正案は、野党欠席という異常事態の下、自民・公明の連立与党による単独採決によって衆議院を通過し、現在、参議院での審議に入っている。教育に関わる憲法とも言われる重要な法律の改正が、十分な審議を尽くさないままに遂行されようとしていることに対して、日本女性学会はここに声明を発するものである。

 今般の教育基本法「改正」の与党案については、実に多くの個人および団体から疑問や反対意見・声明が提出されており、議論すべき点は多方面にわたっている。改正案には、日本女性学会が結成の柱とする「あらゆる形態の性差別をなくす」という観点からも、看過できない種々の問題点がふくまれている。

 まず、現行第5条「男女共学」(「男女は、互いに敬重し、協力しあわなければならないものであって、教育上男女の共学は、認められなければならない」)の削除は、教育分野における男女平等の根幹をゆるがすものである。この条項は、戦前の学校教育システムが男女別学・別学校体系により女性差別を制度化していたことへの反省に基づき、男女共学の基本を謳ったものである。現在もなお、高等教育進学率における男女間格差や、後期中等教育および高等教育での専攻分野における男女比率のアンバランスなど、就学経路上の男女平等を確立する課題は山積している。女性学研究は、そうした就学経路上の男女格差が社会的・文化的に生み出されるプロセスや、教育における男女間格差が雇用などの性差別の問題とつながっていることなどを明らかにしてきた。第5条の削除は、それらの課題解決の進展を阻むのみならず、男女特性論に基づいた公立の別学校を新たに誕生させるなど、男女をことさらに区別した教育を展開させる誘因になるのではないかと強く危惧する。

 その危惧は、現行法には存在しない「家庭教育」と「幼児期の教育」という二つの新設条項についてもあてはまる。「父母その他の保護者」の「子の教育」に関する「第一義的責任」をさだめた第10条「家庭教育」と、「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものである」と謳った第11条「幼児期の教育」は、教育や福祉の分野を、国家の責務から「家庭」の責務に転換していく方向性をもつものであり、さらには「母性」や固定的な性別役割分担の強調につながる危険性がある。

 一方、改正案は、第2条「教育の目標」第3号(「正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと」)の中に、現行法には含まれていない「男女の平等」という理念を掲げている。しかし、そもそもこの第2条そのものが、国民に求められる「徳目」をさだめる性格をもち、私たちの精神的自由を侵す危険性をはらんだものである。男女平等は国民にとっての権利であり、名宛人を国家とする教育基本法においては、「教育上男女の平等は保障されなければならない」といった国家の責務をさだめる条項として位置づけられるべきである。にもかかわらず、改正案における「男女の平等」は、国民にもとめられる「徳目」として掲げられており、その位置づけには大きな疑問が残る。

 同じく第2条第5号(「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」)は、愛国心を強制するものとして幅広い抗議を巻き起こしているが、この条項については性差別の撤廃という観点からも、重大な問題がある。この条項に含まれる「伝統と文化の尊重」という文言は、近年のジェンダー・フリー・バッシングのなかでさかんに使われているフレーズであり、「伝統や文化」といった多義的でしかあり得ない概念によって定義された「教育の目標」条項が、今後政治的に利用されていく可能性は極めて高い。

 その可能性は第2条全体に対して言えることであり、この条項と、現行法第10条「教育行政」を「改正」した第16条第1項(「教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない」)とが連動することにより、「教育の目標」に沿わないと解釈された教育実践や教育運動は、「不当な支配」に相当するものとして排斥されていくだろう。現行の教育基本法第10条が、戦前の反省を踏まえて目指した、国家権力の中枢に近いところに位置する「官僚とか一部の政党」(昭和22年3月14日衆議院・教育基本法案委員会・政府委員答弁より)による「不当な支配」の排除とは、まったく逆の方向への「改正」と言わざるを得ない。

 多くの課題を残したまま、広範な抗議の声を無視して、政府与党は、近々12月8日にも教育基本法改正案の成立を目指している。日本女性学会は、性差別の撤廃という設立の趣旨を貫く立場から、今般の教育基本法「改正」の動きに強く抗議するものである。


日本女性学会 第14期 幹事会
2006年12月 1日」



3.教育基本法改正案は、現行の教育基本法5条(男女共学)を削除して、「男女の平等」という徳目として法案2条3号に組み入れることになりました。削除したのは、中教審答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」(2003年3月20日)によると、「男女共学の趣旨が広く浸透」し、「性別による制度的な教育機会の差異もなくなっている」ことが理由です。

しかし、国際的には女性差別撤廃条約10条で男女共学は男女平等を促進し、「すべての段階及びあらゆる形態の教育における男女の役割についての定型化された概念の撤廃」のために最も有効な手段として位置付けられています。

にもかかわらず、5条を削除するのですから、「男女平等という理念を具体的に実現する教育制度上の原則を欠くもの」(日本教育法学会編「法律時報 教育基本法改正批判」96頁[女子栄養大学・橋本紀子]となってしまいます。

日本女性学会は、

 「現在もなお、高等教育進学率における男女間格差や、後期中等教育および高等教育での専攻分野における男女比率のアンバランスなど、就学経路上の男女平等を確立する課題は山積している。女性学研究は、そうした就学経路上の男女格差が社会的・文化的に生み出されるプロセスや、教育における男女間格差が雇用などの性差別の問題とつながっていることなどを明らかにしてきた。第5条の削除は、それらの課題解決の進展を阻むのみならず、男女特性論に基づいた公立の別学校を新たに誕生させるなど、男女をことさらに区別した教育を展開させる誘因になるのではないかと強く危惧する。」

と指摘しています。要するに、雇用、賃金、年金、家事育児時間、政策決定への参加などは、特に男女格差が大きいものです。男女共学規定の削除は、両性の対等平等な社会を遠ざけるものではないかと危惧されるのです。

女性男女問わずどのように人生を設計するかは各人の自由ですし、男女問わず各人の個性・自律を尊重してこそ、憲法13条が自己決定権を保障した趣旨にかなうものです。そして、女性差別撤廃条約10条があるように、国際的にも両性の対等平等性を認める意識があるのです。

そうなると、男女共学規定を削除し、男女の性別役割を強調する方向へ進むことは憲法上も国際的にも不合理であり、そういう意識を持った日本人が増加すると対外的に不必要な衝突を招く可能性が増大してしまいます。今後の国際社会における日本のあり方として、男女共学規定の削除は妥当でないのです。

男女共学規定の削除はジェンダーフリー教育批判が背景にあるのでしょうが、ジェンダーフリー教育の具体例自体について議論し妥当性を検討すればよいのです。それを男女共学規定削除にまで結びつけることは、有害無益であると考えます。


だいたい、「男女をことさらに区別した教育を展開」させてどうしようというのでしょうか? 賛同する市民もいるとは思いますが、今の日本社会において、実際上、そんな価値観で教育を行ったとしても、かなりの市民から反発を受けるだけでしょう。愛国心の強制と同様に、価値観を押し付けても、余計に反発を受け、政府に対する不信感を抱く国民が増大する結果になってしまうはずです。

価値観の押し付けに対しては、国内的には反発を受ける国民を増加させるでしょう。価値観の押し付けがうまく行けば、国内的には従順な国民が増えて、さらなる文化的・経済的な発展に寄与する可能性が減ってしまいますし、他方で、国際的には、国際社会において男女の性別役割の強調を押し付けるような、問題を起こす国民が増えることになりかねません。どうも今の政府(自民党・公明党)が実行することは、日本国の衰退に寄与するもののように思えてなりません。

テーマ:教育基本法 - ジャンル:政治・経済

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コメント
この記事へのコメント
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2006/12/13 Wed 01:34:31
| #[ 編集 ]
>非公開コメントの方へ
コメントありがとうございます。

TB制限はしていませんが、ときどきうまくいかないことがあるようです。申し訳ありません。

それから、ご連絡ありがとうございます。今後も宜しくお願いします。
2006/12/14 Thu 23:41:40
URL | 春霞 #Gu2JBjds[ 編集 ]
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