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2010/09/11 [Sat] 23:58:16 » E d i t
北海道開発庁長官などに在任中、2社から計1100万円のわいろを受け取ったとして受託収賄やあっせん収賄など四つの罪に問われた新党大地代表の衆院外務委員長、鈴木宗男さん(62)=比例北海道ブロック=の上告に対し、最高裁第1小法廷は平成22年9月7日付けで、上告を棄却する決定をしました。懲役2年、追徴金1100万円とした一、二審判決が確定します。鈴木宗男さんは「請託や賄賂の授受はない」と無罪を主張していました。



1.報道記事を幾つか。

(1) 時事通信(2010/09/08-18:44)

鈴木議員の実刑確定へ=無罪主張の上告棄却-受託収賄など4事件・最高裁

 受託収賄、あっせん収賄など四つの罪に問われた衆院議員鈴木宗男被告(62)の上告審で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は7日付で、被告側上告を棄却する決定をした。懲役2年、追徴金1100万円の実刑とした一、二審判決が確定する。
 鈴木被告は確定後、公選法などの規定により失職し、収監される。刑期を終えても5年間は立候補できなくなる。
 鈴木被告は、政治資金規正法違反罪と議院証言法違反罪を含め、一貫して全面無罪を主張していた。
 2004年の一審東京地裁判決は、すべての事件を有罪と認定した上で、「高度の廉潔性を求められる要職にありながら国民の信頼を裏切った」と非難。「反省は皆無で、虚偽の陳述をしてはばからない被告に刑を猶予するのは相当ではない」として、実刑を言い渡した。
 二審東京高裁も08年、「行政に不当な影響を及ぼし、社会の信頼を害した」として、一審を支持していた。
 鈴木被告をめぐる一連の事件では、佐藤優外務省元主任分析官(50)ら12人が起訴され、鈴木被告を除く11人の有罪が確定している。
 一、二審判決によると、鈴木被告は北海道開発庁長官、官房副長官だった1997~98年、林野庁への口利きの見返りなどとして、2社から1100万円のわいろを受領するなどした。
 鈴木被告側は最高裁に異議を申し立てる方針で、収監されるのは早くても数週間後となる見通し。捜査段階や一審公判中の拘置期間の一部が除かれるため、服役するのは長くても1年5カ月程度となる。(2010/09/08-18:44)」



(2) 朝日新聞平成22年9月9日付朝刊1面

鈴木宗男議員、失職・収監へ 最高裁が上告棄却
2010年9月8日19時47分
  
 北海道開発局の工事や林野庁の行政処分をめぐる汚職事件で、最高裁第一小法廷(金築誠志裁判長)は、不正に口利きした見返りに業者から現金計1100万円を受け取ったとして、受託収賄やあっせん収賄など四つの罪に問われた「新党大地」代表の衆院議員・鈴木宗男被告(62)の上告を棄却する決定をした。7日付。懲役2年の実刑、追徴金1100万円とした一、二審判決が確定する。

 現職の国会議員が実刑確定により失職するのは、ゼネコン汚職事件であっせん収賄罪に問われた中村喜四郎元建設相以来で、戦後4人目。鈴木議員は現職の衆院外務委員長。

 鈴木議員は最高裁に異議を申し立てる方針。棄却された時点で刑が確定する。確定すれば公職選挙法と国会法の規定に基づいて失職し、収監される。すでに勾留(こうりゅう)された437日のうち、一審判決で220日を刑期から差し引くとされているため、遅くとも約1年5カ月後に出所する。ただし、事件当時の公選法の規定で、刑期を終えてから5年間は選挙に立候補できない。

 鈴木議員が失職すると、新党大地の比例名簿2位だった八代英太氏(73)が名簿から外れる届けを出しているため、3位で鈴木議員の秘書・浅野貴博氏(32)が繰り上げ当選する見通し。

 鈴木議員の上告審では、北海道開発局の港湾工事をめぐる600万円の受託収賄罪について、当時の北海道開発庁長官だった鈴木議員に「職務権限」があったかどうかが争点になった。

 第一小法廷は、長官には工事実施についての指揮監督権限はなかったものの、予算計画の作成にあたって職員を指導する立場にあったと指摘。「職員への指導の形を借りて、特定の業者に受注させるよう開発局幹部に働きかけたことは長官の職務に密接な関係がある」と述べ、受託収賄罪の成立を認めた。5人の裁判官全員一致の意見だった。

 2002年の東京地検特捜部による鈴木議員関連の捜査では、7事件で計12人が起訴された。鈴木議員の元秘書2人や、佐藤優・元外務省主任分析官ら11人の有罪がすでに確定している。(延与光貞)」



(3)「新党大地」代表の鈴木宗男衆院議員は、無実であることを主張してきましたが、その主張は認められず、受託収賄やあっせん収賄など四つの罪に関して有罪判決が確定してしまいました。

 「2004年の一審東京地裁判決は、すべての事件を有罪と認定した上で、「高度の廉潔性を求められる要職にありながら国民の信頼を裏切った」と非難。「反省は皆無で、虚偽の陳述をしてはばからない被告に刑を猶予するのは相当ではない」として、実刑を言い渡した。」(時事通信)


 「内閣の要職にありながら、行政の公平性や政治への信頼を失わせたことは疑うべくもない。「利益誘導」型の口利き政治こそが、この事件で問われたものだった。(岩田清隆、延与密貞)」(朝日新聞平成22年9月9日付朝刊34面)


裁判所は、無実を主張すると「反省は皆無」とされ、通常なら執行猶予程度の犯罪でも実刑にしてしまいます。マスコミも、ずっと無実を主張してきたことを断罪するかのように、「行政の公平性や政治への信頼を失わせた」と言ってしまい、最初から有罪視することに疑問を抱くことなく、かつ社会的に抹殺を図ることを当然視するのです。これでは、どうして無実を主張できるというのでしょうか。あまりにリスクが高すぎるのです。

マスコミは、今回の事件のように、様々な疑惑を報道してもそのほとんどが犯罪となっていないのに、結果的に有罪判決がでれば、その判決に賛同して――虎の威を借る狐のように――「『利益誘導』型の口利き政治こそが、この事件で問われた」などと、被告人があたかも多くの犯罪を犯したかのように断罪するのです。

他方で、郵便制度の悪用にからむ厚生労働省の文書偽造事件のように、最初は調子にのって容疑者を断罪する報道をしていたにも関わらず、途中で無実の公算が強くなると、検察側を断罪し始め、無罪判決が出るとそれに賛同して――虎の威を借る狐のように――検察を断罪するのです。

日本の裁判の有罪率は99.9%であり、元々無実を主張することさえはばかれるのに、報道機関はすべての容疑に関して有罪推定の意識で容疑がかかった者を断罪し、より無実を主張しづらい社会を形成し、自らの報道に対する反省もありません。市民が、恐れるべきは、犯罪ではなく、マスコミであるようにさえ、思えるのです。



2.鈴木宗男議員の記者会見での発言を紹介しておきます。

(1) 朝日新聞平成22年9月9日付朝刊1面色

鈴木宗男議員「検察権力と闘っていく」 上告棄却会見
2010年9月8日23時53分

 「わいろをもらったという認識はありません」「いかなる環境にあっても検察権力と闘っていく。青年将校化した検察官は冤罪を生んでいく」

 上告棄却決定を受けて、午後5時すぎから東京・永田町の衆院議員会館で会見を開いた鈴木議員は、捜査段階から続けてきた無罪主張を改めて展開。「密室での取り調べ、一方的な調書、その調書を金科玉条のごとく最優先する判決。真の公正公平はどこにあるか」と裁判所の判断も批判。わいろだとの認識を裁判以外の場で否定したという贈賄側関係者の陳述書も配り、「司法の判断は判断としても、これが真実だということを、自信をもって公言したい」と力説した。

 胸元には、自ら結成した新党大地のシンボルカラーでもある、緑のネクタイ。失職後の政治活動については「私の志はきちんと受け継ぐ者がいると考えている」と述べた。

 笑顔も見せながら話していた鈴木議員の表情が一転したのは、家族の反応を聞かれた時。「犯罪者の家族になる、犯罪者の子どもと言われるということについては申し訳ないという思いでいっぱいです」と話すと涙があふれ、娘が電話で励ましてくれたことについては「親として申し訳ないと思いながらも、ありがたい」と声を震わせた。

 会見は約15分で終了。最後に政界復帰の意思を聞かれると、「国民が決めること」と前置きしたうえで「政治とは切っても切り離せない人生ですから、私は死ぬまで、バッジがあろうとなかろうと、経験を少しでも生かせるような生活をしていきたい」と語った。(中井大助)」



(2) TBS-i ニュース(09月08日17:17)

鈴木宗男議員「検察権力と闘っていく」

 鈴木宗男議員の上告を最高裁が棄却したことを受け、鈴木議員が会見を開きました。

 「今日はお忙しい中、皆さん足を運んでくれました。私から今の心境を述べさせていただきます。私自身、『やまりん』という会社から賄賂をもらった、あるいは『島田建設』から賄賂をいただいたという認識はありませんし、『やまりん』側も『島田(建設)』側も『賄賂は届けていません』ということは明確に言っております」

 「『やまりん』の山田社長の高裁で採用してもらった陳述書です。さらに『島田事件』での島田社長は今、脳こうそくでしゃべれないわけですから、奥さんが、倒れる前に社長がどう言っていたか、公証人役場で弁護士さんが作ってくれた文書ですけど、この『やまりん事件』でも裁判の4日前から東京に呼び出されて、こういう質問をするからこう答えるというQ&Aが与えられていたことも明らかです。密室での取り調べで、検察の誘導・誤導によって作られた調書が判決で最優先されて、それが真実かどうかということをぜひとも私は最高裁では明らかにしてほしかったと思っております」

 「『島田事件』でも、『夫の話では検察官はあらかじめ文書を作っていて自分の認識と違うと言っても受け付けてくれず、どのように対応したらよいか困っていたと主人は言っておりました』と明確に言っています。私は少なくとも、司法の判断は判断としてでも、国民の声、特に当事者の皆さん方が明確に賄賂を否定している、これが私は真実だということを今も自信を持って公言したいと、こう考えております」

 「弁護士さんにお願いして手続きはしっかりしてもらって、その後はまた対応をしていきたいと考えておりますけれども、私は、私の事件、あるいは小沢さんの事件を見ても、密室での取り調べ、一方的な作文・調書、その調書を金科玉条のごとく最優先する判決のあり方、私は裁判所の真の公正公平はどこにあるか、これなんかを私の事件を契機にぜひとも見直してほしいもんだなという期待もありましたけど、残念ながら今日のこの棄却の文書を見ても政治資金規正法については何も触れておりません。さらには議院証言法についても何も書かれていないんです。職務権限だけ触れていますけれども、皆さん方が8年前、『ムネオハウスで捕まる』、『三井物産のディーゼル発電で捕まる』、あるいは『アフリカのODAで捕まる』と言われて、検察のリークで皆さん方も利用されたような形になりましたけれども、それらは1つも事件にならず、全く皆さん方も想定していなかったような、作られた『やまりん事件』、『島田事件』であったということを、ぜひとも心ある国民の皆さん方にはわかっていただけるであろうし、理解はいただけると思っております」

 「私は、いかなる環境にあってもこの検察権力と闘っていきます。青年将校化した一部検察官はえん罪を生み、そして多くの人を足利事件の菅家さんしかりであります、あるいは厚労省の村木局長しかりだと思っております。私は私の与えられた環境の中でしっかりと、検察に対する、何をもって公正公平か、何をもって真実かということを死ぬまで発信していきたいと考えております」

 「ただ、国民の皆さんにはお騒がせをしたこと、あるいは、こういう司法の判断が出たことについては、申し訳ないという思いでいっぱいであります。あわせて、私の後援者・支援者に対しては、なお相済まないという気持ちでいっぱいであります。しかし、今日、事務所にも多数の人から『権力に負けるな、頑張れ』、こういう激励の電話があったと秘書から聞かされました。1本も批判や否定をする電話はなかったと聞いて、私はやはりわかってくれる人はわかってくれる、逆に自信を持って私の立場で、これまた償いは償いをしながらも、同時に声なき声や権力に打ちのめされた人のために、私は少しでも私のできる範囲の中で頑張っていきたいと思っております。今後ともよろしくお願いいたします」(鈴木宗男議員)
(08日17:17)」


鈴木宗男さん側が、裁判所に対して抱く不信は、無実の証拠を無視された点にあります。すなわち、賄賂の意図がない、当事者が「賄賂の意図で金銭を渡したわけではない、官房副長官就任のお祝いであり、だからこそ、官房副長官室で堂々と祝儀袋を机の上に並べた」と述べているのに(=賄賂の意思がないという点は客観的状況とも合致する)、なぜ、無視するのかという点です。無実の証拠を無視されてしまうのであれば、有罪になってしまうことを避けることはできません。

いわゆる「国策捜査」としてなされたという特殊性があるとはいえ、無実の証拠が検察はもちろん、裁判所でも無視されるということは、誰にでもあり得ることであることは確かです。市民の側は、自分の身に起きたらという意識を持つべきでしょう。

マスコミは、「8年前、『ムネオハウスで捕まる』、『三井物産のディーゼル発電で捕まる』、あるいは『アフリカのODAで捕まる』と言われて、検察のリークで皆さん方も利用されたような形になりましたけれども、それらは1つも事件にな」りませんでした。この杜撰な報道に対しては、報道機関は何の反省もありません。




3.判決内容についても触れておきます。

(1) 共同通信:2010/09/08 13:53

最高裁の決定要旨
 
 衆院議員鈴木宗男被告の上告を7日付で棄却した最高裁の決定の要旨は次の通り。

 【結論】

 弁護人の上告趣意のうち、判例違反の点は事案を異にする判例を引用するもので適切でなく、その余は、憲法違反の点を含め、実質は事実誤認、単なる法令違反の主張で、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらない。

 【職権判断】

 受託収賄罪の成否について職権で判断する。

 北海道開発庁長官だった被告が、港湾工事の受注に関し特定業者の便宜を図るように北海道開発局港湾部長に働き掛ける行為は、職員への服務統督権限を背景に、予算の実施計画作成事務を統括する職務権限を利用して、職員に対する指導の形を借りて行われた。

 被告には港湾工事の実施に関する指揮監督権限はないとしても、働き掛けた内容は、実施計画で概要が決定される港湾工事について、競争入札を待たずに工事業者を事実上決定するものだった。

 このような働き掛けが金銭を対価に行われることは、北海道開発庁長官の本来的職務として行われる予算の実施計画作成の公正、その公正に対する社会の信頼を損なうものである。従って働き掛けは、北海道開発庁長官の職務に密接な関係のある行為というべきだ。

 弁護人は、談合にかかわる行為は、正当な職務としておよそ行い得ない違法な類型であるから、職務に密接な関係のある行為とはなり得ないと主張するが、密接関係行為に当たるかは本来の職務との関係から判断されるべきだ。違法行為であることで、その判断は直ちには左右されないと解するのが相当である。

 また受注業者の指名が港湾部長の職務権限に属することを認定せずに、指名について港湾部長を指導することが北海道開発庁長官の職務権限に属するとした二審の判断が判例(1995年2月22日大法廷判決)に違反すると主張する。

 しかし収賄罪の構成要件である「職務に関し」は、収賄公務員の職務との関連性。他の公務員に働き掛けることの請託を受けて収賄した場合であっても、働き掛けを受ける公務員の職務との関連性は構成要件そのものではない。一般的には、その職務関連性をそれ自体として認定する必要はないというべきである。

 そうすると、働き掛けを行うよう請託を受け、その報酬として金銭の供与を受けた行為が受託収賄罪に当たるとした二審の判断は正当である。

 【金築誠志裁判官の補足意見】

 受託収賄罪における北海道開発庁長官の職務権限につき、意見を補足的に述べる。

 弁護人引用の判例は、内閣総理大臣の職務権限に関するもの。内閣総理大臣については、直接に行政事務を行うことを認めるのは相当ではないとする見解が有力で、指揮監督権限は行政全般にわたる反面、極めて一般性・抽象性が高い。働き掛けを受ける公務員の職務関連性を認定することで、職務権限を認定せざるを得ない面があり、一般化は相当でない。

 働き掛けた事項が相手先の公務員の職務と無関係であれば、働き掛けに職務関連性を認めることが困難となろうが、働き掛けを受ける公務員に収賄公務員の職務関連性以上のものが要求されると解すべきではない。少なくとも働き掛けを受ける事項と職務との間に密接な関係があれば足りると解すべきである。

 港湾部長は、港湾工事の計画作成・実施に関して職務権限を有し、慣行的、常態的に本命業者の指名を行っていた。組織的に事実上職務行為化した行為とも評価でき、港湾部長の職務と密接な関係を有する行為であることは明らかだ。

 官製談合での本命業者の指名は、収賄罪の職務にはなり得ないと主張するが、収賄罪での職務が適法なものに限られないことは加重収賄罪の存在からも明らか。慣行化した官製談合の違法性、それによる信頼棄損と、慣行を利用してわいろを収賄することの違法性、それによる職務の公正に対する信頼棄損とは、別個の評価が可能。今回のような行為に関するわいろ収受が、職務の公正に対する信頼を害する程度が低いとは到底いえない。職務密接関係性を否定することは相当ではない。

2010/09/08 13:53 【共同通信】」



(2) 東京新聞平成22年9月9日付朝刊25面

贈収賄立件加速も

 元最高検検事の土本武司筑波大名誉教授(刑事法)の話 これまでの司法判断でも、わいろに対する見返り行為は、個別業者の選定など具体的な便宜だけでなく、部下への指導を装うなどの職務に関連した行為も含むとしていた。今回の最高裁決定は、見返り行為の枠組みを、抽象的指示や談合への関与などの違法行為まで広げた点で画期的。捜査当局にとってモノやカネの授受を立証するのは難しくないが、問題はそれが職務に関連するかどうかだった。今後は捜査のハードルが下がり、贈収賄事件を立件しやすくなるだろう。」


今回の判例は、賄賂罪における職務行為に関する判例ですが、「見返り行為の枠組みを、抽象的指示や談合への関与などの違法行為まで広げた」もので、より広範囲に「職務行為」と判断したものです。

賄賂罪の保護法益は、職務の公正とそれに対する社会一般の信頼を保護しようとするものです(判例、通説)。もし「信頼」が害されるならば、買収や不正の横行につながるうえ、国民の失望・不安、行政不信・政治不信などを招来し、人々の国・自治体への各種協力等の意思を萎えさせ、民主主義国家秩序にとって不都合な事態を生じかねないからです(刑法基本講座第6巻(法学書院、1993年)374頁)。

賄賂罪が成立するためには、賄賂が職務に関して授受されなければなりません。前述の観点から、「職務に関する」とは、職務行為自体に対する場合のほか、職務と密接な関連のある行為に対する場合を含み、その密接関連行為として広範囲に適用されつつあるのが現状です。

しかし、政治資金規正法があるように、政治家に対して適法に政治資金を提供できる以上、広範囲な賄賂罪の適用を認めると、政治資金はすべて賄賂罪になりかねません。事実上、政治資金規正法が没却されかねず、民主主義における政治的意思表明の自由に由来する、市民の側の政治資金を提供する自由を否定しかねないのです。

最高裁も認定しているように、「被告には港湾工事の実施に関する指揮監督権限はない」のです。ですから、それよりも広範囲に職務行為と認めるためには、より慎重な判断をすべきでしたが、「働き掛けた内容は、実施計画で概要が決定される港湾工事について、競争入札を待たずに工事業者を事実上決定するものだった」という程度で、しかも、当事者が賄賂の意図がないという証拠を無視した上で、職務行為と判断してしまいました。

あまりに広範囲に職務行為を肯定した今回の判例には疑問を感じます。


テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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